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「2000~2001 APEC における

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「2000~2001年 海外情勢報告」APEC主要国における人材養成への取組み

(要約版)

厚生労働省大臣官房国際課

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ま え が き

「厚生労働省 海外情勢報告(厚生労働省・海外情勢白書 」は、諸外国の労働情勢及び社会)

保障の情勢全般に関する情報を整理・分析し、広く提供することを目的として、各国の①経済及

び雇用失業情勢、②賃金・労働時間等の状況、③労使関係の動向、④社会保障の動向等について、

厚生労働省が本年度より毎年とりまとめ、公表するものとしたものです。

本年の「2000年厚生労働省 海外情勢報告(厚生労働省・海外情勢白書 」では、主要諸国の)

2000年から2001年初頭にかけての労働及び社会保障情勢全般の情報を第1部においてとりまとめ

ました。また、第2部では、主要APEC諸国の人材養成の現状についてとりまとめました。

主要諸外国における2000年の雇用情勢は、世界的な景気の拡大傾向に裏付けられ、また、引き

続き雇用問題への積極的な取り組みもあって全般的に明るい傾向が続いています。

先進諸国においては、アメリカ、カナダ及びイギリスでは、失業率は長期の低下傾向が続いて

います。また、ドイツ及びフランスにおいては、失業率は引き続き高水準ながらも98年からは低

下傾向で推移しています。

また、アジア諸国においては、韓国では、景気の回復に伴い、失業率も低下しています。中国

においては、景気が拡大し、就業者が増加している一方、失業者も増加しています。タイ及びイ

ンドネシアでは景気の回復はみられるものの、失業率は通貨危機の発生前より高い水準となって

います。

近年、我が国においては経済面をはじめとして停滞が続いております。一方アジアのAPEC

諸国においては、経済危機による打撃は大きなものがあるものの、中長期的には次第にその力を

つけつつあり、我が国に急速に追いつきつつあります。これは人材養成の面でも例外ではなく、

特にITの活用能力の面では、我が国より進んでいると思われる場面もあります。これまで我が

国はアジアの経済大国としてアジア各国から学ぶべき対象とされ、実際我が国自身、意識的と無

意識的とを問わず、自らアジアをリードする立場にあると自認して行動してきた感があります。

しかしながら、近年のこのようなアジア諸国の発展をみると、今後ともそのような立場を保ち続

けることが可能かどうかについては、予断を許さない状況にあり、その正否を握る重要な鍵の1

つは、今後とも高度な人材養成を行っていけるかどうかにあると考えられます。

また折しも本年は、熊本県においてAPEC人材養成大臣会合が開催され、ITの進展により

経済全体に様々な可能性をもたらし得る新たな国際環境の中で、各国が有為な人材を養成するた

めの方策等について、各国の人材養成担当大臣が討議を行うこととなっております。

このような状況を踏まえ、本年はAPEC諸国の人材養成を取り上げることとしました。この

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中には、アメリカ等いわゆる先進国といわれる国のみならず、APEC諸国のうち、近年特に人

材育成の面をはじめとして経済面での発展が著しい国を取り上げ、各国の人材養成の現状につい

て分析しています。今後における我が国の人材育成のあり方について広く考える材料を提供する

ことといたしました。この報告が、発展の著しいアジア諸国を含むAPEC諸国の人材養成のあ

り方を学び、もって我が国の更なる発展のあり方について足下を見つめ直すべき機会を提供する

ものとなれば幸いです。

労使関係者をはじめ広く我が国国民の活動の場が海外に広がる中で、海外の労働情報及び社会

保障情報を求める声はますます高まっていると認識しております。本書が、そのような国民の要

望にいささかなりとも応えることができ、また、海外の労働情勢及び社会保障情勢に関する理解

を通じて我が国と諸外国との相互理解の促進に貢献することができるなら、これに勝る喜びはあ

りません。同時に、本書に照会した諸外国の事例が、我が国の国民の利益の更なる拡大のため、

今後の政策立案に活かされるように念願しております。なお、今後の本書の更なる充実のため、

各方面からの御指導及び御協力をいただくことを切に望んでやみません。

厚生労働省大臣官房国際総括審議官

中 野 秀 世

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目 次

「2000年 海外情勢報告」 (要約版)

第1部 2000~2001年の海外情勢

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 経済及び雇用・失業の動向と対策 1

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1) 経済及び雇用・失業の動向 1

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表1 各国のGDP成長率の推移 2

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥図1 各国のGDP成長率の推移 3

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表2 各国の失業率の推移 4

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥図2 各国の失業率の推移 5

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) 雇用・失業対策 6

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 労働条件等の動向と対策 6

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1) 賃金・物価 6

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) 労働時間 7

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3) 労働災害 7

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(4) 労働条件対策 7

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表3 各国の賃金上昇率の推移 8

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表4 各国の物価上昇率の推移 9

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表5 各国の週労働時間の推移 10

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 労使関係・労使関係制度の動向 11

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1) 労働組合組織 11

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2) 労使関係制度の動向 11

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表6 各国の労働組合組織率の推移 12

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥表7 各国の労働争議件数の推移 12

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 社会保障の動向 13

第2部 APEC主要国における人材養成への取組み

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 教育制度・職業能力開発制度の概要及び政策体系 15

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 最近の重点施策 16

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 課題 17

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第1部 2000~2001年海外情勢報告

1 経済及び雇用・失業の動向と対策

(1) 経済及び雇用・失業の動向

① 経済

2000年は、欧米先進国において景気の拡大が続き、アジア諸国でもほとんどの国で景気

の拡大がみられた。

・ アメリカ、カナダでは景気拡大が継続し、フランスでも引き続き拡大した。景気の拡

大が鈍化傾向にあったイギリス、ドイツでも、景気は拡大した。

・ アジア諸国では、1997年に発生した通貨危機の影響により一時景気は後退したが、

1999年の景気の回復を受け、2000年には景気が拡大した。特に、香港、シンガポール、

韓国等においては高い伸びがみられた。

② 雇用・失業

・ アメリカ、カナダ、イギリスでは、失業率は長期の低下傾向が続いている。アメリカ

では、特にサービス業での雇用が伸び、失業率は4%台前半の低水準で推移している。

・ ドイツ、フランスでは、失業率は引き続き高水準ながらも98年からは低下傾向で推移

している。

・ 韓国においては、景気の回復に伴い、失業率も低下している。中国においては、景気

が拡大し、就業者が増加しており、政府公表の登録失業率(都市部)も依然低い水準で

推移しているが、これに含まれない下崗労働者(一時帰休者)も相当数存在している。

香港、インドネシア、タイ等では景気の回復はみられるものの、失業率は通貨危機の発

生前より高い水準となっている。

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- 2 -

表1 各国のGDP成長率の推移

資料出所:各国資料

注 前年同期比又は前期比年率(EU)

( % )

国       名

ア メ リ カ 4 . 4 4. 4 4. 2 5. 0 5. 3 6. 1 5. 2 3. 4

イ ギ リ ス 3 . 5 2. 6 2. 3 3. 0 3. 2 3. 5 3. 0 2. 4

ド イ ツ 1 . 4 2. 1 1. 6 3. 0 3. 7 3. 5 2. 8 1. 9

フ ラ ン ス 1 . 9 3. 3 3. 2 3. 2 3. 6 3. 4 3. 0 2. 8

カ ナ ダ 4 . 4 3. 3 4. 5 4. 7 5. 1 5. 5 5. 0 4. 0

E U 2 . 5 2. 8 2. 5 3. 3 3. 4 3. 2 2. 4 2. 7

韓 国 5 . 0 - 6 . 7 1 0 . 9 8. 8 1 2 . 6 9. 7 9. 2 4. 6

中 国 8 . 8 7. 8 5. 5 8. 3 8. 1 8. 3 8. 2 8. 0

香 港 5 . 0 - 5 . 3 3. 0 1 0 . 5 1 4 . 1 1 0 . 7 1 0 . 8 6. 9

シ ン ガ ポ ー ル 8 . 5 0. 1 5. 9 9. 9 9. 8 8. 4 1 0 . 3 1 1 . 0

イ ン ド ネ シ ア 4 . 9 - 1 3 . 4 0. 5 5. 2 4. 9 4. 9 5. 8 5. 1

タ イ - 1 . 4 - 1 0 . 8 4. 2 4. 3 5. 2 6. 2 2. 8 3. 1

マ レ イ シ ア 7 . 3 - 7 . 4 6. 1 8. 3 1 1 . 7 8. 0 7. 6 6. 3

フ ィ リ ピ ン 5 . 2 - 0 . 6 3. 4 4. 0 3. 3 4. 3 4. 6 3. 8

オ ー ス ト ラ リ ア 3 . 8 5. 6 4. 7 3. 8 1. 2 1. 3 0. 4 - 0 . 6

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 2 . 8 - 0 . 7 4. 0 3. 0 - - - -

0 . 9 - 4 . 9 5. 4 8. 3 9. 0 8. 6 8. 8 6. 8

1998年 1999年

大洋州

ロ シ ア

10~12月

主要先進諸国及びEU

ア  ジ  ア

2000年地域別

1~3月 4~6月 7 ~ 9 月1997年

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- 3 -

図1 各国のGDP成長率の推移(対前年同期比又は前期比年率)

韓 国 ・ 中 国 ・ シ ン ガ ポ ー ル 等 の G D P 成 長 率 の 推 移

- 1 0 . 0

- 5 . 0

0 . 0

5 . 0

1 0 . 0

1 5 . 0

2 0 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

韓 国 中 国

香 港 シ ン ガ ポ ー ル

先 進 国 の G D P 成 長 率 の 推 移 ( そ の 1 )

- 4 . 0

- 2 . 0

0 . 0

2 . 0

4 . 0

6 . 0

8 . 0

1 0 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

ア メ リ カ イ ギ リ スド イ ツ フ ラ ン ス

%先 進 国 等 の G D P 成 長 率 の 推 移 ( そ の 2 )

- 6 . 0

- 4 . 0

- 2 . 0

0 . 0

2 . 0

4 . 0

6 . 0

8 . 0

1 0 . 0

1 2 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

カ ナ ダ E U ロ シ ア

A S E A N 諸 国 の G D P 成 長 率 の 推 移

- 1 6 . 0

- 1 1 . 0

- 6 . 0

- 1 . 0

4 . 0

9 . 0

1 4 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

イ ン ド ネ シ ア タ イマ レ イ シ ア フ ィ リ ピ ン

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

オ ー ス ト ラ リ ア ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド

豪 州 ・ ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の G D P 成 長 率 の 推 移

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- 4 -

表2 各国の失業率の推移

資料出所:各国資料

注 失業率の定義は各国ごとに異なるため、厳密な比較はできない。

( % )

国       名

ア メ リ カ 4 . 9 4 . 5 4 . 2 4 . 0 4 . 0 4 . 0 3 . 9 4 . 0

イ ギ リ ス 7 . 2 6 . 3 6 . 1 5 . 6 5 . 8 5 . 5 5 . 4 5 . 3

ド イ ツ 1 1 . 4 1 1 . 1 1 0 . 5 9 . 6 1 0 . 8 9 . 4 9 . 2 9 . 5

フ ラ ン ス 1 2 . 5 1 1 . 9 1 1 . 2 9 . 7 1 0 . 2 9 . 8 9 . 6 9 . 3

カ ナ ダ 9 . 1 8 . 3 7 . 6 6 . 8 6 . 8 6 . 6 6 . 8 6 . 8

E U 1 0 . 6 9 . 9 9 . 2 8 . 3 8 . 7 8 . 4 8 . 2 8 . 0

韓 国 2 . 6 6 . 8 6 . 3 4 . 1 4 . 2 3 . 9 3 . 9 3 . 9

中 国 3 . 1 3 . 1 3 . 1 3 . 1 - - - -

香 港 2 . 2 4 . 7 6 . 3 5 . 0 5 . 6 5 . 0 4 . 8 4 . 4

シ ン ガ ポ ー ル 1 . 8 3 . 2 3 . 5 3 . 1 3 . 4 3 . 5 2 . 5 2 . 8

イ ン ド ネ シ ア 4 . 7 5 . 5 6 . 4 6 . 1 - - - -

タ イ 1 . 5 4 . 4 4 . 2 3 . 6 - - - -

マ レ イ シ ア 2 . 4 3 . 2 3 . 0 2 . 9 - - - -

フ ィ リ ピ ン 8 . 7 1 0 . 1 9 . 7 1 1 . 1 - - - -

オ ー ス ト ラ リ ア 8 . 6 8 . 0 7 . 2 6 . 6 7 . 4 6 . 6 6 . 2 6 . 2

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 6 . 6 7 . 5 6 . 8 6 . 0 6 . 4 6 . 1 5 . 9 5 . 6

1 0 . 8 1 1 . 9 1 2 . 6 1 0 . 4 1 1 . 7 9 . 9 9 . 9 9 . 7

10~12月2000年

主要先進諸国及びEU

大洋州

ア  ジ  ア

地域別

1997年 1998年 1999年

ロ シ ア

1~3月 4~6月 7 ~ 9 月

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- 5 -

図2 各国の失業率の推移

先 進 国 等 の 失 業 率 の 推 移 ( そ の 2 )

0.0

2 . 0

4 . 0

6 . 0

8 . 0

1 0 . 0

1 2 . 0

1 4 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

カ ナ ダ E U ロ シ ア

A S E A N 諸 国 の 失 業 率 の 推 移

0

2

4

6

8

1 0

1 2

1 4

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

イ ン ド ネ シ ア タ イ

マ レ イ シ ア フ ィ リ ピ ン

先 進 国 の 失 業 率 の 推 移 ( そ の 1 )

0 . 0

2 . 0

4 . 0

6 . 0

8 . 0

1 0 . 0

1 2 . 0

1 4 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

ア メ リ カ イ ギ リ スド イ ツ フ ラ ン ス

韓 国 ・ 中 国 ・ シ ン ガ ポ ー ル 等 の 失 業 率 の 推 移

0

2

4

6

8

1 0

1 2

1 4

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

韓 国 中 国

香 港 シ ン ガ ポ ー ル

豪 州 ・ ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 失 業 率 の 推 移

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

1 0 . 0

1 2 . 0

1 4 . 0

9 7 9 8 9 9 2 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

オ ー ス ト ラ リ ア ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド

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(2) 雇用・失業対策

① アメリカでは、2000年4月に65~69歳の老齢年金を所得に応じて減額することを撤廃す

る「高齢者の働く自由法」が成立した。また、同月技能労働者不足をテーマに、産業界、

労働界、地域団体の指導者等を招いて初めての全国技能サミットが開催された。

② イギリスでは、2000年6月から18~24歳向けニューディールプログラムにおいてインテ

ンシブ・ゲイトウェイ(よりきめ細かなカウンセリウング、就職準備支援)を全国的に実

施し、また、同年秋からは失業率が特に高い地域においてアクション・チーム制度を導入

して失業者に対する支援の強化を図るなど、ニューディール政策をさらに拡充している。

③ ドイツでは、引き続き社会保障改革、税制改革、財政改革が進められ、2001年5月、年

金制度を改革する法案が成立した。2001年3月に開催された「雇用のための同盟」第7回

政労使トップ会談では、これまで若年者雇用と振り替えるために奨励されていた高齢労働

者の早期退職についてパラダイムの転換が合意され、今後は高齢者の就業の強化、失業防

止及び高齢失業者の再統合が政策の目標となることとなった。

④ フランスでは、2000年2月より週35時間制が実施され、雇用の維持・創出にある程度の

効果を上げていると評価されている。また、労使の協約による失業保険制度の改革がなさ

れ、2001年7月から失業者は失業保険制度に盛り込まれた「再就職支援プラン」に従った

個別の再就職支援を受けることとなった。

⑤ 韓国では、2000年の失業率の目標を4%台、2002年を3%とした、2000年総合失業対策

を発表し、雇用創出の推進、知識基盤型社会へ向けた人材養成、社会的セイフティネット

の拡充等について取り組んでいる。

⑥ 中国では、国有企業下崗労働者(一時帰休者)制度を2003年までに廃止する方針が発表

され、制度廃止後は下崗労働者は名実ともに失業者として、失業保険を受給しながら再就

職先を探すこととなる。

2 労働条件等の動向と対策

(1) 賃金・物価

① 欧米諸国

欧米諸国では、物価はアメリカとイギリスを除いて概ね安定して推移した。賃金はフラ

ンスで週35時間労働制の導入等の影響で上昇したほか、イギリスでも引き続き上昇した。

② アジア諸国

アジア諸国では、景気回復の著しい韓国では賃金も大幅に上昇した。通貨危機の影響を

受けた国々でも物価の上昇は収まっている。

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- 7 -

(2) 労働時間

労働時間は、フランスでは週35時間労働制の導入により1999年から2000年にかけて1.5

時間減少したが、その他の国は増減幅は概ねわずかであり、全体としては大きな変化はな

かった。

(3) 労働災害

アメリカ、イギリス及びアジア諸国の一部の国等においては労働災害の発生件数は減少

している。

(4) 労働条件対策

① アメリカでは 「出生及び養子縁組休業手当規制」が制定された他、5月11日が「全国、

平等賃金の日」と定められた。

② イギリスでは、最低賃金額の引き上げ、パートタイム労働規制の成立、労働と家庭に関

するグリーンペーパーの公表が行われた。

③ ドイツでは、金属産業における労働時間貯蓄口座制度の導入、連邦育児手当及び両親休

業法の改正が行われた。

④ 韓国では、最低賃金の引き上げが決定された他、労働時間短縮に関して政労使委員会で

合意がなされ、産業災害補償保険法の改正が行われた。インドネシア、タイ、フィリピン

においても、最低賃金の引き上げが決定された。シンガポールでは、全国賃金審議会によ

り2000/2001年度賃金指針が発表された。

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- 8 -

表3 各国の賃金上昇率の推移

資料出所:各国資料

注 前年比または前年同期比。

アメリカは民間非農業、生産労働者の週当たり賃金。四半期値は、それぞれ3、6、9、12月の数値。

イギリスは非農業主要産業労働者の月当たり賃金。

ドイツは製造業生産労働者の時間当たり賃金。旧西独地域。

フランスは非農業、生産労働者の時間当たり賃金。

カナダは全産業労働者の週当たり賃金。

EUは製造業労働者の時間当たり賃金。

韓国は非農林漁業労働者の月当たり賃金。

中国は都市部雇用労働者の年間賃金。

香港は主要産業雇用者の月当たり賃金。

シンガポールは非農業主要産業労働者の月当たり賃金。

タイは製造業労働者の月当たり賃金。四半期値は、それぞれ2、5、8、11月の数値。

オーストラリアは全産業雇用者の週当たり賃金。

ニュージーランドは全産業雇用者の週当たり賃金。

( % )

国       名

ア メ リ カ 4 . 4 4 . 0 3 . 3 3 . 8 3 . 6 3 . 6 3 . 3 3 . 1

イ ギ リ ス 4 . 2 5 . 1 4 . 8 4 . 5 5 . 1 3 . 8 4 . 2 4 . 8

ド イ ツ - 2 . 1 2 . 5 2 . 3 2 . 4 2 . 1 2 . 7 2 . 0

フ ラ ン ス 2 . 7 2 . 1 2 . 5 5 . 3 5 . 2 5 . 5 5 . 3 5 . 1

カ ナ ダ 2 . 1 1 . 3 0 . 7 2 . 6 2 . 7 2 . 6 2 . 9 1 . 9

E U 2 . 9 2 . 8 2 . 7 0 . 0 0 . 9 0 . 9

韓 国 7 . 0 - 2 . 5 1 2 . 1 8 . 0 5 . 8 7 . 3 3 . 7 2 . 4

中 国 4 . 2 1 5 . 6 1 1 . 6 - - - - -

香 港 7 . 0 2 . 3 - 0 . 8 1 . 1 - 0 . 5 0 . 9 1 . 1 -

シ ン ガ ポ ー ル 5 . 7 2 . 8 2 . 7 8 . 9 8 . 1 7 . 2 8 . 7 1 1 . 1

タ イ 7 . 8 3 . 8 - 0 . 4 - - 0 . 4 0 . 6 - 1 . 1 1 . 7

オ ー ス ト ラ リ ア 3 . 1 2 . 8 1 . 6 4 . 7 1 . 5 2 . 3 2 . 0 - 0 . 7

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 3 . 4 2 . 6 2 . 5 - 1 . 7 1 . 8 2 . 2 -

4 . 4 - 1 5 . 0 - 2 2 . 0 2 2 . 4 2 4 . 8 2 2 . 0 2 4 . 7 2 5 . 7ロ シ ア

7 ~ 9 月

地域別

1997年 1998年 1999年10~12月

主要先進諸国及びEU

ア  ジ  ア

大洋州

2000年1 ~ 3 月 4~6月

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- 9 -

表4 各国の物価上昇率の推移

資料出所:各国資料

注1 前年比又は前年同期比。アメリカの四半期毎の数値は、それぞれ3、6、9、12月の数値。

( % )

国       名

ア メ リ カ 2 . 3 1 . 6 2 . 2 3 . 4 3 . 2 3 . 3 3 . 5 3 . 4

イ ギ リ ス 3 . 1 3 . 4 1 . 5 3 . 0 2 . 6 3 . 3 3 . 3 2 . 9

ド イ ツ 1 . 9 1 . 0 0 . 6 1 . 9 1 . 8 1 . 6 2 . 1 2 . 3

フ ラ ン ス 1 . 1 0 . 6 0 . 5 1 . 7 1 . 5 1 . 5 1 . 9 1 . 9

カ ナ ダ 1 . 6 0 . 9 1 . 7 2 . 7 3 . 0 2 . 9 2 . 7 3 . 2

E U 1 . 6 1 . 1 1 . 1 2 . 3 2 . 0 2 . 1 2 . 5 2 . 7

韓 国 4 . 5 7 . 5 0 . 8 2 . 3 1 . 6 2 . 2 3 . 9 3 . 2

中 国 2 . 8 - 0 . 8 - 1 . 4 0 . 4 0 . 1 0 . 1 0 . 2 0 . 4

香 港 5 . 9 2 . 8 - 4 . 0 - 3 . 6 - 5 . 0 - 4 . 6 - 2 . 6 - 1 . 8

シ ン ガ ポ ー ル 2 . 0 - 0 . 3 0 . 0 1 . 4 1 . 1 0 . 8 1 . 5 2 . 0

タ イ 5 . 6 8 . 1 0 . 3 1 . 5 0 . 8 1 . 6 2 . 2 1 . 6

イ ン ド ネ シ ア 6 . 2 5 8 . 4 2 3 . 4 3 . 7 - 0 . 6 1 . 1 5 . 6 8 . 8

フ ィ リ ピ ン 5 . 9 9 . 7 6 . 6 4 . 3 3 . 0 3 . 9 4 . 5 5 . 9

オ ー ス ト ラ リ ア 0 . 3 0 . 9 1 . 5 4 . 5 2 . 8 3 . 2 6 . 1 5 . 8

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 1 . 2 1 . 3 - 0 . 1 2 . 6 1 . 5 2 . 0 3 . 0 4 . 0

1 1 . 0 8 4 . 4 3 6 . 5 3 6 . 5 1 0 7 . 5 1 2 0 . 6 6 2 . 0 3 6 . 5

10~12月

主要先進諸国及びEU

ア  ジ  ア

大洋州

2000年1 ~ 3 月 4 ~ 6 月

ロ シ ア

7~9月

地域別

1997年 1998年 1999年

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表5 各国の週労働時間の推移

資料出所:各国資料及びILO「 1999」YearbookofLabourStatistics

注1 アメリカは非農業労働者の週当たり支払い労働時間。

イギリスは全産業労働者の週当たり実労働時間。

ドイツは製造業労働者の週当たり支払い労働時間。

フランスは非農業労働者の週当たり実労働時間。

カナダは非農業労働者の週当たり支払い労働時間。

韓国は非農業労働者の週当たり実労働時間。

中国は4都市部の国有企業(製造業)労働者の月当たり実労働時間。

香港は全産業労働者週当たり実労働時間。

シンガポールは全産業労働者の週当たり実労働時間。

タイは非農林漁業労働者の週当たり実労働時間。

フィリピンは非農林漁業労働者の週当たり実労働時間。

オーストラリアは全産業雇用者の週当たり実労働時間。

ニュージーランドは非農林漁業労働者の週当たり支払い労働時間。

2 労働時間の定義は各国ごとに異なるため、厳密な比較はできない。

( 時 間 )

国       名

ア メ リ カ 3 4 . 6 3 4 . 6 3 4 . 5 3 4 . 5 3 4 . 5 3 4 . 5 3 4 . 4 3 4 . 1

イ ギ リ ス 4 0 . 3 4 0 . 2 4 0 . 0 3 9 . 8 - - - -

ド イ ツ 3 7 . 7 3 7 . 8 3 7 . 7 3 7 . 9 3 7 . 3 3 7 . 9 3 8 . 0 3 8 . 0

フ ラ ン ス 3 8 . 9 3 8 . 8 3 8 . 4 3 6 . 9 3 7 . 2 3 6 . 9 3 6 . 8 3 6 . 6

カ ナ ダ 3 1 . 3 3 1 . 2 3 1 . 4 3 1 . 6 3 1 . 9 3 1 . 3 3 1 . 5 3 2 . 0

韓 国 4 6 . 7 4 5 . 9 4 7 . 9

中 国 1 3 5 . 5 1 6 2 . 9 -

香 港 4 5 . 2 4 5 . 2 -

シ ン ガ ポ ー ル 4 7 . 3 4 6 . 8 4 6 . 8

タ イ 4 9 . 2 5 1 . 3 -

フ ィ リ ピ ン 4 5 . 9 4 5 . 2 4 6 . 2

オ ー ス ト ラ リ ア 3 8 . 7 3 9 . 0 3 8 . 7

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 3 9 . 0 3 8 . 8 3 8 . 7

1~3月 4~6月 7~9月 10~12月1997年 1998年 1999年 2000年

地域別

主要先進諸国及びEU

ア  ジ  ア

大洋州

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3 労使関係・労使関係制度の動向

(1) 労働組合組織

① 欧米諸国

組織率は、イギリス、ドイツ、オーストラリア等が20~30%台と比較的高く、アメリカ

が10%台と低い。先進諸国では労働組合員数が減少を続け、労働組合組織率も低下傾向に

ある。

② アジア諸国

組織率は、韓国、シンガポールは10%台と低い。韓国、香港、シンガポール等、一部の

国では労働組合員数が増加している。

(2) 労使関係制度の動向

① アメリカでは、2001年2月のアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)

執行評議会において組織拡大等について話し合いがなされた。イギリスでは、雇用関係法

に基づく労使関係規則のうち、組合承認に関する規則等が施行された。EUでは、欧州会

社法案に関係する指令案等について合意がなされた。

② 韓国では、労使政委員会による「労働組合及び労働関係調整法」付則改正の決定が行わ

れた。中国では「賃金に関する集団交渉についての試行規制」の制定が行われた。

③ ニュージーランドでは、雇用関係法が成立した。

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表6 各国の労働組合組織率の推移

資料出所:各国資料

表7 各国の労働争議件数の推移

資料出所:各国資料及びILO「 2000」YearbookofLabourStatistics

注 労働争議件数の定義は各国ごとに異なるので、厳密な比較はできない。

(%)

国  名 1996年 1997年 1998年 1999年

ア メ リ カ 1 4 . 5 1 4 . 1 1 3 . 9 1 3 . 9

イ ギ リ ス 2 8 . 2 2 7 . 3 2 6 . 9 2 7 . 0

ドイツ 3 5 . 3 3 4 . 8 3 2 . 2 -

韓国 1 3 . 8 1 3 . 3 1 2 . 2 1 2 . 6

シ ン ガ ポ ー ル 1 4 . 6 1 4 . 2 1 4 . 5 1 5 . 3

タイ 2. 3 2 . 1 2. 0 -

オーストラリア 3 1 . 1 3 0 . 3 2 8 . 1 2 5 . 7

( 件 )

国     名 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年

ア メ リ カ 3 7 2 9 3 4 1 7 3 9

イ ギ リ ス 244 216 166 205 -

ド イ ツ 200 144 4 6 - -

フ ラ ン ス 111 134 123 132 -

カ ナ ダ 330 284 379 413 -

韓 国 8 5 7 8 129 198 -

香 港 1 7 7 8 3 5

シ ン ガ ポ ー ル 309 253 291 246 -

イ ン ド ネ シ ア 346 234 272 125 199

タ イ 175 187 121 183 -

マ レ イ シ ア 9 5 1 2 1 1 1 1

フ ィ リ ピ ン 833 932 811 849 588

オ ー ス ト ラ リ ア 543 447 519 729 -

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4 社会保障の動向

(1) アメリカでは 「高齢者の働く自由法」が成立し、所得限度額を超えた場合に減額されて、

いた年金が満額支給されることとなった。

(2) イギリスでは、国民保健サービス制度の大幅な見直し作業を実施し、今後10年間で病院・

病床・医療機器等施設整備の拡充、医師・看護婦等医療専門職の増員等を実施していくこと

としている。

(3) ドイツでは、給付水準の引下げ、補足的老後保障制度の創設等を内容とする年金改革法が

成立した。

(4) スウェーデンでは、年金の支給開始年齢を61歳以上として個人の選択に委ね、給付額を生

涯所得に基づく社会保険料拠出立てとすること等を内容とする年金制度改革のための法律が

成立した。

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第2部 APEC諸国の人材養成

1 教育制度・職業能力開発制度の概要及び政策体系

(1) 政策の背景

国際競争の激化、ITの普及等急速に経済環境が変化する中で、産業界の需要に対応した

高度の知識・技能を有する人材を養成し、国としての競争力を確保することは、どの国にお

いても喫緊の課題となっている。このため、各国においては、有為な人材養成のため、IT

への対応等種々の政策を展開しているところであるが、その内容にはいくつかのあり方があ

る。即ち、①職業能力の開発は個人の責任との考え方が強く、大学等と民間企業が密接に連

携して行う職業訓練の比重の方が公的訓練の比重よりも高いものの、その内容は、個別の民

間企業の需要を反映し、最先端のものとなっていることも少なくない国(アメリカ 、②経)

済の低迷及びそれに伴う高い失業率の打開のために思い切った改革を行い、国民1人1人が

技能を身につけることにより失業しても新たな職を得ることが容易になるための人材養成と

いう観点が重要となっている国(オーストラリア及びニュージーランド 、③IT関係の人)

材育成を迫られる一方で、国営企業の経営不振と大量の余剰人員の再就職を促進するための

職業能力開発という観点も重要となっている国(中国 、④経済発展著しく、産業界の需要)

に応える高度な能力を持った人材の養成が重要となっている国(韓国 、⑤外資の積極的な)

導入により急速に工業化、IT化を進め、こうした産業構造高度化に対応した人材の育成と

ともに、低技能者の能力向上の観点が重要となっている国(マレーシア及びシンガポール)

である。

(2) 政策目標

各国とも、法律(韓国 、報告書(アメリカ及び中国 、国家計画(オーストラリア、ニュ) )

ージーランド、マレーシア及びシンガポール)といった形で政策目標及び政策体系が設定し

ているところ、いずれの国も、IT技能の習得、産業界の需要に対応する高度な職業能力を

有する人材の育成、失業者や不利な立場にある人々に対する職業能力開発機会の提供等を政

策目標として掲げている。

(3) 教育制度

教育制度は、どの国においても比較的類似の仕組みがとられている。すなわち、①教育全

般を、初等教育、中等教育及び高等教育に分け、②初等教育及び前期中等教育は義務教育と

される国が多い。

また、職業能力開発との連携については、どの国も重視しており、連携のあり方として、

①中等教育において勤労体験の実施を奨励する国(アメリカ 、②資格の一元化等を通じて)

職業教育と学校教育の統合が進んでいる国(オーストラリア、ニュージーランド及び中国)、

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③教科教育より職業教育に適する者に対して早期から職業教育を受けさせる国(シンガポー

ル)等がある。

(4) 職業能力開発制度

職業能力開発は、どの国においても民間(企業及び民間職業能力開発機関)と公的機関が

連携・補完しつつして行われているが、その協力のあり方は各国において異なり、①民間又

は企業主体で多様な職業訓練が行われている国(アメリカ及び中国 、②産業別訓練機関を)

組織し、各業界がその産業に必要な職業訓練を行う仕組を有する国(ニュージーランド 、)

③国の職業訓練機関が重要な役割を演じている国(シンガポール)等の類型がある。

教育と職業訓練との連携については、(3)で述べたように、どの国も学校教育との連携に

は力を入れている。

職業能力に関する国家資格については、全ての国がこれを整備する方向にある。国家資格

の整備のあり方は、①幅広い分野において全国統一的な職業資格制度が導入されている国

(オーストラリア、ニュージーランド 、②既に一部に職種において全国統一的な職業資格)

制度が存していたが、近年これを更に拡充した国(シンガポール 、③一部の職種において)

全国統一的な職業資格制度が存する国、④従来存していなかった資格制度を整備中の国(ア

メリカ)等がある。なお、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール及びマレイシ

アにおいては、伝統的な学校教育における資格(学士等)と統一的に資格認定を行おうとす

る傾向が強い。

職業能力開発については、どの国においても政府から補助金が支給されるが、その財源と

して、一般財源以外に、①雇用保険の保険料収入の一部を職業能力開発のための助成金の財

源とする国(韓国 、②事業主に課した課微金を財源として、労働者に対して職業能力開発)

を行う事業主に対して助成金を支給する国(マレーシア及びシンガポール)等がある。

2 最近の重点施策

(1) IT関係の重点施策

IT関係の施策については、各国とも力を注いでいる。多くの国で報告書が作成され(ア

メリカ、オーストラリア及びニュージーランド 、又は国家計画が策定され(韓国、マレー)

シア及びシンガポール)ている。実際にも、①官民の諸機関が単独又は密接に関係して、幅

広くIT関係の職業訓練を行い(アメリカ及びオーストラリア各州 、②学校におけるIT)

教育を積極的に導入し(中国、シンガポール 、③IT産業を中心とするサービス・知識集)

約型産業を育成することを目標として、マルチメディア技術を活用した都市開発を行い、そ

こで働くIT技術を身につけた高度な人材の養成を目的としてマルチメディア大学を設立し

ている(マレーシア 。)

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(2) その他の重点施策

その他の重点施策としては、就職困難な労働者に対する職業能力開発促進施策を取る国が

多い。即ち、①失業率が高い若年者等を対象とする職業訓練対策を行う国(オーストラリア

及びニュージーランド 、②余剰人員である下崗労働者に対する再就職のための各種職業訓)

練を行う国(中国 、④特に知識情報化社会に適合した職種と人材不足職種に関する、失業)

者への職業訓練の実施を行う国(韓国 、⑤明確な能力評価基準がなく適性の評価や技能の)

向上を行うことのできない事務員、販売員、サービス労働者等の労働者について評価を行う

ため、国家技能認定制度を創設する国(シンガポール)等がある。

3 課 題

どの国も刻一刻と変化し、かつ職業訓練内容に対する多様な民間の需要にいかに対応してい

くかに腐心しており、ともすれば硬直的になりがちな公的訓練の欠点をいかにカバーするかが

大きな問題となっており、またそれが今後の各国の人材養成の可否と国際競争力を決定してい

くものとなるように思われる。具体的には、①政府が大枠を示し、現場においては民間が大き

く参与することによって個別の需要に対応した能力開発が行われている国(アメリカ 。②職)

業能力開発に意欲的に取り組んでおり、非常に高度な教育訓練を行う施設を有し、一定の成果

をするものの、低技能者の能力向上はなお重要な問題となっている国(マレーシア、シンガポ

ール)等がある。

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APEC主要国における人材養成等の概要

アメリカ オーストラリア ニュージーランド 中 国 韓 国 シンガポール マレイシア

雇用失業情勢 ・景気拡大により失業 ・景気拡大により失業 ・1998年に落ち込んだ ・政府公表の都市部の ・1998年に落ち込んだ ・1998年に落ち込んだ ・1998年に落ち込んだ

(数値は原則とし 率は下がっており、 率は6.6%。 景気も99年には回復 登録失業率は1990年代 景気も99年には大幅に 景気も99年には回復し 景気も99年には回復し

て2000年) 2000年は4.0%となっ ・若年者の失業率が高 し、失業率も6%前後 半ば以降3%程度で推 回復し、99年1月には たが、失業率は98年に たが、失業率は98年に

た。 い(15-24歳12.3%) となっている。 移しているものの、人 7.9%まで上昇した失 3%台に上昇したまま 3%台に上昇した後

・失業期間は1994年ま こと及び長期失業者の ・若年層の失業率が高 口の8割を占める農村 業率も2000年には4.1 2000年も3.1%となっ 2000年も2.9%となっ

では長期化の傾向であ 割合が高い(52週間以 い(15-24歳13.2%) 部の余剰労働者や国営 %まで回復した。 た。 た。

ったが、それ以降は徐 上28.7% ことが問題 こと及びマオリ人、太 企業改革に伴うレイオ) 。

々に短期化している 平洋島嶼国出身者の失 フ労働者 下崗労働者( )

(失業期間の中位数: 業率が高い(それぞれ を考慮に入れると労働

5.9週間 。 14.2%、11.3%2000年 市場の実態はかなり悪)

7-9月 ことが問題 化していると考えられ) 。

る。

雇用対策の基本的 ・労働者の生涯にわた ・労働市場の活性化、 ・98年10月から失業手 ・下崗労働者の基本生 ・2000年11月に発表し ・2000年3月に発表し ・ 国家開発政策」「

な方向 って複数の企業で雇用 職場の柔軟性の向上、 当に代えて、失業者に 活保障、失業保険及び た「構造調整による雇 た「ニューエコノミー 1991-2000年 では( ) 、

をつなげていく再就職 中小企業の事業運営環 地域社会での労務提供 都市部在住者の最低生 用安定対策」では、失 への転換に伴う政府政 労働政策の中で特に人

支援に力を入れてい 境の確保等が基本方 及び職業訓練等を義務 活保障を内容とする 業者に対する再就職支 策のあり方」では、ニ 的資源開発に力点が置

る。 針。 づけて「社会的賃金 「3本の保障線」制度 援、企業における雇用 ューエコノミーへの転 かれており、1.雇用の

・全国に約800ある ・雇用政策としては、 (Community Wage 」 の維持・充実と再就職 の維持支援、職業訓練 換のために労働市場政 創出、2.マレイ系と中)

One-stop Careerセン 公共職業安定所機能の を支払う制度が導入さ の促進。 を通じた就業能力の向 策では、①労働者の報 国系を特定産業に集中

ターにおいて、求職者 再編・業務の民間委 れていたが、現政権は ・都市部における養 上等を実施。 酬について株やストッ しないような雇用の再

や在職者等に対する支 託、失業者に対する支 これを2001年7月から 老、失業及び医療を重 ク・オプション等の賃 編成、3.人的資源開発

援を一括して実施。 援策の見直し、失業給 再び失業手当に戻すこ 点とする社会保険の強 金以外の形態に移行 の促進等を実施。

・学校から職場への移 付に係る審査の強化等 ととした。 制設置及び強制加入を し、税制の見直しを行

行(就業)を促進する を行ってきている。 推進。 う、②これまでの終身

ための若年者向け教育 雇用から生涯の雇用可

訓練プログラムを実 能性へと意識転換を行

施。 うため、政府は労働者

の生涯学習や再訓練を

促進し、同時に労働者

の福祉と利益が確保さ

れるよう法制度の見直

しを行うとしている。

18

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人材養成政策の ・情報技術( )経済 ・70年代後半からの国 ・70年代以降の国際競 ・本格的な市場経済へ ・現在においては、人 ・1970年代末以降、国 ・従来財政的援助や公IT

背景 の進展など産業構造の 際競争力の低下等を背 争力の低下等を背景に と移行するに伴い、残 材養成制度は、産業の 際競争が激化するなか 共工事の優先的発注な

高度化に伴い、労働者 景に80年代前半に経済 経済の停滞及びインフ 業構造の再編と能力主 グローバル化、情報化 で経済発展を持続する どでマレイ系企業の育

もこれらに対応したよ 情勢が大幅に悪化し、 レの上昇に見舞われ、 義的な人材登用システ といった急速に変化す ために産業の高度化が 成に努めていたが、

り高度な技能が求めら 失業率も一時10%を超 失業率も上昇した。こ ムの導入が進む中、ま る経済環境に対応する 図られてきた。そして 1986年の不況によりこ

れるようになってい える高水準となった。 のため、84年以降多く すます専門的な知識と ための課題に迅速に対 産業発展を支えるため うした育成策を講じる

る。 このため、政府は労働 の規制緩和が実施さ 技術を持った優れた人 処できるようにしてゆ の人材養成は、大きな 余裕がなくなり、人的

・ 大統領経済報告 直 市場改革を始め一連の れ、教育戦略もこうし 材の養成が望まれてい くことが求められてお 課題のひとつとなって 資源の開発が見直され「 (

近は2001年1月 」に 構造改革を実施。 た社会・労働市場等の ると同時に、大量に発 り、そのためにも、よ きた。 るようになった。)

おいても、高い水準の ・教育・職業訓練制度 変化を伴う経済戦略と 生している失業者及び り専門的かつ革新的な ・1970年代後半以降、 ・ ルック・イースト「 」

労働力を保持した労働 についても費用対効果 連携したものにならざ 余剰員の下崗労働者の 技術を持った人材の供 直面する国内の労働力 政策が取られ、日本の

者の育成が最重要の鍵 の面から見直しを行 るを得なかった。 再就職を促進するため 給への要望が高まって 不足に対処するため あり方をモデルとした

であり、そのような人 い、民間教育訓練機関 ・加えて、80年代後半 の職業能力開発への取 いる。 に、近隣諸国からの外 国造りが行われてきて

材を育成することを目 の活用などを実施。 から90年代前半にかけ 組、そして新規雇用創 ・現在の施策は、1991 国人労働者の受入れを いる。

的とした高い教育水準 て出生率の上昇や就学 出が可能な産業の育成 年1月から施行された 行ってきたが、今後長 ・近年では、ドイツ等

の確保と職業訓練の充 人口の増大が教育制度 への取組が、緊急の課 「勤労者職業訓練促進 期的には外国人労働者 技能を重視する伝統の

実が今後の主要な課題 改革への大きな圧力と 題となっている。 法」のもとで実施され を減らすことを目指し ある国の人材開発に倣

とされている。 なった。 ている。 ており、自国民を労働 う動きも活発になって

力として最大限に活か きている。

していくことが不可欠

な課題である。

人材養成政策の ・2000年6月27日、労 ・80年代末以降、経済 ・政府は経済成長と教 ・国の政策として重点 ・ 勤労者職業訓練促 ・1999年8月31日、21 ・マレイシアが2020年「

目標 働力投資法( )の 発展に対応し、これに 育の成果を強く結びつ 的に「2000年までに路 進法」に述べられてい 世紀に向けた新たな人 までに完全な先進工業WIA

規定に基づいて設置さ 資するための教育・訓 けて考えており、政府 線を敷き21世紀に成果 る原則は以下のとお 材開発の基本的な指針 国となることを目指し

れた21世紀人材委員会 練の必要性が重視され の教育政策では、①教 を具現できる人材」を り。 として、人材開発省が て策定した「ビジョン

が、今後の人材養成政 るようになっており、 育成果の向上、②教育 育てることを意識して ①労働者個人の希望、 設置した「人材21委員 2020」を踏まえて策定

策の指針となる報告書 ①教育課税の質の改 システムの見直し、③ いる。 適性及び能力に合うよ 会」によって 「マン された第1次国家開発、

を提出し、その中で、 善、②教育・訓練への 社会政策及び労働市場 ・2001年3月5日から うに職業に従事する全 パワー21」計画が策定 計画(計画期間1990~

21世紀のハイテク分野 参加率の向上、③産業 政策と教育政策との連 開催された「第9期全 期間にわたって段階 された。 2000年)において、

に対応した高技能労働 界のニーズの反映と関 携を目指している。 国人民代表大会(全人 的、体系的に実施する ・同計画によって実施 ①教育訓練を通した人

者を養成確保するた 与の強化、④失業者等 ・2000年12月に改正さ 大 」において、科学 こと されている事業の概略 種間の所得、雇用の不)

め、あらゆる階層の指 への訓練機会の提供が れた 2000年の教育法 技術・教育による国家 ②企業等民間の自立と は、①生涯学習財団基 平等の是正、②企業内「 」

導者が適用できる9つ 戦略となってきた。 では、①教育審議会の 振興の戦略の実行、人 創意が尊重され、また 金の新設、②国家技能 訓練の促進による労働

の成功の鍵を提言し ・96年からのハワード 設置による教師の能力 的資源の大いなる開発 職業教育訓練が必要な 認定システム(Natio 者の再訓練の強化、等

た。 政権下では、さらに失 維持及び教育の質の向 という重点課題につい 労働者に対して均等な -nal Skill Recogni が謳われている。

・1998年、連邦の職業 業者に対する支援策を 上への取り組み、②職 て 「第十次5カ年計 機会が保障されること -tion System:NSRS) ・上記計画に沿って策、

訓練や教育などの能力 見直し、就労インセン 業教育制度審議会を設 画綱要に関する報告」 ③学校教育及び産業社 の新設、③技能開発基 定されたマレイシアの

開発プログラムを整理 ティブを高めるための 置して教育訓練機関の が発表された。 会との密接な関連を保 金(Skills Develop 経済運営の長期計画で

統合し、より活用しや 雇用政策を重視し、学 質及び管理運営の強化 ・2000年12月に開催さ つこと -ment Fund:SDF)の ある第7次マレイシア

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アメリカ オーストラリア ニュージーランド 中 国 韓 国 シンガポール マレイシア

すいものとするため 校教育と職場での職業 等が盛り込まれた。 れた「全国労働保障工 見直し、④雇用及び訓 計画においては、人的

に、労働力投資法が成 教育との連携の強化、 ・ 1992年産業別訓練 作会議」において、就 練機回答の情報を1ヶ 資源開発は重要課題と「

立した。 教育訓練プログラムの 法」により 「産業に 業・再就職業務並びに 所で提供する、ワン・ 位置づけられており、、

地域における企業との よって産業のために作 職業訓練及び再就職訓 ストップ・キャリア・ 教育訓練施設の拡充整

関係の強化等を実施し られた訓練」の原則に 練の強化を内容とする センターの新設、⑤外 備等に財政的に高い優

ている。 基づき、各産業が産業 2001年労働保障事業目 国人のシンガポールで 先度を付与している。

別訓練機関を設立し、 標を提示している。 の教育・就労機会に関 ・2000年3月8日、第

必要な訓練プログラム する施設である、コン 2回世界・知識会議に

の開発、実施及び管理 タクト・シンガポール おいて「知識型経済

を行うことになってい センターの拡充、とな (K-Economy)マスタ

る。 っている。 ープラン」が明らかに

され、 を中心に据えIT

た改革を実行していく

ことを表明した。

教育制度の概要 ・州及び学区により、 ・初等・中等教育につ ・初等・中等教育は5 ・学校体系は、初等教 ・学校教育制度では、 ・小学校は6年制、中 ・学校制度は大きく分

様々なタイプの初等学 いては、各州が管轄し ~15歳までの11年間で 育・中等教育・高等教 初等学校、中学校、高 学校は4年又は5年制 類すれば初等教育、中

校及び中等学校が設置 ているため、州によっ ある。 育の3層からなり、学 等学校 大学と続く 6 であり、中学校卒業後 等教育、高等教育の3、 「

されている。教育年限 て若干異なるものの概 ・高等教育機関として 前教育に当たる幼稚園 -3-3-4制」を採ってい は2年制のジュニアカ 段階に分かれている。

は概ね12年間である。 ね12年間である。 は、国立の大学、ポリ 等のあと、初等教育を る。 レッジ、3年制のポリ また、後期中等教育以

・高等教育について ・最近の改革により後 テクニク及び教育単科 小学校にて、中等教育 ・急速な産業発展を遂 テクニック及び1~3 後、普通教育と職業教

は、一般に全国共通の 期中等教育で在学中に 大学のほか、政府が経 を初級中学と高等中 げる中で技術者に対す 年の職業訓練等の進路 育に分化している。

制度が確立している。 職業教育・訓練 VET 費を援助している民間 学、高等教育を大学等 る需要増加に対処する に分かれる。 ・学校から職業への移( )

・成人教育について プログラムを受講する の教育訓練機関があ で行う。教育年限は概 ため、確固とした理論 ・2000年10月、義務教 行としては、技術教育

は、全米に約1,000校 ようになっている。 る。 ね12年間である。 と技能の基礎を有する 育を導入するための法 学校及び職業教育学

あるコミュニティ・カ ・高等教育は、大学を ・高等教育機関で取得 ・職業中学・農業中学 中堅技術者を育成する 案が成立し、1996年1 校、技術短期大学など

レッジがある。 中心に、技術・継続教 できる資格のうち、修 及び技術労働者学校等 ことを目的として設置 月以降に生まれた全て での技術・技能の習得

・1994年5月、学校か 育機関(Technical and 士及び博士について の職業訓練を目的とし されている 専門大学 の児童に対し、7歳か のほか、卒業後も人材「 」

ら職業への移行に関し Further Education: は、取得できるのは大 た学校のほとんどが、 や、すでに就職してい ら6年間の義務教育を 資源省開発局傘下の産

て 「学校から職業へ TAFE)と呼ばれる公立 学及び大学院に限られ 学校教育制度の中に組 る者がより高度な教育 を受けさせなければな 業訓練専門学校での技、

の機会法 が制定され の高等専門教育機関及 るが、修了証及び専門 み込まれている。 を受けるための「技能 らないものとした。 能開発や日本・マレイ」 、

同法に基づいて労働省 び私立の専門学校で実 資格( )等の ・成人対象の成人高等 大学」等がある。 ・1997年 「教育分野 シア技術学院での技術Diploma 、

と教育省の共同プログ 施している。 その他の資格はポリテ 学校や成人中等学校、 ・ 平生教育法」によ における マスター 習得、また、指導員・「 IT

ラムが実施された。 ・87年に高等教育の全 クニクや民間高等教育 過去に初等教育を受け り生涯教育も実施され プラン」を策定し、 上級技能訓練センター

国統一制度が導入さ 機関等でも取得するこ る機会を得られなかっ ている。 1997年から1001年まで での職業訓練指導員の

れ、高等教育機関の統 とが可能である。 た成人のための成人初 の5年間で、当計画に 育成等が行われてい

合が進められる一方で 等学校がある。 沿ってコンピューター る。

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個々の機関の裁量権が 関連施設の整備等を実

拡大した。 施することとしてい

る。

・技術短大、大学では

IT技術者の教育に力を

入れており、独自のプ

ログラムを作成してい

る。

職業能力開発制度 ・1998年に制定された ・様々な教育・訓練機 ・義務教育後の教育・ ・職業教育法により、 ・1991年から施行され ・1992年、シンガポー ・人的資源省傘下の国

の概要 労働力投資法に基づい 関で幅広く職業能力開 訓練システムでは、政 職業訓練の内容は雇用 ている勤労者職業訓練 ルの労働力向上ひいて 家職業訓練審議会では

て、職業訓練協力法に 発が行われている。 策目標として普通教育 前訓練、転職訓練、徒 促進法により、現在の は国際競争力の強化を 技能基準を設定し、技

よるプログラムの他、 ・実践的な専門教育は と職業教育が統合され 弟(見習い)訓練、職 職業訓練制度は、労働 めざして、職業訓練・ 能証明制度を行い、一

成人教育及び読み書き 職業教育訓練(Vocati ていることが特徴であ 場移動訓練及びその他 部長官が指定する施設 教育関連の事業を行う 方、人的職業訓練審議

プログラム、職業リハ -onal Education and る。従って、独立した の訓練に分けられる。 等に係る訓練基準によ 機関として「技術教育 会では1992年の人的資

ビリテーション・プロ Training:VET)と呼 職業能力開発制度はな ・職業技能基準によ り実施される基準訓練 機構(Institute of 源開発法に基づき、事

グラムが統合されるこ ばれる技術・継続教育 く、様々な教育訓練機 り、訓練レベルはそれ とそれ以外の基準外訓 Technical Education: 業主から人的資源開発

ととなった。 機関(TAFE)と私立の 関において職業教育訓 ぞれ初級、中級、上級 練の2つに大きく分け ITE 」が設立された。 金を徴収するととも)

・雇用、教育及び訓練 専門学校を中心に実施 練が実施されている。 の職業訓練、技師及び られる。また、その訓 ・主な事業内容とし に、事業主に対し、従

に関する情報提供と職 している。 ・公共高等・職業教育 上級技術者訓練、その 練内容から、それぞれ て、入職前の職業教育 業員の訓練経費の一部

業紹介等、雇用に関係 ・VETでは訓練の内容 機関(public Tertiary 他の適用訓練に分けら 養成訓練、向上訓練、 及び訓練、既に働いて 負担として助成金を交

するサービスを一カ所 に応じて修了の資格が EducationInstitu れる。 転職訓練の3区分に分 いる成人を対象とした 付し、事業所内訓練を

で得られるようにする 与えられる。 -tions:TEI は 大学 ・各訓練プログラムは けられる。 在職者訓練、学生、労 推進している。) 、 、

ワン・ストップ・キャ ・現政権により、労働 ポリテクニク、教育単 主に技術学校やその他 ・雇用保険制度に基づ 働者に対する資格付与 ・現在14校の産業訓練

リア・センターを各地 市場に新規に参入する 科大及びマオリ人向け の職業訓練実施機関に いて、事業主や労働者 及び公的職業試験の実 専門校において、技能

に整備(全国で800ヶ 若年者を対象にOJTと のワナンガの4種類で より行われる。 に助成金を支給する職 施が挙げられる。 証明書の資格所得を中

所)した。 Off-JTを組み合わせた ある。99年7月段階で ・企業等の出資による 業能力開発事業も実施 ・技術教育機構(Insti 心とした訓練を行って

・成人及び非自発的離 養成訓練・見習工 高等・職業教育機関で 各種訓練センターや訓 されている。 -tute of Technical いる。

職者の訓練に係る「個 (apprentice-ship) 学ぶ人の約9割がTEI 練施設でも、勤務上訓 ・1967年に国家技能資 Education:ITE)は、

人訓練勘定」が導入さ 制度は効果が高いと評 で学んでいる。 練やその他の訓練プロ 格試験が導入され、 企業や全国労働組合会

れ、これによって自ら 価され、97年に利用者 ・その他、民間が運営 グラムを実施してい 1973年に国家技能士資 議が主導する訓練の促

のニーズにあった訓練 のニーズに合わせて改 する民間教育訓練機関 る。 格法が制定されて以 進を目的に、各組織と

を購入することとされ 革がなされた。 (PrivateTraining 来、政府は国家技能資 の連携による教育訓練

た。 ・企業規模を問わず、 Establishments:PTE) 格を通じて個人の技能 を進めている。

・制度の運営は、各州 約9割の事業主が自ら があるが、近年、PTE 水準を検定し、その能 ・1998年11月1日、労

が設置した州及び地区 の費用負担によって、 の動きは多様化してお 力を認証している。 働者の雇用可能性向上

の労働力投資委員会が 雇用者に教育・訓練を り、99年には6つの のための全日制職業訓

行う。 提供している。 PTEが大学・大学院レ 練を提供している ブ、「

ベルの教育を提供して キ・メラ技能開発セン

いる。 ター」が開設された。

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アメリカ オーストラリア ニュージーランド 中 国 韓 国 シンガポール マレイシア

・ニュージーランドに

特徴的な訓練として産

業界がそれぞれ必要な

訓練プログラムの開

発、実施及び管理を行

う「産業別訓練」があ

る。

人材養成に係る最 ・2000年6月5日にア ・2000年4月より 産 ・近年、教育・訓練制 ・国家レベルでのハイ ・1996年6月 「情報 ・1992年 「 2000マ ・1996年、新たに 産IT IT IT、 、

近の重点施策 メリカ商務省より「デ 業関連の中小企業に対 度改革を通じて、労働 テク産業化事業の実 推進マスタープラン」 スタープラン」が発表 業を中心とするサービ

①IT関係の ジタルエコノミー する「IT産業強化スキ 者の技能を向上させて 施、ハイテク産業開発 が発表され、続けて翌 された。 ス・知識集約型産業を

重点施策 2000」が発表され、こ ーム」により支援を実 産業界のニーズに適合 区の設置、企業の発足 年には、当該プランを ・2000年3月4日、情 育成することを目標と

の中でIT労働者を供給 施している。 させる取組を積極的に を助ける施設や機関で 実施するための「情報 報通信開発局により し、マルチメディア技

するための官民両部門 ・2001年1月に新しい 実施。 あるインキュベーター 促進のためのアクショ 「インフォコム・21・ 術を活用した都市開発

での取組みが紹介さ イノベーション行動計 ・2001年3月に「知識 の設置、研究者の意欲 ンプラン」が策定され マスタープラン」が発 を行うための「マルチ

れ、 職業訓練の取組 画「オーストラリアの 型経済に向けた技能」 向上政策、国家研究機 た。 表された。 メディア・スーパー・IT

みについても触れられ 能力向上」を発表し、 と題する報告書を発表 関の体制改革等を実施 ・1993年、政府が上記 コリドー計画」が発表

ているところ、政府部 1.外国人情報通信技術 し、産業別訓練制度の している。 プランを踏まえ、これ された。

門 民間部門を問わず 従事者の確保、2.重点 一層の発展のための方 ・2001年3月に開催さ までの情報化計画を統 ・マルチメディア・ス、 、

各機関が単独でまたは 分野を専攻する大学生 向性等について提案を れた第9期全国人民代 合し、韓国のデジタル ーパー・コリドー計画

密接に関係し合って様 の定員増加、3.主要研 行っている。 表大会において、 を 化の行動計画である の達成のためには、IT

々な取組みを行ってい 究施設への助成の拡大 幅広く応用し、情報化 「サイバーコリア21」 技術を有する人材をIT

る。 4.企業の研究開発への を促進するための重要 を策定し、2000年3月 確保することが必要で

・教育現場や訓練機関 優遇課税措置、5.研究 なプロジェクトを実施 にはこれを改訂した あるとの観点から、マ

における の導入が進 者への助成の拡大等を し、多分野における情 「新世紀に向けた情報 ルチメディア・スーパIT

んでいる。 実施することを目指し 報化を進めることを内 通信政策 を策定した ー・コリドーで就労す」 。

ている。 容とした「国民経済と ・2001年1月、2005年 る人材を養成すること

社会発展の第十次五カ までに大卒以上の情報 を目的として 「マル、

年計画概要に関する報 通信専門人材14万人を チメディア大学」が設

告」を発表した。 追加養成するとの「情 立された。

報通信専門人材養成化

計画」を発表した。

②その他の重点 ・技能者不足に対応す ・教育や職業訓練に就 ・都市部においては、 ・2001年7月 労働部 ・2000年9月5日、人 ・2000年3月8日に表、 、

施策 るため、国家産業技能 かず、フルタイムの仕 余剰人員である下崗労 財政経済部等関係17省 材開発省は国家技能認 明された「マスタープ

対策を実施。各年ごと 事にも就いていない状 働者に対する再就職の 庁は 「ITをはじめと 定制度(National ラン策定計画」の一部、

にターゲットとする分 況にある16~21歳の若 ための職業訓練がます する成長産業の支援等 Skill Recognition として、人材資源省は

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野を決め、政府と産業 年者を対象に従来の制 ます重要になってきて を通じた雇用創出 特 System:NSRS)の開始 同年6月7日、専門の」「

界の協力により、具体 度を改革した新アプレ おり、職業教育訓練セ に知識情報化社会に適 を発表した。 職業訓練校の設立を発

的な行動計画を策定し ンティスシップ制度 ンターによる訓練や失 合した職種と人材不足 ・2001年1月11日、人 表した。

て取り組んでいる。 (2000年法)を実施し 業手当の支給、再就職 職種に関する、失業者 材開発省は同省内に

・若年者の失業を解消 て、雇用に結びつける 促進事業等を実施して への職業訓練の実施」 「ワン・ストップ・キ

するため、養成訓練・ ための技能取得を援助 いる。 等を内容とする「2001 ャリア・センター」を

見習工制度の改革を始 している。 年総合失業対策」を発 設置した。

め、若年者向けの職業 ・マオリ人及び太平洋 表した。 ・ マンパワー21」計「

訓練対策を積極的に実 島嶼国出身者を対象に 画に生涯学習の重要性

施している。 就業のために技能取 が盛り込まれていたこ

得、技能取得の職業訓 とに対応し、2001年4

練を実施するプログラ 月より、生涯学習財団

ムを実施している。 基金の試行事業が開始

された。