41
平成 14 年度 年次経済財政報告 (経済財政政策担当大臣報告) -改革なくして成長なし II平成 14 11 内 閣 府

年次経済財政報告 - Cabinet Office...02年Ⅱ 98年Ⅰ 02年Ⅰ 01年Ⅳ-15-10-5 0 5 10-15 -10 -5 0 5 10 15 出 荷( 前 年 同 期 比) 在庫(前年同期末比)

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 平成 14 年度

    年次経済財政報告 (経済財政政策担当大臣報告)

    -改革なくして成長なし II-

    説 明 資 料

    平成 14 年 11 月

    内 閣 府

  • 目 次

    第1章 景気回復力の展望……………………………………………………1

    第1節 景気は底入れへ……………………………………………………1

    第2節 デフレ下の企業・銀行・家計の行動……………………………4

    第3節 財政金融政策の展開………………………………………………8

    第4節 景気の先行き………………………………………………………10

    第2章 活力回復のための税制改革に向けて………………………………11

    第1節 個人所得課税の負担構造…………………………………………11

    第2節 法人所得課税の負担………………………………………………19

    第3章 日本経済を活性化するための課題…………………………………24

    第1節 「産業空洞化」懸念をどう捉えるか……………………………24

    第2節 構造調整の現状と経済活性化の課題……………………………31

    第3節 経済構造の将来展望………………………………………………39

    当資料は、「年次経済財政報告」の説明のため暫定的に作成した

    ものであり、引用等については、直接「年次経済財政報告」本文

    によられたい。

  • 1

    第1章 景気回復力の展望

    【第1節 景気は底入れへ】

    (1)景気は底入れ

    ・ 底入れの背景

    1) 対外要因<輸出の増加> ← (i)アメリカ経済の回復、(ii)アジア経

    済の回復、(iii)為替レートの円安

    2) 国内要因<在庫調整の終了> ← 急速かつ大幅な生産調整

    ・ 今回の特徴=輸出、生産の落ち込みとその後のリバウンドが大きい。ただし、

    期待成長率は一層低下。

    (2)デフレの現状

    ・ 一般物価デフレは引き続き進行 ← 国内卸売物価は、円安などによる輸入

    物価の上昇と需給好転から横這い。しかし、消費者物価は、輸入浸透度の上

    昇から引き続き弱含み。GDPデフレータの低下は、デフレが「ホーム・メ

    ード」であることを示す。

    ・ 資産価格(地価、株価)は、バブル崩壊後大幅に低下し、現在までも下落基

    調。90 年以降の日本全体のキャピタル・ロスは、1,100 兆円を上回る。

    ・ 資産価格下落の要因として、1)収益見通しの低迷、2)リスクプレミアムの上

    昇が考えられる。この他、地価は、土地神話が崩壊し、「所有から利用価値

    重視へ」といった変化が影響。

    ・ 資産価格デフレが実体経済に与える影響は、

    1)バランスシートの悪化(負債側の価値が固定、資産側の価値が減少)

    2)資金調達の困難化(担保価値の減少、株価の下落)

    -3

    -2

    -1

    0

    1

    2

    3

    Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ

    98 99 00 01 02

    第1-1-1図 実質GDPの項目別寄与度

    (前期比、%)

    (期)(年)

    公的需要国内総支出

    純輸出民間最終消費支出

    民間企業設備

    その他

    悪化から底入れの動き

  • 2

    第1-1-2図 アメリカの地域別輸入金額の伸びの寄与

    -15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ

    98 99 00 01 02(期)(年)

    アジア2.0

    日本-0.5

    (%、前年同期比)

    世界1.4

    96

    100

    104

    108

    112

    116

    -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

    (生産、景気の谷=100)

    (期)

    2000.Ⅳ~02.Ⅱ(02.Ⅰ)

    97.Ⅳ~00.Ⅱ(99.Ⅰ)

    92.Ⅲ~95.Ⅰ(93.Ⅳ)

    92

    96

    100

    104

    108

    112

    116

    -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

    (輸出、景気の谷=100)

    (期)

    92.Ⅲ~95.Ⅰ(93.Ⅳ)

    2000.Ⅳ~02.Ⅱ(02.Ⅰ)

    97.Ⅳ~00.Ⅱ(99.Ⅰ)

    第1-1-3図 景気局面の比較(1)生産、輸出、稼働率は今回落ち込みが急でリバウンドも大きい

  • 3

    -3.0

    -2.0

    -1.0

    0.0

    1.0

    2.0

    3.0

    4.0

    ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡ

    91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02

    国内卸売物価

    消費者物価(全国、生鮮除く総合)

    (期)(年)

    GDPデフレータ

    第1-1-6図 物価の推移

    (前年比、%)一般物価の下落は続く

    -1200

    -1000

    -800

    -600

    -400

    -200

    0

    200

    400

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00(年)

    土地の保有損失

    (90年からの累計、兆円)

    株式の保有損失

    第1-1-11図 土地及び株式の保有損失我が国全体でのバブル崩壊後のキャピタルロスは巨額

    第1-1-5図 景気局面の比較(3)

    -2

    -1

    0

    1

    2

    3

    4

    91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01

    業界需要の実質成長率見通し(年度平均)(%)

    (年度)

    単年度見通し

    今後5年間見通し今後3年間見通し

  • 4

    【第2節 デフレ下の企業・銀行・家計の行動】

    (1)企業部門 ・ 企業収益は大幅に減少し、中でも当期利益は、リストラにより上場企業ベー

    スで赤字に。 ・ 大幅な生産調整などから、在庫調整は終了。景気底入れの国内要因を整備。 ・ バランスシート調整、資本ストック調整、雇用・賃金調整は、景気を下押し。 (2)銀行部門 ・ 銀行における 2001 年度の不良債権残高および不良債権処理費は大幅に増加。

    株価下落もあって、収益が大幅に悪化しており、経営体力(自己資本および

    含み益の合計)は低下。 ・ 銀行には、不良債権の早期の抜本的な処理と同時に、成長性の高い分野への

    貸出ウエイト増に期待。 (3)家計部門 ・ 個人消費は 2001 年に低迷 ← 1)家計の可処分所得の減少、2)住宅ローン

    等の支払い負担の増加、3)消費者マインドの悪化、4)株価下落による株式保有額の減少 2002 年入り後、消費者マインドの改善から一部に底固さも。

    ・ 個人消費に一部に下支え要因も ← 1)世帯数の増加、2)高齢者の消費、3)

    サービス消費の一部が堅調 ・ 住宅建設は横這い。ストック調整の進展が下支えしているが、失業率の上昇

    など将来不安が住宅着工(特に持家着工)を抑制。

    第1-2-3図 企業収益の推移当期利益は経常利益以上の落ち込み

    -15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 010

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35(兆円)

    経常利益

    当期利益

    (年度)

    経常利益と当期利益の差(右目盛)

    (兆円)

  • 5

    第1-2-4図  生産の推移生産調整はIT関連部門が中心

    -40

    -30

    -20

    -10

    0

    10

    20

    30

    1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7

    94 95 96 97 98 99 00 01 02

    (前年比、%)

    (月)(年)

    製造業

    非IT関連

    IT関連

    第1-2-5図  在庫循環図在庫調整は終了

    97年Ⅰ

    00年Ⅰ

    01年Ⅰ

    99年Ⅰ02年Ⅱ

    98年Ⅰ

    02年Ⅰ

    01年Ⅳ

    -15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    -15 -10 -5 0 5 10 15

    出荷(前年同期比)

    在庫(前年同期末比)

    (%)

    第1-2-8図 自己資本比率(時価換算後)の推移3業種、中小企業で改善が遅れる

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02

    製造業大企業

    製造業中小企業

    非製造業大企業(除く3業種)

    非製造業中小企業(除く3業種)

    3業種(不動産、建設、卸小売)

    (81.3~85.3月期平均=100)

    /3月

    第1-2-11図 設備投資のストック調整(製造業)期待成長率低下で設備投資減少

    -30

    -20

    -10

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

    (前年の設備投資/前年末の資本ストック、%)

    97年

    73年

    2% 4%

    67年

    0%

    (設備投資前年比、%)

    00年

    91年

    10%

    期待成長率の低下

    01年

  • 6

    -3

    -2

    -1

    0

    1

    2

    Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ

    98 99 2000 2001 2002

    現金給与総額

    (備考) 1.厚生労働省「毎月勤労統計調査」より内閣府にて算出。

    (期)

    (年)

    所定内給与所定外給与

    特別給与

    (前年比寄与度、%)強まる賃金調整

    第1-2-13図 現金給与総額の推移

    1第1-2-15図 新規求人数の推移

    -20

    -15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    Ⅰ98

    Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ99

    Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ2000

    Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ01

    Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ02

    サービス業

    卸売・小売業,飲食店

    運輸・通信業

    建設業

    (前年比寄与度、%)

    (期)

    (年)

    製造業

    その他

    製造業、建設業の減少寄与が大きい新規求人数

    00

    第1-2-19図 不良債権の推移

    不良債権は増加

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    45

    94/3 95/3 96/3 97/3 98/3 99/3 00/3 01/3 02/30

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    8

    9

    10

    (年/月)

    (兆円)(%)

    リスク管理債権残高 不良債権比率(右目盛)

  • 7

    第1-2-25図 消費者マインド

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年)

    消費者態度指数

    雇用環境の見通し

    収入増加の見通し

    消費者マインド改善

    消費者マインドは、低下後、持ち直しの動き

    第1-2-26図 高齢無職世帯の平均消費性向と世帯数の推移

    105

    110

    115

    120

    125

    95 96 97 98 99 00 010

    5

    10

    15

    20

    25(%)

    平均消費性向

    高齢無職世帯の世帯数(全世帯に占めるシェア、右目盛)

    (%)

    (年)

    高齢者世帯では、世帯数、消費性向とも増加

    住宅取得能力指数

    第1-2-31図 住宅取得能力指数、失業率と持家系着工戸数の推移高い住宅取得能力にも関わらず、先行き不安から持家系着工は低迷

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0

    3.5

    4.0

    住宅取得能力指数

    持家系/世帯 指数

    世帯主失業率(右逆目盛)

    (85年=100)

    (年)

  • 8

    【第3節 財政金融政策の展開】

    (1)財政構造改革 ・ 財政構造改革により、国の当初予算ベースの歳出が削減され、公共投資は減

    少傾向にあるが、社会保障費関連の増加を主因に、一般政府の財政支出全体

    は、足許で横這い。最終需要の一部で相対的に波及効果が大きいと考えられ

    る公共投資と政府消費をあわせても、ほぼ横這い。 ・ 一方、税収が減少したとみられるため、財政赤字は 2001 年度やや増加した

    見込み。 → 短期的なマクロ経済への大きなマイナス影響はなかったと考

    えられる。 ・ 2001 年度の財政赤字を循環的収支(景気循環により変動)と構造的収支(循

    環的収支を除く収支)に分けると、構造的赤字は若干減少する一方、循環的

    赤字は拡大した見込み。 ← ビルト・イン・スタビライザーが働く ・ 財政構造改革の主な内容は、1)大幅な財政赤字の削減、2)財政支出の内容の

    見直し。マクロ経済への影響を注視しながら、改革を進めていくことが重要。 (2)量的緩和政策 ・ 日本銀行の量的緩和政策実施後、マネタリーベースは大幅に増加。しかし、

    マネーサプライは低い伸びに留まっているほか、GDPは低調に推移。 ・ 貨幣乗数(マネーサプライとマネタリーベースの比)が大きく減少している

    背景には、資産構成において現金が選好されていること、銀行貸出が減少し

    ていることがある。マネーサプライの増加にもかかわらず、GDPが増加し

    なかった背景にも、取引需要以外の貨幣需要の増加があったと考えられる。 ・ 量的緩和政策の効果は、銀行貸出の増加でなく、為替レートの円安に効果が

    あった可能性。

    第1-3-1図 一般政府の支出の推移公共投資+政府消費は横這いで推移

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02

    支出計 その他 社会保障

    政府消費

    公共投資

    (兆円)

    (年度)

  • 9

    マネタリーベースが相対的に増加し、実質為替レートは減価第1-3-7図 実質為替レートの変化と日米のマネタリーベースの相対格差

    -0.7

    -0.6

    -0.5

    -0.4

    -0.3

    -0.2

    -0.1

    0

    ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡ

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02

    0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1

    1.2

    実質為替レートの変化

    マネタリーベース相対格差(右目盛)

    (年)

    (期)

    第1-3-5図 マネーサプライ等の推移高い伸び率を示したマネタリーベースと低い伸び率にとどまったマネーサプライ

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6

    1999 2000 2001 2002

    (前年比、%)

    マネタリーベース

    M2+CD

    貸出(特殊要因調整後) 広義流動性

    (月)

    (年)

    第1-3-4図 一般政府の循環的・構造的財政収支2001年度は循環的財政収支の赤字が若干拡大

    -8

    -6

    -4

    -2

    0

    2

    4

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01

    (実績見込)

    (年度)

    (GDP比、%)

    構造的財政赤字

    循環的財政赤字

    財政赤字計

  • 10

    【第4節 景気の先行き】

    (1)基本的なシナリオ ・ 輸出の増加や生産の持ち直しの影響から、次第に企業収益や雇用・所得環境

    が改善し、さらに民間需要の好転へと波及して、景気が緩やかに回復してい

    くというもの。 (2)リスク ・ 当面は民需の回復力は弱く、外的なショックに対して脆弱。 → 基本的なシナリオでは、世界経済が緩やかに回復を続けることが前提。

    しかし、2002 年度入り後、米国の株価下落をきっかけに世界的な株安となり、為替も大幅なドル安となった。 → 我が国の輸出や輸出企業の収益が下押しされる懸念

    → 米国経済が万が一停滞すれば、我が国の景気回復は短期間で腰折れす

    る可能性も否定できない。 (3)項目別動向 ・ 当面の設備投資の回復力が弱いのは、企業の期待成長率が低迷していること、

    過剰債務等の調整やデフレが特に非製造業や中小企業において下押し圧力

    として働くことなどによる。 ・ 個人消費、住宅投資も、雇用・所得環境が引き続き厳しいことになるため、

    回復するとしても極めて緩やかになる見通し。 ・ 財政支出は、公共投資は減少に向かうが、高齢化に伴う社会保障費の増加か

    ら、全体として大きくは減少しない見込み。 ・ 一般物価デフレは当面続く可能性高い。量的緩和政策は継続される見込み。 (4)構造改革の必要性 ・ 循環的な回復への動きを、力強い回復に繋げていくためには、構造改革を進

    め、経済を活性化させることが必要。

  • 11

    第2章 活力を回復するための税制改革に向けて

    【第1節 個人所得課税の負担構造】

    (1)主要国における所得税制の動向

    ・ 1980 年前後から各国とも総じて税率構造の簡素化・累進緩和を行うものの、

    累進強化や最高税率の引上げ等の動きもみられる。

    ・ 我が国でも 80 年代と 90 年代に、最高税率の引下げと税率構造の簡素化

    (2)80 年代以降の負担構造

    ・ 1980 年代以降、中堅所得者を中心に税負担が大幅に軽減。

    1)個人所得課税の再分配機能は低下

    2)税収の大幅な落ち込み

    →我が国の所得課税の負担は、歴史的にも国際的にも低い水準

    ・ 負担構造の現状

    1) 世帯類型別にみた個人所得課税の限界税率

    →給与収入の増加とともに、i) 所得税と住民税の適用税率が上昇すること

    や、ii)給与所得控除の控除率が変わることにより、限界税率は上昇

    2)最低税率ブラケット適用者の多さ

    →最低税率(10%)適用者は給与所得者の8割。

    3)非納税者の多さ

    →控除の拡充により課税最低限が引上げられ、非納税者の割合が増加傾向

    (給与所得者の5人に1人)。

    (3)世代別・ライフサイクルを通じた税負担に関するシミュレーション

    ・ 80 年代半ば以降の減税によりライフサイクル上の同時期においては、基本的

    に若年世代ほど実効税率が低下。

    ・ 給与収入(所得金額)が上昇することから、結果として平均税率も年齢階層

    が上がるごとに上昇。

    (4)控除の実態をめぐる論点と分析

    ・所得控除の存在

    → 課税ベースの縮小+税率の引下げ⇒給与総額に対する税収の比率は低下

    → 今後の我が国の高齢化を考えると、社会保険料の増加に伴う課税ベース

    の縮小はますます大きくなっていく。

    ・人的控除の実態

    1) 消費者物価指数で実質化した実質控除額は、80 年代後半以降は、ほぼ横

    ばいで推移。特定扶養控除額が近年大幅に上昇。

    2) 諸控除を廃止した場合の影響は、税負担の増加額で見ると、高所得者ほど

    大きい。

    3) 人的控除による減収見込み額は、基礎控除が 2.1 兆円程度、配偶者控除及

  • 12

    び配偶者特別控除が 1.2 兆円程度、扶養控除が 1.8 兆円程度。

    4) 諸控除を廃止すると、課税最低限の水準が低下することにより、これまで

    所得税を納付しなかった人(非納税者)のうちから、納税者に移るものが

    出てくる。

    ・高齢者に関する控除の実態

    1)公的年金受給者(夫婦世帯)の課税最低限は、現役給与所得者の 1.5 倍。

    → 勤労者と高齢者間で著しい税負担のかい離(「世代間の不公平」)が発

    生。

    2)年金所得以外にも所得のある高齢者の税負担を大層低いものとするという

    指摘がある。

    3)高齢者に関連する減収見込み額は、所得税及び個人住民税で合わせて、約

    1.9 兆円となっている。

  • 13

    第2-1-4図 給与収入別の実効税率

     (1) 給与収入別の実効税率(1995年価値への課税)-単身者

    4.1

    7.6

    16.1

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 (年)

    (%)

    (2) 給与収入別の実効税率(1995年価値への課税)-専業主婦+子供二人

    1.3

    4.8

    14.0

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 (年)

    (%)

    2.5

    6.0

    14.6

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 (年)

    (%)

    500万円 1000万円 2000万円

    500万円(*) 1000万円(*) 2000万円(*)

    (3) 給与収入別の実効税率(1995年価値への課税)-勤労主婦+子供二人

    (備考)1.総務省「消費者物価指数(平成7年基準)」等により作成。   2.夫を世帯主、専業主婦は所得無し、勤労主婦は配偶者特別控除対象外、子供は17歳と15歳、     人口5~50万人都市に居住し、夫は厚生年金保険、政府管掌健康保険、雇用保険に加入して     いると仮定した。   3.給与収入の各数値(500万、1000万、2000万)を1995年を基準に消費者物価指数(総合)にて     実質化した金額を給与収入とし、世帯主の実効税率(=所得税額/給与収入)を内閣府の税制     シミュレーションモデルで算出した。   4.点線部分(*)は特別減税を除いた仮定のケース。   5.恒久的減税を含み、昭和50年代の特別減税を含まない。

  • 14

    第2-1-10図 世帯類型別限界税率(所得税+住民税)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

    (%)

    専業主婦+子供二人

    専業主婦子供無し

    単身者

    (給与収入、百万円)

    (備考)1.世帯主の給与収入別に限界税率(所得税+住民税)を税制シミュレーションに     より算出。   2.夫を世帯主、専業主婦は所得無し、子供は17歳と15歳、人口5~50万人都市に     居住し、夫は厚生年金保険、政府管掌健康保険、雇用保険に加入していると仮     定した。   3.130万円から厚生年金、健康保険の支払い開始、162.5万円から給与所得控除が     定額から定率へ変更(単身者以外は所得税・住民税課税最低限未満)。900万円     から厚生年金標準報酬月額上限、1490万円から健康保険標準報酬月額上限。

  • 15

     第2-1-12図 限界税率ブラケット別納税者(又は申告書)数割合の国際比較多い最低税率ブラケット適用者

    0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

    フランス(98年)

    アメリカ(99年)

    イギリス(00年)

    日本(00年)納

    税者数割合

    申告書数割合

    [10%](約8割)

    [20%](16%程度)

    [30%](3%程度)

    [37%](1%未満)

    [10%](9.7%)

    [22%](80.6%)

    [40%](9.8%)

    [15%](68.7%)

    [28%](25.7%)

    [31%](3.4%)

    [36%](1.4%)

    [39.6%](0.9%)

    [10.5%](48.3%)

    [24%](36.3%)

    [33%](11.6%)

    [43%](2.9%)

    [48%](0.4%)

    [54%](0.6%)

    (構成割合、%)

    (備考)1.グラフの各欄の[ ]は限界税率、( )はそのブラケットに属する納税者(又は申告者)の全      体に占める構成割合である。    2.日本のデータは国税庁「税務統計から見た民間給与の実態」より、1年間を通じて勤務した納      税者に係る給与収入別の人員分布から扶養人員数等を考慮して課税所得を推計した。    3.諸外国のデータは各国の税務統計に基づいて作成した。    4.ドイツは方程式方式のためブラケット別納税者数割合は不明。    5.アメリカは個人単位と夫婦単位課税の選択制。フランスは世帯単位課税であるため、納税者数      の割合は推計が困難である。このため、ここでは申告書数の割合を掲げている。

  • 16

    第2-1-15図 給与階級別の所得税の非納税者数

    (備考)1.国税庁「税務統計から見た民間給与の実態」により作成。    2.( )内は非納税者(1年を通じて勤務した者)全体に占める各階級別の構成比。

    中所得者階層でも高まる非納税者の割合

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    ~100万円 ~200万円 ~300万円 ~400万円 ~500万円 ~1000万円

    (万人)

    235.1(53.1%)

    256.9(42.3%)

    93.6(21.2%)

    153.9(25.4%)

    61.9(14.0%)

    61.1(10.1%) 38.2

    (8.6%)

    54.2(8.9%)

    11.0(2.5%)

    38.0(6.3%)

    2.8(0.6%)

    42.7(7.0%)

    平成12年(全数 607万人)

    平成2年(全数 443万人)

    (給与収入)

  • 17

    (1)同一年齢による比較

    (2)同一年による比較

    第2-1-20図 世代別ライフサイクルでみた個人所得課税の実効税率のシミュレーション

    80年代半ば以降の減税により低下する個人所得課税の実効税率

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55

    (歳)

    (実効税率、%)

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    1968 72 76 80 84 88 92 96 2000

    (年)

    (実効税率、%)

    1945年生まれ

    1955年生まれ

    1965年生まれ

    (備考)1.総務省「家計調査年報」、厚生労働省「人口動態統計」等により作成。   2.実効税率=(所得税+住民税)/勤め先収入。   3.家計調査の世帯主の年齢5歳階級別勤め先収入から、1年階級のデータを推計し、     この生まれ年別のコーホートデータに税制シミュレーションモデルを適用し、所得     税及び住民税額を算出。   4.ライフサイクルの仮定は、人口動態統計より対象期間の婚姻、出生の平均値を算出。     27歳で結婚(妻は25歳)、29歳で第1子誕生(51歳で独立)、31歳で第2子誕生     (53歳で独立)。夫を世帯主、妻は専業主婦で所得無し。夫は、厚生年金、健康保     険組合、雇用保険に加入していると仮定した。   5.給与所得控除・基礎控除・(特定)扶養控除・配偶者(特別)控除・社会保険料控     除・特別減税を適用(ただし、昭和50年代の特別減税は適用していない)。住民税     は人口5~50万人都市の均等割に対応。 

    1945年生まれ

    1955年生まれ1965年生まれ

  • 18

    第2-1-23図 給与総額に占める諸控除の割合

    給与総額(A) 147.5兆円 給与総額(A) 222.8兆円

    課税所得(B) 63.1兆円 課税所得(B) 97.0兆円

    税収(C) 9.5兆円 税収(C) 10.1兆円

    (C)/(A) 6.4% (C)/(A) 4.5%(C)/(B) 15.1% (C)/(B) 10.4%

    (備考)各年度予算ベースの数値をもとに作成。

    1.5倍

    1.5倍

    1.1倍

    1985年度

    その他の控除

    8.0%扶養控除7.1%

    配偶者控除3.2%

    給与所得控除

    30.5%

    基礎控除8.4%

    課税所得42.8%

    2002年度

    課税所得43.5%

    基礎控除7.4%

    給与所得控除

    28.2%

    配偶者控除等

    4.1%扶養控除5.5%

    その他の控除

    11.3%

  • 19

    【第2節 法人所得課税の負担】

    (1)主要国における法人所得課税の動向 ・ 1980 年代から、各国とも総じて課税ベースの拡大とともに実効税率の引き

    下げを行う。 ・ 我が国でも 98 年度、99 年度の2度にわたり大幅な引下げを実施 ・ 経済の構造変化を背景に、経済活動の誘致や法人課税全般の見直しの一貫と

    して、法人所得課税に係る税率は 90 年代後半以降趨勢的に低下。 → 日本の法人所得課税に係る実効税率は、アメリカ並み。

    (2)企業から見た法人所得課税の負担感の現状 ・ 当期利益が負担する税コストを示す「税効果会計適用後法人税等負担率」に

    着目 → 同一の法人所得課税に係る税率を課せられていても、税効果会計適用後

    法人税等負担率には、企業によって、相当程度のバラツキが存在。 ・ 企業の法人所得課税の負担の現状

    1)マクロデータでみた企業の税負担 →「税負担率」は、80 年代以降各国とも低下傾向。ただし、マクロデータ

    でみた我が国の法人所得課税に係る税負担率(45%程度)は、各国税額控除等による違いに留意する必要はあるものの、欧米主要国(40%以下)に比べ高い水準にとどまる。

    2)ミクロデータでみた企業の税負担 → 5業種の売上高上位5社の財務諸表等を単純平均することにより、あ

    るモデル企業の財務諸表を作成し、このモデル企業が同じ事業内容、同

    じ財務諸表で、諸外国で事業活動を行った場合について、いくつかの前

    提を置いた上で、税負担を試算。 → 全ての業種において、このモデル企業の我が国における法人所得課税

    に係る税負担(率・額)が高くなっている。 → 試算結果に影響を与えた主な要因は、課税所得を算定する過程での益

    金・損金の設定や税額を算定した後の各種税額控除・加算等の調整。 (3)応用一般均衡モデルを用いた法人所得課税の影響のシミュレーション ・ 法人所得課税の変更による資本コストの変化は、資源配分への影響等を通じ

    て、経済の広い分野に影響を及ぼす。 ・ 資本量が一定である場合には、産業間の資源の再配分を促すだけにとどまり、

    生産量全体に与える影響はほとんどない。 ・ 資本蓄積のメカニズムを加味すると、所得の増加が貯蓄・投資の増加をもた

    らすことによって資本ストックが増加し、生産量全体や実質GDPに与える

    影響は大きくなる。

  • 20

    アジア諸国より高い日本の法人所得課税に係る実効税率

    30.028.0 27.0

    25.0 24.528.0

    30.032.0

    34.33

    27.37

    31.91

    22.05

    16.39

    13.50

    8.84

    2.7

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    45

    日本

    アメリカ

    イギリス

    ドイツ

    フランス

    スウェーデン 韓

    国台湾

    シンガポール

    マレーシア タ

    フィリピン

    (%)

    40.87 40.75

    38.44

    29.7

    地方税

    国税合計

    (備考)1.IBFD Publications "European Tax Handbook 2001"、各国ホームページ資料等より     作成。   2.法人実効税率=国税率(ただし地方税の損金算入を調整後)+地方税率。   3.アメリカはカリフォルニア州のケース。各州・市において制度が異なっているため、例え     ばワシントン州では35%、ニューヨーク市では45.95%となる。法人所得課税の他、売上     高や支払給与額等に対して課税される州・市もある。     フランスは他に固定資産・支払給与等をベースにした外形標準課税である職業税がかか     る。ドイツの「国税」は、連邦と州の共有税(50:50)であり、「地方税」は営業収益     を課税標準とする営業税である。   4.税率の国際比較の際には、その国の規模や経済・社会構造の違い、当該法人の受ける     公的サービスの内容や水準なども勘案する必要がある。なお、所得を課税標準としない     税は除く。

    (国)

    第2-2-5図 法人所得課税に係る実効税率の国際比較

  • 21

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    ~-30 -30~-25 -25~-20 -20~-15 -15~-10 -10~-5 -5~0 -2~2 0~5 5~10 10~15 15~20 20~25 25~30 30~

    (社)

    (%)

    第2-2-7図 税効果会計適用後の法人税等負担率と法定実効税率とのかい離

    備考 1.各社有価証券報告書より集計(各社単独決算)   2.かい離=税効果会計適用後法人税等負担率-法定実効税率   3.対象は「日経平均300」構成企業300社のうち、銀行・証券・保険・その他金融を除く284社     のうち、当期利益計上企業より。     サンプル数235社(34社は当期損失計上企業、15社は実効税率がマイナスになったため除外)   4.財務諸表等規則第8条の12第3項に基づき、法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率     との差異が、法定実効税率の5/100以下で表記されていないものに関しては、-2~2に計上(82サ     ンプル。実効税率約41%の±5%なので、-2~2%として計算。)     ただし、5%以下でも差異を記載している企業もある。

    バラツキがみられる企業から見た法人税等の負担感

  • 22

    各国とも低下傾向にある実効税負担率

    20

    25

    30

    35

    40

    45

    50

    55

    60

    1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000

    (%)

    日本

    ドイツ

    アメリカ

    イギリス

    第2-2-11図 法人所得課税の税率負担の国際比較

    (備考) 1.跡田(2000)の推計方法に準じて試算した。    2.日本 国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」、「国税庁統計年報書」、         総務省「地方財政の状況」「道府県税の課税状況等に関する調」、            「地方税に関する参考計数資料」      アメリカ IRS"Statistics of Income; Corporation Income Tax Returns"      イギリス The Stationary Office"Inland Revenue Statistics"      ドイツ Statistisches Bundesamt     "Finanzen und Steuern(Reihe 7.2, Korperschaftsteuer)"          OECD"Revenue Statistics" 等により作成。 3.日本 実効税負担率=[法人税額(※)+法人事業税額+法人住民税額(法人税                割)]/[課税所得+前年度法人事業税額]      アメリカ 実効税負担率=[法人税額(※)+地方法人税額]/[課税所得+地方                  法人税額]      イギリス 実効税負担率=法人税額(※)/課税所得      ドイツ 実効税負担率=[法人税額(※)+地方法人税額]/[課税所得+地方法                 人税額]      (法人税額(※)は、外国税額控除・所得税額控除以外の各種税額加算・控除額を      考慮したもの。)    4.ドイツについては、毎年の数値が入手できないため、3年毎の数値をつなぎ合わせて      いる。    5.アメリカの地方税の仕組みは、日本の法人事業税・住民税とは異なり、州毎によ      り、各種税額控除のあり方を含め、政策的に裁量性が高い。

    (年)

  • 23

    第2-2-14図 各産業における法人所得課税に係る税負担額の国際比較の試算

    100

    19

    49

    31

    100

    60

    50 46

    100

    88

    7378

    100

    93

    7278

    10095

    69

    38

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    国名

    【鉄鋼】【エレクトロニクス】 【自動車】 【情報サービス】 【小売】 業種

    日 米 英 仏 日 米 英 仏 日 米 英 仏 日 米 英 仏 日 米 英 仏

    (備考)1.内閣府 政策分析レポートNo.13(2002)に基づく。    2.売上高上位5社の財務諸表等を単純平均することにより作成されたモデル企業が、仮に      アメリカ、イギリス、フランスで同様の事業活動を行った場合の税負担について、各国      税制の適用等について一定の仮定を置くなどいくつかの前提を置いた上で試算。なお、      モデル企業のため、海外進出・研究開発・グループ展開の面で業界平均からかい離が      生じる点に留意する必要あり。    3.当該試算においては、減価償却・各種引当金等一時的な税額支払の先送り(一時差異)      による影響は除かれている。    4.各国での税額を計算するにあたっては、その国内のどこで事業を行うかにより地方税の      負担が変化し得る。今回の試算では、以下の場所に立地するものと仮定      アメリカ:製造業はカリフォルニア州とテネシー州(各種税額控除制度あり)           非製造業はカリフォルニア州とニューヨーク州      イギリス:ロンドン      フランス:パリ    5.法人所得課税に係る税負担率      =(法人税額+法人住民税額+法人事業税額)/(課税所得)であり、      法人実効税率と異なる。      したがって、法人所得課税に係る税負担率は、「実効税率」      (我が国の場合には40.87%)ではなく、表面税率(我が国の場合には44.79%)      ベースで比べたものである。    6.参考として、各国の法人所得課税の実効税率は、日本:40.87%、      アメリカ:40.75%(カリフォルニア州の場合)、イギリス:30%、フランス:34.3%      である。

  • 24

    第3章 日本経済を活性化するための課題

    【第1節 「産業空洞化」懸念をどう捉えるか】

    (1)貿易構造における変化:中国からの輸入増加は脅威か ・ 輸入全体が減少する中で、中国から輸入が急増。繊維産業では国内生産の縮

    小と並行(輸入浸透度の上昇)。 ・ 特に IT 関連財で対中国は輸入が輸出を超過(貿易特化係数がマイナス) ・ 日中間の工程間分業関係(産業内貿易指数は高い)

    →1)モジュール化、2)対外直接投資による海外生産拠点設立、が背景 ・ これまでは比較優位の変化に基づく国際分業構造の変化。しかし、中国の急

    速な経済発展に速やかに対応できる経済構造が重要。このためには、経済活

    性化が必要。 ○貿易・サービス収支の動向:赤字化するか

    ・ 昨年央までの貿易・サービス収支黒字の減少は、米景気後退の影響 ・ サービスの競争力強化が必要。 ・ 所得収支の黒字幅が増加傾向にあり、経常収支の構造変化の兆し (2)産業構造における変化:製造業は縮小しているか ・ 名目 GDP ベース、就業者ベースでは、製造業シェアが傾向的に低下。 ・ 製造業の労働生産性の伸びは高い ⇒製造業の相対価格が低下⇒実質 GDP

    ベースではシェアほぼ横ばい ⇒製造業は引き続き生産に大きな寄与 ・ サービス産業への需要の増加 ←1)所得水準の上昇、高齢化の進展、2)規制

    改革による選択の幅の拡大、3)企業や家計からのアウトソーシング。 ・ 比較優位の変化への対応、国民生活の向上のために、製造業だけでなく、非

    製造業の労働生産性の上昇が重要 (3)国際分業構造変化への対応 ・ 短期的な調整コストとしての失業の増加懸念 ⇒労働の速やかな移動 ・ 生産性の伸びが相対的に低い非製造業への資源滞留による、成長力の低下懸

    念 ⇒1)生産性が高い産業に生産要素を移動、2)いずれの産業も、生産性引上げ努力

    ・ 70 年代の石油ショック、80 年代半ばの円高ショックの構造調整に比べ、今回は、1)デフレ下で推進、2)これまで前提としてきた日本的雇用慣行等からなる経済システムそのものの改革、という大きな挑戦。

  • 25

    第3-1-2図 輸入と生産の関係

    (備考) 経済産業省「鉱工業総供給表」、「鉱工業生産指数」により作成。

    電気機械工業では生産水準と輸入浸透度が共に上昇

    輸入浸透度

    生産

    水準

    概念図供給拡大路線

    供給縮小路線

    国内供給回帰路線

    輸入依存・空洞化路線

    繊維工業

    60

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    150

    0 10 20 30 (%)

    83年

    (95年=100)

    生産水準

    輸入浸透度

    02年Ⅱ期02年Ⅰ期

    01年

    電気機械工業

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    0 5 10 15 20 25(%)

    83年

    (95年=100)

    輸入浸透度

    生産水準

    02年Ⅱ期

    02年Ⅰ期

    01年

  • 26

    第3-1-5図 対中国の貿易での品目別貿易特化係数

      (1) 対中国貿易での品目別貿易特化係数

    (備考) 1.財務省「貿易統計」により作成。2.ここでのIT関連財は事務用機器、半導体等電子部品、通信機、科学光学機器を指す。

    足元では、IT関連財がマイナス

    -1.0

    -0.8

    -0.6

    -0.4

    -0.2

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 (年)

    繊維製品

    機械機器

    鉄鋼

    化学製品

    IT関連財

    食料品

      (2) 地域別 IT関連財貿易特化係数の推移

    (備考) 財務省「貿易統計」により作成。

    対中国でIT関連財の貿易特化係数がマイナス

    -0.2

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 (年)

    対EU

    対アメリカ

    対中国

    対ASEAN

    対アジアNIEs

  • 27

    第3-1-6図 品目別での産業内貿易指数

    (1)主要品目90年以降、IT関連財での産業内貿易が増加

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 (年)

    (%)

    食料品

    自動車

    繊維製品

    機械機器

    IT関連財

    金属同製品

    化学製品

  • 28

    第3-1-7図 アメリカ・EU・アジアとの貿易関係(1)デスクトップ型パソコン(事務用機器の貿易総額に占めるウェイトは18.3%)

        (単位:億円)

     

        (単位:億円)への輸出 からの輸入

    アジアNIEs 147.6 1342.0ASEAN 40.9 969.7中国 17.5 304.3

    (2)実装していない集積回路(半導体等電子部品の貿易総額に占めるウェイトは15.2%)    (単位:億円)

     

        (単位:億円)への輸出 からの輸入

    アジアNIEs 2549.7 1224.8ASEAN 2427.8 64.4中国 340.5 75.9

    (備考) 1.日本関税協会「日本貿易概況」により作成。2.矢印横の数値は、それぞれの国・地域に対する2001年暦年での我が国の輸出入金額を示す。3.集積回路(部品)は、品目番号「85.42」(集積回路及び超小型組立)のうち、実装していないもの。

    2890.9 1858.9

    2615.9

    1186.8 982.7

    205.9

    アメリカ EU

    日本

    アジア

    281.3 154.6

    1365.5

    1540.6 420.8

    5317.9

    アメリカ EU

    日本

    アジア

  • 29

    (備考)1. IMF "Balance of Payment Statistics"より作成。2000年の値。    2. 顕示比較優位指数=(i国のサービスj の輸出額/ i国の財・サービスの輸出額計)

         /(先進工業国全体のサービスjの輸出額/先進工業国全体の財・サービスの輸出額計)    3.その他営利業務には、他のサービス項目には分類されない幅広いサービス(仲介貿易、     オペレーショナル・リース、経営コンサルティングなどの専門サービス等)が含まれ ている。

    第3-1-9図 サービス分野における顕示比較優位指数

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0

    財計

    サービス計

    輸送

    旅行

    通信

    建設

    保険

    金融

    情報

    特許等使用料

    その他営利業

    文化・興行

    アメリカ

    イギリス

    日本

    フランス

    ドイツ

    サービス貿易の競争力強化が必要

  • 30

    第3-1-12図 就業者数の産業別構成

    製造業からサービス業への転換が進む

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00(暦年)

    (構成比、%)

    製造業サービス産業

    電気機械

    (備考)1.内閣府「国民経済計算年報」により作成。    2.産業GDPに対する構成比を示す。 3.実線は68SNAベース、点線は93SNAベース。    4.サービス産業とは、卸小売業、金融・保険業、不動産業、運輸・通信業、     サービス業の合計。

    第3-1-13図 実質GDPの産業別構成

    実質ベースではシェアの変動小さい

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00

    (暦年)

    (構成比、%)

    製造業サービス産業

    電気機械

    (備考)1.内閣府「国民経済計算年報」により作成。    2.産業GDPに対する構成比を示す。    3.実線は68SNAベース、点線は93SNAベース。    4.サービス産業とは、卸小売業、金融・保険業、不動産業、運輸・通信業、     サービス業の合計。

  • 31

    【第2節 構造調整の現状と経済活性化の課題】

    (1)労働生産性上昇率の低下 ・ 労働生産性上昇率は、80 年代から 90 年代にかけて鈍化 ・ その主因は全要素生産性上昇率の鈍化 ⇒企業経営の効率化、労働・資本な

    ど生産要素の配分の効率化、研究開発の効率化、が課題 (2)企業経営の効率化 ・ 外資系企業(資本効率を重視するコーポレート・ガバナンスを体化)は、日本

    企業以上の収益性 ⇒米国型ガバナンスの良さを学びつつ、最近の混乱によ

    る教訓も活用、選択を可能とする多様性が重要 ・ 開業・廃業により企業の新陳代謝が進み、効率的企業の参入、非効率的企業

    の退出が必要。しかし、開業・廃業は低水準 ⇒ベンチャー・キャピタルの

    活用、構造改革特区の導入、資金の確保、チャレンジ支援環境 (3)労働力配分の効率化 ・ 全要素生産性上昇率の高い産業に就業者数が移動する必要 ・ 再配分のチャネルとして、新卒者採用の減少、退職者の増加、転職を通じた

    労働力流動化が進展。パート、派遣労働者等の非正規社員が増加、雇用形態

    の多様化 ・ 雇用のミスマッチ拡大 ← 1)技術進歩が急速に展開、技能・知識が陳腐化、

    2)企業部門の事業の見直し・再構築によって中高年齢層が労働市場に流入、3)契約期間や就業時間などの面で多様な雇用形態を求める労働者が増加。

    ・ 労働市場の機能強化、ミスマッチを是正し、円滑な移動を確保、年金のポー

    タビリティ確保など流動化が不利にならない規制改革が重要

    (4)資金配分の効率化 ・ 銀行貸出しが全要素生産性上昇率の低い産業に固定 ・ 家計の金融資産保有はリスク回避的、企業部門は貯蓄超過部門に変化 ←企

    業の資金需要の低下、金融機関の金融仲介機能が低下 ・ 銀行の金融仲介機能の回復、直接金融の機能向上とリスクマネー供給で、間

    接金融・直接金融のバランスのとれた発展が必要 (5)研究開発の効率化 ・ 日本の研究開発投資は、世界でもトップクラスの支出額。他方、全要素生産

    性の伸びに対しては、支出額に見合った有効性がみられていない。 ・ 研究開発の質の向上や研究成果の効果的な利用の観点から、基礎研究の強化、

    産学連携の推進、等が重要

  • 32

    第3-2-1図 労働生産性の推移

    (備考)1.内閣府「国民経済計算」、厚生労働省「毎月勤労統計」により作成。    2.労働生産性=産業の実質GDP/(産業の就業者数×労働時間数)    3.89年以前は68SNA、90年以降は93SNAベースの統計を用いて算出。

    労働生産性は90年代に入ってから伸びが鈍化

    60

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000

    (90年=100)

    81~90年平均伸び率3.7%

    91~2000年平均伸び率2.0%

    第3-2-2図 労働生産性上昇の要因分解

        製造業    非製造業    全産業

    90年代に非製造業のTFP低下を主因として低下

    90年以前と91年以降の比較

    -1

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    81~90 91~2000 81~90 91~2000 81~90 91~2000

    (年率、%)

    資本装備率

    全要素生産性

    稼働率

    労働生産性

  • 33

    (1)電気機械 (2)化学

    (3)輸送機械 (4)卸・小売

    第3-2-5図 ROAの比較ROAの高い外資系企業

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    95 96 97 98 99 (FY)

    外資系企業

    全企業

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    95 96 97 98 99

    外資系企業

    全企業

    (FY)

    -2

    0

    2

    4

    6

    95 96 97 98 99

    外資系企業

    全企業

    (FY)0

    2

    4

    6

    8

    10

    95 96 97 98 99

    外資系企業

    全企業

    (FY)

    第3-2-6図 開業率とGDP成長率

    オーストリア

    デンマークベルギーフィンランド

    フランスドイツ

    ギリシア

    アイスランド

    アイルランド

    イタリア日本

    ルクセンブルグ

    オランダノルウェー

    ポルトガル

    スペイン

    スウェーデン

    スイス

    イギリス

    アメリカ

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15(開業率(88-96)、%)

    (G

    DP

    成長

    率(

    89-9

    9)、

    %)

  • 34

    第3-2-8図 全要素生産性(TFP)上昇率と就業者数増減率(1) 産業別

    (90年~96年平均伸び率)

    -6

    -4

    -2

    0

    2

    4

    6

    -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4(就業者、%)

    (TFP、%)

    製造業

    鉱業

    電気・ガス・水道業

    建設業

    卸売・小売業

    金融・保険業

    不動産業

    運輸・通信業

    サービス業

    (97年~00年平均伸び率)

    -6

    -4

    -2

    0

    2

    4

    6

    -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4(就業者、%)

    (TFP、%)

    製造業

    鉱業

    電気・ガス・水道業

    建設業 卸売・小売業

    金融・保険業

    不動産業

    運輸・通信業

    サービス業

  • 35

    (備考)厚生労働省「雇用動向調査」により作成。

    第3-2-9図 入職者数、離職者数、転職入職者数の推移

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    800

    91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01

    (万人)

    (年)

    離職者数

    入職者数

    転職入職者数

    非転職離職者数未就業入職者数

  • 36

    非効率な銀行貸出の配分とその是正に向けた動き

    (備考)内閣府「国民経済計算」、日本銀行「金融経済統計」により作成。

    図3-2-11 全要素生産性(TFP)と貸出の関係

    (1) 94-97年

    -12.0

    -8.0

    -4.0

    0.0

    4.0

    8.0

    12.0

    -10.0 -8.0 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

    貸出伸率

    TFP伸率

    電気機器

    卸・小売業

    一般機械

    運輸通信化学

    電気・ガス不動産

    建設

    サービス

    製造業計

    非製造業計

    輸送用機器

    (2) 98-00年

    -12.0

    -8.0

    -4.0

    0.0

    4.0

    8.0

    12.0

    -10.0 -8.0 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

    貸出伸率

    TFP伸率

    電気機器

    卸・小売業一般機械

    運輸通信

    化学電気・ガス

    不動産

    建設

    サービス

    製造業合計

    非製造業計

    輸送用機器

  • 37

    第3-2-14図 企業部門の資金調達の国際比較 

    6.7兆DM

    28.5兆ドル

    1258兆円

    (備考)1.各国の資金循環統計より作成。    2.ドイツは2000暦年、米国は2001暦年、日本は2001年度のデータ。    3.その他は企業間・貿易信用、預け金などを含む。

    直接金融からの調達が少なく、間接金融からの調達が多い日本企業

    0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

    日本

    米国

    ドイツ

    (%)

    借入

    債券等

    株式・出資金

    その他

        2.研究開発投資比率は研究開発支出額の対GDP比。    3.いずれも1980年代平均から1990年代平均への変化。

    (備考)1.OECD"The New Economy: Beyond the Hype"により作成。

    第3-2-16図 研究開発投資比率と全要素生産性(TFP)の関係

    アメリカ

    日本

    ドイツ

    フランス

    イタリア

    イギリス

    カナダ

    オーストラリア

    ベルギー

    デンマーク

    フィンランドアイルランド

    オランダ

    ノルウェイ

    ニュージーランド

    スペイン

    スウェーデン

    -2.0

    -1.5

    -1.0

    -0.5

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8研究開発投資比率の変化(%ポイント)

    全要素生産性の変化(%

    ポイント)

    我が国の研究開発投資は生産性の上昇に有効に結びついていない

  • 38

    (備考)1.内閣府「国民経済計算」「民間企業資本ストック統計」、経済産業省「経済産業統計」、     厚生労働省「毎月勤労統計調査」、総務省「科学技術研究調査報告」等により作成。    2.81年から00年までの平均変化率。

    一次金属

    パルプ・紙食料品

    石油・石炭

    繊維

    化学一般機械

    金属製品

    農業

    建設業

    窯業・土石

    輸送用機械

    精密機械

    電気機械

    鉱業

    -6.0

    -4.0

    -2.0

    0.0

    2.0

    4.0

    6.0

    8.0

    10.0

    12.0

    -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0

    技術・知識ストックの変化 (%)

    全要

    素生

    産性

    の変

    化(

    %)

    技術・知識ストックの伸びの高い産業は生産性の伸びが高い

    第3-2-19図 産業別技術・知識ストックと全要素生産性(TFP)の関係

    (備考)文部科学省科学技術政策研究所「科学技術指標」より作成。

    第3-2-17図 主要国における研究開発費の対GDP比の推移

    1.5

    1.7

    1.9

    2.1

    2.3

    2.5

    2.7

    2.9

    3.1

    3.3

    71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 (年)

    (%)

    日本

    アメリカ

    ドイツ

    フランス

    イギリス

    我が国の研究開発投資の対GDP比は主要国中最高

  • 39

    【第 3 節 経済構造の将来展望】

    (1)新しい経済システムの展望

    ・ 市場型取引の基軸化:インセンティブ構造は、長期安定関係を前提としたも

    のから、新ビジネス分野発見機能を持つ価格を中心とした競争に ・ 質の高い情報の流通:情報流通量が増大、また情報の質が一層重要に。透明

    性と説明責任の重要性が一層高まる。 ・ リスクの認識とそれへの挑戦:様々なリスクが顕在化、その認識、リスクと

    リターンの関係も見直し ・ 自己責任原則の確立 ・ セーフティーネットの整備:自己責任原則に対応して、経済的な不確実性に

    備えたセーフティーネットの整備 ・ 多様性の許容:日本型企業経営システムは大きな変化。それぞれにふさわし

    いシステムを各企業が選択、多様性を認める柔軟性 ・ 世界経済への能動的参画 (2)新しい経済成長の展望 ・ 構造改革と経済成長:構造改革は、90 年代に低下した潜在成長率の引上げ

    を目的。供給側を意識した政策だが、同時に需要を喚起 ・ 技術進歩と経済成長:新しい経済成長は、技術進歩が主要な役割。研究開発

    の効率化を進め、技術進歩の能力を高めることに期待 ・ 技術進歩を主動力とした経済成長は、1)人口減少・高齢化による労働力・貯

    蓄減少、2)環境問題への取り組み強化、という制約に対応