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ボード線図のしくみ
浅井 徹 (名古屋大学)
2019/7/24
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
内容
1 制御系設計の実際2 ボード線図のからくり3 ボード線図上での「部品」の足し算
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
周波数伝達関数で見たフィードバック制御系
P(s) � y�� � K (s) ��r
−
制御系設計 ≈ コントローラの周波数伝達関数を決める
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
典型的な K (jω)
10-5
100
105
1010
-40
0
40
80
120
160
Gain
10-5
100
105
1010
-90
0
90
180
Phase
目標に迅速に追従するように,低い周波数でゲインを大きくノイズなどに反応しないように,高い周波数でゲインを小さく安定になるように中間の周波数で位相を進ませる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
周波数伝達関数で見たフィードバック制御系
P(s) � y�� � K (s) ��r
−
制御系設計 ≈ コントローラの周波数伝達関数を決めるただし,実現できるのは伝達関数
K (s) =7.59× 107(s + 3)(s2 + 0.6s + 1)
s (s + 8240)(s + 170)(s + 85.0)
極,零点,定数倍ゲインの個数・値を決める
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系の特性を決めるのは一巡伝達関数
P(s) � y�� � K (s) ��r
−
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系の特性を決めるのは一巡伝達関数
P(s) �� K (s) �
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系の特性を決めるのは一巡伝達関数
P(s) �� K (s) �e y
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系の特性を決めるのは一巡伝達関数
P(s) �� K (s) �e y
e から y までの周波数伝達関数
Y (s) = P(s)K (s)E (s)
実際の設計
P(s) に極・零点を追加,定数ゲインを変更追加した極・零点や定数ゲインを集めて K (s) とする
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
設計操作の例:P(s) = s+1s(s+2)
極(−p)の追加:
P(s)→ s + 1
s(s + 2)(s + p)= P(s) · 1
s + p
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
設計操作の例:P(s) = s+1s(s+2)
極(−p)の追加: 1s+pをかける
P(s)→ s + 1
s(s + 2)(s + p)= P(s) · 1
s + p
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
設計操作の例:P(s) = s+1s(s+2)
極(−p)の追加: 1s+pをかける
P(s)→ s + 1
s(s + 2)(s + p)= P(s) · 1
s + p
零点(−z)の追加:
P(s)→ (s + 1)(s + z)
s(s + 2)= P(s) · (s + z)
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
設計操作の例:P(s) = s+1s(s+2)
極(−p)の追加: 1s+pをかける
P(s)→ s + 1
s(s + 2)(s + p)= P(s) · 1
s + p
零点(−z)の追加:s + z をかける
P(s)→ (s + 1)(s + z)
s(s + 2)= P(s) · (s + z)
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系設計の自由度
P(s)→ P(s) · 1
s + p, P(s) · (s + z)
P(jω)K (jω) のゲイン,位相は好き勝手には変えられない
極・零点という単位でしか変えられないゲインと位相が連動して変わる
追加する極・零点と結果の P(jω)K (jω) の関係がひと目でわかるようにしたい図を活用する関係をつかめる図を考える
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
内容
1 制御系設計の実際2 ボード線図のからくり3 ボード線図上での「部品」の足し算
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
周波数応答の図ベクトル軌跡 ボード線図
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
−0.5
−0.4
−0.3
−0.2
−0.1
0
0.1
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
主に理論的な解析に用いられる
主に実際的な解析・設計で用いられる
グラフと −1との関係が重要
グラフが示す量の大小が重要
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
周波数応答の図ベクトル軌跡 ボード線図
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
−0.5
−0.4
−0.3
−0.2
−0.1
0
0.1
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
主に理論的な解析に用いられる
主に実際的な解析・設計で用いられる
グラフと −1との関係が重要
グラフが示す量の大小が重要
設計変数との関係がわかりやすい
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
周波数応答の図ベクトル軌跡 ボード線図
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
−0.5
−0.4
−0.3
−0.2
−0.1
0
0.1
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
主に理論的な解析に用いられる
主に実際的な解析・設計で用いられる
グラフと −1との関係が重要
グラフが示す量の大小が重要
設計変数との関係がわかりやすい
理論的な結果 −→ 応用浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
基本的なアイデア
極・零点の追加
P(s) · 1
s + p, P(s) · (s + z)
関数のかけ算の結果をイメージするのは難しい
f (x) g(x),(x2 + x − 1) (x3 − 3x + 1)
足し算で考えたいf (x) + g(x),(x2 + x − 1) + (x3 − 3x + 1)
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
かけ算から足し算へ:対数を考える
logP(s) · (s + z) = logP(s) + log(s + z)
logP(s) · 1
s + p= logP(s) + log
1
s + p
かけ算が足し算になる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
かけ算から足し算へ:対数を考える
logP(s) · (s + z) = logP(s) + log(s + z)
logP(s) · 1
s + p= logP(s) + log
1
s + p
= logP(s)− log(s + p)
かけ算が足し算になる極と零点では加減が逆になる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
かけ算から足し算へ:対数を考える
logP(s) · (s + z) = logP(s) + log(s + z)
logP(s) · 1
s + p= logP(s) + log
1
s + p
= logP(s)− log(s + p)
logP(s) · (s + z)
(s + p1)(s + p2)
= logP(s) + log(s + z) + log1
s + p1+ log
1
s + p2
かけ算が足し算になる極と零点では加減が逆になる
複数の極,零点のかけ算は個別の足し算の総和になる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
log をとった後のものを図示
P(s) に K (s) をかけた場合
logP(s)K (s) = logP(s) + logK (s)
周波数伝達関数の場合も
logP(jω)K (jω) = logP(jω) + logK (jω)
足し算を図で考えたいが logP(jω)K (jω) は複素数
例: P(s)K (s) =1
s + 1⇒ P(jω)K (jω) =
1
jω + 1
まずは一般の複素数 Z に対して logZ の図示を考える実部,虚部に分けてみる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
log Z の実部と虚部
複素数 Z を極形式で表現すると
Z = |Z | e j∠Z
このとき
logZ = log(|Z |e j∠Z) = log |Z |+ log e j∠Z
= log |Z |+ j∠Z
log Z の実部は log |Z |log Z の虚部は ∠Z
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
logG (jω) の実部と虚部
Z = G (jω) とすると
logG (jω) = log |G (jω)|+ j∠G (jω)
実部は log |G (jω)|:ゲインの対数虚部は ∠G (jω):位相
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (jω) のボード線図
本質的には…
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
← log |G (jω)|logG (jω) の実部
← ∠G (jω)logG (jω) の虚部
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (jω) のボード線図
本質的には…
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
← log |G (jω)|logG (jω) の実部
← ∠G (jω)logG (jω) の虚部
理論的な意味は上記の通り
でも,実際のボード線図は微妙に違う
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
でも,微妙に違う
∠G (jω):ボード線図ではラジアンではなく「度」習慣的に使われている単位にあわせた
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
でも,微妙に違う
∠G (jω):ボード線図ではラジアンではなく「度」習慣的に使われている単位にあわせた
log |G (jω)|:ボード線図では対数の底は e ではなく 10
係数に 20 がついている
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
でも,微妙に違う
∠G (jω):ボード線図ではラジアンではなく「度」習慣的に使われている単位にあわせた
log |G (jω)|:ボード線図では対数の底は e ではなく 10
係数に 20 がついている
習慣的に使われている単位(dB)にあわせた
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
でも,微妙に違う
∠G (jω):ボード線図ではラジアンではなく「度」習慣的に使われている単位にあわせた
log |G (jω)|:ボード線図では対数の底は e ではなく 10
係数に 20 がついている
習慣的に使われている単位(dB)にあわせた
dB(デシベル)は B(ベル)の 110
dL と同じ d, 110の意味
cm の c は 1100,mm の m(ミリ)は 1
1000
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
でも,微妙に違う
∠G (jω):ボード線図ではラジアンではなく「度」習慣的に使われている単位にあわせた
log |G (jω)|:ボード線図では対数の底は e ではなく 10
係数に 20 がついている
習慣的に使われている単位(dB)にあわせた
dB(デシベル)は B(ベル)の 110
dL と同じ d, 110の意味
cm の c は 1100,mm の m(ミリ)は 1
1000
B(ベル)って何?
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワー(電力)の比の単位
AlexanderGraham Bell
パワーの比の常用対数 log10P2
P1
単位はベル(B),底は 10
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワー(電力)の比の単位
AlexanderGraham Bell
パワーの比の常用対数 log10P2
P1
単位はベル(B),底は 10単位が若干大きい
P2
P1= 2 のとき log10 2 ≈ 0.3 [B]
整数のレベルの値にしたい(cmを使うのと同じ)
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワー(電力)の比の単位
AlexanderGraham Bell
パワーの比の常用対数 log10P2
P1
単位はベル(B),底は 10単位が若干大きい
P2
P1= 2 のとき log10 2 ≈ 0.3 [B]
整数のレベルの値にしたい(cmを使うのと同じ)
B の 110の dB がよく使われる
log10P2
P1[B] は 10 log10
P2
P1[dB]
P2
P1= 2 は約 3 dB ≈ 10 log10 2
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワー(電力)の比の単位
AlexanderGraham Bell
パワーの比の常用対数 log10P2
P1
単位はベル(B),底は 10単位が若干大きい
P2
P1= 2 のとき log10 2 ≈ 0.3 [B]
整数のレベルの値にしたい(cmを使うのと同じ)
B の 110の dB がよく使われる
log10P2
P1[B] は 10 log10
P2
P1[dB]
P2
P1= 2 は約 3 dB ≈ 10 log10 2
騒音の dB は基準音圧(20μPa)と騒音の音圧との比の対数人間の音の大きさの感じ方に近いと言われている
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワーは電圧の 2 乗に比例:P = V 2
R
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワーは電圧の 2 乗に比例:P = V 2
R
dB を電圧比で計算すると
10 log10P2
P1=
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワーは電圧の 2 乗に比例:P = V 2
R
dB を電圧比で計算すると
10 log10P2
P1= 10 log10
V 22
V 21
= 10 log10
(V2
V1
)2
= 20 log10V2
V1
振幅比の dB は log10 の 20 倍になる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
パワーは電圧の 2 乗に比例:P = V 2
R
dB を電圧比で計算すると
10 log10P2
P1= 10 log10
V 22
V 21
= 10 log10
(V2
V1
)2
= 20 log10V2
V1
振幅比の dB は log10 の 20 倍になる
底の変換:20 log10V2
V1= 20
log V2
V1
log 10=
20
log 10log
V2
V1
dB は log を 20log 10
倍したもの
本質的には log と同じ,単位を換算しただけ
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (jω) のボード線図
結局は…
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
←20 log10 |G (jω)|logG (jω) の実部の単位を dB に換算したもの
←∠G (jω) [deg]logG (jω) の虚部の単位を deg に換算したもの
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (jω) のボード線図
結局は…
−40
−35
−30
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−2
10−1
100
101
102
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
←20 log10 |G (jω)|logG (jω) の実部の単位を dB に換算したもの
←∠G (jω) [deg]logG (jω) の虚部の単位を deg に換算したもの
ゲインの対数をとる理由はこれまでに説明した通り横軸はなぜ対数?
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
例:G (s) = 1s+1,横軸 ω そのものの場合
0 20 40 60 80 100-40
-20
0
20
Gain
0 20 40 60 80 100-135
-90
-45
0
45
Phase
低周波数の振舞いが見えないグラフの形の特徴をつかみにくい
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
例:G (s) = 1s+1,横軸 ω そのものの場合, 10
s+10
0 20 40 60 80 100-40
-20
0
20
Gain
0 20 40 60 80 100-135
-90
-45
0
45
Phase
低周波数の振舞いが見えないグラフの形の特徴をつかみにくい係数が変わったときのグラフを予想しにくい
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (s) = 1s+1:対数軸の場合
10-2
10-1
100
101
102
-40
-20
0
20
Gain
10-2
10-1
100
101
102
-135
-90
-45
0
45
Phase
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (s) = 1s+1:対数軸の場合
10-2
10-1
100
101
102
-40
-20
0
20
Gain
10-2
10-1
100
101
102
-135
-90
-45
0
45
Phase
ゲインは二直線の組み合わせで近似できる
位相はゲインほどではないが,3つの直線を組み合わせればおおよそ近似できる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
G (s) = 1s+1:対数軸の場合, 0.1
s+0.1= 1
10s+1
10-2
10-1
100
101
102
-40
-20
0
20
Gain
10-2
10-1
100
101
102
-135
-90
-45
0
45
Phase
ゲインは二直線の組み合わせで近似できる
位相はゲインほどではないが,3つの直線を組み合わせればおおよそ近似できる係数が変化すると横にシフトする,概形は変わらない
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
なぜグラフが直線的になる?
例:G (s) = 1s+1
M(ω) = 20 log10 |1
jω + 1| = 20 log10
1
|jω + 1|= −20 log10 |jω + 1|
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
なぜグラフが直線的になる?
例:G (s) = 1s+1
M(ω) = 20 log10 |1
jω + 1| = 20 log10
1
|jω + 1|= −20 log10 |jω + 1|
ω � 1 のとき M(ω) ≈ 20 log10 1 = 0
ω � 1 のとき M(ω) ≈ −20 log10 |jω| = −20 log10 ωどちらも log10 ω に関する直線
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
なぜグラフが直線的になる?
例:G (s) = 1s+1
M(ω) = 20 log10 |1
jω + 1| = 20 log10
1
|jω + 1|= −20 log10 |jω + 1|
ω � 1 のとき M(ω) ≈ 20 log10 1 = 0
ω � 1 のとき M(ω) ≈ −20 log10 |jω| = −20 log10 ωどちらも log10 ω に関する直線
例:G (s) = as+aの場合
M(ω) = 20 log10 a − 20 log10 |jω + a|ω � a で M(ω) ≈ 0
ω � a で M(ω) ≈ 20 log10 a − 20 log10 ω浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
対数軸と音の高さ
対数軸の導入は数学的な理由によるかもしれないが,結果的には広く受け入れられている人の感覚にあっている
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
対数軸と音の高さ
対数軸の導入は数学的な理由によるかもしれないが,結果的には広く受け入れられている人の感覚にあっている
例:ピアノの鍵盤は対数軸
� ω̂ = log ω
1オクターブ = 周波数2倍周波数が 2, 4, 8 倍になると鍵盤上の距離は 1, 2, 3
人間は周波数の対数で音の高さを感じる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
−25
−20
−15
−10
−5
0
Mag
nitu
de (
dB)
10−1
100
101
−90
−45
0
Phas
e (d
eg)
Bode Diagram
Frequency (rad/sec)
� � � � � � �
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図(制御理論)の汎用性
ボード線図人間の聴覚と(なぜか)相性がいい機械・電気などの制御にも使える
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図(制御理論)の汎用性
ボード線図人間の聴覚と(なぜか)相性がいい機械・電気などの制御にも使える
どれも動的システム音(空気中の波)機械(力学的)振動で放出(声帯,スピーカ)・補足(鼓膜,マイク)電気信号に変換(神経細胞の興奮,電磁誘導,圧電効果)電子回路・情報処理で加工(フィルタ,イコライザ)
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図(制御理論)の汎用性
ボード線図人間の聴覚と(なぜか)相性がいい機械・電気などの制御にも使える
どれも動的システム音(空気中の波)機械(力学的)振動で放出(声帯,スピーカ)・補足(鼓膜,マイク)電気信号に変換(神経細胞の興奮,電磁誘導,圧電効果)電子回路・情報処理で加工(フィルタ,イコライザ)
ボード線図(制御理論)は動的システムに共通する性質を捉えているので,どの分野にも幅広く適用できる
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
内容
1 制御系設計の実際2 ボード線図のからくり3 ボード線図上での「部品」の足し算
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系設計
K (s) に極・零点を追加していくことで,P(jω)K (jω)の特性を整形していく極・零点は制御系設計の「部品」s + z, 1
s+pを追加したときの変化を理解しておくこと
が重要
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
s+zz ,
ps+p のボード線図
z = 10,p = 10 の場合
10-1
100
101
102
103
-40
-20
0
20
40
Gain
10-1
100
101
102
103
-135
-90
-45
0
45
90
135
Phase
ω = p,ω = z 周辺で変化する極を追加するとゲインが小さくなり位相が遅れる零点を追加するとゲインが大きくなり位相が進む
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
制御系設計上の制約
10-1
100
101
102
103
-40
-20
0
20
40
Gain
10-1
100
101
102
103
-135
-90
-45
0
45
90
135
Phase
安定性のためには位相が進むと同時にゲインが小さくなると望ましいが,そのような部品は無いゲインは傾き(20dB/dec)を直線的に変化させるのみ位相は 90°単位でしか変えられない
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図上での極・零点の追加
P(s) = 1s2+0.6s+1
10-2
100
102
104
-120-100-80-60-40-20020
Gain
10-2
100
102
104
-270-225-180-135-90-45045
Phase
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図上での極・零点の追加
P(s) = 1s2+0.6s+1
10-2
100
102
104
-120-100-80-60-40-20020
Gain
10-2
100
102
104
-270-225-180-135-90-45045
Phase
極 10s+10
を追加した場合
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
ボード線図上での極・零点の追加
P(s) = 1s2+0.6s+1
10-2
100
102
104
-120-100-80-60-40-20020
Gain
10-2
100
102
104
-270-225-180-135-90-45045
Phase
極 10s+10
を追加した場合零点 s+10
10を追加した場合浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
典型的な設計例
P(s) = 1s2+0.6s+1
,K (s) = 7.59×107(s+3)(s2+0.6s+1)s (s+8240)(s+170)(s+85.0)
K (s)
10-5
100
105
1010
-40
0
40
80
120
160Gain
10-5
100
105
1010
-90
0
90
180
Phase
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
典型的な設計例
P(s) = 1s2+0.6s+1
,K (s) = 7.59×107(s+3)(s2+0.6s+1)s (s+8240)(s+170)(s+85.0)
P(s),P(s)K (s)
10-2
100
102
104
-120-100-80-60-40-200204060
Gain
10-2
100
102
104
-270-225-180-135-90-45045
Phase
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ
まとめ
ボード線図は制御系設計(実際は負帰還アンプ)を容易にするために考え出されたもの本質的には周波数伝達関数の対数の実部・虚部音の感じ方と相性がよいが,それだけでなく,線形動的システム一般に有効
浅井 徹 (名古屋大学) ボード線図のしくみ