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B2O3-GeO2系 ガラスの性質と構造 今 岡 稔・山 崎 敏 子 (東大生 …

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264 J. Ceram. Assoc. Japan  窯 協73 [12] 1965 88

B2O3-GeO2系 ガ ラ ス の 性 質 と 構 造

今 岡 稔 ・山 崎 敏 子

(東大生産技術研究所)

Properties and Structure of Glasses of 2O3-GeO2 System.

By

Minoru IMAOKA and Toshiko YAMAZAKI

(Instt of Industrial Sconce, University of Tokyo).

In glass-forring oxide systems without modifier ions, network structures are not bro

ken anywhere, and these glasses must be different in their properties from usual glasses

which contain some modifier components. In the glasses of the GeO2-B2O3 system we

measuredd several properties the thermal expansion, the deforming temperature, the dens

ity, the refractive index, the viscosity, and the infra-red absorption . The results of our

measurements are shown in Figs. 1-6 and Fig. 11 . We can see, in Figs. 1-4 and Fig . 6a,

one or two bending points in every curve showing the relation between the compositionn

and the property. The composition of the first point is about 85 cat .% of B2O3, while that

of the second point is about 50 cat.%. The latter point appears similarly in every curve;

it is assumed that the reason for the appearance of the latter point is a packing effect of

two kinds of balls with different radii.

The first point appears clearly in the curve of the expansion coefficient, which resem

bles that of the SiO2-B2O3 system. Accordingly, it is considered that the appearance of

the first point is due to an effect of the 4-coordination structure, which interferes with

the thermal expansion effect of the 3-coordination structure. If it is assumed that the inter

ference of the 4-coordination acts not only on the oxygens connecting with the 4-coordi

nation ion directly (marked •› in Fig. 7), but also on the next oxygens beyond B (mark

ed ••), this effect reaches a maximum at 13.04cat .% of the 4-coordination component

and becomes zero at 42.85 cat,% , We can then represent the expansion coefficient of these

systems by he following equations:

x=4 cat.% fraction of the 4-coordinate component, ƒ¿=the expansion coefficient of glass,

ƒ¿IV=the expansion coefficient of the 4-coordinate component, dB=the expansion coefficient

of B2O3.

In connection with above things we consideredd the problem of boric acid anomaly in

die B2O3-_R2O syattie n (R=Li, Na, K). According to the above results, a bending point

must appear at the constant place (Fig, 8), even though the 4-coordination of R increases

continuotsly with the quantity of R. however, tl e mitiinsmuu point of time expaosion co

eificicnt of these system depends on the kind of alleaI ion. Therefore, time reason f or the

increase in the expansion coefficient beyond the minimum point is the decrease in the

hole radius of the polygonal ring; this shrinkage is caused by the increase in the 4 -coor

dination structure (cf. Fig. 9 and Table 1). The shrinkage of the hole results fromm the

repulsion of the alkali ion or from its exclusion from an intersticiall hole .

We then studied the expansion coefficient of the B203-GeO2-Na2O system . The results

correspond with the calculated values assuming the preferential 4-coordination of B (mark

ed in Fig. 10), and does not correspond with the values assuming that of Ge (marked ••) .

The addition of the 4-coordination of Ge causes shrinking of the hole, but it does not

cause the repulsion of the alkali ion. Accordingly it is assumed that the increase in the

89窯 協73[12]1965 J. Ceram. Assoc. Japan 265

expansion coefficient beyond the minimum point arises from the replusion of the alkali

ion.

We also studied the infra-red absorption spectra of the glasses of this system (B2O3

90-40 mo1.%). In studying these systems, the KBr method must be avoided. The results

for the thin film are shown in Fig. 11, in which we can see the absorption bands of the

3-coordination of B2O3 and the 4-coordination of Ge02.

[ Received May 18, 1965]

Ⅰ. は し が き

ガラス構造 は網状構造 と修飾 イオンか らなる とされて

い るが7修 飾イオ ンを全 く含 まない系,す なわちガ ラス

形成成分 だけのガラスは3あ る意味 で もっとも典型 的な

ガラス と称 され るべ きで あろ う.し か し 実際 にはSiO2

の単成分ガ ラスである石英 ガ ラスが実用 されてい る程度

で,そ の他 の単成分 ガラスばか りでな く2成 分系以上の

多成分系 でも,現 在 の ところ利用 されてい るものはほ と

んどない.そ の原 因は単独 でガ ラス化す る,い わゆ るガ

ラス形成成分 の数 が限 られてい ること,ま たそれ らの成

分 には実用化 の障害 となる ような欠点 をもつ も の が 多

い,な どにある と思 われる.

一方 これ らのガ ラス形成成 分同志か らなる多成分系 に

つ いては,従 来 か ら当研 究室でガ ラス化範囲 の面 から研

究 を進 めて来 てお り,概 括 的にはすで に一部発表 してい

る1).そ の結果 は, 2成 分系 について も全面 的 にガラス

化 す る系が,意 外に少ない ことを示 してい る、そ の原因

について,定 性的にはガ ラスの網状構造 を 形 成 してい

る,ガ ラス形成成分 の重合性 に差が あるために分相 しや

すい,と い えそ うで あるが,詳 しい こ とはガ ラス形成成

分系のガ ラス化範囲 の問題 として,別 個 に取上 げるこ と

としたい.む しろここで はガラス化範 囲以外 の,ガ ラス

形成成分系 の物性 と構造 の問題 に中心 が置 かれている.

いずれ に してもガ ラス形成成分 系に均一 ガ ラス部分 が少

ない ことは,こ の系 の種類 を さらに少 ない狭 い ものに し

てい る.

しかしこれ らのガラスは修飾 イオ ンを全然 含まない点

におい て,構 造的 内容 も当然一般 のガ ラス とは違 ってい

る筈 である.例 えば普通 の修飾成 分 を含むガ ラス よ り強

度が強 い とか,粘 性 の温度変化 が小 さい とか,構 造 に対

応 して他 とは違 った特長 がいろいろあ って もよさそ うに

思 える.ま た場合 によ っては修飾 イオ ンの影響 をさけた

い,と い うこ ともあ るか も知れない.い つれに して もガ

ラス形成成分 系のガ ラスの性質 がまだ充分調べ られてい

ない現在,こ れ らの系 を検討 してみ ることは意味 のある

こ とと思 う.

そこでまずB2O3-GeO2系 をここに取上 げたわけであ

るが,ガ ラス形成成分 か らなる2成 分系 と して はB2O3-

SiO2系 か らは じめるべ きか も 知れ ない.し か しこの系

は ある程度測定 され てお り,一 方またB2O3-GeO2系 は

当然B2O3-SiO2系 と類似 してい ることが 予想 され,し

か もSlO2をGeO2で 置換7た ことに よ り熔 融点が低

下 す るので, B2O3-SiO2系 で の性質 と 構造 の関係 など,

側 面か ら検討出来 るとい う便利 もある.と くに3配 位 と

4配 位 構造の両方 を含 む系 の熱膨脹係数 と組成 ない し構

造 の問題 とか9ま たそれ に関連 して棚酸異常 の問題 な ど

取 上げてみ たい.

Ⅱ. 実 験

前述 のよ うにガラス形成 成分 系で全 面的にガ ラス化す

る系 が少ない中で, B2O3-GeO2系 はB2O3-SiO2系 同

様 全 領 域 で ガラス化す る.ま ず原料 については,硼 酸

H3BO3酸 化 ゲル マニ ウム とも市販 品 を使 用 したが,と く

に後者 は金属 ゲル マニ ウムが高純度 品 として使 われてい

る関係で,純 度 は非常 によい.こ の系のガ ラスの熔融温

度 は, GeO2の 融 点(約11◎0。 ℃)が この2成 分 系の最

高温度 であるか ら, 1250℃ 以下 で充分 であ る. B2O3も

GeO2も 高温で は揮発性 になるので,必 要以上 に高温度

に上 げるこ とは好 ま しくない.た だ しこの系は修飾 イオ

ンを含まないため粘度が高 く,と くにGeO2の 多い側 で

は泡切 れが悪い(GeO2の 融点で の粘度 は約10605ポ イ

ズ)0ま た熔 融のた めには 白金系 の金属坩堝 を使用 した

が, GeO2は 高温 で 白金柑禍 を侵 しやす いので,ロ ヂ ウ

ム20%含 む もの を主 と して使用 した.な おこの系 のガ

ラス は総体的 に耐水性が悪 いよ うで,と くに硼酸 の多 い

側で は風化 しやすい.

さて次 にこのB2O3-GeO2系 ガ ラスの物性 の測定 であ

るが,こ こで は熱膨脹係数,比 重,屈 折 率お よび粘度 を

測定 した.そ の結果 を一 口にい って しまえば,そ れ らの

測定値 はB2O3とGeO2の 値 か ら 加成的 に求 め られる

ことにもなるが,細 か く検討すれ ば構造 的影 響 も み ら

れ,中 で も熱膨脹係数 の場合 は構造 因子 の影響 が大 きい

と思われ る0そ の他 ガラスを繊維 に引 いた場合 の引張 り

強度 につい て も興味 はあったが,都 合 で削除 しいずれ別

個 の問題 として取扱 うこ とに した い.ⅰ

. 熱膨脹係数 の測定  測定方法 は 石英 ガラスの2

重管 の中に直径4mm前 後,長 さ30mm程 度 の測定試

料 を入 れ,の び をス トレンゲージ を使 って記録 させ る,

従来 か らの方法 であ る.そ の測定結果は ま とめて 図一1

に示 した.縦 軸に線膨脹係数 α×106を,横 軸 にはmo1.

%で は なくcationic%を とってい る.図 一1か らも明

らか なよ うに,そ の結果 はB2O3-SiO2系 と非常 によ く

266 J. Cerarte Assoc. Japan  窯 協73 [12] 1965 90

似てい る2).す なわちGeO2が0~15cat.%の 間では

比較的急激 に熱膨脹係数 が減少 し,さ らにGeO2を 増 し

て15~50cat.%の 間では直線 的にゆ るやかに減 少 し,

またGeO2の50 cat%以 上 の 領 域 では一層ゆ るい傾

斜 を もって減少 し,GeO,そ れ 自身の値 に 達す る.な お

図-1中 のGeO2の 値 を示す他 の2点 は既測定値で ある

が,本 実驗 の結果 はそれ らよ り若干小 さか った.前 述 の

B2O3-SiO2系 の熱膨脹 係数 と 組 成 との関係 をみ る と,

SiO2の12.5お よび45.0cat%の 点に 折 点が 存在 し

てお り,こ のB2O3-GeO2系 の折点の 位置 はGeO215

お よび50cad%と,前 者 とほぼ一致す る位置 にあ り,

配 位数 の点か らも2つ の系 の熱膨脹係数 の変化 は9同 じ

構造因子 に起因す る ものと想像 され る.

Fig. 1. Thermal expansion of glasses in

B2O3-GeO2 system.

なお熱膨脹係数 を測定す る際 にえ られ る,ガ ラスの変

形温度 と転位点 の値 をみてみる と,図-2の ようにな り,

GeO2の 増加 とともに変形温度 と転位 点は単調 かつゆ る

やか に上昇す る.

Fig 2. Deforming temperature of glass in

B2O3-GeO2 system.

. 比 重  測 定方法 はアルキ メデ ィス の原理 に

よる普通 の もので,液 体 には四塩 化炭 素 を使 った.測 定

結果 はま とめて 図-3に 示 した.こ の系の ガラス の比重

はB2O3お よびGeO、 の比重 の 算術平均 よ り重 く,ほ

ぼ直線 的ではあ るがGeO250cat.%附 近に 明瞭 な折点

をもってい る。しか し熱膨脹係数 の 場 合 に 目立 った,

GeO215cat%附 近 の第1の 折点は ほ とん どわか らず,

GeO210cat.%附 近 に 多少それ らしい ものを 認 め る程

度で ある.

.  屈 折 率  測定方法 は べ ッケ線 の 移動 を顕

微鏡で調べ,屈 折率既知 の液体 と比較す る方法で,ガ ラ

スの 物 を求 めたが,こ の測定 は 日本 光学の御世話 にな

った.後 来屈折率 の測定 には,分 光計や プル フ リッヒの

屈折計 を使 って来 たが,大 きな試料 を作 りに くかったこ

とと,分 散率 の測定 は とくに必要 なしと判断 して上記 の

方法 に よった.測 定結 果はま とめて 図-4に 示 した.こ

の屈折率 の結果 も図か ら明 らか なよ うに,比 重 の場合 と

ほ とん ど同 じ変化の 傾 向 を示 す.た だGeO210cat%

附近 の折 点が比重の場 合 よ り多少 目立つ程度 の違い はあ

る.

Fig. 3. Density of Masses in B2G3 Ge02 system.

Fig. 4. Refractive index of glasses in

BiO3 GeO2 system.

. 粘 度  測定方法 は 当研究所 の 試作 工場 で

試作 した,自 記記録 式の回転粘度計 による もので3), 101

~107ポ イズの範 囲で連続的 に測定出来 る.測 定温度 の

最高は1000℃ であるので,測 定 した組成範囲 はGeO2

60mol%か らB2O3の 多い側で, 10mol.%き ざみに

測定 した.そ の結果 は 図-5で あるが9一 定温度 におけ

る組成 と粘度 の関係 を 図-6(a)に9粘 度 を 一定 に した

場合 の組成 と温度 の関係 を 図-6(b)に 示 した 。その中で

GeO2100mol.%の 点 の値 はKurkjianとDouglas4)

の実測値 によった. GeO260mo1.%ま で しか データが

91  窯協73 [12] 1965 J. Ce7am. Assoc. Japan 267

ないので余 り確 かではないが,図-6(a)で は50cat%

附近に 折 点 がある ようであ る.一 方 図-6(b)で は60

cat.%以 上 に折点 が現 われ,し か も低粘度 になる程 その

位置 はB2O3の 多 い側 に移動 している.

Fig. 5. Viscosity of molten glasses in

B2O8-GeO2 system.

Fig. 6(a). Viscositymcompositl.on relation in B2O3-GeO2 system.

(Temp.=Constant.)

Ⅲ. 考 察

A.  熱膨脹係数 と構造 因子

以上 の測 定結果に対す る考察 をすす めるに当 って,ま

ず構造 因子の影響 の もっと も大 きい熱膨脹係数 からは じ

めることに したい.さ て議論 の出発点 で, B2O3-SiO2系

の熱膨脹係数 に対す る高橋健太郎 の解釈 を取上 げてみ よ

う2). B2O3がSiO2に 比べて 著 しく大 きな 熱膨脹係数

をもつ原因 として,後 者 が4配 位 で3次 元 的に隣 りの構

造 に連結 してい るのに対 して,前 者 は3配 位 であるため

それが2次 元的 で,結 合面 に唾直方 向の拘束 力が弱い こ

とをあげている、 そ れ がB2O3に 少量 のSiO2が 入 る

と, SiO2の4配 位構造 のためにB2O3の 膨脹性 が著 し

く妨害 され,そ の結果 が最初 の折点まで の熱膨脹 係数 の

急 激 な減少 となっている.一 方SiO2に 少量 のB2O3が

入 った場合 も, SiO2とB2O3そ れぞれ100%の 両端 を

結んだ線 よ り下廻 ってお り,や は りB2O3の 熱膨脹効果

は周囲 のSiO2の た めに妨害 され てい る,と 考 え る.そ

して2つ の折点 の問 の部分 は,以 上の2つ の効果 が共存

しているこ とにな る.次 に2つ の折点の位置で あるが,

第1の 折 点について は安部説 に もとついて, SiB4O12の

原子 団 とBO3と の 共存点,す なわちSiO・13.04(=

3123)cat.%(実 際 は12.5cat%)で ある とし9第2の

折点 につい てはBO3, SiO4と も互 いに 他 に囲まれてい

る点,髄す なわちSiO242.85(=317)cat.%(実 際は

45.0cat%)で ある としてい る.

Fig. 6(b). Viscosity-composition relation in B2O3-CeO2 system

(Viscosity Constant.)

さてそこでB2O3-GeO2系 の結果 であ るが,前 述 の よ

うにB2O3-SiO2系 と類似 の傾 向 を示 した ことは,高 橋

の推論通 り熱膨脹係数 が,成 分の配 位構造 に結びついて

い ることを示 してい る.し たが って3配 位構造 の熱膨 脹

効果 が4配 位 構造 の混入 によ り,著 し く妨害 され減退す

ることは うなづ ける.し かしその他 の部分,す なわち折

点 の位置や,第1折 点 よ り4配 位構造 の多 い側 の熱膨脹

傾 向な ど,検 討 の余地 がある ように思 う.

そ こでまず第2折 点であ るが, B2O3-GeO2系 では比重

や屈折 率について も同 じ位置,す なわちGeO250cat%

附近 にあ らわれ る.と くに比重 の場合 はっき り出ている

268 J. Ceram. Assoc. Japan  窯 協73 [12] 1965 92

ことか ら,一 種 の充填効果 と考 えてよいのではないだろ

うか.例 えばFurnasに よる粒径 の異 なる2種 類 の球 を

混合 した場合 の,組 成 と充 填率 の関係 を調 べた実験 に よ

ると,粒 径比 がOa5よ り1に 近 い 場合 は 充填率の極 大

値 は50%附 近 にある5)(も ちろん 充填率の 増加 は ごく

僅 かである).し たが ってB2O3-GeO2系 において1そ

れ ぞれ の構造単位BO3とGeO4を 半径の異 なる2つ の

球 と仮定す れば,第2の 折点は 充 填 率 の極大点 となる

(配位数 の養 を無視すればB-O/Ge-O=0.8).少 た くと

も比重や屈折 率については,以 上の考 え方 のほ うが理解

しやす い.一 方熱膨脹係数 については,3配 位構造 の中

に少量 の4配 位 が存在 した場合 の影響 と, 4配 位 構造 の

中に取巻れ ている3配 位 の熱膨脹効果 とは違 うのが当然

で,充 填効果以外 に構造的考察 を無視 す ることは出来 な

い.結 局-O-B-_と い った3配 位 同志の連結構造 に消

える点 に,構 造的 にみた熱膨脹係数 に関す る折 点が予想

され る.そ の位置 は配位構造 か ら考 えればBO3/GeO4=

4/3(=57.15cat%)9単 に統 計的に考えれば1/1(=50.0

cat%)の 点 になる.

以上 の熱膨脹係数 における 折 点の説 明は, BO3の 熱

膨脹効果 は-B-O-B-と い った 連結構造 の 存在 に よっ

て発揮 され, 4配 位構造 の混入 によ って大 き く妨害 され

るが,さ らに上記-B-O-B-結 合 が切断 される ことに よ

り次第に減少 し,つ い に完全 に4配 位構造 に取 囲まれ,

孤立す ることに よ り最少値 に達す るとい う,高 橋 の考 え

に基 づいてい る.そ れ を多少定量的 に検討 してみる と次

の ようにな る.す なわちGeO250cat%以 上 の範囲で

はBO3は 孤 立 してお り,こ の孤立BO3の 熱膨脹因子

をB2O3-SiO2系 とB2O3-GeO2系 につい て 比 較 す る

と, 50cat.%の ところでは 次の通 りであ る(た だ し単

位 は10-6/℃).

B2O3-SiO2系:

B2O3-GeO2系:

以上2つ の系か ら計算 したdBo1.5が ほ とん ど一致す る

ことは,以 上の考 えを裏書す る材料 の1つ とみてよいだ

ろ う.

そ こで次に 問 題 になるのは-B-O-B一 結合 の存在領

域での変化,と くに第1折 点 の意味 とそ の位置 である.

もっとも実 際の変化 は,こ の第1折 点 を折れ 目とす る折

線 であ らわせ るような単純 なもので な く,さ らにい くつ

かの折点 を含 む ような曲線 か もしれ ない.た だ し折点が

1個 でな く複数存在 す るもの として も,第1折 点附近 に

大 きな傾 向の変化 があ ることには変 りない.高 橋 の推論

によれ ば,こ の第1折 点はGeB4O12とBO3の 共存点

とい うことで あるが,安 部説 のBIVB4mO12に 対応 す る

GeB4O12が 熱膨脹減少 の主因であ るとすれ ば,第1折 点

は 当然GeB4O12の 組成点(GeO220cat.%)で なけれ

ばならず, BO3と の共存 点は全 く意味が ない.こ のよ

うな矛盾 の原因 は, GeB4O12の よ うな原子集 団を特別 あ

つ かい にす るためで あ る.B2O3中 に少 量のGeO4が

入れ ば当然上記 の ような形 にな るわ けで,む しろそ の際

GeO4と 直接酸素 を共有 する4個 のBO3が,4配 位構造

の影響 で熱膨脹 が妨害 され る5と 考え るべ きでは なか ろ

うか.た だその際4配 位構造 に よる妨 害効 果が,隣 接す

るBO3に しか及 ばない と 考える と,上 の 場 合 と 同様

GeO20cat.%の ところに折点 がこなければ な らないd

しかし実際 の折点 が それ よ りGeO2の 少 ない処(GeO2

約15cat,%)に あるこ とは, 4配 位構造 による妨害効果

が さらに遠 くに及ぶ ことを意味 している.

•› Primarily affected oxygen

•• Secondly affected oxygen

Fig. 7. Structural effect of

4-coordination in 3

-coordination structu

re.

そ こで以上の考 えに もとつい て,模 型的 に熱膨脹 の組

成 変化 を考 えてみる と 次の ようにな る. BO3の3個 の

酸 素の うち31個 がGeO4と 頂点結合で 連結 した 場合

(図-7(a)中 の○印)の 妨害効果 を γとす ると,GeO2

がxcat%(x≦42.85)の ときの妨 害効果は4γxと な

り, x=42.85の 点 まで単調 に増加す る.酸 化 ゲルマ ニ

ウムの少ない組成域では, GeO4と 結合 したBO3の 酸

素の残 り2個 は,さ らに隣 りのBO3と 結合 してい るわ

けで, 4配 位構 造 に よる 妨害効果 がこのB-O-B結 合

(この場合 の酸 素は 図-7(a)中 のO印)に まで 及ぶ と

仮定 し9そ の大 きさを δ とすれ ば, GeO2がxcat.%

(後述 の ようにx≦13a4)の ときの値 は8δxと なる.

なおこの 考 え 方 は,妨 害効果 をGeに 結合 してい る

BO3全 体 について では な く, Geと 結合 しているGe-

O-B結 合について考 えてい るので,例 えばGeと 結合

したBO3に っいて も,Geと 結合 したBO3に 対 する

妨害効 果が常に γなので はな く, BO3に2個 のGeが

直接結合 しておれば それは27,3個 な らば3γ と勘定

す る.し たが って 図_7に み るよ うに,GeとGeの 間

のBO3が3個(図 一

7(a))か ら2個(図

一7(b))に 減少 した

際,第2次 の妨害効

果 は1か ら0に 変 る

のではな く(図-7で

斜 線 の 入 ったBO3

の数),2か ら1に な

るのであ る(図 中の

◎ 印酸素 の数).そ

の結果 この第2次 の

妨害効果 は, xの 増

力口とともに8δxの

値で直線的 に増加す

るが,す べて のGe

93  窯 協73 [12] 1965 J. Ceram. Assoc. Japan 769

が 図-7(a)の よ うに3個 のBO3を 介 して 存 在 す る状

態,す な わ ちGeB4O12とBO3が 共 存 す る点, GeO2-

13.04cat.%の 点 で 極 大 値 に達 し, xの 値 が こ の点 を越

え た と こ ろで は,妨 害 効 果 は(1.5-3.5x)δ とな ってx

の増 加 と共 に 直 線 的 に減 少 し, xが42.85(=3/7)の 点

で0に な る.以 上 の結 果 を ま と め る と次 の よ うに書 表 わ

せ る.た だ しdIVお よ びdBけ4配 位 のglass former

お よびBOL15の 熱 膨 脹 因 子 で あ る.

以 上の 計 算 式 に つ い て,実 際 のB2O3-SiO2な らび に

B2O3-GeO2系 を基 礎 に,γ ど δ の構 造 因子 を 出 して み

る と次 の よ う に な る.

B2O3-SiO2系 ・γ=2.6,δ=2.9

B2O3-GeO2系 ・γ=2.53,δ=2.0

この 結 果 でSiO2系 の δ の値 が γ よ り大 きい 点(δ の

方 が2次 的 効 果 で あ る か ら γ よ り小 さい と考 え られ る).

またSiO2, GeO2系 で δ の値 が や や 違 って い るな ど解

ら ない 点 もあ るが,以 上 の計 算 自体 近 似 的 な もの に す ぎ

ない ので,大 き な矛 盾 と して取 上 げ るほ どの 意 味 は な

い.

B.  第1折 点 と硼 酸 異 常

次 に こ の 問題 と関連 して硼 酸 異 常 の 問 題 を取 上 げて み

た い.い ず れ も類 似 した 位 置 に 折 点 を もつ が, B2O3-

GeO2系 の 第1折 点 の位 置 は,前 述 の よ うにGeB4O1,

が互 にBO31個 を介 して隣 接 しあ う 組 成 点 に あ り,一

方B2O3-M2mO系(MLLi, Na, K)で は,熱 膨 脹 係

数 の極 小 点 はBIVB4O12の 組 成 点 に あ る と考 え られ て来

た.も ち ろ ん現 在 で はBの4配 位 化 が こ の組 成 点 で飽 和

す る,と 考 え られ て はい ない ので,こ の位 置 の意 味 は変

って い る. Bの4配 位 化 がM2IO50cat.%附 近 ま で継

続 す る とい う,核 磁 気 共 鳴 の結 果 に基 づ い て考 え る な ら

ば,ま ずB2O3-GeO,系 にみ られ た第1折 点 が存 在 しな

けれ ば な ら な い.こ の位 置 はMmO0.511.5cat.%の 点

に あ る.し た が ってB,O3-M2IO系 の 熱 膨 脹 係 数 が,

MIO0 .516.7cat.%附 近 に 極 小 点 を も って い る こ と に

は,上 記 の第1折 点 の他 に,さ らに別 の要 素 が加 わ って

い る と考 えね ば な ら な い.事 実 図-8に み られ るB2O3-

M2IO系 の熱 膨 脹 係 数 も,極 小 点 の他 にMmO0 .511.5

cat.%附 近 に折 点 を もつ よ うに み え る.

Fig. 8. Expansion coef. of glasses in

B2O3-R2O system.

(a)Ring Structure of

SiBO type

(b)Ring Structure of

SiB2O5-type

Fig. 9. Models of structure containing 3

and 4-coordination.

さてそれ について,従 来 の配位数 の変化 による説明が

成立 しない現在,原 因 として考 えられ ることは,次 のよ

うなこ とでは なか ろ うか 。す なわちこの場合,ア ル カ リ

イオ ンに よ りB-O-B結 合 は切断 されず,た だBの 配位

数 の変化が起 るに止 まるた め,網 状構造 に特 有 な 空 隙

は, SiO2やB2O3と 同様存続す る.そ れゆえ ある範 囲

までは(極 小点 よ り アル カ リイ オ ン の少 ない側 では),

アルカ リイオ ンが これ らの 空隙中に入 っていて,熱 膨脹

に実質的 な寄与 を しない とい う考 え方 である.し たが っ

て極小点 を越 えた部分で は,ア ル カ リイオ ンの熱膨脹効

果が現 われた とす るわけであるが,そ の原 因 として次 の

2つ の考 え方 が浮 んで来 る. 1つ は4配 位構造 の増加 に

よ り,空 隙が狭 くなる とい う考 えであ り,他 はアルカ リ

の増加 によ り,ア ル カ リイ オ ン同志の反 揆力が働 く,と

い う考 え方 である. B2O3やSiO2の 構造 から考 えて,

当初 の構造 は 一ョ一Bま たはSi-O-Siの6角 環 であろ

う。その場合B-O距 離 を1.39Aと すれば, 6角 環 の

中心 の空隙の半径は1013Aに なる. BIVB4O12の 組 成

点 では,4配 位 のBの 周 囲 を3配 位 のBが 取巻 いてい る

と考 えれば,図-9(a)の ような6角 環 が可能 である.し

か し4配 位化 が さらに進 み, 4配 位 と3配 位 のBが1っ

置 きに存在 す る組成 になれば, (b)の よ うな4角 環が考

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えられやすい.も ちろんその中間 に5角 環 の考 えや すい

組成 もある.一 方 アル カ リイ オ ンの イオ ン 半径 はK=

1.33, Na=0.98, Li=0.68Aで,こ れ らの イ オンが入

りうる多角環 は 表-1の 通 りで ある.し たがって以上 の

考 え方か ら導 き出 され る結果 は,カ リウム系 では極小点

は現われず,ナ トリウム系では16.7cat.%,リ チ ウム系

では25.0cat%附 近 に極小点 が存在 す る,と い うこ と

になる.図-8に み られ る 実測値 の 極小点 の位置 も,確

か にイオ ン半径 によって少 しずつ移動 してい るこ とは認

められ るが,以 上 の推論 からはかな りずれ ている.も っ

ともアル カ リイ オンが平面的多角環 の中心 に入 る,と い

う仮定 に も少 し無理が ある.実 際 は3次 元的構造 であ る

から,空 隙 の半径 はやや違 って くるだろ う.し か しそれ

にして も,空 隙 の大 きさで説 明 しようとす る とイオ ン半

径 の差が利 きす ぎる.

Table 1. Radius of Hole of Ring.

そ こで アル カ リイ オンの熱膨脹効果 の現 わ れ る 原 因

を,ア ル カ リイ オン同志 の反揆 に よる もの として考 えて

み よ う. 4配 位 のBに は必ず1個 のアルカ リイオ ンが隣

接 して存在す る.し か しBの4配 位 は立体構 造で あるの

で,第2の アル カ リイオ ンが近 接 した場 合,と りうる3

つ の位置 は全部同等 で,第1の アルカ リイオ ン に 隣 接

す る.そ こで は じめの 構 造 模 型 図-9(a)に 戻 って,

BIVB4IIIO12の 組成 点で,そ のよ うな平 面6角 環 が形成

され ないに して も, 4配 位 のBは3配 位 のB2個 を介 し

て4配 位 のBに 結合 している点 は不変 と考 えれば, BIV-

O-BIII-O-BIII-O-Blvの 長 さは 等 しいので あるか ら,

4配 位 のBの 問の距離 は6角 環 で計算 した値 の,せ いぜ

い1.35倍 程度 である.し たが って1つ の4配 位構造 に

結 びついたアルカ リイオ ンは,同 時 に最 も近い位置 にあ

る次 の4配 位構造 に も接近す ることに な り,換 言すれ ば

1個 の4配 位 のBに2個 のアルカ リイオ ンが接近す るわ

けで,ア ルカ リイオ ン同志の反揆の影響が現 われ よ う.

しか しその組成 点は求 めに くい.た だそ の場合 もイオン

半径 の大き さが関係す ることは期待 され る.

ところで, 4配 位 のBの 一部 をSiやGeの よ うな,

アルカ リイオ ンを伴わ ない本来 の4配 位構造で置換 した

場合 を考 えてみ ると,上 の2つ の考 え方 のいずれ を採 る

かに よって違 った結果が出 て来 る.す なわち多角環 の中

心 の空隙 の大 きさによる ものと仮定す る と,上 記 の置換

はその空隙の大 きさをほ とん ど変 えず,し たが って極小

点 の位置 は変化 しない,し か しアル カ リイオ ン同志の接

近 と考 えれ ば,SlやGeと 置換 す ることに よ りアル カ

リイオ ンは減少す るた め,極 小点 の位置 は4配 位構造 の

数 とは一致 しない.む しろSiやGeの 数 には 無 関 係

に, 4配 位 のBの みに よって極 小点の位 置が決 ることに

なる.ま ずSiO2-B2O3-Na2O系 について 計算 した高橋

の結果 は,明 らかに後者 の推論 と一致 す る.す なわちそ

こでは, SiO2の 量 には無関係 にB:Na=5:1の 点 に極

小点 がある,と して計算 されてい るか らで ある.た だ し

SiO2が50cat%以 上 では 計 算値 よ り実測値が かな り

大 き くなってお り,こ れはやは り多角環 の大 きさ も,あ

る限度以上 では影響 する ことを示す もの と思 われ る0

次 にGeO2-B2O3-Na2O系 については,当 研究室で実

測 した結果 を 図-10に,ま た ガ ラスの 組成 は 表-2に

示 した.図 中の◎印はBの4配 位 を優先的 に考 えた場 合

の値 を示 し,◎ 印 は逆 にGeの4配 位 を優先 して考 えた

場合 の値 である.結 果(○ 印)は 明 らか に前者 と一致 し

てお り, SiO2-B2O3-Na2O系 の場合 と同 じであ る.し た

が って以上 の結果 な らびに推論 か らす ると,硼 酸異常 と

して知 られてい る熱膨脹 の極小点 は,多 角環 が小 さくな

るために生 ず る陽イオ ン同志の反揆 に起因す る と思 われ

る.

Fig. 10. Expansion coeff, of glasses in

B2O3 CeO2 Na2O system.

Table 2. Composition of glasses in Fig. 10.

C.  その他 の物性 について

さてB2O3-GeO2系 ガ ラスについては,熱 膨脹 係数の

他 に比重,屈 折率 お よび粘 度 を測 定 してい る.そ れ らの

測定値 と組成 との関係 は,前 述 の ように直線関係は1な

い し2つ の折 点 をもつ.粘 度の場 合 を除いて折点 の位置

は熱膨脹係数 の場合 とほぼ一致 す る.第1折 点は熱膨脹

係数 の場合 ほ どは っき りしてお らず,粘 度では全然み ら

れない.し か し熱膨脹係数 における第1折 点の原因が,

前述 のよ うに配位数 ではな く熱膨脹 の妨害効果 であ ると

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す ると,比 重や屈折率 に余 り現 われ な くて も当然 か と思

われ る.一 方第2折 点 は前述 のよ うに,粒 径 の異 なる2

種 類の球混合充填率で説明 され る とす る と,こ れ は当然

比重や屈折率 にも現われ てよい し,事 実 またそれ をみる

ことが出来 る。また 粘度 の場合 に も 図-6(a)に み るよ

うに, 50coat.%附 近 に折点がみ られ,高 温 で もその位置

は変 らない.た だ混合充填で考 える と,充 填率 が高 い,方

が粘度が高いに違 い ない のだ から,こ の場合 の折点 の折

方 は逆 であ る.い ずれ にして も前記 のよ うにGeO2の 多

い側 のデー タ不足で あるから,こ の結果 は余 り確 かな も

の とはいえ ない.一 方 図-6(b)は 定粘度 曲線 であるが,

これは折 点がB2O350cat,%よ り硼酸側 に 片寄 ってお

り,し か も前述 のよ うに低粘度 ほ どその位置 はB2O3側

に移動 す る.こ の定粘度曲線 と関係 の深 い転位点(η=10

ポイズ)の 変化(図-2)は,も っとも高粘度側 にあるわ

けで,折 点の位 置 もB2O350cat.%に 一番近 い.た だそ

の折方 が逆 にな ってい る点が少 し気 になる.し か し粘度

の定温度 曲線 に くらべて定 粘度曲線 の意味づ けは難か し

いので,こ れ以上 この点に深入 りす ることは さけたい.

Ⅳ. 赤外線 吸収 スペ ク トル

以上B2O3-GeO2系 ガラスの組成 と物性 の 関 係 を 調

べ,あ わせ てそれ らのガ ラス構造 について も多少言及 し

て来 たが,そ れに関連 してB2O340~90mol.%の ガ ラ

ス数種 につい て,赤 外線吸収 スペク トル を参考までに と

ってみ た.図-11は その結果 であるが,こ れはガ ラス を

吹い て薄膜 に した ものを使 って測定 した ものであ る.従

来 は主 としてKBr法 を使 ってガ ラスの赤外線吸収 スペ

ク トル を とって来 た.そ れ による とこの系で波数1108,

1030, 930, 740と い う4配 位 のBに よる といわれる吸

収が見 られた.し か し 図-11に 示 した薄膜 の試料 か らは

そ うした吸収 は み られない.す なわちB2O350mol.%

以上 の範囲で は, 3配 位 のBの 吸 収 と されてい,る波数

1450, 1200, 740の 吸収 と, Geの4配 位 に よ る 波 数

880の 吸収だ けがみ られ る.し か しGeO2の 増加 と共 に

波数880の 吸収 の 増 加 し て ゆ くほかに,新 たに波数

1290の 吸収 が現われ,ま た 波 数1450の 吸収 が長波長

側 に動 くな どの現象 もみ られ る.か っB2O3-GeO2系 の

赤外 吸収はB2O340mol.%以 下で は一変 し,そ れ まで

の3配 位 のB, 4配 位 のGeの 吸収 など全部 な くな り,

新 たに波数1020の 大 きな吸収 と 波数780の やや小 さ

い吸収 の2つ だけに なる.こ れ らの新 しい吸収が なにに

基 づき,い,か な る構造 変化に対応す る ものかは未検討 で

ある.ま た 吸 収 の上 で大 き く変 化す る位置はB2O380

cat.%と60cat.%附 近に あるが,こ れは第1,第2折

点 と多少ずれ ている.し か し従来考 えられて来た構造 変

化 とは何 らかの関係 があ る筈 であ り,さ らに検討 を進 め

れ ばこれ までの推論 が うらづけ られ る可能性 もあ る.い

ずれ に して も4配 位 のBの 吸収 がみ られ るとい.うKBr

法は,R・V・Adams6)が 指摘 してい るよ うに,試 料作製

過程 でB2O3ま たは 硼酸塩 が変質 する もの と考 え られ

る.し たが ってB2O3-GeO2系 ガ ラスの構造 単位 は3配

位 のBと4配 位 のGeで, B2O380cat.%と60cat%

附近 に構造変化が あると想像 され るが,そ れ らにっいて

まだ解 ってい ない とい うこ とである.

Fig. 11. Infrared spectra of glasses of

B2O3-GeO2 system.

Ⅴ. 総 括

以上B2O3-GeO2系 のガ ラスについ て,熱 膨脹係数,

変形温 度,比 重,屈 折率,粘 度お よび赤外線吸収 を測定

した.そ の結 果次の よ うな諸点が明 らかになった.

(1)  これ らの諸物性 と組成 との関係 を示すカー ブに

は1~2個 の折 点が 存 在 す る.第1の 折 点はB2O585

cat%附 近 に,第2の 折点 はB2O350cat.%附 近 にあ

る(た だ し赤外吸収 のみはB2O380cat.%と60cat.%

附近 にある).

(2)  熱膨脹係数 に関す る計算式 を作 った.そ の際4

配位構造 による(3配 位構造 の熱膨脹効果 に対 する)妨

害作用が, 4配 位原子 に直接つ ながる酸素 だけでな く,

Bを 介 して更 に燐 りの酸素 にまで及ぶ として 計 算 す る

と,第1の 折点が現われ る.

(3)  これ らに関連 して硼酸異常 につい,ても検討 した

が,熱 膨 脹一組成曲線 にみ られ るB2O3-R2O系 の 極小

点は,ア ルカ リイオ ン同志 の反揆 によることが推定 され

た.こ れはB2O3-GeO2-Na2O系 の熱膨脹係数 を検討 し

た結果 であ る.

(4)  赤外線吸収 か らB2O3-GeO2系 ガ ラスの構造単

位 は3配 位 のBと4配 位 のGeで ある.

文 献

1) M lrnaoka, Advances in Glass Technology, 140

272 J. Ceram, Assoc. Japan  窯 協73 [12] 1965 96

(1962).

2) 高 橋 健 太 郎,横 浜 国大 工 紀 要, 3, 201 (1954).

3) 今 岡 稔,生 産 研 究, 11, 449 (1959).

4) CR. Kurkjian, R.V. Douglas, Phys. Chem. Glas

ses, 1, 19 (1960).

5) C.C. Furnas, Micrometritcs, p. 134 (1943).6) RV. Adams, Phys. Chenz. Glasses, 2, 101 (1961) .

(5/14/65受 付)