148
註1)本資料の電子版(PDFファイル)はオーダリング端末上で閲覧できます。 註2)ご意見などの送付先:医療情報システム係 脇本和敏、 救急・災害対策委員長 越智元郎([email protected]註3)本マニュアル中の◆は新たに修正を加えた部分です。 オーダリング端末上の救急委員会ホームページについて オーダリング端末上に救急委員会資料を置いていますので、ご利用下さい。 [新・院内共有フォルダ] [委員会、WG、その他] [救急委員会] ・・「救急・災害対策委員会ホームページ」、 「脳神経外科系統講義」などのショートカットあり I.救急処置室と救急診療スタッフ 5 a)救急処置室の配置と資機材 5 1.救急処置室などの配置 5 2.救急処置室の資機材・薬品など 6 [表1] 救急処置室の医療機器 6 ◆[表2] 患者搬送セット 7 [表3] 救急処置室配置薬品(薬品棚) 8 ◆[表4] 救急処置室配置薬品(冷蔵庫、引き出し、頓服箱) 9 ◆[表5] 救急処置室配置薬品(カート内) 11 [表6] 加温器内薬品一覧 12 [表7] 夜間救急用薬品一覧(内服・外用など) 12 [表8] 小児用薬品一覧 13 ◆b)救急診療スタッフ 15 1.医師 15 ◆*[表1]平日救急当番・内科系救急当番表 15 *[表2]整形外科 平日の救急当番表 16 *[表3]待機医師への連絡がつかない場合の連絡網 16 2.看護師 17 [表]勤務時間外における急患室勤務の看護師数 17 3.放射線科技師 18 4.臨床検査技師 18 5.薬剤師 18 6.事務職員 19 ◆7.守衛 19 平成27年度版 (平成27年7月3日) 市立八幡浜総合病院・救急マニュアル 救急・災害対策委員会では当院の救急医療をより円滑に運営できるよう、現在 実施されている当院の救急診療の流れを文書化し、救急マニュアルとしてまと めています。このマニュアルでは、当院で新しく働くことになった各職種の職員 が、当院の救急医療について具体的なイメージを持てるような記載をめざしてい ます。またこのマニュアルは永続的なものではなく、当院の様々な変化を反映さ せ、また職員の皆様のご意見をうかがいながら、更新して行きたいと思います。 本マニュアルに関するご意見を救急・災害対策委員会委員までお送りください。

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註1)本資料の電子版(PDFファイル)はオーダリング端末上で閲覧できます。註2)ご意見などの送付先:医療情報システム係 脇本和敏、  救急・災害対策委員長 越智元郎([email protected])註3)本マニュアル中の◆は新たに修正を加えた部分です。

オーダリング端末上の救急委員会ホームページについて オーダリング端末上に救急委員会資料を置いていますので、ご利用下さい。

    [新・院内共有フォルダ]           |    [委員会、WG、その他]           |       [救急委員会]

・・「救急・災害対策委員会ホームページ」、         「脳神経外科系統講義」などのショートカットあり

I.救急処置室と救急診療スタッフ 5 a)救急処置室の配置と資機材 5   1.救急処置室などの配置 5   2.救急処置室の資機材・薬品など 6     [表1] 救急処置室の医療機器 6    ◆[表2] 患者搬送セット 7     [表3] 救急処置室配置薬品(薬品棚) 8    ◆[表4] 救急処置室配置薬品(冷蔵庫、引き出し、頓服箱) 9    ◆[表5] 救急処置室配置薬品(カート内) 11     [表6] 加温器内薬品一覧 12    [表7] 夜間救急用薬品一覧(内服・外用など) 12      [表8] 小児用薬品一覧 13◆b)救急診療スタッフ 15   1.医師 15    ◆*[表1]平日救急当番・内科系救急当番表 15    *[表2]整形外科 平日の救急当番表 16    *[表3]待機医師への連絡がつかない場合の連絡網 16    2.看護師 17     [表]勤務時間外における急患室勤務の看護師数 17   3.放射線科技師 18   4.臨床検査技師 18   5.薬剤師 18   6.事務職員 19  ◆7.守衛 19

目 次

平成27年度版 (平成27年7月3日)

市立八幡浜総合病院・救急マニュアル

 救急・災害対策委員会では当院の救急医療をより円滑に運営できるよう、現在実施されている当院の救急診療の流れを文書化し、救急マニュアルとしてまとめています。このマニュアルでは、当院で新しく働くことになった各職種の職員が、当院の救急医療について具体的なイメージを持てるような記載をめざしています。またこのマニュアルは永続的なものではなく、当院の様々な変化を反映させ、また職員の皆様のご意見をうかがいながら、更新して行きたいと思います。本マニュアルに関するご意見を救急・災害対策委員会委員までお送りください。

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II.勤務時間内の救急診療 20 a)救急車収容患者への対応 20     [表1] 他院からの診療依頼の経路 21     [表2] 他院から電話で依頼があった場合の対応 21     [表3] 地域連携室に受診依頼があった場合の流れ 22     [図] 地域医療連携室経由による当日受診 23      [表4] 他施設より当院への転院依頼があった場合 23     (参考)救急車収容依頼が重なった場合の対応 24 b)ウォークイン救急患者への対応 24     [表5] 内科新患の受付手順 25     [表6] 内科紹介の手順について 26III.勤務時間外の救急診療(水・土曜日を除く) 27 a)救急車収容患者への対応 27 b)ウォークイン救急患者への対応 28IV.土曜日(救急受け入れ停止日)における救急診療 30   (参考1)土曜日が年末年始などの場合の救急受け入れ停止 30 a)土曜日に収容に関する相談ができる患者と対応の流れ(救急車収容患者) 30  (1)救急隊が日・当直医に収容の相談をする場合 30    (参考2)土曜日における、心肺停止患者収容時の各科応援体制 30  ◆(参考3)土曜日における、心肺停止患者の収容場所 31  (2)救急隊が特定診療科の待機医師に収容の相談をする場合 31   (参考4)救急隊の例外受け入れ相談に関する消防本部内の申し合わせ 32   [図1] 土曜日の時間外救急診療の受付(救急車収容患者) 33   [図2] 土曜日の時間外受付対応の流れ図(救急車収容患者) 34 b)例外的に受け付ける患者と対応の流れ(ウォークイン患者) 35 [図3]土曜日の時間外受付対応の流れ図 36   (参考1)勤務時間外の救急診療のまとめ 37   (参考2)例外受け入れ相談等一覧表 39V.広域二次救急医療体制について 41 a) 火曜日(他院が広域救急輪番病院)における救急診療 41  (参考)火曜日のt-PA療法対象例への対応について 42 b) 木曜日における2人当直医制と診療担当医師決定   44VI.救急外来における記録について 45 a)外来診療録  [表1] 救急患者記録用紙 45 b)看護記録   45   1.救急車収容患者    2.ウォークイン救急患者 45VII.救急外来診療後の入院について 46 a) 入院先の決定と病棟などへの連絡 46   [表]所属病棟と診療科(疾患など) 46 b) 入院手続き 47 c)「経過観察入院」に関する取り決め 47   (参考)外来から病棟へ入院要請をした場合の対応 48VIII.他院転送または転院搬送について 49 a)他院への転送時、または転院搬送時における救急車同乗 49  (参考)勤務時間外における救急患者搬送に対する手当等 49 b)消防防災ヘリによる転送または転院搬送の手順 50 c)他院転送または転院搬送時の準備 51IX.各部門の救急対応マニュアルなど 53 a)当直医・当番医勤務心得 53◆b)3東病棟利用に関する取り決め 55  1.病棟運用の方針 55  2.入室基準 55  3.入室申し込みの手順   4.運用上の注意点 56   (参考 2)「重症者等療養環境特別加算届け」について 57   (参考 3)「個室料」について 57  5.退室の手順 6.面会 57   (参考4)通常の感染症患者の入院先 57   (参考5)3東病棟への麻酔科入院患者 58   (参考6) 3東病棟が満床または満床に近い場合の患者収容 58

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 c)診療放射線技師救急マニュアル 59 d)検査部救急マニュアル 60X.愛媛大学地域救急医療サテライトセンターとの連携 61 a)八幡浜・大洲圏域地域医療再生計画における医師確保対策 61 b) 愛媛大学 地域救急医療サテライトセンターの人員構成 62◆c)サテライトセンターとの救急診療連携の方針と方法 62 d)愛大研修医の地域救急医療学研修への協力について 63XI.病態別の診療申し合わせなど 64 a)中枢神経系の疾患ならびに外傷への対応 64  1.中枢神経系の疾患ならびに外傷の患者の受け皿について 64  2.中枢神経系の疾患ならびに外傷の患者への初期対応 64   (参考)当院から大洲中央病院への中枢神経系患者の紹介 65  3.当直医の脳血管障害初期対応マニュアル(休日用) 66 ◆4.t-PA静注療法に関する申し合わせ 67  ◆(表1)アルテプラーゼ静注療法のチェックリストより 68   (表2)収容依頼時の調整・準備チェックリスト 69   (表3)急患室看護師から守衛への連絡カード 70   (表4)倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)の消防連絡表-1 71   (表5)倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)の消防連絡表-2 72   (参考)t-PA療法前の体重測定について 73   (表6)脳出血治療ガイドライン(脳出血の手術適応) 74   (表7)秋田県立脳血管センターの脳出血治療指針 75 b)めまい症状に対する画像検査の方針 76 c)消化器系急患への対応(63)―1.吐血 77  2.吐血以外 78 d)救急外来での標準化低血糖処置手順 78 e)中毒診療の手引き 79  1.全体的な方針   2.急性中毒の治療 79  3.市民からの電話での問い合わせに応答する 80 f)汚染創における破傷風の予防 82   (参考1)破傷風基礎免疫の成立 82   (参考2)洗浄および外科的処置について 82   (参考3)破傷風予防注射証明書の確認と交付 83   (参考4) 次回接種について説明 83   (参考5) 予防注射の保健適応について 83 g) 新型インフルエンザ対策への対応 83 h) 急患室における体温管理 83  1.体温評価   2.低体温症への対処 83    表.救急処置室加温器の使用方法 85  3.高体温症への対処 85 ◆4.心室細動からの蘇生患者などに対する低体温療法について 86 資料1.低体温療法手順 86   資料2.低体温療法の流れと合併症 93   資料3.鎮静評価 RASS( Richmond Agitation- Sedation Scale) 94 i) 救急外来で死亡した患者の取り扱い 95  1. 異状死体の届け出 95  2. 異状死体の取り扱い(検死と死体検案) 96 ◆3. 死亡診断書または死体検案書の交付 96  4. 霊安室を使用する場合の注意点 96   参考1:入院後の死体検案について 97   参考2:死亡診断書と死体検案書の使い分け 97◆j)心肺蘇生時の記録と使用薬品(病棟等での蘇生対応と共通) 98   1.心肺蘇生時の記録 98   2.心肺蘇生時に使用する主な薬剤 100 k)救急外来におけるその他の申し合わせ 101  1. 救急外来での静脈点滴回路の選択について 101  2. 在宅酸素療法中の患者収容時の注意点 101  3. 当院における緊急コールの仕方(心停止時など) 101  ◆4. 蘇生後カンファレンスについて 102

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XII.救急診療の手引き(各科提供資料) 103 a)循環器科 103  1. はじめに―[表]循環器疾患に関する内科連絡体制 103  2. 日・当直医のための胸痛診療の手順 103  3. 不整脈のために来院、収容された患者 104  4. 呼吸困難(心不全疑い)のために来院、収容された患者 104 b)小児科―(1)発熱  (2)けいれん  (3)嘔吐 105   (4)下痢 106   (5)腹痛       (6)気管支喘息 107   (7)クループ   ◆(8)小児常用薬の投薬量 107 c)整形外科 109 d)眼科 110 e)放射線科―イ. 総論 112    ロ. 総論 113   ハ. 放射線科の平成23 年度以降の体制 114XIII.地域の救急関連機関との連携 116 a)軽症救急患者への対応 116 b)救急車搬送患者への対応 116 c)その他―(1)当院への二次救急医療患者の紹介について 117  (2)急患センターの検査体制(当院委託)について 117  (3)急患センターとの協力について 117  (4) 急患センターから当院へ紹介された患者に関する返信 117  (5) 急患センターと当院の連携に関する八幡浜医師会での確認事項 118  (6)大洲市の病院群輪番制について 119  (7)消防本部が搬送の対象としない心肺停止傷病者の条件 119  (8)満床時のベットコントロールと消防本部への連絡について 120  (参考1)満床時の対応マニュアル(平成22年2月22日) 120  (参考2)満床の場合と通常体制復帰時の消防本部への連絡 121  (9)超急性期脳梗塞を念頭に置いた消防本部との連携 121  (10)救急車搬送患者における12誘導心電図の伝送について 121  (参考)12誘導心電図伝送に関する八幡浜消防との申し合わせ 122  (11)心肺蘇生を希望しない患者意志表示用紙(救急搬送時用) 123XIV.救急救命士への指示出し業務 124 a)救急救命士への指示出し業務と連絡体制について 124  (参考)救命救急士への指示を出す医師 124 b)救急救命士の活動プロトコルについて 124  [1] 一次救命処置(BLS)のプロトコル 125   (1)成人のBLSプロトコル  (2)小児・乳児のBLSプロトコル 125   (3)人工呼吸・胸骨圧迫の対象、中止基準 127   (4)異物除去プロトコル 128  [2] 除細動プロトコル 129  [3] 救急救命処置プロトコル 130   (1)気道確保プロトコル―①コンビチューブ 131    ②ラリンゲルチューブ  ③ラリンゲアルマスク 131    ④気管挿管 134   (2)静脈路確保プロトコル 136   (3)薬剤投与の適応と業務プロトコル 137   (4)エピペン使用に関するプロトコル 138    フローチャート 140   (5)心肺機能停止前の静脈路確保及び輸液に関するプロトコル 141    フローチャート 142   (6)心肺停止前の血糖測定及びブドウ糖溶液投与のプロトコル 143    フローチャート 144XIV.救急委員会の規約と委員―a)規約 145 ◆b)委員名 146付録1 主要関連施設などのリスト(準備中) 147◆付録2 市立八幡浜総合病院の救急診療に関するご意見(用紙) 148

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I.救急処置室と救急診療スタッフ

◆a)救急処置室とその配置・資機材

1. 救急処置室などの配置

1)「守衛室」で受付業務を行う。

2)患者の家族や診察待ちの患者は「待合室」で待機する。

3)救急担当看護師(勤務時間外では日・当直看護師)の「事務所」で待機する。

4)救急車で収容した患者(2 人まで)は主に「救急処置室1」で診療する。

5)ウォークイン患者は主に「救急処置室2」で診療する。

6)診察後の経過観察あるいは点滴処置などには「救急処置室3」または「同4」を用いる。

註)「救急処置室3」は平成 26 年 5 月現在、ベッドを除け、体重計・資機材・備品を置き、資材

室として使用中。

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2. 救急処置室の資機材・薬品など

[表 1] 救急処置室の医療機器 [表 2] 患者搬送セット

[表 3] 救急処置室配置薬品(薬品棚)

[表 4] 救急処置室配置薬品(冷蔵庫、引き出し、頓服箱)

[表 5] 救急処置室配置薬品(カート内)

[表 6] 加温器内薬品一覧 [表 7] 夜間救急用薬品一覧(内服・外用など)

[表 1] 救急処置室の医療機器

機器名 メーカー 台数 点検

側燈 山田医療照明 Y-0380 1

携帯用パルスオキシメーター (株)フィンガリング 1

アセンシアブリーズ バイエル 6119A6003068 1

心電図 NIHONKODEN cardiofaxm 1

除細動器 フィリップ社 1

エコー フィリップ社(DMAT 用) 1

双極性凝固器(バイポーラ) MICRO-30 1

吸入用コンプレッサー 日本商事 No30469 1

体温計 オムロン 1

テルモ 2

直腸温度計 テルモ C402

血圧計 アコマ(スタンド式) 1

アコマ2種(携帯用)小児用 1

耳鏡 日本ライト株式会社 71050-C 1

シリンジポンプ JMS SP500-D 1 医療機器管理室

輸液ポンプ トップ-2200 2 医療機器管理室

吸引器 1

酸素流量計 2

アニメック AM-112 エレテック 2

グルテストミント 三和化学研究所 1

ハンドヘルド SpO2/CO2 モニター 日本光電 OGS-2002 1

ベッドサイドモニタ 日本光電 BSM-2301 2 1 台 DMAT 用

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[表 2] 患者搬送セット

物品 規格 数 物品 規格 数

注射器 20ml 2 気管チューブ 7.0mm 1

10ml 2 7.5mm 1

5ml 2 8.0mm 1

2.5ml 3 固定用テープ

スーパーキャス 24G 2 スタイレット 1

22G 1 ガーゼ 5

注射針 18G 4 16 折りガーゼ 5 枚入り 1

22G 2

23G 1 エアウエイ 1

テープ デュラポア 1 バイドブロック 1

トランスポア 1 喉頭鏡 1

テガダーム 2

駆血帯 1 【薬品】

酒精綿 5 硫酸アトロピン 0.5mg/1mL 2

三方活栓 2 0.1%エピネフリン 1mg/1mL 3

輸液セット 微量用(JMS) 2 エホチール 10mg/1mL 2

普通セット 1 静注用キシロカイン 100 mg/5mL 2

サンリズム 50mg/5mL 1

三方活栓 2 生食 20mL 2

三方活栓(三連式) 1 ノルアドレナリン 1mg/5mL 2

◆エックステンションチューブ 100cm 1 20%ブドウ糖液 20mL 1

プリンぺラン 10mg/2mL 1

ナイロン袋 1 マグネゾール 20mL 1

ゴム手袋 ワソラン 5mg/2mL 1

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[表 3] 救急処置室配置薬品(薬品棚)

薬品棚 薬品棚

薬品名

数 薬品名

点滴用 5%TZ500ml 1 劇薬 【劇】0.1%アドレナリンシリンジ 5

アミグランド500ml 1 【劇】0.5mg 硫酸アトロピン 4

アミノレバン500ml 1 【劇】10%フェノバール 3

ヴィーン3G注 500ml 1 【劇】10mg エホチール 2

ビカネイト500ml (H24.11 月~変更) 7 【劇】250mgアレビアチン 2

カコージンD注200ml 1 注射薬 0.5mg アネキセート 2

カタボン Hi200ml 2 100mgアミカシン 1

グリセオール注 200ml 1 10mgペルジピン10ml 2

生食水500ml 1 2mgペルジピン2ml 4

生食水250ml 2 2%キシロカイン静注用 3

生食水100ml 4 25%メチロン 2

生食水50ml 2 25mg アタラックスP 5

ソリタ-T1号 200ml 2 25mg アドナ 4

ソリタ-T1号 500ml 1 5mg ワソラン 3

ソルデム3A500ml200ml 3 7%メイロン20ml 2

ソルデム3A 500ml 3 8.5%カルチコール 1

注射用水100ml 2 オザグレルNa40mg/4ml 2

マンニトール S300ml 1 ガスター 3

7%メイロン250ml 1 ケーツーN 3

ラジカット注30mg 2 サクシゾン100mg 4

ラテックD500ml 2 サクシゾン300mg 1

1%オリベス200ml 1 セルシン10mg/2ml 5

静注・希釈用 5%ブドウ糖20ml 4 セレネース5ml/1ml 2

20%ブドウ糖20ml 6 ソル・メドロール125mg 2

50%ブドウ糖20ml 4 ソルダクトン100mg 1

生食注シリンジ20ml 6 タケプロン30mg 2

生食注シリンジ5ml 5 チトラール(クエン酸ナトリウム)0.5ml 5

注射用水20ml 3 トランサミン 4

抗生剤 0.5g チエナムキット 1 ドルミカム10mg 2

0.5gメロペンキット 1 ネオフィリン250mg 3

1gパンスポリンバックS 1 ノーベルバール250mg 6

1gファーストシンバックS 1 ハイドロコートン100mg 2

1gフルマリンキット 1 ハイドロコートン500mg 1

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1g セフトリアキソン Na 4 ビタメジン1000mg 1

1g セファメジンα 1 ブスコパン20mg 4

600mgダラシンS4ml 1 プリンペラン10mg 5

3g ユナシン S キット 1 ヘパリン5000単位 3

注射薬 サンリズム50mg/5ml 2 ヘルベッサー10mg 5

ジギラノゲンC0.4mg/2ml 2 ヘルベッサー50mg 10

マグネゾール20ml 1 ミノフィット20ml 3

プロタノール L0.2mg/1ml 2 ミノフィット40ml 2

ソル・メドロール500mg 1 ラシックス20mg/2ml 5

ノルアドレナリン1mg/1ml 5 リスモダンP50mg/5ml 2

平成 26 年 4 月 30 日作成

◆ [表 4] 救急処置室配置薬品(冷蔵庫、引き出し、頓服箱)

薬品名 定数 薬品名 定数

坐薬 アンヒバ100mg 2 引き出し

(施錠)

0.2mgレペタン 1ml 1

新レシカルボン坐 4 15mgペンタジン 1ml 3

ダイアップ10mg 2 2mgロヒプノール 1ml 2

ダイアップ6mg 2 アンカロン注150 3ml 6

ダイアップ4mg 2 5%ブドウ糖注射液 100ml 1

ボルタレン12.5mg 2 クリアクター注 80万単位 2

ボルタレン25mg 2 グルトパ注2400万単位 1

ボルタレン50mg 2 グルトパ注600万単位 2

ユニプロン100mg 2 ミリスロール50mg 100ml 1

ユニプロン50mg 2 (註) 塩酸モルヒネ1A は3東病棟金庫で保管

注射薬 アスコルビン注500mg 1 頓服箱 アダラート5mg 4

シグマート12mg 8 アダラート CR10mg 2

◆ デカドロン2 1.65mg(2mg) 3 タケプロンOD錠15 15mg 2

◆ デカドロン4 3.3mg(4mg) 4 ニトロール5mg 2

トリノシンS20mg/2ml 1 ニトロペン0.3mg 2

ハンプ1000μg 5 バイアスピリン100mg 2

リンデロン2mg 2 パナルジン100mg 2

リンデロン4mg 1 バファリン81mg 錠 2

点眼薬 0.4%ベノキシール点眼薬 1 プラビックス75mg 4

その他 生食水500ml 1 プレタール OD100mg 2

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生食水1000ml 1 上村Dr用 プラビックス 75mg 1

吸入用 基本吸入 1 バイアスピリン 100mg 1

0.1%ボスミン液 1 タケプロンOD錠 15 15mg 1

ビソルボン 1 プレタール OD100 1

ベネトリン 1 高橋Dr用 エフィエント 5mg 4

生食水5ml 2 バファリン 81mg 4

沈降破傷風トキソイド 0.5ml 1 パリエット 10mg 1

榎本Dr用 プラビックス 75mg 4

バイアスピリン 100mg 2

棚 その他 活性炭10g 5 タケプロンOD錠 15 15mg 1

マグコロール50mg 1 貼付薬 フランドルテープS40mg 1

オヲタ浣腸 30ml 2 ミリステープ5mg 1

オヲタ浣腸 60ml 2 ツロブテロールテープ1mg 2

オヲタ浣腸 120ml 2 ツロブテロールテープ2mg 2

平成 27 年 4 月 27 日作成

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[表 5] 救急処置室配置薬品(カート内)

薬品名 作用・特色 使用方法・注意点

劇 エホチール 昇圧薬 皮下・筋注・静注

劇 静注用キシロカイン2%5ml 不整脈 ゆっくり静注

劇 ジギラノゲンC

ワソラン、トリノシンS(ATP) 【冷】 Af(心房細動)の頻脈 (例) 生食水20mlで希釈し静注

劇 ノルアドレナリン 心不全・低血圧 (例) 生食水100mlに混入後 ◆輸液ポンプ使用し点滴

劇 プロタノール L 心不全・徐脈 (例) 生食水100mlに混入後 ◆輸液ポンプ使用し点滴

劇 ペルジピン2mg 降圧薬 (例) 生食水20ml+( )Aで希釈後静注

劇 硫酸アトロピン 徐脈 皮下・筋注・静注(静注時はゆっくりと)

劇 エピネフリンシリンジ 心不全・心停止・低血圧 静注または皮下注、気管内投与

劇 カコージンD 200ml 心不全・昇圧薬 点滴・◆輸液ポンプ使用

カルチコール 高K血症・低Ca血症 血管外漏出により壊死。急速静注で不整脈のおそれ。

ソルメドロール500mg

サクシゾン300mg 副腎皮質ステロイド薬 ゆっくり点滴

ラシックス 降圧薬・利尿薬

7%メイロン 20ml めまい・アシドーシス 静注

シグマート12mg 【冷】 冠動脈及び

冠動脈末梢血管拡張

(例) 生食水100ml+( )バイアル溶解後

◆輸液ポンプ使用して点滴

ハンプ1000μg 【冷】 血管拡張・利尿作用 蒸留水で溶解、点滴本体はDr指示 ◆輸液ポンプ使用

点滴・溶解液など―ビカネイト 500ml( 1)、生理食塩水 100ml(1)・520ml(5)、蒸留水 20ml(2)

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[表 6] 加温器内薬品一覧(低体温患者への輸液・洗浄など)

加温器

薬品名 定数

点滴 ビカネイト500ml 2

生食250ml 2

生食500ml 2

その他 生食広口500ml 1

平成 26 年 4 月 30 日作成

[表 7] 夜間救急用薬品一覧(内服・外用など) 平成 26 年 5 月、薬剤部

* 鎮痛・解熱・抗炎症剤 * その他

1. ボルタレン錠 25mg 30. PL顆粒 1包1g

2. ロキソプロフェン Na 錠 60mg 31. プレドニン錠 5mg

3. ボルタレン坐剤 12.5mg 32. デパス錠 0.5mg

4. ボルタレン坐剤 25mg 33. セルシン錠 5mg

5. ボルタレン坐剤 50mg 34. ニポラジン錠 3mg

35. トラベルミン錠

* 循環器系用剤 35-1. ウロカルン錠 225mg

6. アダラートCap 5mg 35-2. メリスロン錠 12mg

7. ニトロペン錠 0.3mg 36. クラビット点眼液 5ml

8. フランドルテープ 37. タリビット眼軟膏 3.5g

9. ラシックス錠 20mg 38. カトレップパップ 1包5枚入り 6包

10. ラニラピッド錠 0.05mg 39. フェルナビオン 1包7枚入り 2包

11. ワソラン錠 40mg 40. リンデロンVG-軟膏 5g

12. リスモダンCap 50mg

* 主に小児科

* 呼吸器系用剤 解熱剤

13. メプチンミニ錠 25μg

43. カロナール20%細粒1包1g(成分200mg含

有)

14. メプチンエアー 44. アンヒバ坐剤 100mg

15. テオドール錠 100mg 44-2. アンヒバ坐剤 200mg

16. トクレススパンスールCap 抗けいれん剤

45. ダイアップ坐剤 10mg

* 消化器系用剤 45-2. ダイアップ坐剤 4mg

17. セルベックス10%細粒 1包 0.5g 消化器系用剤

18. ブスコパン錠 10mg 46. ナウゼリン坐剤 10mg

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19. プリンペラン錠 5mg 47. ナウゼリン坐剤 30mg

20. ガスターD錠 10mg 呼吸器系用剤

21. フオイパン錠 100mg 48. ツロブテロールテープ 0.5mg(SN)

22. ロペミンCap 1mg 49. ツロブテロールテープ 1mg(SN)

23. ヨーデルS錠 80mg 50. ツロブテロールテープ 2mg(SN)

24. ラックビー微粒 N 1包1g 抗生物質

52. フロモックス10%小児用細粒

* 抗生物質類 1包 0.5g(成分50mg含有)

25. フロモックス錠 100mg 53. クラリシッド D.S 10%小児用

26. クラリス錠 200mg 1包 0.5g(成分50mg含有)

27. クラビット錠 250mg (小児・妊婦禁

忌) その他

54. テルギンG D.S 0.1%

* 産科 1包 0.2g(成分 0.2mg含有)

280. ズファジラン錠 10mg 55. 幼児用PL 1包1g(2 歳未満禁忌)

290. ウテメリン錠 5mg * 冬期のみ(インフルエンザ用別箱)

291. メテルギン錠 0.125 ㎎ 56. タミフルカプセル75mg(原則、10 才台禁忌)

292. プロベラ錠 2.5mg 57-1 タミフルドライシロップ (1包中成分 10mg)

57-2 タミフルドライシロップ (1包中成分 20mg)

57-3 タミフルドライシロップ (1包中成分 10mg)

58. リレンザ(吸入薬)

59. イナビル吸入粉末剤 20mg成人1回2本

[表 8] 小児用薬品一覧 平成 26 年 5 月、薬剤部

薬品番号 薬品名(成分量) 用法

効能 (成分)

43 カロナール細粒 20%(200mg/g)通 常 、 乳 児 、 幼 児 、 小 児 1 0 ~ 1 5 m g / k g / 回

投与間隔は4~6時間以上 解熱・鎮痛 (アセトアミノフェン)

44 アンヒバ坐剤(100mg・200mg) 通常1日1回 1才未満 50mg

解熱 (アセトアミノフェン) 1~3才未満 50mg~100mg

3~6才未満 100mg

6~12才 100mg~200mg

45、45-2 ダイアップ坐剤 (10mg・4mg) 1回0.4~0.5mg/kgを1日1~2回

抗けいれん (ジアゼパム) 1日1mg/kgを超えないこと

46、47 ナウゼリン坐剤 (10mg・30mg) 3才未満 1回10mgを1日2~3回

消化管運動 (ドンペリドン) 3才以上 1回30mgを1日2~3回

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改善剤

(制吐剤)

48、49、50 ツロブテロールテープ(SN) 1日1回 0.05mg/kg

気管支 (0.5mg・1mg・2mg) 0.5~3才未満(8kg~15kg) 0.5mg

拡張剤 (ツロブテロール) 3~9才未満(15mg~30kg) 1mg

(β刺激剤) 9才以上(30kg~) 2mg

52 フロモックス 10%小児用細粒 1回3mg(力価)/kgを1日3回

抗生物質 (100mg/g)

(セフェム系)

53 クラリシッドD.S10%小児用 1日10~15mg(力価)/kgを2~3回に

抗生物質 (100mg/g)

(マクロライド系)

54 テルギンG D.S (1mg/g) 1日量(力価) 1才以上 3才未満 0.4mg

抗ヒスタミン剤 3才以上 5才未満 0.5mg

5才以上 8才未満 0.7mg

8才以上 11才未満 1.0mg

11才以上 15才未満 1.3mg

55 幼児用PL顆粒 通常、 1回 2~4才 1g

総合感冒薬 (2 歳未満禁忌) 5~8才 2g

9~11才 3g

を、 1日4回

57 タミフルドライシロップ3% 治療:幼小児―1 回 2mg(力価)/kg を 1 日 2 回 5 日間

抗インフルエンザ (30mg/g) 予防:幼小児―1 回 2mg(力価)/kg を 1 日 1 回 10 日間

ウイルス剤 1 回量は 75mg まで。 体重別投与量早見表を参考に

58 リレンザ(5mg/1 ブリスター) 治療:成人・小児 1 回 10mg(2 ブリスター)を 1 日 2 回 5 日間

抗インフルエンザ 1セット20ブリスター入り 予防:成人・小児 1 回 10mg(2 ブリスター)を 1 日 1 回 10 日間

ウイルス剤

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b)救急診療スタッフ

〇印は勤務時間内、●印は勤務時間外(休日、夜間など)に活動するスタッフを示す。

1. 医師 (参考:平日救急当番・内科系救急当番表、整形外科 平日の救急当番表)

〇救急当番医師―勤務時間内に、救急車で搬入された傷病者の初期診療と専門診療科への振

り分けをする。平日午前中は外科系救急当番医師が担当する。平日午後は内科系救急当番医

師が担当(ただし外傷などは直接、外科・整形外科などが診療)。

●日直・当直医師―勤務時間外に、救急車で搬入された傷病者やウォークイン救急患者の診

療にあたる。要請があれば、各病棟に入院中の患者が急変した場合の初期対応をする。

●各科待機医師―勤務時間外に院内または院外で待機し、日直・当直医師の要請により来院

し、その診療を補助あるいは引き継ぐ。

◆[表 1] 平日救急当番・内科系救急当番表 ・・平成 26 年 2 月 8 日修正後

月 火 水 木 金

first call 全 週 麻酔・循環(高橋) サテライト(本田) 麻酔・循環器(高橋) 麻酔(越智) 麻酔(越智)

午 ↑ 第1週 外科(古谷) 麻酔(越智) 小児(①渡辺②徳田) 整形(糸谷) 外科(的場)

second call 第2週 〃 〃 〃 〃 〃

前 ↓ 第3週 〃 〃 〃 〃 〃

↓ 第4週 〃 〃 〃 〃 〃

内科系当番 全 週 内科(仙波) 麻酔・循環器 内科(八木) 内科(酒井) 内科(八木)

first call

(12:00~17:15) 全 週 麻酔・循環器 内科(八木) 麻酔・循環器 内科(八木) 内科(八木)

午 ↑ 第1週 内科(当番医) 放射線科 整形(温泉川) 泌尿器科 麻酔(越智)

second call 第2週 〃 皮膚科 〃 〃 〃

後 (12:00~17:15) 第3週 〃 放射線科 〃 〃 〃

↓ 第4週 〃 皮膚科 〃 〃 〃

内科系当番

(12:00~17:15) 全 週 内科(仙波) 内科(八木) 麻酔・循環器 内科(八木) 内科(八木)

夜 内科系当番

(17:15~8:30) 全 週 内科(当番医) 麻酔・循環器 麻酔・循環器 内科(当番医) 内科(当番医)

註)1. 第 5 週の担当者は第 1 週と同じ ①第 1,3,5 週、②第 2,4 週(*平成 25 年 4 月 15 日、修正あり)

2. 月・水曜日の太字「麻酔・循環器」については、高橋光司医師(サテライト)勤務時は高橋医

師が担当する(第 4 日曜日の翌日は高橋医師休診)。 3.「内科(当番医)」は当番表参照。

4.救急当番または内科系救急当番の交代の時刻について

①平日日中の救急当番(first call、second call)と当直医との交代時刻は 17 時 15 分、一方、

平日午後の内科系当番(待機医師)と夕方(時間外)の内科系当番の交代時刻は 16 時とな

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っていた。その後、平成 25 年 1 月 29 日以降は平日午後の内科系当番(待機医師)と夕方

(時間外)の内科系当番の交代時刻を 17 時 15 分に一致させることになった。

②原則として、受付時刻ではなく急患室または内科外来へ患者が到達した時刻で担当者を決

める。各科医師が 初に診察した場合は、その医師が救急当番または内科系救急当番医師

の診察が必要と判断した時刻を基準とする。

4. 内科当番医が対応できない場合、 八木 → 仙波 → 酒井 の順で連絡する。

(当番医に連絡が取れない場合の連絡順はこの逆)

5.火・木曜日における広域輪番体制の実施時刻は 17 時 30 分~翌 8 時 30 分(*祭日の場合も)。

6.循環器疾患の患者への救急対応について

① 平日日勤帯は循環器科が「心不全を含む循環器系」の救急患者に対応する。

② 勤務時間外において、月・木・金・日曜日は、「急性冠症候群と不整脈患者」には深夜帯

を含め循環器科医師が対応し、それ以外の患者には一般内科の救急担当医師が担当する。

火・水・土曜日は、「急性冠症候群と不整脈患者」には循環器科が対応し、それ以外の患

者には循環器科と麻酔科が共同で対応、主治医にもなる。

ただし、火・土曜日の救急制限時は原則として、院外からの「急性冠症候群および不整

脈患者には対応しない(院内発生の急性冠症候群や不整脈の患者には対応)。

[表 2] 整形外科 平日の救急当番表

時間帯 順 月 火 水 木 金

午 前 (1) 岡 本 温泉川 堀 田 糸 谷 濱 西

① 岡 本 濱 西 温泉川 濱 西 糸 谷

② 濱 西 糸 谷 岡 本 岡 本 温泉川

午 後 ③ 糸 谷 岡 本 糸 谷 糸 谷 濱 西

④ 温泉川 温泉川 濱 西 温泉川 岡 本

⑤ 堀 田 堀 田 堀 田 堀 田 堀 田

#午前・午後の区切り時刻は正午。

◆[表 3] 待機医師への連絡がつかない場合の連絡網

まれに急患待機医師への連絡がつかないことがある(通信情況が不良な場合など)。そ

の場合、所属医師数が 3 人以上の診療科については以下の順で連絡する(#小児科に関し

ては、小児科外来へ連絡)。

内科: 酒井 → 仙波 → 八木

循環器科:上村 → サテライトセンター医師

外科: 的場 → 友近 → 渡邊 → 古谷

整形: 堀田 → 温泉川 → 濱西 → 糸谷 → 岡本

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2. 看護師

〇救急担当師長―勤務時間内に救急看護のマネージをする。師長が不在の場合や勤務時間外

には責任者となる看護師がその役割を代行する。

〇外来部門看護師(以下、外来看護師)―勤務時間内の救急車収容時に師長の連絡により、

各科外来や放射線科から救急外来に参集し看護にあたる。

●日直・当直看護師―勤務時間外に、救急外来において看護にあたる。平日の勤務時間外お

よび土曜日は2名、日曜日と祭日は師長1名を含む3名の体制。人手が足りない場合(救

急患者が集中したときなど)には病棟スタッフなどの応援を要請する。

●◆3東病棟当直看護師―平成 23 年 4 月より、土日祭日の 17:15~8:30 の間は急患室に患

者がいなければ◆3東病棟で勤務し、病棟看護を行う(患者受診時は外来救急業務にあた

る)。

◆[表] 勤務時間外における急患室勤務の看護師数

曜日 師長

外来

看護師

手術室

看護師

◆3東病棟

看護師 合計

月、水、金 0 2 0 0 2

火 0 0 0 0 0

木 1 2 0 0 3

土 (昼) 1 1 0 0 2

〃 (夜) 0 0 0 0 0

日 (昼) 1 1 1 0 3

〃 (夜) 1 1 0 0 2

◆*火曜日・土曜日の当直帯―救急に関する電話対応は3東病棟

(平成 27 年 5 月 7 日現在)

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3. 放射線科技師

〇放射線科技師―勤務時間内に放射線科受付へ撮影申し込みがあれば、放射線科で撮影する

か院内でポータブル撮影にあたる。

●放射線科待機技師―勤務時間外に守衛を通じて撮影申し込みがあれば原則 30 分以内に来

院し、放射線科で撮影または院内でポータブル撮影にあたる。また、八幡浜地区施設事務

組合休日・夜間急患センター(以下、急患センター)の依頼により、急患センター受診患

者のレントゲン撮影を行う。

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4. 臨床検査技師

〇臨床検査技師(以下:検査技師)―勤務時間内にクロスマッチ・血液・生化学・尿・髄液・

細菌培養・心電図などの検査を行う。

●日直者検査技師―土日・祭日の日中は日直者が検査を行う。時間外・休日用紙にある項目

を原則とし、感染症は平日扱い。クロスマッチ、髄液検査、細菌培養も随時行う。心電図

は救急スタッフ対応(取りにくいときのみ検査技師を呼ぶ)。超音波検査も呼び出し検査

技師によって対応する。また急患センターの依頼により、急患センター受診患者の検査を

行う(時間外・休日用の検査申し込み用紙にある項目)。

●夜間当番者検査技師―夜間は当番検査技師が呼び出し対応で検査を行う。検査項目などは

日直者と同じ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━・━━━━━━━━━━━━━━━━━━

5. 薬剤師

〇通常勤務時間内―勤務中の薬剤師が対応 ●勤務時間外―オンコールの薬剤師が対応

━━━━━━━━━━━━━━━━━━・━━━━━━━━━━━━━━━━━━

6. 事務職員

〇事務職員:土・日・祭日の日勤事務職員(8 時 30 分~17 時 15 分)として、次の業務を

行う。 ・受診患者の受付-外来診療録、外来基本伝票の準備および入院診療録の準備。 ・救急処置室などへの電話取り次ぎ、救急車受け入れ、医師呼び出し、患者案内(相談に

応じるなど) ・医療費支払いの受付、出納帳と現金(つり銭含む)の突き合わせ

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・お見舞い案内-患者の氏名・住所・年齢などを聞き、入院先病棟を案内 ・過去の入院診療録の準備(病歴室)、郵便物預かり、病棟日報確認、日直日報作 成 ・病院内での患者搬送、検体などの運搬(救急スタッフの依頼があった時) ・土曜日における救急患者の受付要領は、「Ⅳ.土曜日における勤務時間外の救急診療」

(p.27)の通り。 (註)平成 24 年度より土日祭日の日勤帯(8 時 30 分~17 時 15 分)における守衛勤務は廃止さ

れ、守衛による当院内外の巡視と以下の業務は日勤事務職員が行うことになった。

・防火及び消火-火気使用箇所・消火器設置の点検、火災の発見・初期消火など ・盗難予防および不審者などの取締り-診療妨害・不審者などの発見・排除など ・救急車などの誘導、駐車場の出入車対応、危険箇所の発見と報告など

━━━━━━━━━━━━━━━━━━・━━━━━━━━━━━━━━━━━━

7. 守衛

●守衛-夜勤(17 時 15 分~8 時 30 分)において、2 名常駐し以下の業務を行う。 ・受診患者の受付-外来診療録、外来基本伝票の準備および入院診療録の準備 ・救急処置室などへの電話取り次ぎ-救急車受け入れ、医師などの職員呼び出し(註)、 患

者相談に応じるなど (註)医師などの職員呼び出しに関しては急患室や病棟などから直接呼び出すこともあるが、患

者急変時などは呼び出しのための人手がない場合があり、職員から依頼があれば守衛が対

応する。

・医療費支払いの受付-出納帳と現金(つり銭含む)を突き合わせ ・ 院内外巡視による警備-日勤と同様。加えて時間外の室内点検、消灯時間以降の出入

者確認 ・警備・宿直日誌作成 ・ 土曜日における救急患者の受付要領は、「Ⅳ.土曜日における勤務時間外の救急診療」

(p.27)の通り。 (参考)急患室看護師から守衛への連絡カード(t-PA 静注療法対象患者に関する連絡)p. 59

◆・火曜日・土曜日における、3東病棟への救急患者受け入れ介助 平成 27 年 5 月、新病棟への移転以降、火曜日(時間外)および土曜日の心肺停止患者の受

け入れは、看護師が「救急外来で受け入れる」と伝達しない限り、3東病棟へ搬送し、ここ

で治療を行うこととなった。守衛は、①救急隊は3東病棟へ上がる患者用エレベーターへ案

内に、エレベーター手前の扉を開錠する。②守衛室に戻り、患者受け付けを行い、その後 家

族などを3東病棟の患者控室へ誘導する(誘導後は看護師に報告)。

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II. 勤務時間内の救急診療

午前(8 時 30 分~12 時)と午後(12 時~17 時 15 分)の2つの時間帯に分ける。 初に対応す

る医師などを決定する際は患者到着時刻によって決める。当番医などへの連絡の際は、一応の診断

が付き連絡をするその時刻によって判断する。

a)救急車収容患者への対応[勤務時間内] 1.看護師長(またはその代理者、以下同様)が消防本部からの収容依頼の電話を受信。要点

を聴取の上、原則として「収容了承」の返事をする。 2.看護師長は当番医および外来看護師に連絡し招集する。なお午前中はすべて当番医に連

絡するが、午後は師長の判断で各科専門医師に直接連絡する場合がある(項目5)。 3.心肺停止傷病者と推測される収容依頼の場合、当番医は電話での救急救命士への助言や

特定行為の指示に備える。 4.救急車収容後、当番医は診察・検査など初期対応を行い、各科医師に連絡して引き継ぐ。

各科医師が忙しい時は、場合により入院後の初期指示のところまで当番医が代行する。各

科医師による外来診療の場所は、その判断によって救急治療室または各科外来とする。 5.対応専門科を決定する際には以下のことを目安にする。 ①事故や打撲外傷などの患者には整形外科または外科が対応(胸部外傷は外科)。全身管

理が必要な時は内科または麻酔科に応援を依頼する。 ②薬物中毒、溺水、窒息、縊頸など、外傷以外の外因性の救急病態は外科または麻酔科。 ③急性心筋梗塞(他院で診断済みあるいは強い持続性の胸痛を伴う患者)は循環器科。 ④その他特殊な症例では、必要により該当専門科へ連絡(例:熱傷 → 皮膚科、外傷で

ない小児 → 小児科) *平日午後の場合、①~④であれば直接、専門科医師を呼ぶ。①~④に該当しなければ内科系当番

医がまず診療する。

⑤脳血管障害が疑われる患者はまず当番医(first call または second call 医師)が診察し、

画像所見などにより以下のように振り分ける。すなわち、意識障害あるいは神経症状を

伴う非外傷性救急患者において脳出血が確認された場合、脳神経外科に担当を依頼する。

それ以外は内科系待機医師に診療依頼する(平成 22年 4月 13日、臨時救急委員会で了承)。 ただし、発症時刻(または 終未発症時刻)が判明しており、発症から 3.5 時間以内

に病院に収容できる患者では、その情報を得た段階で、急患室看護師・救急初療医師な

どから脳神経外科へ連絡する。そして、t-PA 療法の適応とならない脳梗塞例を含め。

原則として脳神経外科が担当する(診療手順の詳細は(2)を参照のこと)。また、て

んかん(疑い例を含む)についても脳神経外科が受け皿となる。

6.当番医は迅速に初期対応(診察・検査)をする。他科の応援が必要な時は各科に連絡

するが、病態が判明し担当科が決定、さらに担当医師への申し送りが終了するまでは、

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21

当番医が患者の外来主治医として責任を持つ。

7.担当医師の診察、諸検査の結果、入院が決定すれば、担当医師あるいは看護師長が病

棟師長に連絡し、ベッド調整後入院となる。

8.一般的注意(平日勤務時間内) イ)救急隊からの収容依頼は原則として全例受け入れる。 ロ)地域医療機関からの紹介患者(二次救急患者)も、原則として全例受け入れる(紹介

状を地域連携室へ FAX で送付してもらう)。

*参考:[表] 他院からの診療依頼の経路、

[表] 他院から電話で依頼があった場合の対応

[表] 地域連携室に診療依頼があった場合の流れ

[図] 地域医療連携室経由による対応の流れ

ハ)救急隊からの聴取情報および来院後の看護記録は「救急患者記録用紙」に記載する。

ニ)看護師長は外来診療録を準備する。 ホ)初療担当医師は振り分け先になると予想される診療科のペ-ジに救急診療記録を記

載する(初療担当医師の所属診療科に登録・記録し、必要により、振り分け先の診療

科医師が自科の診療記録に記載する流れでもよい)。

[表 1] 他院からの診療依頼の経路

1.地域連携室へ FAX が送信されてくる

2.地域連携室へ電話で依頼

3.診療科医師へ直接電話で依頼

4.診療科へ電話 看護師が医師に取り次ぐ

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[表 2] 他院から電話で依頼があった場合の対応(看護師用、平日日勤帯)

1.救急車搬送(二次救急患者)か一般紹介(外来で待つことのできる状態)かを聞く。

2)対応

■救急車搬送(二次救急患者)の場合 ■一般紹介の場合

1.氏名、生年月日、住所、当院受診歴の有無を聞く。 1.同左

2.紹介内容、患者の状態を聞く。 2.同左

3.紹介先医師名または診療科名(当院の受け皿)を聞く。 3.同左

| 4.紹介された医師または該当診療科の当

4.受信した看護師が(原則として)、収容可と返答。 当番医が、対応可能かどうかを応答する。

| (場合によって外来看護師などが代行)。

5.紹介状 FAX の送付(地域連携室宛)を依頼。 5.同左(対応了承の場合)

6.およその当院到着時刻を聞き、電話を切る。 |

7.紹介先の医師(当院の受け皿)または救急当番医に |

連絡する。 |

☆診療の場=救急処置室 ☆診療の場=一般外来

*午前中の場合、内科医師宛の紹介でも医師名の指定がな

ければ、救急当番医がまず対応する。

[表 3] 地域連携室に受診依頼があった場合の流れ

① 電話による受診依頼

来院手段の確認―救急車、自家用車など

① 診療科へ受診の可否を確認

② 電話による受診承諾連絡

③ FAX 受診予約票 (当日用)

④ FAX 診療情報提供書 の送信を受ける

⑤ 診療録の準備

新患―診療録作成

診療情報提供書・黄色ファイルに封筒・回答チェック用紙を入れる。

再診―診療録に診療情報提供書を入れる

受診当日:患受付にて保険証および他の受給者証の確認を行う。

診療科へ案内

⑥ 受診確認連絡票 紹介元 医療機関

外来より回答チェック用紙(返書)が地域連携室へ届く

⑦ 診療医師より受診報告 これを郵送

返書チェックについては集計時診療録確認を行い、回答願いを入れる。

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[図] 地域医療連携室経由による当日受診依頼への対応の流れ

① 電話 受診依頼

a.救急

a.救急

b.救急以外 b.救急以外 ②診療科へ受診確認

③ 電話 受診承諾

③受診承諾

① ④ FAX 受診予約票

② (当日用)

⑤ FAX 診療情報提供書

⑥ 診療録準備

受診

⑦ 受診確認連絡表

返書

⑧ 診療医師より受診報告

[表 4] 他施設より当院への転院依頼があった場合の対応の流れ

1.他施設より電話で打診または依頼

⇒ 地域連携室宛に診療情報提供書を送付(またはFAX送信)するよう要請

する。

2.地域連携室は送信された診療情報提供書を元に、以下の医師へ連絡

① 依頼医師が明記されている場合 ⇒ 依頼された医師

② 診療科が明記されている場合 ⇒ 該当診療科の科長

③ 内容から対応可能な診療科が明確な場合 ⇒ 同上

④ 当院から他院へ紹介し転院した患者(またはその担当医)が転院先から当院

への再転院を希望する場合(救急外来からの転送も含む)

⇒ 当院の紹介元医師

⑤ 当院を経由せずに救急搬送された場合 ⇒ 救急部長

3.上記①~④の場合で、依頼された医師または地域連携室が連絡した診療科科長

が自科への患者受け入れを希望しない場合、地域連携室から救急部長へ連絡し、

救急部長がどのように対応するか検討する。

(平成 20 年 11 月 25 日、診療部会で了承)

(平成 25 年 2 月 28 日、診療部会で修正了承)

紹介元

医療機関

携 室

救急

当番医

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参考:救急車収容依頼が重なった場合の対応(受け入れ制限日を含む勤務時間外にも共通)

(平成 21 年 5 月 7 日、救急委員会における意見交換)

当院の方針として、土曜日を除いては消防本部からの収容要請に対し、原則とし

て全例受け入れることになっている。しかし、収容要請が重なる場合や先に受診し

た救急患者に対応中ということは今後もあり得ることである。この場合、以下の対

応になるものと考えられる。

① 新たな救急患者を受け入れ、先に収容した患者の診療を中断したり並行して診療

するなどして対応。

② 先に収容した患者への処置が落ち着くか応援医が到着するまで、救急外来前に停

車した救急車内などで待機して貰う。

③ 消防本部に対応可能な他の医療機関を探して貰う。

結論として、当院として要請された患者の全体にとって 善の結果になるよう努

力をする一方で、消防本部にも弾力的な対応を御願いして行くかたちとなる。

b)ウォークイン救急患者への対応[勤務時間内] 1.勤務時間内に救急車以外の方法で受診した患者(地域医療機関から紹介の患者を含む)

は原則として各科外来で診療する。この場合、新患や予約のない再診患者は、受付時間 を過ぎれば各科当番医に連絡し、対応可能であるか確認をとり医師の判断によって対応 を決める。

*参考:[表]他院からの診療依頼の経路、 [表]他院から電話で依頼があった場合の対応

[表]地域連携室に受診依頼があった場合の流れ [図]地域医療連携室経由による対応の流れ

2.例外的な対応として、以下のような場合には救急治療室での診療も可能である。 ① 交通事故などで受傷した軽症傷病者(本来は救急搬送にはあたらないもの)が同じ事故で受傷し

た重症患者とともに救急車で来院した場合。

→ 当番医または看護師長が、救急治療室で診療するか各科外来を受診させるかを決定。

② 各科外来を受診中の患者やその同伴者が急変した場合(心肺停止など)

→ 各科外来担当医が看護師長に連絡し、救急治療室で緊急処置などを行うことができる(当番

医や必要な診療科への応援要請も可能)。

3.内科新患に関する受付手順(参考)

平成 21 年 4 月より内科が予約外の診療を行わない曜日は火曜日、金曜日となった。こ

れらの日に予約なしに来院し内科受診を希望する患者(紹介状あり/なし)には [表]内科新患の受付手順に示す流れで対応する。

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[表] 内科新患の受付手順 (平成 20 年 4 月 2 日作成、6 月 23 日救急マニュアル用に一部改変、

平成 23 年 5 月 26 日 運営委員会で了承)

1.受け付け相談の対応者

地域医療連携室

外来看護師 池井 栄

2.対応時間 午前 8:30~11:00

3.状況別対応

1)紹介状を持参し、予約のない場合

受付にて、紹介状の内容を確認する。

担当医師氏名のある場合は担当医師に確認する。

紹介状の宛名が担当医殿の場合

・病状により、当日診療担当医に受診可能であるかの確認を行い受診決定する。

・患者の病状及び当日診療医師の専門によっては、後日予約とする。

2)紹介状が必要な日に紹介状なしに受診した場合

相談看護師が受診相談を受ける。

・ 緊急性が高い場合は、救急受診とする

(II.勤務時間内の救急診療、b)ウォークイン救急患者への対応 を参照)

・症状によって、診療科を選択(月・火・水・木曜日の午前中は循環器科が、月・水・

木曜日午後は一般内科が対応可能)。

・地域の医療機関の案内を行う。

病状の判断については、必要によって救急部長 の指示を仰ぐ。

3)当院において、継続的に治療を受けている患者が症状の悪化を訴えて来院した場合。

診療録を出し病状を確認する。

担当医師に連絡を行い。当日診療医師または担当医師が診療を行う。

4)当院に受診中の患者が、予約前に内服薬がなくなり処方を希望する場合。

当日診療担当医師に依頼する。

5)健康診断の結果を持参している場合

紹介状持参と同様の扱いとする

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[表 6] 内科紹介の手順 (平成 20 年 8 月 28 日、運営委員会で了承)

(1)各科医師が紹介状を記載

↓註①、②、③

(2)各科看護師(外来または病棟)が内科看護師へ連絡(紹介状送付)

(3)内科看護師が診察日と予約時刻を調整(必要により内科医師に確認)

↓註④、⑤

(4)各科医師と患者に予約日時を連絡(内科看護師 → 各科看護師)

註① 外来受付時刻(午前 11 時まで)を過ぎて内科の当日診察を依頼したい場合には、各科医師から紹介先

の内科医師に連絡を取って了承を得ること。

註② 各科医師はできるだけ紹介先の内科医師名を宛先に入れること。

(内科医師名がない場合の診察医は、「各科(外来、病棟)から午前中に内科受診依頼があった場合

の対応マニュアル(外来用)―下記」に則り、内科看護師と内科医師が相談して決定する)

註③ 各科医師は緊急性の有無を判断し紹介状に記載する(記載なければ緊急性なしとする)。

註④ 内科医師が指名されている場合で緊急性がない患者については、 も早い次の診察日(当日が診察日

であれば当日)に予約を入れることとする。

註⑤ 内科医師によっては、内科看護師が必ず連絡を入れることを希望している。

各科(外来、病棟,)から午前中に内科診察依頼があった場合の対応マニュアル(外来用)

1)紹介状に医師指名されている場合(専門医の診察が必要と判断された場合)

① 緊急性あり (緊急性に関しては、紹介元医師・病棟師長の判断)

内科外来看護師が指名された内科医師に連絡し、その対応について指示をもらう。

③ 緊急性なし

指名された医師の も早い診察日に予約を入れる(当日が診察日であれば当日)

(注1) 紹介元医師は可能な限り専門領域を考慮して診察希望医師を指名する。

(注2) 指名された内科医師が不在の時は、救急当番医がまず対応する

2)診察医師の指名がない場合(専門領域が判断しにくい症例の場合)

① 緊急性あり (緊急性に関しては、紹介元医師・病棟師長の判断)

午前中の救急当番医が診察する。

② 緊急性なし

当日の外来担当医師が診察する(やむをない場合は翌日以降に予約を入れる)。

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III.勤務時間外(土曜日を除く)の救急診療

時間区分

日直 8 時 30 分~17 時 15 分

当直 17 時 15 分~ 8 時 30 分

(ただし医師の土、日、祭日における、日直・当直の夕方の交代時刻は 18 時)

a)救急車収容患者への対応[勤務時間外] 1.消防本部から収容依頼の電話が事務当直に入ると、日・当直看護師が応答し、要点を

聴取の上、土曜日を除き、原則として「収容了承」の返事をする。日・当直看護師は

当直医に連絡をする。 2.心肺停止傷病者と推測される収容依頼の場合、日・当直医師は電話での救急救命士へ

の助言や特定行為の指示に備える。 3.救急車収容後、日・当直医師は診察を行い、必要に応じて血液検査やレントゲン検査

を依頼する(検査技師、放射線技師を呼び出す)。 4.日・当直医が専門医の診察が必要と判断した場合には、各診療科の当番医に連絡し、

診察を依頼する。 5.担当医師の診察、諸検査の結果、入院が決定すれば、空床届けをもとに担当医師ある

いは看護師が病棟看護師に連絡を取り、ベッド調整後入院となる。 6.一般的注意(救急受け入れ制限日はこの限りではない) イ)救急隊からの収容依頼は原則として全例受け入れる。

ロ)地域医療機関からの紹介患者(二次救急患者)も、原則として全例受け入れる (紹介状を地域連携室へ FAX で送付してもらう)。

*参考 [表] 他院から電話で依頼があった場合の対応

[表] 地域連携室に受診依頼があった場合の流れ

ハ)救急隊からの聴取情報および来院後のバイタルサインなどは「救急患者記録用

紙」に記載する。 ニ)看護師が外来診療録を準備する。 ホ)初療担当医師は振り分け先になると予想される診療科のペ-ジに救急診療記録

を記載する(初療担当医師の所属診療科に登録・記録し、必要により、振り分け

先の診療科医師が自科の診療記録に記載する流れでもよい)。

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b)ウォークイン救急患者への対応[勤務時間外]

1.診察依頼の電話が事務受付に入った場合、日・当直看護師が代わって応対(*電話応対

時の一般的注意点を参照)し、日・当直医に連絡をする(受け入れ制限日 は受付担当者

が応対)。患者が直接来院した場合も日・当直看護師が患者の訴えを聴取し、日・当直

医に連絡をする。 2.日・当直看護師は事務受付に連絡し、診療録作成および時間外救急基本伝票の準備を依

頼する。また必要に応じて、日・当直医診察までに検温・血圧測定を含むバイタルサイ

ンの確認をする。 3.日・当直医が診察を行う。必要に応じ検査を依頼する(検査技師や放射線技師を呼び出

す)。 4.日・当直医が専門医の診療が必要と判断した場合には、必要な科の当番医に連絡し診察

を依頼する。 5.担当医師の診察および諸検査の結果入院が決定すれば、空床記録をもとに担当医師ある

いは看護師が病棟看護師に連絡を取り、ベッド調整後入院させる。 6.看護師による聴取情報やバイタルサインなどは「救急患者記録用紙」に記載する(処置

などが必要とならなかったウォークイン・帰宅患者を除き、全例記録を残すこととする)。

*電話応対時の一般的注意点

イ)土曜日の日中はできるだけ市内の開業医院などを受診するよう勧める。 ロ)休日・夜間急患センターの開設時間帯は、同センターで一次救急の対応をして貰うよ

う勧める。

急患センターが開いている時間帯 月~土(木は在宅診療):20 時~23 時

日、祭日 :9 時~18 時

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7.水曜日朝の救急搬送患者の受け入れについて 運営委員会(平成 26 年 8 月 22 日)、診療部会(同 9 月 24 日)で了承され、10 月 1 日から実施

火曜日 17:30~水曜日 8:30 は広域輪番日となっており、八幡浜消防の救急車に収容され

た傷病者は市立大洲病院へ搬送される。しかし、水曜日朝、救急車に収容された傷病者の中

に市立大洲病院へ搬送しようとすれば 8:30 を過ぎ、当院へ搬送しようとすると 8:30 前に到

着するというタイミングとなるケースがある。そのことについて以下のような救済策で対応

する。 1)水曜日朝 八幡浜消防の救急車に収容した傷病者で、市立大洲病院へ搬送すれば 8:30

を過ぎ、当院へ搬送すると 8:30 までに到着すると予想される場合には、当院当直医へ収容

の相談をすることができる。 2)当院当直医が収容を了承しない場合には、病院入口などで時間を調整し、8:30 以降、水

曜日の救急 first call 医師などが救急対応をする(待機中に患者情報の連絡などをすること

は可)。 3)当院当直医が収容を了承した場合には、8:30 前に患者収容と受付を行い、診療を開始

する。この場合、患者の 8:30 以降の診療は水曜日の救急担当医師(first call は麻酔科・循

環器科)などが引き継ぐ。 *通常、8:30 までに収容した患者は前日の当直医が専門科や日中の救急担当医への紹介

を含め、診療を完結する約束となっている。

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IV.土曜日(救急受け入れ停止日)における救急診療

当院では平成 20 年 6 月より水・土曜日は救急患者の受け入れを停止して来たが、平成 22 年 5 月

12 日以降は土曜日のみの受け入れ停止となった。ただし、土曜日においても、以下の a)および b)

に該当する患者では例外的に受け入れる場合がある。このうち、ウォークイン患者には受付担当者

が対応する。一方、救急車収容患者では救急隊が日・当直医師または一部の診療科の待機医師に、

例外的受け入れしてほしいとの相談をする場合がある。そして、日・当直医師または待機医師が了

承した場合に患者を受け入れる。

(参考◆1)土曜日が年末年始などの場合の救急受け入れ停止について

救急受け入れ停止の 初の年であった平成 20 年には市立宇和島病院の移転があり、また 初

に迎える年末年始であったことから、該当日が祭日、連休、年末年始などの場合受け入れ制限

を一部取りやめる形とした。平成 21 年以降は勤務医師数がさらに減少し、内科医師の負担軽減

のためには上記のような受け入れ停止を例外的に解除することが困難となった。

なお土曜日において、医師数に変化のない外科や整形外科が救急患者を受け入れること(一

部当直医が初期対応することも含め)については、病院を挙げて協力することになっている。

看護師に関しては、土曜日は 2 名体制となるが、病棟などからの応援や待機看護師の呼び出し

体制などを円滑に運用してゆくことを申し合わせている(平成 21 年 5 月 28 日、運営委員会)。

a) 土曜日に救急隊が収容に関する相談をすることができる患者と対応の流

れ(救急車収容患者)

(1)救急隊が日・当直医に収容の相談をする場合

イ.心肺機能停止(CPA)傷病者またはそれに準ずる傷病者(各種傷病により急速に容態変

化し、医療機関到着までに心肺停止に陥ると推測されるもの)(註①、②)。

註①:心肺停止傷病者であっても、心停止後長時間を経ている、心電図上心静止であるなど、

救命が著しく困難と考えられる場合は、消防本部はできるだけ市立病院以外の収容先を探す。

註②:搬送中の救急救命士の救命処置に対する指示は、傷病者を市立病院へ搬送するかどう

かを問わず、市立病院医師に要請できる(この場合、救急委員長から指示を出すことも可)。

(参考◆2)土曜日における、心肺停止患者収容時の各科応援体制

・土曜日―当直医の要請があれば内科、外科または麻酔科の待機医師が蘇生処置を手伝う。

患者が蘇生した場合、要請があれば、麻酔科待機医師が主治医として受け持ち、必要によ

り当直医や内科または外科待機医師が副主治医として協力する。

*土曜日にいずれの科の待機医師を呼び出すかは当直医の判断による。

*学会出張などのため麻酔科医が対応できないときは、外科待機医師がカバーする。

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◆(参考 3)土曜日における、心肺停止患者の収容場所

火曜日および土曜日においては、3東病棟看護師が救急外来看護業務を行う。この場合、3東病

棟に患者が入院中のとき、入院患者を置いたまま3東病棟看護師が救急外来で活動することは困難

となる可能性がある。そこで当分の間、火曜日(時間外)および土曜日の心肺停止患者の受け入れ

は、看護師が「救急外来で受け入れる」と伝達しない限り、3東病棟へ搬送し、ここで治療を行う

こととする(平成 27 年 5 月 12 日、管理者会議で承認)。

ロ.市立病院が災害拠点病院、初期被ばく医療機関などとして、その公的な責任を果たす必

要のある傷病者 ハ.多数傷病者事案(多数の重症傷病者が発生し、複数の医療機関へのピストン搬送などが

必要となる場合) ニ.管外搬送の重複により次の救急対応に長時間を要すると考えられる場合(本署、第ニ、

第三分署で 3 台目の重複となる場合) ホ.管轄内及び管轄外の医療機関に、収容をすべて断られた場合 ヘ.日・当直医が事前に土曜日対応可と意思表示している場合、内科対応を要する傷病者お

よび中枢神経系の傷病者でなければ、日・当直医に収容を要請することができる。

(2)救急隊が特定診療科の待機医師(日・当直中のこともある)に収容の相談をする場

合 イ.対応中の救急事案が市立病院の指定された診療科(註③)の範囲内で対処可能と考えら

れる場合 ロ.重症外傷・緊急疾患などで気道確保困難、心タンポナーデ、緊張性気胸、多量外出血・

低血糖などへの医師の緊急処置が必要で、日・当直医または指定された診療科の待機医

師により対応できると考えられる場合(註④「立ち寄り」による処置の要請)

註③:指定された診療科:平成 21 年 7 月 1 日の時点では外科、整形外科、および小児科(註⑤)

の 3 科。救急隊がこれらの科の待機医師(日・当直中のこともある)に連絡(註⑥)し、医師がこ

れらの科の範囲内で対処できると判断した場合には当院が救急搬送を受け入れる。この場合、

市立病院の日・当直看護師を連絡先とする(市立病院代表電話)。救急隊は日・当直看護師に対

し、対応を依頼したい診療科名と傷病者の状況について伝えた後 電話を切り、3~5 分後に市

立病院へ再度電話をする。日・当直看護師は該当する科の待機医師に連絡し、救急隊からの要

請内容を伝え、待機医師の傷病者収容に関する判断結果を聞く。そして、救急隊からの 2 回目

の電話に応答し、待機医師の返答を伝える。

何らかの理由で待機医師に連絡がつかない場合には 1~2 回の通報にとどめ、待機医師が収容

を断った場合と同様、「収容不可」の返答をする。救急隊は市立病院以外の収容先を探す。

なお、頭部外傷を伴うものや、発症・受傷のきっかけに循環器系あるいは神経系の疾患など

が考えられる場合(例:自動車運転中に心臓発作や脳血管障害 → 胸部外傷や骨盤骨折)は、

指定された科の待機医師による救急車受入れの対象にはならない。

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註④:救急車などの「立ち寄り」:ここでは、ある医療機関への傷病者搬送の途上で市立病院

に立ち寄り、緊急処置(気道確保や気胸の脱気、低血糖への対処など)を要請することをいう。

市立病院へ立ち寄った時点で搬送先医療機関が決まっていない場合もあり得るが、いずれにし

ても収容先は市立病院以外の医療施設となる。また、収容医療機関への搬送時には当院職員の

同乗を求めない約束である(診療録を作成し、医学的な記載を行うと共に、医療費も請求)。

註⑤:小児科に関しては、救急隊の現場到着時にけいれんが 10 分以上続いている場合など、

著しく重篤な小児傷病者に関して、同科待機医師に協力・助言を要請する(市立病院代表番号

に連絡し、日・当直看護師を一旦の連絡先とする)。また 5 分以内で止まっている軽症の熱性け

いれん患者に関しても、当院の日・当直医が対応できない場合や、八西・大洲地区に収容先を

見つけることができない場合に限り、同科待機医師が、日・当直看護師を通じて、消防隊から

の相談を受ける(平成 22 年 4 月 13 日、臨時救急委員会で改訂)。

註⑥:消防本部が待機医師の連絡先を把握していない場合(現状ではすべての待機医師がこ

れに該当する)は、市立病院の日・当直看護師を連絡先とする。この場合、救急隊は日・当直

看護師に対し、対応を依頼したい診療科名と傷病者の状況について伝えた後 電話を切り、3~

5 分後に市立病院へ再度電話をする。日・当直看護師は該当する科の待機医師に連絡し、救急隊

からの要請内容を伝え、待機医師の傷病者収容に関する判断結果を聞く。そして、救急隊から

の 2 回目の電話に応答し、待機医師の返答を伝える。

(参考◆4)救急隊の例外受け入れ相談に関する八幡浜地区施設事務組合消防本部内の申し合わせ

平成 25 年 5 月

救急隊が、受け入れ停止日に例外的に受け入れ相談する場合は、以下の要領で行うものとする。

○要請の文言、順序

1 例外受け入れについての相談である旨の宣言

2 例外事項の種別の宣言

3 受傷機転や主訴、状況

4 バイタルサイン

5 処置、到着時刻

6 受け入れの可否の確認

例「救急救命士○○です。土曜日の例外受け入れについての相談です。心肺停止(CPA)に準ずる

傷病者です。

受傷機転は、(主訴、状況は、)・・・、バイタルは、・・・、処置は○○、到着時刻は〇〇分です。

受け入れ可能でしょうか?」

※例外受け入れ相談時は、「心肺停止傷病者です・多数傷病者事案です・管外搬送 3 台目の重複事

案です・待機医師への受け入れ相談です」など別記「例外受け入れ相談リスト」を参考にする。

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33

○救急車内に別記「例外受け入れ相談リスト」を常に確認できる位置に積載し、相談時は確認しながら

連絡する。

○救急救命士(救急隊長)は、心肺停止(CPA)に準ずる傷病者で受け入れ相談する場合、安易なオ

ーバートリアージによる連絡を厳に慎むこと。

○救急救命士(救急隊長)は、例外受け入れ相談以外の市立八幡浜総合病院への連絡(平易な相談など)

を極力控えること。

○救急救命士(救急隊長)は、例外受け入れに関し相談がある場合は、越智救急部長の業務用携帯電話

「080-5663-5350」に連絡して差し支えない。

[図 1] 土曜日の時間外受付対応の流れ図

(救急車で収容する患者の場合)

救急隊が現場到着――――――――――――――――+

↓ ↓

市病当直医の例外的な対応が必要と判断 待機医師の例外的な対応が必要と判断

↓ ↓

市病(代表番号)へ電話 市病(代表番号)へ電話

↓(当直医による対応を要請) ↓(待機医師による対応を要請)

□当直医が収容可否を即答 ■当直看護師が待機医師へ連絡し、収容の可否を聞く

| ↓

| 救急隊からの再コールに返答

| ↓

[当直医による対応が確定] [待機医師による対応が確定]

↓ ↓

収容準備 収容準備

・ 当直医は必要により各科待機医師に ・待機医師到着より救急車が先着

応援を要請する。 すれば当直医がカバーする。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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[図 2] 土曜日の時間外救急診療の受付について(救急車収容患者の場合)

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b)例外的に受け付ける患者と対応の流れ(ウォークイン患者)

(1)当院外科に受診・入院歴のある患者/外科で対応可能な傷病の患者 ・受付担当者が外科待機医師(日・当直中のこともある)に連絡し、待機医師が受診の必

要があると判断した場合は、受け付ける。 ・診察は外科待機医師が担当する。 ・外科待機医師の判断により、日・当直医に診察を依頼することもある。

(2)当院泌尿器科に過去 1 年以内に受診・入院歴のある患者 ・受付担当者が日・当直看護師に連絡し、看護師が泌尿器科対応が妥当と判断した場合は、

受け付ける。 ・診察は泌尿器科待機医師が担当する。 ・泌尿器科待機医師の判断により、日・当直医に診察を依頼することもある。 ・なお、平成 23 年 12 月 21 日以降、土曜日のウォークイン患者に対する泌尿器科医の対

応は同日の血液透析業務終了までの時間帯に限ることとなった。

(3)妊娠に関する訴えで来院した患者 ・受付担当者が産婦人科の待機医師(日・当直中のこともある)に連絡し、受け付けるか

どうかの判断を求める。 ・診察は産婦人科の待機医師が担当する。 ・産婦人科待機医師の判断で、日・当直医に診察を依頼することもある。

(4)医事課端末に「特殊フォローアップ患者」の表示がある場合 イ.「特・主治医(または診療科):連絡事項」の表示がある場合 ・原則として受け付ける(連絡事項の内容も参考にする)

・診察は日・当直医。 ロ.「特連・主治医(または診療科):連絡事項」の表示がある場合 ・受付担当者が主治医(または該当する診療科の待機医師)に連絡し、受け付けるか

どうかの判断を求める。 ・診察は主治医(または該当する診療科の待機医師)が行う。

・主治医(または待機医師)の判断で、日・当直医に診察を依頼することもある。

註.泌尿器科は平成 21 年 2 月以降、「特殊フォローアップ」の登録はせず、1 年以内に受診歴が

あるかどうかで例外的に受け付けるかどうかを判断する方針となった。

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[図◆3] 土曜日の時間外受付対応の流れ図 (電話での問い合わせまたは救急車以外の方法で来院した場合)

受付へ患者来院(または電話で問い合わせ)

| はい

紹介状をお持ちですか? → 無条件に受け付け。紹介状の宛名となっている医師へ連絡

|いいえ (当直医、待機医師など)。当直看護師へ連絡。

↓ ・泌尿器科 → 過去 1 年以内に受診歴があれば看護師

↓ ↑ の判断で泌尿器科待機医師が診察

何科にかかりたいのですか?+――――――――+――――――+

↓ ↓ ↓

・何科でもよい ・外科 ・左記以外 → 【端末確認】

| ↓(待機医師に連絡) 【特】→◎当直医

| [外科待機医師が判断] が診察

↓ 【特連】→〇主治医*

症状と外科受診歴 ――――――――+ が了承すれば

↓症状など聴取 ↓ 主治医が診察

・外傷(裂傷、切創、咬傷など) 左記以外 【特・特連の表示無し】

・腹痛など消化器外科対応の症状 ↓ ↓

・外科受診歴・入院歴あり 【端末確認】 ■受付対象外

↓(1 つ以上該当すれば |

↓ 待機医師へ連絡) |

[外科待機医師が判断] |

| 受け入れ決定 ↓

+――→ 受付・看護師に連絡・診察

(註)

*「特・主治医」または「特・診療科」の表示の場合は、当直医が診察する。これに対し、

「特連・主治医」の表示の場合は主治医に連絡、「特連・診療科」の場合は該当診療科の待機医師に連絡す

る。

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(参考1)勤務時間外の救急診療のまとめ:

【他院医師からの電話紹介を含む、救急要請への対応】

勤務時間外における各種の救急要請には以下のように対応する。

1.直接外来に来た患者(紹介状を持つ患者を含む) □土曜日以外の日

・守衛・事務が原則として全て受け付ける。 (問題・疑問がある場合、看護師または医師(註 1)に相談)

■ 土曜日 ・守衛・事務が特殊フォローアップ患者のみ受け付ける。

(または外科、泌尿器科(註 2)など、診療科独自の方針に従う) (問題・疑問がある場合は看護師または医師に相談)

2.患者または家族からの電話での相談 □土曜日以外の日

・看護師が電話で病状を聴取し、必要により受診させる。 (問題・疑問がある場合、医師に相談)

■土曜日 ・守衛・事務が特殊フォローアップ患者のみ受診させる。

(または外科、泌尿器科など、診療科独自の方針に従う) (問題・疑問がある場合は看護師または医師に相談)

註 1.文中の「看護師または医師に相談」に関し、「看護師」は日・当直看護師を指し、「医師」

は日・当直医、各科待機医師、救急委員長、管理部門当番医などを指す。

註 2.泌尿器科は過去 1 年以内に泌尿器科受診歴があれば特殊フォローアップ(具体的には「特

連」)の患者と同様の対応をする。同科は今後、新たな患者に特殊フォローアップの登録

はしない。

3.他院医師から電話で相談・紹介された場合 □土曜日以外の日 ・他院医師から日・当直医への紹介の電話は必ず、看護師が日・当直医へつなぎ日・当直

医が返答する。 ・他院医師から日・当直医の専門診療科と異なる診療科への紹介の場合も、看護師がまず

日・当直医につなぎ、当直医が該当診療科の待機医師などへ連絡する(または看護師な

どに連絡を指示する)。 * ただし、小児科への紹介に限り看護師は当直医を通さず、小児科待機医師へ連絡す

る。

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□土曜日(日・当直医が初期対応する場合)=土曜日以外の日と同様

■土曜日(日・当直医が初期対応しない場合)

・他院医師から外科、整形外科、小児科、産婦人科への紹介の場合、看護師が当直医を

通さず、これらの科の待機医師へ連絡する。これ以外の科への紹介の場合は看護師が

「救急受け入れ停止日」であるむね伝え、対応を断る。 ・他院医師から泌尿器科への紹介の場合、守衛・事務が簡単に病状を聞き「スタッフに確

認して返答する」と伝え電話を切る。守衛・事務は過去 1 年以内に受診歴があるかど

うかを調べ、受診歴がなければ「受け入れ停止日につき対応できない」と連絡する。

受診歴があれば看護師にそのことを伝え、看護師が泌尿器科対応が妥当と判断すれば

守衛・事務または看護師から「紹介を受ける」むね連絡し、併せて泌尿器科待機医師

に連絡する。

4.救急隊からの収容要請 □土曜日以外の日

・看護師が電話を受け、原則として収容了承の返事をし、その後 日・当直医に連絡を

する。搬送中、救急救命士が心肺停止傷病者に特定行為を実施する可能性がある場合

はその後、日・当直医が直接 救急救命士と交信する。

■ 土曜日 ・看護師が電話を受け、依頼された医師(日・当直医または各科待機医師)の意向を確

認した上で消防に返答する。搬送中、救急救命士が心肺停止傷病者に特定行為を実施

する可能性がある場合はその後、日・当直医が直接 救急救命士と交信する。

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(参考2)例外受け入れ相談等一覧表 救急部門に初めて配置された職員等への説明用資料(平成 26 年 5 月収載)

例外受け入れ相談等一覧表

【日・当直医への受け入れ相談】

■心肺機能停止(CPA)傷病者事案 心停止、または呼吸停止の傷病者の場合

■心肺機能停止(CPA)に準ずる

_傷病者事案

各種傷病により急速に容態変化し、医療機関到着

までに心肺停止に陥ると推測

■緊急被ばく医療事案 市立病院が初期被ばく医療機関として公的な責任

を果たす必要がある場合

■大規模災害医療事案 市立病院が災害拠点病院として公的な責任を果

たす必要がある場合

■多数傷病者事案 多数の重症傷病者で、複数の医療機関にピストン

搬送を要するなどの場合

■管外搬送重複事案 本署、第二分署、第三分署で 3 台目の管外搬送と

なる場合(火曜は輪番病院での対応が望ましい)

■すべて受け入れを断られた事案 管轄内、管轄外の医療機関にすべて収容を断ら

れた場合

■意思表示(*印)に基づく相談 日・当直医が事前に対応可能と意思表示(当直表

に*印)している場合(内科、中枢神経系を除く)

【特定科待機医師等への受け入れ相談】

●待機医師への受け入れ相談

外科、整形外科、小児科の範囲内で対応可能と

考えられる場合

(火曜日:脳外科 t-PA は可、外科及び整形は不

可)

●立ち寄りによる処置の相談 重症外傷、緊急疾患などで日・当直医、特定科待

機医師による対応が可能と考えられる場合

【特殊フォローアップ患者の確認及び受け入れ相談】

▼特殊フォローアップ患者の確

認認及び受け入れ相談

特殊フォローアップ患者に該当する可能性がある

場合、事務当直者か日・当直看護師に確認しても

らった上で、日・当直医へ受け入れを要請(「特」表

示の場合)または主治医へ連絡(「特連」の場合)

をする。

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診療科 火曜日(17:30~8:30) 土曜日(8:30~8:30)

待機医師への

相談

(救急隊から)

脳外科

t-PA 適応症例(註 1)に限り

受入可能

その他は広域輪番病院へ

×

小児科 原則として広域輪番病院へ

(転院受入れ先としてはありうる)○

外科 × ○

整形外

科 × ○

内・循 × ×

註1:倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)が3~9点で、t-PA 静注療法の対象となり得る

患者のうち、 □発症時刻が確認できる

□発症から 3.5 時間以内 ▲削除(81 歳以上では 2 時間以内)に到着可能

な患者に限って受け入れる

H25.7.31 作成

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V.広域二次救急医療体制について

a) 火曜日(他院が広域救急輪番病院)における救急診療 平成 24 年 1 月 31 日、診療部会で了承された。

下線部分は平成 24 年 5 月 29 日の診療部会で了承。

平成 24 年 4 月より八幡浜・大洲圏域の広域二次救急医療体制が開始され、火曜日の時間

外(17:30~8:30)は市立大洲病院 が両地区の救急輪番病院となる。これに伴い、この日は

当院の二次救急患者受け入れを原則として停止する。ただし、当地区から輪番病院までの距

離が遠いことから、救急受け入れ停止日における例外的受け入れ規定(IV.土曜日(救急受

け入れ停止日)における救急診療(p.27)を参照)を水 → 火 曜日の時間外にも適応し、当院と

して可能な範囲の対応をする(ただし、外科・整形外科待機医師による例外的受け入れは、

火曜日に関しては実施しない)。なお、脳神経外科に関しては、救急隊から当院に問い合わ

せ、脳神経外科医師が対応可能な状況ならば、倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)が 3~9点で、t-PA 静注療法の対象となり得る患者(発症時刻が確認でき、発症から 3.5 時間以内に到

着可能)に限って受け入れる(土曜日についてはこれまで通り、脳神経外科の例外的な受け

入れは設けない)。

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(参考) 火曜日の t-PA 療法対象例への対応について

救急部門に初めて配置された職員等への説明用資料(平成 26 年 5 月収載)

Ⅰ.患者または家族からの問い合わせ ⇒ 救急車を要請してもらい、救急隊の判断

で受け入れ先を決定してもらう Ⅱ.病院・診療所からの問い合わせ

発症時刻の確認

① 目の前で発症したのか ⇒ 何時か ② 発症したところを目撃しなかった場合 ⇒ 発症していない(元気な)姿を見た( 終未発症時刻)のは何時か

3.5 時間以内に到着可能かどうか はい いいえ

救急車を要請してもらう 収容不可

救急隊にてKPSS判定

KPSS 3~9点 KPSS 0~2点または10点以上

受け入れ 収容不可

河内Drヘ連絡

*1 発症時刻、到着予想時刻により受け入れ可能なのか、不可なのかを判断する *2 時間では受け入れ可能であっても、救急隊のKPSS判定の結果によっては 受け入れ不可になることもあり得ることを伝える *3 河内 Dr が出張中、手術中などのために対応できない場合には事前に急患室へ連絡あ

り(その場合、問い合わせがあった段階で収容をお断りする) ※ 75 歳以上は慎重投与であるが、事前情報で年齢制限はしない。

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Ⅲ.救急隊からの一報

発症時刻の確認

③ 目の前で発症したのか ⇒ 何時か ③ 発症したところを目撃しなかった場合 ⇒ 発症していない(元気な)姿

を見た( 終未発症時刻)のは何時か

3.5 時間以内に到着可能かどうか

はい いいえ

KPSS 3~9点 KPSS 0~2点または10点以上 収容不可

受け入れ 収容不可

河内Drヘ連絡

*1 必ず家族に同乗して来てもらうこと *2 すべての内服(できればお薬手帳も)を持参してもらうこと *3 河内 Dr が出張中、手術中などのために対応できない場合には事前に急患室へ連絡あ

り(その場合、通報があった段階で収容をお断りする) ※ 75 歳以上は慎重投与であるが、事前情報で年齢制限はしない。

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b) 木曜日(当院が広域救急輪番病院)における 2 人当直医制と診療担当医師決定に関する

申し合わせ 平成24年3月27日、診療部会で了承された。

広域二次救急医療体制の規定により、木曜日の時間外(17:30~8:30、祭日の場合も同左)

は当院が八幡浜・大洲圏域両地区の救急輪番病院となる。この日は内科系、外科系各 1 名の

当直医を置く。2 名の当直医のどちらが、ある救急患者を診察するかは以下の申し合わせに

沿って決定する。 1)振り分け担当者=日・当直看護師 2)診察担当医師決定の方針:○内因性の疾患 → 内科系 ○外因性の病態・外傷など → 外科系 例外:イ.該当する当直医がすでに救急診療中の場合はもう1人の当直医が問診・検査

などを開始し、該当する当直医の手があいた段階で引き継ぐ (*但し、重篤な傷病者の場合、看護師のマンパワ-から考え、2 人以上の患

者に同時に対応するのは難しい場合がある)。 ロ. 消化器疾患は①外科(当直中の場合)、②内科系当直医 の順で診察する。

ハ.中毒に関しては ①麻酔科(当直中の場合)、②外科(当直中の場合)、③内

科(当直中の場合)、④外科系当直医 の順で診察する。 ニ.早期脳卒中(四肢麻痺・構語障害・顔面神経麻痺を来した患者で発症 3.5 時

間以内に当院へ到着する場合)は脳神経外科(河内医師)へ直接連絡する。

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VI.救急外来における記録について

(まとめ:勤務時間内、時間外で共通)

a. 外来診療録

初療担当医師は振り分け先になると予想される診療科のペ-ジに救急診療記録を

記載する。

b. 看護記録

(1) 救急車収容患者 看護師は救急隊からの聴取情報や来院後のバイタルサインなどを「救急患者記録用紙

(表 1)」に記載する。「救急患者記録用紙」は救急隊からの「傷病者メモ」、「KPSS記録用紙」、伝送 12 誘導心電図などとともにスキャナー入力に回す。

[表 1] 救急患者記録用紙(縮小抜粋)

(2)ウォークイン救急患者

看護師による聴取情報やバイタルサインなどは「救急患者記録用紙」に記載する(処

置などが必要とならなかったウォークイン・帰宅患者を除き、全例記録を残すこととす

る)。

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VII.救急外来診療後の入院について

担当医が入院必要と判断した場合にはその手続きをする。

a)入院先の決定と病棟などへの連絡

(1)入院先病棟は患者の重症度、緊急手術の要否、勤務時間内か時間外か、担当医の所属

診療科などによって、担当医または日・当直医が決定する。 イ.以下に該当する場合は◆3東病棟への収容を考慮する。 〇重症度―患者が持続的血液濾過透析(CHDF)や大動脈バルーンパンピング(IABP)

を要する可能性があるなど、著しく重篤かつ積極的治療の適応がある場合 〇緊急手術の要否―患者が緊急手術を要する可能性がありかつ比較的重篤な場合 〇中枢神経系の傷病を有し、十分な監視が必要と考えられる患者 〇その他―勤務時間外の救急患者で一般病棟での対応が困難と考えられる場合

註) ◆3東病棟は現在、1床当たりの面積が狭くまた個室管理が困難であるため、CHDF、IABP、

人工呼吸などを要する患者は一般病棟で管理することも考慮する。

ロ.上記以外は一般病棟へ入院させる。入院先は担当医の所属病棟または紹介予定の診

療科の所属病棟とするが、空床がない場合は院内空床情報を参考に入院先を決定す

る。 ◆ [表] 病棟と所属診療科(かっこ内は病棟医長)

5西病棟 (河内正人) 脳神経外科、泌尿器科、麻酔科、

耳鼻咽喉科、整形外科、外科、内科

5東病棟 (温泉川一喜) 整形外科、小児科

4西病棟 (的場勝弘) 外科

4東病棟 (仙波尊教) 内科、脳神経外科、皮膚科、放射線科

3東病棟 (友近 忍) 全科(救急・術後など)

(平成 27 年 5 月 4 日以降)

(2)入院先病棟への連絡は担当医が病棟師長(時間外ではリーダー看護師)に連絡をする

か、または看護主任などが連絡を代行する。

(3)勤務時間外に紹介予定の診療科の所属病棟へ入院させた場合には、平日となった朝、

すみやかに担当医から紹介先の当番医へ連絡をする。

参考:日・当直中に所属診療科以外の科に入院させる場合、少なくとも当直あけの朝には該当

科の担当医に電話をして診療依頼と引き継ぎをするようにする(運営委員会、平成 23 年

2 月 21 日で確認)。

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b)入院手続き

1)医師は入院決定のオーダリング入力をし、時間の余裕があれば救急治療室で入院指示書

を記載する。 *◆3東病棟入院時の専用指示書(兼・入室申込書)は廃止し、担当診療科(暫定の場合も)

の指示書に記入する(経過観察入院の場合は観察入院用の指示書をしてもよい)。

2)看護師は以下の手続きを行う。 イ.看護主任は入院診療録の作成依頼をする(時間内は医事係、時間外は守衛・事務係が

対応)。 ロ.患者および家族に入院の案内と入院申込書兼誓約書などの説明をする。 ハ.入院指示書、レントゲン、心電図、検査結果など持参品を移送。 ニ.勤務時間内では病棟に患者の迎えを依頼し、時間外では救急部門の看護師が患者を

病棟まで案内する(またはストレッチャーで移送)。 ホ.救急治療室(勤務時間内)または病棟(同時間外)において、救急患者記録などをも

とに病棟看護師へ申し送りを実施。

c)「経過観察入院」に関する取り決め

1)院長からの要請事項(平成 21 年 6 月 17 日) ①当直医は、夜間受診者を原則として(適応があれば積極的に)経過観察入院させる。 ②経過観察入院患者は原則として当直医が主治医として対応する(経過観察以外の目的で の入院は、通常通り各科の待機医に相談する)。 ④ 経過観察入院のための病棟は ◆3東病棟を第 1 選択とする。

2)経過観察入院の場合の受け皿について(平成 20 年 6 月 24 日、診療部会)

(平成 24 年 11 月 6 日、救急・災害対策委員会で修正決定) ①経過観察入院のために入院させる患者では診療科を麻酔科、担当医を<診療部長 → 救急部長>に登録することができる。

② 上記の場合、入院翌日に退院できないとき、その後の対応を救急部長が引き継ぐ。 ③ 休日<前々日 → 前日 *誤植修正>の時間外に入院させる患者については、必要に

よって当番管理職のサポ ―トを受けることができる(<脳出血患者、 → 削除>心肺

停止から蘇生できた患者も含む)。

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(参考1)外来から病棟へ入院要請をした場合の対応

(平成 21 年 1 月 27 日、運営委員会において申し合わせ)

1.当院では近年、医師不足の影響から外来・入院患者数が著しく減少、経営上も非常に困難な状況にあり、

積極的に診療活動を展開して行く必要がある。医師などが病棟へ入院に関する連絡をした場合に、病棟

看護師は気持ちよく応対すること。

2.医師が入院の要請をした病棟で患者を受け入れられない場合には、直ちに外来看護師から看護部へ連絡

をする。看護部はその後、収容先が決定するまで責任をもって調整をする。

3.病棟看護師は入院要請から病棟収容までの時間をできるだけ短縮するように心がけ、急変患者などで

病棟が忙しい場合には看護部や外来に連絡をして応援を頼む。

*病棟収容までに時間を要する場合には患者を各科外来診察室や処置室から急患室の待機室に移すなどして、患者

が穏やかな環境で入院を待つことができるように配慮する。

4.救急入院に対応するために入院患者の急な部屋替えが必要となった場合に、病棟師長の判断により

担当医への事前の連絡なしに部屋替えを行う可能性がある。

*「入院案内」にも「患者さまやご家族に事前にご了承をいただかずに、急に部屋替えをさせていただく場合がある」旨、

明記している。

(参考)*◆3東病棟が満床または満床に近い場合の時間外救急患者収容に関する考え方(p.46)

*満床時の対応マニュアル(平成23 年2 月22 日)(p.92)

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VIII.他院転送または転院搬送について

当院救急外来などに収容された患者が入院に至らず、他の医療機関に転送される場合があ

る。一方、当院にすでに入院中の患者が他院に転送される場合がある。これらは患者の状況

は異なる(外来患者と入院患者)が、転送先への連絡、搬送手段確保などに関して共通の手

順がある。

a)他院への転送時、または転院搬送時における救急車同乗について

1) 患者を救急車で他院へ転送する場合、医師または看護師が同乗するものとし、そのとき

の診療責任医師が患者の病状が安定していると判断したときには看護師に同乗を指示す

ることができる。

2) 患者転送時の救急車同乗および日・当直医が同乗する場合の日・当直業務のバックアッ

プに関しては病院全体(全科)で協力して実施する。協力医師は来院中の医師に依頼、各

科待機医師の中からくじ引きで決定、当番管理職に相談するなどの方法で決定し依頼する

ことができる。

(参考)勤務時間外における救急患者搬送に対する手当等の取扱いについて

事務連絡(平成 20 年 7 月 31 日)より

1 時間外勤務における救急救命センター等への救急車に同乗しての救急患者搬送に対する

時間外手当について

ア、時間外手当の対象を往復時間にすること

救急患者に対する医療業務は往復時間と捉え、往復の所要時間を時間外手当の対象とする。

ただし、救急車に同乗した場合のみとし、実施日は平成20年8月1日からとする。

イ、救急呼出手当について

勤務時間外に医師が呼び出されて救急患者の搬送にあたる場合、他の救急呼び出しと同様の

特殊勤務手当を支給している(平成 21 年 4 月 1 日より)。ただし、救急処置室の看護師当直日誌に

救急患者搬送のために医師を呼び出したむねの記載がなく、かつ医師からの申告がなければ

上記の特殊勤務手当が支給されないので注意。

2 市外医療機関への救急患者搬送業務にかかる出張届出の廃止について

・医師の事務負担軽減を図るため、救急処置室の看護師当直日誌に記録すれば出張の判断が

出来るため、出張届けは不要。

・救急車に同乗しての災害については、公務災害補償になる。ただし、自己都合により、帰路を

救急車以外の交通手段とした場合の災害については、公務災害補償扱いにはならない。

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b)消防防災ヘリによる転送または転院搬送の手順

(1)消防防災へリによる搬送の流れ 1.当院は、転院搬送先へ受け入れ要請を行い、転院の可否・搬送手段を決定する。

2.転院先との調整によりヘリ搬送の決定後、八幡浜消防へ連絡し、ヘリによる転院搬送を要請する(患

者搬送依頼参照)。

3.八幡浜消防は、防災航空事務所へ連絡し、ヘリ要請を行う(ヘリ出動の可否、時間の確認)。

4.防災航空事務所は、八幡浜消防へヘリ出動の可否を連絡し、時間調整を行う。

5.防災航空事務所からヘリ到着時刻決定後、八幡浜消防は、当院へ連絡する。

八幡浜消防は、ポンプ車でヘリポートの散水、警備に出動し、ヘリ離着陸までヘリポート周囲を管

理する。また、当院からヘリポートまで救急車による搬送の準備を行う。

6.当院は、八幡浜消防と調整を図り、出発時刻の設定、資機材・持参物品の準備(救急搬送時の準備

参照)を行う。

7.当院および八幡浜消防は、救急車に患者を収容し、ヘリポートへ搬送する。

8.ヘリポート到着後は、消防の指示に従い、患者をヘリに移送する。

当院医師が同乗する場合は、そのままヘリに同乗する。搬送先の医師が同乗している場合は、申し

送りを行う。準備後、ヘリ離陸。

9.受け入れ先ヘリポートへ到着。

○ 搬送先が県立中央病院の場合:県立中央病院の屋上ヘリポートに到着。

○ 搬送先が愛大附属病院の場合:東温消防前ヘリポートへ到着後、東温消防の救急

車で病院まで移動。

10.当院医師が同乗した場合、搬送先での申し送り後は、各自で帰院(迎えの車・タク

シーの手配等)する。

平成 26 年 4 月作成

市立八幡浜総合病院

防災航空事務所

八幡浜消防 転院先の病院

10

9 ヘリポート

(当地域)

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(2)消防防災へリによる搬送の依頼手順(連絡方法) 1.八幡浜消防本署へ患者搬送を依頼する。八幡浜消防本署 22-0119 2.伝達内容は、以下参照。

搬送手段(救急車・防災ヘリ) 搬送先 当院出発時刻

※ 防災ヘリで搬送の場合出発時刻は、防災航空事務所と連絡調整後、当院に連絡

がある。搬送準備含め、予定時刻を予め伝えてもよい。 患者情報

患者氏名・年齢 病名・患者の状態 行っている処置および使用資機材など

※ 防災ヘリの場合大型の医療資機材は搭載できない(輸液ポンプ程度は可能)。使用

している資機材を含め、患者搬送手段を検討すること。 同乗者(医師・看護師)

防災ヘリの場合は、同乗者は 小限に

(3)消防防災へリと陸路(救急車)搬送の選択、その他配慮すべきこと

1. 防災ヘリは、救急ヘリと違い通常は防災業務(救助)仕様である。そのため、救急対応

するためには、装備替え(救助資機材から救急資器材への積み替え)を行う必要があり、飛

べるようになるまで 20~30 分程度かかる。訓練中などであれば更に時間を要する。 それゆえ、可能であれば、ヘリでの搬送を検討している段階で、事前に連絡をし、正式に

決まれば再度連絡して頂くという方法をとればその分時間短縮できる。

2.当地域では、事前連絡なしだと陸路(救急車)搬送とヘリ搬送では要請から病院収容まで

の時間はほとんど変わりがない(陸路の方が早い場合もあり)。ヘリ搬送では、搬送だけに

かかる時間を極力短縮し、設備が整った場所(病院)で管理できることのメリットがあるが、

搬送中は揺れや騒音で必要な処置が制限される可能性がある。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━・━━━━━━━━━━━━━━━━━━

他院転送または転院搬送時の準備

患者情報 医師に必要な物を確認し、準備する。 紹介状、看護サマリー 血液データ CD-R(レントゲン・CT・MRI など) 心電図、心エコー その他検査結果

※ 救急搬送決定後は、

救急処置室に連絡すること!

(救急受入と混同するため)

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医療資機材 持参薬剤 救急搬送セット(救急処置室)

小児は小児用挿管セットあり(救急処置室) ME 機器(輸液ポンプ、シリンジポンプ、人工呼吸器など)

その他

家族の同乗の有無を確認 ※ 同乗できない場合は、緊急連絡先を確認すること!

忘れ物に注意(衣類・貴重品・薬・診察券など) 医療スタッフの同乗者は、お金・携帯などを持参しておくとよい。

事務処理 コスト (電子カルテで入力可能)

● 外来から転院搬送の場合:

医師同乗-1300 点 看護師同乗-6 歳以上…6500 円 6 歳未満…8000 円

● 入院中の場合:

医師・看護師の同乗に関わらず、 6 歳以上…6500 円 6 歳未満…8000 円

看護師は、搬送情報を当直日誌の患者搬送欄に記載する(救急処置室にあり)。 出張命令簿(※市外の場合のみ)に記載する。 記載事項:患者氏名・転院先(病院名)・当院出発時刻~帰院時刻

〇 医師 → 病院の方針により記載免除(出発時・帰院時に必ず守衛に報 告すること)

〇 看護師 → 看護部の出張命令簿へ記載 〇 その他の職種→ 庶務係にある出張命令簿へ記載

帰宅時間が時間外になった場合、時間外勤務命令書を提出する。 平成 26 年 5 月作成

外来処置 → 救急搬送料 → 救急搬送診療料(Dr) → 6 歳以上(Ns) → 6 歳未満(Ns)

入院処置 → 移送料 → 6 歳以上(Ns) → 6 歳未満(Ns)

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IX.各部門の救急対応マニュアルなど

a) 当直医・当番医勤務心得

(平成 8 年 2 月 1 日医局会で承認。平成 12 年 6 月 27 日医局会で改定) なお*印は医局会規約に今回、加筆訂正を加えた。

1.当直・当番業務 ア)当直医・当番医の勤務時間帯は、以下のように定める。

平日:17 時 15 分~翌日 8 時 30 分

休日: 8 時 30 分~翌日 8 時 30 分

(*夕方に交代する場合の交代時刻は 18 時)

イ)当直業務は、満 50 歳の誕生日から免除される。それ以外で当直の免除を受ける場合

は、医局会の承認を必要とする。 ウ)当番医の担当医は、各科で決め、外来師長(*)に連絡する。

2.当直医の定位置 ア)当直医の定位置は、医局または当直室とする。 イ)当直医が定位置から離れるときは、行き先を明確にしておくこと。

3.当直医の任務 ア)入院患者の管理および適時必要と認められる診療(入院患者の急変または各科主治医

からの依頼など)(*)。 イ)病院内での事故又は不測の事態が発生した場合は、管理責任者との連絡を密にし迅速

に対処する事。 ウ)原則として一次救急患者の診療を行う。 一次救急患者診療上、応援医が必要と認められるときは、当直医が直接各科当番医に

連絡して診療に万全を期すこと。 尚、急患センターが開いている時間帯では、急患センター当番医に一次救急患者の診

察を依頼できる。

急患センターが開いている時間帯 月~土(木は在宅診療):20 時~23 時

日、祭日 : 9 時~18 時

エ)当院通院患者の時間外診療については、外来主治医が診療録に記載している処置内容

で治療可能であれば、まず当直医が診療し処置する。必要ならば各科当番医または外

来主治医に連絡する。 オ)他科の患者を経過観察入院させた時は、当直業務終了の頃(午前 8 時 30 分頃)に、

当直医が直接各科当番医に連絡し、主治医に引き継ぐ。

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カ)時間外に診療した他科の患者を、翌日に専門家の外来に再診するように勧めるときは、

翌日が休日の時は、原則として「午前 10 時頃」の来院を指示する。 キ)当直業務終了の頃(午前 8 時 30 分頃)に、必要事項を次の当番医に申し送ること。 ク)患者給食を検食し、給食検食日誌を記載すること。

4)当番医の任務 ア)日・当直医からの診療依頼や、他院(休日・夜間急患センターを含む)からの診療依

頼(二次救急患者)に対応する。 イ)日・当直医が経過観察入院させた入院患者の診療を引き継ぐ。 ウ)休日の前日に日・当直医が「午前 10 時頃」の再診を指示した外来患者を診療する。 エ)各科毎に定めた当番診療業務を行う。

付記 ア)時間外の処置が必要となる可能性がある通院患者がいる場合は、外来主治医がその処

置内容を診療録に明記し、当直医師・看護師が対処できるようにしておくこと。

(参考) 日曜、祭日の当直室シーツ交換について

普段は業者がシーツ交換をしているが日曜祭日には勤務体制がなく、業者に日曜祭日のシーツ

交換を依頼することは難しい。以下の対策とする。

①前日に交換用シーツを当直室に用意しており、日曜祭日の当直者が交換することができる。

②隣接の予備室を使用することが病院から許されている(シャワー、トイレ使用時は一度、廊下

へ出ることになる)。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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◆b)3東病棟利用に関する取り決め 運営委員会(平成 21 年 4 月 23 日)で改定了承

1.病棟運用の方針 平成 27 年 5 月、病院建て替えにより設置された 床の病棟で、HCU(High Care Unit)

あるいは急性期病棟として運用する。収容する患者は手術直後の患者または一般病棟入院

中の患者のうち、容態が不安定で集中的な監視・治療・看護が必要と考えられる者、なら

びに救急外来を受診した患者のうち重篤または経過観察入院が必要と考えられる者とす

る(2.入室基準 参照)。

2.入室基準 (a)術後患者:予定手術または緊急手術が施行された患者で、原則として以下のいずれかに

該当し、担当医が入室を希望しかつ麻酔科科長が了承(勤務時間外はこの限りでない)し

たもの。 イ)術前より呼吸、循環器系をはじめ全身状態が不良であったか、術中または術直後より

そのような状態に陥った患者(麻酔法を問わない) ロ)全身麻酔による手術を受けた患者 ハ)全身麻酔以外の麻酔による手術を受けた患者で、以下に該当するもの ①膝、肩、あるいは股関節などの関節全置換術後(個室管理が必要なもの) ②術中に比較的大量(おおむね 600g~800g 以上)の出血を伴い、あるいは体液・電解

質異常を伴う可能性があり、術後に治療や十分な監視が必要となるもの(経尿道的

手術(TUR)など)

(b)救急外来の患者:入院治療が必要な救急患者で、以下のいずれかに該当し、担当医が入

室を希望したもの。 イ)持続的血液濾過透析(CHDF)や大動脈バルーンパンピング、低体温療法を要する可

能性があるなど、著しく重篤でかつ積極的治療の適応がある場合 ロ)緊急手術を要する可能性がありかつ比較的重篤な場合 ハ)中枢神経系の傷病を有し、十分な監視が必要と考えられる患者 ニ)勤務時間外の救急患者で一般病棟での対応が困難と考えられる場合 ホ)短期日の経過観察入院が必要と考えられる患者

(c)一般病棟の患者:一般病棟に入院中の患者で、以下に該当し、担当医が入室を希望したも

イ)持続的血液濾過透析(CHDF)、大動脈バルーンパンピングを要する可能性があるな

ど、著しく重篤でかつ積極的治療の適応がある場合 ロ)中枢神経系の傷病を有し、十分な監視が必要と考えられる患者

註1.上記はいずれも担当医が本病棟入室を希望した場合に入室の対象となるもので、客観的な

条件により本病棟への入室が決定されるものではない。

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註2.上記において「重篤」とは適切な治療を行わなければ生命を失う可能性がある状態とし、「著

しく重篤」はその傾向が特に顕著なもの、一方「比較的重篤」は安定しているものの経過に

よっては「重篤」な状態になり得るものとする。

註3.本病棟が救急患者や術後患者を入室させた直後であったり、蘇生処置中の場合など、新た

な患者を本病棟へ直ちに収容することが困難な場合がある。そのような情報を得た場合には、

入室を申し込んだ担当医の側でも十分に協力、配慮をする。

◆削除註4. 本病棟は現在、1床当たりの面積が狭くまた個室管理が困難であるため、CHDF、

IABP、人工呼吸などを要する患者は一般病棟で管理することも考慮する。

3.入室申し込みの手順 (1)手術患者 ・術前:担当医は手術麻酔申込書の「3東病棟入室希望」の欄にチェックを入れる。麻酔

科科長が入室適当と判断した場合 申込書の写しを3東病棟へ送付する。一方、入室の

必要がないと判断した場合はそのむね担当医に伝え、協議する。 ・術中・術直後:担当医および麻酔科科長が入室必要と判断した場合、そのいずれかが看

護師長(またはリーダー)に電話で申し込む。

(2)救急外来または一般病棟の患者(非術前):担当医(担当医決定前は日・当直医)が3

東病棟看護師長(またはリーダー)に電話で申し込む(*入室申込書は廃止する)。

4.運用上の注意点 (1)術後患者の場合 ・入室が決定した時点で、手術室は入院病棟と3東病棟へ連絡をする。 ・予定手術では術前に3東病棟看護師が病室を訪問し、患者と家族に転棟の説明をする。 ・3東病棟の入室予定の病室にはベッド、モニター、酸素、吸引などを準備する。 ・手術終了後、3東病棟の看護師2人が手術室へ迎えに行く。 ・必要に応じて搬送用の酸素ボンベとパルスオキシメーターを用意する。 ・手術室看護師との引継の 初に患者の確認を行う(病棟、科、氏名)。 ・手術室看護師と引継をして、診療録・レントゲン写真などを確認する。 ・主治医または麻酔科医や外科系スタッフとともに患者を病棟へ搬送する。

(2)外来から3東病棟へ入室する場合 ・外来より3東病棟へ入室の電話連絡をする。 ・3東病棟看護師は氏名、年齢、性別、病名、主治医などを確認する。 ・3東病棟看護師はベッドを用意する。また吸引、酸素、モニターなどの物品の必要性を確

認し用意する。 ・主治医(または当直医)が患者、家族に入院の説明をした後、主治医(または日・当直医)

および外来看護師が患者、家族を外来から連れて来る(またはストレッチャー搬送)。

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・外来看護師との引継の 初に、氏名、年齢、性別、病名、主治医などを再確認する。 ・外来看護師および3東病棟看護師の双方で医師の指示を確認する。 ・診療録、レントゲンフィルム、検査報告書などを確認する。 ・家族の待機が必要な場合はそのむね説明をする。

(参考 2)「重症者等療養環境特別加算届け」について

医事係へ提出する「重症者等療養環境特別加算届け」の記載・提出は看護師(師長、リーダーな

ど)が担当する。判断に迷う場合には担当医に確認する(平成 20 年 8 月 28 日、運営委員会で了承)。

ただし、現状の3東病棟は「大部屋」の扱いであり、この加算の対象としない。

5.退室の手順 ・担当医と病棟師長が相談して決定する。また必要により本病棟の病棟医長が調整を する。

・空床数に余裕がない場合は朝の申し送りの後、看護師長が退室または押し出し退室の候補

患者を決定し、担当医に連絡し協議する。 ・退室が決定した場合、担当医または本病棟の師長が転出先病棟へ連絡する。 ・退室に先立ち、担当医は患者および家族に説明をする。

6.面会 ・近親者のみ、同時には 2~3 名以下とする。ただし、病室が狭いこととプライバシー確保

が難しいことから、特に必要な場合のみ許可することとする。また、原則として小学生以

下の小児の面会は許可しない。 ・各部屋の前に擦りこみ式消毒薬を設置し、手指消毒を励行してもらう。

(参考 4) 通常の感染症患者の入院先決定に関する申し合わせ

(平成 21 年 2 月 26 日、運営委員会で了承)

・1-1 病棟をはじめどの病棟でも、インフルエンザ、嘔吐・下痢症、水痘、麻疹などの通常の感染症

を理由として収容の対象から除かない。しかし 1-1 病棟が「大部屋」であることから、実質的に

隔離が必要な感染症患者の収容は困難である。

・各科が所属病棟に入院の依頼をしてその病棟で受け入れできない場合、外来から看護部に連絡を

する。その後は看護部が調整をして、収容先を決定する。

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(参考 5) ◆3東病棟、5西病棟への麻酔科入院患者について (平成 20 年 7 月 29 日、診療部会で了承)

1. 以下のような患者は麻酔科で担当する(入院先は3東病棟または5西病棟)

〇心肺停止から蘇生した患者で、内科や外科が担当しない場合

〇急性薬物中毒の患者で、内科や外科が担当しない場合

〇その他、観察入院となった比較的軽症の救急患者で、受け入れ診療科がはっきりと

決まっていない場合(*麻酔科が関与せずに一晩で退院することもある)

2.手順など

① 勤務時間外に上記のような患者が入院した場合、診療科を麻酔科に登録した上で

日・当直医などが翌朝まで一時的に担当するか、麻酔科待機医師を呼び出して

引き継ぐ。

② 入院診療録は麻酔科用を使用する。

③ 入院翌朝の段階で退院が決まっていない場合には、念のため3東病棟看護師から

麻酔科まで、入院患者があることを連絡する。

④ 出張などで麻酔科医師が不在の場合は、管理者待機医師(副院長)が主治医として

の対応を代行する。

(参考 6) 3東病棟が満床または満床に近い場合の時間外救急患者収容に関する考え方

(平成 23 年 5 月 26 日、運営委員会で了承)

1.比較的軽症の患者は、3東病棟以外の一般病棟へ収容する。

2.重症救急患者の場合、3東病棟へ定床数以上の患者を収容することを可とする(その場合、病

院全体の収容患者数が運用病床総数を超えても支障ない)。

註)満床時のベットコントロールについて

勤務時間内に病院全体の患者数が満床近く(240 人以上)になった場合、看護部長が院内に広報

し入退院の調整をすることになっている。この場合、消防本部にも連絡し、119 通報があった段階

で当院にも情報を入れて貰い、また比較的軽症の患者はできるだけ他院に受け入れ要請して貰うよ

うに依頼することとなっている。その後(毎朝 9:00 の時点)で入院患者数が 230 人となった段階

で、消防本部にも連絡し通常体制にもどす約束である(運営委員会、平成 23 年 2 月 22 日で了承)。

*満床時の対応マニュアル(平成 23 年 2 月 22 日) p.92

*当院満床の場合と通常体制復帰時の消防本部への連絡文面)p.93

*看護部長不在時は ◆<①池井副部長、②叶副部長の順で → 副看護部長が>調整業務を代

行する。

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c)診療放射線技師救急マニュアル

1. 勤務時間外(夜間、休日、祝祭日)は待機の当番技師が呼び出しにより対応する。 2. 呼び出し後は 30 分以内に病院に到着する。 3. 撮影準備に要する時間(技師到着後の所要時間)は以下の通り。

・一般撮影―約 5 分 ・CT 検査―約 15 分(ウォームアップが必要な場合)

・MRI 検査―約 5 分 ・心臓カテーテル検査―約 10 分

4. 撮影予定があるときに緊急撮影の依頼があった場合には、依頼者による緊急度の表

示に沿って対応する(表.「緊急撮影依頼の際の緊急度の表示について」を参照)。

表.緊急撮影依頼の際の緊急度の表示について

(平成 22 年 4 月 22 日、緊急度の導入について運営委員会で了承。24 年 6 月 28 日、オーダリン

グで撮影依頼ができるようになったことに伴う改訂について運営委員会で了承)

緊急撮影(CT,MRI)の依頼をする際、その緊急度をA、B、Cの3段階で電話連絡する。

A:緊急―現在検査中の患者が終わり次第撮影(おおむね 30 分以内)

B:準緊急―予約患者の隙間をぬって撮影

C:待機可能―当日中に撮影

申し合わせ

1.緊急撮影の流れを円滑にするために、緊急撮影の緊急度を3段階に区別し、電話連絡する。

2.緊急度の判断についてはあくまでも担当医の判断を尊重することとし、「緊急度A」の場合、できるだ

け早く撮影する(その段階で撮影中の患者の次に入れる)。そして、そのことによる予定撮影の遅れに

ついては、患者ならびに担当医に了承をお願いする。

3.「緊急度A」については医学的理由のみで適用する。一方、「緊急度B、C」は外来受診の機会に急遽

撮影したい、入院前に撮影したいといった、いわば ”社会的” な理由での依頼も許容する。

4.緊急度の連絡がない場合には「緊急度C」の扱いで対処する。

5.撮影前の注意点 イ) 患者の ID、氏名を確認する。 ロ) 撮影時、依頼された撮影部位と依頼医の診療科を再確認する。 ハ) MRI 撮影時は、MRI 撮影手順を再確認する。

6.複数の急患の撮影依頼が来たときには、重症度により撮影順番を適宜変更して対応する。 7.緊急時の撮影に1人で対応できないときは、応援の技師を呼び出す。

(註 1)撮影待ち中を含め、撮影対象患者の全身管理の責任は担当医師および看護師にあるが、緊急

時は必要に応じて放射線技師も協力をする。

(註 2)呼び出し業務の開始時刻は検体が届いた時刻、撮影開始時刻などではなく、職員が機器など

の操作を開始した時刻とする(平成 20 年 8 月 5 日、救急委員会で了承)。

(註 3)ID 作成前の患者で撮影が急がれる場合には、以前の紙伝票または電話連絡により撮影を開

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始することができる。ただし、オーダリング上での閲覧は ID 作成後となる(平成 23 年 5

月 23 日、運営委員会で了承)。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

d)臨床検査技師救急マニュアル

1.平日勤務時間内(8:30~17:15)は検査室内の各部門で受け持つ 検査項目:クロスマッチ・血液・生化学・尿・髄液・細菌培養・心電図・超音波検査な

ど 2.土日・祭日の日中(8:30~17:15)は日直者対応。 検査項目:時間外・休日用紙にある項目(感染症は平日扱い)。クロスマッチ、髄液検

査、細菌培養も随時実施する。心電図は救急スタッフ対応(取りにくいとき

のみ)。超音波検査も呼び出し検査技師によって対応する。また急患センタ

ーの依頼により、急患センター受診患者の検査を行う(時間外・休日用の検

査申し込み用紙にある項目)。 3.夜間(17:15~翌日 8:30)は当番対応。呼び出し後 10 分以内に来院することを目安と

する。 検査項目:土日・祭日の日中と同じ。 4.検査時間は原則 1 時間以内とし、検体溶血・試験管内凝固・パニック値に気をつけて正

確に検査を実施する。

(註)呼び出し業務の開始時刻は検体が届いた時刻、撮影開始時刻などではなく、職員が機器など

の操作を開始した時刻とする(平成 20 年 8 月 5 日、救急委員会で了承)。

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X.愛媛大学地域救急医療サテライトセンターとの連携

a) 八幡浜・大洲圏域地域医療再生計画における、愛媛大学と連携した医師確保対策につい

て ・目的:圏域内において、持続可能な救急医療サービスを提供するためには、地元医療機関による

ハード面での整備に加え、救急をはじめとした地域医療の現場で従事する医師の養成や確保を

図ることが不可欠である。

このため、愛媛大学の協力・支援のもと、医学部内に地域救急医療に関する講座を開設する

とともに、附属病院および圏域内に、医師派遣による診療支援や地元医療機関の医師や医学生・

研修医等に対する教育・指導等を行うセンター機能を新たに整備し、救急医療に従事する医師

の養成や派遣に関する総合的なシステムを新たに確立することにより、圏域内の救急医療提供

体制の維持に必要な医師を継続的・安定的に確保できる体制を構築する。

(各種事業)

① 地域救急医療学講座の創設 ・平成 22 年度事業開始

愛媛大学大学院医学系研究科に、地域の救急医療体制や教育システム等の研究・開発を行う「地

域救急医療学講座(寄附講座)」を創設する。(構成:教員 4 名、事務補佐員 1 名)

本講座の構成メンバーは既存の地域医療学講座および救急侵襲制御医学講座との連携のもと、

「地域救急医療センター」の職員として、地域の救急医療再生を担う。

② 地域救急医療センターの設置 ・平成 22 年度事業開始

「地域救急医療センター」を、愛媛大学医学部附属病院内に設置し、前記地域救急医療学講座

の教員 4 名のほか、医学部附属病院内の内科、外科、小児科など数名の医師を病院助教以上に任

命し充てる。

同センターでは、

ア 市立八幡浜総合病院内にあるサテライトセンターでの救急医療支援

イ 救急医療に携わる医師の育成・確保

ロ 救急医療に関する教育・研究 などを行う。

③ 地域救急医療サテライトセンターの設置 ・平成 22 年度事業開始

「地域救急医療サテライトセンター」を市立八幡浜総合病院内に設置し、医学部附属病院

内の地域救急医療センターから派遣される医師が、当該病院の各診療科医師との連携のもと、 主として、二次救急医療に対応するほか、他の専門診療科の診療も担う。

④ 派遣医療機関と大学との画像情報交換システムの構築 ・平成 22 年度事業開始

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サテライトセンター派遣医師の迅速正確な診断をサポートするとともにスキルアップを図るため、

サテライトセンター(市立八幡浜総合病院)と愛媛大学附属病院の間で、画像情報交換システムの

構築を図る。

⑤ 医療従事者のための託児施設の設置

医療従事者への支援の観点から、医師や看護師、検査技師等の子弟等を、夜間まで預かること

のできる託児施設の設置(又は、既存施設に「医療従事者枠」を設け、優先的に受け入れる体制

の構築)を行う(八幡浜市内)。

b) 愛媛大学 地域救急医療サテライトセンターの人員構成

スタッフ名 役職 専門 当院勤務日 備 考

本田和男 教授 外 科 火 木 金 火木は月1回愛大で会議

高橋光司 准教授 内 科 月 火 水

楠目和代 准教授 小児科 月 火 水

榎本大次郎 講師 内 科 水 木 金

c) 地域救急医療サテライトセンターとの救急診療連携の方針と方法 1.方針 サテライトセンターは当該病院の各診療科医師との連携のもと、主として二次救急医療に

対応するほか、他の専門診療科の診療も担う。一方、当院救急スタッフはサテライトセンタ

ーの救急医療に関する教育・研究などの活動に協力をする。

2.方法 1) サテライトセンター医師は平日日勤帯における当院急患室の初期診療担当医(first call

または second call 担当)の要請を受けて、可能な範囲で当院救急診療に協力、担当する。 註)サテライトセンターの方針によっては、初期診療担当医(first call または second call)

となることもできる。

2) サテライトセンター医師は勤務時間外における日直または当直を担当することができる。 この場合、当院の全診療科がその救急診療をバックアップし、要請により外来あるいは

入院治療を担当する。 註)救急受け入れ停止日 は一般内科の待機体制 無し。

3)外来診療録については、サテライトセンター医師は以下の診療科のうちの、いずれかのも

のを使用することができる(診療科変更も容易である)。 イ.自分の専門的診療科のもの(外科、内科、小児科など) ロ. 終的な受け皿になると予想される診療科のもの ハ.麻酔科の診療録・・受け皿となる診療科を定め難い場合 4)サテライトセンター医師が入院患者の担当医となることも可能であり、その場合の登録診

療科も上記イ~ハの考え方で選ぶことができる(註についても同様)。

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d)愛大研修医の地域救急医療学研修への協力について ―地域救急医療サテライトセンターとの合意事項(平成 23 年 2 月 1 日、救急委員会) イ)平成23年度の予定は1年目の研修医。1人5日程度まで。研修医各人の希望で日中の

みまたは夜間も研修する。 ロ)指導医師 ・ 救急車収容時―初療担当医(勤務時間内にはfirst call、second call医師など、時間

外では日・当直医など)や各科医師が業務に支障のない範囲で指導。 ・ 救急患者がないとき―サテライトセンター医師が指導+研修医の希望により当院

各科医師の指導を受けることも可。 ニ) 指導医師の責任で医療行為を行わせてよい(電子カルテ入力は現状では無理)

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XI.病態別の診療申し合わせなど

a) 中枢神経系の疾患ならびに外傷への対応

1.中枢神経系の疾患ならびに頭部外傷患者の受け皿について 平成 22 年 4 月、常勤医師 1 名による脳神経外科診療が再開された。今後は脳神経外科医

師の指導のもとに、病院全体で、中枢神経系の疾病ならびに外傷患者の診療を進めて行くこ

とになる。 方針: 1) 超急性期脳梗塞を念頭に置いた対応

意識障害あるいは神経症状を伴う非外傷性救急患者のうち、発症時刻が判明してお

り、発症から 3.5 時間以内に病院に収容できる患者では、その情報を得た段階で、急

患室看護師・救急初療医師などから脳神経外科へ連絡する。そして、t-PA 療法の適

応とならない脳梗塞例を含め、原則として脳神経外科が担当する(診療手順の詳細は

(2)を参照のこと)。 2) 救急で収容した患者のうち出血性の疾患ならびに頭部外傷患者については、脳神経

外科へ相談をする。当院脳神経外科が対応できない場合などには大洲中央病院など

へ紹介をする(参考:市立八幡浜総合病院から大洲中央病院への中枢神経系患者の紹介

について(p.45)) 3) 中枢神経系疾患で脳出血を認めないものは内科または内科系待機医師(註)が担当

する。ただし、てんかん(疑い例を含む)は脳神経外科が受け皿となる。 4) 勤務時間外に収容した中枢神経系疾患、外傷例の管理においては、平日日勤帯にな

るまで日・当直医師がその診療に協力する。

註 内科系待機医師:水曜日の日中と時間外(木曜日 8:30 まで)は、一般内科待機医師は対応

せず、麻酔科または循環器科の待機医師が脳出血・てんかん以外の中枢神経系疾患の担当

医となる(必要によって他院へ紹介・転送する)。

2. 中枢神経系の疾患ならびに外傷の患者への初期対応

1)初期患者対応については「当直医の脳血管障害初期対応マニュアル(勤務時間外)(p.52)」

を参照

2)頭蓋内出血性疾患の場合―脳神経外科待機医師に連絡し担当を依頼する。救急受け入れ

停止日または脳神経外科待機医師がいない場合で、手術治療の可能性があり脳神経外科医に

よる対応が望ましいと判断されたときには脳神経外科医師のいる病院へ紹介し、脳神経外科

紹介の適応がない場合には内科系待機医師に担当を依頼する。

3)他院脳神経外科に患者受け入れを依頼する場合は、①大洲中央病院、②県立中央病院、

③市立宇和島病院、④愛媛大学病院の順で連絡をする。

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4)転院搬送を消防本部へ依頼し、紹介状(患者情報主体の簡単なものでもよい)を作成する。

5)搬送時の救急車同乗は ①日・当直医、②放射線科当番医(放射線科当番医が不在の日

もある)、③内科または外科当番医、④2年目研修医が可能であるが、原則 日・当直医

が同乗し、その間の当直代理をいずれかの科の当番医に依頼する(日・当直医が病院の状

況を考慮して搬送担当者を決定する)。

6)全身状態が悪い場合は内科系当番医(頭部外傷の場合は外科当番医)に連絡して、全身

状態の改善治療を依頼する。

7)他院の受け入れが難しい場合や脳神経外科紹介の必要性が少ないと考えられる場合は内

科、外科、または麻酔科(各科振り分けの方針としては「a-1)中枢神経系の疾患ならび

に外傷の患者の受け皿について(p.50)」を参照)に紹介する。その後の患者の状態や家

族の希望によっては、再度転院のための調整が必要となることもある。

参考)当院から大洲中央病院への中枢神経系患者の紹介について

(平成 20 年 6 月 26 日、大洲中央病院との申し合わせ)

(平成 22 年 5 月 24 日、一部改訂)

大洲中央病院脳神経外科との話合いにより、当院で診断のついた脳出血患者(手術適応とならな

い軽症患者を含め)を可能な範囲、引き受けて下さることとなった。

以下、申し合わせ内容

1.市立八幡浜総合病院において頭部 CT などによる診断を行い、脳出血やくも膜下出血が認められる場合

(内因性または外傷性)に大洲中央病院へ紹介することができる。

2.ベッド状況、手術中などの事情によっては、大洲中央病院への患者受入ができない場合がある。一方、

大洲中央病院の休診日(火・水曜日)でも受け入れが可能な場合がある。ただし、休診日においては、

事前連絡を受けた後 オンコールにより体制を整えるため、即時には受け入れできない場合があることに

留意する。

3.脳梗塞については、市立八幡浜病院で対応する。

4.多発外傷を伴う場合など、外科・整形外科的対応あるいは集中治療を要する場合などは市立八幡浜総合

病院で対応する(三次救急医療施設への転送を含む)。

5.八幡浜地区施設事務組合休日・夜間急患センターから大洲中央病院への中枢神経系患者の紹介

(土曜日など)に関しても、市立八幡浜総合病院の場合と同様。

(注意)大洲中央病院への患者紹介時には電話連絡に加え、「診療情報提供書」を FAX 送付すること

(電話)0893-24-4551 (FAX)0893-23-5083

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3.当直医の脳血管障害初期対応マニュアル(勤務時間外) 〇受け入れ要請時の情報

救急隊や地域連携室、開業医などから、脳卒中の疑いがある患者の受け入れ依頼があった場合、必

ず発症時刻を確認する。発症時刻が確認でき、発症から 3.5 時間以内に到着可能であれば直ちに脳神

経外科医師(河内医師)に連絡する。

⇒ 発症から当院到着まで 3.5 時間以内、かつ脳神経外科医師が対応可能 ⇒ 「超急性期脳梗塞に対する t-PA*静注療法に関する申し合わせ」(p.55)へ

(*併せて放射線部、検査部にも連絡をする)

↓ 発症から当院到着まで 3.5 時間を超える、または脳神経外科医師が対応不能 〇受診時あるいは収容時の情報 外傷がないのに片麻痺や構語障害群が急性に発症(脳硬塞・脳卒中の疑い) ↓

〇重症なら呼吸管理・循環管理が 優先(必要に応じて内科、外科当番医へ連絡)だが、そ

のような患者は稀。 *収縮期血圧が 220mmHg 以上ならヘルベッサー注などで降圧。高血圧脳症も疑う。 ↓

〇採血(t-PA セット)、静脈路確保、心電図 12 誘導(CT 撮影後でも可)胸写、頭部 CT ↓━━━━━━━━━━━━━↓━━━━━━━━━━━━↓

●頭部 CT で出血なし ●出血が疑われるが ●明かな出血がある MRI で硬塞を確認 確信が持てない ↓ ↓ ↓

・内科系当番医に連絡 ・放射線科へ読影依頼 ・ 脳神経外科へ連絡 または 放射線科へ読影依頼 放射線科へ読影依頼 ↓ ↓ ↓

A内科系当番医が放射線科医 □出血があれば B へ B脳神経外科待機医師に担当依頼

と相談して対応 なければ内科系当番医 または脳神経外科対応可能な

に連絡して A へ 施設へ転送すべきか、当直医

と放射線科医(呼び出し可能な とき)が相談

備考:

*放射線科医は CT や MRI の読影のためにいつでも呼び出し可能。

*くも膜下出血も対応としては脳出血ありに準じる(早急に脳外科へ連絡、または脳神経外科対応

ができる施設に転送の連絡を取る)。

*当院脳神経外科医師が対応できないとき、土・日曜日は大洲中央病院の脳神経外科に連絡して相

談する(当番医が相談に応じてくれ、手術適応があるか急性期に脳神経外科管理が望ましい症例

はなるべく受け入れてくれることになっている)。

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4.超急性期脳梗塞に対する t-PA*静注療法に関する申し合わせ (平成 22 年 4 月 27 日、診療部会で了承)

*t-PA(アルテプラーゼ、商品名:グルトパ)

看護師の脳卒中対応手順 1)救急隊や地域連携室、開業医などから、脳卒中の疑いがある患者の受け入れ依頼があっ

た場合、病院前傷病者情報記録に基づいて情報収集を行う(患者氏名・生年月日・住所・

発症時刻または 終未発症時刻・到着時刻・内服の持参・家族の同乗の確認は必須情報)。

<※傷病者病院前情報記録資料①参照> 救急隊からの連絡の場合は、KPSS の点数も確認する。 <※倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)資料②参照>

2)「脳卒中疑いのある患者の収容依頼時の調整・準備チェックリスト」に沿って準備を行

う。 <※脳卒中疑いのある患者の収容依頼時の調整・準備チェックリスト資料③参照> 放射線技師・検査技師への連絡は、守衛に依頼する。連絡が円滑になるよう「t-PA 対応

の患者さんが来られます。早急に当番を呼んでください。」という文章と、t-PA 療法に

ついて記載したものが守衛室にある。 <※資料④参照> 3)患者到着後、バイタルサインのチェック、採血(t-PA セット)、輸液ルート確保(註)を

行う。t-PA 投与となった場合には尿留置カテーテルが出血を招くこともあり、カテー

テル挿入は医師の判断を仰ぐ。(註)血管造影に備え、微量輸液セットの末梢側に活栓付き

耐圧延長チューブを入れて患者に接続すること。

4)既往歴や血圧に関する適応除外基準を理解し、得られた情報を医師に伝える(チェック

リスト参照)。既往歴では例えば脳出血や3ケ月以内の脳梗塞、 近の手術の既往など、

また服薬状況(特にワーファリンやアスピリンなどの抗血栓薬)の聴取。血圧は収縮期

圧 185 mmHg 以上もしくは拡張期圧 110 mmHg 以上が記録された場合は医師(救急

初療医師または脳神経外科医師)に報告し、適切な降圧療法(◆ヘルベッサー→ペルジ

ピン etc.)の指示を仰ぐ。血圧が下がれば治療可能!

◆約束降圧処置:ヘルベッサー10mg(10mg を1バイアル)+生食 10ml をゆっくり静注した後、ヘルベッ

サー250mg(50mg を 5 アンプル)+生食 100ml を 5ml/h で持続静注開始( 大 25ml/h)。収縮期血圧<

185mmHg かつ拡張期血圧<110mmHg 未満を目標にする(脳硬塞では過度の血圧低下は有害)。

5)医師(初期診療担当医または脳神経外科医師)の診察が終了後、患者を CT 室に搬送する。 6)医師による説明に先立ち、患者家族に状況を説明し不安の軽減に努める。 7)CT 撮影後、適応症例となれば医師の指示により t-PA(グルトパ)投与準備(薬品の準

備、ポンプの準備、体重(参考:p.72、t-PA 療法前の体重測定について)からの投与量換

算表の準備)を行い、インフォームド・コンセントが得られれば投与開始する(グルト

パは投与直前に開封すること!)。なお救急処置室にはグルトパ 2400 万単位1箱と同

600 万単位 1 箱が配置されている。 8)投与開始後、病棟へ引き継ぐ。

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◆(表 1)アルテプラーゼ静注療法のチェックリストより

■禁 忌 ⇒ 1項目でも該当すれば実施しない。

□ 発症~治療開始時刻 4.5 時間超

※発症時刻( 終未発症確認時刻)[ : ] ※治療開始(予定)時刻[ : ]

既往歴 □ 非外傷性頭蓋内出血 □ 1 ヵ月以内の脳梗塞(一過性脳虚血発作を含

まない) □ 3 ヵ月以内の重篤な頭部脊髄の外傷あるいは手術 □ 21 日以内の消化管あるいは尿路出血

□ 14 日以内の大手術あるいは頭部以外の重篤な外

傷 □ 治療薬の過敏症

臨床初見

□ くも膜下出血(疑) □ 急性大動脈解離の合併

□ 出血の合併(頭蓋内、消化管、尿路、後腹膜、喀血) □ 収縮期血圧(降圧療法後も 185mmHg 以上)

□ 拡張期血圧(降圧療法後も 110mmHg 以上) □ 重篤な肝障害

□ 急性膵炎

血液初見

□ 血糖異常(<50mg/dl、または>400mg/dl) □ 血小板 100,000/mm3以下

血液初見:抗凝固療法中ないし凝固異常症において

□ PT-INR>1.7

□ aPTT の延長(前値の 1.5 倍[目安として約 40 秒]を超える)

画像初見

□ 広汎な早期虚血性変化 □ 圧排初見(正中構造偏位)

■慎重投与(適応の可否を慎重に検討する) ⇒ 1項目でも「慎重投与」に該当すれば、適応の可否を慎重

に検討し、治療を実施する場合は患者本人・家族に正確に説明し同意を得る必要がある。 □ 年齢 81歳以上

既往歴 □ 10 日以内の生検・外傷 □ 10 日以内の分娩・流早産

□ 1 ヵ月以上経過した脳梗塞(とくに糖尿病合併例) □ 3 ヶ月以内の心筋梗塞

□ 蛋白製剤アレルギー

神経症候

□ NIHSS 値 26 以上 □ 軽症

□ 症候の急速な軽症化 □ 痙攣(既往歴などからてんかんの可能性が

高ければ適応外) 血液初見

□ 脳動脈瘤・頭蓋内腫瘍・脳動静脈奇形・もやもや病 □ 胸部大動脈瘤

□ 消化管潰瘍・憩室炎、大腸炎 □ 活動性結核

□ 糖尿病性出血性網膜症・出血性眼症

□ 血栓溶解薬、抗血栓薬投与中(とくに経口抗凝固薬投与中) ※ 抗 Xa 薬やダビガトランの服薬患者への本治療の有効性と安全性は確立しておらず、治療の適否

を慎重に判断せねばならない。 □ 月経期間中 □ 重篤な腎障害

□ コントロール不良の糖尿病 □ 感染性心内膜炎

◆<追加:(※日本脳卒中学会 rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針第二版を参照

http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA02.pdf)>

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(表 2)脳卒中疑いのある患者の収容依頼時の調整・準備チェックリスト

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(表 3)急患室看護師から守衛への連絡カード(t-PA 静注療法対象患者に関する連絡)

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(表 4)倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)の消防連絡表-1

KPSS は各項目で点数をつけて合計点で評価する。正常は 0 点で点数が高いほど重症となる(全

障害は 13 点)。t-PA 静注療法の対象となる National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)

スコア 5~22 点は、KPSS では 3~9 点に相当する。▲

(表

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5)倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)の消防連絡表-2

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(参考)t-PA 療法前の体重測定について 以下、デジタルストレッチャーを用いた体重測定の手順を示す。

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(表6) 脳出血治療ガイドライン(脳出血の手術適応)

1)一般論 血腫量 10mL 未満の小出血または神経学的所見が軽度な症例では、部位の如何に関

係なく手術の適応にならない(グレードD)。または意識レベルが昏睡の症例は、手術

の適応にはならない(グレードD)。 2)出血部位別

(ア) 被殻出血:神経学的所見が中等症、血腫量が 31mL 以上でかつ血腫による圧迫所見

が高度な被殻出血では手術を考慮してもよい(グレードC1)。 (イ) 視床出血:急性期の治療として本症に血腫除去術を勧めるだけの根拠はない(グレ

ードC2)。血腫の脳室内穿破を伴う場合、脳室拡大の強いものには脳室ドレナージ

術を考慮してもよい(グレードC2)。 (ウ) 皮質下出血:60 歳以下、血腫量 50mL 以上で傾眠~昏睡の症例には手術適応がある。

手術は内視鏡、定位脳手術などの、より非侵襲的なものが推奨される(グレードC1)。(エ) 小脳出血: 大径が 3cm 以上の小脳出血で神経学的に症侯が増悪している場合、ま

たは小脳出血が脳幹を圧迫し水頭症を生じている場合には、手術が勧められる(グ

レードC1)。 (オ) 脳幹出血:手術の適応はない(グレードD)。 (カ) 新生児の脳室内出血:頭蓋内圧亢進の徴候を認める場合には髄液ドレナージが勧め

られる(グレードC1)。それ以外の場合には早期髄液ドレナージを行うことは勧め

られない(グレードD)。脳室・頭囲の過剰な増大が6週以上持続した場合にはシャ

ント手術を考慮する(グレードC1)。 (キ) 成人の脳室内出血:脳血管の異常による可能性が高く、血管撮影などにて出血源を

検索することが望ましい(グレードC1)。急性水頭症が疑われるものは脳室ドレナ

ージを考慮してもよい(グレードC1)。

* 脳卒中の推奨グレードに関する分類

推奨のグレード 内容

A 行うよう強く勧められる

B 行うよう勧められる

C1 行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない

C2 科学的根拠がないので、勧められない

D 行わないよう勧められる

(脳卒中合同ガイドライン委員会:脳卒中治療ガイドライン 2004、篠原

幸人ほか編.協和企画 2004)

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(表 7)秋田県立脳血管センターの脳出血治療指針

*JCS:10 以下、血腫量 20mL 以下(小脳は 2cm 以下) → 保存的治療

被殻出血; 出血量 20mL 以下―保存的治療

水頭症かつ JCS20 以上で、脳室ドレナージ 出血量 21mL 以上 〇JCS 0~10 は保存的治療 〇JCS 20~30 は手術療法 〇JCS 100~300 は症例ごとに検討

視床出血、混合型出血、皮質下出血 出血量 20mL 以下―保存的治療

水頭症で JCS 20 以上で、脳室ドレナージ 出血量 21mL 以上 〇JCS: 0~10 は保存的治療 〇JCS 20~30 は手術療法 〇JCS 100~300 は症例ごとに検討

小脳出血 長径 2cm 以下―保存的治療

水頭症で JCS 20 以上で、脳室ドレナージ 長径 2.1cm 以上 〇JCS: 0~10 は保存的治療 〇JCS 20~30 は手術療法 〇JCS 100~300 は症例ごとに検討

脳幹出血 保存的治療

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b)めまい症状に対する画像検査の方針

―診療部会(平成 23 年 3 月 22 日)で了承

1)画像診断なしで治療方針を決めうる場合には、画像診断なしでよい。 2)少しでも出血性病変を疑うならまずCT撮影、CTで出血が明らかでない場合にはMRI

も撮影する。 3) 初から出血は否定的(例えば他院のCT持参時など)で、さらに画像診断が必要な場

合はまずMRIでも可。 4)急変あるいは嘔吐の危険性がある場合、MRI撮影は慎重に。 5)MRI を撮る場合の撮影プロトコルや依頼書の書き方は耳鼻科指定に沿って行う(「めま

いスクリーニング」と書けば可)

*参考:めまいスクリーニングのためのMRI依頼書(耳鼻科指定)にある「CISS」について

Constractive interface in the steady stateの略。高分解能のT2強調三次元画像で、内耳道内や小

脳橋角部の評価に有用。主な適応は以下の通り。

・内耳道・小脳橋角部の腫瘍:聴神経鞘腫、髄膜腫、皮様嚢腫など。

・血管圧迫による三叉神経痛、顔面神経麻痺など。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

c)消化器系急患への対応(平成 19 年 9 月 1 日、一部修正)

c-1)吐血 はじめに 当院では平成 18 年末より消化器内科専門医が不在になり、吐血に対しての緊急内視鏡下

止血術の施行が困難となった。そのような緊急処置を要する吐血患者は処置可能な専門施設

へ紹介して治療を依頼している。 ただし、吐血との判断が難しい症例も多く、受け入れ施設から、医師が吐血と判断した上

で送ってほしいとの要望が出ている。従って、当院で吐血との判断をしてから転送する必要

がある(市立大洲病院および大洲中央病院と協議済み)。 なお従来、吐血患者に胃管を挿入して、冷生食で胃洗浄を行うことが行われて来たが、冷生食で

は全身状態への影響が大きいことから、胃洗浄を行う場合には室温または体温程度の生食を用いる

こととする(この項、平成 24 年 5 月に追加)。

夜間・休日の対応 <救急車で来院した場合> 1.救急隊が吐血疑いの患者を救急車に収容し、当院へ連絡の上搬入する。 (救急隊には吐血の診断が確定/否定されるまで、病院に待機して貰う)

2.日・当直医は吐血かどうかを診察し、必要な検査を行う。 *ビカネイト®で静脈路を確保し、採血・検査を行う。

*検査項目:内科緊急項目 L33, L44, R1, M1, X1, CRP, glucose, CK, amylase, PT, APTT, 血型

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(大量出血時)

*診察時に明かな吐血があれば診断確定可能。口腔内出血や鼻出血の有無を確認したり、喀血と

の鑑別のために胸部単純撮影または同 CT 撮影が必要となる場合もある。

3.吐血と確定し緊急内視鏡検査が必要な場合は、日・当直医が転送先の病院へ連絡して受

け入れを依頼する。 *連絡事項―吐血患者であること、年齢、性、血圧などの簡単なバイタルサイン、判明した検査

所見(Hb 値など)(吐血が持続して状態が不良の場合は血液検査の結果を待つ必要はない)。

4.吐血患者用連絡用紙(救急外来に常備)に必要事項を記入し、検査結果のコピーととも

に持参する(記載の時間が取れなかった場合は転送後 FAX 送信)。 5. 医師(研修医可)または看護師が同乗し、救急車で転送する。

* 上部消化管出血があるが軽微で状態が安定している場合は当院入院での対応となる(内科

あるいは外科当番医が対応する)。

* 転送依頼先(夜間・休日)

・月、火―市立大洲病院

・水、木―市立宇和島病院、県立中央病院

・金~日―大洲中央病院

<救急車以外で来院した場合> 多くは緊急性に乏しいと考えられるが、対応としては救急

車で搬入された患者と同様とする。

平日昼間(勤務時間内)の対応 1. 救急隊からの連絡に対しては原則時間外と同様に対応し、当番医が吐血と判断して、

緊急検査・処置が望ましいと考えれば転送を依頼する。 2. 転送先はまず市立大洲病院へ依頼する。その他の転送先としては大洲中央病院、県立

中央病院や市立宇和島病院を考える。 3. 転送時に救急車への職員同乗が必要となるが、原則として看護師に依頼する(患者の

病態によって医師が必要な場合もある)。看護師の救急車同乗は、夜間に入院して翌

日の検査で転院となった患者についても同様とする。

入院患者が吐血した場合の対応 1.内科 酒井医師に相談し、当院で対応可能であれば依頼する。 2.内科 酒井医師が対応できない場合は当院でできる対応を行い、必要と判断すれば消化

器専門医のいる病院へ紹介し転院させる。

c-2)吐血以外の消化器系急患への対応 1)下血患者への対応 1.まず日・当直医が全身状態のチェック(血液検査、腹部 CT 検査など)を行う。 2.外科当番医へ相談し、直腸鏡などの検査を施行して貰い、今後の方針を決定する。

2)イレウス:外科対応

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3)胆嚢炎(胆石なし):内科で治療 4)胆石合併胆嚢炎、胆管炎:外科紹介し外科で治療 5)膵炎:内科で対応し、重症化するようなら転院

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

d)救急外来での標準化低血糖処置手順(Ver1.0、平成 20 年 7 月作成)

対象: 糖尿病のために薬物療法を受けている患者

血糖値:70mg/dl 以下あるいは低血糖症状があって80mg/dl 以下

■低血糖による意識障害

1.意識障害 あり

50%ブドウ糖40ml を静注

10%ブドウ糖500ml で血管確保して100ml/分で点滴開始

15 分後血糖値再検

症状が改善しない場合は上記を繰り返す(または内科系当番医へ連絡)

※ 重症の低血糖では、

① グルカゴン1A 筋注

② サクシゾン100mg 静注

を使用する。

2.意識障害 なし

□経口摂取

(ア)不能

50%ブドウ糖40ml を静注

15 分後血糖値再検

症状が改善しない場合は上記を繰り返す(または内科系当番医へ連絡)

(イ)可能 ブドウ糖20g をコップ1杯の水とともに内服

30 分後血糖値再検し改善を確認

※ 症状、血糖値の改善とは、症状の消失かつ血糖値が80mg/dl以上とする。

※ 症状、血糖値が改善後、軽食の摂取をすすめる。

※ 低血糖発作を起こした明らかな原因(食事がとれずに服薬またはインスリンを打ったなど)の不

明な患者は、外来で低血糖が消失しても24 時間以内に再発することがある。特に腎機能障害例

や高齢者、オイグルコンやダオニールなど長時間作用する血糖降下剤服用中の患者様は、一泊入

院を勧める。

[註] この章では「内科当番医」という表現を「内科系当番医」に変更した(平成 21 年 6 月)。

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e)中毒診療の手引き

1.全体的な方針 1)市民からの問い合わせに対しては、症状があれば受診させる(特に意識障害、顔色不良

などがあれば救急車要請)。症状がなく、摂取物質や摂取量などから危険性が少ないと

判断できれば自宅などで経過をみてもよい。中毒物質などについて調べた後に、こちら

から電話をして情報提供するのも一法。 2)受診時点で症状を伴う場合や、無症状でも摂取物質・摂取量などから危険性を伴うと考

えられる場合、経過観察のために入院させるのが無難。 3)摂取物質の毒性が極めて強く、全身状態が不良、または集中治療あるいは特殊治療を要

すると考えられる場合は第三次救急医療機関への紹介・転送を考慮。

例:〇パラコ-ト(除草剤)中毒―予後不良。小腸洗浄や血液浄化法が必要となることがある。

*一口メモ:①パラコ-ト中毒では酸素投与は厳禁(肺傷害を増強)、②平成 20 年 4 月

から検査室でパラコートの定性試験が可能となった(時間外も可)。

〇一酸化炭素中毒―一酸化炭素の体外排出をはかる上で、愛媛大学病院へ転送して高圧酸

素治療を実施するのと、当院で高濃度酸素吸入または人工呼吸するのとで大差はない。

ただし高圧酸素治療は間歇型の脳障害を予防するという説がある(証明はされていない)

ので、患者・家族が希望すれば愛媛大学病院へ転送。

4)担当診療科など:内科、外科、麻酔科以外の診療科の医師が日・当直の場合、初期対応

をしつつ、外科または麻酔科の待機医師へ連絡し担当を依頼することができる。また、

内科または外科医師が担当医になった場合、平日日勤帯になった段階で麻酔科へ紹介、

転科とすることができる。

2.急性中毒の治療:〇基本治療、〇解毒薬・拮抗薬および 〇対症療法・全身管理が柱で

ある。以下、基本治療における 近の考え方についてまとめた。

(1)未吸収薬物の排除 a.水洗、催吐―病院受診前のケア・・・「3.中毒事故が起きたら(市民からの電話での問

い合わせに応答する)」を参照 b.胃洗浄―胃内に残留する薬毒物を胃管により回収する。基本的には服薬後1時間以内に

実施。太い胃管(30F 以上)を用い 1 回注入量 200~300ml(成人)で、排液が透明にな

るまで十分に洗浄操作を繰り返す。活性炭に吸着されない毒物以外は活性炭投与を併用。

洗浄液として、成人は水道水可(5 歳以下は低ナトリウム血症の危険 → 生理食塩水使

用)。38℃程度に加温して使用。体位は左下側臥位とし、頭側を約 15°下げる。 禁忌)・意識レベルが低下したり痙攣を起こしているとき(気管挿管して注意して行う)

・石油製品、有機溶剤の中毒( → 化学性肺炎)

・腐食性毒物(強酸、強アルカリなど)の中毒、

・胃の生検や手術を受けた直後(出血や穿孔の危険)

・明らかな出血性素因 ・食道静脈瘤など

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c.吸着剤(活性炭)と緩下剤 服薬から 1 時間以内の大量服毒もしくは毒性の高い物質の経口中毒では胃洗浄と活

性炭投与、それ以外では原則として活性炭単独投与を早期に行う。緩下剤の併用により

活性炭・薬毒物複合体の腸内滞在時間が短縮され、薬毒物の排泄が早まる。 禁忌)・腸管閉塞,消化管穿孔 ・腸管運動を抑制する薬物の服用、麻痺性イレウス

活性炭に吸着しない薬毒物) 強酸,強アルカリ,エタノール,エチレングリコール,鉄,

硫酸鉄,リチウム,ヒ素,カリウム,ヨウ素, ホウ酸,フッ化物,臭化物など

投与例(日本救急医学会)・・2 回分

20%マンニトール 200ml

硫酸マグネシウム 20~30g

(マグコロール P 1/2 包=25g)

活性炭 50g、微温湯 300ml

合計 500ml

上記を吸着剤が下痢便とともに排泄されるまで数時間ごとに反復投与(通常 2~3 回)

2)既吸収毒物の排除 ①強制利尿:サリチル酸とフェノバルビタールには有効。どちらも尿のアルカリ化をは

かる(尿 pH 値 7.5 以上を目標として、重炭酸ナトリウム液 20~40ml を静注)。他

の物質に関する安全性と有効性は確立されていない。 ②血液浄化法:血液透析、血液吸着、持続的血液濾過透析、血漿交換など。ただし現時

点で、どの方法にも急性中毒患者の予後を改善するというエビデンスはない。

3.中毒事故が起きたら(市民からの電話での問い合わせに応答する) 1)原因物質の確認:まず何を飲んだか、何を吸ったか、中毒の原因物質を確認する。自殺目的の

場合は本人が言う物質名が本当であるとは限らないので、周囲の状況や散らばっている瓶や空き

箱などから確認する。また、残っている量から飲んだ量を判断することも重要。

2)応急処置

【飲み込んだとき】

(1)水や牛乳を飲ませる―牛乳には胃壁を保護し、毒物の働きを弱める作用がある。

注意)牛乳を飲ませてはいけないもの―防虫剤,石油製品(灯油,ガソリン,シンナー,ベンジ

ンなど)の場合(理由:毒物の身体への吸収量を多くするから)

(2)喉の奥を刺激して吐かせる

子どもの上手な吐かせ方

・コップ半分位の水か牛乳を飲ませる(塩水は不可)

・子どもをひざの上にうつ伏せにかかえ、子どもの頭を低くする

・人差し指で喉の奥(舌の付け根)を押す ・吐いた物が気管に入らないようにする

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*吐かせてはいけないとき―イ)意識がないとき,痙攣中 → 吐いた物がのどにつまる

ロ)強酸や強アルカリを含む製品(トイレ用・パイプ用・換気扇用洗浄剤,漂白剤など)

→ 食道の粘膜にひどいやけどをおこす

ハ)石油製品 → 気管へ吸い込み、重い肺炎をおこす

【ガスを吸入したとき】―きれいな空気の場所へ移動させ、安静を保つ。

【目に入ったとき】―流水でよく洗う(できれば 15 分以上)。

顔を横に向けてやかんから水をゆっくり流すか、水道の場合には弱い流れの水で洗う。勢いの

強い水で洗うと、かえって目に障害を起こすことがある。

【皮膚に付いたとき】―毒物の付いた着衣はすぐに脱がせ、石鹸を使い皮膚を充分に水洗。

【意識がないとき】―吐いた物がのどに詰まらないように横向きの姿勢をとらせる。下あごを前に

出し、上側の肘と膝を曲げてからだをささえる(回復体位)。119 番通報。

3)医療機関を受診する

〇必ず飲んだもの(容器や説明書)を手に持って、問い合わせあるいは受診する。

〇既に症状がある場合はすぐに受診する。

〇医療機関で伝えるべきこと― ・患者の年齢・体重 ・原因物質の正確な名称

・摂取量/摂取経路/摂取後の経過時間 ・周りにこぼれていないか?、容器に残っている量は?

・事故発生状況―間違って飲んだのか、自殺しようとしたのか?

・いま起こっている全ての症状 ・吐いたか、吐いていないか?

4.インターネットで調べるなら 日本中毒情報センターの「市民のための中毒の知識」がわかりやすい。ヤフー、グーグルとも「中

毒の知識」で検索すればトップ表示される。各種の物質に関する一般向けの情報がある。

5.中毒 110 番(医療機関向け)―情報提供料 1 件 2,000 円

・大阪中毒 110 番(365 日 24 時間対応) 電話 072-726-9923

・つくば中毒 110 番(365 日 9 時~21 時対応) 電話 029-851-9999

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f) 汚染創における破傷風の予防

汚染創でなければ基本的に破傷風予防は必要ない。しかし、汚染創であれば創の開放、洗

浄、デブリドマン、異物除去が重要である。汚染創における破傷風予防の方針は以下の通り。

A.破傷風基礎免疫あり(参考 1)+5 年以内の破傷風トキソイド接種歴あり

→ 原則不要

B-1. 上記以外

→ 全例に破傷風トキソイド 0.5mL の筋注が必要

(破傷風患者の 1/3 は外傷歴不明)

破傷風予防注射証明書の確認と交付(参考 3)

次回接種について説明(参考 4)

B-2. 易感染宿主

→ トキソイド+抗破傷風免疫グロブリン 250IU の静注または点滴静注

参考 1 破傷風基礎免疫の成立

《混合ワクチン》

Ⅰ期:3種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風)

初回:生後 3~12 カ月に 3~8 週間隔で 3 回接種(基礎免疫確立)

追加:初回終了後、12~18 カ月後に 1 回接種

Ⅱ期:2種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)

11~13 歳未満(小学校 6 年生)

以降、10~15 年毎に破傷風トキソイド追加接種

《破傷風トキソイド》

初回:3~8 週間の間隔で 2 回接種(0.5mL ずつ皮下または筋肉内に)・・平成 24 年 1 月 24 日に修正

追加:初回終了後、6~18 カ月後に 0.5mL を 1 回接種(基礎免疫確立)

以降、10~15 年毎に破傷風トキソイド追加接種

参考 2 洗浄および外科的処置について

汚染創あるいは壊死した組織は破傷風菌の増殖を促すので、創部を速やかに徹底的に洗浄す

る(特に深い刺傷の場合)。異物や損傷した組織は、必要があれば外科的に取り除く。

参考 3 破傷風予防注射証明書の確認と交付

1)患者に以前、当院か他院で交付された破傷風予防注射証明書(以下、証明書)を携帯しているかど

うか確認し、携帯しておればその記載内容を確認する(当院で新たに接種すればそのことを追記)。

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2)証明書を携帯していなければ、新たに当院から、必要事項を記載して交付する(証明書は当

面、製薬会社から提供されたものを利用する ⇒ 薬局に在庫あり)。

参考4 次回接種について説明

1)上記のように、初回接種から 3~8 週間後に2回目、さらに初回接種から 6~18 カ月後に3回目

の接種が必要であることを説明し、患者が希望すれば診察医の所属診療科または適切な診療科に

予約を入れる(診療録にそのむねを記載)。・・平成 24 年 1 月 24 日に修正

2)2回目以降の受診時、当院の保険手続き上の方針から、汚染創あるいは破傷風(疑い)に関

する病名を削除していることがある。その場合は、初診扱いで、この病名を再入力する。

参考 5 予防注射の保健適応について

受傷時に初回接種した場合、2 回目以降も「破傷風(予防)」の病名で保険請求できる(資料提

供―医事課、平成 22 年 11 月)。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

g) 新型インフルエンザへの対応

当院は「インフルエンザ外来協力医療機関(通常診療時間帯のみ対応)」に指定されてい

るが、入院協力医療機関にはなっていない。当院は夜間、休日、救急通報(救急車収容要請)

には対応しない体制である。 参考:『新型インフルエンザ』感染対策マニュアル」

(平成 21 年 1 月 22 日、運営委員会で承認)

◆h) 急患室 → 救急部門における体温管理

1.体温評価 ・腋窩温度―末梢温 ・鼓膜温―核心温、極端な低体温(<32℃)の評価は困難 ・膀胱温・直腸音―核心温、極端な低体温の評価可能、持続モニター可 → 緊急手術となる患者などではセンサー付き膀胱カテーテルを使用すること

2.低体温症への対処 低体温とは・・・身体の核心体温が低下した状態で、深部体温で 35℃以下の状態をい

う。

◎低体温予防に関する基本的処置 (方法)

① 室温維持 ② 持続的なモニタリング ③ 確実な圧迫止血

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・外出血に対しては、すぐに滅菌ガーゼなどで圧迫止血をする必要がある。 ・出血性ショック(外傷患者にみられるショックのうち、90%以上は出血性ショック

である)は、ショックの離脱までに時間を要し、体温への影響も大きい。重度の出

血性ショックは、低体温・アシドーシス・血液凝固異常が高頻度に合併する。 ④体液や水分等と体表面の接触遮断 ・体液や水分が体表面に接触することで、加温効果を低下させる。

◎体温維持のための基本的処置 (1)体表保温:熱の放散による体熱の低下を防ぎ、悪寒振戦によって熱を産生させるこ

とで体温を上昇させるための方法。 (方法)

① 毛布、布団、バスタオルなど ② 脱衣

・濡れたまたは湿った着衣やシーツ等を体から遮断する。

(2)体表加温:熱の伝導によって体の表面から熱エネルギーを与えることにより体温を

上昇させる方法。 (方法)

① 電気毛布(救急処置室に配置、必要により3東病棟より借用) ② ウオームタッチ(手術室より借りる) ③ 温浴:40~42℃の温水を入れた浴槽に入浴させる方法。

※体表面を急速に温めるため、深部臓器の冷たい血液が心臓に戻り、血液低下、 不整脈を引き起こしやすい。

(3)体腔内加温、深部加温:熱エネルギーを深部臓器に加えて加温する方法。

(方法) ①加温輸液

*加温器で加温済みの輸液ボトルを使用する(表) *血管造影室・・・広口生食 500ml×2 本ある(38℃の加温器に常時あり)。 *電子レンジで輸液製剤を加温。

(方法)電子レンジで 1 分温める。ただし輸液の内容はビカネイト®、生食などに

制限する。 *バケツに温湯を入れて加温。

ただし、体温ほどまで暖めるには 10 分以上かかる(40 度の温湯で温めた場

合、10 分で 30 度、15 分で 3 度、以後上昇なしという結果がある)。 *輸液加温器(HOTLINE―手術室)。

②加温液による胃・膀胱洗浄 ④ 加温・加湿した酸素、空気の吸入

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表.救急処置室加温器の使用方法

加温器内には、下記の薬液を常時入れておく

□ ビカネイト 500ml 2本

□ 生食 500ml 2本

□ 生食 250ml 1本

□ 生食広口 500ml 1本

薬液の使用方法

1. 輸液

□ 低体温患者に対する輸液

□ 急速な輸液投与が必要な時(外傷患者、出血性ショック等)

□ その他

2. 生食広口

□ 低体温患者に対し、胃洗浄・膀胱洗浄などによる加温が必要な時

□ 創の洗浄時

加温器の管理

□ 39℃の設定とする

□ 未使用薬液は再加温可能

(加温後に室温にもどり、これをさらに再度加温した場合にも輸液製剤や輸液バック

の変性などは起こらない)

3.高体温症への対処

高体温とは・・・深部体温 40℃以上をいう。

◎体表面冷却 (方法)

① 衣服を除去 ② 頚部・腋窩・鼠径部に氷嚢を置き冷却 ③ 霧吹き等で体表を噴霧+扇風機

※アルコール清拭は、血管が収縮し体温を体内に閉じ込めるため、行わない。. ④ 室温調節

◎体腔内冷却、深部冷却 (方法)

①低温輸液

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*冷却済みの輸液を手術室などから取り寄せる。 ②冷液による胃洗浄・膀胱洗浄

*救急処置室では、冷蔵庫で広口生食 500ml、1000ml を各 1 本冷却している。

(冷却時の注意事項) *体温が 39℃以下になったら、冷却をゆるめる。

*体温が 38℃まで低下したら、冷却を中止する。 ※これは体の熱容量の関係から、いったん冷え始めると体温の低下に歯止めがきかな

くなって逆に低体温となることを防ぐためである。

4. 心室細動からの蘇生患者などに対する低体温療法について

心室細動からの蘇生患者などに低体温療法を実施する場合にはサテライトセンタ

ーまたは循環器科医師および ME 技師に連絡をする。入院先は原則として3東病棟

とする。

低体温療法関連資料1 低体温療法手順 (平成 26 年 11 月 25 日作成)

■低体温療法とは

〇 2010 年に改訂された ILCOR の 2010 AHA の CPR ガイドライン 2010 では、院外 VF 心肺停止心拍再

開後昏睡状態の患者に対し、低体温療法は ClassⅠ(有効・有益・有用)であると評価され、低

体温療法は、標準的治療法になった。

〇 日本では、2006 年より心停止心拍再開後の患者に対し、低体温療法は保険適応となっている。

低体温療法 1日につき 12200 点 (3 日間迄)=1日 122000 円

■低体温療法の目的

脳の虚血領域やその周辺での神経細胞の損傷や脳浮腫などを防ぐために行う。

① 再灌流障害防止

② 脳代謝を抑制し、酸素消費量を減らす

③ 脳内の Ca2+の恒常性を改善することにより脳神経障害を軽減する

■低体温療法導入~復温までの流れ

1.初療担当医師は、低体温療法適応の可能性があれば、当番の循環器科医師に連絡する。

2.連絡を受けた循環器科医師は、下記の適応・除外基準をもとに、低体温療

法の導入を決定する。

【適応】

□ 目撃者のある心停止例:院外、院内を問わず。

□ 原則 75 歳以下で、発症前に日常生活レベルが保たれていた方。

□ 初期調律が心室頻拍または心室細動例(特に院内心停止例では、それ以外のリズムも

要検討);院外心停止例では、Bystander CPR 後に救急救命士に引き継がれて搬送さ

れたケースか、救急救命士が目撃して心肺蘇生したケースが理想的。

□ 蘇生後、血行動態は安定している

□ ※昏睡状態 (GCS<8):痙攣の有無は不問。

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※ 昏睡とは、質問に対して意味のある応答がない、あるいは、GCS≦8 をいう。

3.循環器科医師は、CAG/PCI の必要性について判断し、低体温療法の導入のタイミングを決定す

る。

開始場所の決定 : □ 血管造影室(パッド装着は、救急外来また病棟)

□ 3東病棟

4.低体温療法導入決定後、臨床工学技士に連絡する。

平日日勤帯:ME の PHS

休日・夜間:待機当番

5.低体温療法導入の準備を行う。

【準備物品】

処置準備

□ 気管挿管の準備

□ 膀胱温センサー付バルーン挿入の準備

□ 胃管挿入の準備

□ 心カテ出しの準備

□ A ラインの準備

薬剤準備

□ 生理食塩水 500ml(冷却しているもの) 4本

※ 3東病棟冷蔵庫:4本

※ 救急処置室冷蔵庫:2本

□ 指示の薬剤

【適応外】

□ 意識の改善を認める(GCS≧9)

□ 偶発性低体温(深部体温<30℃)

□ 持続透析患者

□ 悪性腫瘍末期

□ 頭蓋内出血などの脳疾患例

□ 妊娠中

□ 外傷

□ CPA 前の ADL が自立していない

※経皮的心肺補助 PCPS が必要な例は他院へ搬送しなければならないので、適応患者でも

当院では行わない。

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機器準備

□ 輸液ポンプ

□ シリンジポンプ ( 低でも 3 台は必要)

□ 人工呼吸器の準備

□ Arctic Sun5000 の準備(3東病棟にあり)

その他

□ 加圧バック(生理食塩水の急速投与に使用)

□ 血糖測定器

□ 低体温療法機器チェックリスト

□ RASS スケール表

□ 人工呼吸器チェック表

必要時準備

□ 食道温センサー(手術室にあり)

□ ウォームタッチ(手術室にあり)

□ SpO2センサー 前額部用 (ME 室にあり)

【救急外来/病棟での処置】

1. 末梢静脈は 2ルート確保し、冷たい(4℃)生理食塩水 500ml×4 本(30ml/kg≒2,000ml)を加圧

バック使用し急速投与(約 30 分掛けて)する。

2. 胃管挿入。

3. 気管挿管、人工呼吸器装着。

4. 温度センサー付バルーンカテーテル留置。

5. Arctic Sun® 5000 体温管理システムを作動。

6. 急性冠症候群例では緊急冠動脈造影検査/冠動脈形成術の準備

※上記 1~4は日当直医師&看護師が施行可

【検査】

□ 血液検査

□ 12 誘導心電図

□ 心エコー図検査

□ 胸部レントゲン検査

□ 頭部を含む CT 検査 など

【薬剤】

鎮静、鎮痛、筋弛緩目的で使用することの多い薬は以下の通りである。

必要あれば適宜投与開始可。

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鎮静と筋弛緩

鎮静評価は、RASS スケールを使用する。

目標:RASS-4〜-5

1. 鎮静薬

□1%ディプリバン:低体温療法中、4~10ml/時で持続投与

(必要に応じて、2~3ml フラッシュ)。

□ドルミカム(10mg/2mlA):低体温療法中、ドルミカム 5A+生食 40ml を

1~4ml/時で持続投与

(必要に応じて、2~3ml フラッシュ)。

2.鎮痛薬

□(麻)フェンタニル(0.1mg/2mlA)原液:低体温療法中、0.5~1.0ml/時で持続投与。

3.筋弛緩薬

□エスラックス(50mg/5mlA):気管内挿管時、0.5~1A 静注;低体温療法中、

原液 1~2ml/時で持続投与

(必要に応じて 2~3ml フラッシュ)。

【低体温導入期】

■冷却時期と方法

心停止 6 時間以内または、心拍再開から 4 時間以内に目標体温に達することを目標に低体温療法

導入を開始する。

目標核心温: 34℃(医師の指示)

目標核心温到達時間:医師の指示

○ 低体温導入期は、目標体温(32℃~34℃)にできるだけ早く、副作用を伴わずに達するよう管

理する。

※31℃未満:不整脈を生じやすく、循環動態が不安定になる。

○ 冷却方法:Arctic Sun5000 を使用し、体表冷却を行う。

○ 目標体温よりも体温が低下しすぎることを防ぐため、核心温が正しく測定できるよう管理する。

○ 核心温の測定は、①膀胱温 ⇒ ②食道温 ⇒ ③直腸温の順で評価する部位を検討する(肺

動脈の血液温測定を選択しない場合)。

○ 体表温は、腋窩で測定する。

○ 末梢静脈は 2 ルート確保し、冷たい(4℃)生理食塩水 500ml×4 本(30ml/kg≒2,000ml)を加

圧バック使用し急速投与(約 30 分掛けて)する。

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■体温測定部位

測定部位 利点 欠点

鼓膜 ※1

・測定が簡単

※1 核心温と※2体表温の差が末梢循

環(ショック)の指標となる。

・連続測定困難

・クーリング機器との接続

困難

・体表冷却時は評価困難

口腔 ※2

腋窩 ※2

血液(肺動脈) ・gold standard ・カテーテル挿入を要する。

食道 ・gold standard を早く正確に 反

・時に挿入困難

・位置により不正確

・経食道エコー、胃管挿入

時に影響

直腸 ・ブローブ挿入容易 ・体位変換や排便時に抜け

やすい

・温度変化の時間的遅れ

・長期留置で潰瘍形成する

こともある

膀胱 ・ブローブ挿入容易

・日常診療で慣れている

・尿量に影響を受ける

・温度変化の時間的遅れ

■Arctic Sun5000 の初期設定

Arctic Sun5000 導入を参照

【低体温療法維持期の管理】

目標体温持続時間:12~24 時間(医師の指示)

※目標深部体温になってから!

■合併症

2. シバリング

・シバリングとは、熱の出初めなどで体が震えたり、寒い時に口ががたがた

震えたりすることで、体温が下がった時に筋肉を動かすことで熱を発生させ、体温を保とうと

する生理現象。低体温時は 35.5℃~33.5℃の範囲がシバリングを起こしやすい(シバリング・

ゾーン)。シバリングが起こると予定の核心温に到達するのが遅れたり、酸素消費量増加、心筋

虚血などを来す恐れがある。

・ 低体温療法導入に数時間かける徐冷(slow cooling)では、シバリング・ゾーンにとどまる時

間が長いため、患者は一時的にシバリングを起こし、末梢循環障害を発生することが多くなる。

・この温度範囲を短時間で通過する急速低体温(rapid cooling)により、33℃に到達すると、シ

バリングを生じにくいと言われている。

・体表面冷却を用いる場合はシバリングを予防するため、目標体温 35℃以下の場合には、鎮静薬、

筋弛緩薬を併用することが多い。

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・シバリングは、核心温と比較して、末梢温が低い時に熱生産を目的に発生するため、核心温と

末梢温の解離を少なくするよう体温管理を行う。

シバリング予防

○保温 末梢を保温する。 ○鎮静 目標:RASS -4~-5

○鎮痛 ○筋弛緩

シバリング発生時

○指示の薬剤を調整する。

3. 循環動態への影響

・軽度低体温で 35℃からやや低下した程度であれば、末梢血管収縮による血圧上昇や心拍数増加を

認めることもあるが、さらに深部体温が低下して 32℃に近づくと徐脈や血圧低下などの循環抑制

が著明になる。

・寒冷利尿による循環血液量減少も心拍出量低下の原因となるため、的確な補液が必要である。

・過度な循環抑制による心拍出量の低下は、脳循環にも悪影響を与える可能性がある。

4. 不整脈

・低体温に伴う心電図変化として、PQ 間隔や QT 間隔の延長、Osborne 波

(J 波)の出現、洞性徐脈や VF などの不整脈の出現があげられるが、治療が必要な危険な不整

脈は軽度低体温レベルはまれとされている。

・心停止の原因が、心筋梗塞などの心源性の場合には基礎疾患に由来する致死的不整脈の発生も

考えられるため、厳重な心電図モニタリングが必要である。

5. 電解質異常

・電解質異常は、不整脈の誘因となるため適切な補正が求められる。

・低カリウム血症:低体温中に血清カリウムイオンは、腸管内や細胞内へシ

フトするために低カリウム血症になりやすいため、積極的なカリウム補正(≧3.5mEg/ℓ)が必

要である。しかし、復温時には、逆に高カリウム血症と

なる危険性があることに注意する。

・低マグネシウム血症:寒冷利尿作用による尿量の増加が原因と考えられており、低体温療法

中には積極的なマグネシウムの補充が必要である。

6. 高血糖・低血糖

・低体温中は、糖代謝が抑制され高血糖が惹起される。また、心停止という

身体 大のストレス状況下であり、血糖の変動は著明である。高血糖は、虚血性脳傷害を悪化

させることが報告されており、血糖をモニタリングしながらの厳重な管理が必要であるが、低

血糖は避けるべきである。

血糖管理: 100~180 mg/㎗で管理

7. 血液凝固異常

・低体温中は、血小板の減少と凝固因子活性低下による出血傾向に注意する。

(なお、低体温療法中に低下した血小板数は復温により再上昇することが報

告されている。)

8. 感染

・低体温に伴う炎症性サイトカインの産生抑制や好中球機能の抑制などによ

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り、低体温療法中の感染リスクが増加する。

・多くは気管挿管による人工呼吸を受けているため、呼吸器系感染症の対策

が必要である。

・低体温療法中は、発熱を認めないために発見が遅れる可能性があり、十分

な注意が必要である。

9.褥創(皮膚チェック)

・低体温療法中はArctic Sunによる冷水刺激を伴う為、4~6hに一度は皮膚チェックを実施する。

パッドを剥がす時は引っ張らず、ゆっくりと剥がすことを心がける。チェック部位としては腋

窩など、パッドの淵周辺部位とする。気になる部位については、適宜皮膚保護材をカットして

貼付け、その上から Arctic Sun のパッドを貼り付ける。

■低体温における生理学的変化

【復温期の管理】

□ 復温開始時刻: 日勤帯で行うことが望ましい。

復温開始時期 24 時間後

目標復温時間 医師の指示

復温速度 0.25℃/hr

目標体温 36℃

薬剤中止時期 鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬は、目標正常温に達成するまで継続。

■復温時の合併症

□低血圧 □高カリウム血症 □低血糖 □高体温 □肺炎

■神経学的評価

体温 循環 呼吸 神経系 代謝・内分泌

軽度

32~

35℃

末梢血管収縮、血圧

上昇、心拍出量増

加、利尿

過呼吸およびその後

の分時換気量低下、酸

素消費量低下、気管支

痙攣

倦怠感、健忘、無感

情、無関心、構音障

害、判断力低下、混

迷、運動失調

カテコラミン、副

腎皮質ホルモン、

甲状腺ホルモンの

分泌増加

中等度

28~

32℃

徐脈、心拍出量低

下、心室性不整脈の

出現増加、J 波出現

分時換気量低下、二酸

化酸素産生低下、酸素

消費量低下、咳嗽反射

消失、咽頭反射低下

脳波の異常、意識レ

ベル低下、散瞳、幻

覚、呼びかけに無反

応、腱反射低下

インスリン効果減

高度

28℃未満

血圧低下、著しい徐

脈、心拍出量低下、

尿量低下、リエント

リー性不整脈の出

現、VF,心停止

肺うっ血、肺水腫、酸

素消費量低下、咽頭反

射消失、無呼吸

無動、末梢神経伝達

速度遅延、脳血流低

下、昏睡、反射消失、

脳波の平坦化

基礎代謝の著しい

減少

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低体温療法関連資料2 低体温療法の流れと合併症

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低体温療法関連資料3 鎮静評価 RASS( Richmond Agitation- Sedation Scale) 平成 26 年 10 月 27 日作成

日本呼吸療法医学会の人工呼吸中の鎮静のガイドラインで推奨している鎮静レベルの評価法。

□ 鎮静の目的:「患者の不安感を和らげ、快適さを確保すること。」 ※眠らせることではない。

□ 鎮静の評価:鎮静薬使用により、その目的が達成されているかを定期的(1~数時間間隔)に評

価。RASS を用い、鎮静状態を評価し、鎮静レベルの調整を行う。

□ 鎮静薬や薬剤の調整は、医師の指示に従う。

□ 鎮静度:RASS スコアを用い、目標値を設定する(医師の指示)。

【 RASS 評価方法 】

0 を中心に 10 段階に分かれていて、プラスでは興奮、マイナスでは鎮静が強いと評価する。

ステップ1 30 秒間、患者を観察する。これ(視診のみ)によりスコア 0〜+4 を判定する。

ステップ 2 1) 大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う。

2) 10 秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す。

以上2項目(呼びかけ刺激)によりスコア -1〜-3 を判定する。

3)動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する。

これ(身体刺激)によりスコア-4、 -5 を判定する。

スコア 用 語 説 明

+ 4 好戦的な 明らかに好戦的な、暴力的な、スタッフに対する差し迫った危険

+ 3 非常に興奮した チューブ類またはカテーテル類を自己抜去;攻撃的な

+ 2 興奮した 頻繁な非意図的な運動、人工呼吸器ファイティング

+ 1 落ち着きのない 不安で絶えずそわそわしている、しかし動きは攻撃的でも活発でもない

0 意識清明な 落ち着いている

‐1 傾眠状態 完全に清明ではないが、呼びかけに 10 秒以上の

開眼及びアイ・コンタクトで応答する

呼びかけ刺激

‐2 軽い鎮静状態 呼びかけに 10 秒未満のアイ・コンタクトで応答 呼びかけ刺激

‐3 中等度鎮静 状態呼びかけに動きまたは開眼で応答するがア

イ・コンタクトなし

呼びかけ刺激

‐4 深い鎮静状態 呼びかけに無反応、しかし、身体刺激で動きま

たは開眼

身体刺激

‐5 昏睡 呼びかけにも身体刺激にも無反応 身体刺激

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i) 救急外来で死亡した患者の取り扱い

1.異状死体の届け出 医師が異状死体(妊娠 4 か月以上の死産児を含む)を検案したときには 24 時間以内に所

轄警察署に届け出なければならない(医師法 21 条)。どのような死体が「異状死体」かは法

律的に明記されていないが、日本法医学会学会の見解では①外因による死亡、②外因による

傷害の続発症や後遺症によるもの、③左の①または②の疑いがあるもの、④診療行為に関連

した予期しない死亡またはその疑いのあるもの、および⑤死因が明かでない死亡がこれに含

まれる。届け出は電話でもよく、届け出先は発生地の警察署(八幡浜市・伊方町は八幡浜警察

署)である。

2.異状死体の取り扱い(検死と死体検案) 所轄警察署に届出された異状死体はすべて「検視」の対象となる。検視は検察官やその代

行者の警察官(司法警察官)が死体の状況、現場、着衣、所持品などを検査することをいい、

必ず医師の立ち会いのもとに行われる(検視規則 5 条)。検視の一環として警察官が死体の

外表を検査する場合を「検死」、立ち会い医師が死体の外表を観察・検査してその所見に基

づき医学的判断をすることを「死体検案」という。

*検視の実際:救急処置室収容前または後に死亡した傷病者で「異状死体」に当たる場合、 1)救急隊員あるいは医師が所管警察の検案係(八幡浜市・伊方町の場合:八幡浜警察署刑事

課(代表 0894-22-0110))へ電話連絡をする。 2)着衣および持ち物はそのままとし汚染があっても捨てない 3)吸引物、排泄物なども検案終了するまで捨てない。確認後に捨てる 4)溺水や薬物中毒の場合、胃内容の量、内容物を確認する。時に採血が必要となる場合が

あり、医師が採血する(容器は喀痰培養用または警察指定の物) 5)検案終了時検案係と医師の面談があり、その後死後の処置を行う。

3.死亡診断書または死体検案書の交付 イ)書類の使い分け 表題の「死亡診断書(死体検案書)」のどちらか一方(「死亡診断書」または「(死体検案

書)」)を二重の横線で消し(押印は不要)、どちらの診断書であるかを明確にする。

ロ)以下の場合は死体検案書を交付する。 (1)診療継続中の患者以外の者が死亡した場合

(2)診療継続中の患者が診療にかかわる疾病と関連しない原因により死亡した場合 ⇒ 医師は死体検案を行い、

〇異状があれば異状死体の届け出を行う。 → 通常、警察から死体検案を依頼され、死体検案書を交付。 〇異状がなければ(警察への届け出はせず)死体検案書を交付。

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(3)外因死やその疑いがある場合 〇異状死体として警察へ届け出る → 通常、警察から死体検案を依頼され、死体検案書を交付。

(4)例外規定:診療中の患者が 後の診療後 24 時間以内に死亡した場合は、たとえ死亡に

立ち会っていなくても「死亡診断書」を交付できる(異状のないことが前提)

ハ)死亡診断書(死体検案書)作成の具体的手順(平成 20 年 10 月1日から実施)

(1)死亡診断書(死体検案書)用紙にカーボン紙を敷かずに記入し、看護師等に手渡す(遺

族に直接渡さないこと)。 (2)看護師等がコピーを◆21部作成(診断書または検案書の部分のみ)。1 部を診療録に補

綴、1 部を死亡診断書綴りに補綴する電子カルテ(STELA)に取り込み保存する。

(註)・未記入の死亡診断書(死体検案書)は各◆詰所病棟スタッフステーションおよび救急処置室

に保管する

・患者家族等が保険請求等で死亡診断書を請求したときは、診断書作成補助従事者が診断書

を作成し、医師の確認後、記名押印して交付する(通常の診断書と同じ)。

4.霊安室を使用する場合の注意点 ・守衛室に電話をして霊安室の鍵を開けてもらう。 ・遺体を霊安室に搬送する。 ・家族が同席する場合はろうそく、線香を使用する。 ・帰宅される時間を家族に確認し、迎えに来られたときに救急室に連絡してもらうよう伝 える。

・遺体の見送りの後、ろうそく、線香の火元を確認し、後始末をする。 ・シーツ交換は使用した看護師が行う。

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参考1:入院後の死体検案について 院外から搬入された重篤な傷病者が入院後に死亡することがある。その場合、原死因(お

おもとの原因)が外因またはその疑いがある場合、警察への届け出が必要となる。 ・例)縊首で搬入され蘇生成功し、入院後 肺炎で死亡(直接の死因は肺炎)した場合でも、

原死因は縊首(外因)となり、届け出が必要です。 ・死亡時期が入院日や受傷日から何か月たっていても届出を省くことはできません。

参考2:死亡診断書と死体検案書の使い分け

厚生労働省 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル平成 23 年度版より

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j)心肺蘇生時の記録と使用薬品(病棟等での蘇生対応と共通)

1.心肺蘇生時の記録

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No.2(裏面)

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2.心肺蘇生時に使用する主な薬剤

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j) 救急外来 → k)救急部門におけるその他の申し合わせ

1.救急外来での静脈点滴回路の選択について(平成 19 年 11 月)

(1)静脈点滴回路選択に関する原則 ・輸液を指示した医師の具体的指示があればそれに従う(看護師は必要により

医師の指示を確認)。 ・具体的な指示がない場合

*内科、脳外科、小児科が管理することが予想されれば微量点滴セットで準備。 *上記以外の診療科が管理することが予想されれば通常の点滴セットで準備。

(2)患者引継後の対応

患者を引き継いだ医師が微量点滴(または通常の点滴セット)の方がよい

と考えた場合には、その時点で回路交換などの対応をする(関与した複数の

医師の判断が異なることを問題としない)。 (参考)1セットあたりの価格は通常回路 40 円、微量点滴 120 円(平成 19 年 11 月)

2.在宅酸素療法(HOT)中の患者収容時の注意点(平成 19 年 10 月)

在宅酸素療法中の患者が救急車で収容された場合、救急外来看護師からリスクマネジャー

に連絡する(勤務時間外に患者を収容した場合は平日日勤帯に看護主任より連絡)。自宅な

どで使用中であった機器や酸素残量などの安全性をチェックするため。

◆3.当院における緊急コールの仕方(心停止時など)・・病院全体で共通

ダイアル66(全館放送) → 音声「99番、どこそこまで(患者の所在)」

応援して貰いたい職種などを指定したい時は

ダイアル66(全館放送)→ 音声「99番、どこそこまで、〇〇(職種)の応援を御願いします」

註)平成 27 年 7 月より固定電話のみならず PHS からも緊急コールを発信できることになり、

また操作番号が6番から66番に変更された(誤発信を防止するため)。

(参考 1)病棟での患者急変と日・当直医の業務 (平成 21 年 5 月 7 日、救急委員会)

入院患者(診療科のいかんを問わず)の急変への対応は日・当直医の重要な業務となって

いる。心肺停止をはじめとする病棟での患者急変に際し、看護スタッフは担当医に連絡する

とともに日・当直医にも連絡と応援要請をすること。

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(参考 2)医師以外の職種による除細動器使用について

(平成 23 年 5 月 26 日、運営委員会で了承)

イ)院内での心肺蘇生対応において医師不在時には、所定の講習を受講済みの職員が自動体

外式除細動器(AED)の使用を含む一次救命処置を速やかに実施することができる。

ロ)院内での心肺蘇生対応において、医師の立ち会い・指示により看護師、工学技士(ME)

などが手動式除細動器を作動させることができる。その場合、医師が心電図波形を診断

し、放電エネルギー量を決定する。

◆4.蘇生後カンファレンスについて(平成 26 年 2 月 日の救急・災害対策委員会で提案、了承)

救急部門または病棟での心肺蘇生事例のうち職員間で共有すべき症例について、15~60分程度でカンファレンスを行う。資料は救急・災害対策委員会で保管する。 カンファレンス開催の申し込み先―救急部長 越智元郎、外科 中島正夫、外来 ◆叶

恵美、城戸千恵子、宮谷理恵、◆看護部 高橋砂智子、3東病棟 川口久美

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XII.救急診療の手引き(各科提供資料)

a)循環器科

(1)はじめに

当院の循環器科は平成 20 年 4 月から1人体制となったが 21 年 11 月からは2人体制とな

り、急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症)と不整脈に時間帯を問わず対応すること

に加え、内科系当番医が対応していた心不全についても循環器科が対応することとなった。

ただし救急受け入れ制限をしている土曜日終日については、土曜日日中(8:30~18:00)に

おける急性冠症候群を除いて対応しない。

[表] 循環器疾患に関する連絡体制

■循環器科へ連絡する症例

1)不整脈症例 □備考

2)心電図変化を伴う胸痛症例 ・心電図異常があれば循環器科

3)循環器疾患として他施設より紹介された症例 医師へ FAX で送信。

4)当院で CAG 施行歴あり(特殊フォローアップ患者) ・心不全を疑った場合、原則とし

5)解離性大動脈瘤、深部静脈血栓症、肺塞栓症 て心エコー検査を実施。

6)心不全患者

(2)日・当直医のための胸痛診療の手順 急患室を受診した、あるいは院内発症の胸痛患者を、どのような形で循環器科医師につな

げばよいかをまとめた(平成 22 年 9 月 28 日、診療部会で了承。平成 25 年 5 月改定)。

*対象=急性心筋梗塞・不安定狭心症の疑いで来院・収容した患者

1)12 誘導心電図を記録 明らかな ST 上昇または低下が認められる場合は、循環器医師に連絡して心電図を FAX送信する。紛らわしい心電図の時も連絡可。

2)ビカネイト 500mL で静脈路を確保(微量用点滴セット) 3)採血 検査セット「CP 胸痛」で提出

(2010.08.31 採血内容を循環器医師に確認)

※H‐FABP(ラピチェック)が(+)であれば、トロポニンT検査を行う(検査室で対応)。

採血内容項目 採血用器の色

X2 紫色

L44・R1・M1・F1・I(感染症)

CRP・GLU・CK・CK-MB

黄または茶色

(救外では黄)

APTT・PT・Dダイマー 水色

H-FABP(ラピチェック)・トロポニンT 緑色

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4)酸素投与 SpO2が低下しないように適宜投与。 5)胸痛が激しい時、ST 上昇時 ペンタジン® 15 mg を 1/2 A 筋注 6)ST 低下時 ニトロペンを舌下投与 7)胸部のレントゲン撮影 8)心エコー検査 9)内服薬 心カテ内服セットは、救急処置室・内科処置室に各1セット置く。 既往歴・内服薬等を確認し、医師の指示のもとで内服する。 ◆<心カテ内服セット>

プラビックス

(75mg) 1 錠

エフィエント

(5mg) 4 錠

プラビックス

(75mg) 4 錠

バイアスピリン

(100mg) 1 錠

バファリン

(81mg) 4 錠

バイアスピリン

(100mg) 2 錠

タケプロンOD

(15mg) 1 錠

パリエット

(10mg) 1 錠

タケプロンOD

(15mg) 1 錠

プレタールOD

(100mg) 1 錠

(心カテ内服セットの配置場所:救急処置室・内科処置室・4東病棟)

(3)不整脈のために来院、収容された患者

1.当院に通院中の患者で診療録に施行歴のある処置については、上室性不整脈の場合 ビカ

ネイト®で静脈路確保の上、実施してみる。発作性心房細動や発作性上室性頻拍で洞調律

に復帰しない場合は循環器科医師に相談する。

2.心室性不整脈(連発および多源性)はビカネイト®で静脈路確保の上、循環器科医師へ連

絡。この際、X1 または X2、L44、R1、M1、Glu を提出する。

3.徐脈性不整脈の場合も心室性不整脈と同様に対応。心拍数が 30bpm 以下の場合は、経皮ペ

ーシング電極を装着し、必要により作動させる。

(4)呼吸困難(心不全疑い)のために来院、収容された患者

呼吸困難を訴える患者で心不全が疑われる場合、静脈路を確保し、心室性不整脈と同様

の検査項目を提出した上、循環器科へ連絡をする。

[註] この章では「内科当番医」という表現を「内科系当番医」に変更した(平成 21 年 6 月)。

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◆b)小児科

(1)発熱

小児が発熱を主訴として受診した場合、全身状態が悪くない児は解熱鎮痛剤のみ処方し、

翌日、小児科(かかりつけ医)を受診するように指導する。全身状態が悪い場合は、小児科

当番医に相談する。乳児期早期の発熱(生後 3 ケ月まで、38.5℃以上)は小児科入院治療の

適応があり得るので、小児科当番医に連絡する。

【解熱鎮痛薬】

アセトアミノフェン:10mg/kg/回

救急外来:アンヒバ坐(100mg)、カロナール細粒(200mg/包)

当院採用薬:アンヒバ坐(100mg・200mg)、カロナール細粒、カロナール錠(300mg)

イブプロフェン:5mg/kg/回

救急外来:ユニプロン坐(50mg・100mg)

当院採用薬:ユニプロン坐(50mg・100mg)、ブルフェン錠(200mg)

・ 救急外来では基本的にアセトアミノフェンを頓用で処方する。

・ 小児への安全性が確立されているのはアセトアミノフェン・イブプロフェン

の2剤である。

・ 解熱・鎮痛効果はアセトアミノフェン<イブプロフェン。

(2)けいれん

来院時、けいれんが収まっているようであれば特に処置は必要ない。来院時けいれんが持

続していれば、抗けいれん剤(ダイアップ坐・セルシン注)の投与を考慮する。けいれんが

30 分以上持続したり、短いけいれんが何度も起こり、けいれんのない時でも意識レベルの

低下が長く続くような場合(けいれん重積状態)は、小児科当番医に相談する。

【抗けいれん薬】

ジアゼパム:0.3~0.5mg/kg/回、上限:1mg/kg/day

救急外来:ダイアップ坐(4mg・10mg)、セルシン注(10mg/2ml/A)

当院採用薬:ダイアップ坐(4mg・6mg・10mg)、セルシン注(10mg/2ml/A)

具体例 体重:10kg ダイアップ坐(4mg)1 ヶ/回

体重:15kg ダイアップ坐(6mg)1 ヶ/回

ダイアップ坐(10mg)1/2 ヶ/回

体重:20kg 以上 ダイアップ坐(10mg)1 ヶ/回

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(3)嘔吐

小児の場合、多くはウィルス性胃腸炎(いわゆる嘔吐下痢症)が原因。腹痛を伴う場合に

は、ケトーシス(いわゆる自家中毒)に陥っていることもある。尿検査(テストテープ)で

ケトン体をチェックする。嘔吐が頻回、続いている、ケトーシスの場合は輸液を考慮する。

輸液後も嘔吐を繰り返す、顔色が悪いなど症状が強い場合は、小児科当番医に相談する。

【制吐薬】 ナウゼリン坐:1 mg/kg/回 (1 日 3 回まで) ナウゼリン内服:1~2 mg/kg/day 分 3 食前、上限:30 mg/day 救急外来:ナウゼリン坐(10mg・30mg)

当院採用薬:ナウゼリン坐(10mg・30mg)、ナウゼリン DS、ナウゼリン錠(5mg)

【輸液】

生食(+糖液):10ml/kg を 10ml/kg/hr で点滴静注。

乳酸加リンゲル液:10ml/kg を 10ml/kg/hr で点滴静注。

具体例 体重:10kg 生食 100ml を 1 時間で点滴静注 または

生食 100ml+20%糖液 20ml を 1~2 時間で点滴静注。

体重:20kg ソルラクト D(250ml)を 200ml/hr で点滴静注。

(4)下痢

小児の場合、多くはウィルス性胃腸炎(いわゆる嘔吐下痢症)が原因のため、基本的に整

腸薬のみで経過観察する。血便、腹痛が強い場合は細菌性腸炎の疑いがある。症状が強い場

合は、小児科当番医に相談する。

【整腸薬】

ラックビー:0.1g/kg/day 分 3 (上限:3g/day)

エンテロノン R:0.1g/kg/day 分 3 (上限:3g/day)

救急外来:ラックビー(1g/包)

(5)腹痛

小児の腹痛の 30~40%は便秘が原因と言われている。全身状態・腹部所見に問題(顔色

不良・筋性防御など)がなければ、浣腸をしてもまず問題はない。症状が強い場合は、小児

科当番医に相談する。

グリセリン浣腸:1~2 mL/kg

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(6)気管支喘息

呼気時の喘鳴を聴取する場合、喘息の既往があり咳がひどいときには、ベネトリンを吸入。

◆ベネトリン吸入

3 ヶ月未満 ベネトリン 0.1mL+生食 1mL

3 ケ月~6歳 ベネトリン 0.2mL+生食 1mL

6 歳以上 ベネトリン 0.3mL+生食 1mL

ベネトリン吸入後も喘鳴が残存するようなら、ステロイド点滴静注を。

サクシゾン 5mg/kg/回+生食(50mL~100mL)を 30 分~1 時間かけて点滴静注

これでも症状の改善がない場合には入院治療の適応があり得るので、小児科当番医に相談

する。

◆(7)クループ

犬吠様咳嗽・嗄声・吸気時喘鳴を主訴に受診した場合は、まず

ボスミン吸入:吸入用ボスミン液 0.5mL+生食 2mL

これで、症状が軽快した場合には帰宅可能(ただし帰宅後に症状の再燃あれば再診するよ

う指示)。

症状の改善なければ、ステロイド点滴静注(入院治療)の適応があり、小児科当番医に相

談する。

(8)小児常用薬の投薬量

◆【総合感冒薬】

・ 2歳未満の乳幼児には幼児用PL顆粒は禁忌―厚生労働省医薬食品局安全対策課長の通知

(薬食安発第 0602001 号、平成 18 年 6 月 2 日付)に基づく― ・ インフルエンザ・水痘患者へは原則的に投与を回避(ライ症侯群との関連性のため) 2歳以上:幼児用PL顆粒の処方が可能。

(幼児用PL顆粒 1g には通常のPL顆粒 1/6g の成分が含まれている)

添付文書での投与量 2~4 歳:1回1g、5~8 歳:1回2g、9~11 歳:1回3g 1日4回

処方量の目安 幼児用PL顆粒 0.3g/kg/day 分 3

10kg:3g/day 分 3

20kg:6g/day 分 3 通常のPL顆粒:1g/day 分 3 と同効

30kg:9g/day 分 3 通常のPL顆粒:1.5g/day 分 3 と同効

40kg:12g/day 分 3 通常のPL顆粒:2g/day 分 3 と同効

50kg:15g/day 分 3 通常のPL顆粒:2.5g/day 分 3 と同効

60kg:18g/day 分 3 通常のPL顆粒:3g/day 分 3 と同効

救急外来:小児用 PL (1g/包)

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【咳止め】 アスベリン Sy:0.6mL/kg/day 分 3 (上限:24mL/day)

アスベリン散:2mg/kg/day 分 3 (上限:80mg/day)

【鼻水止め】

◆ペリアクチン Sy:0.4mL/kg/day 分 3 (上限:30mL/day)

テルギン D GS:0.04mg/kg/day 分 3 (上限:2mg/day)

救急外来:テルギン G DS (0.2mg/包)

【痰切り】

ムコダイン Sy:0.6mL/kg/day 分 3 (上限:30mL/day)

ムコダイン DS:30mg/kg/day 分 3 (上限:1500mg/day)

ムコサール DS:0.9mg/kg/day 分 3 (上限:45mg/day)

【気管支拡張薬(β2刺激剤)】

メプチン Sy:0.6mL/kg/day 分 3 (上限:20mL/day)

ベラチン DS:0.04mg/kg/day 分 3 (上限:2mg/day)

ツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)0.5~3 歳:0.5mg 3~9 歳:1mg 9 歳以上:2mg

15kg 未満:0.5mg 15~30kg:1mg 30kg 以上:2mg

救急外来:ツロブテロールテープ(0.5mg・1mg・2mg)

【抗生剤】

トミロン細粒:9~18mg/kg/day 分 3 (上限:300mg/day)

メイアクト細粒:9mg/kg/day 分 3 (上限:300mg/day)

フロモックス細粒:9mg/kg/day 分 3 (上限:300mg/day)

救急外来:フロモックス細粒(50mg/包)

ジスロマック:10mg/kg/dayX3days 分 1 (上限:500mg/day)

クラリシッド DS:15mg/kg/day 分 3 (上限:400mg/day)

救急外来:クラリシッド DS(50mg/包)

ホスミシン:40~120mg/kg/day 分 3 (上限:3g/day)

【抗インフルエンザ薬】

・ 1歳未満:タミフルは原則的に使用しない(安全性が確立されていないため)。 ・ 1歳以上~10 歳未満:タミフル DS:4mg/kg/day 分 2 (上限:150mg/day)処方は可能。

ただし、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少な

くとも2日間、保護者などは小児が一人にならないように配慮することについて家族に

説明する(詳しくは緊急安全性情報、2007 年 3 月 No.66-01 参照)。

http://www.chugai-pharm.co.jp/html/info/070321.html ・ 10 歳以上:タミフルは原則的に使用しない(異常行動との因果関係が不明なため。先天

性心疾患など基礎疾患のある患児などでは投与する場合もある)。

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c)整形外科 (平成 25 年 8 月 22 日の運営委員会で了承)

(1)四肢、骨盤、脊椎の外傷 日・当直医が X-P 撮影後、「処置の方法がわからない」あるいは「翌日の整形外科外来ま

でに整形外科的診察を要する」と判断すれば、整形外科医(当番医)に連絡する。

(2)胸腹部外傷の合併

日・当直医が X-P、CT 検査を行い、必要により放射線科医(当番医)に読影を依頼する。

胸腹部損傷があれば、外科医(当番医)に連絡する。日・当直医、外科医および整形外科医

が治療内容について協議する。

(3)頭部外傷の合併 日・当直医が CT 検査を行い、必要により放射線科医(当番医)に読影を依頼する。頭部

損傷があれば、日・当直医、脳神経外科医および整形外科医が治療内容について協議する。

(4)治療中あるいは未治療の他科的疾患を有する場合 日・当直医が各科専門医師に連絡する。各科専門医師と整形外科医が治療内容を協議。

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d)眼科 (平成 20 年 1 月 10 日作成)

(1)はじめに 当院では平成 20 年 4 月より眼科は常勤医師不在となったが、派遣医師による外来診療は

継続している。以下は眼科専門医から日・当直医への眼科救急に関するアドバイスであり、

参考にしていただきたい。

(2)よく遭遇する症例

眼科救急でよく遭遇するのは目の痛みを訴える症例で、ほとんどは角膜障害で、その中で

も代表的なのがコンタクトレンズ障害である。多くはコンタクトレンズが古かったり、装用

方法や手入れが不適切なケースである。コンタクトレンズ以外に外傷、打撲、けんかなどに

よる場合もある。点眼麻酔剤のベノキシール点眼薬を点眼して症状が治まれば、まず角膜障

害と考えてよい(ただし角膜障害を悪化させるので、ベノキシールは絶対に処方しないこと)。

処置としてはタリビッド眼軟膏を眼内に塗布し眼帯をした上で、翌日の眼科受診を勧める。

ちなみに鎮痛剤の内服はあまり効かない。

次によく遭遇するのが、金属を削る作業中に生じる鉄片などによる角膜異物である。こ

れはベノキシール点眼で表面麻酔をしてから異物針などで摘出するが、非常に小さい異物な

ので眼科医でなければ難しい。救急での処置としてはまずベノキシール点眼薬で痛みを取っ

た上で異物の有無を肉眼で確認する。異物があれば下記の方法で眼科受診を勧め、不可能で

あれば生食 100mL で眼洗浄をした後に、タリビッド眼軟膏を眼内に塗布し眼帯をした上で、

翌日の眼科受診を勧める。

また、上眼瞼(うわまぶた)の裏の眼瞼結膜異物にもよく遭遇する。上眼瞼を翻転させて

みるとまぶたの縁(ふち)から少し離れたところ(異物溝と呼ばれている)に引っかかって

いることがほとんどであり、異物を除去することによって痛みはすぐに軽減する。上眼瞼の

翻転さえできれば比較的簡単な処置と言えるので、挑戦してみてもよい。無理ならタリビッ

ド眼軟膏を眼内に塗布し眼帯をした上で翌日の眼科受診を勧める。

(3)眼科の緊急疾患とその処置法 次に眼科で緊急の処置が必要な疾患についてまとめる。それほど数は多くなく、下の

3つに絞られる。

1.緑内障発作

正式には急性閉塞隅角緑内障という。中年以降の女性に多く、急激な眼痛または頭痛、 吐き気、目の充血、視力低下が主症状とする。頭痛を主に訴える場合もあるため、眼科以外

で見逃され、CT スキャンなど頭部の検査を受けているうちに高度の視力障害を残すケース

もあるので、注意が必要。この疾患の可能性さえ頭に浮かんだら、診断は簡単である。目は

明らかに充血していることが多く、器械で眼圧を測らなくても、まぶたの上から眼球を触っ

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てみれば、片目が異常に硬い(=眼圧が高い)のが誰にでもわかる。また軽度散瞳している

ことが多いので、ペンライトで照らした場合に対光反射が欠如していることも多い。この場

合は緊急の薬物治療とレーザー治療、時に手術が必要であり、少しでも緑内障発作を疑った

場合は下記の手順に従って眼科医にコンサルトする。

2.網膜中心動脈閉塞症 中高年に多く、片目の視力が急激にほとんどなくなる。一瞬にして症状が完成することと

視野全体が真っ暗になることが特徴である。原因は血栓などが網膜中心動脈という細い動脈

を詰まらせてしまうために、網膜の血流が途絶してしまうことである。従って、心房細動な

どの不整脈や、動脈の閉塞・炎症を持病とする患者が多い。症状が特徴的なので、問診のみ

で診断することができることも多い。 網膜は神経組織であるから、すぐに血流が戻れば視力も回復するが、およそ 20 分もたつ

と回復が非常に難しくなる。この疾患の処置は一刻を争うので、下記の手順に従って眼科医

にコンサルトする。 その場で出来る処置としては眼球マッサージがある。これは目を圧迫して解除するという

行為を数秒置きに繰り返すことによって血栓などを飛ばすもの。具体的には 5 秒間 目を圧

迫し、5 秒間 圧を解除する。眼科医に連絡がつくまでの間、施行継続する。また Paperbag rebreathing(いわゆるエアバック呼吸)も実施する。これにより吸気中の二酸化炭素濃度

が上るため血管が拡張して血流が戻りやすくなる。 その後の処置としては血栓溶解剤投与、眼圧下降剤投与、高圧酸素療法などがあるが、そ

れらについては眼科医の指示に従う。

3.アルカリ眼外傷 熱傷や酸による外傷に比べ、アルカリ外傷は非常に予後不良。アルカリ物質(具体的には

生石灰、セメント、パーマ液など)は組織への深達性が強いため、時間がたつと奥の方まで

高度の障害をきたし、本来透明であるべき角膜が真っ白に濁ったり、まぶたが癒着して眼が

開かなくなったりする。従って、網膜中心動脈閉塞症と同様に一刻も早く処置をしなければ

ならない。この場合の緊急処置は簡単である。少しでも早く大量の水で目を洗うこと、これ

に尽きる。洗面器に水を張ってその中で目をパチパチさせるなどというのでは不十分である。

水道の蛇口に目を近づけて流水で 10~15 分以上目を洗うように指示する。それと同時に下

記の手順に従って眼科医にコンサルトする。

(4)コンサルト依頼先

1) 月・火曜日の夜は市立大洲病院、水~土曜日の夜は市立宇和島病院、

県立中央病院、愛媛大学病院に連絡して患者の受け入れを依頼する。

2) 土曜日の昼は八幡浜市内の開業医が診療している。また日曜日の昼は

大洲の末光眼科という開業医が診療している。

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e)放射線科 (平成 21 年 5 月改定、23 年 5 月追加)

イ.総論 (1) はじめに

近、救急診療への要求水準の上昇や訴訟リスクの増大は著しく、CT/MRI/RI などの画

像診断が救急診療の場で求められる機会が増加しています。放射線科では、現在程度の業務

量や人員が保たれる範囲においては、担当医からの緊急読影依頼に積極的に関与する考えで

す。

(2) 時間外でも施行可能な検査

① 一般撮影 ② 消化管造影検査 ③ 単純・造影 CT (ただし、CTA および3D-CT は原則としてできません) ④ 単純・造影 MRI (ただし、心臓 MRI は原則としてできません) ⑤ 以下に示す核医学検査

a. 肺血流検査 b. 脳血流検査 c. 心筋血流検査(Tc-99m tetrofosmin を使用した QGS) d. 消化管出血シンチグラフィー e. メッケル憩室シンチグラフィー f. 甲状腺シンチグラフィー(Tc-99m O4-を用いたもの。摂取率も測定可)

⑥ 血管造影検査および IVR

(3) 放射線科からのお願い

以下の諸点のご協力をお願い致します。

① 臨床情報はできるだけ詳細にお伝え下さい。

②生命の危機に瀕している場合などを除き、造影検査の際の同意書および腎機能検査

は必ずお願い致します。また、アレルギー歴の聴取をお願い致します。 ③意識障害患者における MRI の際には、医師または看護師の立会いをお願い致します。 ④各種の読影のみの場合には検査開始後に放射線科医にご連絡下さい。検査の種類や

方法について疑問がある場合や、造影検査で施行困難な場合などは事前から呼び出し

ていただいて結構です。 ⑤妊婦や小児、各種術後患者などで放射線被ばくや高磁場、RF パルスなどが心配さ

れる場合は放射線科医にご相談下さい。

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ロ.各論 (1)中枢神経系

① 脳血管障害を疑う場合 *原則としてあらかじめ CT を撮って下さい。ルーチンの MRI のみでは出血の判断

が難しい場合があります。 *急性期脳梗塞における CT early sign は相当に画像診断に熟練していないと判断が

難しい場合があります。発症後数時間で強く脳血管障害を疑う症例では、CT で異

常なければ MRI をお願い致します。 *脳幹・小脳は CT ではアーチファクトで判読不能な場合がよくあります。めまいや

意識障害などで脳幹や小脳の梗塞を疑う場合も MRI をお願い致します。 *脳出血が明らかな場合、脳外科転科を考える例では、動脈瘤や脳血管奇形の除外が

必要な場合があります。状況が許せば、MRI をお願い致します。

② くも膜下出血(SAH)を疑う場合

* SAH の CT による診断率は発症 24 時間以内では 92%とされています。時間が

経過した例や、高度な貧血のある患者では CT 偽陰性が発生します。症状など

から SAH を強く疑う場合には、MRI(FLAIR image)をお願い致します。

③ その他 *髄膜炎の診断はCT/MRIでは基本的に困難です。炎症が強く広範な場合に造影MRI

で診断可能な場合がありますが、緊急検査としては勧められません。それらに随伴

する水頭症や脳圧亢進の除外のために髄液穿刺の前に行う CT は、有用です。 *意識障害患者でてんかん重積が疑われる場合、MRI や脳血流シンチグラフィーが有

用な場合があります。 *Wernicke 脳症は MRI が も有用です。 *緊急検査としてはまれと思いますが、転移性脳腫瘍の除外が必要な場合は、CT で

も MRI でも造影検査が必須です。

(2)胸部

① 外傷 *気胸の 30%は初めの胸部 X-p で診断困難であるとされています。疑わしい場合

は CT をお願い致します。 *胸部外傷患者の X-p で縦隔陰影が拡大して見える場合は縦隔血腫の可能性、肺

野にスリガラス影や浸潤影を認める場合は肺挫傷の可能性を疑い CT を撮像し

てください。 ② 肺塞栓を疑う場合

*臨床的に肺塞栓症を疑う場合は、心電図・心エコー・血液検査等も対照して、さ

らに疑われる場合、胸部造影 CT または肺血流シンチグラフィーを施行して下さ

い。

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③ その他 *心不全の診断や肺結核の活動性の診断などには、HR-CT が望まれます。できる

だけ病変部の HR-CT の撮像をお願い致します。 *大動脈解離の診断は原則的には造影 CT または MRI が必要です。例外的に大動

脈の石灰化が著名な患者では単純 CT で可能な場合があります。 *気道異物を疑う場合、ピーナッツやボタンなど金属製でないものでも診断可能な

場合があります。5mm 以下のスライス厚での撮像が必要です。

(3)腹部

① 外傷 *腹部外傷の患者の CT では、原則として単純 CT と造影 CT の両方が必須です。造

影 CT のみでは、造影剤と血腫の density が判断困難な場合があります。強い外傷

患者では必ず両者を撮って下さい。 *左側胸部・側腹部外傷では脾破裂の可能性を念頭において必ず CT を撮ることをお

勧めします。脾破裂においては受傷後数日して生じる delayed rupture があり得ま

すので、患者・家族への説明の際注意が必要です。 *骨盤骨折に血腫を伴う場合、経カテーテル的塞栓療法が適応となる場合があります。

少量(50mL 程度)の造影剤を用いた造影 CT 動脈相(注入速度 1.5mL/sec 以上、

投与開始後 30~40 秒後に撮像開始)の撮像が適応判断のために必要です。

② その他

*上腸間膜動脈血栓症の診断は原則として造影 CT が必要です。 *少量の腹腔内遊離ガスの診断は難しい場合があります。体位の変換や数時間後の

follow up CT が有用な場合があります。 *女性の骨盤内疾患については、原則として MRI が必要です。 *特に高齢痩せ型の患者のイレウスにおいては、閉鎖孔ヘルニアの除外が重要です。

十分尾側まで撮像するようお願い致します。

(4)骨関節 *脊椎圧迫骨折が新しいものか陳旧性のものかの診断には、MRI(脂肪抑制 T2WI 矢状

断)が有用です。 *高齢女性などで軽微な外傷や転倒後に立てなくなった場合などは、大腿骨頚部骨折や内

転筋群の筋挫傷の場合があります。X-p で骨折が明らかでなくても MRI(脂肪抑制

T2WI 冠状断)が有用な場合があります。

ハ.放射線科の平成 23 年度以降の体制 1.平成23年度より放射線科は常勤医1名(原井川医師)+愛大より出張(火、木午前)+

山本尚幸医師(第2月午前午後、第2水午前、第4月午前、第4水午前)の体制となる(加え

て山本医師による遠隔読影を検討中)。 外来患者の画像の所見付けは翌診療日となる。各科医師が撮影当日、放射線科の所見をみ

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て外来フォローアップしたい場合はできるだけ予約検査にする。 原井川医師の時間外対応可否は全科の(月間)待機表をみればわかるようにする(予定を

庶務係長へ報告)。1ヶ月のうち週末2回(金曜19時から月曜7時まで)と週1回(原則水

曜日19時から木曜日7時まで、月により変更の可能性あり)は、時間外読影に対応できない。

その時の休日夜間急患センターからのCT・MRI依頼についても読影はできない。 (診療部会、平成 23 年 3 月 22 日での情報)

2.急患センターから当院への CT・MRI 等の依頼に関して 平成20年7月から、急患センターがCT・MRIなどの撮影を当院へ依頼できることになり、要請が

あれば放射線科医の所見を付けて画像を送付する体制となっている。実際のところ所見を求められ

る場合が多く、射線科医の所見を付けて画像を送付する体制となっていた。しかし、平成23年度か

らは放射線科待機医師不在の日があり、この日は当然ながら急患センター医師が依頼状(照射録)

を書く必要がある。さらには、所見を付けるかどうかは別として、依頼状(照射録)の記載は本来

は急患センター側の仕事である。以上のことより、今後当院放射線室へのCT・MRIなどの撮影依頼に

際しては、放射線科医の所見を依頼するかどうかに無関係に、依頼状(照射録)の記載を急患セン

ター医師にお願いすることになった。

また、CTやMRIに関しても、放射線科医に所見を依頼しない場合には、放射線科診療録を作成し

当院受診扱いにすることはやめることとなった(単純写真のみの依頼と同じ扱い)。

(定例事務連絡会議、平成23年5月16日で了承)

▲f)耳鼻咽喉科 ―診療部会(H230322)で

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XIII.地域の関連機関(休日・夜間急患センターを含む)との連携

平成 20 年 1 月 21 日の八幡浜市医師会救急医療検討委員会において、以下のような分担

で八西地区における救急医療を実施して行く方針となった。その後、平成 20 年 6 月より当

院が水・土曜日の勤務時間外には一次および二次救急患者を原則として受け入れない(特に

内科対応が必要な患者)ことになり、その後 平成 22 年 5 月 12 日からは土曜日のみの受

け入れ停止となった。このため、土曜日については[*]印の業務には必ずしも対応できな

い。

a)軽症救急患者への対応

1)勤務時間内―できるだけ各病医院で対応する。 2)勤務時間外、急患センターが開いているとき ①平成 20 年度以降、レントゲン撮影、血液検査が必要な患者を含め、できるだけ急患セ

ンターで対応できるよう、体制整備をする。 ②市立病院を含む各病医院へ「掛かり付け」の患者も、原則として急患センターが受け 皿となる。

③入院または手術を要する場合や特殊あるいは専門的な治療を要する患者(二次救急患 者)の場合は、市立病院などへ紹介する[*]。

*急患センターが開いている時間帯(準夜帯)までは、各病医院でも患者や家族からの電話での

問い合わせなどには対応する(受診の必要があれば急患センターを受診するよう指導)。

3)勤務時間外、急患センターが開いていないとき ①市立病院が主な受け皿となる[*]。 *市民にはできるだけ勤務時間内に各病医院を、または勤務時間外には急患センターが開いてい

る時間に同センターを受診するよう指導する。

b)救急車搬送患者への対応

1)勤務時間内: 市立病院が対応する他、各病医院でも可能な範囲救急車を受け入れる(消防本部が判断

して収容を依頼)。 2)勤務時間外: 急患センターが開いているときを含め、原則として市立病院が受け皿となる[*](た

だし、救急隊が明らかに入院の必要性がない軽症傷病者と判断した場合はこの限りでな

い)。

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117

c)その他

(1)当院への二次救急医療患者の紹介について 急患センターを含む第一次救急医療施設から市立病院へ、二次救急医療対応を依頼する

場合には、原則として事前の電話連絡と紹介状が必要。

(2) 急患センターの検査体制(当院への委託)について 平成 20 年 6 月から急患センターが当院へ委託することにより、単純レントゲン撮影、

血液検査(検血一般、生化学検査など)を実施できることになった。さらに同年 7 月から

は、救急受け入れ停止日 に関しては、CT・MRI も当院へ依頼できることになった(要

請があれば放射線科医の所見を付けて画像を送付する*)。これにより、受け入れ停止日

においては急患センターで脳血管障害、頭部外傷などの診断をして、適切な医療機関へ紹

介・転送することも可能となった。なお、急患センターから依頼できる検査項目は当院で

勤務時間外において通常に実施できるすべての項目を対象とし、委託される曜日について

も特に制限はない。また、検査中の全身管理は急患センターの責任となる。 *註)平成 23 年度からは放射線科医が 1 人となり、放射線科待機医師不在の日がある。

その日は放射線科の所見付けを依頼することはできなくなった(参考:放射線科の平成

23 年度以降の体制、p.89)。

(3) 急患センターとの協力について ―急患センター・消防本部との協議(22 年 10 月 27 日)

および平成 22 年度第 3 回救急委員会(同年 11 月 2 日)で確認

1. 消防本部が「一次救急患者」と判断し搬送先に急患センターを選んだ場合には急患セ

ンターが対応する。急患センターでの診察して二次救急患者であったり、専門的な治

療が必要とわかれば当院へ紹介し、当院が対応する(平成 20 年 1 月 21 日の八幡浜市

医師会救急医療検討委員会での申し合わせ通り)。

2. 複数の救急車が同時に当院へ傷病者を搬送していることがあり、新たな患者への対応

が遅くなることがある。そのような場合に、通常の一次救急患者より少し重症度が高

い傷病者についても、急患センターで可能な範囲で初期対応をする。そして、診察し

て二次救急患者であったり、専門的な治療が必要とわかれば当院へ紹介し、当院が対

応する。消防本部は当院への救急車重複などに関して急患センターへ情報提供に努め

る。

(4) 急患センターから当院へ紹介された患者に関する返信について

急患センターから当院へ紹介した患者に対する返信をいただきたいという意見が出

た(救急委員会、平成 23 年 2 月 1 日)。これに対する一つの方法として、急患センタ

ーからの患者の簡単な経過を医事係から急患センターへ、受診報告書として送付するこ

とになった。さらに詳しい情報提供を求める急患センター医師もいるとのことで、入院

サマリーのコピーを送付するなどの方法を今後検討する。

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受診報告書

医療機関名 急患センター

先生御侍史

1.患者氏名 様

2.受診報告

月 日

□ 科(担当 医師)に受診されました。

□ 科( 病棟)に入院となりました。

(病名: )

ご紹介いただき、ありがとうございました。

取り急ぎご連絡申し上げます。

(5) 急患センターと当院の連携に関する八幡浜医師会での確認事項

八幡浜医師会 救急検討委員会(H25.2.7 開催)の確認事項について 八幡浜医師会から会員向け FAX(H25 年 2 月)

平成 25 年 2 月 7 日(木)午後 7 時から開催された救急検討委員会において、確認された事項があります

のでご連絡させていただきます。なお、議事録については少し時間を要しますが、後日配布させていただ

きます。

確認事項

① 休日・夜間急患センターの当番医が、二次救急が必要と判断し、市立八幡浜総合病院へ紹介する場

合、当直されている当番医の先生が標榜されている診療科目に関係なく当直されている先生に(紹介

状を付し)紹介することで対応いただけます。

休日・夜間急患センターの当番医が、必要な診療科の担当医等に直接連絡し紹介する必要はありま

せんとのことです。休日・夜間急患センターの当番医が、直接担当医に連絡しようとして時間を要し、

外来患者を長時間待たせた事例があるとの発言のなかで確認されたものです。

② 休日・夜間急患センターの当番医が、二次救急に紹介する場合、電話で当番の看護師に状態を説明

した後、再度担当医に電話を代わり同じように状態の説明を求められる場合がありますが、基本的に

は担当看護師に状態の説明をすれば、電話を代わり再度担当医に説明をする必要はありません。

③ 二次救急の受診が必要か、一次で対応可能か、電話での照会を受ける場合があります。この場合、

電話を受けた医師が電話照会の内容から二次救急が必要と判断すれば、医師の判断を尊重します。こ

のケースでは、電話された患者に救急車による受診をすすめていただきたいとの意見もありました。

④ 平成 20 年 1 月の申し合わせ:「八西地区における救急医療の分担について」に関しては、引き続き遵

守、ご協力を宜しくお願いいたします。

喜多医師会へ説明しておくこと

① 木曜日に休日・夜間急患センターの当番医をしていると、市立八幡浜総合病院が救急車の受入日に

なっているからか、大洲市在住の方が、小児及び外科の外来で受診されたり、受診希望の電話照会があっ

たりします。

これは、大洲地区で対応が必要な患者であり、喜多医師会へ説明し申入れしていただきたい。

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(6)大洲市の病院群輪番制について [表] 大洲市の救急当番病院

曜 担当医療機関 標榜診療科 電話番号

月 市立大洲病院

*1

内、外、整、眼、耳、皮、泌

リハ 0893-24-2151

水 加戸病院 内、消化器、外、整、麻、リハ 0893-24-5101

木 神南診療所 *2 内、外、整、肛門 0893-25-7720

大洲中央病院 内、消化器、循環器、外、脳外

整、泌、放、麻、リハ 0893-24-4551 土

*1 月曜日終日ならびに火曜日時間内(8:30~17:30)は大洲喜多地区のみ担当、火曜日 17:30~翌 8:30

は八幡浜地区を含めて広域対応

*2 時間内(8:30~17:30)のみ。17:30~翌 8:30 は市立八幡浜総合病院が大洲地区を含めて広域対応

(7)消防本部が搬送の対象としない心肺停止傷病者の条件 救急隊の全国的な方針として、現場で以下の全項目が観察される場合 死亡と判断し、病

院への搬送の対象としないことになっている。

1 意識レベル JCS 300 かつ心電図上 心静止

2 呼吸が全く感じられない、

3 総頚動脈で脈拍触知不能、かつ心音が聴取できない

4 瞳孔散大、対光反射が全くない、

5 死後硬直が認められる

6 死斑が認められる、

7 体温が感じられず冷感が認められる

しかし、入浴中の死亡例など、暖かい環境では死亡後かなりの時間を経ても体温が低下せ

ず、救急隊到着時に「冷感を認める」には至らない例がまれではない。このことから、第7

項目については必須所見とせず、他の6項目が明瞭であれば場合によって死亡と判断するよ

う消防本部に申し入れ、承諾を得ている(平成 20 年 9 月 7 日、救急医療対策関係者事務打合せ

会、平成 20 年 9 月 7 日)。

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(8)満床時のベットコントロールと消防本部への連絡について 勤務時間内に病院全体の患者数が満床近く(240 人以上)になった場合、看護部長が院内

に広報し入退院の調整をすることになっている。この場合、消防本部にも連絡し、119 通報

があった段階で当院にも情報を入れて貰い、また比較的軽症の患者はできるだけ他院に受け

入れ要請して貰うように依頼することとなっている。その後(毎朝 9:00 の時点)で入院患

者数が 230 人となった段階で、消防本部にも連絡し通常体制にもどす約束である(運営委

員会、平成 23 年 2 月 22 日で了承)。

(参考1)満床時の対応マニュアル(平成 22 年 2 月 22 日)

1 ) 満床時の対応について

① 240 床(状況により前後する)になった際に非常事態とする。院長へ報告し、順次下記の対応を行う。

②各科医師・外来看護師・病棟へ連絡をする。看護部からの連絡後、オーダリングの画面操作は医事

次長が施行する。職員は、オーダリングの画面にアクセスすることで確認することができる。

(別途説明)

*朝 9 時の時点をもって判断する。外来患者で入院が必要である場合、入院の猶予ができる患者

については一時延期して頂く。入院がどうしても必要な場合は病棟へ電話して確認する。各科の

病棟に空床がない場合は、空床のある病棟への入院になることを了承しておいてください。

③地域連携室には、外部からの紹介患者入院の一時停止を看護部から伝える。その際は各医師と相談

して、受け入れについてはこちらから後日連絡する旨を伝えるようにする。

④退院については師長が主治医と相談して徐々に日時を決定する。

2) 救急車の対応について

現在の状況を救急部長 から消防署ヘ説明する。救急搬送の通報があった場合は、当院へも第一報

を入れて頂くようにお願いする。また、軽症の患者については、他院への受け入れを要請して頂く(参

考 2)。

3) 非常事態の解除について

病床数が 230 床になった際に解除とする。その際には再度オーダリングの画面で連絡する。消防署

へは診療部長から連絡する(参考 3)。

これについては平成 22 年 3 月 1 日より開始する。

看護部

*註)看護部長不在時は ①池井指導者、②叶副部長の順で調整業務を代行する。

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(参考 2 当院満床の場合と通常体制復帰時の消防本部への連絡文面)

(9)超急性期脳梗塞を念頭に置いた消防本部との連携について 意識障害あるいは神経症状を伴う非外傷性傷病者で、発症時刻(または 終未発症時刻)

が判明しており、発症から 3.5 時間以内 に当院へ収容できる傷病者では、当院を収容先医

療機関の第一選択とする(*)。そして、倉敷病院前脳卒中スケールによる KPSS スコア(p.59)を含む傷病者情報を急患室看護師に伝える。搬送にあたってはできるだけ(出発時刻を遅ら

せないよう注意)、治療方針決定に関与できる家族を救急車へ同乗させ、また普段からの服

用薬などを持参させる。 (*救急受け入れ停止日である土曜日は他院を選定)

(10)救急車搬送患者における 12 誘導心電図の伝送について 愛媛県地域医療再生計画に基づく医療圏別地域医療連携構築事業の一つとして、八幡浜地

区施設事務組合消防本部ならびに大洲地区広域消防事務組合消防本部に 12 誘導心電図伝送

装置が配備された。そして、1か月間の試験運用を経て、平成 25 年 10 月より循環器疾患が

疑われる患者において、当院ほかの受け入れ医療機関等に対し心電図伝送が行われることと

なった。

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(参考)12 誘導心電図伝送に関する八幡浜地区施設事務組合消防本部との申し合わせ

市立八幡浜総合病院及び八幡浜地区施設事務組合消防本部

心電図伝送システム運用に係る申し合わせ 平成 25 年 9 月 10 日

1 総則

愛媛県地域医療再生計画に基づく医療圏別地域医療連携構築事業の一つとして八幡浜地区施設

事務組合消防本部は心電図伝送システムを整備する。

市立八幡浜総合病院及び八幡浜地区施設事務組合消防本部救急隊(以下「救急隊」という)は、

愛媛県地域医療再生計画の趣旨を尊重し、当該心電図伝送システムを管轄医療圏における急性冠症

候群をはじめとする循環器疾患患者の生命または予後のために効果的に活用するよう努めるもの

とする。

2 運用方法

(1) 救急隊は、急性冠症候群を疑う症例、心不全を疑う患者、その他循環器科医師の対応を要す

ると認めるときは、市立八幡浜総合病院へ 12 誘導心電図を伝送するものとする。

(2) 救急隊は、観察時必要に応じ心電図を記録し、病院収容依頼に続いて心電図を伝送するもの

とする。また、必要な場合は心電図到達の確認を行うものとする。

(3) 市立八幡浜総合病院は、受信用端末で心電図の添付されたメールを確認しプリントアウトす

るとともに、初期診療担当医に伝達し、必要に応じ循環器科対応のための態勢をとる。また、必

要に応じ救急隊への搬送に関する指導、助言を行うものとする。

(4) 市立八幡浜総合病院は、受信した心電図が循環器科医師の対応を要すると認めるときは、当

該心電図を循環器科医師に FAX 送信または受信メールを転送し必要な指示を受ける。(救急隊か

ら直接循環器科医師にメール送信することも可能。ただし事前にメールアドレスの登録が必要)

(5) 市立八幡浜総合病院は、冠動脈造影施行歴のある患者(特殊フォローアップ患者)等を救急

隊が搬送する際、必要があると認めるときは、救急隊に対し 12 誘導心電図の伝送を求めること

ができる。

救急隊は、市立八幡浜総合病院が心電図伝送を求めるときは、その求めに応じ 12 誘導心電図

を記録し伝送するものとする。

(6) 救急隊は、上記に関わらず緊急の処置を優先する場合、及び市立八幡浜総合病院に近い現場

からの伝送等でその効果を発揮しないと認めるときは、心電図伝送を省略することができる。

3 検証等について

市立八幡浜総合病院及び救急隊は、当分の間、心電図伝送システムの運用に関し、迅速な解析

及び診断が可能な環境及び体制の構築、診断結果をもとに、救急隊への搬送に関する指導、助言の

連絡体制の構築など、システムの問題点を抽出し、課題の解決を図り、より完成度の高いシステム

を構築するよう努めるものとする。

4 その他

(1) 設置機器の概要

① 救急車:ワイヤレス 12 誘導心電計及び送信用携帯情報端末

② 市立八幡浜総合病院:受信用端末(パソコン及びプリンター)

(2) 機器運用開始

平成 25 年 8 月 20 日(システムの運用については、準備期間、試験運用期間を経た後、本運

用を開始する。各期間における取扱いについては、関係部署間で調整する。)

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(11)心肺蘇生を希望しない患者意志表示用紙(救急搬送時用) 市立八幡浜総合病院救急・災害対策委員会(平成 23 年 11 月 1 日)

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XIV.救急救命士への指示出し業務

a)救急救命士への指示出し業務と連絡体制について

救急救命士が救急現場や搬送中に法律に基づいた医学的行為を実施するにあたり、各地域

において事前に定められたプロトコルに沿って処置を実施する。その中で、心肺停止傷病者

に対して器具(気管チュ-ブ、ラリンゲアルマスク、コンビチューブなど)を用いた気道確

保や薬物(現時点ではアドレナリンのみ)の投与を行うにあたっては、医師に連絡を取り具

体的な指示を受ける必要がある。当院は八幡浜地区施設事務組合消防本部(八幡浜消防)に

対し、この指示を行うことを請け負っており、24 時間体制で救急救命士からの連絡を受け、

指示を出す必要がある。各時間帯でその責にある医師は以下の通りであり、消防本部または

救急隊からの指示要請の電話を受けた職員は責任医師へ電話をつなぐ必要がある。この際、

心肺停止傷病者への処置にかかわる連絡であるので、できるだけ時間のロスがないようにす

る。

(参考)救急救命士への指示を出す医師

①平日日勤帯――救急当番医師(first call または second call)

(参考:[表]平日救急当番・内科系救急当番表(p.13)

② 勤務時間外―日・当直医

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

b)救急救命士の活動プロトコルについて

上述の通り、救急救命士は当地域において事前に定められたプロトコルに沿って救命活動

を実施しており、救急救命士への指示出しにおいても大部分の傷病者では「救急救命士の判

断の通り、事前取り決め(プロトコル)に沿って実施せよ」という指示で円滑に処置が実施

される筈。救急救命士との通信時間を短縮する上でも、指示医師が救急救命士の活動プロト

コルについて熟知していることが望ましい。以下、平成 19 年 5 月に南予地域メディカルコ

ントロール協議会が定めた救急救命士の活動プロトコルを示す。

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[b-1].一次救命処置(BLS)のプロトコル (1)成人の BLS プロトコル

*1 傷病者接触時に通報後4~5分以上が経過している場合は、除細動実施

の前に5サイクル(約2分間)の心肺蘇生法を考慮する。

*2 成人とは概ね15歳超(高校生以上が目安)

*3 死戦期呼吸(いわゆる喘ぎ呼吸)が認められる場合は、呼吸停止として

取り扱う。

*4 気道異物の可能性があれば、気道異物プロトコルへ進む。

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(2) 小児・乳児のBLSプロトコル

*1 傷病者接触時に通報後 4~5 分以上が経過している場合は、除細動実施

の前に 10 サイクル(約 2 分間)の心肺蘇生法を考慮する。

*2 小児とは 1 歳~15 歳程度(中学生までが目安)、乳児とは1歳未満の

者をいう。

*3 小児以下の場合、呼吸数が 10 回/分以下の徐呼吸も、呼吸停止として

対応する。

*4 小児以下の場合、十分な酸素投与および人工呼吸にもかかわらず、心拍数

が 60 回/分以下でかつ循環が悪い(皮膚蒼白、チアノーゼなど)場合も胸骨

圧迫を開始する。

*5 概ね1歳以上の傷病者に、除細動を実施する。

*6 気道異物の可能性があれば、気道異物プロトコルへ進む。

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(3)人工呼吸・胸骨圧迫の対象、中止基準 など(参考) 【人工呼吸の中止】

胸郭の動きが十分で、楽な呼吸をしている場合(目安として、呼吸数が概ね 10 回/

分以上となり、胸部挙上が十分認められ、循環状態が良好と判断される場合

【胸骨圧迫の対象】

1.成人は、総頸動脈(小児は総頸動脈又は大腿動脈、乳児は上腕動脈又は大腿動脈)で

脈拍が触知されない場合を対象とする。 2.小児および乳児の場合は、脈拍が 60 回/分以下でかつ循環が悪い(皮膚蒼白、チア ノーゼなど)場合も対象とする。

【胸骨圧迫の中止】

1.成人は、脈拍数が総頸動脈で 50 回/分以上となった場合 2.小児は、総頸動脈又は大腿動脈で、乳児は上腕動脈又は大腿動脈で脈拍数が 60 回/ 分以上となった場合

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(4) 異物除去プロトコル

*1 食事中に喉を詰めるなど気道異物を疑わせるエピソードがある場合が対象である。

*2 息ができなくなれば腹部突き上げへ進む。

*3 異物が除去されるか、意識を失うまで実施。意識を失い反応がなくなった場合には、

反応はあるかのNOへ進む。妊婦や高度肥満傷病者に対しては胸部突き上げを行う。

乳児に対しては背部叩打、胸部突き上げを交互に5回ずつ行う。腹部突き上げが困難

な場合は、背部叩打を行う。

*4 CPR を実施する。

*5 必要に応じてそれまでの手技を繰り返す。 呼吸停止に対しては人工呼吸、CPA にお

いては BLS プロトコルに従う。

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[b-2].除細動プロトコル 1)対象傷病者:総頸動脈で脈が触れず、AEDにより心室細動および無脈性心室頻拍を解

析させ、除細動の適応となった傷病者 2)年齢:概ね1歳以上の傷病者に実施

*1 VT および何らかの QRS 波形を認めた場合は、総頸動脈の確認を行う。

*2 傷病者接触時に通報後 4~5 分以上経過している場合は、除細動実施の前に約 2 分間

のCPRを考慮する。

*3 除細動が必要であれば、傷病者に誰も触れていないことを確認し、モニター 終

波形を確認しつつ通電ボタンを押す。

*4 概ね 1 歳以上 8 歳未満の小児で、呼吸原性の心停止が疑われる、又は原因不明

の場合は、原則として CPR2分後に除細動を実施する。

*5 搬送中の心電図解析および除細動は、車両を停止させて行う。

*6 成人および概ね8歳以上の傷病者に対し、小児用パッドを使用しての除細動は行

わない。

*7 解析、充電中は傷病者に触れない。

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[b-3].救急救命処置プロトコル 特定行為の対象傷病者

1 心肺停止の傷病者 2 心肺機能停止の傷病者

* 心肺機能停止とは、心臓機能停止又は呼吸機能停止状態をいう。

* 死戦期呼吸(いわゆる喘ぎ呼吸)を認める場合は、気道確保・気管挿管プロトコ

ルに移行できる。

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(1) 気道確保 ①気道確保プロトコル(コンビチューブ) 1 対象傷病者:人工呼吸時、他の方法では気道確保が困難な場合 2

禁 忌 (1) 身長 122cm 未満の傷病者

(2) 食道疾患のある傷病者 (3) 腐食性物質飲用の傷病者

3 サイズと適応対象

サ イ ズ 適 応 対 象 咽頭カフ 先端カフ

SAタイプ 身長122cm~180cm 未満の傷病者 85ml 12ml

A タイプ 身長150cm 以上の傷病者 100ml 15ml

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⑤ 気道確保プロトコル(ラリンゲルチューブ) 1 対象傷病者:人工呼吸時、他の方法では気道確保が困難な場合 2 禁忌:腐食性物質飲用の傷病者 3 サイズと適応対象

サ イ ズ 適 応 対 象 カラーコード カフ注入量

0 新生児 5 ㎏まで 透明 10 ml

1 幼児 5~12 ㎏ 白 20 ml

2 小児 12~25 ㎏ 緑 35 ml

3 小児、成人(小)155 ㎝未満 黄 60 ml

4 成人(中)155 ㎝~180 ㎝ 赤 80 ml

5 成人(大)180 ㎝以上 紫 90 ml

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③気道確保プロトコル(ラリンゲアルマスク) 1 対象者:人工呼吸時、他の方法では気道確保が困難な場合 2 禁 忌

(1) 挿入が困難な場合 (2) フルストマックの傷病者、嘔吐および口腔内出血のみられる傷病者

3 サイズと適応対象 サイズ 適 応 対 象 カフエア注入量 適応する身長・年齢

1 新生児~体重 5kg 2~4ml ~62cm(0~3 カ月)

1.5 体重 5kg~10kg 4~7ml ー

2 体重 10kg~20kg 7~10ml 62~113cm(3 カ月~6 歳)

2.5 体重 20kg~30kg 10~14ml 113~133cm( 6~10 歳)

3 体重 30kg~50kg 14~20ml ー

4 体重50kg~70kg 20~30ml ー

5 体重70kg 以上 30~40ml ー

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④気管挿管プロトコル 【気管挿管の適応】 心肺停止状態で、次の1、2の適応がある傷病者 1 異物による窒息のため心肺停止となったもの

(1)異物を除去したにもかかわらず、BVM 法による換気が著しく困難である。 (2)ラリンゲアルマスクあるいは食道閉鎖式エアウエイが適切に挿入されたと考えられる

にもかかわらず、著しい換気抵抗がある。 (3)喉頭展開により口腔内又は声門部に比較的多量の食物塊を認める。

2 その他、指示医師が必要と判断したもの (1)比較的多量の嘔吐物(吐血を含む)又は喀血を口腔内に認める。 (2)胃内容物逆流の恐れが濃厚である(明らかなフルストマック)。 (3)溺水傷病者のうち、比較的多量の胃内容物逆流を認める、あるいは肺水腫など換気困 難を呈するもの。

(4)心肺停止の原因として、喘息重積、緊張性気胸、肺水腫など、気管挿管以外では換気・

酸素化を適切に行うことが難しい病態が想定される場合 (5)原因を問わず、ラリンゲアルマスクや食道閉鎖式エアウエイを適切に挿入したと考え

られるにもかかわらず、換気が著しく困難である。 (6)適切なメディカルコントロール体制下で、傷病の状況から気管挿管以外では傷病者の 予後を改善しえないと指示医が判断した場合

【気管挿管適応除外例】 1 小児(およそ 15 歳未満) 2 状況から頸髄損傷が強く疑われる事例 3 頭部後屈困難な事例 4 開口困難な事例 5 喉頭鏡の挿入が困難である事例 6 喉頭展開が困難である事例 7 その他の理由で声帯確認困難な事例 8 気管挿管に時間を要する、もしくは要すると予想される事例 9 その他、担当救急救命士が気管挿管不適当と考えた事例 10 脳血管障害による心肺停止が明らかな事例 11 心筋梗塞、致死的不整脈など、循環器系の傷病に起因する心肺停止が明らかな事例 12 呼吸器系を除く部位の外傷に起因する心肺停止が明らかな事例 (但し、上記3項目に関しては、比較的多量の嘔吐などが認められ、かつラリンゲアルマス

クや食道閉鎖式エアウエイの挿入が困難な場合は気管挿管を考慮できる。) 13 目撃者のいない縊頸による心肺停止 14 目撃者のいない入浴中の心肺停止 15 その他、死後硬直の出現が疑われるものや身体の著しい損壊など、「社会死」に近 い状態の傷病者

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(2) 静脈路確保プロトコル 対象傷病者

1 心肺停止の傷病者 2 心肺機能停止の傷病者

* 静脈路確保に要する時間は 1 回 90 秒以内とし、3 回以上を禁ずる。

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(3) 薬剤投与の適応と業務プロトコル 【対象者】心臓機能停止の傷病者

【適応】

8 歳以上の心臓機能停止傷病者のうち、以下のいずれかに該当するもの ① 心電図モニター波形で心室細動/無脈性心室頻拍を呈する例 (目撃者の有無は問わない) ② 心電図モニター波形で無脈性電気活動を呈する例(目撃者の有無は問わない) ③ 心電図モニター波形で心静止を呈し、かつ目撃者のある例

【薬剤投与の業務プロトコル】 1 傷病者を観察し、心臓機能停止および薬剤投与の適応について確認する。

2 薬剤投与を実施する場合、その都度、直接医師の具体的指示を受ける。 * 注1 薬剤を再投与する場合、毎回使用前に直接医師の具体的指示を要請する。

* 注2 薬剤投与を行う場合、原則的に指示を出す医師と継続的に会話ができる状態を保

持する。

3 感染に対するスタンダードプレコーションおよび針刺し事故対策に努める。 4 静脈路の確保方法は、静脈路確保プロトコルに準ずる。 5 静脈路確保に要する時間は1回 90 秒以内として、試行は原則 1 回とし、3回以上

を禁ずる。

* 注4 静脈路確保に失敗した場合、それより末梢側での静脈路再確保を禁ずる。 6 薬剤はアドレナリンに限定する。

7 アドレナリンは 1 ㎎/1ml に調製したプレフィルドシリンジのものとし、アドレナリ

ンの投与量は年齢、体重にかかわらず1回1㎎とする。 *注5 アドレナリンの投与量は、本剤の添付文書で「蘇生などの緊急時には、アドレナリ

ンとして、通常成人1回 0.25mg を越えない量」とあるが、 近の医学的知見を踏まえ、

現行では1回1mg とする。

8 薬剤投与経路は経静脈とする。 * 注6 アドレナリンの気管投与については、有効性に関するエビデンスが存在しないこ

とおよびプロトコル化に関する安全性の確保が困難であることより、投与経路は経静脈

に限る。

9 アドレナリンを投与する直前に心電図波形の確認を行い、VF・心静止の場合は、直

ちに投与する。VTおよび何らかの QRS 波形を認めた場合は、総頸動脈で拍動が触

れないことを確認後、速やかに投与する。 10 薬剤を静脈注射した際は、その都度乳酸リンゲル液 20ml 程度を一時全開で滴下もし

くは後押しで投与するなどし、さらに薬剤を投与した肢を 10~20 秒挙上する。 11 薬剤を投与した際は、毎回静脈路を確保した血管を入念に観察し、薬液の漏れを意

味する腫脹などがないかどうかを確認する。

* 注7 薬剤を静脈注射した後、薬剤の漏れがあった場合は、静脈路の再確保を禁ずる。

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12 CPR中の 5 サイクル(約 2 分間)ごとの波形確認を 優先して、薬剤投与に関係

するすべての処置(薬剤投与の効果確認、薬剤投与後の除細動、薬剤追加投与)をC

PR中の波形確認に合わせて行い、効果がない場合は薬剤投与を前回投与後から 3~5 分毎に病院到着まで繰り返してもよい。

13 CPR中または波形確認中に、心電図変化(QRS 出現)など明らかな心拍再開の徴

候を認めた場合には総頸動脈で拍動の確認を行い、心拍再開が確認されたらバイタル

のチェックを行う。 14 傷病者家族に急変した時の様子や既往歴など心停止となりうる背景についての情報

収集を行う。また、外見や体表面の迅速全身観察により心臓機能停止の原因となりう

る身体所見の有無を観察する。

【アドレナリンによる合併症】 1 自己心拍再開後の血圧上昇と心拍数増加が心筋酸素需要量増大を招き、心筋虚血、狭

心症、急性心筋梗塞を引き起こす可能性がある。 2 自己心拍再開後に、陽性変時作用による頻脈性不整脈を引き起こす可能性がある。

3 大量投与は蘇生後神経学的予後を改善せず、蘇生後心筋障害を引き起こす可能性が ある。

4 静脈路確保が不確実な場合、薬液が血管外に漏れると局所の壊死を引き起こす可能性

がある。

(4) エピペン使用に関するプロトコル

【自己注射が可能なアドレナリン製剤(エピペン)投与の適応と業務プロトコル】

1 エピペン使用の適応と考えられるケース 別紙「アナフィラキシー疑いの状況・症状等」の必須事項を満たし、かつ、アナフィ

ラキシー疑いの症状が現れているものをエピペン使用の適応とする。

2 医師の助言を要請する場合 上記1により救急救命士では判断が付かない場合は、医師に助言(オンライン・メデ

ィカルコントロール)を求めるものとする。

3 エピペン使用の手順(プロトコル[フローチャート]を参照) (1) 使用前にエピペンの使用期限、薬液の変色や沈殿物の有無を確認するとともに、

エピペン貼付の連絡シートにより傷病者本人のものであることを確認する。 (2) エピペン先端に指や手を当てることなく、中央部をもって使用する。 (3) 傷病者の大腿の前外側の皮膚に、直角(90 度)に強く押し当てる。 (4) 注射液が確実に出るよう、5 秒間保持する。 (5) 注射したところを、数秒間揉む。 (6) 針が出ていることを確認し、ハザードボックスに廃棄する。

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(7) 使用したことについて、搬送先の医療機関に伝達する。 (8) 使用したことを救急救命処置録に記載する。

4 エピペン使用後の対応 エピペン使用後は、使用したことを医師に報告するとともに、症状の変化に応じて適

宜医師に 報告を入れること。特に、アドレナリン(エピネフリン)の強心作用によ

り、心拍数が増加することから、致死的な不整脈に備え、心電図モニターを継続的に

観察すること。

5 注意事項 (1) 通常の救急活動と同様に、緊急性が高く十分に実施できない場合を除き、インフ

ォームドコンセント(説明に基づく同意)を得る必要があること。 (2) エピペンの使用の際、誤って針の出る先端を逆に向けて使用すると、自身の親指

等へ針刺しを行う可能性があることから、エピペンの先端に指や手を当てて使用する

ことは絶対に避けること。 なお、誤って針の出る先端を逆に向けて使用した場合は、針の出る先端に触れて

いなければ、針が出ていないことを確認し、先端を正しい方向に変え改めて使用する

こと。 また、先端に触れており、救急救命士側に針が出てしまった場合には、使用しな

いこと。 (3) 使用後は針刺しを避けるため、リキャップをすることなくハザードボックスに廃

棄すること。 なお、傷病者本人が使用する場合には、リキャップすることとなっており、取扱い

が異なる点に留意すること。 (4) 投与後は、エピペンの薬液の大部分が注射器内に残るが、針が出ていれば、一定

量のアドレナリン(エピネフリン)が投与されているので問題無い。 なお、同じ注射器から再投与はできないこと。ただし、針が出ていなければ当該

エピペンを用いて、再度投与を実施すること。

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[フローチャート]

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(5) 心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液に関するプロトコル

(参考資料―八幡浜消防では平成 27 年度より実施の見込み)

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(6) 心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び低血糖発作症例へのブドウ糖溶

液投与に関するプロトコル(参考資料―八幡浜消防では平成 27 年度より実施の見込み)

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XV.救急委員会の規約と委員名

a)市立八幡浜総合病院救急委員会・規約

(目的) 第1条 本委員会は、当院が地域の救急医療の主たる担い手としての役割を果たすため、地

域における救急医療の現状を把握し、それに基づき当院の救急医療体制を整備することを

目的とする。 (業務) 第2条 前条の目的を達成するため次の業務を行う。 (1) 救急医療に関する院内体制の検討。 (2) 地域救急医療体制の分析。 (3) 救急医療に関する諸資料の作成。 (4) 院内および地域の防災活動の推進。 (5) その他、前条の目的を達成するために必要なこと。 (構成) 第3条 委員長とその他の委員若干名をもって本委員会を構成する。 2 委員長および委員は、医師、看護師、コメディカル、事務局職員の中から病院長が委嘱

する。委員長および委員の任期は 2 年とする。ただし、再任を妨げない。 3 委員長が必要と認めたときは、委員以外の者の意見を求めることができる。 (運営) 第4条 委員会の運営は委員長が行い会務を統轄する。 2 委員長は概ね3ヶ月に1回、定例委員会を招集する。 3 委員長は必要に応じて臨時委員会を招集する。 (報告) 第5条 委員長は会議の結果を病院長に報告する。 (事務局) 第6条 本委員会の事務局を医事係に置く。 2 事務局は委員会の開催日時、議題の案内、議事録等の関係資料文書を作成および保管す

る。 (規約の改廃) 第7条 本規約の改廃は必要に応じて委員会において決定する。

附則 この規約は、平成 19 年 9 月 1 日から施行する。

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◆b)市立八幡浜総合病院救急・災害対策委員会および部会の委員

(平成 27 年 4 月 1 日現在) 1.救急・災害対策委員会

委員長 医師 越智元郎 副院長・救急部長・麻酔科科長

委員 医師 八木悠一郎 内科医員

委員 医師 河内正人 医療安全管理室長・脳神経外科科長

委員 医師 温泉川一喜 整形外科科長

委員 医師 友近 忍 外科科長・3東病棟医長

委員 看護師 城戸千恵子 外来師長

委員 看護師 叶 恵美 救急部・外来師長

委員 看護師 川口久美 救急部・3東病棟

委員 検査技師 ◆山本 忍 臨床病理科

委員 放射線技師 河野泰三 放射線科主任

委員 事務 脇本和敏 救急部・医療情報管理部医療情報システム係長

2.災害対策部会 (名称変更承認、運営委員会 平成 26 年 4 月 24 日)

部会長 事務 坂本利治 管理係

委員 医師 越智元郎 副院長・救急部長・麻酔科科長

委員 医師 的場勝弘 診療支援部長・外科科長

委員 看護師 叶 恵美 救急部・外来師長

委員 看護師 菊池五月 3東病棟師長

委員 看護師 山本尚美 救急部・1-4 病棟主任

委員 看護師 石見久美 救急部・外来主任

委員 看護師 川口久美 救急部・3東病棟

委員 薬剤師 二宮和也 薬局

委員 工学技師

(ME) 竹本昌吏 医療機器管理室

委員 事務 宇都宮久昭 事務局次長

委員 事務 伊賀 仁 医療情報管理部次長

委員 事務 菊池政介 事務局次長(用度・管理担当)

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3. 災害救援検討部会

部会長 医師 温泉川一喜 整形外科科長

委員 医師 越智元郎 副院長・救急部長・麻酔科科長

委員 医師 的場勝弘 診療支援部長・外科科長

委員 医師 濵西道雄 整形外科医長

委員 看護師 叶 恵美 救急部・外来師長

委員 看護師 山本尚美 救急部・4西病棟主任

委員 看護師 川口久美 救急部・3東病棟

委員 看護師 池田貴光 外来

委員 事務 矢野智也 庶務係

4. 被ばく医療準備部会

部会長 医師 原井川豊章 放射線科医長

委員 医師 越智元郎 副院長・救急部長・麻酔科科長

委員 看護師 叶 恵美 救急部・外来師長

委員 看護師 石見久美 救急部・外来主任

委員 看護師 川口久美 救急部・3東病棟

委員 放射線技師 河野泰三 放射線科主任

委員 事務 矢野智也 庶務係

付録1 主要関連施設などのリスト(準備中)

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付録2. 市立八幡浜総合病院の救急診療に関するご意見(用紙)

(宛先:FAX 0894 ー 24 ー 2563、医事課 脇本)

市立八幡浜総合病院の救急鯵療についてお困りのことやご意見がありましたら、以下にご記入の

上、外線または内線 FAX で送付いただくか、医事係 脇本(救急委員会事務担当)または救急委員長

越智までお届け下さい。救急委員会で検討の上、できるだけ迅速に対処しご回答申し上げます。な

お、お困りになった事例につきましては、日時、状況などを具体的にご記入ください。

口受信年月日:平成 年 月 日 通し番号 ー

(この欄は救急委員会で記入します)

■送付元:お名前

■ご所属、ご連絡先 (お名前・ご所属は省略可ですが、支障なければご記入ください)

■タイトル(どのようなことでお困りになりましたか)

■具体的な事例(日時:平成 年 月 日)

その状況

■ご意見など