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資源開発環境調査
ニュージーランド
New Zealand
目 次
1. 一般事情································································1
2. 政治・経済概要 ··························································1
3. 鉱業概要································································3
4. 鉱業行政································································3
5. 鉱業関係機関 ····························································4
6. 投資環境································································4
7. 地質・鉱床概要 ··························································5
8. 鉱山概要································································9
9. 新規鉱山開発状況 ······················································· 13
10. 探査状況······························································ 15
11. 製錬所概要 ···························································· 18
12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況 ························ 20
資料(統計、法律、文献名、URL 等)········································· 20
- 1 - ニュージランド
1. 一般事情
1-1. 面積 27 万 534 ㎢
1-2. 人口 4,009,100 人(2003 年 6 月 NZ 統計局)
1-3. 首都 ウェリントン
1-4. 人種 アングロサクソン系、先住民マオリ系(13.8%)
1-5. 公用語 英語
1-6. 宗教 英国国教徒 16.9%,、長老派 14.0%、カソリック 12.5%、メソジスト
派 3.5%(キリスト教全宗派合計約 60%)、無宗教 29.6%(01 年 国勢
調査)
1-7. 地勢等
ニュージランドは、北島と南島に大きく分かれている。最高峰のマウントクックを始
めとして 3000m 級の山岳部を持ち、高地には氷河が見られる。
(Map of New Zealand HP)
2. 政治・経済概要
2-1. 政体 立憲君主国
2-2. 元首 エリザベス2世女王(英国女王)
総督 シルビア・カートライト Silvia Cartwright
(2001 年 4 月就任 任期5年)
2-3. 議会 一院制(定員 120、任期 3 年)
労働党 51、国民党 27、NZ ファースト党 13、ACT 党 9、緑の党 9、
統一未来党 8、革新連合党 2、マオリ党 1
- 2 - ニュージランド
2-4. 政治概況
1999 年の総選挙を経て、労働党と連合党の連立による第一次クラーク政権が誕生し、労
災保険分野の再国有化、所得税最高税率引き上げ、労働組合の権限強化、国民銀行設立等
を行った。2002 年 7 月の総選挙で第二次クラーク政権の続投が決まった。第一次政権の政
策を維持するものであったが、一次産品依存の経済構造から知識立脚型経済への脱却、教
育・研究分野の拡充、情報通信、バイオテクノロジーの重視の政策を取り入れた。外交面
では、国の規模が小さい事もあり、国際ルールを尊重し、多国的外交を展開している。特
に、隣国豪州と連携しながら、国際機関との協調、アジア・太平洋地域諸国との関係強化
を図っている。国際的には、93 年に国連安全保障理事会非常任理事国入りしており、WTO
等国際機関との協調も重視している。2002 年 12 月には、クラーク首相は、京都議定書批
准書に署名し 99 番目の締約国となった。
2-5. 主要産業 畜産を中心とする生産性の高い農業
2-6. GDP 754 億円 一人当たり 14,700 米ドル
2-7. 通貨 NZ $(ニュージーランド ドル)
2-8. 為替レート 1US$=1.3936NZ ドル(2005/02/現在)
年末 1999 年 2000 年 2001 2002 年 2003 年
1US$= 1.9208 2.2716 2.4067 1.8993 1.5267
(International Financial Statistics 2004)
2-9. 貿易(2002 年 7 月~2003 年 6 月 NZ 統計局)
輸出 29,291 万 NZ ドル
品目:酪農品 16.6%、食肉 14.7%、林産物 7.6%、機械類 4.9%、魚介類 3.8%
輸入 30,161 万 NZ ドル
品目:自動車 15.9%、機械類 13.4%、燃料 9.1%、電気機器 8.8%、繊維品 5%
対日貿易
輸出 2,380 億円
品目:金属品(アルミ等)、木材、化学品(メチルアルコール等)、木材製品、
チーズ類、野菜等
輸入 2,106 億円
品目:乗用車、一般機器(コンピューター等)、トラック、電気機械、
化学品(プラスチック等)、金属品(鉄鋼等)
2-10. 経済概況
ニュージーランド経済は、GDP は 1,263 億 NZ ドル程度、輸出総額 321 億 NZ ドル、輸入
総額 321 億 NZ ドルで、高い貿易依存度と慢性的な貿易赤字体制が特徴である。輸出は、
比較的国際競争力の高い一次産品によって占められている。一次産品の輸出は輸出総額の
半分以上あり、羊毛、酪農品、肉、フルーツ(キウイ等)の他、最近では、木材、野菜、花
- 3 - ニュージランド
き、魚介類も加わっている。GDP の部門ごとの内訳は、第三次産業が 67%、第二次産業が
22%、第一次産業が 8%程度となっている。エネルギー資源に関しては、現在は石炭、天然
ガスは自給が可能であり、水力発電もおこなわれており、エネルギーコストは比較的安い。
3. 鉱業概要
ニュージーランドには金、PGM を始めとして多くの鉱徴地が発見されているが、現在採
掘されている鉱物は主に金、石炭、鉄鉱石であり、GDP(約 1,000 億 NZ$)のおよそ 1%を占
めている。同国の鉱業の中心は金であり、Macraes、Martha 鉱山の露天掘による主要 2 鉱
山のほか、中小企業による漂砂鉱床での生産が続けられている。金の他、年間約 3.5 百万
t 生産されている石炭は、灰分、硫黄成分が低いことが特徴で、生産量のおよそ半分が豪
州他世界各地へ輸出されている。
ニュージーランドの 2001 年の主要鉱産物生産量は表 4 のとおりである。ここ数年の金
生産量は、主に Macraes 鉱山の拡張により増加が続いていたが、拡張計画が一段落し、前
年比微減の 9,850kg となった。2002 年の金生産量は、主要 2 社の新鉱床からの生産開始が
予定されており増加することが期待される。
金とともに同国の主要鉱業生産物である石炭は、好調な輸出と内需の拡大に支えられ
4.0 百万 t と大幅に増加した。
表 4. ニュージーランドの主要鉱産物生産量推移
1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年
金 (t) 11.4 7.7 8.9 9.9 9.9 9.77 9.3
銀 (t) 31.7 22.7 24.3 22.9 27.1 28.7 29.9
石 炭(百万 t) 2.5 2.2 3.6 3.7 4.0 4.5 5.2
鉄鉱石(百万 t) 3.7 3.3 2.3 2.7 1.6 1.7 1.9
出典:Crown Minerals 資料
4. 鉱業行政
4-1. 法律
鉱業法(Crown Minerals Act 1991)は、ニュージランドにおける鉱物の探査から試掘
までの広範囲にわたる規程をしている。
対象鉱物は、金、銀、石炭、その他の金属および卑金属鉱物とその集合体である。
すべての鉱物は、国(女王:Crown)に所属するとされる。
法律により、エネルギー大臣に鉱物計画(Mineral Programmes)の作成を要求する。
エネルギー大臣は鉱業法のもと鉱物計画の政策、手法、人員などと調和する方法で許可
に対する権限を発揮する。
鉱業権は、概査(prospecting)、探査(exploration)、採掘(mining)の3種類ある。
・ 概査:簡単な調査がなされる場合に与えられ、時として、文献調査、地質調査、
- 4 - ニュージランド
岩石採取、あるいは空中調査が広範囲に行われる。当初2年間の許可が与えられ
る。
・ 探査:種々の手法により採掘直前まで行なわれる作業を言う。当初期間は5年間
与えられる。
・ 採掘:鉱物資源の経済的な回収を言う。探査期間中に鉱床の広がり、性質および
規模が把握される。申請者は期待される鉱量と品位を算出しなければならない。
期間は、鉱床の規模によっては40年間与えられるが、通常の場合は20年間。
5. 鉱業関係機関
5-1. 政府機関
鉱業法では、法律の管理はエネルギー省(Ministry of Energy)が行うとなっているが、
ニュージランド政府の HP によると、エネルギー省は 1999 年に廃止され、経済開発省
(Ministry of Economic Development)が鉱業法の管理にあたっている。経済開発省の中
にクラウンミネラル(Crown Minerals)という部門を設定している。
http://crownminerals.med.govt.nz/minerals/legislation/guide.html
6. 投資環境
6-1. 外資法
外国投資法令 1973(法令)に基づき外国投資委員会(Overseas Investment Commission)
が設立されている。特定分野への投資には外国投資委員会(OIC)の許可が必要。一般分野
については外国人の総投資額が 5,000 万 NZ ドル以上の場合、OIC の許可が必要。
6-2. 税制
法人税:33%(外資企業、国内企業とも同じ)。
所得税(Income Tax):賃金、自営業所得、社会保障手当、投資所得、賃貸収入、資産
売却益(個人資産は通常対象外)、外国から得た所得が対象
年間所得額により、課税率が異なる[19.5%(~3 万 8,000NZ ドル)、33%(~6 万 NZ
ドル)、39%(6 万 NZ ドル~)]
一般消費税(GST:財・サービス税): 12.5%。住宅用不動産・家賃・金融手数料、輸
出品は対象外。商品・サービス価格には、通常 GST が含まれている。NZ での年間売上高が
4 万 NZ ドル以上の事業者は GST 業者として登録する必要がある。なお、2005 年1月 1 日
よりサービス輸入も課税対象となった。(2004 年 2 月 23 日通商弘報参照)
居住者源泉徴収税(Resident Withholding Tax): 1 年のうち合計 183 日以上 NZ に居
住する者は、配当所得や利子所得に対して源泉徴収税を支払う必要がある。ただし、基本
的に配当や利子を支払う企業・銀行側が源泉徴収して納税する。なお、非居住者の所得(配
当・利子など)には、非居住者源泉徴収税が課される。
- 5 - ニュージランド
キャピタルゲイン税:通常は適用されないが、資産の所有が転売目的とみなされる場合な
どに課税されることがある。
贈与税:年間 2 万 7,000NZ ドル以上の贈与が課税対象となる。税率は贈与額により 5~
25%。
フリンジベネフィット税(Fringe Benefit Tax):企業から従業員(役員も含む)に供
与された経済的利益に対して課せられる。社有車の供与、低利の貸し付け、保険料、住宅
補助の供与、交通費手当等が課税対象。49%または 64%。
固定資産税(RATES):地方税的要素(上下水道・公園・道路・ごみ処理等)を含む。
税率は収入に関わらず、不動産の価値に基づく。
6-3. 労働
雇用にあたっては外国人より現地人が優先されるので、まず国内で NZ 人向けの求人を
行う必要がある。NZ 人に該当者がいないことが証明されて初めて外国人を雇用できる。そ
の場合、就労ビザは通常 3年が期限で、その後は必要に応じてその 3年ごとに更新が可能。
7. 地質・鉱床概要
7-1.地質概要
ニュージランドはアルパイン断層を境に北西側はインドーオーストラリアプレート、南
東側は太平洋プレートに属している。このプレート境界は北側ではトンガ‐カラメディッ
ク弧へつながっている。白亜紀以前の岩層は中央構造線により西部地区と東部地区に割れ
られる。酉部地区は先カンブリア紀‐白亜紀の堆積岩、片麻岩からなる高度変成岩より構
成されている。東部は石炭紀‐ジュラ紀の低度変成岩である。デボン紀以前の西部地区の
造山運動を Tuhua 造山、ジュラ紀‐白亜紀初期の西部、東部地区ともにおこった造山運動
を Rangitata 造山という。漸新世以降は Kaikoura 造山運動を受けた。
7-2. 鉱床
北島には Taupo 火山地域があり、これに伴い、金、銀、鉛、亜鉛の鉱化作用が現在なさ
れているといわれる。国内には次のような鉱床が知られている。そのうち、金銀の生産は
されているが、非鉄金属の産出は見当たらない。
・中生代変成岩中の含金石英脈鉱床; Macraes 金鉱床など(別ファイル)
・第三紀火山岩中のエピサーマル金鉱床; (コロマンデル半島~グレートバリアー島。
コロマンデル半島南部に Tui 銅・鉛・亜鉛・銀・金鉱床も知られている。)
・ポーフィリータイプの銅・モリブデン・金鉱床; (Coromandel 半島の Ohio,Manaia)
・ネルソン市東方のクロム鉱床; (D,Urville island, Croiselles Harbour, Dun Mountain)
・マンガン鉱床; (北島ハミルトン地区、新第三紀層中の層状マンガン鉱床-Hunuas,
Bombay, 北島北部東海岸地域)
- 6 - ニュージランド
・水銀鉱床; (北島新第三紀火山岩中の鉱脈鉱床)
・銅鉱床;(新第三紀火山岩中の鉱脈鉱床である北島の Great Barrier 鉱床、Pakotai 鉱床)
・漂砂鉱床; (北島と南島の西海岸の磁鉄鉱、チタン鉄鉱、ルチル)
砂金
・超塩基性岩中のニッケル・コバルト・クロム鉱床; (Nelson)
文献
・Mining Annual Review 2003: Mining Communications Ltd. 2003
・金属鉱業事業団 (1991):地質解析委員会報告書。 東南アジア・オセアニア島嶼地
域の地質と鉱物資源
・金属鉱業事業団(1990):平成 2 年度 地質解析委員会報告書 東南アジア・オセアニ
ア島嶼地域 -金、銅、モリブデン-
- 7 - ニュージランド
- 8 - ニュージランド
University Otago HP より
: http://www.otago.ac.nz/geology/features/maps/nzgeolkey.htm
- 9 - ニュージランド
(平成 3 年地質解析委員会報告書 東南アジア・オセアニア島嶼地域の地質と鉱物資源)
8. 鉱山概要
8-1. 金の生産動向
8-1-1. Macraes 鉱山(GDR NL100%) 記号:New Zealand-Au-Macraes
国名/地域 :New Zealand/南島。Macraes Flat, Otago Region
名前 :Macraes
位置 :Macraes Flat、Dunedin の80km 北方。Palmerstonの近く。
会社名(権益比率):Oceana Gold Limited(Oceanagold) 100%
鉱床 鉱種 :Au
埋蔵鉱量 :
- 10 - ニュージランド
1)(2004年)
鉱石埋蔵量 47.5 百万t (カットオフ0.5g/t、金量2.18Moz)
鉱物資源量 94.27 百万t (カットオフ0.5g/t、金量3.85Moz)
JOGMEC (2004. 5)
2)(2003年末)推定鉱量 53.8百万t, 1.24g/tAu
資源量 113.8百万t, 1.23g/tAu
Infomine
鉱床タイプ :メソサーマル金鉱床
地質概要 :中生代変成岩中の含金石英脈鉱床。Macraes 及び Frasers 鉱床により
構成される。
生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年: 1990 年
年 金属生産量
t Au
金属生産量
Oz
回収率
%
1999 84
2000
2001
2002 162,400 Au
6,730 Ag
2003 5.443* 81.7*
2004 5.759* 83.1*
JOGMEC (2004)
*Infomine
採鉱法 :露天掘り(Macraes)及び坑内掘り(Frasers)
金属回収法 :浮遊選鉱、CIL。1999 年9月にPressure Oxidation 法が導入されたため、
回収率はそれまでの70%から84%に上昇した。 選鉱能力4.5百万t/年。
備考 :本鉱山はニュージーランド最大の金鉱山である。本鉱山は生産開始当初の 1990
年代半ばでは鉱命 7 年、可採鉱量は 80 万 oz 前後と見積もられていた。しかし 1999 年 9
月にPressure Oxidation法が導入されたため、回収率はそれまでの70%から84%に上昇し、
キャッシュコストの削減にも成功するとともに、生産量増加も可能となった。鉱石処理量
は、1990 年の操業開始時の 1.5 百万 t/年から 3.9 百万 t/年まで増加している。
周辺探鉱も積極的に行なわれており、Fraster 鉱体では 2002 年の調査により鉱量が 15%増
しとなる 3.0 百万 oz(平均金品位 4.0g/t)が確認されている他、Macraes North でも有望な
鉱徴を捕らえている。
また、新技術(加圧酸化法)を導入した製錬プラントの拡張を計画しており、今後 5 年内
に鉱石処理能力を現在の 4.5 百万 t/年から、5.0 百万 t/年に引き上げる予定である。
- 11 - ニュージランド
文献
・ JOGMEC (2004.5) 金属資源レポート 特集号:世界の鉱業の趨勢 Vol.34 No.1
・ 金属鉱業事業団(2003. 5):海外鉱業情報 特集号:世界の鉱業の趨勢 Vol.33 No.1
・ Mining Annual Review 2003: Mining Communications Ltd. 2003
・ 金属鉱業事業団 (1991):地質解析委員会報告書。 東南アジア・オセアニア島嶼
地域の地質と鉱物資源
・ http://www.infomine.com
8-1-2. Martha 鉱山 記号:New Zealand-Au-Martha
国名/地域 :New Zealand/ Coromandel Peninsula、 北島
名前 :Martha
位置 :Waihi、Coromandel Peninsula, 北島。Aucklandの南東110Km。
緯度・経度 :南緯 37 度 23 分、東経 175 度 51 分
会社名(権益比率):Waihi Gold Mining 社
Newmont Australia 社 67%
Auag Resources 社 33% (JOGMEC 2004. 5)
あるいは Newmont Mining Corp. 100% (Infomine)
鉱床 鉱種 :Au
埋蔵鉱量 :(2004)
鉱石埋蔵量 5.4 百万t 3.2g/tAu、30g/tAg
鉱物資源量(鉱石埋蔵量を含む) 5.5 百万t 3.2g/tAu、32g/tAg
JOGMEC (2004. 5)
鉱床タイプ :浅熱水鉱床
地質概要 :急傾斜の脈状鉱床。走向延長 1,600m。
生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年 :1880 年代 露天掘り開始 1988
年 粗鉱生産量
Mt
金属生産量
Oz
金属生産量
t Au*
1999 (4-9) 1.881
1999.7-2000.6 3.174
2000.7-2001.6 2.957
2002 1.300 127,700 Au
916,000 Ag
3.628
2003 3.428
JOGMEC (2004. 5) *Infomine
採鉱法 :露天掘り.深さ250m まで達している。町の際まで達しているのでピット
の拡張が難しく、ピット内から坑内掘りに移行する予定。
副産物等 :Ag(年産約 20t)
備考 :本鉱山は同国第 2 位の金鉱山で、1880 年代より採掘が続けられている。今後ミ
- 12 - ニュージランド
ル、クラッシャー等の設備更新を行ないさらなる生産効率化を進め、2004 年生産
開始予定の Favona 鉱体とともに 2007 年までの操業を予定している。
Favona 鉱体は Martha 鉱山近傍 2km に位置し、幅 25m 程の脈、さらに隣接する
Moonlight 脈も有望とされ、金量は 50 万 oz、金生産量 10 万 oz/年と計画されて
いる。両鉱脈は地表 100m 以下の深度に賦存しており、Martha 鉱山露天掘下部か
ら坑内掘にて連結され、鉱石は Martha 鉱山に隣接するプラントで処理される。
2003 年中に F/S が完了し、2004 年までに生産開始を予定している。
文献
・ JOGMEC (2004. 5) 金属資源レポート 特集号:世界の鉱業の趨勢 Vol.34 No.1
・ 金属鉱業事業団(2003. 5):海外鉱業情報 特集号:世界の鉱業の趨勢 Vol.33 No.1
・ Mining Annual Review 2003: Mining Communications Ltd. 2003
・ http://www.infomine.com
8-1-3. Grey River 鉱山
位置:Grey River Valley、Greimouth 北方 20km
鉱種(鉱床タイプ):金(漂砂鉱床)
権益:Birchfield Mineral 社 100%
1989 年に採掘が開始された漂砂鉱床で、300m×100m の範囲のドレッジを行っている。
93 年に開山された。資源量は、過去の権益保有者により 80 百万 m3(金品位 127mg/m3、平均
22m)とされている。現在残存している資源量は、16 百万 m3(金品位 85mg/m3、金量 45,250oz)
とみられている。Grey River に沿った現鉱区の北西側に新規鉱区を取得済みで 10 年程度
の操業が可能である。新規鉱区部分の資源量は 17 百万 m3(金含有量 80,000oz)である。生
産量は公表されていないが、採掘量は 3.5 百万 m3/年(品位は 85mg/m3)規模。金生産量は
5,000oz/年程度とみられる。
8-1-4. Waikata Valley 鉱山
位置:
鉱種(鉱床タイプ):金
権益:L&M Mining 社 100%
南島西海岸に位置する漂砂鉱床で、2001 年 2 月より生産を開始した。24 時間(週 7 日稼
動)半自動バケットにより、全体で約 105ha をドレッジする。金生産量 20 千 oz/年、2008
年までの操業を計画している。
8-2. ミネラル(アイアン)サンド
ニュージーランドのミネラルサンドはそのほとんどがチタン磁鉄鉱であり、主に国内及
び豪州での鉄源として利用されている。
- 13 - ニュージランド
8-2-1. Taharoa 鉱山
位置:North Island
鉱種(鉱床タイプ):鉄(チタン磁鉄鉱系ミネラルサンド)
権益:BHP New Zealand 社 100%
8-2-2. Waikato Heads 鉱山 (BHP New Zealand 社 100%)
位置:Auckland から 50km
鉱種(鉱床タイプ):鉄(チタン磁鉄鉱系ミネラルサンド)
権益:BHP New Zealand 社 100%
粗鉱処理量は約 3.5 百万 t で、約百万 t のチタン磁鉄鉱精鉱を生産している。精鉱は、
同社の Glenbrook 製鉄所の鉄源となる他、日本及び中国の製鉄メーカーに輸出されている。
鉱石埋蔵量は 67 百万 t(鉄 37.6%)、精測鉱物資源量は 215 百万 t(鉄 27.2%)、概測鉱物資
源量 64 百万 t(鉄 20.7%)。精鉱は 18km のパイプラインにより運搬され、Taharoa 鉱山産精
鉱とともに BHP Billiton の Glenbrook 製鉄所の鉄源となる。
9. 新規鉱山開発状況
9-1. Favona(Newmont 社 100%)
位置:Martha 鉱山に近傍、Union Hill、Wahi
鉱種(鉱床タイプ):石英脈
権益:Wahi Gold 社、Newmont Mining 社
Martha 鉱山から 2km に位置し、幅 25m 程の脈、さらに隣接する Moonlight 脈も有望とさ
れている。金生産量は当初 10 万 oz/年と計画されている。両鉱脈は地表 100m 以下の深度
に賦存しており、Martha 鉱山露天掘下部から坑内掘にて連結され、鉱石は Martha 鉱山に
隣接するプラントで処理される。鉱物資源量は1.65百万t(金 11g/t、銀43g/t)。2003 年 11
月に建設申請が提出され、すでに建設許可はおりているが、操業開始時期等は未定である。
9-2. Globe Progress
位置:Reefton から SW6km。Reefton、Blackwater プロジェクトと隣接。
鉱種(鉱床タイプ):金銀(石英脈タイプ)
権益:GRD NL 社 100%
本プロジェクト全体は、19 世紀末に採掘されていた Globe Hill 鉱山を含む広大な再開
発、新規開発プロジェクトで、その範囲は 260ha に及ぶ。Globe Progress、General Gordon、
Souveni、Cumberland の各鉱区を含む。生産は 2004 年第 4 四半期に生産開始を予定。粗鉱
処理量は 1百万 t/年(金品位は 2.59g/t)、金精鉱生産量は 68,000t(金品位 36g/t)を予定。
2005 年の金生産量は 60,000oz であるが、その後 80,000oz まで増産する計画である。GRD
社は周辺での試すい探鉱も行っている。
- 14 - ニュージランド
9-3. Blackwater
位置:Reefton から SW 6km。
鉱種(鉱床タイプ):―
権益:GRD NL 社
Globe Progress プロジェクトの一環として、Reefton とともに同時に進められている。
51 年の閉山当時ニュージーランド最大の金生産量であった Blackwater 鉱山の再開発が中
心となる。2003 年後半の生産開始を目指して建設が進められている。鉱量は金量 50 万 oz
程と予想され、今後 3,4 年内の生産開始を目指す。
9-4. Reefton
位置:Reefton から SW 6km。
鉱種(鉱床タイプ):―
権益:GRD NL 社
Reefton 鉱床の鉱石埋蔵量は 7 百万 t(金品位 2.59g/t、カットオフ品位 0.9g/t)、鉱物
資源量は 14.4 百万 t(金品位 2.82g/t)。浮遊選鉱により精鉱を生産し、Macraes 製錬プラ
ントに運搬・投入される。生産量は Blackwater プロジェクトと合わせて、粗鉱生産量 1.3
百万 t/年(金品位 3.6g/t)で、金量 13 万~14 万 oz/年を予定している。
探鉱・開発案件概要 記号:New Zealand-Au-Favona
国名/地域 :New Zealand/Wahi
名前 :Favona
位置 :Martha 鉱山から 2km、Union Hill、Wahi
会社名(権益比率):Wahi Gold 社、Newmont Mining 社
鉱床 鉱種 :Au
埋蔵鉱量 :鉱物資源量 1.65百万t
品位 :11g/tAu、 43g/tAg
鉱床タイプ :石英脈
地質概要 :鉱脈は地表100m 以下の深度に賦存
計画の概要 :金生産量は当初10万oz/年と計画。鉱脈は地表100m以下の深度に賦存し
ており、Martha 鉱山(操業鉱山 別ファイルあり)露天掘下部から坑内掘にて連結され、
鉱石はMartha 鉱山に隣接するプラントで処理される。
2003年11月に建設申請が提出され、すでに建設許可はおりているが、操
業開始時期等は未定である
文献
・ 金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC
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10. 探査状況
NZ 経済調査所の研究では、同国の探鉱プロジェクト、鉱徴地の多くが開発・生産に至れ
ば、鉱業界はもとより関連するエネルギー、運搬、重機産業の牽引により、2010 年までに
同国の経済成長率を 2.3~3.4%にまで促すポテンシャルを有するとされている。
この予測では、主要な新規鉱山として金鉱山が 2 件、PGM 鉱山が 1 件の開発が見込まれ
ており多少楽観的な予測であることは否めないが、新規金属鉱山とともに、石炭輸出量の
増加、磁鉄鉱、建材も順調に生産増加することが期待されている。
同国の金属資源として重要なのは金、鉄鉱石(磁鉄鉱)及び PGM であるが、金を中心に小
規模ながらも各地で探査が行なわれている。同経済研究所は、鉱量を残しつつも 1950 年
代に閉山した鉱山(主に金)を現在の技術を用いて再開発を行なうことが鉱業活性化の起
爆剤になると指摘。さらに、同国の鉱業統括機関である Crown Minerals は鉱業活性化の
ため外資の参画も期待し、①地質・探鉱データベースが豊富、②開かれた経済、③政情・
社会的な安定性、④低率な生産ロイヤリティ、⑤発達したエネルギーインフラ等の同国の
特色を挙げ、積極的な参加を求めている。
10-1. 金
10-1-1. Hyde-Macraes
位置:Otago近郊(南島)。 Marcraes鉱山の北西6km。
鉱種(鉱床タイプ):金、タングステン(メソサーマル金鉱床)
権益:Propchecy Mining 社
Macraes 鉱山と鉱区を隣接し 1999 年より調査が開始された。地質・地化学探査、物理探
査により、Macraes 鉱山同様の鉱化作用が確認されている。現在のところ初期探鉱段階で
あるが、Hyde-Marcraes シェアゾーン沿いに探鉱が進められている。
10-1-2. Earnscleugh
位置:Otago 近郊。
鉱種(鉱床タイプ):金(漂砂鉱床)
権益:L&M(82.3%)社、March Mining(Central)社(17.7%)、
当初は Perilya 社により開始されたが、99 年に L&M 社が全権益を取得した。Perilya 社
の調査では 460 千 oz の金量が見積もられているが、現在の鉱物資源量は 163.2 百万 m3(金
品位 0.11g/cm3、金量 577,000oz)。操業開始後は、35,000~40,000oz/年で 12 年間の操業
を計画している。
10-1-3. Waikaka Valley
位置:Gore 北西約 45km
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鉱種(鉱床タイプ): 金(漂砂鉱床)
権益:Eureka Mining 社 100%
L&M 社の Waikaka Valley 鉱山と同様ワイカカ川河床に堆積した漂砂鉱床である。調査は
1995 年に開始され、2000 年に F/S を完了、金量は 200 千 oz と見積もられている。
10-1-4. Macetown
位置:Otago 近郊。
鉱種(鉱床タイプ):金(メソサーマル鉱床)
権益:HPD Exploration 社 100%
南島オタゴ地域に位置し、英国企業により最近開始された。同地域は、現在操業中の
Macraes 鉱山の他、戦前までに多くの小規模鉱山で金が採掘されており、同社は 1,786km2
の鉱区を取得。この鉱区にもいくつかの旧坑が含まれており、なかでも Macetown Field
では過去に 1.28t の金が採掘されている。同社はこの他 2 か所で鉱区を取得している。南
島北部の Marlborough 地域で 1,010km2の鉱区を取得しており、走向長 1.8km の金鉱脈が確
認されている。また北島では Waihi 鉱山近傍の Hauraki エリアでは 876km2の鉱区を取得し
ている。
10-2. 白金族金属
ニュージーランドの白金族金属(以下 PGM)鉱床・鉱徴地は、超塩基性~塩基性岩体や分
化岩体中のクロム鉄鉱岩(層)に伴うものと、これが風化、侵食された漂砂鉱床が主体とな
る。南島南端部のロングウッド山脈及びその対岸のスチュワート島の超苦鉄質岩体、これ
らを起源とする漂砂鉱床、南島南西部の北部フィヨルド地域、南島北西部のネルソン周辺
が主要な鉱徴地として知られている。
過去に南島の漂砂性鉱床において、金の副生産物として 19 世紀末に生産が行われてお
り、南島南端の Longwood 地域で 1897~1907 年の間に 47kg が生産された。近年の PGM 需要
の増加していることや、漂砂性金鉱床における重力、浮遊選鉱が応用できることから、漂
砂性 PGM を対象鉱種とした探鉱プロジェクトが活発化している。現在のところ具体的な生
産計画を描けるまで進展しているプロジェクトはないが、一部で試すい調査等が実施され
ている。
10-2-1. Woodlaw(Anzex Resources 社(カナダ) 100%)
南島インヴァーカーギル北西約 40km に位置し、周辺には多くの超塩基性~塩基性岩体
が知られている。なかでも最大のLongwood岩体はPGM、ニッケルの鉱化が期待されている。
現在、川砂地化学探査、ボーリング調査を中心に調査が行われている。
10-2-2. Richmond Range(Commonwealth Resources 社 100%)
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南島北部ネルソン南部に広がるリッチモンド山脈は、主に超塩基性岩層を中心としてお
り、この中のクロム鉄鉱層中に PGM 鉱物が伴われている。本地域の Lee 川底には、クロム
鉄鉱とともに PGM 鉱物が堆積していることが知られており、現在同社はポテンシャル評価
のため、川砂地化学探査等を実施している。
(2004. 5. 13/キャンベラ事務所 神谷夏美)
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11. 製錬所概要
銅、鉛、亜鉛、ニッケルの該当なし。
主要鉱山製錬所位置図
Macraes
Martha Favon
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操業鉱山
New Zealand-Au-Macraes, Macraes, Macraes Flat(Lat;45゜23´S,Long;170゜26´E),80km
N Dunedin
New Zealand-Au-Martha, Martha, Waihi(Lat;37゜23´S,Long;175゜51´E)、Coromandel
Peninsula
探鉱開発
New Zealand-Au-Favona, Favona, Martha SW 2km、Union Hill
[http://www.favona.co.nz/text/hist.html]
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12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況
該当なし
資料(統計、法律、文献名、URL 等)
Geological & Nuclear Science Ltd., Mineral Wealth of New Zealand
金属鉱業事業団 平成 3 年地質解析委員会報告書 東南アジア・オセアニア島嶼地域の地質
と鉱物資源