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R せ f 一 食 S h o u S 虫垂炎のピットフォールとバリエーション 左合 宿* み合さったりして我々を悩ませるのだが,これらを 整理し系統立てて珊解しておくことがその対策の基 礎となる. 1.虫垂炎と正常像の境界 正常な虫垂像は“肥惇や造影効果がなく空気を含 んでいる”と言えるが(図1,2),“肥厚Mの定義は明 確ではない.計測上は最大外径が6-7mmと言わ れているが,CTでは正常と虫垂炎にオーバーラップ がある(図3,4).このような境界領域でも図4のよ うに臨床的には虫乗炎の所見が明らかな場合もあ り.また両像は超音波のほうが分解能・組織特性い ずれの点でも鋭敏である.超音波は“虫垂が見えさ えすれば’という条件はつくが,空気のない虫乗は捉 えやすいし.微妙な所見の短期的な経過観察にも簡 便である.一方,図2のような空気を含んだ正常の 虫垂全体を超音波で捉えることは難しく∵虫垂は正 常である”と証明することは通常難しい.正常な虫 垂の確実な描出にはCTということにはなるが.図1 のような像が据えられないかぎりは虫垂炎を否定で きないことを認識しておくべきである. 2.解剖,形態のバリエーション 虫燕の同定や評価はかなり細かい部類の両像診断 であり.その難易は体型や虫垂の位間・走行,病変 の部位といった解剖的要素によって影響を受ける. CTでは太っていれば腸管どうしが分離し有利で 虫垂炎の診断には多くの施設で画像がかかわって おり,本症の診断学が,元来の習熟された臨床医 の手から放射按科医の目へとシフトしている.背景 には“画像のほうが簡単で正確”という認識があり, 実際多くの症例はそのとおりであるが,限界やピッ トフォールが存在することも事実である.“画像は 正確”の認識があるだけ,見落しや誤診は従来より 診断の遅延を来しやすく,その意味では画像診断 医の責任は重い.本稿では虫垂炎の画像診断の限 界や難しさをテーマに,それらの要因,すなわち「な ぜ,どんな時に難しくなるのか?」を考えながら解 説する. はじめに 虫垂炎の両像所見の基本は虫垂の肥厚・拡張であ る.臨床診断が難しくてもこれで診断できるし.特 別な両像の知識や韓験がなくてもわかることが多い ので「虫垂炎は両像で」という認識の根拠になってい る.したがって∴画像診断が難しいということは「虫 乗の同定が難しい.あるいは同定できても虫垂炎の 判定が難しい」と言い換えられる.これには,体型や 解剖学的変異,病態の変異や繹時変化という患者側 の要田だけでなく.検禿法の特性や限界.臨床情報 の質や景といった医療側の安閑もかかわっているl)2). 実際の臨床では.さまざまな安閑が形を変えたり軌 *SagohT.福井赤十字病院放射線科 1236 画像診断 Vol.28No.11200

Appendicitis:Pitfalls and Variations

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"虫垂炎のピットフォールとバリエーション"Acute appendicitis represents an exceedingly common clinical entity requiring prompt surgical intervention.Although the usefulness of imaging modalities in suspected acute appendicitis has been established,missed diagnoses still occur in atypical case and in some confusing conditions.Awareness of the underlying factors that act as pitfalls to making a correct diagnosis enable us to improve our diagnostic accuracy.

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Page 1: Appendicitis:Pitfalls and Variations

R せ f 一 食 S h せ - ⊂ o u - S 亡

虫垂炎のピットフォールとバリエーション

左合 宿*

み合さったりして我々を悩ませるのだが,これらを

整理し系統立てて珊解しておくことがその対策の基

礎となる.

1.虫垂炎と正常像の境界 正常な虫垂像は“肥惇や造影効果がなく空気を含

んでいる”と言えるが(図1,2),“肥厚Mの定義は明

確ではない.計測上は最大外径が6-7mmと言わ

れているが,CTでは正常と虫垂炎にオーバーラップ

がある(図3,4).このような境界領域でも図4のよ

うに臨床的には虫乗炎の所見が明らかな場合もあ

り.また両像は超音波のほうが分解能・組織特性い

ずれの点でも鋭敏である.超音波は“虫垂が見えさ

えすれば’という条件はつくが,空気のない虫乗は捉

えやすいし.微妙な所見の短期的な経過観察にも簡

便である.一方,図2のような空気を含んだ正常の

虫垂全体を超音波で捉えることは難しく∵虫垂は正

常である”と証明することは通常難しい.正常な虫

垂の確実な描出にはCTということにはなるが.図1

のような像が据えられないかぎりは虫垂炎を否定で

きないことを認識しておくべきである.

2.解剖,形態のバリエーション

虫燕の同定や評価はかなり細かい部類の両像診断

であり.その難易は体型や虫垂の位間・走行,病変

の部位といった解剖的要素によって影響を受ける.

CTでは太っていれば腸管どうしが分離し有利で

虫垂炎の診断には多くの施設で画像がかかわって

おり,本症の診断学が,元来の習熟された臨床医

の手から放射按科医の目へとシフトしている.背景

には“画像のほうが簡単で正確”という認識があり,

実際多くの症例はそのとおりであるが,限界やピッ

トフォールが存在することも事実である.“画像は

正確”の認識があるだけ,見落しや誤診は従来より

診断の遅延を来しやすく,その意味では画像診断

医の責任は重い.本稿では虫垂炎の画像診断の限

界や難しさをテーマに,それらの要因,すなわち「な

ぜ,どんな時に難しくなるのか?」を考えながら解

説する.

はじめに

虫垂炎の両像所見の基本は虫垂の肥厚・拡張であ

る.臨床診断が難しくてもこれで診断できるし.特

別な両像の知識や韓験がなくてもわかることが多い

ので「虫垂炎は両像で」という認識の根拠になってい

る.したがって∴画像診断が難しいということは「虫

乗の同定が難しい.あるいは同定できても虫垂炎の

判定が難しい」と言い換えられる.これには,体型や

解剖学的変異,病態の変異や繹時変化という患者側

の要田だけでなく.検禿法の特性や限界.臨床情報

の質や景といった医療側の安閑もかかわっているl)2).

実際の臨床では.さまざまな安閑が形を変えたり軌

*SagohT.福井赤十字病院放射線科

1236 画像診断 Vol.28No.112008

Page 2: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

園1正常虫垂

-:正常虫垂.空気を含み肥厚

はない.→:起始部.

あり.増せていればわかりにくい1).超音波ではビー

ムの減衰のためその道であり.体型の点ではCTと

超音披は相補的である.これは両像診断の一般論で

はあるが.細かい腸管の同定が問題になる虫垂炎の

画像診断ではかなり重要な要素である.

また.虫垂の位置や長さは個人差があり,予期し

ない位同や走行は見落しや誤認につながる.腸骨席

は体表から浅いうえに比較的広くフラットなスペー

スなので.虫垂の全長が腸骨南に収まっている場合

はCT,超音波どちらでも同定はしやすいが,そうで

ない場合には注意が必要となる2).

1)盲腸後部虫垂(retrocecalappendix)

虫垂が首陽常例を上行する場合であり,頻度は高く

変異と言えるものではない.CTは影響を受けないが,

結腸の死角になる超音波では注意を要する(図5).

臨床的に虫垂炎が疑われたり,回市部の走禿で患者

が痛がっているのに虫垂が見えない場合は考えるべ

きである.ブロープの圧迫で結腸が虚脱すれば見え

るが(図6),ガスや便が退いてくれない場合は,横か

らのぞき込むようにして見れば少なくとも拡張した

虫垂の一部は捉えられることが多い.

2)高位虫垂(図7)

回雷部や虫垂が右季肋部やMorison商にある変

異で,虫垂炎を発症すれば右季肋痛を来すが.虫垂

炎以外の同市部の腸炎でも同様である.臨床的には

画像診断 Vol.28No.112008

超音波像

図2 正常虫垂

→:正常虫垂.超音波ではこのような空気を含んだ正常虫

垂を先端まで同定することは難しい.

胆道系疾患や十二指腸潰瘍,憩室炎,若い女性では

Fitz-Hugh-Curtis病が疑われやすいが,特にこれら

の疾患が少ない小児の右季肋部痛では,高位肯腸は

東要な鑑別診断である.

3)骨盤内虫垂,低位盲腸

起始が腸骨柿にあっても遠位が骨盤内に落ち込

んだ虫垂,あるいは回首都自体が骨熊内に落ち込ん

でいる場合である.体表から深い点では超音波に

とって障害となり.CTにとっては,狭いスペースに

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Page 3: Appendicitis:Pitfalls and Variations

腎癒術前の造影CT

A 造影CT

B 超音波像

図4 20歳代.男性 虫垂炎

A,B:CTでは空気を含まず少し太い(A;→)が図3の正常例と明白な違いはな

い.超音波では浮腫による肥厚がよりわかりやすい(B;→).炎症反応や圧痛な

ど臨床的には典型例であり,手術で全層性の炎症が確認された.

虫垂の同定は“盲腸から連耗する管腔構造を追跡

する”ことであり回盲部を基点とするが,追跡しきれ

ないことや.低位盲腸のように回宮部自体がわから

ないこともある.虫垂同定のもうひとつのポイント

は盲端であり,拡張した雷端さえ確認できればほぼ

虫垂炎と断定できる.低位盲腸や長い虫垂の場合に

画像診断 Vol.28No.112008

腸管や子宮付属器が込み入っており,小児や痩せた

体型に多い点が障害となる.また,次項のdistal

appendicitis(図9,10)や破裂など,他の要因が重

なるとさらに難しくなる.十分拡張した虫垂炎でも,

盲腸との連続惟や育端がわかりにくいので小腸と見

誤りやすい(図8,9).

1238

Page 4: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

図5 盲腸後部虫垂炎

拡張した虫垂(→)が盲腸・上行

結腸(*)の背側を上行してい

る.・-:虫垂起賂 -:国盲弁.

超音波では起始が同定できずこ

の虫垂を見つけられなかったが,

上線レベルで側腹から見れば捉

えられる位置である.

超音波像

園6 盲腸後部虫垂炎

強く圧迫して結腸を虚脱させて

見ている.盲腸・上行結腸(-)

の背側に拡張した虫垂(→)があ

る.*:腸腰筋.

は思いがけない位置や向きで虫垂の青端が存在する

ことがあり,特に走黍自体に主観が入る超音波では,

回古都や腸骨商にこだわりすぎると十分に見えるサ

イズの青端を見落すことになる.虫垂炎に限らず病

変の主座は最も庄痛が強いので,方向や位置を意識

せず“とにかく一番痛い所を中心に青端を探す”とい

う走査も重要である(図10).

4)dista]appendicitis

虫垂の起始や近位部は正常像であっても,遠位部

のみが虫垂炎の所見を呈する場合を指す.糞石の遠

位が拡張や破裂しても近位は全く正常であることも

多く(図11),正常の虫垂全長.特に遠位を捉えるこ

画像診断 Vol.28No.112008

との難しい超音波で虫垂炎の否定が難しいのはこの

バリエーションのためである.CTでも,虫垂が長く

盲腸との連続性が捉えにくい場合には,拡張した虫

垂の同定は難しくなり,前項で述べたような不利な

体型や骨盤内虫垂.低位盲腸に伴った場合に特に問

題となる(図9~11).

超音波の技術としては,近位部は正常径であって

も空気がなく“見えやすい”ことが多いので,このよ

うな場合は気を抜かないでできるだけしつこく遠位

まで追跡することである(図11,12).深部までビー

ムの届く低周波のブロープは,分解能は悪いが,結

石や十分拡張した盲端であれば捉えられるのでプ

1239

Page 5: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 造影CT

B 超音波像

チ1園7高位虫垂炎 ∵A,B:拡張した虫垂(→)が上行してMorison唐に達している.--:虫垂起始乱

*:肝.

(福井県済生会病院宮山士朗先生のご厚意による)

造影CT

園8 低位盲腸

上行結腸は腸骨唐から内側に走

行し盲腸が恥骨上の正中に位置

する(-).拡張した虫垂は正中

の起始(・-)から右背側に上行し

ている(→).⊂きは先端.虫垂は

十分拡張しているが,小腸と間

違えやすい,超音波では国盲部,

虫垂とも綻えられていない.

要だが,まずは阿転異常に気づくことが重要である.

解剖変異は読影の基本であり.回転異常の有無をオ

プションで考えるのではなく.上腸間膜動静脈の位

同,十二指腸水平脚や上行結腸の走行などは,日常

の腹部CT読影や超音波の走秀では,意識しなくて

画像診断 Vol.28No.112008

ロープを使い分けることもポイントである(図11).

5)腸回転異常(malrotation.図13)

回盲部が正中や左側にあるため臨床所見は非典型

的となり,両像診断の役割が大きい.破裂や痩せた

患者など,わかりにくい虫垂炎の場合には注意が必

1240

Page 6: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

A 造影CT

図10 低位盲腸+乗石.distal

appendicitis A.B:盲腸は骨盤腔にあり(-),

虫垂起始(--)の少し遠位に糞石

がある(中).拡張した遠位虫垂

は骨盤内深部を下行し膀胱(*)

の直上で浅部に向かい腹壁直下

で盲端に終る(→).超音波では

虫垂起始,薫石はいずれも見え

も全例チェックできるようにしておくべきである. はあるが.しばしば臨床医,画像診断医を混乱させ

る要田であり理解しておく必要がある.最初は虫垂

の閉寒による拡張と浮聴から始まり,虫燕近傍の炎

症,穿孔・周閉への波及と進行するが,各々の段階

1241

3.病態のバリエーションと経時変化

虫垂炎の症状や両像の締時変化は底本的なことで

画像診断 Vol.28No.112008

Page 7: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 造影CT

図118歳,女児 糞石.distaI

appendicitis+低位虫垂

前日にも虫垂炎疑いで超音波が

なされている.この時は正常な

近位部のみが確認され経過観察

ヨ としたが,症状の増悪と腹膜刺

恋嘉吾碧羞碧空碧

A.B:近世部(・-)は起青嵐

CTとも正常だが.遠位部はやや

肥厚(→)し,糞石(-)とその遠

位から先端(*)の拡張を認め

る.糞石がないとCTでも虫垂

の同定は難しくなる.再検の超

音波では骨盤内の遠位部を意識

し,低周波のプローブで肥厚し

た虫垂と糞石は捏えられた.0:

回腸末端.

B 超音波像

超音波像

図12 distalappendicitis

近位部は正常(-)だが腸腰筋(*)と腸骨動静脈(・-)を内側に乗り越えた遣使は肥厚拡張

している(→).しばしば見られるパターンであり,超音波で近位部だけを正常に同定で

きても虫垂炎を否定することはできない.このような例でも近位部は空気を含まず虚脱

していることが多いので,意識的に遠位まで追跡することが重要である.

で留意点がある.

1)初期段階

心南部痛,嘔吐発熱といった非特異的な症状か

ら始まって,右下腹部痛・腹膜刺激症状という.よ

り特異的症状,理学所見と進むが,臨床所見は個人

差があるうえに臨床医の技景にも依存する.適切に

1242

理学所見が取られずに“胃腸炎”として扱われたり,

虫垂炎に言及されない両像の依頼も少なくない.こ

のような状況は画像診断医にとっても見落しの要因

となるがl),非特異的な症状や依頼であっても阿南

部は常にチェックすることが自衛として必要である.

臨床現場における“急性胃腸炎”という言葉は大半が

画像診断 Ⅵ)1.28No.112008

Page 8: Appendicitis:Pitfalls and Variations

単純CT

讐13腸回転異常合併の虫垂静

左下腹部から正中に圧痛.炎症

反応高値.固盲部は正中にあり

(c:盲腸.・-:回腸末端),虫

垂は拡張肥厚し起始の結石があ

り遠位で破裂する(→).上腸間

膜動静脈は転位(-),呈示して

いないが十二指腸水平脚も*で

右側に靭転している.本例は回

転異常があっても虫垂の同定は

容易だが,同定できないような

虫垂炎に回転異常が合併する場

合は注意を要する.

(福井県立病院 吉川 淳先生の

ご厚意による)

A 造影CT

B 超音波像

図14 20歳代,男性 破裂と膿瘍

3日前より腹痛嘔吐 前日より下痢が始まり炎症反応が高値.

A,B:虚脱した虫垂(→)と膿瘍(-),Douglas執こ流注した膿瘍(*).下痢は

炎症の波及による刺激症状だが,CTでも,腸管壁の肥厚と造影効果を呈するう

えに,虫垂がほとんどわからないので腸炎と誤る可能性がある,

ターンも多いが,「CT上は所見なし」が「虫垂炎は否

定された」と誤解され逝に診断遅延を来す危険もあ

る.虫垂炎に限らず急性疾患は経時変化が速い一方

で,発症初期は陸風画像とも所見が軽微である.

たとえ質の高い両像でも否定診断の意義は高くな

く,臨床的な経過観察を怠らない姿勢が重要である.

1243

形式的に使われており,虫垂炎に限らずあらゆる疾

患が含まれていると考えるべきである.

両像所見は虫垂の閉塞による拡張と浮膵を反映す

るが,前述のようにCTでは正常とのオー′i-ラップ

があるので(図3,4),臨床所見と相補的に考えて対

応すべきである.最近は“腹痛→すぐCT→というパ

画像診断 Vol.28No.112008

Page 9: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 造影CT

B 超音波像

図15 80歳代,女性 破裂と膿瘍

不明熟 度部症状乏しく尿路感染症が疑われ泌尿器科入院.

A.B:盲腸(*)は浮腫性に肥厚し,周囲脂肪織の濃度上昇膿瘍(-),腹水(○)

を伴う.虚脱した虫垂(→)と穿孔部(-)はCTではわかりにくいが,CTの後に

虫垂炎の確認のために施行された超音波では明瞭に認識できる.炎症や癒着が強

くても超音波はコントラストが長いので虫垂の確認には有用である.

2)穿 孔(perforation)

虫垂が穿孔すれば,CTでは.波及した炎症により

周開腹膜・腸管壁の肥厚と癒着,脂肪織の濃度上昇

を里し,虚脱した虫垂はこれらに紛れて不明瞭にな

る(図14,15).臨床的にも“虫垂由来の症状”が軽

減するうえに,波及した炎症の症状に修飾される.

若い女性であれば子宮付属器周囲の腹膜肥厚は骨盤

内炎症疾患(pelvicinflammatory disease;PID)

と紛らわしく,腸管の刺激による下痢や腸管壁の肥

厚・造影効果が腸炎と(図14).後述するように麻痺

件の小腸拡張が目立てばイレウスと間遠われたりす

る.さらに確定診断のないままの対症的な抗生剤や

鎮痛剤の治療が病状を修飾,遷延化させる.治療効

果で症状は軽減しても.炎症と癒着で回古郡は一塊

の腫頼として触知され,大腸痛との鑑別が必要とな

る場合もある(図16).

このような“原田の特定できない腹膜炎”の両像所

見(腸管/腹膜の肥厚.膿瘍.Douglas席のfluid)で

あれば,虫垂が正常に同定できないかぎりは.腸炎

やPIDといった臨床診断に決して同意しないことが

重要である.

CTで特異性の高い所見は糞石である.もともと

兼石は破裂を起しやすいので破裂虫垂炎で見られる

頻度は高く,また虫垂外に逸脱することもある.“炎

症はあるが解剖すらよくわからない”ようなCTで

1244

も,とにかく発石さえあれば虫垂炎の可能性が高い

と言える(図17).

一方,超音波では破裂・虚脱しても虫垂の同定は

容易である.見える範囲という条件ではあるが,胴

肪織の炎症は高エコーに,炎症を起した腸管や虫燕

は低エコーとなりコントラストが良くなるので,虫

垂自体は見やすくなる(図14~16).CTでは“同市

部を含んだ腹膜炎”としか認識できない場合でも,超

音波では虚脱虫垂そのものを捉えて直接的に診断が

できる場合も多い.

3)イレウス(ileus)

破裂した虫垂炎はしばしばイレウスを伴うl).病

態としては腹膜炎による麻痺性イレウスが主体であ

り,癒着による通過障案の影響も重なる.小児に多

く,実際の臨床でも単純Ⅹ線写真や腹部膨満から“イ

レウス”としてCTが施行される.両像所見は閉寒点

のはっきりしないイレウス像となるが.回市部での

拡張が強く同部を中心に癒弟や腹膜肥厚が認められ

る.一方,破裂.虚脱のため.CTでは虫垂炎そのも

のの所見は不明瞭であり,特に画質が悪い小児では

一見“原田のよくわからないイレウス”としてしか認

識できない場合もある.この場合も糞石は東要な所

見となるが(図18),いずれにしても回青部に炎症像

を伴うイレウスでは.虫垂が同定できなくても虫燕

炎を疑うべきである.また,腹膜刺激症状や蝶動の

画像診断 Vol.28No.112008

Page 10: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 造影CT

図16 50歳代,女性 遷延化

と腫癌形成

半年前より繰り返す軽度の右下

腹部痛と腫癌触知.WBC4400,

CRPl.0.

A,B:国吉部は一塊になって

軟部濃度の腫癌を形成(-)し,

虚脱した虫垂がその中に埋没す

る形で存在する(→).CTでは

わかりにくく腫瘍との鑑別が難Lこ

しい.手術では虫垂が同定でき

ず国富部切除が施行された.病

理的にも虫垂と周囲の細胞浸

潤,線維化が認められ壊死性虫

垂炎の遷延化像であった.

B 超音波像

造影CT

園17 糞石と破裂虫垂炎

糞石(中)から遠位は拡張(→),

破裂して膿瘍(-)を形成してい

る.c:盲腸,一・:糞右近位の

起始.CTの画質にもよるが,虫

垂や膿瘍を正確に同定すること

は容易ではない.虫垂が直接評

価できなくても,糞石やDouglas

唐の膿瘍(*)はよりわかりやす

く診断的価値は高い.

虫垂に及ぶ場合と,周辺の炎症が商務波及する場合

がある.

虫垂に及ぶ腸炎としては右側型の感染惟腸炎はす

べてが相当するが,澹瘍件大腸炎やCrohn病など特

異的な炎症でも同株である.虫垂の所見が盲腸や他

の部位の肥厚と同程度であることや.虫車以外の病

1245

低下といった腹膜炎の珊学所見の情報も.イレウス

像の解釈には重要である.

4.=次的な虫垂の肥厚

虫轟炎でなくても嘩が炎症附こ肥厚し虫垂炎と同

様の像を里することがある.陽炎が腸の一部である

画像診断 Vol.28No.112008

Page 11: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

園1810歳,女児 虫垂炎と

イレウス

小腸と盲腸は拡張する.虫垂も

棄石を含んで軽度拡張(→)し膿

瘍(-)も認められ,破裂虫垂炎

による麻痔性イレウスの像.本

例は糞石や拡張虫垂が認識可能

だが.虫垂が虚脱,癒着し同定

できず.イレウス像だけが目立

A 超音波便

図19 30歳代,女性 腸炎lこ伴う虫垂の肥厚

5日前より腹痛下痢,前日より軽度の右下腹部痛と圧痛.

1」一丸B:虫垂(→)は軽度肥厚するが,盲腸(-)も同程度に肥厚して肝琴曲近くま

で及んでいる(*).

変の分布が広いこと(図19),臨床症状(多くは下痢

が主体)で鑑別可能だが,回百部痛が主体の場合は

問題となる.

また,隣接する他臓器の炎症の波及では.虫垂と

右付属器が接している場合にPIDとの鑑別は問題と

なる(図20).骨盤腔に落ち込んだ虫垂と付属器が

どちらも同程度の軽度の肥厚/腱大や造影効果を呈

すれば,画像的にこれらを鑑別する根拠はなく∴臨

床所見に依存することになる.前述したような存在

診断も含め,さまざまな状況において両像診断には

限界があり,そのことを依頼医に伝えることも画像

診断医の重要な役割である.

画像診断 Vol.28No.112008 1246

Page 12: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

園20 30歳代,女性 PID(骨

盤腹膜炎)に伴う虫垂の肥厚

虫垂(→)は拡張はないが肥厚

し,虫垂の周囲から右卵巣憂胞

(*)頭側に膿瘍(-)が多数形成

され,脂肪織の濃度上昇や腸管

壁の肥厚も伴っている.・-:虫

垂の起始.画像では破裂虫垂炎

とP旧が鑑別できず手術となっ

た.起炎菌は同定できなかった

が,病理では右卵管には全屠性

に炎症浸潤があり,虫垂の炎症

は焚膜側に限局していたことか

らP旧と診断された.

A 右下肺野CT

図2180歳代後半,男性 高齢者の虫垂炎

不明熟と倦怠感,食欲不振.

A,B:虫垂炎(→)の破裂による膿瘍(-)があり,随伴性に横隔膜挙上と右肺底

の板状無気肺を伴う.本例は腹部症状がほとんどなく胸部単純×線写真の右肺底

の綿状影により当初は肺炎と診断されていた.

B 造影CT

断でも回盲部のチェックは必要である.また,虫垂

炎に限らず症状の乏しい腹部感染症では,それに伴

う胸水や板状無気肺で肺炎と扱われてしまう場合も

ある(図21).

6.MRtと虫垂炎

虫垂炎の診断にMRIが必要ではないが,虫垂炎に

5.高齢者の虫垂炎

一般的に高齢者の感染症では局所所見が乏しく,

より全身的,非特異的な症状となる傾向にあるが,

虫垂炎でも同様である(図15,21).腹部症状や理学

所見が乏しいので診断がつかないまま穿孔し遷延化

することが多い.不明熱だけでなく全身倦怠,元気

がない,食欲不振といったスクリーニングの所像診

画像診断 Vol.28No.112008 1247

Page 13: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A T2強調像

図22 30歳代,女性 MRlと

虫垂炎

婦人科からPIDが疑われてMRl

が施行された.

A,B:子宮の腹側から頭側に

膿瘍(-)があり脂肪織や付属

器.腸管壁の肥厚,造影効果を

伴う.虫垂も明らかに肥厚.拡

張している(→)が,気づかなけ

ればPIDとしてしまう画像であ

る.*は子宮筋腫.

B 造影脂肪抑制Tl弓毒調像

対しPIDが疑われてMRIが施行される場合はある.

前述のように骨穀底や子宮付属器周附こ炎症や膿瘍

が形成されるうえ,穿孔虚脱した虫垂は揖保範囲の

辺縁や一部の両像にしか写っていない場合が多い

(図22).また,婦人科の依頼でMRIが振られること

自体も両像診断医をミスリードさせる状況であり,

これらに惑わされることなく常に虫垂を意識してお

くことが乗要である.

7.虫垂炎と腫瘍

虫垂炎に関係する腫場は虫垂カルチノイド.虫垂・

百腸蒋.虫垂粘液嚢怖があり,頻度は少ないが虫垂

炎の両像診断においては認識しておく必要がある3).

虫垂炎を併発した痛やカルチノイドの診断はその

サイズに依存するが,虫垂自体も肥厚しており.また

穿孔すれば癒着や膿瘍などでも腫頼様になるので,

ある程度はっきりした肺病を形成しないとその指摘

は難しい.炎症の程度や範囲に比べて不釣り合いに

強く限局した肥厚や肺病形成の場合には.これらを

疑う必要がある(図23).

虫垂粘液嚢肺は.虫垂の閉寒から粘液貯乳過形

成∴腫瘍化と進行する虫垂の褒状拡張であるが,破

裂すれば腹膜偽粘膜肺となるので.どの段階であれ

手術適応である.超音波やCTで偶然指摘されるこ

とも多く.通常は虫垂が強い拡張をするので両像診

断は容易であるが,初期段階で拡張が軽い場合は虫

1248

垂炎と同様の両像を里する(図24).この場合は軽

い虫垂炎と扱われ,臨床経過だけを見てドロップア

ウトする危険惟もある.臨床所見の乏しい軽度の虫

乗拡張は,虫垂炎とは別に本症に対する注意が必要

となる.

8.他の稀なバリエーション

1)糞石による柘痛発作

糞石による一時的な閉寒と虫垂内圧上昇で,発作

件の痛痛や嘔吐が起ることがある4).胆道や尿路の

結石発作と同様に,感染や炎症というよりも機械的

な欣頓による病態であり,炎症所見は乏しいが症状

は強く,また軟頓が解除されれば速やかに軽快する

(図25).病態の変化が速く,解除後は症状も治まっ

ているうえに糞石以外は虫垂自体の所見が乏しいの

で,症状と糞石との因果関係の立証が難しくなるが.

このような病態が虫垂においても存在するというこ

とは知っておくべきである.

2)虫垂矧こよる腸腰筋膿瘍

虫垂が後腹膜/腸腰筋に穿破して膿垢を作ること

がある(図26).破裂しているのでCTでは虫垂の同

定が難しく∴超音波で見えなければ直接の診断は閑

難である.腸腰筋膿瘍と言えば脊椎炎や仙腸関節炎

由来だが,虫垂炎やその他の腸疾患の後腹膜穿破で

も起り5)6),また腹部症状にも乏しいことが多いの

で注意が必要である.右の腸腰筋膿瘍で脊椎に由来

画像診断 Vol.28No.112008

Page 14: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 造影CT

図23 80歳代,女性 盲腸癌

に伴う虫垂炎

A.B:右下腹部圧痛と炎症反

応高値.虫垂の起始に不整形の

腫癌(-)があり,虫垂(→)は拡

張.肥厚する.

B 超音波像

A 造影CT

B 超音波像

1249 画像診断 Vol.28No.112008

Page 15: Appendicitis:Pitfalls and Variations

A 来院時の超音波像 BlO時間後の超音波像

園25 50歳代,男性 糞石妬痛

3時間前より急に強い心裔部痛と嘔吐で救急受診.右下腹部圧痛あり,炎症反応なし(WBC6300,CRP-).

A:虫垂の起始に糞石(-)があり虫垂は拡張する(→).超音波検査時も妬痛と嘔吐を繰り返しており緊急手術を予定したが,

間もなく痛みは治まり超過観察となった.

B:糞石は消失し(-)拡張も軽減している(→),症状は完全に消失しており退院となった.

A 造影CT

B 超音波像

園26 70歳代.男性 虫垂炎lこよる腸腰筋膿瘍

上段のCT2枚はそれぞれ超音波像に対応している.

右下腹部腫瘍と炎症反応軽度高値,回盲部の腹部所見は乏し

し\.

A,B:破裂.虚脱した虫垂(→).その周囲(-)から腸腰筋

内に膿瘍を形成して鼠径部まで流注する.*:盲腸.

(「画像診断」2005年10月「CASEOFTHEMONTH」症例)

がない場合は正常な虫垂が同定できないかぎり.虫

垂炎は考えるべきである.超炎帝は,ブドウ球菌が

多い脊椎炎に対して大腸菌が多い.

3)ヘル=アと虫垂炎

ヘルニアも頻度の多い疾患だが,稀に虫垂炎と組

み合さって鼠径部痛,鼠径部腰痛を来す2)7).脱出

虫垂が虫垂炎になったり(Amyand’shernia)7),破

裂した虫垂炎の膿傷がヘルニア腔に流注したりする

1250

(図27).前者の場合は画像で気づきやすいが.後者

の場合は破裂,慢性化しているので臨床的にも両像

的にも虫垂炎の所見が捉えにくくなる.鼠径,大腿

いずれのヘルニアにも合併し,通常は右だが左側に

合併した報告もある8).

4)遺残虫垂炎(stumpappendicitis)

遺残虫垂炎は不完全な虫垂切除や不適切な断端処

理に起因し.稀なうえに“虫垂切除彼の虫垂炎”とい

画像診断 Vol.28No.112008

Page 16: Appendicitis:Pitfalls and Variations

造影CT

園27 70歳代,男性 鼠径ヘ

ルニアに流注した破裂虫垂炎

鼠径部腫癌と発熱.炎症反応高

値.回盲部の腹部所見は乏しい.

破裂,虚脱した虫垂(→).その

周囲に形成された膿瘍(-)が鼠

径ヘルニア内まで流注する.

A 造影CT

園28 50歳代.男性 遺残虫

垂炎

40年前に虫垂切除.右下腹痛とl

圧痛,軽度の炎症反応.以前よ

り同様の症状を繰り返していた.

A:CTでは糞塊を含んだ盲腸か

らの突出(→)があり肥厚してい

る.憩室にしては長いがCTで

は診断できていない.

B:症状が軽快した2日後の超

音波では,全層性の細長い突出

(→)であり.憩室ではなく虫垂

遺残であることが判明した.0:

終末回腸.症状を繰り返してい

るため切除され1.5cm長の適残

虫垂が確認された.本例のよう

に遺残虫垂がはっきり残ってい

る場合は診断が可能である.

B 2日後の超音波像

う診断上のジレンマのため術前診断は難しい9ト11) 残っていたり,超音波で全屑性の突出が確認できれ

両像所見は,盲腸を主座とする限局性の腹膜炎や膿 ば(図28)診断は可能であるが10)11)∴短い退残や壊

瘍を里し,虫垂切除後でこのような状況であれば憩 死・膿場化で遺残虫垂の原型が残っていなければ両

室炎との鑑別が問題となる.一定の長さで虫垂が 像診断は困難と思われる.憩室が確認できない遷延

画像診断 Vol.28No.112008 1251

Page 17: Appendicitis:Pitfalls and Variations

化する膿瘍や限尽性腹膜炎では.虫乗切除後であっ

ても遣残虫垂炎も考える必要がある.

おわりに

虫垂炎はきわめて日常的な疾患のため「たかが虫

垂炎」といった安易なイメージが医療側にも患者側

にも潜在しているが,正診寧が高くても疾患の数が

多い分,誤診や見落しの数は少なくない.「アッペに

始まりアツペに終る」という外科医の格言は,初歩的

な疾患であっても決して一筋縄では行かないそんな

本症に対する戒めであり,実際本症の診断にかか

わっている放射線科医なら少なからず痛い思いを緯

験しているであろう.本稿で述べた簡意点も虫燕炎

を意識してこそ役立つ知恵であり,まずは「虫垂炎で

はないか?」と考えることが第一歩である.

急性疾患では特に臨床とl弼像の連携が重要である

が,これは互いが依存し介うのではなく.独自の立

場で評価したうえで合致点,相違点を検証し合うこ

と.すなわち腹痛の両像診断であれば常に回古郡を

チェックすることや.両像所見とは別に臨床医が基

本的な臨床・押学所見を評価することである.現実

の見落しや誤診も.本稿で述べた“難しい例∵以前に.

基本的な診療や伝達の不備といった“初歩的な不祥

意”が多い.今後も機器は進歩し,より簡便に鮮明な

両像が得られるようになっていっても.患者や両像

を診るのは生身の人間である.臨床医・放射線科医

にかかわらず“柄柵な両像ですぐになんでもわかる”

という意識は危険であり,“患者をちゃんと診ない両

像診断”や“コミュニケーションのない両像診断★こ

そが最大のピットフォールと言える.

6)Muttarak M,Peh WC二CT of unusualiliopsoas

COmpartmentlesions.Radiographics20:S53-56.2000. 7)LuchsJS.HaIpern D.Katz DS:Amyand-s hernia:

prospective CT diagnosis.JComput Assist Tomogr 24:884-886.20()0.

8)BreitensteinS.EisenbachC.Wi11eG.etal:Incarcerated

Vermiform appendixin aleft-Sidedingulnalhernia.

Hernia9:100-102.20〔)5.

9)鯵坂秀之.坂東悦灘.安居利晃・他:虫垂切除術後遭弼加

重炎の4例.日椚外語35:189-193.2002.

10)ShinLK.HalpernD.WestonSR.etal:ProspectiveCT

diagnosis of stump appendicitis.AJR184:S62-64. 2()05.

11)Baldisserotto M.Cavazzola S,Cavazzola LT.et al:

Acute edematous stump appendicitis diagnosed

PreOperatively on sonography.AJR175:503-504. 2000.

l)LevineCD,AizensteinO.LehaviO.etal:Whywemiss the diagnosis of appendicitis on abdominalCT:

evaluation ofimaging features of appendicitis

incorrectlydiagnosedonCT.AJR184:855-859.2OO5. 2)Kosaka N,Sagoh T,Uematsu H.et al:Difficultiesin

the diagnosis of appendicitis:reView of CT and US

images.EmergRadio114:289-295.2007. 3)Pickhardt PJ.Levy AD.Rohrmann CAJr.et al:

Primary neoplasms of the appendix manifestlng aS

acute appendjcitis:CT findings with pathologic

COmparison.Radiology224:775-78l.2002. 4)Fraser N.Gannon C.StrirlgerMD:Appendicularcolic

and the non-innamed appendix:fact or fiction?EurJ PediatrSurg14:21-24.2004.

5)Torres GM.CernigliaroJG.Abbitt PL.et al:Iliopsoas COmPartment:nOrmaIanatomy and pathologlC

processes.Radiographics15:1285-1297.1995.

助川川和り

Appendicitis:PitfallsandVariations

lbdashiSagoh*

Acute appendicitis represents an exceedingly common clinical entity requiring prompt surgical intervention.Althoughthe usefulness ofimaging modalitiesinsuspected acuteappendicitishas been

established,missed diagnoses stilloccurin atypical CaSeSandinsomeconfusingconditions.Awareness Of the underlying factors that act as pitfalls to making a correct diagnosis enable us to improve Ourdiagnostic accuracy.

*DepartmentofRadiology.FukuiTSekijujiHospital

画像診断 Vol.28No.112008 1252