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腫瘍崩壊症候群 石澤賢一 Key words : Tumor lysis syndrome, Rasburicase, Allopurinol, Febuxostat 腫瘍崩壊症候群とは 白血病において経過中,尿酸の尿中排泄が増加する症 例が存在することは 19 世紀より知られていた。またが ん化学療法導入早期より,腫瘍細胞の腎臓への浸潤以外 にも尿酸,電解質異常による腎障害の存在が報告され 2) 1956 Wintrobe らは白血病の病型ごとに尿中の 総尿酸排泄量を測定し,健常人と比較して急性リンパ性 白血病(以下 ALL)が最も多く,慢性リンパ性白血病 (以下 CLL)が最も少ないこと,治療開始後白血球数が 減少するにつれて尿酸排泄量が増加し,白血球数が正常 化すると尿酸排泄量が減少に転じることを報告した 3) その後悪性腫瘍の治療経過中,高尿酸血症のみならず高 リン血症,低カルシウム血症,高カリウム血症が出現し, 腎不全,不整脈などを合併し重篤な状態に至る症例が報 告された。これらの代謝異常は造血器腫瘍,特に化学療 法に感受性が高いバーキットリンパ腫で発生頻度が高 く,詳細な臨床経過の検討が実施され,腫瘍崩壊症候群 tumor lysis syndrome,以 下 TLS)の 概 念 が 確 立 し 4, 5) TLS は,腫瘍細胞の急激かつ大量の崩壊により細胞 内物質が急激に細胞外に放出され,その代謝産物量が生 体の処理能力を超えた結果,高尿酸血症,高カリウム血 症,高リン血症,低カルシウム血症が出現し,腎不全, けいれん発作,不整脈による突然死をきたすものであ る。早急な治療介入が必要で時として致死的であるため oncologic emergency”の一つとされている 5) 腫瘍崩壊症候群の病態 核酸の代謝過程において,プリン体はキサンチンを経 て最終的に尿酸となり,尿中に排泄される。腫瘍が崩壊 し大量の核酸が放出された場合,大量の尿酸が生成し高 尿酸血症となり尿中の尿酸濃度が上昇する。酸性環境下 では尿酸の溶解度が低下するため,溶解度を上回った過 剰な尿酸は結晶化し尿細管に析出沈着し,尿細管閉塞に より腎障害をきたす。また結晶沈着は TNF-a 6) mono- cyte chemoattractant protein-1macrophage inflamma- tory protein-2 7) IL-6 8) の産生誘導を介して局所的な炎症 を惹起して腎障害を助長する。このような尿酸結晶生成 を介した腎障害以外にも尿酸の直接作用として,レニ - アンギオテンシン系の活性化,血管内皮細胞の NO レベル低下が知られており,その結果腎血管収縮,腎血 流量低下をきたし,腎障害の一因になると推察されてい 9) 細胞内のカリウム濃度は細胞外の約 30 倍であり,リ ン酸の濃度も腫瘍細胞内では細胞外の約 4 倍と推定され ている。したがって大量の腫瘍細胞の破壊により血中に 大量のカリウム,リン酸が放出されるため,高リン血症, 高カリウム血症となる。過剰なリンはカルシウムと結合 してリン酸カルシウム結晶を形成し,低カルシウム血症 を惹起する。リン酸カルシウム結晶は腎臓に沈着して腎 障害の一因となり,低カルシウム血症は筋痙攣を誘発, 心筋収縮能を低下させ,高カリウム血症とともに不整脈 の原因となる。心機能低下や腎障害は,高尿酸血症,高 サイトカイン血症,高リン血症を増悪させ,さらに心機 能低下,腎障害が進行する。つまり心機能低下,腎不全 と電解質異常の悪循環が TLS の本態である(Fig. 1)。 腫瘍崩壊症候群の定義 TLS の定義は必ずしも明確ではなかったが,Hande- Garrow によって提唱され 10) Cairo-Bishop が改変した 臨床検査値異常に基づく TLSLaboratory TLS(以下 LTLS)と, LTLS に加えて生命を脅かす腎不全,不整脈, けいれんが出現しており,直ちに積極的な治療介入が必 −臨 液− 460 2006東北大学病院 臨床試験推進センター 血液免疫科 75 回日本血液学会学術集会 その他 EL-59 ガイドライン(標準治療)

腫瘍崩壊症候群 - MICEnavi -Home-...腫瘍崩壊症候群 石澤賢一 Keywords:Tumorlysissyndrome,Rasburicase,Allopurinol,Febuxostat 腫瘍崩壊症候群とは 白血病において経過中,尿酸の尿中排泄が増加する症

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  • 腫瘍崩壊症候群

    石 澤 賢 一

    Key words : Tumor lysis syndrome, Rasburicase, Allopurinol, Febuxostat

    腫瘍崩壊症候群とは

    白血病において経過中,尿酸の尿中排泄が増加する症

    例が存在することは 19世紀より知られていた。またがん化学療法導入早期より,腫瘍細胞の腎臓への浸潤以外

    にも尿酸,電解質異常による腎障害の存在が報告され

    た2)。1956年 Wintrobeらは白血病の病型ごとに尿中の総尿酸排泄量を測定し,健常人と比較して急性リンパ性

    白血病(以下 ALL)が最も多く,慢性リンパ性白血病(以下 CLL)が最も少ないこと,治療開始後白血球数が減少するにつれて尿酸排泄量が増加し,白血球数が正常

    化すると尿酸排泄量が減少に転じることを報告した3)。

    その後悪性腫瘍の治療経過中,高尿酸血症のみならず高

    リン血症,低カルシウム血症,高カリウム血症が出現し,

    腎不全,不整脈などを合併し重篤な状態に至る症例が報

    告された。これらの代謝異常は造血器腫瘍,特に化学療

    法に感受性が高いバーキットリンパ腫で発生頻度が高

    く,詳細な臨床経過の検討が実施され,腫瘍崩壊症候群

    (tumor lysis syndrome,以下 TLS)の概念が確立した4, 5)。

    TLS は,腫瘍細胞の急激かつ大量の崩壊により細胞内物質が急激に細胞外に放出され,その代謝産物量が生

    体の処理能力を超えた結果,高尿酸血症,高カリウム血

    症,高リン血症,低カルシウム血症が出現し,腎不全,

    けいれん発作,不整脈による突然死をきたすものであ

    る。早急な治療介入が必要で時として致死的であるため

    “oncologic emergency”の一つとされている5)。

    腫瘍崩壊症候群の病態

    核酸の代謝過程において,プリン体はキサンチンを経

    て最終的に尿酸となり,尿中に排泄される。腫瘍が崩壊

    し大量の核酸が放出された場合,大量の尿酸が生成し高

    尿酸血症となり尿中の尿酸濃度が上昇する。酸性環境下

    では尿酸の溶解度が低下するため,溶解度を上回った過

    剰な尿酸は結晶化し尿細管に析出沈着し,尿細管閉塞に

    より腎障害をきたす。また結晶沈着は TNF-a6),mono-cyte chemoattractant protein-1,macrophage inflamma-tory protein-27),IL-6 8) の産生誘導を介して局所的な炎症を惹起して腎障害を助長する。このような尿酸結晶生成

    を介した腎障害以外にも尿酸の直接作用として,レニ

    ン-アンギオテンシン系の活性化,血管内皮細胞の NOレベル低下が知られており,その結果腎血管収縮,腎血

    流量低下をきたし,腎障害の一因になると推察されてい

    る9)。

    細胞内のカリウム濃度は細胞外の約 30倍であり,リン酸の濃度も腫瘍細胞内では細胞外の約 4倍と推定されている。したがって大量の腫瘍細胞の破壊により血中に

    大量のカリウム,リン酸が放出されるため,高リン血症,

    高カリウム血症となる。過剰なリンはカルシウムと結合

    してリン酸カルシウム結晶を形成し,低カルシウム血症

    を惹起する。リン酸カルシウム結晶は腎臓に沈着して腎

    障害の一因となり,低カルシウム血症は筋痙攣を誘発,

    心筋収縮能を低下させ,高カリウム血症とともに不整脈

    の原因となる。心機能低下や腎障害は,高尿酸血症,高

    サイトカイン血症,高リン血症を増悪させ,さらに心機

    能低下,腎障害が進行する。つまり心機能低下,腎不全

    と電解質異常の悪循環が TLSの本態である(Fig. 1)。

    腫瘍崩壊症候群の定義

    TLS の定義は必ずしも明確ではなかったが,Hande-Garrow によって提唱され10),Cairo-Bishop が改変した臨床検査値異常に基づく TLS,Laboratory TLS(以下LTLS)と,LTLSに加えて生命を脅かす腎不全,不整脈,けいれんが出現しており,直ちに積極的な治療介入が必

    −臨 床 血 液−

    460(2006)

    東北大学病院 臨床試験推進センター 血液免疫科

    第 75回日本血液学会学術集会

    その他

    EL-59 ガイドライン(標準治療)

  • 要な Clinical TLS(以下 CTLS)に大別する分類が広く受け入れられている11)(Table 1)。LTLSは当初,Hande-Garrowによりリン,カリウム,

    尿酸,BUNの 25%上昇,カルシウムの 25%低下の電解質異常が,治療開始後 4日間以内に二つ以上認められた場合と定義された。しかしすでに正常範囲を大きく逸脱

    している症例に関して 25%の変動の確認は臨床的意義が低いこと,治療開始前より腫瘍崩壊症候群を併発して

    いる症例,治療開始 5日目以降発症症例の評価ができないことなどの問題があった。そこで Cairo-Bishop の定義では,電解質異常として尿酸,カリウム,リン高値,

    あるいはベースラインと比較して 25%の上昇,カルシウムの低値,あるはベースラインと比較して 25%の低下が 2項目以上,治療開始前 3日前から開始後 7日目までに認められた場合とされた。さらに“an expert TLSpanel consensus”では,正常範囲内での 25%の変動の臨床的意義も低く,カルシウムの変動はリンの変動によ

    るものとして,尿酸,カリウム,リンのうち二つが正常

    上限を超えている場合 LTLS と定義した(Table 2)12)。一方 Howardらは,臨床症状を有する低カルシウム血症の重要性を考慮して,高尿酸,高カリウム,高リン,低

    カルシウムのうち,二つの異常で LTLSと定義した13)。以上 LTLSに関しては,定義がそれぞれ微妙に異なって

    臨 床 血 液 54:10

    461(2007)

    Fig. 1 Pathogenesis of TLS

    Table 1 Cairo-Bishop defi nition of LTLS(Ref. 11)

    Serum values Change from baseline

    Uric acid ≧8 mg/l 25% increase

    Potassium ≧6 mEq/l 25% increase

    Phosphorous ≧2.1 mmol/l(children)≧1.45 mmol/l(adult)

    25% increase

    Calcium ≦1.75 mmol/l 25% decrease

    LTLS is defi ned as either a 25% change or level above or below normal for any two or more serum values of uric acid, potassium, phosphate, and calcium within 3 d before or 7 d after the initiation of chemotheraoy.

    Table 2  “an expert TLS panel consensus” defi nition of LTLS(Ref. 12)

    Serum values

    Uric acid Level above normal

    Potassium Level above normal

    Phosphorous Level above normal

    LTLS is defi ned as level above normal for any two or more serum values of uric acid, potassium, and phosphate, within 3 d before or 7 d after the initiation of chemotherapy.

  • いるが,実臨床の立場ではベースラインからの変動を考

    慮するのはやや煩雑であり,an expert TLS panel con-sensusあるいは Howardらの定義が簡便であると考えられる。

    腫瘍崩壊症候群の発生頻度

    Handeと Garrowらは,非ホジキンリンパ腫 102例の症例報告をまとめ,LTLS が 42%,CTLS が 6%認められたと報告した10)。B-ALL,進行期 NHL を対象としたドイツを中心とした多施設共同試験 NHL-BFM90,95の解析では,B-ALLで 26.4%,バーキットリンパ腫で 14.9%の TLSが認められた14)。成人 AML772例を対象とした解析では,TLSの発生頻度は 17%(CTLS:5%,LTLS:12%)であった15)。しかしこれまでの TLS の発生頻度に関する報告は,症例報告のレビュー,臨床試験におけ

    る解析などであり,解析対象とした年代により TLSの定義,原疾患に対する治療法,TLS の予防法が異なっているため,正確な頻度は不明である。

    腫瘍崩壊症候群のリスク分類

    TLS の最良の管理は,予防である。TLS 発症のリスクファクターとしては,疾患,腫瘍量,腎機能,尿酸,

    疾患特異的治療が知られていたが,それらをどのように

    組み合わせて TLS発症リスクを評価するかは明確ではなかった。Rasburicaseの臨床導入により TLS予防法の選択肢が広がったこともあり,幅広い疾患に適応可能な

    TLSのリスク評価システムの必要性が強く認識された。2010年,これまでの TLSガイドライン16) を発展させた形で“an expert TLS panel consensus”が公表され,そのリスク評価システムが現在広く用いられている12)。

    “an expert TLS panel consensus”の TLS のリスク評価は,“LTLS の有無”,“疾患,腫瘍量”,“腎機能,腎浸潤の有無”の 3段階で実施される。まず LTLSの有無が検討される。LTLSが合併していれば,CTLSの有無が検討される。LTLSが合併していない場合,年齢,腫瘍のタイプ,腫瘍量などにより,TLSの発症頻度が 1%未満の低リスク疾患(low risk disease:以下 LRD),1∼5%の中間リスク疾患(intermediate risk group:以下IRD),5%を超える高リスク疾患(high risk group:以下 HRD)に分類する。HRDはそのまま高リスク(HR)となるが,LRD,IRDに関しては,最終的に腎機能,腎浸潤の有無でリスクを調整して低リスク(low risk:以下 LD),中間リスク(intermediate risk:以下 ID),高リスク(high risk:以下 HD)が決定され,リスクに応じた予防法が選択可能となる。以下各ステップに関して,

    概説する。

    1)LTLSの有無の検討尿酸,カリウム,リン酸のうち二つ以上が化学療法開

    始 3日前から 7日後までに正常上限を超えている場合,LTLSと診断される。カルシウム低下はこの診断基準には含まれていないが,臨床上重要なのでその測定は必須

    である。

    LTLS に加え,腎不全(クレアチニンが正常上限の1.5倍を超える),不整脈/突然死,ケイレンのいずれかが認められた場合,CTLSと診断され,ICU管理下で強力な治療介入が必要となる。LTLSの場合は,後述の高リスク群の予防措置が推奨される。

    LTLSが認められない場合,各疾患のリスク評価,腎機能に応じたリスクの調整を実施する。

    2)疾患,腫瘍量の評価①固形腫瘍

    基本的には LRDに分類される。例外はバルキー病変を有する神経芽細胞腫,胚細胞腫,小細胞肺がんは化学

    療法に対する感受性が高いため IRDに分類される(Fig.2)。しかし近年 sunitinib17),sorefenib18),cetuximab19) などの分子標的薬の臨床導入により TLS発症の報告が増加しており,今後治療法も加味したリスク評価が必要に

    なるかもしれない。造血器腫瘍と異なり治療開始後 10日以上経過してから TLSが発症する症例もあり18, 20, 21),“an expert TLS panel consensus”が提唱している TLSの評価期間“化学療法開始 3日前から 7日後”が妥当なのか,今後の臨床データの集積が待たれる。

    ②骨髄腫

    骨髄腫は,化学療法に対する感受性は低く LRDに分類される。造血幹細胞移植を組み込んだ強力な治療が実

    施されたコホートでも TLS の発症頻度は約 1%である22)。骨髄中の腫瘍細胞の増加,白血化,未熟な腫瘍細

    胞の増加,染色体異常(del(13))が TLSのリスク因子として示唆された。

    しかし近年ボルテゾミブ 23, 24),レナリドミドなどの新

    規分子標的薬の臨床導入により,TLSの報告は増加傾向にある。再発,難治多発性骨髄腫 59例に対するボルテゾミブ療法で,17例で TLSが発症したとの報告がある25)。本邦の市販後調査では,TLSの発症頻度は 5%であった26)。今後 TLSの発症頻度が増加することが予想され,これらの新規薬剤使用時には IRDと分類したほうが安全かもしれない。固形腫瘍と同様に,今後の

    TLSの発症頻度の推移を注意深く観察する必要がある疾患である。

    ③慢性白血病

    慢性骨髄性白血病:慢性骨髄性白血病の慢性期は

    −臨 床 血 液−

    462(2008)

  • LRDに分類される。移行期,急性期ではチロシンキナーゼ阻害剤を使用した場合でも TLSの報告があり,後述の急性白血病に準じた対応が必要である。

    慢性リンパ性白血病:慢性リンパ性白血病は,治療法

    によりリスク分類が異なる。アルキル化剤による治療の

    場合,LRDに分類されるが,白血球が増多している症例にフルダラビンやリツキシマブなどの生物学的製剤を

    使用する場合,IRDとみなされる。④急性白血病

    急性白血病は,急性骨髄性白血病,急性リンパ性白血

    病,バーキットリンパ腫/白血病に大別される。急性骨

    髄性白血病,急性リンパ性白血病では,白血球数でリス

    ク分類を実施し,その後 LDHの上昇の有無で調整する。バーキットリンパ腫/白血病は,検査データ如何に関わ

    らず HRDと分類される。急性骨髄性白血病:白血球数 10万以上は HRD。白血球数 2.5万以上 10万未満は IRD。白血球数 2.5万未満の場合,LDH が正常上限の 2 倍以上であれば IRD,2 倍未満であれば LRDに分類される。急性リンパ性白血病:白血球数 10万以上は HRD。白

    血球数 10万未満の場合,LDHが正常上限の 2倍以上であれば HRD,2倍未満であれば IRDに分類される。バーキットリンパ腫/白血病:検査データによらず

    HRDと分類される。⑤悪性リンパ腫

    悪性リンパ腫は病理組織型により,TLS の発症リスクが大きく異なる。“an expert TLS panel consensus”では,低リスクの組織型,年齢,腫瘍量,LDHによりリスクが変わる組織型,高リスクの組織型の三つに大別

    し,それぞれでリスク評価を実施する。

    a)低リスク組織型ホジキンリンパ腫,小リンパ球性リンパ腫,濾胞性リ

    ンパ腫,マージナルゾーン B細胞リンパ腫,MALTリンパ腫,マントル細胞リンパ腫(blastoid variant以外),皮膚 T細胞リンパ腫:基本的に臨床病期,LDHの値によらず LRDに分類される。未分化大細胞リンパ腫:年齢に応じてリスク分類が異

    なる。成人では,臨床病期に関わらず LRDに分類される。小児では臨床病期 I/II 期は LRD,III/IV 期は IRDに分類される。

    b)年齢,腫瘍量,LDHによりリスクが変わる組織型成人 T細胞白血病/リンパ腫,びまん性大細胞型 B細

    胞リンパ腫,末梢性 T細胞リンパ腫,病理組織学的進

    臨 床 血 液 54:10

    463(2009)

    Fig. 2 Mechanism of action: rasburicase and allopurinol

    Fig. 3 Plasama uric acid profile(Ref. 38)AUC: area under the plasma concentration,ALLP: allopurinol, RSB: rasburicase

  • 展例,マントル細胞リンパ腫(blastoid variant):これらの組織型は,成人と小児で扱いが異なる。成人では,臨

    床病期はリスク分類に関与せず,LDHとバルキー病変の有無でリスクが決定される。LDHが正常範囲内であれば LRD,LDHが上昇している場合バルキー病変がなければ IRD,バルキー病変を有する場合 HRDに分類される。小児では,バルキー病変の有無はリスク分類には

    関与せず,臨床病期と LDHでリスク分類がなされる。臨床病期 I/II期は LRD,臨床病期 III/IV期の場合 LDHが正常上限の 2倍未満であれば IRD,2倍以上であればHRDに分類される。LDHの閾値が正常上限の 2倍で成人の場合と異なる点,注意が必要である。

    c)高リスク組織型バーキットリンパ腫/白血病,リンパ芽球性リンパ腫:

    臨床病期と LDHによりリスクが決定する。限局期の場合,LDH が正常上限の 2 倍未満であれば IRD,2 倍以上であれば HRD となる。進行期の場合,LDH の値に関わらず HRDに分類される。

    3)腎機能によるリスクの調整LRDと IRDに関しては,腎機能によるリスク調整が

    実施され,最終的なリスクカテゴリーが決定される。

    LRD:対応は,疾患により異なる。固形腫瘍,骨髄腫は化学療法低感受性と認識されているため,腎機能

    に関わらず LRとなる。リンパ腫,白血病の場合,腎機能低下あるいは腎浸潤が確認されれば IR,腎機能が正常であれば LRに分類される。

    IRD:腎機能低下あるいは腎浸潤が認められる場合 HRとなる。腎機能が正常な場合,尿酸,リン酸,カ

    リウムのいずれかが上昇している場合は HR,三ついずれも正常範囲内の場合は IRとなる。

    腫瘍崩壊症候群の予防処置

    TLSの管理で最も重要なことは,対象症例の TLS発症リスクを的確に評価して,リスクに応じた適切な予防

    処置を実施することである。最初に代表的な予防処置の

    特徴を概説し,その後リスクごとに推奨されている予防

    処置を提示する。

    1)TLSの予防処置①補液

    TLS 予防の基本的な処置である。尿量を維持することにより,尿酸,リン酸の排泄を促す。大量補液の場合,

    補液量は 3000 ml/m2/日が目安で,尿量 100 ml/h の確保を目標とする。補液はカリウム,リン酸を含まないも

    のが基本で,電解質を測定しながら調整する。利尿が不

    十分な場合,閉塞性尿路障害,脱水がなければループ利

    尿薬,マニトールを使用する。尿アルカリ化は,リン酸

    カルシウムの溶解度が低下して結晶析出の可能性が増加

    するため,TSL予防目的では推奨されない。②尿酸生成抑制薬

    尿酸生成抑制薬としては,現在 allopurinol,febuxo-statの二つが使用可能であるが,TLSの治療,予防としての使用は保険適応外である。

    a)Allopurinolallopurinolはキサンチン誘導体で,薬理学的活性を有

    する代謝産物はオキシプリノールである。尿酸低下作用

    は,オキシプリノールがキサンチンオキシダーゼを阻害

    する事により,ヒポキサンチンからキサンチン,キサン

    チンから尿酸への転換が抑制されることによる(Fig.2)。しかし尿酸に対する直接の効果は無く,尿酸低下まで時間を要するため,化学療法開始 1∼2日前からの使用が推奨される。またヒポキサンチン,キサンチン濃度

    上昇によるキサンチン腎症の誘引となる可能性を考慮し

    なければならない。腎機能低下時には,用量調整が必要

    となる。

    薬物相互作用としてmercaptopurine hydrate,azathio-prine,ciclosporin,phenytoin,キサンチン系薬剤(the-ophyllineなど)の血中濃度を上昇させること,クマリン系抗凝血薬の作用を増強すること,cyclophospha-mide hydrateによる骨髄抑制を増強する可能性があることなどが知られている。TLS予防に対する使用歴は古く27),欧米では静注製剤も使用されているが28),本邦で

    は未承認である。

    b)FebuxostatFebuxostat は非プリン型のキサンチンオキシターゼ

    阻害剤で,1日 1回投与で優れた尿酸低下作用を持つ29)

    (Fig. 2)。Allopurinolと同様に化学療法開始 1∼2日前からの使用が望ましい。腎で代謝されることが少ないため

    に,軽度∼中等度の腎機能障害時でも用量調節が不要で

    安全性が高く30),TLS予防の効果が期待されるが,化学療法に伴う高尿酸血症を対象とした臨床試験は報告され

    ていない。また mercaptopurine hydrate,azathioprineは併用禁忌となっている。

    ③尿酸分解酵素薬

    尿酸分解酵素の使用歴は古い。Aspergillus flavus由来の天然型尿酸分解酵素薬 Uricozymeは,すでに 1960年代より散発的な使用の報告があり31),1975年にフランス,1984年にイタリアで市販開始となり,ヨーロッパを中心に一般臨床で広く使用された32)。このような事情

    と疾患の重篤性が相まって比較試験が実施されにくい状

    況となり,TLS領域におけるエビデンスが不十分であることの一因となっている。その後遺伝子組み換え型尿

    酸分解酵素薬 rasburicaseの開発が進み,米国食品医薬品局は 2002年 7月,“抗腫瘍薬の投与により腫瘍崩壊と

    −臨 床 血 液−

    464(2010)

  • それに続く血漿中尿酸上昇が起こることが予期される白

    血病,リンパ腫,固形腫瘍を有する小児患者の血漿尿酸

    値の初期管理”を適応として承認した。また 2009年 10月,小児と同様の適応で成人に関しても承認した。本邦

    でも“がん化学療法に伴う高尿酸血症”の適応で,TLS予防に使用可能である。

    rasburicaseはウレートオキシダーゼの遺伝子組み換え型タンパクで,その尿酸低下作用は,尿酸に直接作用

    して尿酸をより水溶性の高いアラントインに変換するこ

    とによる(Fig. 2)。アラントインは速やかに腎臓より尿中に排泄されるため,尿酸のみならず,ヒポキサンチン,

    キサンチンなどの核酸の代謝産物を体内より速やかに除

    去することが可能となり,腫瘍崩壊症候群の予防,治療

    に期待されている薬剤である33, 34)。本邦で実施された臨

    床試験でも,投与開始後 4時間で,尿酸は速やかに低下し,化学療法開始後も尿酸のコントロールは良好であっ

    た35, 36)。有害事象は,酵素製剤であるため過敏反応,抗

    体産生,肝酵素上昇などが報告されている。また再投与

    に関しては,安全性が確認されておらず承認されていな

    い。G6PD欠損症例への投与は禁忌である。

    2)Allopurinolと rasburicaseの比較試験Allopurinol と rasburicase の有効性に関しては,2 本

    の比較試験が実施された。主に小児のステージ III,IVの非ホジキンリンパ腫,白血球数 25,000/ml以上の急性リンパ性白血病あるいは尿酸値 8 mg/dl以上の高尿酸血症患者を対象とした試験では,化学療法開始前より ras-buricase 0.20 mg/kgあるいは allopurinol 300 mg/m2/日を 5∼7日間投与すれデザインで実施され,薬剤投与後0時間から 96時間までの尿酸の AUC(AUC0-96)の比較を主要評価項目とした。生後 3ヶ月から 17歳までの52名が登録され,尿酸値正常例では rasburicase群,al-lopurinol群の投与開始 4時間の尿酸値は 0.78 mg/dl,3.92 mg/dl,AUC0-96は 107.9 mg/dl・h,265.9 mg/dl・h。尿酸値上昇例では投与開始 4時間の尿酸値は各々 1.35mg/dl,8. 8 mg/dl,AUC0-96 は 162. 4 mg/dl・h,440mg/dl・h で,尿酸正常例,尿酸上昇例共に,allopuri-nol 群と比較して rasburicase 群の速やかな尿酸値コントロールと尿酸 AUC減少が示された。rasburicase群では原因不明の溶血が 1例,allopurinol群では高リン血症のため 1例透析が必要であった37)。成人の TLS 高リスク患者を対象とした第 III 相試験は,rasburicase 0.20 mg/kg を第 1 日目∼5 日目まで投与,rasburicase 0.20 mg/kg を第 1 日目∼3 日目まで投与し allopurinol 300 mg/日を第 4 日目∼5 日目に投与,allopurinol 300 mg/日を第 1 日目∼5 日目まで投与の 3群を比較するデザインで実施され,第 3日目から 7日目

    までの尿酸が 7.5 mg/dl以下に維持される割合を主要評価項目とした。Rasburicase群 92例,rasburicase+allo-purinol 群 92 例,allopurinol 群 91 例が登録され,各群の尿酸のコントロールが成功した割合は,87%,78%,66%で,allopurinol 群と比較して rasburicase を含む群が優位に良好であった38)(Fig. 3)。これらの試験はいずれも尿酸コントロールを主要評価

    項目としており,その点に関しては rasburicaseが allo-purinolを有意に上回ったが,TLS発症予防に関しては明確な結論は得られていない。

    3)Rasburicaseの投与日数承認用法用量は 0.2 mg/kg 点滴静注で最大 7 日間ま

    でとなっており,これまでの臨床試験の多くは 5日間投与で実施された。現時点で適切な投与日数は明らかでは

    ないが,最近 0.15 mg/m2 5日間投与と 1日投与を比較する第 II相試験の結果が報告された39)。各群それぞれ40症例が登録され,5日投与法ではすべての症例で尿酸値コントロールが出来たが,1 日投与法では 6 症例でrasburicaseの追加投与を要した。追加投与症例はすべて TLS高リスクの症例であった。TLS高リスクの症例の一部では 1日投与法で尿酸値のコントロールが不十分である可能性がある。実臨床では TLS高リスク症例には 1回投与して,その後検査データの推移を厳重に観察しながら必要に応じて追加投与するのが実際的であろ

    う。

    2)リスク別の予防法12∼16)(Table 3)①低リスク

    通常量の補液と,1日 1回のモニタリング(電解質,腎機能等,水分の In/Out)を実施する。基本的に尿酸生成抑制薬は不要であるが,電解質異常の兆候が認めら

    れる場合,バルキー病変,進行期,増殖の速い腫瘍の場

    合は投与が推奨される。

    ②中リスク

    大量補液と尿酸生成抑制薬を投与し,8∼12時間毎にモニタリング(電解質,腎機能等,水分の In/Out)を実施する。これらの予防法開始後も尿酸値が上昇傾向に

    ある場合,rasburicaseの投与が推奨される。③高リスク

    大量補液と rasburicaseを投与し,ICUまたは同レベルの管理下で 4∼6時間毎にモニタリング(電解質,腎機能等,水分の In/Out,心電図)を実施する。

    ま と め

    各疾患で,今後治療法の進歩により TLSのリスクが増加する可能性があり,がん薬物療法においては,常に

    臨 床 血 液 54:10

    465(2011)

  • TLSを念頭に置いた対応が必要である。さらに rasburi-caseの臨床導入により尿酸のコントロールが比較的容易になったため,TLSが尿酸中心からリン酸中心になるなど質的な変化が予想される40)。現在公表されている

    TLSのリスク分類とその予防法のガイドラインは,“専門家の合意”という形態をとっていることからも明らか

    なように,必ずしも十分なエビデンスは存在しない。今

    後その妥当性の継続的な検証が必要である。

    謝 辞

    本論文は,日本臨床腫瘍学会腫瘍崩壊症候群ガイダン

    ス作成委員会での議論によるところが大きい。作成委員

    の河野勤先生(杏雲堂病院),桐戸敬太先生(山梨大学),

    徳平道英先生(埼玉医科大学総合医療センター),永井

    宏和先生(名古屋医療センター),湯坐有希先生(東京

    都小児総合医療センター),葉清隆先生(国立がん研究

    センター東病院),日本臨床腫瘍学会ガイドライン委員

    会委員長室圭先生(愛知県立がんセンター)に深謝しま

    す。

    著者の COI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連

    して特に申告なし

    文 献

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    −臨 床 血 液−

    466(2012)

    Table 3  TLS prophylaxis recommendation on TLS risk(Ref. 12, 16)

    TLS risk 予防法

    Low Risk MonitoringHydration∓ Allopurinol/Febuxostat

    Intermediate Risk MonitoringIncreased Hydration∓ Allopurinol/Febuxostat

    High Risk MonitoringIncreased HydrationRasburicase

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