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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志) HDD並行的企業結合 流れ(主なもののみ) H23-04-19 STX/SEC 欧州委に届出 H23-04-20 WD/HGST 欧州委に届出 H23-05-19 STX/SEC 公取委に届出 H23-05-30 欧州委priority決定・公表 H23-06-10 WD/HGST 公取委に届出 H23-06-17 STX/SEC 公取委・報告等要請 H23-07-04 WD/HGST 公取委・報告等要請 H23-07-05 WD/HGST STX/SEC 公取委・意見募集 H23-08-08 WD/HGST 欧州委のpriority決定の取消請求 H23-08-19 WD/HGST 欧州委Statement of Objections H23-08-26 WD/HGST 公取委に全ての報告等 公取委が事前通知期限とした日 H23-11-24 H23-10-19 STX/SEC 欧州委が無条件クリアランス H23-10-27 STX/SEC 公取委に全ての報告等 公取委が事前通知期限とした日 H24-01-25 H23-11-21 WD/HGST 公取委に変更報告書(問題解消措置) H23-11-23 WD/HGST 欧州委が問題解消措置付クリアランス H23-11-24 WD/HGST 公取委が問題解消措置付クリアランス H23-12-?? STX/SEC FTCが無条件クリアランス H23-12-12 STX/SEC MOFCOMが条件付クリアランス H23-12-15 STX/SEC 公取委が無条件クリアランス H23-12-28 WD/HGST STX/SEC 公取委・審査結果公表 H24-03-02 WD/HGST MOFCOMが条件付クリアランス H24-03-05 WD/HGST FTCが問題解消措置付クリアランス HDD A社=東芝 3社あれば弊害要件みたさない PC家電向け3.5インチ以外はこれでクリア PC家電向け3.5インチも問題解消措置後これでクリア 1

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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志)

HDD並行的企業結合 • 流れ(主なもののみ) • H23-04-19 STX/SEC 欧州委に届出 • H23-04-20 WD/HGST 欧州委に届出 • H23-05-19 STX/SEC 公取委に届出 • H23-05-30 欧州委priority決定・公表 • H23-06-10 WD/HGST 公取委に届出 • H23-06-17 STX/SEC 公取委・報告等要請 • H23-07-04 WD/HGST 公取委・報告等要請 • H23-07-05 WD/HGST STX/SEC 公取委・意見募集 • H23-08-08 WD/HGST 欧州委のpriority決定の取消請求 • H23-08-19 WD/HGST 欧州委Statement of Objections • H23-08-26 WD/HGST 公取委に全ての報告等 • 公取委が事前通知期限とした日 H23-11-24 • H23-10-19 STX/SEC 欧州委が無条件クリアランス • H23-10-27 STX/SEC 公取委に全ての報告等 • 公取委が事前通知期限とした日 H24-01-25 • H23-11-21 WD/HGST 公取委に変更報告書(問題解消措置) • H23-11-23 WD/HGST 欧州委が問題解消措置付クリアランス • H23-11-24 WD/HGST 公取委が問題解消措置付クリアランス • H23-12-?? STX/SEC FTCが無条件クリアランス • H23-12-12 STX/SEC MOFCOMが条件付クリアランス • H23-12-15 STX/SEC 公取委が無条件クリアランス • H23-12-28 WD/HGST STX/SEC 公取委・審査結果公表 • H24-03-02 WD/HGST MOFCOMが条件付クリアランス • H24-03-05 WD/HGST FTCが問題解消措置付クリアランス • HDD • A社=東芝 • 3社あれば弊害要件みたさない • PC家電向け3.5インチ以外はこれでクリア • PC家電向け3.5インチも問題解消措置後これでクリア

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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志)

• 問題解消措置でセーフハーバー該当(62頁) • もちろん本件(当時のこの業界)に特有の判断 • PC家電向け3.5インチ • 2×2=4回同じ内容の繰り返し(57~60頁) • 要するに、2社になるから弊害要件みたす • 2件について個別に判断(した形) • 各件ごとに単独行動と協調的行動を分けて記述 • 理論的には本来は厳密に区別する意味は

ないが日本を含む各国ガイドラインが区別して書いている。

• 並行したことについて • 一般的には難しい問題 • 2件実行後は弊害が起きるが1件問題解

消措置をとれば問題ない場合 • 公取委:2件実行後の状態を想定して審査 • 欧州委:届出の先後 • 先に届け出たものはその企業結合のみが

行われた状態を想定して審査 • 米国FTC:2件実行後の状態を想定して審査す

るが弊害への寄与度の大きいほうに問題解消措置を求める

• 後付け? • 公取委にWD/HGSTのみが問題解消措置を申し

出た経緯? • HDD部品 • 磁気ヘッド外販メーカー=TDK • 垂直型企業結合の観点 • 顧客閉鎖による上流市場競争者TDKの排除 • それによる下流市場競争者A社=東芝の排除 • 問題解消措置

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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志)

ブラウン管サムスンSDIマレーシア東京高裁判決 • 事例の概要 • カルテル対象商品=ブラウン管 • 東南アジア所在需要者側子会社(「現地製造子会社

等」)に供給 • 需要者側は完成品としてブラウン管テレビを製造 • 需要者側親会社が日本に所在(「我が国ブラウン管テ

レビ製造販売業者」) • 公取委命令 • H21-10-07 排除措置命令(全て)             課徴金納付命令(MTPDグループのみ) • H22-02-12 課徴金納付命令(それ以外) • 公取委審決H27-05-22 • 審決案→直接陳述H26-07-18→書き下ろし審決 • 3件(MTPDグループ、サムスン韓国、サムスンマレーシ

ア) • 「事業者が日本国外において独占禁止法第2条第6項に該当

する行為に及んだ場合であっても、少なくとも、一定の取引分野における競争が我が国に所在する需要者をめぐって行われるものであり、かつ、当該行為により一定の取引分野における競争が実質的に制限された場合には、同法第3条後段が適用されると解するのが相当である。」

• 我が国ブラウン管テレビ製造販売業者が、「自社グループが行うブラウン管テレビに係る事業を統括するなどしていたことが認められる。」。

• 我が国ブラウン管テレビ製造販売業者が供給者側と「交渉し、本件ブラウン管の購入先及び本件ブラウン管の購入価格、購入数量等の重要な取引条件を決定した上で、現地製造子会社等に対して上記決定に沿った購入を指示して、本件ブラウン管を購入させていたことが認められ、我が国ブラウン管テレビ製造販売業者による交渉・決定及びそれに基づく指示なくしては、現地

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製造子会社等が本件ブラウン管を購入し、受領することはできなかったといえる。」

• 「そうすると、直接に本件ブラウン管を購入し、商品の供給を受けていたのが現地製造子会社等であるとしても、我が国ブラウン管テレビ製造販売業者の果たしていた上記役割に照らせば、我が国ブラウン管テレビ製造販売業者と現地製造子会社等は一体不可分となって本件ブラウン管を購入していたということができる。」

• 「購入先や重要な取引条件の決定者である我が国ブラウン管テレビ製造販売業者は、11社に対し、そのような競争を期待し得る地位にあったということができる。」

• 「これらの点を考慮すれば、我が国ブラウン管テレビ製造販売業者は本件ブラウン管の需要者に該当するものであり、本件ブラウン管の販売分野における競争は、主として我が国に所在する需要者をめぐって行われるものであったということができる。」

• 3件とも審決取消請求 • 整理 • 条文 • 2条6項(不当な取引制限の定義)の解釈問題 • 審決は「3条後段」を論ずるようにみえるが言

い回しの問題であり同じ。 • 7条の2第1項の「当該商品又は役務」とは、価格に

関する合意(であって不当な取引制限という法的評価を受けた部分)が対象とする商品役務。

• 違反だが課徴金の対象としない、ということは現行法ではできない。課徴金の対象としないためには、違反という法的評価をする合意の範囲を狭める。

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• マリンホース公取委命令(H20-02-20):認定した合意の一部のみを違反とした事例

• 完成品(ブラウン管テレビ)の流入は認定しておらず、日本親会社を【ブラウン管】の需要者と位置付けた。

• 意思決定説と商品受領説 • 東京高裁判決 • 3件が、異なる裁判体に係属 • 本件H28-01-29 • MTPDグループH28-04-13予定 • サムスン韓国H28-04-22予定 • 本判決の内容 • 「そうすると、本件合意は、正に本件ブラウン管の購

入先及び本件ブラウン管の購入価格、購入数量等の重要な取引条件について実質的決定をする我が国ブラウン管テレビ製造販売業者を対象にするものであり、本件合意に基づいて、我が国に所在する我が国ブラウン管テレビ製造販売業者との間で行われる本件交渉等における自由競争を制限するという実行行為が行われたのであるから、これに対して我が国の独占禁止法を適用することができることは明らかである。」(62頁)

• 「効果主義」は無関係(63頁) • EU法・米国事例への言及(63頁~64頁) • 内在的検討 • 本件のブラウン管カルテルは、我が国ブラウン管テレ

ビ製造販売業者を「対象」。 • 完成品(ブラウン管テレビ)でなくカルテル対

象商品=部品=ブラウン管に着目。 • 行為が日本にある、という理由付けはしていな

い。 • 効果主義は無関係、とする段落は、効果主義そ

のもの。

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• 米国・EU事例のなかでの位置付け • Motorola v. AU Optronics, 7th Cir., amended in 2015

(Posner) • Category 1 • もちろん米国法の問題とできる • Category 2 • 完成品流入に着目して米国法違反となる余地を

残しつつ(司法省に配慮) • Motorolaの主張は斥ける(主に間接購入者論) • Category 3 • もちろん米国法の問題とできない •

United States v. Hsiung (AUO Criminal), 9th Cir., amended in 2015

• Category 1 • もちろん米国法の問題とできる • Category 2 • 「米国親会社が交渉」だけでは米国法違反とは

いえず、 • 総合考慮でもちろん米国法の問題とできる(主

に完成品流入に着目) • Category 3 • (話題になっていない)

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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志)

• InnoLux v. Commission (Court of Justice, 2015) • Category 1(同判決での第1カテゴリーと第2カテゴ

リー) • 課徴金対象 → 判決も是認 • Category 2(同判決での第3カテゴリー) • 上記だけで抑止に十分なので課徴金対象としな

い(裁量) • Category 3 • (話題になっていない) • 本件審決・本判決を念頭に置いた分析 • 本件審決・本判決は、日本親会社がブラウン管に係る

「交渉・指示」をしていることに着目。 • 完成品の日本への流入を認定していない。その

意味で、本件はCategory 3。(Category 2で「交渉・指示」に着目した、と言っても同じ)

• 上記の米国・EU事例は、自国親会社の「交渉・指示」を根拠として自国法を適用したものではない。

• 「相いれないものではない」(64頁) • Motorola判決は、損害賠償事件であり間

接購入者論を根拠にして斥けたのだから、そこだけ見れば本件と矛盾しないのは当たり前。

• 重要なのは、Motorola判決が米国法違反の余地を(当局のために)残すときにどのような論法を用いたか、である。本件審決・本判決のような「交渉・指示」論は斥けている。完成品の流入が根拠。

• EUの「implementation」理論は、EU(EEA)所在需要者に対して商品を引き渡すことを当然の前提として「implementation」と呼んでいる。EU(EEA)所在親会社と交渉したことを「implementation」と呼んだ事例は見当たらない。

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2016-02-17公正取引協会セミナー(白石忠志)

• 考慮すべき点 • 自国が適用範囲を拡張していると、他国が適用範囲を拡張し

たときに説得力のある反論はできない。 • 同じ理論を企業結合規制にも当てはめると、影響は相当に大

きいのではないか。 • 違反の範囲を広げておいて裁量で狭める、という方法はあり

得るが(「東南アジア当局は本件を取り上げていない」論)、裁量を一律に認めない領域(違反でない領域)の確保も重要ではないか。

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白石先生から、HDD 並行的企業結合及びブラウン管サムスン SDI

マレーシア東京高裁判決について、それぞれレジュメに基づき説明

が行われた後、概要以下のとおり、議論が行われた。

● 早く企業結合を実行したい側が、急ぐために公取委の要求を聞き

入れやすいということが、一般論としては、あるかもしれない。

それから、後からの届出が、先の届出の直後か、ある程度の期間

後かによって結論が変わるのだとすれば、おかしいのではないか。

結合が、1位3位と2位4位での並行の場合と、1 位4位と2

位3位の並行の場合とで、どちらの弊害が大きいかという基準は

あるのか。

本件で、HDD 部品に関し、垂直的な結合が水平的な影響を与え

ることをあえて記載したのはなぜか。

● 先に届け出た事業者からすれば、後から別の届出が行われること

により、計画した結合が破談になるなど、予測可能性がなくなっ

てしまうという問題があるのではないか。

● 先にすべての書類を提出すると先に措置をとらなければならなく

なるという制度でよいのか疑問がある。

3.5インチについては、協調的行動がかなり問題となっている

ところ、最近の製紙業界の事例では、公取発表文に、かねてから

の業界の協調体質について記載されていたが、本件では単にそれ

ぞれのシェアが約50%となることを捉えていることが特徴と言

えるのではないか。

ユーザーから見て、供給先が2社しかなく、取引先以外の残りの

1社にもシェアを取りに行く気がないということが問題なのでは

ないか。

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〇 先に届け出た方が、予測可能性がないとか、先に措置をとらな

ければならないといった面は、確かにあろう。先か後かという点

からみれば、公取がどの程度前から、将来の結合の予定の届出を

受け付けるかといったことも問題となるかもしれない。

並行事案の場合に米国 FTCは、弊害への寄与度が大きい方に問題

解消措置を求めるとして、本件ではきれいに当てはまっているが、

一般的に米国 FTC の理屈どおりに解決できる事案ばかりではない

であろう。

両社のシェアが約50%となることが協調体質の理由付けとな

っている点は、興味深いと言えよう。

部品の話が出てきていることにより、結果として本件結合の影響

の大きさが説明されていると言えるかもしれない。

● 日本の独禁法の条文によれば、30日が経過してしまえば、独禁

法上の判断が出ていなくても企業結合は実行可能なのであるから、

「こととなる」の主体は、後から届け出た事業者ということには

ならないか。

〇 日本の独禁法上も、70条の4にあるとおり、緊急停止命令も

可能であり、必ずしも「やった者勝ち」とはならないのではない

か。

● 緊急停止命令で負けてしまう方が企業にとってダメージが大きい

ので、普通の企業であれば、そのようなリスクをとってまで、結

合を強行せずに、事前審査を受けるのではないか。

2 ブラウン管サムスン SDIマレーシア東京高裁判決

● 商品の取引は海外子会社が行っているので、それを需要者とみな

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いというのは、しっくり来ない。また、課徴金が海外での取引に

かかってくるのは不合理ではないか。

管轄権についてどのような考え方をとるか、ある程度、国際ルー

ルに則って、明らかにすべきではないか。

〇 判決としては、自国所在親会社を対象としたカルテルであると

いう論理を用いている。

● 誰を保護するかという点について、本件では消費者ではなく、日

本の電器メーカーを何とかしてやろうという政策的配慮が多少は

あったのではないか。

〇 日本の親会社への影響も確かにないわけではないが、それで十

分なのかという点が議論であろう。

● 本判決は、管轄権を広げることにより、海外当局が日本企業に各

国の独禁法を適用することへの警戒感が薄い。日本の親会社が交

渉にしゃしゃり出てきた場合、世界中の商行為が日本の独禁法の

対象となってしまうことになるが、この論理では、外国企業が交

渉に出てきたときに、海外の当局も適用範囲を広げることとなる。

また、本判決の論理では、親子関係になくても、サプライチェー

ンに入っていれば、交渉しただけで適用対象となってしまう余地

が出てくるのではないか。

● 「一定の取引分野」の画定方法が、シール談合判決の考え方によ

っている。カルテル事案において間で誰かが関与するということ

まで想定していなかったので、若干のズレがあると思われる。

需要者が誰であるかをみる際には、損害の発生、リスクを誰が負

っているかで判断するべきではないか。損害、リスクを本社に負

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わせないために子会社を設立しているのではないか。

課徴金については、機械保険判決と同様に、形式的に判断すべき

としている点に、問題がある。

● 本件では、属地主義的に、交渉という実行行為がどこで行われた

かということを言いたかったのではないか。独禁法の条文の解釈

を離れて、国際法的にどう考えるかということによってしまって

いる。

● 原告が、管轄権の問題と需要者の問題と二段構えの主張を行って

いるにもかかわらず、判決では、管轄権の問題がメインで需要者

の問題は付け足しのようになっているように見える。

〇 判決文には、属地主義的な風味があるようにも見えなくはない

が、日本の親会社が海外で交渉した場合まで対象となると読める

内容となっており、交渉が日本で行われたことを根拠としている

わけではない。