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1/17 18 March 2011 作成日 2016 年 3 月 22 日 2015 2016F 2017F 時価 VND39,800 売上高成長率 19% 14% 13% 目標株価 VND46,000 EPS 成長率 -24% 28% 13% 前回の目標株価 VND44,000 売上総利益率 26.6% 26.7% 26.9% 純利益率 11.2% 14.8% 13.0% 目標株価までの上昇率 +15.5% (VND) 2015 2016F 2017F 配当利回り 5.1% EPS 2,573 3,734 3,702 株式投資収益率 +20.6% 配当 2,000 2,000 2,000 PER 13.9x 10.7x 10.8x テクニカル分析による中期傾向 上昇 業種 物流 下値抵抗線 VND43,000 時価総額 $215.0 mn GMD 同業他社 VN 指数 会社概要:創立以来 25 年間、GMD は堅調に業容 を拡大し、ベトナム最大の国内流通サービス事業 者の一社となり、流通バリューチェーンの全てにわ たって対応可能な屈指の国内企業に成長した。中 核事業である港湾運営と物流サービス以外に、同 社はゴム栽培と不動産プロジェクトに戦略的な投 資を行っている。 外国人保有率上限までの残り USD0 PER (実績) 11.6x 11.5x 11.9x 30 日間平均日次売買高 $0.288mn PER (予想) 0.9x 2.0x 1.6x 政府の保有率 0% 負債純資産比率 0.4x 0.4x N/A 発行済み株式数(百万株) 119.6 ROE 9.3% 19.0% 14.2% 完全希薄化後株式数(百万株) 166.0 ROA 5.5% 11.0% 5.5% *海外同業他社の指標は該当市場の平均値に調整済 *F は当社予想 ナムハイディンヴ(NHDV)港の拡大及び新物流センターの強化を背 景に、高成長を維持 当社は GMD の目標株価を 4.5%上方修正し、「買い」推奨を継続する。 高い稼働率で港湾事業の 2015 年営業収入は 55%増加し(当社の100%予測通り)、全体の売 上高及び粗利益率を牽引した。売上高が 18.9%増加する中、ナムハイディンヴ(NHDV)港の稼働 率が 92%へと急上昇、売上総利益率が上昇した。その結果、直近四半期の税引き後純利益 (NPAT)が急増し、当社予測の 99%を達成した。 2016 年、ナムハイディンヴ(NHDV)港は GMD が北部におけるコンテナ輸送ブームに乗るのに 寄与。ナムハイ新物流拠点の完成により、ナムハイディンヴ港は間もなく取扱能力を 30% 増の 60 万~65 万 TEU(20 フィートコンテナ換算個数)に高めることができる見込みである。これにより、 GMD はハイフォン港エリアにおける貨物取扱量の急増の機会を引き続き捉えることができるだろ う。VIP グリーン港と共に、ナムハイディンヴ港はカム川上流の港湾(バックダン(Bach Dang)橋 の建設により不都合が発生)から市場シェアを奪う可能性が高い。 昨年開業した新流通センターの運営強化は、物流バリューチェーン全体の関連サービスの成長 を促進。新流通センターの稼働率は低水準であった 2015 年の 50~60%から 70~100%に上昇し、 一方ハウザン物流センターは今年 8 月に開業する予定である。これはトラック輸送、船による 搬入及び配送等の統合物流サービスの需要を牽引するだろう。 高い成長見通し及び市場トップの座のために、GMD は同業他社を上回る評価プレミアムを正当 化できるだろう。時価 VND39,800 で、GMD は、年間予測 P/E10.7 倍(完全希薄化 EPS に基づく) で取引されているが、これは業界平均の 11.5 倍と比べて割安と見ている。次に挙げる理由で、 当社は、GMD は同業他社より 10%のプレミアムで取引されて然るべき、と考える。①GMD は港湾 から倉庫に至るまで取扱能力を拡大させる進行中のプロジェクトを持つベトナム唯一の港湾物流 事業者である。競争相手の DVP や CLL は中期的には成長余地がほとんどない。②GMD(及び 程度の差はあるが TMS)だけがベトナム市場でサード・パーティ・ロジスティク(3PL)サービスを提供す -20% 0% 20% 40% 60% Mar-15 Sep-15 Mar-16 GMD VN index ジェマデプト港湾海運(GMD)[BUY +20.6%] 更新版 本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・ コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。

ジェマデプト港湾海運(GMD [BUY +20.6%] - Capital...2016/03/22  · GMD は最近2015 年の業績を公表したが、それによると売上高(未監査)は前年比18.9%増の3

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    18 March 2011

    作成日 2016年 3月 22日 2015 2016F 2017F

    時価 VND39,800 売上高成長率 19% 14% 13%

    目標株価 VND46,000 EPS成長率 -24% 28% 13%

    前回の目標株価 VND44,000 売上総利益率 26.6% 26.7% 26.9%

    純利益率 11.2% 14.8% 13.0%

    目標株価までの上昇率 +15.5% (VND) 2015 2016F 2017F

    配当利回り 5.1% EPS 2,573 3,734 3,702

    株式投資収益率 +20.6% 配当 2,000 2,000 2,000

    PER 13.9x 10.7x 10.8x テクニカル分析による中期傾向 上昇

    業種 物流 下値抵抗線 VND43,000

    時価総額 $215.0 mn GMD 同業他社 VN指数 会社概要:創立以来 25 年間、GMD は堅調に業容

    を拡大し、ベトナム最大の国内流通サービス事業

    者の一社となり、流通バリューチェーンの全てにわ

    たって対応可能な屈指の国内企業に成長した。中

    核事業である港湾運営と物流サービス以外に、同

    社はゴム栽培と不動産プロジェクトに戦略的な投

    資を行っている。

    外国人保有率上限までの残り USD0 PER (実績) 11.6x 11.5x 11.9x

    30 日間平均日次売買高 $0.288mn PER (予想) 0.9x 2.0x 1.6x

    政府の保有率 0% 負債純資産比率 0.4x 0.4x N/A

    発行済み株式数(百万株) 119.6 ROE 9.3% 19.0% 14.2%

    完全希薄化後株式数(百万株) 166.0

    ROA 5.5% 11.0% 5.5%

    *海外同業他社の指標は該当市場の平均値に調整済

    *F は当社予想

    ナムハイディンヴ(NHDV)港の拡大及び新物流センターの強化を背

    景に、高成長を維持

    当社は GMD の目標株価を 4.5%上方修正し、「買い」推奨を継続する。

    高い稼働率で港湾事業の 2015 年営業収入は 55%増加し(当社の100%予測通り)、全体の売

    上高及び粗利益率を牽引した。売上高が 18.9%増加する中、ナムハイディンヴ(NHDV)港の稼働

    率が 92%へと急上昇、売上総利益率が上昇した。その結果、直近四半期の税引き後純利益

    (NPAT)が急増し、当社予測の 99%を達成した。

    2016 年、ナムハイディンヴ(NHDV)港は GMD が北部におけるコンテナ輸送ブームに乗るのに

    寄与。ナムハイ新物流拠点の完成により、ナムハイディンヴ港は間もなく取扱能力を 30% 増の

    60 万~65 万 TEU(20 フィートコンテナ換算個数)に高めることができる見込みである。これにより、

    GMD はハイフォン港エリアにおける貨物取扱量の急増の機会を引き続き捉えることができるだろ

    う。VIP グリーン港と共に、ナムハイディンヴ港はカム川上流の港湾(バックダン(Bach Dang)橋

    の建設により不都合が発生)から市場シェアを奪う可能性が高い。

    昨年開業した新流通センターの運営強化は、物流バリューチェーン全体の関連サービスの成長

    を促進。新流通センターの稼働率は低水準であった 2015 年の 50~60%から 70~100%に上昇し、

    一方ハウザン物流センターは今年 8 月に開業する予定である。これはトラック輸送、荷船による

    搬入及び配送等の統合物流サービスの需要を牽引するだろう。

    高い成長見通し及び市場トップの座のために、GMD は同業他社を上回る評価プレミアムを正当

    化できるだろう。時価 VND39,800 で、GMDは、年間予測 P/E10.7 倍(完全希薄化 EPS に基づく)

    で取引されているが、これは業界平均の 11.5 倍と比べて割安と見ている。次に挙げる理由で、

    当社は、GMD は同業他社より 10%のプレミアムで取引されて然るべき、と考える。①GMD は港湾

    から倉庫に至るまで取扱能力を拡大させる進行中のプロジェクトを持つベトナム唯一の港湾物流

    事業者である。競争相手の DVP や CLL は中期的には成長余地がほとんどない。②GMD(及び

    程度の差はあるが TMS)だけがベトナム市場でサード・パーティ・ロジスティク(3PL)サービスを提供す

    -20%

    0%

    20%

    40%

    60%

    Mar-15 Sep-15 Mar-16

    GMD VN index

    ジェマデプト港湾海運(GMD)[BUY +20.6%] 更新版

    本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・

    コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。

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    HOLD

    ることが出来る企業である。この分野は市場が成熟しサプライチェーンがより複雑になるにつれて、現在の

    低水準から今後は大幅に拡大すると思われる。

    2015年のまとめ:ナムハイディンヴ港は主な成長の原動力

    GMD は最近 2015 年の業績を公表したが、それによると売上高(未監査)は前年比 18.9%増の 3

    兆 5820 億ドン(1.61 億米ドル)となり、通年目標の 112%、当社予測を100%達成した。税引き前

    利益(EBT)は 5010 億ドン(2250 万米ドル)で前年比 28.6%減少したが、一方、経営陣の通年目標

    を 66.9%上回り、当社予測の 99%を達成した。

    図表 1:2015 年の売上高、売上総利益、営業利益及び中核税引き前利益

    出所:当社

    2015 年、GMD の北部港湾は主な成長の牽引役であり、韓国の提携会社 CJ へのジェマデプト・タ

    ワーの売却(2014年)によるオフィス賃貸事業の収入減を埋め合わせる。港湾事業の売上高は

    1 兆 6970 億ドン(約 7700 万米ドル)で前年比 55%増加したが、その内、ハイフォン市の港湾は港

    湾運営事業による売上高の約 67%を占め、極めて重要な役割を担った。中部及び南部の売上高

    が前年比僅か 8%の増加であったのに対し、北部港湾の売上高は前年比 39%増加した。

    図表 2:GMDの売上高の構成 図表 3:港湾事業の売上高の構成

    出所:当社 出所:当社

    ナムハイディンヴ(NHDV)港:2015年、同港の貨物取扱量は46万TEU(前年比+56%)を達成したが、稼働率は設計能力の92%となり2014年の56%を大きく上回った。この高い成長

    率の要因は以下の通りである。

    -

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    Revenue Gross profit Operating profit Core PBT

    2014 2015

    +105.5% +145.1%

    47%

    53%

    Port operation Logistics segment

    24.6%

    18.3% 48.9%

    8.2%

    Phuoc Long Port Nam Hai Port

    Nam Hai Dinh Vu Port Dung Quat Port

    +28.9%

    +52.5%

    売上高 売上総利益 営業利益 中核税引き前利益

    港湾 物流 フォックロング港 ナムハイ港

    NHDV港 ズンクワット港

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    HOLD

    1) 上流の小規模港湾がほとんどフル稼働している状況で、下流の港湾に入港する

    大型船舶数が予測を上回った。

    2) ハイフォン市における GMD の顧客基盤は、最大で且つ多様化している。CMA

    や Yang Ming、Maersk ライン等の従来からの顧客以外に、2015 年日本の TS ラ

    インズは GMDの最大顧客となった。

    3) バックダン橋の建設でカム川上流の港湾への入港が難しくなっている。

    4) ナムハイディンヴ港及び VIP グリーン港はハイフォン市で最も好立地の場所に

    あるため、国際船の荷主が燃料費や時間を大幅に節約できる。好立地であるた

    め、カム川上流に位置する他の港と違い、荷役費を引き下げなくても渡り合うこと

    ができる。ハイフォン市で 20 フィートの貨物専用コンテナに対する平均荷役費が

    約 36-40 米ドル/TEU であるのに対し、NHDV 港の荷役費はこれを 5%~10%上

    回ると考えられる。

    ナムハイ港:2015 年中、平均稼働率が 153%で安定したため、NHDV 港の運営開始で取

    扱貨物量が奪われるとの懸念が解消された。実のところ、この 2 つの港湾は異なる事業

    部門で運営されている;つまり NHDV 港が主にハイフォンと上海や釜山等アジア域内の

    大型ハブ港湾間ルートを航行する 2 万―3 万 DWTの大型船を入港させているのに対し、

    ナムハイ港は主にハイフォンと香港間の積み替えルートの 1 万 DWT 以下のフィーダー船

    だけを入港させている。

    フォックロング港及びズンクワット港:これらの港湾の売上高は合計 5570 億ドン(2500 万

    米ドル)で前年比 10%増加した。2015 年、ズンクワット港のバルク積み貨物取扱量は 150

    万トン(前年比+7%、稼働率 75%相当)で、フォックロング港の貨物取扱量は 48 万~49 万

    トン(同+9%、稼働率 98%相当)となった。ベトナム中部ではバルク積みやコンテナ貨物では

    なく石油・ガスを中心に取り扱っているため、ズンクワット港の 10%~11%という年間成長率

    は妥当な数字である。現在、同港経由で輸出されているバルク積み貨物のほとんどが北

    欧諸国への暖房用木材チップである。

    物流事業では、売上高の増加は緩やかであったがマージンは大幅に上昇。物流事業は売上高が

    1 兆 8910 億ドン(8600 万米ドル)となり前年比 1%と小幅に増加した。一方、売上総利益率(GPM)

    は 280bps 上昇し 13.5%に達した。売上総利益率が上昇した要因について経営陣は明確にしてい

    ないが、当社は 3PL サービス(GPM が 30%-40%)、トラック輸送及びコンテナ貨物ステーション

    (CFS)(GPM が 20%-25%)及び流通センター(DC)サービス(GPM が 10%-15%)の売上高全体への

    貢献が大きな役割を果たしたことが要因であると考えている。 他方、利益率が低い(GPM が 5%~

    8%)海運の物流事業売上高へ対する貢献度は 44%から 2015 年は 40%に僅かに低下した。

    NHDV 港の予測以上の高稼働率は売上総利益を牽引。2015 年の売上総利益は 9530 億ドン

    (4300 万米ドル)で前年比 53%増加し、粗利益率は 26.8%で、2014 年の 20.7%を上回った。総利益率

    の大幅な改善は、売上総利益全体の 74%を占める港湾事業の粗利益率が改善したことに起因し

    た。港湾事業の粗利益率は、ナムハイディンヴ港の高稼働率及び想定を上回る冷凍コンテナ量に

    より、2014 年の 36.5%から 41.5%に改善した。GMD の経営陣によると、NHDV 港の損益分岐稼働

    率は 50%ほどである。2015 年、NHDV 港における総取扱貨物量は 46 万 TEU で、これは 92%の稼

    働率に相当し昨年の 56%を大きく上回った。

    売上総利益の増加が、比較的高い業務レバレッジのために GMD の純利益率に過度に大きな影

    響を与えたことには、留意する必要がある。これは、利益成長の大部分は、物流事業と港湾事業

    の双方においてスケールメリットが反映された結果であることを意味している。

    冷凍コンテナサービスの異常なほどの急増もまた大きく貢献。2015 年 1‐9 月期に、ハイフォン港

    地区には 2000 隻以上の冷凍コンテナ船が入港したが、これは主にベトナムに海上輸送で一時的

    に輸入され、中国に陸路で再輸出される冷凍食品であった。2015 年の第 3 四半期、中国とベトナ

    ムの国境沿いにおける中国政府の監視強化はラオカイやランソン、モンカイの 3 主要通路の通関

    所要時間を長引かせ、その結果これらの冷凍コンテナ船での保管期間が長くなった。貨物取扱い

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    HOLD

    や電力供給などの冷凍コンテナサービスは特殊であるため、他の通常コンテナの取扱サービスよ

    り粗利益率が 50%ほど高くなることがある。これは一時的な現象であるとの見方もあるが、中国と

    のベトナムの間の南シナ海の紛争が緊迫するたびに、国境の監視強化の問題が再発することか

    ら、同様な状況は将来的にも繰り返される可能性があると当社は考えている。

    利益の減少は、昨年計上した多額のジェマデプト・タワー売却益の反動。損益計算書によると、

    2015 年の税引き前利益(PBT)は 5007 億ドン(2260 万米ドル)で、前年比 28.5%減少した。EBT の

    急減は、2014 年上半期にジェマデプト・タワーを保有する子会社のマープロコ(Marproco)の株式

    の 85%を提携先の CJ に売却し、一時的金融収益として 6170 億ドンを計上したことに起因した。

    この一時的収益を 2014 年の利益から取り除くと、2015 年の EBT は 2014 年比で 145%増加した。

    株主に帰属する税引き後純利益は 4000 億ドンに達し、1 株当たり EPSは 3370 ドンとなる。

    政府は外国直接投資(FDI)の増加によりハイフォン市を新しい製造・

    物流ハブとして開発することを計画

    ハイフォン市は北部における輸出入の総取扱貨物量の 90%以上を受け入れているが、今後も、米

    国、日本及び韓国系企業による中国からベトナムへの製造拠点移転の恩恵を受ける見込みであ

    る。2015 年、ハイフォン省地区での貨物取扱量は 375 万 TEU で、昨年比 12%増加したが、今後 5

    年間もハイフォン省・ バクニン省・ハイズオン省・ヴィンフック省・クアンニン省・フンイエン省・ハノイ

    市などの産業集積地に対する巨大な FDI 流入を背景に、12%~15%成長すると当社は見込んでい

    る。

    ハイフォンは次に挙げる理由により、地域の物流ホットスポットに迅速に発展し、今後 5 年間に取

    取扱貨物量が年率で 2 桁成長を達成すると考えている。

    道路システムが改善されている。輸出向け製造業をはじめ工業セクターにとって道路や橋、

    港湾等のインフラは極めて大事な要素である。北部(特にハイフォン市)に FDI を誘致する

    ために、政府はハノイ・ハイフォン高速道路を建設し、この道路はようやく 2015 年 12 月に

    開通した。これにより、ハノイ市からハイフォン市までの移動時間は 2 時間半から 1 時間

    半以下に短縮された。今後のプロジェクトで、この高速道路はハイフォン市とクアンニン省

    のハーロン・モンカイを結ぶ延伸工事が段階的に行われる予定である。ハイフォン・モンカ

    イ間の高速道路が完成すれば、陸上運輸及びベトナム・中国間の貿易取引の主要な牽引

    役となるだろう。

    政府は工業開発を支援している。ディンヴー・カットハイ経済圏(「ハイフォン・インタナショ

    ナル・ロジスティクス・ゲートウェイ・ポート」)は、政府が国際物流ゲートウェイの建設を計

    画している 2 つ経済圏の一つである。同経済圏の総面積は凡そ 2 万 2540 ヘクタールで、

    その内 7000 ヘクタール以上は工業開発の目的で使用される計画。

    サプライチェーンが中国周辺に再構築されているため、FDI はベトナム北部に集中する見

    込み。ベトナム北部には多国籍製造企業にとって魅力的な以下の特性がある。

    1) ベトナム北部の省市は原材料と部品の主要供給源である中国と密接な関係にあ

    る。ベトナムは、特に消費者向けのエレクトロニクス産業において、製造バリュー

    チェーンの組立や下流の段階で役割を演じている。

    2) ハイフォン市がベトナムと中国の国境から 200 キロに位置しているため、同市の

    製造企業は中国の巨大な完成品市場に対して、より容易な物流アクセスを持つ。

    3) ベトナムの最終製品組立の場としての役割は、北部に産業集積地の形成のため

    の製造拠点を整えたサムスン等の主要投資家の進出により、定着した。この傾向

    は、中国での労働コストの上昇及び同国が徐々に製造バリューチェーンの上流へ

    と移行することにより、今後も継続すると見込んでいる。

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    HOLD

    図表 4:北部は最近数年 FDIをより多く誘致。

    出所:当社

    2016 年の見通し:ナムハイディンヴ港及び新倉庫は GMD の利益成

    長を加速

    取扱能力の拡大及び好立地はナムハイディンヴ港の売上増に寄与。ナムハイディンヴ港が主要

    な牽引役となり、港湾事業は 2016 年好業績を挙げ、売上高が 1 兆 9790 億ドン(9000 万米ドル)

    に達し前年比 16.7%増加すると当社は予測している。2016 年 1 月、ナンハイ物流センターの第 1

    フェーズが完成し 5 ヘクタールの倉庫スペースが追加された。これにより、既存コンテナヤードで

    の貨物コンテナの混雑を緩和し、ナムハイディンヴ港の設計取扱貨物量を年間 50 万 TEU 以上に

    拡大する。

    ナムハイディンヴの好立地は拡大後の取扱能力を十分活用することに役立つ。同港を含む下流

    港湾は上流の競合港からかなりの市場シェアを奪うと期待されている。その要因は、海運業界が

    厳しい状況に直面しているため、同業界がスケールメリットを高めることに注力している一方、上

    流の港湾は日々大型化する船舶を入港させることができないことにある。バックダン橋の建設も

    上流の港湾への交通を阻害し、これらの業績を損なっている。2016年、ナムハイディンヴ港の取

    扱貨物量は前年比21.7%増の56万TEUに達し、新規取扱能力70万TEUに基づき80%の稼働率に相

    当すると当社は予測する。

    VIPグリーン港からの競争の脅威は対応可能な範囲。ナンハイディンヴ港の競合港となる近隣の

    VIPグリーン港の開業は次に挙げる理由で、ナムハイディンヴ港にとって潜在的脅威ではないと見

    込んでいる。①この2港の顧客基盤は異なる。ナムハイディンヴ港の顧客層はTSラインズ、ASライ

    ンズ、CMAやMaerskラインズ等10社以上の国際的な海運会社である。一方でVIPグリーン港は主

    にEvergreenにサービスを提供している。なお、EvergreenはこれまでGMDの顧客になったことはな

    い。②今後3年間、ハイフォン市の取扱貨物量の年間成長率は12%~13%だと予測されているため、

    2018年以降、貨物取扱サービスの需要はラックフィエン水深港の第1フェーズの稼動開始後も、取

    扱能力を超える見込み。

    39% 47% 53%

    61% 53% 47%

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    120%

    2013 2014 2015

    North South and Central北部 南部と中部

  • 6/17

    HOLD

    図表 5:ナムハイディンヴ港と VIPグリーン港との比較

    ナムハイディンヴー(NHDV)港 VIPグリーン港

    位置 河口 河口、ナムハイディンヴ港より有

    利な位置

    顧客基盤 10 社以上の国際的な海運会社

    などの多様な顧客基盤を有する 現在、Evergreen のみ

    入港可能最大船舶サイズ 30,000DWT 30,000DWT

    バースの長さ

    450M。これは VIPグリーンと比

    べて NHDV港の大きな利点であ

    る。NHDV港は長さ200メートル

    の 10,000DWT フィーダー船 2 隻

    を同時に収容できる。

    380M。同港は一回に船舶 1 隻

    しか収容できない。

    コンテナヤード及びデポ 150,000m2 140,000m2

    クレーン

    港湾ガントリークレーン(QC)2

    基、旋回クレーン2基。合計毎時

    120個のコンテナの積み下ろし。

    ガントリークレーン(QC)2 基、合

    計毎時 80 個のコンテナの積み

    下ろし。

    トラック用車線数 2 車線

    10 車線。ピークの季節にコンテ

    ナヤードの過重負担を解消する

    のに役立つ。

    出所:当社

    図表 6:VIPグリーン港と NHDV港はハイフォン市で最高の立地に位置している。

    出所:当社

  • 7/17

    HOLD

    図表 7:2018 年以降ハイフォン市で需要が供給を上回る見込み

    出所:当社

    第 3 流通センターとハウザン物流センターは 2016 年に物流事業が成長する原動力。倉庫事業は

    GMD 全体の物流バリューチェーンを支える重要な役割を果たしているが、それは同事業庫が国内

    向けと輸出向けの物流の接点として機能しているからである。流通センターは、売上総利益率が

    10~15%と低水準であるため、同社に多くの利益をもたらさないが、直接的にトラック輸送やフォワ

    ーディングなど高収益事業の荷扱い量を増加させ、間接的にホーチミン~メコンデルタ路線での荷

    船の輸送量を増やせる。この結果、新流通センターの運営開始は今後数年間で物流事業全体の

    成長を支え、GMDが契約物流プロバイダーへ成長することに繋がる。

    第 3 流通センター(DC3 号):総面積 11 千平方メートルとラッキング 8 つで、DC3 号はい

    つの時点でも 1 万 8 千パレットの貨物を保管することができる。現在、DC3 号の稼働率

    は 50%だが、2016 年第 2 四半期から上昇すると期待されている。DC3 号の主な顧客はダ

    イアナユニチャーム社という日用消費財の会社(FMCG)で、この倉庫の取扱量の 90%以

    上を占めている。当社は 2016 年に DC3 号の平均稼働率は 70%に達すると見ているが、

    これは 20 万 m3以上の取扱量で売上高の 400 億ドン(約 2 百万米ドル)に相当する。今

    後数年間に DC3 号の稼働率が 100%に達する場合、年次売上高の将来予測値は約 700

    ~800 億ドン(3~4 百万米ドル)になるだろう。

    ハウザン物流センター:プロジェクトのフェーズ 1 には面積 3 万平方メートルの冷凍倉庫

    施設と 1 万 5 千平方メートルの普通の倉庫が含まれる。これらの施設はそれぞれ 2016

    年第 3 四半期と 2017 年第 1 四半期に運営開始する予定である。2016 年に、当社は主

    にミンフ・シーフード(MPC)に対応する冷凍倉庫の稼働率が 30%(取扱量の 20 万 m3に相

    当)に達すると予想している。当社は、冷凍倉庫の稼働率が 100%に達すると、年次売上

    高の将来予測値は約 2000~2500 億ドン(10~12 百万米ドル)になると見ている。ハウザ

    ン物流センターの運営開始は GMD に次の 3 つの利点をもたらす。①倉庫自体が GMD

    に収益をもたらす。②MPC の主要な市場への輸出のためには多くの冷凍エビのコンテナ

    をカットライ港へ輸送させる必要があるので、同社のトラック輸送団とバージ船団の荷扱

    い量を増加させる。③利益率の高いコールドチェーン市場へ入り込むことへの道筋をつけ

    る事になり、長期的には利益率の高い港湾事業の売上寄与度の減少を相殺することにな

    るだろう。

    新規の倉庫、物流センター及び流通センター(DC)の運営開始は GMD の全ての事業に相乗

    効果を生み出し、バリューチェーンにおける他事業の存在感を高められる。利益率の低い海

    運事業の売り上げの減少とフォワーディング・契約物流・トラック輸送・バージ船輸送などの高

    -

    1.00

    2.00

    3.00

    4.00

    5.00

    6.00

    7.00

    Cargo volume through ports in Hai Phong Capacity

    2016年にVIPグリーン港が

    運営開始

    ラックフエン –

    第1フェーズ

    ハイフォン市にある港湾の貨物取扱量 取扱可能量

    成長率が12―13%と期待

    されている

  • 8/17

    HOLD

    利益率の事業の寄与度が上昇することで、物流事業の 2016 年粗利益率は 250bps向上し

    16%に達成することが期待できる。

    図表 8:物流事業の粗利益率の向上

    出所:当社

    図表 9:分野別の予測売上総利益率

    出所:当社予測

    GMD はジェマリンク・プロジェクトに再着工する計画

    ジェマリンク・プロジェクトは GMD とフランス企業 CMA‐CGM とのジョイントベンチャーで、前者が

    75%を、後者が残りの持ち分を保有している。フェーズ 1 の総投資額は約 3 億米ドルで、その内、7

    千万米ドルが支出された。現在、同社は残りの必要投資額である 2.3 億米ドルを融資できる商業

    銀行との関係を模索している。

    技術的には、ジェマリンク港の総面積は 72 ヘクタールで、カイメップ・ティヴァイ地区で最大規模の

    大水深港である。母船用バースの長さは 1150 メートル、母船のためにバージとフィーダー船から

    のコンテナを集めるフィーダー・バースの長さは約 370 メートルである。プロジェクトのフェーズ 1 は

    800 メートルの母船用バースと 260 メートルのフィーダー・バースを含み、33 ヘクタールのデポ、

    CY と倉庫から構成されている。この港湾は 20 万トン数までの船を受けることができ、フェーズ 1

    での設計能力は年間 120 万 TEUである。

    9% 8% 9%

    11%

    13%

    16% 17%

    18% 19%

    20%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    2011 2012 2013 2014 2015 2016F 2017F 2018F 2019F 2020F

    0.0%

    5.0%

    10.0%

    15.0%

    20.0%

    25.0%

    30.0%

    2016 2017 2018 2019 2020

    Shipping business Distribution center Others (forwarding, trucking,barging..)コンテナ運送事業 流通センター その他(配送・トラック運送・荷船等)

    コンテナ運送事業 物流センター その他(配送、トラック運送、搬入等)

  • 9/17

    HOLD

    図表 10:ジェマリンク港の位置

    出所:当社

    世界的な景気後退の影響により、同社は 2012 年 1 月からこのプロジェクトの建設を中断した。

    2016 年初頭、同社は 2016 年第 4 四半期からこのプロジェクトの再着工を決定した。フェーズ 1 の

    建設は 2018 年までに完成すると見込まれている。

    GMDは非中核事業の売却を目指す

    ゴム:ゴム価格が回復するまで売却は難しい

    GMD のゴム関連資産は売却対象になると見込まれるが、直ぐに売却されるわけではない。2015

    年 12 月 31 日の時点で、ゴム・プランテーション関連の資産は GMD の貸借対照表に 1 兆 3510

    億ドン以上と計上され総資産の 15.5%を占めた。現在、これは北カンボジアのモンドゥルキリ省に

    あるゴム・プランテーション・エリアの総面積 3 万ヘクタールを含み、その内、1 万ヘクタールでは

    既にゴムが栽培されている。GMD はこのプロジェクトに投資を続け、毎年新規に 1 千ヘクタール

    で栽培する計画である。経営陣は 2016 年と 2017 年にこの事業にどれほど投資する予定である

    かを明かにしていないが、栽培面積の年次増加で概算を出すことができる。同社は毎年約 400~

    500 万米ドルをこのプロジェクトに投資していると当社では推測している。本プロジェクトは最初の

    収穫が始まる 2017 年以降に売り上げが見込まれている。GMD は本プロジェクトに継続して投資

    するが、少なくとも保有株の一部を戦略的な買い手に売却する方針である。GMD の経営陣による

    と、同社は最近マレーシア、インドネシア、インドからのゴム製造業者から接触があり、近い将来に

    少なくともこれらの資産の一部を売却する可能性があるという。

    不動産:ジェマデプト・タワーは今年完成するが、他のプロジェクトは長期的なもの

    2014 年、ジェマデプト・タワーを保有しているマールプロコという子会社の株式 85%を韓国の提携

    会社 CJ に売却し、金融収益に 6170 億ドン(約 27.7 百万ドル)を計上した。マールプロコの残り

    15%の株式は 2016 年に CJ への譲渡が予想される(当社の予想に反映されていないが、当社の

    目標株価の上昇要因になるだろう)。他の 2 つの不動産資産、ホーチミン市におけるサイゴン

    GEM 及びラオスにあるビエンチャン・ラオス・コンプレックスに関して、現在 GMD は法的手続きと

    書類準備の最終段階に入り、その後買い手を探し始める見込みである。どちらのプロジェクトもま

    だ開発されていない事には留意すべきで、GMD は単に土地利用権を保有しているだけで、書類

    準備が完了した段階でこれらをデベロッパーに売却する意向である。不動産市場の力強い回復に

    もかかわらず幹部がこれらのプロジェクトの開発に関心を示さない事実は、GMD が本業に集中す

    る意向であるという前向きのメッセージとして歓迎すべきである。GMD の連結貸借対照表には、2

    件の不動産資産は 2560 億ドン(約 11.5 百万ドル)と計上され、双方がホーチミン市とビエンチャン

    市の中心部に位置するため、両方とも簿価を大幅に上回る価格で売却されると考えるのは妥当で

    ある。

    カットライ港地帯

    カイメップ・ティバイ

    港地帯

    ジェマリンク港

  • 10/17

    HOLD

    株価バリュエーション

    ディスカウンテッドキャッシュフロー(DCF)法とマーケット・マルティプル法を総合適用し、GMD の目

    標株価を 45,564 ドンと導き出した。

    図表 11:総合的な目標株価

    方法 貢献度 目標株価

    P/E (@12.7x ttm) 50% 47,422

    DCF 50% 43,705

    総合的な目標株価 45,564

    出所:当社

    同業他社比較(マーケット・マルティプル法)による評価

    3 月 20 日の終値の 39,800 ドンで計算すると、GMD は当社の予測完全希薄化後 EPS に基づく 1

    年後予想 PER10.7 倍で取引されている。当社は、物流バリューチェーンの全てにわたって存在感

    がある GMD のようなリーダーは同業他社と比較して少なくとも 10%プレミアムで取引されるべきだ

    と分析している。その理由は次の通りである。①同社はベトナムにおいて港湾から倉庫にかけて

    相当に大きな処理能力拡大プロジェクトを近々手がける唯一の流通・港湾企業である。DVP や

    CLL などの競合他社は中期的に成長する余地が小さい。②ベトナムにおいて第 3 者物流(3PL)を

    提供する企業は、同社と TMS(同社より狭い範囲で提供する)だけである。市場が成熟し、サプラ

    イチェーンのニーズが更に複雑になったことで現在低水準であるベトナムにおける 3PL サービス

    は、今後は強く成長すると予想される。この「3PL プレミアム」は同業他社と比較して TMS の現在

    のプレミアム評価にも反映されていることから、国内 3PL 革命をリードする好位置にある GMD に

    適用されない理由はないはずだと当社では考える。

    当社は GMD に対して目標 PER12.7 倍と予測 1 年間完全希薄化後 EPS の 3,734 ドンを用いて、

    PER法に基づく目標株価 47,422 ドンを算出した。

    図表 12:同業他社との比較分析

    (百万ドル)

    社名 時価

    総額

    過去

    12 ヶ月

    の売上

    前年

    比 %

    過去 12

    ヶ月の

    コア

    NPAT

    前年

    比%

    純負債/資本

    比率 ROE

    過去

    12 ヶ

    月の

    PER

    直近

    四半

    PBR

    DVP 139.4 29.9 20.8 12.9 23.2 0.10 32.3% 10.8 3.2

    VSC 132.0 42.6 4.0 12.8 12.5 0.34 23.8% 10.5 2.3

    CLL 39.1 12.5 19.0 3.6 2.6 0.21 15.8% 10.2 1.5

    TMS 111.7 22.4 6.0 7.1 12.3 0.50 19.3% 16.2 2.5

    PDN 23.0 14.8 23.0 2.3 0.7 0.72 15.7% 10.0 1.5

    平均 89.0 24.4 14.6 7.7 10.3 0.40 21.4% 11.5 2.0

    中央値 111.7 22.4 19.0 7.1 12.3 0.34 19.3% 10.5 1.9

    GMD 215.1 164.5 18.9 23.1 478.0 0.38 9.3% 11.6 0.9

    出所:当社

  • 11/17

    HOLD

    図表 13:同業他社と GMD の PER 推移

    出所:当社

    ※チャートが切れているのは休日などで一定期間取引がなかったことによる。

    非主流事業の利益により 2014 年に EPSが増加したため、GMDの PERは低くなった。

    DCF 法によるバリュエーション

    当社は、GMD の 2016 年売上高が前年比 14%増の 4 兆 830 億ドン、標準化した税引き後純利益

    (少数株主持分を除く)が同 29%増の 6050 億ドン、その結果完全希薄化後 EPS が 3,734 ドンにな

    ると予想している。 VIG が保有している 4 千万米ドルに相当する転換社債は転換すると利益が

    出る状態であるため、転換から発生する 29%の希薄率は既に計算に織り込んでいる。

    今回の DCF 法に基づく目標株価を 2015 年 12 月に発表したレポート時と比べて 19%高めた理由

    は次の通りである。

    2016 年末に、CJ にジェマデプト・タワーの残っていた 15%の保有分を売却することにより、同

    社は 970 億ドンの正味キャッシュフローを獲得することができそうである。この増分キャッシュ

    フローは、同社が国内最強の契約物流企業になるための重要な戦略的計画の鍵となる倉庫

    システムへの大規模な投資を助ける。前回のレポートの時点では、この取引が決定から遠か

    ったため、この取引由来のキャッシュフロー予測を計算に入れなかった。

    第 3 四半期と第 4 四半期に営業開始したハイズオン物流センターと DC3 号は同社の物流バ

    リューチェーンに期待以上の相乗効果をもたらし、物流事業での売上総利益率を 2014 年比で

    280bps増と急速に押し上げた。前回のレポートでは、2015 年のこの分野の売上総利益率の

    上昇は 120bpsだけと当社は予測した。その結果、2016 年にナムハイ物流センターとハウザ

    ン物流センターの運営開始とともに DC3 号とハイズオン物流センターの稼働率がそれぞれ

    70%と 100%になることが見込まれ、その状況では当社は 2016 年の売上総利益率の上昇が

    220bpsとなり、その後毎年 100bpsずつ 2017 年から 2020 年まで上昇すると予想するに至っ

    た。これが DCF 法に基づく目標株価の上方修正の主な理由である。

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    18

    GMD VSC DVP TMS CLL PDN

  • 12/17

    HOLD

    図表 14:DCF 法によるバリュエーションサマリー

    資本コスト 今回の

    レポート

    前回の

    レポート フリーキャッシュフロー(5 年間)

    リスクフリー率 % 6.5% 6.5% フリーキャッシュフローの

    現在価値

    2,387

    市場リスクプレミア

    8.5% 7.0% 最終価値の現在価値 6,139

    ベータ 0.8 0.8 フリーキャッシュフローと

    最終価値の現在価値 8,527

    資本コスト % 14.0 12.0 (+)現金・短期的投資 992

    負債コスト % 4.8 4.8 (-)短期と長期負債 1,876

    負債比率 0.38 0.40 (-)少数株主持分 387

    自己資本% 74 67 株主価値 7,256

    法人税率 12% 12% 株数(百万株) 166

    加重平均資本コスト 11.2% 10.4% 株価(ドン) 43,705

    ディスカウンテッド・

    キャッシュフロー

    2016

    年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年

    支払金利前税引き前利

    益(EBIT) 834 836 937 1,032 1,131

    (+)減価償却 (62) (62) (71) (82) (101)

    (-)税金 271 318 372 401 429

    (-)資本支出 (382) (432) (471) (507) (546)

    (-/+)運転資金の増

    減 (126) (334) 185 (311) 150

    フリーキャッシュフロー

    (FCF) 535 324 952 533 1,063

    FCFの現在価値 481 262 688 344 613

    FCFの現在価値の合

    計 481 743 1,431 1,775 2,388

    出所:当社

  • 13/17

    HOLD

    テクニカル分析

    株価チャートは 20 週移動平均線における揉み合いの段階にある。一方、株価チャートは短期抵

    抗線の 41,300 ドンの近くで大きく変動している。この抵抗線を突破すれば、株価チャートは中期上

    昇トレンドの調整段階を完了することができる。

    テクニカル指標によれば株価チャートはまだ値固め段階にあり、短期抵抗線の 41,300 ドンを突破

    する場合、株価チャートは強力な上向きの変動段階に入るだろう。現在、当社のトレンド指標シス

    テムは中期支持線が 36,900 ドンで、中期トレンドが上方へシフトするという評価を継続している。

    株価が中期下値支持線の 36,900 ドンを下に抜ける場合、反落パターンが形成されるというリスク

    がある。従って、当社は中期投資家には持続保有を勧め、株価が上値抵抗線の 41,300 ドンを突

    破する際には購入することを推奨する。

    2016 年 3 月 21 日現在 (VND/ share)

    中期分析時間軸 3 ヶ月から 6 ヶ月

    中期上値抵抗線 41,300

    中期下値支持線 36,900

    中期傾向 上昇

    出所:当社

    36.900

    41.300

  • 14/17

    HOLD

    年次財務諸表

    損益計算書 (10 億ドン) 2015A 2016F 2017F 貸借対照表(10 億ドン) 2015A 2016F 2017F

    売上高 3,582.4 4,082.9 4,618.3 現金及び現金同等物 902.5 913.3 946.8

    売上原価 2,629.2 2,994.1 3,374.2 短期投資 89.9 89.9 89.9

    売上総利益 953.1 1,088.8 1,244.1 売掛金・受取手形 1,476.9 1,386.7 1,852.4

    販売費 44.5 49.0 55.4 棚卸資産 119.8 120.6 150.3

    一般管理費 265.8 285.8 323.3 その他流動資産 74.8 203.2 229.8

    支払金利前税引前利益(EBIT) 642.8 754.0 865.4 流動資産総額 2,663.8 2,713.7 3,269.2

    金融活動収益 43.19 167.15 58.86 減価償却前固定資産総額 4,092.9 4,298.5 5,548.7

    金融活動費用 229.16 205.02 206.58 - 減価償却 (1,693.4) (1,964.2) (2,281.8)

    その内支払利息 118.51 117.79 117.97 減価償却後固定資産総額 2,399.4 2,334.3 3,266.9

    連結会社損益 29.76 49.03 58.05 長期投資 2,027.2 2,076.2 2,134.3

    その他の損益 14.1 - - その他長期資産 1,603.2 1,870.4 1,066.6

    税引き前利益 500.7 765.1 775.7 固定資産総額 6,029.8 6,280.9 6,467.8

    法人税 40.3 61.5 62.4 資産合計 8,693.6 8,994.6 9,737.0

    少数株主持分前税引後利益 460.5 703.6 713.3

    少数株主持分 60.00 98.25 112.76 買掛金 446.8 461.2 570.9

    少数株主持分控除前税引き後純利益

    (会社発表値) 400.5 605.3 600.5

    短期借入金 336.4 491.5 740.2

    少数株主持分控除後税引き後純利益

    (調整済)(1) 514.0 614.0 709.0

    その他流動負債 666.0 530.2 588.4

    EBITDA 856.9 1,104.7 1,153.2 流動負債総額 1,449.3 1,482.9 1,899.5

    基本 EPS(会社発表値、VND) 3,370 4,766 4,722 長期借入金 1,539.9 1,387.7 1,223.5

    EPS(調整済(1)、VND) 3,580 4,055 4,688 その他固定負債 317.5 421.6 476.9

    完全希薄化後 EPS (2)(VND) 2,573 3,734 3,702 負債合計 3,306.7 3,292.2 3,599.9

    - - -

    比率 2015A 2016F 2017F 優先株式 1,196.2 1,794.3 1,794.3

    成長性 払込資本金・発行済み資本金 2,471.5 2,471.5 2,471.5

    売上成長率% 18.9% 14.0% 13.1% 追加株式資本・資本剰余金 1,054.3 892.3 1,279.6

    支払金利前税引前利益成長率 % 105.5% 17.3% 14.8% 留保利益 277.7 152.8 157.2

    税引き前利益成長率% -28.6% 52.8% 1.4% その他持分 - - -

    EPS成長率%(調整後) 741.1% 13.3% 15.6% 少数株主持分 4,999.7 5,311.0 5,702.6

    自己資本合計 8,693.6 8,994.6 9,737.0

    収益性 負債+資本の合計 902.5 913.3 946.8

    売上総利益率% 26.6% 26.7% 26.9%

    EBITマージン% 17.9% 18.5% 18.7% キャッシュフロー(10 億ドン) 2015A 2016F 2017F

    EBITDA マージン% 23.9% 27.1% 25.0% 現金の期首残高 943.3 902.5 913.3

    少数株主持分控除後純利益率% 11.2% 14.8% 13.0% 純利益 460.5 703.6 713.3

    ROE % 9.3% 13.6% 13.0% 減価償却費 283.5 270.8 317.6

    ROA % 5.5% 8.0% 7.6% 運転資金の増減 (47.2) (125.8) (334.1)

    その他の調整 130.9 (165.1) (64.8)

    効率性 営業活動によるキャッシュフロー 827.6 683.5 632.0

    在庫日数 15 15 15

    売掛金回収日数 130 128 128 純資本支出 (589.0) (382.2) (432.3)

    買掛金支払日数 55 55 55 純投資 128.68 (44.75) (10.98)

    キャッシュ回転日数 89 87 87 投資活動によるキャッシュフロー (460.3) (427.0) (443.3)

    流動性 配当金の支払額 (242.2) (232.3) (232.3)

    流動比率(倍) 1.8 1.8 1.7 ∆ 株式資本 34.8 - -

    当座比率(倍) 1.7 1.6 1.5 ∆ 長期負債 (71.0) 155.0 248.7

    現金比率(倍) 0.6 0.6 0.5 ∆ 短期負債 59.6 (152.2) (164.2)

    総資産負債比率% 21.6% 20.9% 20.2%

    その他の財務活動によるキャッシュフ

    ロー

    (189.6) (0.9) 10.0

    負債比率% 27.3% 26.1% 25.6% 財務活動によるキャッシュフロー (408.5) (230.3) (137.7)

    負債/資本比率% 19.5% 18.2% 17.8%

    インタレスト・カバレッジ・レシオ 5.0 7.1 7.1 現金の増減額 (41.1) 26.3 51.0

    現金の期末残高 902.5 913.3 946.8

    出所:同社の財務諸表、当社の予測。(1)比率は会社発表の利益に基づいて計算される。調整済の EPSは標準化利益から特別利益を除いて算出される。

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    HOLD

    推奨履歴

    当社の格付けと評価方法の詳細は次のページをご参照。

    20000

    25000

    30000

    35000

    40000

    45000

    5000046,000

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    格付けと評価方法

    絶対的で長期的な格付け:当社の推奨は、市場との相関評価ではなく、(目標株価-時価)/時価+配当利回りという計

    算式で算出された株式のトータルリターンに基づいている。

    格付け 定義

    買い 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+20%以上であると予想

    する場合。

    アウトパフォーム(O-PF) 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+10%から+20%の間で

    あると予想する場合。

    マーケットパフォーム(M-PF) 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から+10%の間で

    あると予想する場合。

    アンダーパフォーム(U -PF) 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から-20%の間で

    あると予想する場合。

    売り 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-20%以下であると予想

    する場合。 格付け無し 対象銘柄は調査部より分析される可能性があるが、自発的な理由、または当社

    が企業に対し合併や戦略的取引の助言を行うなどの特定条件下で法令や社内規

    定の遵守の観点から格付けや目標株価の設定を行わない場合。

    格付け中断 格付けや目標株価の設定を行うための基本的な情報が不十分な場合。前回の格

    付けと目標株価(ある場合)は同銘柄に対して無効になる。

    別段の定めがない限り、株価変動のパラメーターは資本の増加を反映するものであり、有効期限は 12 ヶ月である。将来

    における株価変動は一時的に時価と目標株価に、上方または下方に差異を引き起こす可能性もある。そのため、株価

    変動のパラメーターは柔軟に解釈される必要がある。

    目標株価:殆どの場合では、目標株価はアナリストの評価による当該株式の現在の適正価値に等しい。目標株価はア

    ナリストの予想した状況が現実となりカタリストが機能し、市場がそれを認識した時に取引される価格である。しかしなが

    ら、カタリストが欠けているために市場が期間内に評価をしないとアナリストが考えた場合、目標株価は適正株価と異な

    ることがある。従って、殆どの場合では、当社の推奨は現在の市場の株価と当社の現在の適正株価の差異の評価であ

    る。

    評価方法論:目標株価を算出するために、アナリストは割引フリー・キャッシュ・フロー及び比較分析など様々な評価方法

    を駆使している(但し、これらの方法に限定することではない)。評価方法の選択は当該業界、当該企業、当該株式の特

    徴および他の条件に依存する。企業の評価は下記の一つ、または複数の方法の組み合わせによって行われる。(1)倍数

    に基づくモデル(P/E, P/キャッシュ・フロー, EV/売上, EV/EBIT, EV/EBITA, EV/EBITDA)、類似企業との比較と歴史的

    な評価のアプローチ、(2)割引モデル(DCF, DVMA, DDM)、(3)価値の分割アプローチまたは資産に基づく評価方法、(4)

    経済利益アプローチ(残存収益、EVA)などである。評価モデルは GDP 成長、金利、為替レート、原料価格とその他の経

    済に対する仮定と当該企業の特定のリスクなどに依存している。また、市場の心理も企業の評価に影響を与える可能性

    がある。株式の評価はまた期待感に基づいて、期待感は予告なく、素早く変化し、それぞれの業界の特定の技術開発に

    依存している。

    リスク:過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を示すものではない。為替レートはこのレポートに記載された証券

    または関連の投資商品のバリュー・価格または収入に悪影響を与える可能性がある。

    キャピタル・パートナーズ証券株式会社

    調査部

    [email protected]

    本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子

    会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。本レポートは、信頼でき

    ると考えられる公開情報に基づき作成されたものですが、その内容の正確性及び完全性を保証するものではありませ

    ん。本レポートに記載された内容等は作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。本レポートは投

    資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。本レポートに含まれる情報の

    ご利用にあたっては、投資家ご自身の判断と責任でご利用下さい。

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    HOLD

    商 号 等 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 62号

    加入協会 日本証券業協会

    http://www.capital.co.jp/ [事業所]

    本社・本店 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-13-7四国ビルディング

    電話番号:03-3518-9300(代表)

    大阪支店 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎 2-5-10梅田パシフィックビルディング

    電話番号:06-6232-8370(代表)

    名古屋支店 〒460-0003 愛知県名古屋市中区綿 2-19-19広小路センタープレイス

    電話番号:052-220-3690(代表)

    福岡支店 〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲 5-5-13 KDC福岡ビル

    電話番号:092-272-0873(代表)