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平成22年度 学力向上総合推進事業 平成22年度 学力向上総合推進事業 平成22年度 学力向上総合推進事業 平成22年度 学力向上総合推進事業 授業改善アクションプラン報告書 授業改善アクションプラン報告書 授業改善アクションプラン報告書 授業改善アクションプラン報告書 高等学校「情報科」 高等学校「情報科」 高等学校「情報科」 高等学校「情報科」 事業概要 P1 情報システムの概要 P2 (1)ツールとしての情報システム (2)学校間総合ネットにおける情報システムの活用方法 実践報告 P3 (1)岐阜県立大垣商業高等学校における実践 P4 (2)岐阜県立池田高等学校における実践 P14 (3)岐阜県立関有知高等学校における実践 P22 (4)岐阜県立関高等学校における実践 P27 (5)岐阜県立大垣養老高等学校における実践 P32 資料編 P35 (1)実践した各科目の単元指導計画及び学習指導案例 P35 (2)他教科でも活用できる学習教材事例 P45 (3)高等学校情報科授業改善委員会参加者 P59 岐阜県教育委員会 学校支援課 平成22年度高等学校情報科授業改善委員会

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平成22年度 学力向上総合推進事業平成22年度 学力向上総合推進事業平成22年度 学力向上総合推進事業平成22年度 学力向上総合推進事業授業改善アクションプラン報告書授業改善アクションプラン報告書授業改善アクションプラン報告書授業改善アクションプラン報告書

高等学校「情報科」高等学校「情報科」高等学校「情報科」高等学校「情報科」

1 事業概要 P1

2 情報システムの概要 P2(1)ツールとしての情報システム(2)学校間総合ネットにおける情報システムの活用方法

3 実践報告 P3(1)岐阜県立大垣商業高等学校における実践 P4(2)岐阜県立池田高等学校における実践 P14(3)岐阜県立関有知高等学校における実践 P22(4)岐阜県立関高等学校における実践 P27(5)岐阜県立大垣養老高等学校における実践 P32

4 資料編 P35(1)実践した各科目の単元指導計画及び学習指導案例 P35(2)他教科でも活用できる学習教材事例 P45(3)高等学校情報科授業改善委員会参加者 P59

主 催 岐阜県教育委員会 学校支援課編 著 平成22年度高等学校情報科授業改善委員会

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1 事業概要

本事業のねらいは、学習状況の把握を基に授業改善を実践し、「教科における言語活動の充実を基盤として基礎的・基本的な知識・技能の習得を図るとともに、思考力・判断力・表現力及び自ら学ぶ意欲や態度を育てる指導」の成果を普及することである。

高等学校情報科においては、年間の評価計画から授業場面における具体の評価規準を考察し、指導内容の明確化や重点化を図るとともに、生徒の自己評価や相互評価なども活用しながら授業改善を進めてきた。特に、各種情報システムを授業の中で効果的に活用し、授業評価を行うことに重点を置いて取り組んできた。

これまでの研究を踏まえ、本年度はある程度情報システムを限定し、より効果的な活用を検討するとともに、昨年度と同じように将来あるべき先進的な授業の在り方を目指して実践研究を進めた。

平成22年度 学力向上総合推進事業

情報科授業改善アクションプラン実施要項

1 目 的

普通教科「情報」及び専門教科「情報」の担当教員が相互連携を図りながら、ICTを活用した効果

的な学習支援の在り方について実践研究をする。

2 主 催 岐阜県教育委員会(学校支援課)

3 実施概要

(1) 学力向上プロジェクトや学力向上推進事業で過去に研究してきた成果を踏まえながら、授業で活用で

きる情報システムを精査し、それを使った新しい授業形態を工夫するとともに効果的な指導方法を研

究開発する。また、課題となっている簡素で適切な授業評価に情報システムを使い、評価方法を検証

しながら、自然と生徒の正しい情報活用能力の育成を図る。

(2) 他教科・科目との連携を図るため、他教科・科目でも共有できる教材開発も合わせて行う。

(3) 研究成果をホームページ上で公開し、県内の各高等学校へ普及を図る。

4 実施方法

県立高等学校教員数名により「授業改善委員会」を組織し、意見交流を図りながら、指導主事の指

導助言を受けて授業実践研究を行う。

5 実施日程

5月初旬 授業改善委員の委嘱

5月28日 【第1回授業改善委員会】(岐阜県総合教育センター)事業説明と研究の方向性についての協議

6月~8月 勤務校における情報システム構築と研究計画の作成

9月10日 【第2回授業改善委員会】(岐阜県総合教育センター)情報システムを効果的に活用した学習支援の方法に関する協議

9月~12月 勤務校における実践研究(授業研究会の実施を含む)

1月14日 【第3回授業改善委員会】(岐阜県総合教育センター)研究成果の発表と課題の明確化、成果の普及方法に関する協議

3月 学校間総合ネットによる成果の公開

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2 情報システムの概要

(1)ツールとしての情報システムインターネットで展開されるWebによるサービスの形態は、双方向のコミュニケ

ーション手段へと広がりを見せている。これに代表されるツールとして、CMS(Contents Management System)、SNS(Social Network Service)やe-learningシステムなどがある。

中でもe-learningシステムは、学習履歴の管理やディジタル素材を管理するだけでなく、スケジュールや電子掲示板などの各種機能をメニュー形式にするなど簡易なユーザインターフェイスで提供され、無償で利用できるようになっている。

e-learningシステムは、個人が自学自習する際や各種研修に利用されるようにユーザごとに学習履歴を記録できることが本来のメリットである。このシステムを自学自習だけでなく、授業評価や学習記録をとるため通常の授業において利用することで新しい授業スタイルを提案できると考えている。

本授業改善委員会では、授業改善につなげるツールとしての在り方を検討するため、e-learningシステムを積極的に用いた実践研究等を継続して行っている。

(2)学校間総合ネットにおける情報システムの活用方法本実践に当たっては、学校用Webサイトには全く影響を与えないようにするため、

昨年度と同様、専用のサーバ機を仮設し、授業改善委員が利用できるようソフトウェアを導入している。研究用サーバ機として準備した情報システムは表1のとおりである。

システムMoodle 1.9

スクリプト言語PHP 5.2.6-2 ubuntu4

WebサーバApache 2.2.9-7 ubuntu3

データベースシステムMySQL 5.0.67-0 ubuntu6

オペレーティングシステムUbuntu Linux 8.10

表1 サーバのソフトウェア構成

このように各委員が授業を行うための環境を準備し、授業実践を通して成果や課題点を明確にし、情報システムの活用方法を事例紹介するなどの実践研究を行ってきた。

その一方で、独自のサーバ機を保管している学校では、独自に情報システムを準備・構築し、発展的な授業実践を行う事例も多くあった。

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3 実践報告

本年度の研究においても、昨年度と同様にツールとしてe-learningシステムの効果的な活用方法を検討するため、授業実践の成果と課題を明確にすることをねらいとした。具体的には、以下のような共通目標を設定し、各委員が実践研究に取り組んだ。

双方向性のあるe-learningシステムを構築するとともに、情報化としての新しい授業形態を目指し、ツールとしてe-learningシステムを効果的に活用したよりよい授業について研究する。

実践研究においては、単元における具体の評価規準作成や適切に授業評価を行うことを前提条件とし、そのためのツールとしてe-learningシステムを効果的に活用していく。

具体的には、以下のような活用方法の実践に焦点を当てて本年度の研究に取り組んできた。

①ブラウザ上で常に閲覧できる教材と小テストを活用して基礎学力の定着を図る。②授業と家庭学習の状況を把握することで学習指導の効果的な方法を探る。③生徒の利用を通して自動的に学習教材ができ、誰もが指導できる事例を示す。

①については、教師の教材作成に関わる負担を軽減することができるし、他クラスや年度を越えて利用できる大変便利なツールである。また、生徒の基礎学力の定着を図るため、小テストを継続的に実施しながら、授業評価等の学習指導に生かしていく方法を検討する。

②については、授業での学習指導だけでなく、生徒の家庭学習の指導も含めて学力の向上を図っていく必要がある。そのため、家庭での課題や宿題等を提供するとともに、生徒の家庭学習状況を把握しながら効果的に個別指導していくことが大切である。本年度は、その具体的な実践指導事例を示すことができたが、より効果的な指導方法を今後も探っていかなければいけない。

③については、特別な情報システムに対する指導者の抵抗感を軽減していく必要がある。情報機器を利用しながら授業する中で自然と学習教材ができ、その授業の成果を活用した授業展開が他の指導者でもできるように工夫しなければいけない。他教科との関連が深い学習について具体的な指導事例を充実させていきたい。

情報科授業改善委員会におけるこれらの実践は、「情報」の授業だけにとどまらず、他教科でも十分活用できるものであると確信している。授業でe-learningシステムを効果的に活用する研究は、まだあまり実践されていない。先進的な研究の一つとして、今後も研究活動を継続していきたい。また、来年度に向けて、更に具体的な実践研究を通して、よりよい授業を目指した研究を進めていく予定である。

以下に1年間の授業改善委員による具体的な実践報告を記載する。

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(1)岐阜県立大垣商業高等学校における実践

ア 概要とねらい

1 実践目標Moodleによる、コース管理システムを活用した授業実践、及び資格試験学習の活用に

ついて、次の観点で実践と評価を行い、授業改善を進める。①授業実践

専門教科「情報」の授業でMoodleを活用した取組を年間を通して行う。評価については、Moodleの豊富な分析機能を活用した理解度の把握と分析を行い、更

に生徒個人の属性とMoodleの活用状況との関係を把握し、より効果的な指導方法を探りながら授業改善を進める。②資格試験学習

専門高校生が取り組む情報系の資格試験学習の方法として、いつでも、どこでも学習が可能であり、かつクラス間、学年間の情報交換も可能でお互い切磋琢磨できる学習環境を整備する。評価については、自主学習への取組状況とMoodleの活用状況について把握を行い、よ

り効果的な学習環境の整備を進める。

2 実践計画①授業実践

基礎科目で実践・評価を行う。情報科1年生2クラスについて、専門教科情報の科目「情報と表現」で、4月から1月までの年間を通した実践を行う。その他の科目についても、必要な単元を可能な範囲で実施する。②資格試験学習

経済産業省情報処理技術者試験(基本情報とITパスポート)を受験する生徒を対象に、コミュニティ機能を取り入れた環境を整備する。昨年度は過去問題を掲載するにとどまっており、合格に向けた系統的な自主学習を行える環境整備を整えることができなかった。このため、初歩から合格に向けてステップアップができる教材提供の工夫とコミュニティ機能を使って、生徒間相互、教員と生徒による問題解決支援機能及び相談機能などができる環境を整備し活用させる。

3 実践環境昨年に引き続き、本校独自の Moodleサイトを構築して研究計画を立てた。これは、独自ドメイン daisho.ed.jp を取得した外部公開専用Webサーバであり、学校

間総合ネットとは接続してない。このため、授業での活用の他に、家庭でも同様の学習が可能となった。サーバの構成は表2のとおりである。

表2 サーバの構成 図1 外部公開専用Webサーバ

ハードウェア

Linux2.6.25-14.fc9.i686

GNOME 2.22.1

カーネル

1Gバイト主記憶装置

Intel®Celeron®CPU3.2GHz中央処理装置

ソフトウェア

Fedoraリリース9基本ソフト

Standard Moodle Packages

バージョン 1.9.6

Moodle

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イ 実践内容① Moodle教材の構成

表3②授業実践

(1)情報と表現単元目標、本時の授業計画を提示するととも

に、教師による一方的な教材提示は最小限にして、Moodle上で各自が確認できるようにした。

そのため年間計画に沿って、教科書の単元ごとにMoodle教材の作成を行った。

図3 「情報と表現」のメニュー画面

図2 オンラインテキスト教材

各単元の最初の授業で、「オンラインテキストで作成した教材」を用いて板書の代わりに説明等を行い、ノート整理をさせた。

また適宜、「補足資料」などを掲載し、次回以降については、Moodle上で「課題」を提供して家庭での宿題とするなど、授業の予習復習の徹底のためのツールとしても機能させた。また、「小テスト」機能も活用して、ランダムに表示される問題を全問正解できるまで繰返し行わせるなど、4月から1年間継続してMoodleを活用した授業展開ができた。また、実習授業を行う際にも、実習の手順を説明するためにオンラインテキストで「手引き」を作成して掲載した。さらに、実験結果について考察させるため「課題」を提供し、「ブログ」機能を活用して情報交換をさせるなど、様々な機能を使って様々な形態の授業を展開することができた。そしてMoodleの各種分析・統計機能を活用して理解の定着度を確認し、それを基に改善を加えながら授業を進めることができた。

全商情報処理検定1級・2級情報モラル [1年生]

CG-ARTS検定コンピュータデザイン [2年生]

ITパスポート試験情報産業と社会 [1年生]

基本情報技術者試験情報と表現 [1年生]

自習教材カテゴリ科目カテゴリ

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図4 「課題」の提供

図5 4月から実施する小テスト一覧

図6 小テスト受験結果一覧(教師のみ閲覧可)

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図7 小テストの結果

図8 「課題」の解答を掲載したブログ

図9 「課題」の提出状況確認欄(教師のみ閲覧)

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(2)情報モラル専門教科「情報科」では、平成25年度からの新学習指導要領の大きなねらいと

して「職業倫理観」の育成が示されている。この趣旨を具現するための指導の在り方として、1年生における「情報倫理観」の育成は極めて大切であると考える。この分野の指導は、教科指導のみではなく、日常的な指導を含めた指導が重要であるため、本校では毎朝実施している朝読書の時間に週2回「情報モラル」に関する本の読書を行っている。そして、読書を行った日の「情報と表現」の授業の中で復習を兼ねる意味で、本の内容に関する「課題」を出して、Moodleの「フォーラム」機能を活用して意見交換を行い、様々な考え方を学びながら理解を深めている。

図10 「フォーラム」で提示する情報モラルの「課題」

図11 情報モラルの「課題」に対する意見交換

図9:「課題」の提出状況を確認(教師のみ閲覧)

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③資格試験学習経済産業省情報処理技術者試験(基本情報とITパスポート)を受験する生徒を対象

に、コミュニティ機能を取り入れた環境を整備し、合格に向けた系統的な自主学習を行える学習環境を順次整えていった。この試験を受験する生徒は、基本的には自学自習をしていく上に、クラスや学年も分散しているため、学習へのモチベーションを維持させることが大切となる。このため、家庭で活用できることや、質問がある場合にフォーラム機能を活用した問題解決支援機能と相談機能を充実させて、助け合いながら切磋 琢磨し合格できる環境を作るとともに、どのような効果が出るのかについて検証することにした。

コミュニティ機能を使った ①生徒⇔生徒 ②教員⇔生徒 による、問題解決支援機能、相談機能 などができる環境を整備し活用させる。

図12 基本情報技術試験のページの項目一覧

図13 「フォーラム」での質問事項一覧

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図14 「フォーラム」での問題解決支援と相談

ウ 評価①授業実践 実施クラスの属性

図15 図16

図17

1時間~2

時間22%

30分~1

時間28%

30分未満42%

やらない8%

一日の家庭学習時間一日の家庭学習時間一日の家庭学習時間一日の家庭学習時間

運動部53%

文化部47%

所属している部活動所属している部活動所属している部活動所属している部活動

実施クラスの生徒は、野球部、

陸上部、水泳部などの運動系部活

動に所属して力を入れている生徒

がやや多い。約3割の生徒の帰宅

時間は午後8時以降であり、一日

の学習時間は「30分未満」、「や

らない」という生徒が半数いる。

午後5時台午後5時台午後5時台午後5時台

5%

午後6時台午後6時台午後6時台午後6時台

25%

午後7時台午後7時台午後7時台午後7時台

42%

午後8時台午後8時台午後8時台午後8時台

17%

午後9時午後9時午後9時午後9時

以後以後以後以後11%

帰宅時間帰宅時間帰宅時間帰宅時間

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②授業実践 家庭でのMoodle活用状況

図18 図19クラス全体における家庭でのMoodle活用状況は、「よく利用している」が1割、「た

まに利用している」と答えた生徒を合わせると7割弱となっている。家庭でインターネットに接続できない環境が1割~2割程度であるので、多くの生徒が利用をしていることになる。また、予習復習での活用状況を聞いたところ、4割以上の生徒が「活用していない」と答えていることから、家庭での継続的な利用をしている人数は少ないと考えられる。

また、1日の家庭学習時間とMoodle活用状況の関係を調べた結果は次のとおりである。

図20 図21

家庭学習が2時間以上の生徒については、「よく利用している」が2割、「たまに利用している」と答えた生徒を合わせると7割以上である。これに対して、家庭学習時間が2時間未満の生徒については、Moodleを「よく利用している」という生徒はいないものの、「たまに利用している」と答えた生徒が5割を超えた。

次に、Moodleの教材を使っての感想については次のとおりである。

図22 図23

Moodleを使用した感想については、「使いやすい」と答えた生徒が3割で、「普通」と答えた生徒が7割で最も多く、細かい点で改良が望まれると考える。また、Moodleを使わない授業と比べた感想については、「使ったほうがよく理解できる」と答えた生徒が、余り変わらないと答えた生徒を上回った。

よく利用し

ている21%

たまに利

用している53%

家庭では

利用してい

ない

26%

家庭での家庭での家庭での家庭でのMoodle活用状況活用状況活用状況活用状況

(家庭学習時間2時間以上の生徒)(家庭学習時間2時間以上の生徒)(家庭学習時間2時間以上の生徒)(家庭学習時間2時間以上の生徒)

よく利用し

ている0%

たまに利

用している56%

家庭では

利用してい

ない

44%

家庭での家庭での家庭での家庭でのMoodle活用状況活用状況活用状況活用状況

(家庭学習時間2時間未満の生徒)(家庭学習時間2時間未満の生徒)(家庭学習時間2時間未満の生徒)(家庭学習時間2時間未満の生徒)

よく利用し

ている11%

たまに利

用している56%

家庭では

利用してい

ない

33%

家庭での家庭での家庭での家庭でのMoodle利用状況(全体)利用状況(全体)利用状況(全体)利用状況(全体)

よく予習復

習で活用し

ている

12%

たまに予

習復習で

活用した

44%

一度も活

用していな

44%

予習復習での活用状況(全体)予習復習での活用状況(全体)予習復習での活用状況(全体)予習復習での活用状況(全体)

使いやすい使いやすい使いやすい使いやすい

28%

使いにくい使いにくい使いにくい使いにくい

3%

普通普通普通普通

69%

Moodleを使っての感想を使っての感想を使っての感想を使っての感想

Moodleをををを

使った方が使った方が使った方が使った方が

よく理解でよく理解でよく理解でよく理解で

きるきるきるきる61%

あまり変わあまり変わあまり変わあまり変わ

らないらないらないらない39%

Moodleをををを

使うと分か使うと分か使うと分か使うと分か

らなくなるらなくなるらなくなるらなくなる

0%

Moodleを使わない授業との比較を使わない授業との比較を使わない授業との比較を使わない授業との比較

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③資格試験学習

図24 図25経済産業省主催基本情報技術者試験を受験する生徒を対象に実態調査をした結果、「試

験前に利用した」という生徒が約6割、一方で「利用しなかった」という生徒が約2割であった。また、主な利用目的として、「小テスト」と「学習教材」が多く、次いで「フォーラム」という結果であった。

また、主な記述式回答を整理すると次のとおりである。質問1 利用してよかった点は何ですか。

回答1 小テストを繰返し受けることで、反復学習が徹底できた。回答2 参考となる学習方法を素早く知ることができた。回答3 時間と場所を選らばずに自分のペースで取り組むことができた。回答4 分からないことを質問したらすぐに回答が返ってきた。

質問2 改良して欲しい点や、今後このような使い方をしたいという希望は何ですか。回答1 既存のサイトによく似たものがあるので、新しい使い方を提案してほしい。回答2 ゲーム形式にして楽しみながら学べるコーナーがあるとよい。回答3 フォーラム機能をもっと充実させてほしい。分からないにことがあったらす

ぐに質問して回答が返ってくるだけでなく、関連するサイトなども教えていただけると助かります。

エ 成果と課題①成果

・複数の科目で1年間継続してMoodleを活用した授業を展開できたことが最大の成果である。

・外部公開用サーバで教材を公開して2年目になったが、問題なく安定して稼働している。家庭で予習復習で利用する生徒も増えつつあり、ほぼ全員が使うようになればと考えている。このためには、日頃からのトータルな地道な指導が欠かせない。

・アンケート結果から分かるように、学習意欲の喚起、家庭学習の習慣化という観点でいえば、Moodleを活用した授業で一定の効果があることが確かめられた。また、家庭学習が十分できない生徒の中にも、Moodleを活用して時間を惜しんで予習復習に取り組む生徒が少なからず出てきた。特に部活動で帰宅の遅い生徒にとっては、簡潔にまとめられた教材や短時間でできる小テストなどは好評で、効果が確かめられた。

・Moodleの授業においては、教師から生徒による一方通行の使い方ではなく、コミュニケーション機能を活用した生徒間相互や教員と生徒による双方向の使い方を多く取り入れた。特に自習学習となる資格試験学習で取り入れ、学科全体で取り組める体制に向かいつつある。

②課題・家庭でインターネットに接続できない生徒が1割以上いるため、家庭学習を含めた

評価ができない。また、定期試験等の出題にも配慮が必要である。・Moodleには豊富な分析機能が用意されているが、あまり活用することができなかっ

た。このため、評価の基礎資料として活用することもなかった。授業の中でMoodleを使う場合には、分析結果などを評価項目として活用できるよう改善していきたい。

0

5

10

15

20

25

30

35

学習教材 小テスト フォーラム

主な利用目的(複数回答)主な利用目的(複数回答)主な利用目的(複数回答)主な利用目的(複数回答)

たまに利用たまに利用たまに利用たまに利用

したしたしたした

20%

試験前に試験前に試験前に試験前に

利用した利用した利用した利用した60%

利用しな利用しな利用しな利用しな

かったかったかったかった20%

Moodleの利用頻度の利用頻度の利用頻度の利用頻度

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・資格試験学習での活用については、インターネット上で既存のフォーラムなど類似のシステムが既に多く存在しているため、学校独自のシステムであるというメリットを生かし差別化を図らなければいけないと考える。

オ まとめ本校は、専門学科「情報科」の設置校である。このため、実践研究として活用したこの

1年間の成果と課題を振り返ると、今後は学科全体として活用を広げていける可能性が大きいことが分かった。

このため、来年度以降は学科内で協力体制を築いて、まずはコンテンツを更に充実させ、専門教科「情報」の授業で情報科担当教員が複数で指導できる体制を作りたい。

そして、生徒の学習と部活動の両立が図られるよう支援し、オリジナルで有効な学習支援ツールとなるよう実践研究を進めていきたい。

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(2)岐阜県立池田高等学校における実践

ア 概要とねらい昨年度、本研究にてe-learningシステムであるMoodleを授業で使用する機会を得た。昨

年度の1年間では多くの機能の一部を利用できただけであったが、それでも多くの可能性を感じることができた。

今年度は、システムの利用方法からシステムを活用した教材開発を重点的に行うこととした。また、本校では校内にMoodleサイトを構築できることになったので、クラスを越えた生徒間の情報交換・共有の場を提供し、その記録が教材となり蓄積していけるような学習環境の構築を目指したいと考えた。イ 研究計画

今年度の研究計画は次のとおりである。①Moodleサイト構築の計画

サーバとして用意したコンピュータにシステムのインストールを行い、サイト及び学習用コースを構築する。②授業実践の計画・日々の授業

生徒の参考になるように、学習内容に沿ったトピック(学習用画面)を作成する。トピックには生徒への課題や小テストなどを入れ、学習内容の確認や前時の復習などを行えるようにする。

また小テストは、生徒の速やかな教室移動と授業準備を目的として、授業開始前に各自が行う。

・課題学習(実習)課題内容の決定から発表までの流れをMoodle内で教材に沿って進めるようにする。学習において、教師からの課題指示、生徒からの課題提出のみではなく、生徒間及

びクラス間の交流機会を図る。

ウ 実践内容①moodleサイトの構築

(ⅰ)システム構築デスクトップコンピュータに、OS(Ubuntu)及びMoodleをインストールし、環境設

定等を行う。(参考:平成20年度学力向上推進事業 授業改善プラン報告書 高等学校「情報科」)(ⅱ)サイト・コース構築

コース作成、ユーザ登録などを行う。必要な作業の大半にヘルプが用意されており、指示に従うだけで簡単に行うことができた。ユーザ登録はエクセルなどで作成した一覧をCSVで読み込むことができる。

②授業での利用(ⅰ)コース画面の設定

生徒がMoodleにログインしたときに最初に表示される画面である。このメニューに沿って生徒が学習を進めるため、簡潔で分かりやすく整理されている必要があり、教科書の単元を基本としてトピックを立てる。

また、実習では実習用のトピックを立て、そのトピック内で完結できるように配慮した。(ⅱ)日々の授業

e-learningシステムでは、生徒の学習の到達度などに応じて個々に進めていくことができ、そのような教材の提供も考えられたが、日々の授業においては全体指導を重視した教材の提供と利用をしている。

・トピックの内容授業のトピックには、教科書内容と小テスト及び課題のテンプレートを配置した。

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図26 コース画面

穴埋め問題

誤答

二択問題

選択問題

誤答

得点

図27 小テスト画面

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・小テスト小テストは「穴埋め」、「選択」、「○×」他、多くの形式に対応しており、生徒が

解答を送信するごとに即時に自動採点し、結果を返す。また、採点は100%、50%等と正答率を設定することができ、更に予想される誤答に対してはあらかじめメッセージを設定することによって生徒に間違いをフィードバックすることができた。

(ⅲ)課題学習(実習)今回の実習は、生徒の住む地元の特産物、名所、歴史などについてテーマを選択し、

調べ学習を行う。(図28)この実習は今年で3年目となる。・調べる地区及び内容の決定

調べる地区は、岐阜県、西濃地区、以下各自の住む市町村とし、内容は、特産物(工業・農業)、歴史、名所、有名人とした。自分の選んだ内容について興味をもたせることをねらい、アンケートによって各項目を選んだ人数の割合を表示しながら行う。(図29、図30)なお、テーマの最終決定はフォーラムでの情報交換後とする。

・生徒間の情報交換情報交換にはフォーラム(掲示板)機能を使用した。あらかじめ地域ごとに内容別

の記入エリアを作成し、そこに各々が知っていることや知りたいことを記入する形で行う。

また、実際に情報交換を行う前に練習用フォーラムで返信の場所や言葉遣いなどを練習させ、チェックを行う。

図28 実習用トピック

図29 地区選択

図30 内容選択

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・ワークシート及び課題ファイルの配布と提出ファイルの配布と提出もMoodleで行う。生徒は、実習のトピック(図34)から実

習の流れに沿ってテンプレートファイルを「ダウンロード→実施→提出→次の作業」というサイクルで進めた。

今回、ワークシートはワード形式で作成した。生徒がそのまま記入欄に記入する形としたが、Moodleの小テストやオンラインテキストを使用することもできる。

多くの場合、生徒の課題ファイルをチェックするには、ファイルサーバの共有エリアに保存させるか、生徒の個人フォルダに保存されたものをチェックする方法をとる。前者の場合、ファイル名にユーザ名などを入れさせるか、フォルダのアクセス制限を正確に行う等の方法をとらないと、後から保存する生徒が既に保存されている他の生徒のファイルに上書したり、間違って削除してしまったりする可能性がある。また、既に提出されたファイルをのぞいたり、そのままコピーして自分のものにしてしまうなどの心配もある。しかし、Moodle上に提出する場合はその心配は全くない。また、提出回数の制限が可能で、提出日時も記録されるため、後から書き込みを防ぎたい場合は有効である。提出されたファイルはユーザ(アカウント)ごとのフォルダに入った状態で全体が圧縮され、一括してダウンロードできる。

図31 池田町のフォーラム

図32 ディスカッションの様子(スレッド表示)

図33 ディスカッションの内容

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図35 ワークシートのダウンロード

図34 実習のトピックの画面 図36 ワークシートの提出画面

図37 提出確認画面

図38ダウンロード・解凍後のフォルダ

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エ 成果と課題①小テスト

このシステムを利用する以前は、小テストという形ではなく教科書準拠の学習ノートを宿題として提出させていた。中には解答をそのまま写してくる生徒がいる。今回、授業が始まるまでの間に前時の部分を少しずつ行わせることによって、教科書などを使って調べ、解答する姿が見られた。また即座に採点されるため、評価を目に見える形で示すことができ、興味や意欲をもたせることができた。

しかし、評価が目に見えることは成果でもあるが、それだけを気にし、中には隣りの生徒が送信し評価され、正解を確認してから送信する生徒がいるので、指導の必要がある。

また、Moodleで正解になるのは、正解リストに用意されている語句だけである。穴埋め問題では用語以外の場合において「言葉の違い」を全て網羅できないことがある。この点について今後、問題作成上の工夫が必要である。

②課題ファイルの配布と提出(ⅰ)成果

ファイルの配布は、配布用の共有フォルダからコピーさせるか、今年度導入されたSKYMENUを使用した。前者の場合、ファイルの保管場所を説明する手間があることと、コピーすることなく、共有フォルダから直接開く者が出て保存時に混乱する場合があった。また、後者の場合もデスクトップに配布されたまま上書き保存し、そのファイルを紛失してしまうことが多々あった。しかし、Moodleではトピックに配置されたリンクからそのままダウンロードをし、上書き保存ができないため必然的に個々の個人フォルダに保存することとなり、混乱が生じることはなかった。

ファイルの点検では、Moodleを使用するまでは生徒の課題は提出用のフォルダに保存させるか、生徒の個人フォルダに保存させて確認をしていた。生徒の個人フォルダから確認する場合は全生徒の個人フォルダの確認に掛かる時間と労力が大きいが、その必要もなくなった。

また、提出したファイルは図37のように表示できるため、未提出者が確認しやすい。

③生徒間の情報交換※実習を進める上で

Moodleを使用する実習は、少しずつ改善しながら3年間続けてきた。昨年までの大筋は、

「テーマ決定→知っていること、知りたいことをまとめる→調べ学習→発表」の流れで行った。

Moodleを使用する以前は、生徒一人一人が各自の思いでテーマを決め、進めてきた。そのため、ネット検索によって初めて気付くことが多く、その段階で軌道修正したり、テーマそのものの変更を希望したりする生徒もかなりいた。しかし今年度は、フォーラムにてあらかじめ情報交換をすることにより、自分の選択しようとしているテーマについてより深く考えることができ、また情報も多く得られたためか、変更を希望する生徒がほとんど見られなかった。また、実際に検索を始める前から「知りたいこと」、「調べたいこと」が具体的になっており、情報集めがスムーズに進んだ。

しかし、実習の方向性が絞れた反面、フォーラムに投稿の少ない、情報の少なそうなテーマや、選択者の少ないテーマは敬遠され、テーマによって選択者数に差が出てしまった。実習を進める中での授業者による指導が更に必要であった。

※生徒間の情報交換本校では、「情報A」で実習を多く取り入れて授業を展開している。しかし情報

の発信については、Webページの作成やスライドショーを利用した発表程度に限られていた。また、学校間ネットワークの規制や憂慮すべき事柄などにより、直接インターネットへ情報発信したり、書き込みしたりすることなどはできないでいた。

しかし、生徒の様子を見ると、携帯電話を利用したブログやプロフ、SNSなど、ネットへの書き込みは日常茶飯事であり、それによって傷付いたり、被害にあったり、または逆の立場になったりという情報発信が原因とされる問題が多発している。したがって、これらのことに対する実習授業が必要であると感じていた。

今回のMoodleサイトは、学校内だけに公開されており、書き込みが授業中に限ら

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れること、発信者が確実に特定できることなどから、安心して利用させることができると考え、インターネット上で行われていることの疑似体験として生徒間の情報発信、交換を行わせることができた。普段、生徒はたとえ身近な友人であったとしても、全く顔が見えない状態での書き込みや発信を行っている。しかし、この実習では発信者がすぐ近くに存在し、クラスという大勢の中でコンピュータネットワークを通して、書き込みや発信を行うことにより、マナーの大切さや、コンピュータの先に人がいることを実感させることができた。

※情報社会に参加する態度の育成インターネット上の情報は多くの人々、機関によって提供され、蓄積されてきて

いるものである。普段の実習ではそれらを利用することしかできないが、その縮小版としての情報の発信と蓄積を体験させることができた。また、複数年にわたって行うことにより、情報の蓄積も進み、教材としての価値が出てくると考える。

③生徒アンケート・どこに何があるかが分かりやすくてよかったです。・掲示板などの機能がとて使いやすかった。・基本的な使い方はインターネットと一緒。・こうやって、だんだんネットに情報がたまっていく

んだと実感した。・簡単に開きたいものを開けた。・なんとか授業のペースについていけた。・特につまずくこともなかった。・教科書と一緒に並行してできてよかった。・たまに行き詰まってしまった。・説明を聞けば操作の仕方が分かる。・使い慣れていないため。

図39 ・パソコン自体苦手だから。

・説明通りやったから普通に分かりやすかった。・とてもスムーズにできるようになっていた。・枠とか作ってあって楽でした。・何を提出して、何が未提出なのか分かりやすかった。・簡単に提出できるところがいいと思う。・自動採点ができていて使いやすかった・自分で探して課題ができたからよかったと思う。・教えてもらいながらできた。・提出が面倒でした。・どうやって操作するのか最初は分かりにくかった。

図40

・自分の地域について知らなかったことが分かった。・自分の知りたいことを調べられたりしたので興味をも

って取り組むことができた。・自分の町が好きになりました。・歴史には興味があったので、自分の町のことを知るよ

い機会と思えば楽しくできた。・自分の出身地の歴史とか調べたことがあまりなかった

ので興味をもつことができた。・知らないことを追求するので興味は多少もてた。・初めてちゃんと調べたりしたから興味がもてた。・地域の魅力の再確認ができた。・調べる内容がなく、あまり興味をもてなかった。

図41

とてもよい

42%

どちらかと

いうとよい43%

どちらとも

言えない10%

どちらかと

いうと悪い

4%

とても悪い1%

分からな

い0%

課題のダウンロードや提出はどうですか課題のダウンロードや提出はどうですか課題のダウンロードや提出はどうですか課題のダウンロードや提出はどうですか

とてももて

21%

どちらかと

いうともて

56%

どちらとも

言えない

11%

どちらかと

いうともて

なかった

9%

全くもてな

かった

3%

分からな

0%

今回の実習は興味をもって参加できた今回の実習は興味をもって参加できた今回の実習は興味をもって参加できた今回の実習は興味をもって参加できた

かかかか

とてもよい

16%

どちらかと

いうとよい55%

どちらとも

言えない23%

どちらか

というと

悪い2%

とても悪い

1%

分からな

3%

Moodleは使いやすいかは使いやすいかは使いやすいかは使いやすいか

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図42・コンピュータの向こうに人がいるということが実感

できた。・普段しゃべらない人と係わるのがよかった。・情報がこのような方法で手に入ることが実感できた。・いろんな考え方の意見があったので興味がもてた。・知らないことを知ったり、他の人に教えることがで

きたりした。・実際に体験した人の細かい情報も分かる。・一人一人の報告の仕方が違ってとても勉強になった。・多くの情報を発信・受信できた。・他のクラスの人の情報も聞けて楽しかった。・自分は地域が特殊だったから、近くの地域の話題に

はついてけなくて、あまり興味が湧かなかった。図43 ・情報の内容が似たり寄ったりのものが多く、興味のあ

るような情報はあまり多くなかった。

・知らないことがたくさんあった。・フォーラムの中から調べるものを見付けられた。・参考にして書くことができた。・とても分かりやすかった。・自分の町をより一層知ることができた。・自分が書きたい題材のことがたくさんあった。・大体は私の知る内容が書かれてあり、新たな知識を

増やすには乏しかった。だけど、少しは知識を得ることができたのでよかったと思っています。

・自分の知らないことを知っている生徒がいた。・自分が調べようと思えることがあった。・自分のテーマに沿ったものがあまりなかった。

図44

④今後の展望今回幾つかの機能を使用して、Moodleの機能が多く、利用の自由度も大きいことが

分かった。今後は、一層の機能の利用追求も必要ではあるが、今回取り組んだ機能を更に掘り下げ、その効果の検証をして、より有効な教材を作り上げていきたい。

とても興

味をもって

参加でき

28%

どちらかと

いえば、興

味をもって

参加でした

47%

どちらとも

言えない

16%

どちらかと

いえば、興

味をもてな

かった

6%

全く興味

をもてな

かった

1%

分からな

2%

フォーラムには興味をもって参加したかフォーラムには興味をもって参加したかフォーラムには興味をもって参加したかフォーラムには興味をもって参加したか

とてもなっ

31%

どちらかと

いえばなっ

た42%

どちらとも

言えない

13%

どちらかと

いえばなら

なかった8%

全くならな

かった

3%

分からな

3%

フォーラムの記述内容は参考になったかフォーラムの記述内容は参考になったかフォーラムの記述内容は参考になったかフォーラムの記述内容は参考になったか

とても影

響している

9%

どちらかと

いえばして

いる

43%

どちらとも

言えない

30%

分からな

18%

それは、それは、それは、それは、Moodleを利用したことが影響しを利用したことが影響しを利用したことが影響しを利用したことが影響し

たかたかたかたか

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(3)岐阜県立関有知高等学校における実践

ア 概要とねらい本校では、Moodleを用いた授業実践を行い、教材を含め効果的な利用について検証した。

具体的実践としてMoodleの機能であるWikiを用いた①教材作成とその効果的な利用②情報の授業以外での利用

の二つを考えた。①では、具体的な題材として「ネットワーク利用の心構え」を取り上げた。単調な授業

になりがちであるが、将来を見すえたとき非常に大切な内容である。今回は、Moodleを利用して生徒自身が教材を作り、その教材を利用して学習することでより深い理解を得られるのではないかと考え、その効果を検証した。②では、教科だけでなく校務分掌等での利用について考えた。

イ 研究計画本校では、普通科1年生2クラスが「情報A」、理数科2年生が「情報B」、生活福祉

科1年生が代替科目「家庭情報処理」を履修している。今回は、普通科1年生1クラス(40名)で「情報A」について研究を行った。

①教材作成とその効果的な利用9月~11月 授業「ネットワーク利用の心構え」の教材作成12月~1月 Moodleを利用した授業実践

②情報の授業以外での利用9月~12月 他教科及び校務分掌での検討

ウ 実践内容①教材作成とその効果的な利用

ウィキペディアの簡易版ができないかと考えて、Wiki機能を利用し指定された項目に対する説明文を作成させた。(a)教材作成

説明する項目について、入力の練習として「関有知高校」、「1-2担任」の二つを入力させた。Wiki機能での編集は1人ずつしかできず、待ち時間ばかりで集中力が切れてしまう結果となった。また、説明する項目についても余り興味を示さなかった。

そこで、項目数を24(表4)に増やし説明文を作成させた。待ち時間を考える時間に充てることができ、スムーズに作成が進むようになった。3項目を家庭学習として調べ、授業の最初の10分間で入力させた。この作業を5回行い、計10項目以上について入力するようにした。

項目名

・iPad ・1-1担任 ・1-2担任 ・嵐・映画 ・エクセル ・Sクラブ ・MSリーダーズ・会社更正法 ・漢検 ・ガンプラ ・携帯電話・口蹄疫 ・サザエさん ・サッカー ・SPEC・生物多様性 ・関有知高校 ・著作権 ・トマト・ノーベル賞 ・メール ・野球 ・役員報酬

表4

(b)授業実践「作成した説明文の信ぴょう性について考える。個人情報の保護、ネチケット等を考

慮し、情報の内容を評価する。」を本時の目標に、事前に作成した説明文のうち「トマト」、「ノーベル賞」、「役員報酬」、「1-2担任」、「サザエさん」の5項目について、プリントとMoodleを併用した授業を行った。全てMoodle上で行うことは可能だが、生徒へのフィードバックを考えるとプリントを併用した方がよいと考えた。

個人用プリント(図45)を利用して、作成した文章が説明文として適切かどうか、内容が信じられるかについて考えさせた。次に、個人用プリントを参考にグループ討議

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を行い、意見を統一させた。グループ用プリント(図46)にまとめ、それをMoodle上に回答させ、プロジェクタおよび各PCで表示させてグループの意見を発表させた。

発表を聞いて自分の考えをMoodle上にまとめさせる予定であったが、時間が足らず宿題とした。

図45 図46

②情報の授業以外での利用進路指導部就職担当から、就職試験の対策として利用できるのではないかと提案され

たことを受け、最近のニュースから幾つか題材を取り上げた。表4における太字がそれである。

今回の研究対象である1年生は、まだ視野も狭く、社会を具体的にイメージできていない。3年生であっても限られた世界で進路を考えていることがほとんどであり、今回の企画により、幅広い分野の情報に触れながら自分自身に対する理解を深め、より主体的に進路を選択する力が育成できると考えた。

エ 考察①教材作成とその効果的な利用(a)教材作成

「○○○○について説明しよう」という問いから始めて、最初のうちは掲示板やブログでよく見る表現(図47)ばかりで、簡易版とはいえウィキペディアとはとてもいえないものであった。中身が増えるに従って文章も説明らしくなり、表現や内容も訂正されていった。(図48)これによりデータとしての信ぴょう性も上がった。このことについては、自分でもずいぶんうまく書けるようになったというコメントの他に、

・知らないことがたくさんあったけど、分かったことがたくさんあった。・詳しくしっかり書けた。・初めは個人の意見ばかり書いてあったけど、後のほうは少なかった。・みんなと相談することでちゃんと書けた。

などと、生徒自身が感じていた。このように、生徒自身が教材を作成することは、情報手段の活用という側面だけでな

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く、生徒の主体的な学習活動に結び付くという結果となった。調べていくうちに自信をもち、積極的になっていく生徒の姿が見られるようになった。「これだけ書けばよいだろう。」という考え方から、「もっと書けるはず。」という考え方に変わってきた。さらに、間違いを訂正したり内容を追加したりする生徒も出てきた。得た情報を積極的に周りの者に伝えようともした。教材作成も4回、5回と回数を重ねるごとに探究的な学習になっていったことは大きな収穫であり、Wiki機能の利点が発揮された結果といえる。

図47

図48

(b)授業実践今回は、生徒自身が作成した情報を生徒自身が考え、信ぴょう性を問い、内容を評価

する実習であった。信ぴょう性等を考える前に、考慮すべき内容を授業の始めに復習として四つ(図49)確認した。考える項目をクリックすればすぐに内容(図50)が表示され、何度でも確認できるところはMoodleの利点であり、授業時間内に何人か確認している姿も見られた。ささいなことかもしれないが、情報を主体性に活用しようとする態度を育成する上で大切にしたい。

図49

図50

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個人用プリント(図45)の中で、「項目の説明文として適切か、不適切かを選びなさい」という問いに対して、どのように考えて「適切・不適切」を選んだのかを答えさせた結果が表5である。また、「説明文の内容が信じられるか、信じられないか選びなさい」という問いに対してもどのように考えて「信じられる・信じられない」を選択したのか答えさせた結果が表6である。

よく分かって選択した 51%

主な選択理由・多くの情報が載っている。・説明がしっかりとされている。・知っている情報と同じだった。・項目ごとにきれいに分けてあって見やすい。・説明文もあるけど、中には個人の感想も書いてある。・語尾に「~らしい」とか「~と思う」という表現が使われていて説明文として

はダメだと思う。・文がおかしい。

よく分からなかったが選択した 49%

主な選択理由・多くの情報が載っている。・会社名、個人名、受け取った金額等が隠すことなく書いてある。・文の意味がよく分からない。・文がおかしい。

表5

よく分かって選択した 58%

主な選択理由・同じことを別々の人が書いているから。・テレビでもやっていたし自分でも調べたから。知っているものがあるから。・○○先生の説明を聞いたから。・もらった月日や赤字になったことなど正確に伝えていると思ったから。・調査がしっかりしてある。・本人に直接聞いた内容だから。・例として挙げられている内容と項目の言葉の意味が一致しているから。・たぶん大丈夫だと思う。・表現は不適切な部分もあるが、内容は共感できるものもあり信じられる。・うそは書いてないと思うから。・好き嫌いが激しいなど、個人的なことが書いてあるから。・よく分かったから。・ネットで調べたら間違っていた。・本当かどうか分からない情報があるから。・あいまいな表現か使われているから。・高額所得者が多すぎると思うから。

よく分からなかったが選択した 42%

主な選択理由・詳しく書いてあるから。・リアルだし、ネットで調べてみたら合っていたから。・本当のことっぽいから。・生徒が書いているから。うそじゃなさそうだから。・なんとなく。

表6

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どちらの問いにおいても「よく分からなかった」と回答した生徒が半数近くいたことは、情報の信ぴょう性、真偽を判断する能力が身に付いておらず、情報を表面的に捉えていることを表している。情報機器やサービスが進化し、生徒は労なく様々な情報を手に入れてきた。ネット検索においては、自分が何を知りたいのかを考えることさえ機械に頼ることができる環境で、生徒の情報活用能力の成長を阻害しているのではないかとすら感じさせる。

生徒に情報というものを体験させ、その経験を積み重ねることで情報の信ぴょう性、真偽を判断する能力は育成できる。この点において、今回のグループ討議や発表会はとても有効であった。生徒は、グループ討議や発表会で意見を聞いていくうちに何も考えていなかった自分に気付くことができた。さらに、受信者としての意識しかもっていなかった生徒が、自分が情報の発信者だったことに気付き、自分が発信した情報なのに分からないなんておかしいと思えるようになった。後日、個々の考えをまとめさせたところ、

・信じられないと言われた時は、しっかり調べて書いたのにちょっとショックでした。・大きく否定されたわけではないが、何となく気分が悪い。・もっとしっかり書けばよかった。・相手に読んでもらうことを考えていなかった。・ちゃんと書いてなかったからしょうがないかなと思った。

など、発信者としての立場で意見を書く生徒もいた。また、「よく分からなかった」と回答した生徒からは

・今回の説明文の作成では、何も考えずに書き込んでいました。読む人のことを考えて書く必要があると思いました。ちょっとした言い方で、信ぴょう性が損なわれることを知りました。

・しっかり見ないと分からないことがたくさんある。そのためには勉強しないといけないと思った。

・学校の勉強も大切なんだと少し思った。といった意見も見られるようになった。情報の表面を見るのではなく、深く類推する論理的分析力や洞察力が必要だということに気付き、学習の必要性や意義を理解できるようになった。

②情報の授業以外での利用就職試験対策だけでなく、社会人としての常識、問題解決能力の育成という観点から

選んだ6項目(表4)であったが、半分以上の項目でほとんど入力できない状況となった。高校3年間のキャリア教育の中で計画的に実施すべき事柄であり、進路指導部や学年会と協力して実施すべきであった。

オ 今後の課題と展望情報の信ぴょう性を考えるに当たって、「各自が判断するためには、対象となる情報に

ついてある程度の知識が必要である。学校を含め様々な場での学習が必要である。」とまとめたが、この点については生徒もおおむね理解できていたようである。しかし、生徒たちを取り巻く環境に対応するためには、情報活用能力の育成、モラルやマナーといった問題だけでは済まなくなってきており、法教育についてもしっかり行う必要が出てきている。

情報システムであるMoodleについては、生徒が主体的に活動する場面において支援ツールとしての利用価値は高いが、万能ではない。生の授業にもそのよさはある。それぞれのよさを生かして授業を展開することが授業改善につながると考えている。また、Moodleは教科「情報」のためだけのツールではなく、他教科でも十分利用可能なツールである。今後、他教科とのコラボレーションについても進めていきたいと考える。

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(4)岐阜県立関高等学校における実践

ア 概要とねらいプリント学習が中心となっている授業形態の中におけるMoodleの有効利用法の模索及び

効果について研究をし、実践授業を行う。

①本校の現状本校は、普通科1年生7クラス、2年生7クラス、3年生8クラスの学校である。本校では、1年生7クラスにおいて「情報B」を実施している。授業は全てT.T.で

実践している。T.T.の主担当はできるだけ情報免許所持者が担当し、副担当は免許を所持していない者が担当することが多い。また、T.T.の副担当は全て数学の教員で、来年度も数学の教員で情報を担当することになる予定である。1年生の数学科の教員が中心に担当することになるため担当教員のスキルに頼るところが大きい。

現在、情報免許所持者は数学科1名と理科(物理)1名の2人であるが、理科の教員については、担当時間数の関係で情報の授業は担当していない。

授業形態については、講義形式中心の授業とコンピュータ実習の二つをほぼ同時間数実施している。期間の前半が講義形式中心の授業となり、後半がコンピュータ実習となっている。H21年度の新しいコンピュータの導入に伴い、コンピュータルームでも講義形式中心の授業ができるよう机上にスペースの確保はしたが、基本的には講義形式中心の授業は教室で行った。

講義形式中心の授業はプリント学習を行っている。教科書の内容をまとめた形となっており、基本的には、板書したものを生徒が写したり、グループ討論の形をとったりしながら授業をすすめている。

コンピュータ実習については、前期が表計算ソフトの関数(vlookup関数)の実習を行い、後期はVBAを利用してアルゴリズムの実習を行っている。アルゴリズム実習の後は、総合実習で個人別に課題を与え、それまで学習してきた知識を利用しながら課題に取り組ませている。

将来的には、情報の授業は全てコンピュータルームで実施できるようにするとともに、今回研究することになったMoodleを有効的に活用できるようにしていきたいと考えている。課題の配付などについては、既存のシステム(SKYMENU)との使い分けなども考えていく必要がある。

②Moodleの利用対象7クラス全てにおいて利用するのが理想であるが、指導者側にMoodleシステムの理解

不足という問題があるため本年度は自分が担任してるクラス(40名)で利用していくことにした。

そのため、他クラスとこのクラスとの指導バランスを考えながら研究を行った。

イ 研究計画Moodleの利用は初めてであるため、利用してみること(コンテンツ作成や評価法の模索

など)を第一の目標とした。また、コンピュータルームのドメインサーバとの連携も考えて、学校独自でMoodleサー

バを立ち上げることも目標とした。10月 サーバー構築11月 コンテンツ作成12月 研究授業

1月 研究のまとめ

ウ 実践内容①コンテンツ作成や評価法の模索など

まずは、Moodleがどのように利用されているかという情報収集を行った。県内では大垣商業高校に外部向けのMoodleサーバがあり、大変参考になった。コンテ

ンツも豊富で研究授業見学でも、Moodleが授業の一部に溶け込んでいる様子がよく理解できた。

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続いて、大学での利用状況を参考にした。近隣では三重大学や名古屋工業大学で利用されており、特に名古屋工業大学では他のサーバとの連携についてもホームページ上に説明してあり、授業に限らず、生徒が継続的にMoodleを利用していく際の参考になると思われる。

次に、コンテンツの作成だが、本校ではこれまで利用してきたプリントをベースにして授業を展開してきた経緯があり、本年度もその流れを変えずに授業を行う必要があった。そのため、コンテンツの作成はプリントからの流用で作成することができた。しかし、プリントが定期考査範囲となるため、プリントへの書き込みなどをする必要がある。プリント提出も評価対象の一つになっているため、当面はプリントとMoodleの両面で授業展開を考えていく必要があった。

本年度は、いきなり成績評価とMoodleを結び付けるのは困難であると考え、現状況下で生徒に無理なく、授業展開も大幅に変更しなくても済む方法に限定した。その結果、Moodleの多くの機能の中から、「フォーラム機能」を選択し、研究授業のテーマの一部とした。

研究授業では、「モデル化とシミュレーション」の確率的モデル(いわゆる待ち行列)を取り扱うことにした。

確率的モデルは、他のモデルと異なり生徒の身近な例としては適当なものがなく、どのような職種において利用されているかから説明をして、テレビCM等で観ている車の衝突や家の耐震性といった例との差異を認識させるところからスタートした。

いかにコンピュータで処理することが有効であるかという点を強調するため、コンピュータ実習をする前に、実際にサイコロを振らせて、数学的モデルから計算をさせた(図51)。どのクラスでも、実際にサイコロを振らせてみると、説明から平均待ち時間の計算までに1時間を使うことになった。

研究授業では、シミュレーションの目的や、問題解決方法をグループで考察していくことをメインテーマとして取り扱った。

具体的には、経営者として販売シミュレーションを行った際に、いかにお客さんにストレスを感じさせないようにできるかを考えさせた。

より多くの意見が出るよう、グループ討論の形にした。

実際の授業の流れをMoodle上で表現したものが図52である。他クラスでは、教室で授業を行い、全て黒板のみで説明を行ったが、板書する時間だけで授業全体の約2/3程を費やし、更に生徒が板書を写す時間に1/3を費やしたため授業全体のほぼ1時間が過ぎた。この節に限っては板書しなければいけないことが多かったので、仕方がなかったと考えている。

図51 確率的モデルのプリント

図52 モデル化とシミュレーションの流れ

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生徒に情報を提示するときに、教員用コンピュータの画面が出力されるようなシステムをもっている学校がある。本校には大型スクリーンかSKYMENUの機能を利用して提示するようにしているが、生徒に情報を提示する方法を今後研究していきたい。

図53は、プリントから作成したコンテンツである。

これは、モデル化に必要な要素や式の一覧である。研究授業では、重要なところでもあったため、Moodleと大型プリンタの出力の二つのパターンで生徒に示した。モデルの変更についても授業展開していくことができればよかったのだが、時間不足でそこまでは実施できずに終了した。

プリンタ出力には、出力用紙に直接ペン書きできるというメリットがある。コンピュータだけではなく様々な媒体を利用していきたい。

図54が、Moodleのフォーラム機能である。各グループの発表を記事として載せ、他のグループメンバーがそれに対してフォロー記事をアップするという展開にした。なお、記事には書式を設定し、他の班員がフォローしやすくするための指示を出した。

図55が、グループ発表の一つであり、図56はそれに対するフォロー記事である。

グループ活動の様子を見ていると、積極的に話し合っているグループが多く、投稿にもそれほどの時間が掛かっているようには見えなかった。これは、Moodleが授業支援ツールとしての役割を十分に果たしている証拠でもある。

今回のMoodleを利用した授業については、非常に興味をもって授業に参加できたという生徒がほとんどであった。また、「今後このような形態での授業を期待しますか」という質問に対しても、肯定的な回答が多かった。アンケート結果は以下のとおりである。

図54 Moodleのフォーラム機能の画面

図55 グループ発表の内容 図56 グループ発表へのフォロー内容

図53 プリントから作成したコンテンツ

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<生徒評価>研究授業の個人評価結果(5段階で評価)

5 4 3 2 11:シミュレーションの取組 38 50 12 0 02:個人考察の取組 50 43 7 0 03:グループ内の討論の参加 23 65 10 2 04:他グループへの考察作成 18 30 38 10 45:本時の授業全体への取組 38 55 7 0 0 (%)

表7評価は次の5段階である。

5(とてもよい)4(よい)3(普通)2(どちらかというとよくない)1(悪い)

※4:他グループへの考察作成 の評価については、時間不足による作成不可を含む

フォーラム機能を利用した授業について

はい いいえ興味をもって利用できた 90 10今後も取り入れてもらいたい 88 12通常授業と比較してよかったか 80 20 (%)

表8

②サーバの立ち上げ利用する生徒のユーザ名とパスワードの管理を考えると、教育用コンピュータと同じ

方がよいと考えられる。また、コンピュータルームに既存のドメインサーバとユーザ名およびパスワードが共有できないかを検討した。ある高校では、外部サーバを利用しているケースもあり、どのようにサーバを立ち上げていくかは今後も検討していく必要がある。

エ 考察プリント学習が中心となっている授業形態でのMoodleの利用は、今回の研究授業ではグ

ループ討論の場をフォーラム機能で置き換えた利用形態となった。あくまでサポート的な利用に限定したためか生徒の反応についてはよかった面が多かったと思われる。

一方、授業の進行面からみてみると、「1グループの発表+討論」の展開形式では、発表に時間が掛かりすぎていたが、今回発表と討論を同時に行う形となり効率的な授業展開となった。

また、討論の場が授業担当者の予想以上に盛り上がる場面が多く見受けられた。ただし、これについては「珍しい授業だから興味がもてた」という生徒がいるのも事実である。高校1年生にしてみれば、携帯電話を90%以上の生徒が所持しておりメールのやりとり等を通して、実際に話すよりもメールの方が書きやすいという理由もあると思われる。

生徒の様子を見ていると、講義形式の授業が多い中で、このように仲間と意見をまとめ、他のグループに対し意見を提示し、また意見を読んでフォローをするという経験に新鮮さを感じているようであった。ブログやツイッターなどの経験のない生徒達でも、その機能を使いこなしていた。

コンピュータをツールとして利用することを常に生徒へ説明しているが、意外な面において苦労しているところ(例:平均時間を計算する)があり、ソフトウェアの利用については、ある程度指導する必要があることを改めて感じた。生徒間のコンピュータに関するスキルの差も予想以上に大きいが、それが逆に生徒同士の教え合いの条件として機能する場合があることも忘れてはいけない。

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教室で行う講義形式中心の授業よりも、コンピュータ室でコンピュータを授業補助として行う授業形態の方がよいと思っていたが、Moodleは、予想以上に教員にとって利用しやすく、かつ、生徒にも受け入れられやすい学習システムであった。今後、T.T.において、副担当者もMoodleを利用できるような授業環境を整えていけば、やがて主担当者として指導していけるのではないかと思う。

最後に、本やホームページなどで、Moodleの機能が紹介してあるものの、その中から適切な機能を選択して実践に至るまでには、多くの時間が必要であった。

しかし、Moodleの可能性にも気付くことができたことも事実である。コンピュータがより身近な存在になり、多くの生徒が利用している携帯電話のような手軽さで、コンピュータの存在を意識しないで済むようになれば、より効率的に授業実践ができていくと思われる。

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(5)岐阜県立大垣養老高等学校における実践

ア 概要とねらい初めてのシステム(Moodle)を生徒・教師が使いこなし、情報活用能力を身に付けるこ

とができる授業内容とする。授業計画、教材作成、授業後の評価などを十全に活用した授業を行う。

イ 研究計画Moodleの教材を準備し、提示しながら理解を深めることと、授業のまとめとして小テス

トを繰り返し実施し、スムーズに既習事項の定着を図る授業が行えるようにする。

4~6月 Moodleシステム利用準備7~8月 構築方法を確認8~9月 構築10月~ システム運用(授業活用)12月 まとめ(反省)

ウ 実践内容① 板書の代わりにブラウザに板書内容を載せる。

(図57)教師側が板書する時間を省くことが可能である。スライドと違い生徒個々のペースで再度説明内容など確認することが可能である。

図57

② 組合せ問題による小テストの活用(図58)

初めての取組であるため、最も取り組みやすい小テストを実施した。生徒はどのタイプの機能も難なく取り組むことは可能であると感じたようだ。こちらの準備次第で生徒は対応できる。

図58

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③ ブラウザと小テストの関連付け(図59、図60)

ブラウザに問いとなる板書を見せ、小テストモジュールによる解答をさせる。小テストは実施し即集計ができるという利点はもちろんであるが、二つの画面の切り替えを生徒に教えた。生徒は積極的に取り組み、機能をうまく活用できた。

図59 図609月よりMoodleのシステムを構築し、生徒と教師側が授業を行うことで徐々に慣れ活用できるようになってきた。

エ 小テストによる評価の工夫小テストによる評価は、結果をそのまま評価するのではなく、前時と本時にどれだけ理

解が深まったかを評価することにしている。小テスト結果をExcelフォーマットでダウンロードし、必要な個所をグラフ化して理解度

を確認し、次時の指導に活用できるよう工夫をした。

表9

オ 教材の工夫①色の3原色セロハン紙の3色を選び、重ねた箇所の色を見る。

光が差し込む窓に張り、より見やすいよう工夫した。

図61

②光の3原色理科教材にある光の分光器・LED光源装置による色の作り方を実際の目で確認できる

装置を活用した。

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図62 図63

カ 実践授業の反省複数系列の選択授業であるため生徒間のコミュニケーションが不足していると日頃から

感じていたので、生徒が意見を出し合い、話し合える場にしたいと考えた。教室の広さと生徒数を考えると、プロジェクタを活用した授業展開にすると個人的な学

習になりかねないので、教師側が実験を行うときには、あえて真ん中に視線を集めることで、生徒が机上での活動にとどまらないよう配慮した。

実験予想の結果は生徒によって異なったので、その予想を発表させるなどし、生徒の考えを話す時間を確保したほうがよかった。

自分の目で実験結果を確認するとともに、それをまとめたものをMoodleのブラウザで確認し、理解した内容をプリントにまとめるという流れで授業を行った。効率的なシステムの活用を研究し、Moodle上で提出できるようにすれば、後の集計が迅速で明確になる。

小テストを行った後の結果はリアルタイムで理解を把握することができたので、次時の授業に生かすことができた。

1時間の授業内容(時間)では困難な内容であったため、2時間連続の授業とした。生徒はMoodleを活用することは慣れていたが、実験などの内容になると困惑した生徒も

いた。多くの内容になってしまったが、授業の振り返りシートには前向きな意見も多く、時間配分を工夫すれば生徒の理解がより深まる内容になったと考えられる。

まだMoodleの機能の一部しか指導者自身が活用できないため、もっと幅の広い活用をすれば、生徒の理解を深めたり、生徒の興味をもたせる工夫ができるのではないかと反省している。実際には9月(夏休み以降)に教材を集め、評価の工夫をし始めたところで、使いこなすところまでたどりつけていない。生徒に助けられることも多くあり、何とか1年間Moodleのシステムを活用した授業展開ができた。

このシステムを活用するようになって、生徒は自らシステムにログインし、更新されているブラウザを確認し、課題に積極的に取り組む姿勢がみられるようになった。このような光景は教科書とノート(板書)を中心とした授業では見ることはなかった。

キ 今後の課題今年度初めてMoodleのシステムを活用した授業を行った。システムの一部しか活用でき

てないので、アンケート実施、穴埋め問題、ブログなどの機能をもっと研究していきたい。また研究を通して、次のような流れが定着した授業を年間通して行えるようにしていき

たい。

「復習テスト(小テスト)」→「本時の目標提示」→「本時の授業内容」→「まとめ」→「まとめの理解度チェック(小テスト、アンケート、自己評価)」

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4 資料編

(1)実践した各科目の単元指導計画及び学習指導案例岐阜県立大垣商業高等学校「情報と表現」学習指導案(アナログデータのディジタル化)

担当者 実施日 22 年 9 月 9 日

2 時間目 /

関 思 技 知

10

行動観察

Moodle教

① ① 行動観察

行動観察

Moodle教

① 行動観察①

時間数

行動観察

内容・ねらい

評価

具体の評価規準との

対応指導上の留意点学習活動

評価方法

 ・コンピュータで扱うデータ表現の方法について関心がある。【関心・意欲・態度】 ・アナログ画像をディジタル化して表現することができる。【技能・表現】

・ アナログデータのディジタル化の手順、およびディジタルデータの特性について、実習を通して理解を深めることができた。・ 実習において、Moodleの様々な機能を活用したことで、思考・判断と表現力をより一層高めることができた。

まとめ

7

20

・2つのケースについて、2段階(0と1)の量子化を行う。

・標本化と量子化により得られた数値を、2進数にし、その結果を報告

する。

(ケース1) 00000011 00111111 ・・・・・

(ケース2) 00000000 00000000 ・・・・・

実施後の課題点等

・本時の自己評価を行う。 ・質問などがあれば併せて報告させ

る。 (T1)

[Moodle教材 課題の提出]

・実習目標と手順を確認する。

・アルファベット文字から1文字を決め、Excelワークシートで標本化を

行う。

(ケース1)8×8マスで標本化

(ケース2)16×16マスで標本化

2つのケースについてそれぞれ標本化を行う。

・隣席の生徒の符号化したデータをブログで確認して、文字データに

復元する。

・文字データに復元した結果を、復元前の文字と比較する。

・独力で復元できる。

 ← 最初に指示した課題を考え、

    提出の指示をする。

[Moodle教材 課題の提出]

   小テストで復習するよう指示を

する。(T1)

[Moodle教材 小テスト]

・独力で復元できない。

← 机間指導を行い支援する。

(T1,T2)

本時間の学習目標

分段階

導入

5

8

・本時をまとめる。

・塗りつぶしたマス目を0とし、そうでな

いマス目を1に置き換え、Excelワーク

シートの所定箇所に入力の指示をし

(T1)、机間指導を行い支援する。

(T1,T2)

・2段階(0と1)の量子化であるため、

標本点の各値は1ビットで符号化でき

ることに気付かせ(T1)、机間指導を行

い支援する。(T1,T2)

・符号化した結果を報告させる。

・ディジタル化の過

・画像をディジタル化する場合、標本

化の間隔は距離的な間隔となることに

気付かせる。(T1)

・音声データをディジタル化する場合

も、同様の過程があることを気付かせ

る。(T1)

[Moodle教材 オンラインテキスト]

・Moodle教材を使い、

「標本化」→「量子化」→「符号化」の過程を確認する。

・ディジタル化した

情報の復元(D/

A変換)

・静止画(文字)の

量子化を行う。

・静止画(文字)の

符号化を行う。

8分

ディジタル化の実

・静止画(文字)の

標本化を行う。

・実習目標を理解させ、理解度を確認

するための課題の指示をしておく。

(T1)

・実習手順は概要を説明し、実習中も

適宜確認するよう指示する。(T1)

[Moodle教材 オンラインテキスト]

・文字レイアウトは各自で決めるよう指

示する。(T1)

・マス目は黄色で塗りつぶすよう指示

する。(T1)

・机間指導を行い支援する。(T1,T2)

主題

単元名 音声・音楽による表現技法

アナログデータのディジタル化

16

科目名 平成情報と表現

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岐阜県立大垣商業高等学校「情報と表現」単元指導計画(アナログデータのディジタル化)

6 時間数 16

□単元の目標

□学習活動における具体の評価規準と評価方法(※下側のセルには評価方法を記述し、右側は記述しない)

ディジタルデータを扱う方法と技

術について、その活用方法を適

切に判断できる。

行動観察、課題

コンピュータで扱う音や音楽につ

いて、その特性に応じて、適切な

アプリケーションやその機能の選

択ができる。

行動観察、課題

ディジタル化したデータを、目的

に応じて適切に編集ができる。

行動観察、課題

□指導と評価の計画

関 思 知

③ ②

① ① ①

③ ④

② ② ②

③ ③

② ② ②

③ ③

② ③

計 16

行動観察、課題、定期考査

② ②

学習内容の振り返りと今後の学

習計画を積極的に行っている。

Moodle、行動観察

コンピュータで扱う音や音楽に

ついて関心をもち、その操作方

法を積極的に理解しようとして

いる。

行動観察

③ ③ ③

行動観察

アナログデータのディジタル化

の仕組みについて、関心をも

ち、積極的に理解しようとしてい

る。

行動観察、課題、定期考査

思考・判断

関心・意欲・態度

1 1

単位

時間

2 4

3 3

主題 学習目標と主な学習活動

音と音楽

音声・音楽データの特性

アナログデータのディジタル化の仕組み、及びPCMやMIDIの特徴、ファイルの圧縮について理解する。

音声の作成

空気中の振動により発生する「音」と、聞き手がここちよくなるために意図的に作られた音楽の違いを理解する。

④ ④

5 5

取り込んだ音楽の編集

音楽の作成

4 3

ディジタル録音を体験し、ディジタルデータを編集できるということを理解したうえで、ソフトウェアの操作方法を習得する。

高度なディジタル録音の方法を理解し、オリジナル作品を制作する。

MIDIによる音楽作成の基礎を理解し、ソフトウェアの操作方法を習

得する。

技能・表現

関心・意欲・態度

具体の評価規準

との対応

ディジタルデータを扱う方法と

それを表現する技能を身に付

けている。

ディジタルデータを扱う方法と技術を身に付けている。

音と音楽をコンピュータに録音したり、音符などにより自分で音楽を作成、編

集したりする技術を身に付けている。

知識・理解

Moodle、課題、定期考査

Moodle、課題、定期考査

音声ファイルの圧縮、及びMI

DIの規格と特徴についてしく

理解している。

備考

アナログデータのディジタル

化の仕組みについて、正しく

理解している。

ディジタルデータの特性をよく理解している。

ディジタル録音の方法、録音したデータの編集方法等の操作方法を理解し

ている。

ディジタル録音の方法、録音

したデータの編集方法等を正

しく理解している。

Moodle、課題、定期考査

音や音楽の特性、及びディジ

タルデータの特性を、正しく理

解している。

知識・理解

Moodle、課題、定期考査

音と音楽をコンピュータに録音

したり、音符などにより自分で音

楽を作成、編集する技術を身に

付けている。

平成22年度

アナログデータのディジタル化の手順、およびディジタルデータを扱う方法とその技術、またコンピュータで扱う音と音楽の特性について理解させる。

アナログデータのディジタル化について関心をもち、意欲的に調べ理解しよ

うとしている。コンピュータで扱う音や音楽について

関心をもち、その操作方法を身に付け

ようと取り組んでいる。

思考・判断 技能・表現

ディジタルデータを扱う方法と技術について、適切な考察ができる。

コンピュータで扱う音や音楽について、その特性に応じて、適切なアプリケー

ションやその機能を選択でき、利用方法

などについて考えることができる。

科目名

単元番号 音声・音楽による表現技法

情報と表現

単元名 担当者名

実施年度

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岐阜県立池田高等学校「情報A」学習指導案(情報検索と収集)

担当者 実施日 22 年 12 月 2 日

3 時間目 /

関 思 技 知

20①

5 ②

5 ① ①

5 ① ①

本時の目標と課題

を知らせる。

Moodleにログインし、小テストを行う。

Moodleより、「学習1」の進め方を確認する。

 (本時は、Ⅰ-4・5 Ⅱ-1)

絞り込まない検索

及びカテゴリ検索

をする。

調べる対象物のみの名前を検索キーワードとして検索し、どのような検索

結果が得られるか体験する。

どのような、不要な情報が検索されたかを確認する。

カテゴリ検索を試みる。

できるだけ絞り込まれないキーワー

ドにするように心掛けさせる。

調べる内容を決定

し、タイトルを考え

る。

今までの情報から、自分が調べたいことを決定し、「タイトル」と「サブタイト

ル」を考える。

ワークシート1を開き、記入する。

調べる内容、伝えたい内容が分かり

やすいタイトルを考えさせる。

タイトルは、途中で変更してもかまわ

ないことを伝える。

小テスト

ワークシート

検索キーワードを

考える。

絞り込まない検索結果を参考にし、効果的な絞り込み検索のキーワード

を考え、ワークシート1に記入する。

絞り込まないで行った検索結果を参

考にし、不要な情報を排除できる

キーワードも考えさせる。

ワークシート

情報検索と収集

フォーラムの投稿

を参考にし、調べ

る内容について

の、現在の情報を

まとめる。

ワークシート2をダウンロードし、保存・編集する。

フォーラムに投稿されている内容をよく見て、気になる情報を記録する。

気になる内容について、

 ・知っていること

 ・フォーラムから知ったこと

 ・知りたいこと

         などをワークシートにまとめる。

ワークシートの保存名を確認させ

る。

既に、調べる内容を具体的に決め

てしまっている生徒にも、選択した

項目に当てはまる内容を見させ、考

えさせる。

行動観察

ワークシート

ワークシート

小テストの実施

16

10

科目名

時間数

主題

単元名 情報とネットワークの活用

平成

学習活動

情報A

分段階

絞り込み検索の必要性について認識する。

本時に考えたキーワードを使って、次回検索することを伝える。

ワークシートに次回(インターネット検索)の準備をし、自分のフォルダに

保存する。

検索サイトごとの絞り込み演算子

や、絞り込み専用のページを紹介

する。

ワークシートの上書き保存を確認す

る。

まとめ

5

展開

絞り込まない検索

の感想を述べさせ

る。

次回の内容を伝え

る。

小テスト

導入

フォーラム(情報交換の場)に書かれている情報を分析し、自分の課題を見付けることができる。また、必要とする情報を検索・収集する適切なキーワードを見付け出すことができる。

評価方法

Moodleにログインし、作業を進めら

れているか確認する。

内容・ねらい

評価

具体の評価規準との

対応指導上の留意点

行動観察

ワークシート①

本時間の学習目標

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岐阜県立池田高等学校「情報A」単元指導計画(情報検索と収集)

2 時間数 16

□単元の目標

□学習活動における具体の評価規準と評価方法(※下側のセルには評価方法を記述し、右側は記述しない)

検索エンジンの種類と検索方法

について比較検討したりして考

察している。

ワークシート・小テスト

検索・収集した情報を適切に利

用している。

ワークシート

受信者の状況などにより、伝達す

る情報の利用や加工について適

切に判断している。

小テスト

情報の階層化やアクセス制御の

必要性について考えている。

小テスト・ファイル操作

著作権の侵害などの心構えにつ

いて正確に把握している。

小テスト

□指導と評価の計画

関 思 知

1 51節 情報検索

と収集

①②

①②

2 42節 情報の伝達

① ③ ②

3 33節 情報の取決め

①③

④ ③

4 44節 ネットワーク利用の心構え

① ⑤ ④

計 16

コンピュータ犯罪の実態を知り、情報化が健康や社会に及ぼす影響を理解する。セキュリティを高め、信頼性を保証する工夫について理解し、実践する態度を養う。知的財産権の種類と内容を理解し、保護・尊重する態度を養う。

積極的に意見を述べようとして

いる。

単位

時間

情報を整理することの重要性を理解し、情報を階層化し整理する方法を理解する。情報を共有するための共有設定やアクセス制御について理解す

る。プロトコルとその階層化について理解し、適切な方法で情報交換ができる。様々なファイル形式を学び、その特性を理解し、適切なファイル形式を用いて情報交換ができる。

フォーラム

フォーラム

課題に対して熱心に取り組んで

いる。

② ②

ワークシート・小テスト

様々な方法や事例を比較・検討したり、

調べたりして考察するとともに、自ら判断することができる。

④ ④

興味をもって授業・実習に参加

している。

思考・判断 技能・表現

関心・意欲・態度

ワークシート・提出課題

検索エンジンの種類と検索方

法について、実習を通して比較

できる。

行動観察・ワークシート

主題 学習目標と主な学習活動

ワークシート

学習した内容を意見交換し、ま

とめることができる。

様々な情報の取決めについて

理解できている。

小テスト

インターネットリソースとデータベース上の情報について理解する。検索エンジンの種類と検索方法について理解する。必要な情報を効率的に検索する方法について理解する。必要な情報を収集し、まとめることができる。

具体の評価規準

との対応

インターネットコミュニティを構成する、様々なツールについて理解する。情報の発信をするために、適切な手段が選択されることの必要性について理解する。電子メールを送受信する方法について理解する。

フォーラムにおいて、適切な方

法で発言ができる。

備考

知的財産権やセキュリティな

ど、ネットワークを利用する際

の注意点について理解できて

いる。

提出課題

分かりやすく表現するための工

夫がされている。

知識・理解

検索エンジンの種類と検索方

法について、どのような場面で

使用したらよいかを理解できて

いる。

情報を検索収集する上での問題点や

注意点について理解している。

小テスト

担当者名

22

小テスト

情報通信ネットワークやデータベースなどの活用を通して、必要とする情報を効率的に検索・収集する方法を習得させる。

フォーラム・小テスト・提出課題

情報を伝達する場合の注意点

について理解できている。

知識・理解

興味をもって、積極的に参加し情報交

流をしている。また、日頃の学習活動を振り返ろうとしている。

思考・判断

実施年度

関心・意欲・態度

情報機器やネットワークを使いこなし、

効率的に検索・収集することができる。また、自分の考えを的確に相手に

伝えることができる。

科目名

単元番号 情報とネットワークの活用単元名

情報A

技能・表現

⑤ ⑤

①②

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岐阜県立関有知高等学校「情報A」学習指導案(情報の信憑性と信頼性)

担当者 実施日 22 年 12 月 9 日

8 時間目 /

関 思 技 知

10 ④ ④

10

グループで発表する。

本時のまとめをする。

10

まとめ

Moodle上でまとめさせる。

各自が判断しなければならないことと判断するためにはそれなりの知識が必要であることを意識させ、学習の大切さを確認する。

本時の授業を振り返り、情報の信ぴょう性についてまとめる。

各グループで検討した結果を発表する。

Moodleにログインさせる。

情報の信ぴょう性、信頼性について復習する。

個人情報の保護、個人の責任について復習する。

Moodle内の各項目で確認する。

5つにグループ分けしておく。項目は各グループ1つとする。グループ、項目とも事前に指示しておく。

適切かどうかの判断理由も含めて、信じられるかどうか考えさせる。インターネットを利用して判断してもよいが、遊びにならないように注意する。

グループとしての考えをまとめる。

本時の目標を確認する。

10

考えた内容をプリントにまとめる。

展開

割り当てられた項目について、書き込まれた内容等の信ぴょう性について考える。

個々の意見を比較し、グループとしての考えをまとめる。

説明文として捉えさせ、理由も考えさせる。

各グループで進行役、発表者を決める。

行動観察提出課題

評価方法

評価

具体の評価規準との

対応段階

学習活動内容・ねらい

導入

10

本時の目標について確認する。

科目名

時間数

主題

単元名 ネットワーク利用の心構え

平成情報A

8

情報の信ぴょう性及び内容について考える。

説明文として「適切である」か「不適切である」かを判断する。

内容が「信じられる」か「信じられない」かを判断する。

各グループの発表時間は、2分程度とする。発表内容はプロジェクターで表示する。

指導上の留意点

本時間の学習目標

情報の信ぴょう性について理解しよう。

前回までの復習をする。

Moodleを終了させる。

提出課題④

個人で意見をまとめる。まとめ終わったら、説明文で訂正が必要なところを探させる。

収集した情報の信ぴょう性について考える。個人情報の保護、ネチケット等を考慮し、情報の内容を評価する。

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岐阜県立関有知高等学校「情報A」単元指導計画(情報の信憑性と信頼性)

3 時間数 8

□単元の目標

□学習活動における具体の評価規準と評価方法(※下側のセルには評価方法を記述し、右側は記述しない)

プリントの記入内容をよく検討している。

提出課題

具体的事例について、自ら判断している。

行動観察

受信者の置かれた状況を考慮してやり取りを考えている。

行動観察

情報の信ぴょう性について議論した結果を参考としている。

提出課題

□指導と評価の計画

関 思 知

1 1

情報の信ぴょう性と信頼性 ① ①

1 ②

1 ① ②

1 ③ ③

1 ②

4 1セキュリティ

1 ③

1 ④ ④

計 8

2

3

5収集した情報の信ぴょう性について考える。個人情報の保護、ネチ

ケット等を考慮し、情報内容を評価する。

個人情報保護条例について調べる。

知的財産権の保護・著作権や肖像権等の侵害例を知り、権利を尊

重する事ができる。

受信者に配慮したネットワーク利用(ネチケット)ができる。

知的財産権の種類と内容について知る。

思考・判断

著作権や著作権侵害について簡潔にまとめることができる。

提出課題

調べた資料がきちんと整理できる。

技能・表現

実施年度

関心・意欲・態度

 情報通信ネットワークを用いて情

報の収集・発信を行う。

科目名

単元番号 ネットワーク利用の心構え単元名

情報A

 情報の収集・発信において著作権

やプライバシーなどについて配慮する。 情報の収集・発信における規則がなぜ必要なのかを考える。

技能・表現

22

提出課題、考査

 情報通信ネットワークなどを利用した情報の収集、発信の際に起こりうる具体的な問題及びそれを解決したり回避したりする方法を通して、情報社会で必要とされる心構えについて考えさせる。

提出課題、考査

個人情報の漏えい対策について理解できている。

知識・理解

 情報の収集・発信における具体

的な問題に関心をもち、その対処法を調べたり考えたりする。

知識・理解

信ぴょう性と信頼性の違いについて理解できてい

る。

 情報の収集・発信の際に起こり得

る具体的な問題とその対処法を理解している。

提出課題、考査

担当者名

備考

情報の信ぴょう性と信頼性について理解する。

具体の評価規準

との対応

行動観察

自分の意見を正確に発表できる。

セキュリティについて理解できている。

③パスワード、コンピュータウイルスとワクチン、暗号化などセキュリティについて理解する。

グループでの話し合いに興味をもって参加している。

知的財産権

個人の責任

学習目標と主な学習活動

行動観察

単位

時間

数主題

個人情報の保

行動観察

個人情報の意味や漏えいの実態などを理解し適切に対応できる。

関心・意欲・態度

行動観察

興味をもって、授業に参加している。

思考・判断

プリントにまとめようとしている。

行動観察、提出課題

知的財産権について理解できている。

提出課題、考査

提出課題

セキュリティ対策について、具体的にまとめることができる。

提出課題

③③

授業に対する姿勢が前向きである。

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岐阜県立関高等学校「情報B」学習指導案(モデル化とシミュレーション)

担当者 実施日 22 年 12 月 9 日

9 時間目 /

関 思 技 知

13

7

科目名

時間数

主題

単元名 モデル化とシミュレーション

平成

身の回りに起きている様々な現象の特徴を理解し、これらの現象をシステムとして捉えることの大切さを理解する。また、様々な現象を捉え、その変化の予測を行い、問題を解決するための方法を理解する。

9

情報B

まとめ

8

待ち時間や販売に要する時間などの平均時間から、改善できるポイントやその具体策を考える。

本時のまとめをする。

本時のまとめを行う。

この単元の全体を振り返り、もう一度学習内容を確認する。

展開

エクセルを利用してシミュレーションを行う。

他グループの考察に対し考察を行う。

Moodle上の書き込みに対し、コメントを書く。

シミュレーションで大切なことは、目的を明確にすること(前)と、データ

を読み取ること(後)だということを理解させる。(T1)

実際に行った学習を振り返らせ、身近なところにシミュレーションした結

果が多くあることを説明する。(T1)

シミュレーション結果からの考察

全体での考察

グループ討論 各グループでデータを持ち寄り、待ち時間や販売に要する時間などの平均といった基本統計量を計算する。

Moodle上にデータを書き込む。

確率的モデルの特徴は、シミュレーション結果が異なることを理解させる。(T1)

数値と考察を書き込むよう指示する。(T2)机間指導を行い支援する。(T2)

良い点・改善点の二つの観点から

考察を行うように指示をする。(T1)

机間指導を行い支援する。(T2)

「どうしたらお客さんを待たせないようにできるのか」を考えるように指示する。(T2)

机間指導を行い支援する。(T2)

表計算ソフトウェアを利用して、モデルを作成しシミュレーションすることができる。また、その得られたデータ結果を分析し、問題解決の方法を考察できる。

評価方法

本時間の学習目標

分段階

具体の評価規準との

対応指導上の留意点学習活動内容・ねらい

評価

導入

7

確率的モデルのシミュレーションの実

15

計算機を使うメリットを話す。(T1) 膨大なデータの処理が速く正確に

実施することが可能(実際に手計算によるシミュレーションを実施済み)

であることを理解させる。

机間指導を行い支援する。(T2)

プリント

提出③

机間指導

データ提出

机間指導

プリント

机間指導

机間指導

データ提出

本時の流れの確認

シミュレーションの目的の確認

実習内容および手順を確認する。

シミュレーションの目的を確認する。

本時の流れを説明する。(T1)

目的が明確になってからシミュレーションをスタートする重要性に気付かせる。(T1)

発問

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岐阜県立関高等学校「情報B」単元指導計画(モデル化とシミュレーション)

1 時間数 9

□単元の目標

□学習活動における具体の評価規準と評価方法(※下側のセルには評価方法を記述し、右側は記述しない)

シミュレーションが適した対象を

判断することができる。

プリント提出

シミュレーションの目的を理解

し、結果を考察している。

生徒観察、CP実習

□指導と評価の計画

関 思 知

① ①

② ③

計 9

科目名 情報B 実施年度 平成22年度

問題解決のために、モデル作成手順やシミュレーションに対する取り組み方を理解する。

関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解

単元番号 単元名 モデル化とシミュレーション 担当者名

技能・表現 知識・理解

モデル化することに興味関心をもち、積極的に取り組むとともに、それを利

用して問題解決を図ろうとする。

シミュレーションの意味と重要性を理解して思考している。

表計算ソフトを利用してモデルを作成し、目的に応じてシミュレーションする

ことができる。

モデル化手順など問題解決に必要な基本事項を正しく理解している。

問題をモデル化することに関心

をもち、前向きに取り組もうとし

ている。①

関心・意欲・態度 思考・判断

シミュレーションの有効性を理

解している。

生徒観察、発問 プリント提出 プリント提出

様々な条件を設定して、シミュ

レーションモデルを設計するこ

とができる。

生徒観察 CP実習、ファイル提出 プリント提出

表計算ソフトを利用して、シミュ

レーションをすることができる。

シミュレーションの結果を利用し

て問題解決を図ろうとしている。

③ ③

問題解決のため、モデル化の

手順を理解している。

② ②

コンピュータを利用してシミュ

レーションを行う利点を理解し

ている。

プリント提出 CP実習、プリント提出

シミュレーション結果を利用し

て、問題解決の方法を見付ける

ことができる。

単位

時間

数主題 学習目標と主な学習活動

④④ ④

1 2

問題のモデル

化とシミュレーション

現象とシステム

 車の衝突・家の耐久性など身の回りにあるシミュレーションを理解する。問題解決手順 シミュレーション実施までの準備について理解する。 ①

具体の評価規準

との対応備考

3 3

確率的に変化する現象のモデル化とシミュレーション

待ち行列(販売窓口シミュレーション) 他のシミュレーションとの違いを理解する。 実際にサイコロを振ってシミュレーションを行う。 データ数が多くなることで全体が見えてくることを理解する。

2 4

モデル化とシミュレーション方法

モデル化へのプロセスシミュレーション実施 野生動物の増殖シミュレーションを行う。

5

4

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岐阜県立大垣養老高等学校「マルチメディア表現」学習指導案(色彩)

担当者 実施日 22 年 11 月 24 日

5 時間目 /

関 思 技 知

10

③ 学習プリント

振り返りシート

Moodle③まとめを確認させ、本時の知識を定

着させる。

本時間の学習目標

分段階

導入

学習活動

一人一人が確認できるように実験す

る。

微妙な色の違いを分かりやすくする。

視覚的な表現を、様々な角度から分析し、目的に応じて明確な表現を見極め、その違いを理解する。

学習内容の振り返

振り返りシートの記入をし、色の出し方、色の見え方を考える。 学習プリントを記入する。

興味、関心をもって取り組んでいるか、生徒観察をよくする。

光の強弱で、色が変化することを確認し、色相環が作れることをみる。

色について考える

5

内容・ねらい

評価

具体の評価規準との

対応指導上の留意点

1枚のポスターを観察し、色彩をどう判

断するか考える

画像(ポスター)で訴えることができる。

訴えたい内容を、1枚のポスターで

伝えることができることを確認する。

・いぶき祭のポスターを見て、どんな色で構成されているか考える。(文字、イラスト、画像、色など)

・その画像(ポスター)から、どんな印象を受けるか考える。

まとめ

5

・光の三原色を、実験により視覚的に確認する。

<LED光源装置による確認>赤と緑を重ねる・緑と青を重ねる・赤と青を重ねる・赤と緑と青を重ねるとそれぞれ、どう見えるか。

学習プリントに、実験結果の色を書き込む。

<分光器で確認>

光っている蛍光灯は、どんな色が放たれているか確認する。学習プリントに、実験結果を書き込む。

本時の確認 本時のまとめを確認する。

・Moodleを活用し、本時のまとめを行い、小テストを行い送信する。

展開

15

15

・どんな方法で、色を表現しているのか考えてみる。<色彩の三属性>

 色相、彩度、明度の三つの属性、明度のみの属性をもつ色を無彩色として分類していることを知らせる。

<光の三原色> レッド、グリーン、ブルーの三つの色を重ねると白になる原理を、動画

サイトで確認する。 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/i-jou1/i-m1/i-ms1/IPA-inf280.htm

<色の三原色> シアン、マゼンタ、イエローの三つの色を混ぜ合わせると黒になることを学習する。

 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/i-jou1/i-m1/i-ms1/IPA-inf280.htm

Moodleブラウザで確認学習プリントにまとめる。

<色相環> 色相環は、レッド(R)を0度とし、時計回りにその角度で色相を指定する。

学習プリントにまとめる。

実験1

実験2

科目名

時間数

主題

単元名 マルチメディア表現の基本要素

平成

色彩

マルチメディア表現

6

行動観察

評価方法

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岐阜県立大垣養老高等学校「マルチメディア表現」単元指導計画(色彩)

時間数 2

□単元の目標

□学習活動における具体の評価規準と評価方法(※下側のセルには評価方法を記述し、右側は記述しない)

点・線・面の特性を深く考察して

いる。

行動観察

目的に応じてイメージに合った造

形要素を考察している。

学習プリント

違いを比較し、よりよい表現方法

を検討している。

学習プリント

□指導と評価の計画

関 思 知

① ①

② ②

③ ③

計 6

実施年度

関心・意欲・態度

課題に対して、的確に表現している

か。また、コンピュータなどを用いて、

表現できる。

科目名

単元番号 マルチメディア表現の基本要素単元名

マルチメディア表現

技能・表現

造詣要素によって異なる点を考察でき

る。また、目的とするイメージに合った造

形要素を考えることができる。

平成22年度

色彩の基本的な表現を理解す。視覚的な表現を、様々な角度から分析し、目的に応じて適格な表現を見極め、表現の違いを理解する。

学習プリント

空間に対して部品の配置で見

え方が違うことを理解してい

る。

知識・理解

各要素から受け取るイメージの違い

に、関心をもっている。また、課題の趣

旨に沿って、前向きに取り組んでい

る。

思考・判断

実際のデザインに活用されている各

要素の意味・働き・特徴など、基本的

な知識を身に付ける。

担当者名

学習プリント

課題に対して的確に表現でき

る。

知識・理解

マルチメディア表現の基本的

な構成要素を理解している。

コンピュータなどを用いて表現

することができる。

行動観察

具体の評価規準

との対応

備考

Moodleを活用し、学習内容を

確認している。

小テスト・Moodle

2

画面空間など、配置する箇所、大きさなどを考え訴える形を理解する。同じ部品を配置するとき、配置する場所で印象が変わることを理解する(学習プリント)。

形態

マルチメディア表現の基本要素、目に見える形を理解し、基本的な構成要素の特性について理解する。 点・線・面について特性を理解する(ノート、学習プリント)。

4

5

色彩

実習

1 2

色彩の見え方、作り方などを理解し、色彩のもつイメージを考える。色彩の三属性、光の三原色、色材の三原色、色相環、色域、色深度など、意味合いを理解し、配色を考える(学習プリント)。

配置

2 2

3

単位

時間

行動観察

主題 学習目標と主な学習活動

④ ④ ④

実験・実習に関心をもち、取り組

もうとしている。

思考・判断 技能・表現

関心・意欲・態度

③③

② ②②

学習プリント・実習

生活の中のマルチメディア表現

を関心を寄せている。

学習プリント

ノートや学習プリントをうまくまと

めることができる。

身近な生活の中で、色彩の違い

に関心をもっている。

行動観察

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(2)他教科でも活用できる学習教材事例1(理科・物理で音の仕組み)

アナログからデジタル (イメージ)

1秒間

アナログ電気信号

電圧

時間

音・音楽の設計と表現Ⅱ

キーワード : サンプリング(標本化)、周波数、量子化

音は空気を伝わる波 ? 音をデジタル(0と1の数値)にする。

音の波形をデジタル化(サンプリング)

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アナログからデジタル (イメージ)

1秒間

サンプリング幅 1秒間で区切る数をサンプリング周波数

電圧

時間

一定時間ごとにアナログ信号を入力する。

アナログからデジタル (イメージ)

1秒間電圧

時間

各点の信号の電圧をA-D変換して数値化する。

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アナログからデジタル (イメージ)

1秒間電圧

時間

アナログからデジタル (イメージ)

1秒間

サンプリングでできた値を、整数値で整数化 ? 量子化量子化量子化量子化

データ

時間

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アナログからデジタル (イメージ)

1秒間

アナログ信号を変換?

何段階の数値で表現するか

量子化 ? 符号化 (0と1の数値)

データ

時間

8bit= 0~255 →256段階16bit= 0~65535→65536段階

44.44.44.44.100100100100kkkkHzHzHzHz 11.11.11.11.025025025025kkkkHzHzHzHz

サンプリング 周波数の違い44kHzと11kHzの比較

サンプリング周波数サンプリング周波数サンプリング周波数サンプリング周波数

1秒間に何回、音の波形データをビット数でデジタルデータに変換するか表わすこと。

音楽用CD=1秒間に44100回16ビットでデータに変換

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0.005 0.0050.005 0.0050.001秒 0.001秒

44.44.44.44.100100100100kkkkHzHzHzHz 11.11.11.11.025025025025kkkkHzHzHzHz

(種類) Wave (フォーマット) PCM (チャンネル) ステレオ

(形式) 44.44.44.44.100100100100kkkkHzHzHzHz 16 bit 14MB

(種類) Wave (フォーマット) PCM (チャンネル) ステレオ

(形式) 22.05022.05022.05022.050kkkkHzHzHzHz 16 bit 7MB

(種類) Wave (フォーマット) PCM (チャンネル) ステレオ

(形式) 11.02511.02511.02511.025kkkkHzHzHzHz 16 bit 3.5MB

(種類) Wave (フォーマット) PCM (チャンネル) ステレオ

(形式) 8.8.8.8.000000000000kHz 16 bit 2.5MB

サンプリング周波数の違い

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44kHz 16161616bitbitbitbit ステレオ 1分17.96秒

22kHz 8888bitbitbitbit モノラル 1分17.96秒

44,100×16 bit ×2チャンネル×77.96秒=110,017,152 bit

110,017,152÷8=13,752,144 byte

13,752,144÷1,024=13,429.828125 KB

13,429.828125 ÷1,024 ≒13.1 MB13.1 MB13.1 MB13.1 MB

22,050×8 bit × 1チャンネル×77.96秒=13,752,144 bit

13,752,144 ÷8=1,719,018 byte

1,719,018 ÷1,024=1678.728515625 KB

1678.728515625 ÷1,024 ≒1.63 MB1.63 MB1.63 MB1.63 MB

データ量の計算

44kHz 16161616bitbitbitbit ステレオ 1分17.96秒

22kHz 8888bitbitbitbit モノラル 1分17.96秒

44,100×16 bit ×2チャンネル×77.96秒=110,017,152 bit

110,017,152÷8=13,752,144 byte

13,752,144÷1,024=13,429.828125 KB

13,429.828125 ÷1,024 ≒13.1 MB13.1 MB13.1 MB13.1 MB

22,050×8 bit × 1チャンネル×77.96秒=13,752,144 bit

13,752,144 ÷8=1,719,018 byte

1,719,018 ÷1,024=1678.728515625 KB

1678.728515625 ÷1,024 ≒1.63 MB1.63 MB1.63 MB1.63 MB

データ量の計算

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PCM方式(Pulse Codeing Modulation)アナログ信号から符号化された信号にすること

デジタル録音

アナログ信号

サンプリング

量子化

符号化

デジタル信号

アナログ/デジタル変換(A/D変換)

記 録

数値にする

PC符号

パルス信号

CD・MO

2進数にする

パルス

(短時間一定の電圧の波形)

アナログの信号を適当な時間間隔の

値だけを拾い出す

再生

記 録

デジタル信号

メモリー(記録)

(A/D変換)

アナログ信号

デジタル/アナログ変換(D/A変換)

増 幅

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他教科でも活用できる学習教材事例2(総合的な学習の時間で調べ学習)

調べ学習は、教科情報以外の教科や総合的な学習の時間やLHRなどにおいても活用することができる。

ここでは、選択制のテーマで調べ学習を行う場合において、生徒が各々のテーマを決定する過程で、より深い興味付けと調べ学習の方向性を確立させる方法として、フォーラムを利用し、個々の生徒らがもつ知識を「情報」として共有する方法とそのワークシートを紹介する。

1 実習の流れ実習は、次の流れで行う。

(ⅰ)実習の目的やテーマ及び流れの説明(ⅱ)フォーラムでの情報交換(提供と受け取り)(ⅲ)各自またはグループごとの内容を決定(ⅳ)課題、問題の明確化(ⅴ)情報検索(ⅵ)レポートまとめ・プレゼンテーション作成(ⅶ)発表(相互評価)

2 フォーラムでの情報交換からテーマの決定、課題・問題の明確化①フォーラムの設定

・コーストップ画面から「編集モードの開始」を押し、編集モードにする。(図64)

・トピックアウトラインが編集モードとなるので、「活動の追加」から、フォーラムを選択する。(図65)

・フォーラムの設定画面では、「フォーラム名」と「フォーラムイントロダクション」を入力し、「保存してコースに戻る」ボタンを押す。これでトピックにフォーラムができる。(図66)

図64

図65

図66

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※生徒にディスカッショントピックの作成を許可する場合は、ここで設定は終了する。※生徒にディスカッショントピックの作成を許可しない場合は、管理者(教師)で作成する。・作成したフォーラムに入り、「ディスカッショントピックを追加する」から、追加の画面を出す。・題名とメッセージを入力し、「フォーラムに投稿する」を押す事により、ディスカッショントピックが作成される。(図67)

②フォーラムの使用(ⅰ)フォーラムの利用練習を行う。

多くの生徒は、既にブログやSNS、掲示板などで日常的に「書き込み」を行っているため、操作に戸惑うことはほとんどないが、マナーの点で注意が必要である。(ⅱ)情報の提供・ワークシートへの「提供する情報」の記入・整理

選択肢として与えられたテーマの中から、生徒自身が知っている事柄や興味のある事柄について、その内容をワークシートに整理する。この時、自分が選ばないかも知れないテーマについても、知っていることがあれば書かせる。・フォーラムへの投稿

ワークシートに記入した内容をフォーラムに投稿させる。フォーラムは、テーマ別に作成した方が分かりやすい。

多数の生徒が一つのテーマに投稿を開始した場合、同じ内容のディスカッショントピックが複数できてしまう可能性があるので、座席などで初めに投稿するテーマを分散させるとよい。それでも複数できてしまった場合は、より早く投稿されているディスカッショントピックに統合していくよう指導する。これはディスカッショントピック内の投稿についても同様である。(ⅲ)情報の受取・提供された情報を閲覧する

フォーラムを一通り閲覧させ、ワークシートに記述した以外の投稿を抜き出させ、記録させる。また、興味をもった事柄についてもその内容と、どんな点に興味をもったのかを記録させる。(ⅳ)テーマの決定、課題・問題の明確化

フォーラムの閲覧を通して、興味をもった事柄を基にテーマを選択させる。また、タイトルやサブタイトルを決めさせることによって、より深くテーマについて考えさせることができる。「事前に知っていたこと」、「フォーラムを通して知ったこと」、「興味をもったこと」などを整理させ、疑問点や調べる事柄を整理し、実習の進め方を計画させる。

以下、通常に行われる調べ学習と同様に進める。

図67

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他教科でも活用できる学習教材事例3(LHRで情報モラルの学習)

ア ロングホームルームにおける活用今回の授業実践では「情報の信ぴょう性」に焦点を当てたが、他教科との連携を考えた

場合、個人および社会の一員としての在り方生き方に関すること(個人生活及び社会生活の充実)について、「ネット社会に生きていく上で、正しく情報を活用するためには」というテーマとしたロングホームルームに活用できると考えた。以下に展開例を挙げておく。

学年・組 第 学年 組 担 任 形 態 バズセッション

日 時 平成 年 月 日 時限 司会者 記 録

主 題 ネット社会に生きていく上で、正しく情報を活用するためには

目 標 ①情報の発信者がどんなことを思い発信しているのかを考える。

②情報の受信者が受信した情報をどのように扱っているのかを考える。

③インターネットの利点と問題点に気付き、適切に情報化社会を生きる態度を身に付け

る。

時 間 活 動 の 内 容 指 導 上 の 留 意 点 備 考

導 5分 ・司会者より、本時のテーマと目 ・身近な問題であることを強調

入 標、進め方について説明する。 する。

活 35分 ・事前に書き込まれた項目の内容 ・事前にグループ分けしておき、

動 について「個人用プリント」を 項目は各グループ一つとする。

の 記入する。

開 ・「個人用プリント」を基に、グ ・グループの中で、司会者と記

ループで個々の意見を出し合 録者を決めておくとよい。

い、「グループ用プリント」に ・当たり前の内容でもきちんと

まとめる。 理由を考えることで、理解を

深めさせる。

・「グループ用プリント」を基に、

Moodle上でまとめる。

・グループごとに発表する。

ま 10分 ・発表を聞いて、授業の感想や今 ・今後の生活において、情報を ・発信する側と受

と 後の情報の利用について気を付 どのように扱ったらよいのか 信する側の両面

め けたいことをMoodle上でまとめ をまとめる。 からまとめさせ

る。 る。

資料編の(1)実践した各科目の学習指導案(p.39)と異なり、導入部分の「情報の信ぴょう性、信頼性、個人情報の保護、個人の責任の復習」、展開部分の「説明文として適切・不適切の選択」を、グループ討議等の考える時間に割り振ってある。

事前準備に時間が掛かるが、項目名を工夫することで対処するとよい。また、生徒にとって書くことよりも入力することのほうが表現しやすいようで、Moodleをうまく利用することで時間が短縮できる。

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イ 実習用プリント①個人用プリント

LHRプリント(個人用)

1年 組 番 氏名 .

1 項目名「 」

2 この項目の中身を読んで、質問です。書いてある内容について、

(1)信じられる (2)信じられないのどちらを選びますか。○を付けなさい。また、その理由を挙げなさい。

②グループ用プリント

LHRプリント(グループ用)

グループ:氏 名:

1 項目名「 」

2 個々の意見を出し合い、話し合った結果、書いてある内容について、

(1)信じられる (2)信じられないのどちらを選びましたか。○を付けなさい。また、その理由をまとめなさい。

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他教科でも活用できる学習教材事例4(数学科でシミュレーション学習)

教 科 数学 科目 数学Ⅲ 使用教科書 「数学Ⅲ」東京書籍

単 元 目 標・「微分方程式」の中でも最も基本的な変数分離型を具体的・実践的に利用させる。・表計算ソフトを利用してコンピュータ内で実験可能であることを認識させる。

本時の指導目標 ①生活の中にある微分方程式を経験させる。②微分方程式を解くことによって、他教科(物理)での理論部分を数学的に理解し、更に深く掘り下げた学習ができるように考えさせる。それらをシミュレーションによっても実験的に行えることを理解させる。

時間 学習活動 学習目標・評価の観点 指導上の留意点・支援

導入 微分方程式の変数分離型の復習を行う。 具体的な解法を覚えているか。 解法の確認をする。

10分 例: 解: 微分方程式を解く。 板書をする生徒を指名する。

終端速度についての考察

展開 高さ500mの上空から雨粒が落ちてくる場合の地表面における速度(m/s)

35分 を考える。

考察1(空気抵抗を考えない場合) 実際に速度を求める。

物理の知識が正しく使えてい

ただし、 は、初速度とする。今回は、 物理の公式を正しく使う。 るかを確認する。

=0である。 板書をする生徒を指名する。

ゆえに、

= = 99.0(m/s)= 356.4(km/h)

実際には、このようなことがこの速度で地表に雨粒が落ちることはない。 ない(空気抵抗などの力が働(m/s)から(km/h)への変換も行

く)ことを認識する。 うように指示をする。

考察2(空気抵抗を考える場合)空気抵抗が速度に比例するように仮定し、 正確には、より多くのパラメ速度の変化を考える。 ータが必要になることを説明

する。

初速度 速度 (m/s) 自由落下運動である事に気付く。

減速中 【ここが今回のポイント】

終端速度 終端速度を とすると、 力のつり合いによって終端速

⇔ 度を求めることができること

を確認する。

xydx

dy2−= 2xCey −=

ghvv 22

0

2 =−

0v

0v

v2gh 4.356103600*0.99

3 =÷

0=v

kvmgF −=

fv

fkvmg −=0k

mgv f =

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今回のモデル

であることに気付く。

展開

この微分方程式を変数分離法で計算をす実際に、変数分離型の計算に実際に のと

35分 る。 よって、速度 を の式としてきも、先に求めた結果が成り表現する。 立つことを示す。

積分の計算をする。 余力のある生徒には、

を積分

させる。(距離の関数となる)

微分方程式を利用して求めることは、このこれらは、全て時間 の関数 『微分方程式』先の進学先で必要になることが特に理学工になるので、表計算ソフト上物理の世界では、学系で多い。 で、再現させることが可能で◎単振動

ある。 その他の分野では、◎環境問題◎マルサスの人口論など幅広く使われていることを紹介する。

まと 身の回りには、思った以上に微分方程式が本時のまとめを行う。 まとめを行うように指示をすめ 隠れており、それによって様々 な現象をモ る。

デル化し、解析することができることを確5分 認する。それらは、コンピュータ実習によ

っても解析できることを強調する。

kvmgdt

dvm −=

−=

− tm

k

ek

mgv 1

da

dva =

v t

−+=

12

2t

m

k

ek

gmt

k

mgx

∞→= tt や0

−=

− tm

k

ek

mgv 1

t

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他教科でも活用できる学習教材事例5(家庭科でデザインの学習)

①色相環について ②色のイメージを考える

無彩色と有彩色

色の三属性(明度・色相・彩度)

明度対比・色相対比・彩度対比

色相環・色光の三原色・色料の三原色

色のイメージ・連想

色相

カラーコーディネート

指導内容

(学習内容)

第2章 ファッションデザインの基礎

第2節 ファッションデザインと色彩

第1 色彩の基礎

第2 色の三属性とカラーシステム

第3 色の見え方と働き

第4 色とイメージ

第2編 生活をつくる

第2章 衣生活の管理と健康

2 個性を生かす

第 3章 住生活の管理と健康

2 住まいを計画する

単 元

ファッションデザイン家庭基礎科 目

GB

YM

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(3)高等学校情報科授業改善委員会参加者

授業改善委員岐阜県立大垣商業高等学校 教 諭 上 田 益 久岐 阜 県 立 池 田 高 等 学 校 教 諭 吉 田 順 一岐阜県立関有知高等学校 教 諭 井 戸 裕 二岐 阜 県 立 関 高 等 学 校 教 諭 矢 嶋 崇 顕岐阜県立大垣養老高等学校 教 諭 寺 澤 裕 紀

教科指導担当岐阜県教育委員会教育研修課 課長補佐 亀 山 弘岐阜県教育委員会教育研修課 課長補佐 岩 島 義 則