徳島大学産科婦人科学教室抄読会 2012.1.4 河見貴子 中心静脈栄養(TPN:total parenteral nutrition)の長期予後と問題点

Sumary ① 婦人科疾患の病巣は骨盤内にあるため、手術や放射線療法の合併症、また、悪性腫瘍

の進行による症状として、しばしばイレウスが問題となり、保存的加療で軽快せず外

科的治療が困難な症例では中心静脈栄養(TPN:total parenteral nutrition)を導入する場合がある。

② TPN を行うに際し、終末期の症例であれば入院での導入を行なっているが、治療後の比較的全身状態良好な若年例など長期予後が見込まれる症例においては、在宅中心

静脈栄養(HPN: home parenteral nutrition)が必要である。 ③ TPNにはカテーテル感染などの重篤になり得る合併症が存在するが、10年以上の長期予後が確認されている。

④ 当科でも、適応となる症例に対しては HPNを実施する必要があり、地域の診療所と連携し訪問看護等の在宅支援を行うことが重要となる。

Reference 1. 戸板孝文，玉城稚奈．子宮頸癌の放射線療法の最近の考え方 産婦人科の実際 vol.55 No.10 2006.10:1525-1532 2. 倉垣千恵，榎本隆之．【癌の副作用】96 臨床婦人科産科 61巻 4号 2007.4:627-629 3.NSTガイドブック 2011 改訂版 第 3版 日本病態栄養学会編：メディカルレビュー社 4.福島亮治 輸液・栄養リファレンスブック：株式会社メディカルトリビューン 5.池尾美城 他 在宅指導とナーシングケア 退院から在宅まで 在宅中心静脈栄養法 在宅成分栄養経管栄養法：医歯薬出版株式会社 6.静脈経腸栄養ガイドライン第 2版 日本静脈経腸栄養学会編集：南江堂 7.Madhok BM, Yeluri S, Haigh K, Burton A, Broadhead T, Jayne DG. Parenteral nutrition for patients with advanced ovarian malignancy. J Hum Nutr Diet. 2011 Apr;24(2):187-91. doi: 10.1111/j.1365-277X.2010.01127. 8. Teichgräber UK, Pfitzmann R, Hofmann HA. Central venous port systems as an integral part of chemotherapy. Dtsch Arztebl Int. 2011 Mar;108(9):147-53; quiz 154. Epub 2011 Mar 4. 9. Ladefoged K, Jarnum S. Long-term parenteral nutrition. Br Med J. 1978 Jul 22;2(6132):262-6. 10. Lloyd DA, Vega R, Bassett P, Forbes A, Gabe SM. Survival and dependence on home parenteral nutrition: experience over a 25-year period in a UK referral centre. Aliment Pharmacol Ther. 2006 Oct 15;24(8):1231-40. 11. Guidelines for the Use of Parenteral and Enteral Nutrition in Adult and Pediatric Patients. JPEN 17:1SA-52SA, 1993.