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ANNUAL REVIEW 2006 AND SUMMARY FINANCIAL STATEMENTS

AnnuAl...John VarleyはBarclays Bank plcのグループ最高経 営責任者で、7月に当社取締役に任命されました。同氏の営業面および財務面に関する広範な専門知

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AnnuAlReview 2006

and Summary Financial StatementS

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株主への還元 配当および株式買い戻し百万ドル

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株式1株当たり利益

特別損益調整後の1株当たり利益特別損益調整前の1株当たり利益

3.86 +34%3.86

2.91 +41%2.91

2.182.01

+14%

06

05

04

伸び率ドル

アストラゼネカについて

> 重要な治療領域(がん、循環器、消化器、感染症、ニューロサイエンス、呼吸器・炎症)において医療用医薬品の創薬研究、開発、製造および販売に従事しています。

> 幅広い製品群を有し、ARIMIDEX、CRESTOR、NEXIUM、SEROQUEL、SYMBICORTなど多数の製品が世界でトップセールスを記録する重要な成長製品が数多くあります。

> 100カ国以上で事業を展開しており、重要な新興市場でも存在感を増しています。英国ロンドンに本社を置き、主要研究拠点はスウェーデン、英国、米国にあります。

> 従業員数は約6万6,000名(欧州58%、南北アメリカ27%、アジア、アフリカ、オーストラリア15%)。

> 世界8カ国の16の拠点で約1万2,000名の従業員が研究開発を行っています。

> 19カ国に27の製造拠点を有しています。

> 1営業日当たり1,600万ドル以上をかけて、新薬の開発を行っています。

目次会長あいさつ 1最高経営責任者による概観 2PATIENTS 6PRODUCTS 12PEOPLE 20PERfORMANCE 24戦略 26業績評価 27ファイナンシャルレビュー(要旨) 28取締役会 32コーポレートガバナンス(要旨) 34取締役報酬報告書(要旨) 37

財務報告書(要旨) 41独立監査報告書 41連結損益計算書 42連結認識損益計算書 42連結貸借対照表 43連結キャッシュフロー計算書 44配当金 451株当たり利益 45後発事象 45取締役の報酬 46グループ財務データ 47株主情報 48

株式配当および支払日

業績評価の定義はファイナンシャルレビュー(要旨)に記載しています。

伸び率、売上高、市場データについて本書に記載した伸び率と売上高は、別段の記載がない限り、恒常為替レート(CER)で算出されており、為替レートの変動による影響を除外した実質的な業績に基づいています。市場データは米ドルによる実質値です。

株式データ一覧2006年株式配当 米ドル 英ペンス スェーデンクローナ 支払日第1回中間配当分 0.49 26.6 3.60 2006年9月18日第2回中間配当分 1.23 63.0 8.60 2007年3月19日合計 1.72 89.6 12.20

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「ますます厳しさを増すビジネス環境にもかかわらず、主要製品の堅調な売上成長、特に欧州以外の地域における好成績と、生産性の向上を追求する当社の果敢な取り組みにより、本年も卓越した財務実績を達成しました」

会長あいさつ

2006年のグループ売上高は合計265億ドル(11%増)、営業利益は82億ドル(28%増)となりました。研究開発投資は、将来の成長に向けた基盤を確立する堅実な取り組みを反映して、34億ドルから39億ドルに増えました。この投資は、主力既存製品のライフサイクル管理、効率性と有効性の向上に重点を置いた新製品開発、社内の取り組みを補完する製品・技術の的確な判断に基づく買収およびライセンシングに集中的に投入しました。大型の投資としては、上記の戦略を支える新規研究開発施設への設備投資、特に英国および中国での投資を本年発表しました。

アストラゼネカの株価は本年変動があったものの、1株当たり利益は34%増加し、2005年の2.91ドルから本年は3.86ドルとなりました。これは、当社製品の堅調な成長と慎重なコスト管理によるものです。取締役会では、第2回中間配当の推奨額は普通株式1株当たり1.23ドル(63.0ペンス、8.60スウェーデンクローネ)とし、通年配当をドルベースで32%上昇の1.72ドル(89.6ペンス、12.20スウェーデンクローネ)としました。年次株主総会で株主の皆様に承認された株式の買い戻しプログラムに基づき、当社では将来の投資に備える予想必要資金を超える余剰金を株主の皆様に還元しており、2006年は総額41億4,700万ドルを還元しました。2007年は正味40億ドルの株式買い戻しを予定しています。

本書の40頁に当社の株主総利益について、ファイナンシャルタイムズ100社(FTSE 100)株価指数および同業他社のデータと対比して記載しています。

取締役会では毎年正式に戦略の見直しを行っており、社内の能力を活用するとともに、社外組織とのパートナーシップ・提携・買収により新しい科学研究と革新的な製品を実現する研究開発モデルを用いて、持続的な収益成長を実現する取り組みを強化しました。戦略の見直しでは、質の高い医療に対する継続的な需要の増加、高齢化する社会、診断が不十分で、未対応の医療上のニーズ、新興市場の経済発展、持続的な薬価引き下げの圧力、ますます厳しさを増す薬事規制といった全世界の動向について十分に検討しました。

DavidBrennanは最高経営責任者就任1年目を迎えました。最高経営責任者によるアストラゼネカの当期業績に関する概観、戦略に則った経営指揮および将来構想については、本書の次のセクションでご覧いただけます。Brennanは独特のリーダーシップスタイルに従い、社内のあらゆるレベルにおける個別の責任に常に目を配りながら、確実に成功を収めています。同氏をはじめとするシニア・エグゼクティブ・チーム、ならびに企業買収によりこの度アストラゼネカグループの一員となった方々を含む全社員に、本年の貢献に対して感謝しています。

取締役会の定例会議の一環として、当社戦略の見直しに加えて、さらに財務面および事業運営面ならびに機能領域面から見直しを行い、今年は特にリスクマネジメント、コンプライアンス、人事管理、安全・健康・環境問題に重点を置きました。これらの事項については、本書の他のセクションに詳しく記載するほか、Corporate Responsibility SummaryReport2006に掲載しています。

本年は取締役会の非常勤取締役の構成に大幅な異動がありました。Professor Dame NancyRothwellが2006年の年次株主総会で取締役に選任されました。同氏は現在、英国University ofManchesterのResearch担当副学長を務めており、同世代研究者のリーダーの1人として、当社取締役会の審議において有益な考え方を示しています。John VarleyはBarclays Bank plcのグループ最高経営責任者で、7月に当社取締役に任命されました。同氏の営業面および財務面に関する広範な専門知識は、すでに当社の業務に多くの利点をもたらしています。Varleyは報酬委員会にも加わっており、2007年の年次株主総会でSirPeterBonfieldが取締役会から退任した後に、同委員会の委員長に就任する予定です。上記総会では、2 0 0 3年にAstraZenecaPLCの非常勤取締役に就任したMichele Hooperが、Sir Peter Bonfieldの後任としてシニア独立取締役に就任の予定です。DameBridgetOgilvieは2006年の年次株主総会において退任しました。それまで9年にわたり当社の非常勤取締役を務めてこられました。アストラゼネカならびにその前身であるZenecaの両社に対する同氏の長年の貢献について、取締役会を代表して心より御礼を申し上げます。

2007年も引き続き開発パイプラインの強化、トップレベルの売上成長の促進、さらなる生産性の向上を図るとともに、当社やステークホルダーの方々を取り巻く変化の著しいビジネス環境についてよく理解し、ビジネス環境に影響を及ぼすことにより、患者さんのニーズにお応えし、株主の皆様に価値を還元し、さらに広く社会に利益をもたらすことに力を注いでまいります。当社の戦略については、David Brennanから次のセクションで詳しくご説明させていただきます。なお、アストラゼネカと製薬業界が直面している課題に対処するため、Brennanの率いる経営陣の実行力は、私をはじめ取締役会一同が全面的に支持しているものであります。

lOuiS ScHWeitZer会長

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売上高(百万ドル)

26,475

23,950

21,426

06

05

04

+10%

+9%

伸び率

+11%

利益(百万ドル)

税引前利益 特別損益調整前利益

8,5430606

0505

0404

+29%8,543

6,667+41%6,667

4,8444,625 +13%

伸び率

最高経営責任者による概観

通年の業績>売上は11%増、264億7,500万ドルとなりました。

>5つの主力成長製品(NEX IUM、SEROQUEL、CRESTOR、ARIMIDEX、SYMBICORT)の業績は堅調に推移し、売り上げ合計は133億1,800万ドル、23%増となりました。

>営業利益は28%増の82億1,600万ドルとなり、営業利益率は3.8ポイント改善され、売上高の31.0%でした。

>フリーキャッシュフローは67億8,800万ドル。株主への還元は合計53億8,200万ドル(配当金22億2,000万ドル、正味株式買い戻し額31億6,200万ドル)でした。

>配当金は32%増、1ドル72セントでした。

>1株当たり利益は34%増、3ドル86セントでした。

>年間売上高が10億ドルを超える製品が11製品に達しました。

>世界のすべての地域で好調な売り上げの伸びを記録しました(米国16%増、欧州6%増、日本5%増、その他の地域11%増)。

>2005年12月1日から2007年1月31日までの期間中に12の大型ライセンシング・買収プロジェクトに加えて、9つの大型共同研究開発プロジェクトに関する契約を結びました。

アストラゼネカは先進の研究開発型医薬品企業です。重要な治療領域において新薬開発に取り組み、責任を持って医薬品をお届けすることにより、患者さんにベネフィットをもたらし、株主の皆様はもとより広く社会に価値を還元しています。

医療に対する需要は高まるばかりです。高齢化、人口増、新興経済地域の台頭により、医薬品の恩恵を受ける患者さんの数は増え続けています。その一方、十分な診断ができず、最適の処置あるいは効果的な処置がとられていない疾患は依然として数多くあります。このようにアストラゼネカにとって躍進を遂げる多大なチャンスに恵まれている一方で、様々な困難な課題―厳しさを増す薬価への圧力、コスト増、新薬開発に対する規制強化、(当社の特許に対する早期の異議申立てを含む)市場における競争の激化など―にも直面しています。

このような環境の中で医薬品業界を牽引する持続的な成長を実現するため、当社の戦略は次の3つの重要な優先事項を中心としています。

> 自社の研究所のみならず、社外の創薬研究開発機関を利用することにより、新薬開発パイプラインを強化する。

> 製品ライフサイクルを厳しく管理し、質の高い顧客サポートを提供することにより、全既存製品の潜在的能力を完全に引き出す。

> 原価構造を見直し、研究開発活動とアウトソーシング活動への追加投資のための資金を確保すると同時に、当社の医薬品へのアクセスを増強する。

PATIENTS、PRODUCTS、PEOPLE、PERFORMANCE当社の事業目標は、戦略の実現に不可欠な原動力と考えられる4つの中核的な領域―patients(患者さん)、products(製品)、people(人材)、performance(業績)―に重点を置いています。

患者さんと担当医師の方々に最大の利益を提供するため、医療現場において何がプラスになるか常に把握し―そうして得た洞察を当社の活動全体に適用することにより、絶えず変化するニーズに応じた取り組みを継続しなければなりません。将来における持続可能な長期的成功は―社内外の研究機関から―新製品を送り出す能力のさらなる強化にかかっていることを私たちは認識しています。そのためには社員の継続的なコミットメントと活力が不可欠であり、社員一人ひとりが事業目標の達成に最大限の貢献を行えるよう必要となるリーダーシップを発揮し、社員をサポートすることを目指しています。さらに、ビジネスのあらゆる側面で約束を果たし、それに伴うチャンスとリスクに効果的に対処することにより、業界トップクラスの業績を促進することを目指します。

通年の業績2006年は順調な進展がみられました。当社は卓越した財務実績を達成し、全社的な生産性向上に向けた継続的な取り組みにより、11%という大幅な売上成長を記録しました。

製品別実績短・中期的には、過去12年間に上市した5つの主力製品―Arimidex、Crestor、Nexium、Seroquel、Symbicort―が今後も当社の成長の推進力となる見込みです。これらの主力成長製品、5製品の2006年の売上高は合計133億ドルに達し、前年比23%増となりました。Casodex、Zoladex、Se loken/ Topro l -XL、Zomig、Dipr i van、Merremなど好調な成熟製品を含む全製品の売上高は、合計265億ドルでした。

Arimidexは売上高15億ドル、前年比29%増となり、現在、米国、日本、フランスでは有力な乳がん内分泌療法薬となっています。この成長の持続は、主に大規模臨床試験ATACの調査結果によるものです。この調査では、がんの再発リスクが最も高い術後5年間において、Arimidexはタモキシフェンより優位性を有することが明らかになりました。6月には相互認証制度による新しい用途の承認後、それまでタモキシフェンの処方を受けていた多数の欧州の患者さんも、現在はArimidexに切り替えられるようになりました。

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「最高経営責任者を拝命して1年が経ち、この度ANNUAL REvIEwを発行できたことを大変光栄に感じております。本書では2006年の堅調な財務実績はもとより、ますます厳しさを増すビジネス環境において、当社をはじめとする製薬業界が直面している課題を克服し、引き続き業界トップクラスの業績を実現するための取り組みを明らかにしています。」

01 PATIENTS02 PRODUCTS03 PEOPLE04 PERFORMANCE

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高コレステロール血症治療薬あるCrestorは、20億ドル超の売上高を達成し、前年比59%の増加となりました。2つの臨床試験(2005年のORION試験、2006年のASTERO ID試験)のデータから、Crestorはアテローム性動脈硬化症の治療において高いポテンシャルを有することが分かりました。現在はMETEOR試験も完了しており、その結果は2007年3月に発表される予定です。METEOR試験は、アテローム性動脈硬化症を適応症とする米国食品医薬品局(FDA)に対する申請と、欧州諸国における相互認証手続きによる申請の基礎資料となっています。これらの申請は2007年1月に行い、ASTEROID試験とORION試験も裏づけとなる試験として申請に含めました。

胃酸関連疾患治療薬であるNexiumは、52億ドルの売上高を達成しました。2006年には、胃食道逆流症(GERD)を発症した12~17才の小児における使用の追加について承認を受けたほか、希少な胃酸関連疾患であるゾリンジャー・エリソン症候群の患者さんの治療における新しい用途について承認を得ました。

Seroquel(売上高は34億ドル)は、米国市場における非定型抗精神病薬としてのリーディング・ポジションをさらに強固なものとし、他の市場でも引き続き堅調な伸びを記録しました。すでに統合失調症と双極性躁病の治療薬として使用されており、米国では本年、双極性うつ病での使用についても承認を得ました。Seroquelは、双極性障害の躁病とうつ病の両方で承認を得た最初で唯一の薬剤です。

欧州特許庁は12月、Nexiumの欧州物質特許の1つを棄却することを決定しました。NexiumおよびSeroquelの両製品は、2005年と2006年の簡略新薬承認申請の提出後に米国で特許訴訟の対象となっていますが、NexiumとSeroquelを保護する一連の知的財産の正当性に対する当社の確信はまったく変わっておらず、今後も両製品を保護する知的財産権を守り、その権利を行使していく所存です。

Symbicortは、2006年は全世界で12億ドルの売上高を達成し、18%の増加となりました。本製品については、今年、12才以上の喘息患者さんの維持療法として、米国で加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)製剤の承認を得ました。引き続き2007年中頃に本製品を米国で上市する予定ですが、この上市スケジュールは、開発部門から製造部門への技術移転が順調に行われ、バリデーション・バッチの作業が完了するかどうかに左右されます。さらに、Symbicort維持・リリーバー療法(SMART)における成人での使用について、欧州相互認証手続きにより承認を得ました。

当社の製品別実績については本書の他のセクションに詳しく記載しています。

市場動向医療に対する需要が増えるにつれて、医療費を負担する政府等の組織・団体からの医療費予算に対する圧力が高まっています。当社はこうした動向に伴う薬価引き下げに対応せざるを得ず、その一方で、優れた医薬品を提供するために継続的に投資していかなければなりません。2006年は欧州では薬価への圧力が特に厳しく、欧州諸国政府は、ドイツの大規模な基準薬価制度のような費用抑制策を継続的に導入しています。現在も世界最大の医薬品市場である米国では、中間選挙における民主党の躍進は、同国の薬価を取り巻く環境に今後変更が生じる前兆となるかもしれません。

こうした課題に対処し、既存市場においてリーディング・ポジションの構築に注力するとともに、中国のような急速に成長している市場でも当社のポジション強化を目指していきます。アストラゼネカは本年、今後3年間に中国での研究開発のために1億ドルの設備投資を行うと発表しました。このような投資は重要な市場において地歩を確立する当社の取り組みを反映したものです。同活動の一環として、本年当社シニア・エグゼクティブ・チーム会議を初めて中国で開催しました。

開発パイプラインの強化開発パイプラインを強化する当社の戦略には主軸となる3つの項目があります。まず、自社内の創薬研究開発活動の生産性を向上させること。第2に今後もアウトソーシングによる有望なプロジェクトを評価・取得するペースを加速すること。これは、開発パイプラインの穴を埋める短期的な応急措置ではなく、重要な発想の転換といえるものです。当社は、社外の広大な科学研究基盤の利用を強化する長期的な取り組みに着手しています。第3の項目は、バイオ医薬品分野においてアストラゼネカの確固とした国際的な存在感を確立することです。

社内の創薬研究開発の強化 2006年は引き続き社内の研究開発プロセスの効率性と意思決定の有効性の向上を図ることにより、見込みのない候補化合物を早い段階で除外し、重要な医療の進歩に役立つ可能性が最も高い化合物の迅速かつ活発な開発に集中できるようにしました。さらに、疾患別目標分野の見直しを行い、重点業務の内容を再調整し、当社のスキルが最も本領を発揮できると考える領域に研究資源を優先順位に沿って配分するよう徹底しました。

生産性の向上に努めている当社の取り組みの結果は、早期開発段階のポートフォリオの持続的な成長に表れています。2006年には開発に向けて21の候補化合物を選定しました(2005年は25、2004年は18でした)。また、がん治療薬のZac t ima、Recentin(開発コード:AZD2171)、循環器領域のAGI-1067、AZD6140など多数の化合物が後期開発段階に入っています。

最高経営責任者によるレビュー

JONATHAN SYMONDS最高財務責任者

JOHN PATTERSON開発担当エグゼクティブ・ディレクター

MARTIN NICKLASSONグローバル・マーケティング担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

TONY ZOOK北米担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

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外部の新薬開発力の利用 開発パイプラインのさらなる強化に向けてアウトソーシング活動を継続する取り組みは、新部門Strategic Planning and Business Development(SPBD)の設置に反映されています。同部門は、利用可能な最適な機会を見つけだし、高品質の取引遂行・提携管理能力を発揮することに専念しています。2007年1月には、Bristol-Myers SquibbCompany (BMS)との共同研究開発について発表し、後期段階開発パイプラインの強化において大きな一歩を踏み出しました。これは、BMS社が創製し、2型糖尿病治療薬として試験中である2種類の後期開発段階の化合物の開発・商品化に関するものです―糖尿病は医療上のニーズに十分応えられていない重要な治療領域です。このBMS社との提携も、画期的な乳がん治療薬の共同開発と共同での商品化に関するSchering社との提携や、混合型脂質異常症向け併用薬の共同開発と販売に関するAbbott社との提携など、その他の最近の成果とともに、当社が提携先の皆様から望まれる好ましいパートナーとなるためにすでに前進していることを示しています。

バイオ医薬品分野における地歩の確立 バイオ医薬品―生物分子に由来する医薬品は、近年、医薬品市場で最も急速に成長してきたセグメントです。アストラゼネカの科学基盤は、新しいバイオ医薬品に関する一定の創薬研究開発能力をすでに保有していますが、当社の伝統的な強みは小分子研究を中心としており、当社のすべての治療領域において統合化された方法で小分子製剤と生物製剤の新たな疾患別目標に取り組む能力を強化する必要があります。Cambridge AntibodyTechnology Group plc(CAT)の買収は、この目標の達成に向けた大きな一歩となりました。CAT社のバイオ医薬品に関するスキルにより、小分子研究分野の当社独自の専門知識を補強し、これを土台として双方の研究分野から今後の新製品パイプラインを構築します。将来2010年以降は、研究開発が商品化につながる可能性の高い当社の有望な候補化合物4つのうち1つは、生物製剤となる見込みです。

こうした取り組みは当社の長期的な持続可能性の強化につながるだけでなく、本年、当社の開発パイプラインにおいて生じた一部の支障による影響を持ちこたえるうえでも一助となるでしょう。2006年2月に、当社は患者さんの安全上の理由から抗凝固剤のExantaを市場から回収し、その開発を中止しました。また、後期開発段階にあったGalida(糖尿病治療薬候補)とNXY-059(脳卒中治療薬候補)についても、患者さんの十分なベネフィットが実証されなかったため、開発を中止しました。残念ではありましたが、上記の決定は、新薬を市場に送り出すことに伴う課題を示しており、製品ポートフォリオを最も可能性の高い最高品質の候補だけに保つための当社の真剣な取り組みを反映しています。

このような活動全体において、企業責任(CR)に対する当社の基本的なコミットメントを維持することは、常に変わらぬ最優先事項です。この分野における当社のCRコミットメント、ポリシーおよび実績の詳細については、別冊のCo rpo r a teResponsibi-litySummaryReport2006、または当社のウェブサイトをご覧ください。

アストラゼネカの社員最高経営責任者(CEO)を拝命した最初の1年の間に、私は様々な地域のアストラゼネカ各社を視察し、世界各地に勤務する社員のスキルと独創性とプロフェッショナリズムに一貫して強い印象を受けました。社員は当社の貴重な資産であり、事業目標の達成に向けた社員の継続的なコミットメントがなければ、アストラゼネカが成功を収めることはないでしょう。私はこの機会をお借りして、当社の長期的な成功の促進に向けた社員の懸命な取り組みと貢献に対し全社員に感謝いたします。

今後の見通し製薬業界を取り巻くビジネス環境は、厳しさを増すばかりです。このような環境の中で引き続き成功を収めるには、当社の課題を把握し、それに適切に対処するとともに、医療に対するニーズの高まりと科学技術の進歩がもたらす様々なビジネスチャンスを積極的に活用しなければならないことは明らかです。

開発パイプラインの強化が今後も当社の最優先事項となりますが、同時に、これからも当社事業のあらゆる要素において挑戦し続けることにより生産性の向上を図り、戦略目標の達成を支える投資の増加に備えてまいります。この一環として2007年2月に、当社の供給組織の効率性と有効性の向上を図るさらなる計画を発表しました。これには人員削減が含まれる予定です。今回のような決定は決して簡単に下されたものではなく、この決定が対象となる社員と当社が事業を展開する地域社会に及ぼす影響を私は十分に承知しています。人員削減については、労使協議会、労働組合その他の従業員の代表と十分な協議プロセスの議題として取り上げ、各地域の労働法に従って協議を重ね、公正で透明性の高いプロセスとなるように徹底します。

強力なリーダーシップと明確な経営指揮のもと、常に緊迫感を持って戦略の実現に取り組む当社には、長期的な成功に向けた健全な基盤が確立されていると確信しております。特に、今後も世界各国の医療のために有益な貢献を尽くしながら、アストラゼネカの持続的な収益性の高い成長を実現し、その成長を確実に管理することを目指します。

david r Brennan最高経営責任者

JAN LUNDBERGディスカバリー・リサーチ担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

BRUNO ANGELICI欧州、日本、アジア太平洋、その他の地域担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

DAvID SMITHオペレーション担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

TONY BLOXHAM人事担当エグゼクティブ・バイスプレジデント

シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)の議長はDAvIDBRENNANが務めています。SETの他のメンバーはここに掲載の通りです。

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当社は全世界の人々の健康増進と生活の質の向上に役立つ

0�PatientS

アストラゼネカ全社内で、共通の目標―患者さんの健康に最大の効果をもたらす可能性のある医薬品を提供することにより、病気との闘いに最大限の貢献すること―が共有されています。

患者さんと医療従事者の方々のニーズに応えることこそ、私たちが成し遂げるべき責務の核心です。

私たちは当社のスキルと経験が最も本領を発揮できると考える6つの治療領域に経営資源を集中的に投入しています。

これらの治療領域は、世界で最も重篤な疾患など、世界各国で医療上のニーズの高い領域です。

医薬品の臨床上の安全性に関する 専門スタッフで構成された

�00名を超える社内チームが、医薬品のライフサイクル全体を通して医薬品の安全性に対する当社の責務を確実に遂行するべく、安全性に関する業務に専念しています。

ー循環器、がん、消化器、感染症、ニューロサイエンス、呼吸器・炎症 ーにおいて、患者さんのニーズにお応えできる幅広い強力な製品群を有しています。

つの重要な治療領域

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当社の新薬開発の実績は70年の期間に及び、世界トップクラスの医薬品が数多くあります。

患者さんや担当医師の方々と継続的に話し合い、絶えず変化するニーズの把握に努めています。

重点課題

>重要な治療領域で革新的で効果的な医薬品を提供する。

>患者さんが何を必要とし、何を重視しているか把握する。

>当社のすべての医薬品の潜在能力を最大限に引き出す。

>患者さんの安全性を常に最優先事項とするよう徹底する。

>当社の医薬品のベネフィットとリスクに関する情報を的確に伝える。

新薬の上市後も、患者さんに最も効果のある用途を引き続き調査研究しています。

Paludrine抗マラリア薬Xylocaine局所麻酔剤

Hibitane消毒剤。院内感染の抑制Fluothane吸入麻酔剤

Citanest局所麻酔剤

TenorminβブロッカーBricanyl喘息Nolvadex乳がんSeloken/Toprol-XLβブロッカー

Zestril心臓病Losec胃酸関連疾患Diprivan静脈全身麻酔剤Zoladex前立腺がんRhinocortアレルギー性鼻炎EMLA局所麻酔剤Pulmicort喘息 Casodex

前立腺がんArimidex乳がんEntocort炎症性腸疾患Merrem広域抗生物質Naropin外科麻酔剤Atacand高血圧、心不全Zomig即効性の片頭痛治療薬Seroquel統合失調症

Nexium胃酸関連疾患Faslodex進行性乳がんSymbicort喘息、慢性閉塞性肺疾患Iressa肺がんCrestor高コレステロール血症治療薬

1940年代

1950年代

1960年代

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

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困難に直面する患者さんの支援

当社は重要な治療領域において患者さんのニーズにお応えできる幅広い強力な製品群を有しており、多数の製品が世界でトップセールスを記録しています。革新的で効果的な薬剤を生み出し、患者さんに付加価値をもたらすことを目的とした製品ばかりであり、副作用が減少し、治療が受けやすくなるなどのベネフィットをもたらしています。また、新薬の上市後も、患者さんに最も効果のある用途を引き続き調査研究しています。

Symbicortの例を見てみましょう。当初、喘息治療薬として導入された本剤は、現在は慢性閉塞性肺疾患―致命的な主要疾患の1つ―の治療薬としても用いられていますが、当社はいまも喘息治療薬としてSymbicortの開発を継続しており、2006年には新たなSymbicort維持・リリーバー療法(SMART)について欧州諸国で承認を得ました。喘息の患者さんは、この療法に

より変動的な症状の管理をコントロールしやすくなるため、SMARTは治療法に変革をもたらすものであるといえます。即効性の長時間作用性気管支拡張剤とコルチコステロイドが単一の吸入器に配合されており、高い抗炎症作用があります。患者さんは通常の療法に基づいてSymbicortを維持療法目的に吸入して喘息症状をコントロールし、症状が悪化しはじめたときは追加吸入します。これにより症状が急速に緩和されるだけでなく、喘息症状をコントロールしやすくなります。(通常の2つの吸入器ではなく)単一の吸入器を使用しますので、患者さんにとって用法が簡単になり、しかもたとえ症状の緩和に用いる場合でも吸入の都度、基本的な炎症が抑えられるため、発作のリスクが軽減されます。

さらにSymbicortについては本年、12才以上の喘息患者さんの維持療法として、米国で加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)製剤の承認を得ました。上市は2007年中の予定です。

統合失調症治療薬のSeroquelを1997年に上市した際は、効果的な疾患管理面で本剤がもたらすベネフィットとして、副作用プロファイルを改善する側面のあることが、医療従事者と患者さんの双方によってすぐに認められました。その後、統合失調症だけでなく双極性躁病治療薬としてもSeroquelを開発・上市し、世界各国でさらに多くの患者さんが通常の生活を送れるようになっています。さらに米国では2006年、双極性うつ病での使用についても承認を得ました。Seroquelは、双極性障害の躁病とうつ病の両方で承認を得た最初で唯一の薬剤です。がん治療薬のArimidexは、1990年代の導入以来、閉経後乳がんの新たな標準治療を確立するうえで先駆的な役割を果たしてきました。再発リスクが最も高い術後5年間での優れた効果により、現在、米国、日本およびフランスでは従来のゴールドスタンダードであるタモキシフェンを超える存在となっています。Arimidexは、このような高い効果と既知の予測・管理可能な副作用プロファイルにより、世界トップクラスの乳がん内分泌療法薬の1つとして認められています。2006年には新しい用途が承認されたことから、これまでタモキシフェンの処方を受けていた欧州の患者さんも現在はArimidexに切り替えられるようになりました。

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健康に関する課題

循環器Cardiovascular disease claims毎年世界中で1,700万人が循環器疾患で死亡しています―循環器疾患は多くの成人にとって最大のリスクとなっており、成人3人に1人は、高血圧、高コレステロール、糖尿病などの何らかの心臓血管疾患をかかえています。

ニューロサイエンスある時点で統合失調症の症状が現れる患者さんは人口の約1%で、少なくとも1度は大うつ病にかかる患者さんは人口の15%にのぼります。アルツハイマー病は認知症の最大の原因であり、世界で2,400万人を超える患者さんがいます。疼痛管理は、人々が治療を求める最大の理由です。

消化器欧米の成人の約10~20%が胃食道逆流症(GERD)を患っていると推定されます。アジアでは欧米ほどではありませんが、胃食道逆流症は増加しています。

がんがんは、先進諸国における主な死因の2番目であり、発展途上諸国でも同様の傾向を裏づけるデータがあります。欧米では乳がん、前立腺がん、結腸・直腸がんが多く、アジアでは胃がん、肝がんのほうが優勢であり、全世界のがんによる死因の中では肺がんが最も多くなっています。a

呼吸器・炎症世界保健機関の推定では世界で1億人が喘息に苦しんでいます。慢性閉塞性肺疾患は世界の死因の第4位となっています。慢性関節リウマチと変形性関節症は重度の障害を伴う関節疾患で、いずれも医療ニーズの高い領域です。

感染症感染症により毎年1,100万人を超える人々が死亡しています。重篤な感染症のリスクが高まり、薬剤耐性菌が増加するなか、抗生物質に対するニーズは依然として高いレベルにあります。結核は全世界における感染症による主な死因の1つで、毎日5,000人を超える人々が結核で亡くなっています。

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2000年の上市以来のNEXIUMの処方箋発行枚数

12600万枚

2001年の上市以来のSYMBICORTの処方箋発行枚数

8200万枚

19 9 7 年 の上市 以降、SEROQUELの投与を受けた患者さん

1900万人

2003年の上市以降、CRESTORの投与を受けた患者さん

900万人

1995年の上市以降、ARIMIDEXの投与を受けた患者さん

100万人

胃食道逆流症(GERD)の主な症状は、「胸やけ」や「胃酸の逆流」とよく言われますが、患者さんの生活の質に多大な影響を及ぼし、そのまま放置すると胃潰瘍や食道がんなどのもっと深刻な問題を引き起こしかねません。当社の製品群には、胃酸を作る細胞に作用し、胃酸の産生・放出量を減少させる2種類のプロトンポンプ阻害剤が含まれます。当社は世界初のプロトンポンプ阻害剤であるLosec/Prilosecを1998年に導入し、その後、改善した治療薬、Nexiumを開発しました。2000年に上市したNexiumは、より多くの患者さんの治療・症状緩和に役立っており、しかも主要な競合製品(当社の当初の治療薬を含みます)より短期間で効果が表れます。2006年にはNexiumの用途を拡大し、GERDを発症した12~17才の小児における使用の追加について米国で承認を受けたほか、欧州諸国、米国、オーストラリアでは、希少な胃酸関連疾患であるゾリンジャー・エリソン症候群の患者さんの治療における新しい用途について承認を得ました。

医療の質の向上とは、病気の症状はもとよりその原因に対処することです。当社の製品群に含まれるCrestorは、心疾患の一因となるコレステロール値を改善するスタチン製剤です。市場には他のスタチン製剤もありますが、CrestorはLDL-C、(「悪玉」コレステロール)を低下させ、HDL-C(「善玉」コレステロール)を増加させる強力な効果により、リスクの高い患者さんにとって特に有益な薬剤として認知度が高まっています。

個別ニーズへの対応能力の向上

当社では、治療法の選択肢が限られ、医療上のニーズに応えられていない治療領域にも力を注いでいます。Iressaは、2002年の上市時点では、分子標的薬という新しい分類で初めて承認された進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬です。Iressaは特定の患者さんですぐに効果が表れる傾向があり、劇的な結果が得られることもあります。

化学療法で効果が見られない進行NSCLCの患者さんを対象とした2004年の調査結果から、生存期間に一定の改善がみられました。この調査結果は、統計的に有意なものではありませんでしたが、腫瘍縮小など、Iressaに関する多数の臨床上のベネフィットが確認され、アジア人と喫煙経験のない患者さんにおける生存期間の伸長が示唆されました。

その後、アストラゼネカでは欧州におけるIressaの申請を自主的に取り下げ、米国とカナダの規制当局により、Iressaの使用はすでに本剤の効果が表れている患者さんのみに限定されました。アジア太平洋地域では、肺がんに人種上の差異があるため、Iressaは既治療の進行NSCLCにおける治療選択肢の一つとなっています。どのような患者さんに、どのような治療条件でIressaが最も効果的であるか確認する作業は、現在も続けられています。日本人の患者さんを対象とした2006年の調査結果は、全生存率についてIressaの統計的な非劣性を実証するには至りませんでした。しかし当社は、こうしたデータによって治療歴のある日本人NSCLC患者さんにおけるIressaのリスク/ベネフィットは変わらないと考えます。

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意見の聴取と知識の蓄積

当社の長期的な成功には、患者さんと医療従事者のニーズを把握し、規制当局と医療費の負担者の考え方を理解することがきわめて重要になります。当社では活動全体においてこうした方々と密接に協力しながら、患者さんとその他のステークホルダーの方々に利益をもたらす適切な新薬を送り出し続けるために必要な洞察力を蓄えています。

これとは別に、患者さんや担当医師の方々と継続的に話し合い、医療現場におけるニーズの把握に努めています。例えば、個別の健康問題に関する特定の患者さん団体と協力し、支援するほか、医療従事者や患者さんが直面するさらに広範な疾患上の課題について医療従事者と協議しています。

さらに当社では、患者さんや医師の方々が健康問題に対処できるよう効果的な医薬品の提供のほかにどのようなお手伝いができるか、医療現場の皆様にご意見を伺っています。

例えば、高コレステロールで治療中の患者さんは治療目標のハードルが高くて達成できないと思われることがあります。そのため、治療効果がすぐに表れないと目標を達成する前にやめてしまう場合があります。当社では提供情報の内容を見直し、医療上の必要性だけでなく患者さんの気持ちにも配慮して、Crestorの即効性に関する情報を盛り込むことにより、患者さんが治療を続けられ、コレステロールの目標値を達成する一助になればと考えています。

患者さんの治療継続を支援する別のアプローチとして、最近、地域を限定して、携帯電話技術とテキストメッセージを利用して薬の服用時間を患者さんにお知らせする試行試験を実施し評価検討しました。統合失調症では服薬遵守状況が転帰に重大な影響を及ぼすため、この試みではSeroquelを対象としました。患者さんが決められた通りに薬を服用するのにメッセージが役立ったようであり、医療従事者からもこのアイデアについて好意的な反応が得られました。このシステムをさらに評価検討するため、追加的な試行試験が実施または計画されています。

2006年には、ステークホルダーの主だった方々を対象として、ステークホルダーとのかかわりを明確にする総合的な調査に着手し、当社と企業活動に対するステークホルダーの皆様の認識について理解を深めました。

こうした取り組みから得られるフィードバックは、ステークホルダーとのかかわりや全社的な評判の管理に関する一貫性の高いアプローチの策定について伝える際の一助となっており、例えば、常に実際の患者さんのニーズに根づいた活動を展開するのに役立つ洞察力を蓄え、常にそれを把握する能力のさらなる向上を図ることなども含まれます。

患者さんの安全性に関する継続的な取り組み 当社の医薬品を利用される患者さんの安全性は、最重要事項です。理想としては、治療対象の疾患のみをターゲットとし、他の作用をまったく及ぼさない医薬品が望ましいのですが、現実には研究者の懸命な取り組みにもかかわらず、そのような医薬品はまだ存在していません。どのような医薬品でも副作用が生じることがあります。したがって、医療従事者は患者さんと話し合いながら、医薬品のベネフィットと副作用の可能性を十分に比較検討し、どの程度のリスクであれば受け入れられるかを判断しなければなりません。

当社では、各医薬品のライフサイクル全体を通してリスクを最小限に抑え、ベネフィットを最大限に引き出すことを目指しています。創薬研究では、新薬となる可能性のある化合物を見つけだすために何千もの化合物について調査研究を行っても、薬剤の安全性と作用機序を中心に据えた選別プロセスの厳しい基準のために、新薬となるものはごくわずかにすぎません。最も有望な化合物を開発する間も、安全性が引き続き優先事項となります。ヒトを対象として新薬となる可能性のある薬剤の試験を実施する前に、動物試験から得た安全性データを規制当局に提出する必要があり、安全性データは、ヒトを対象とした試験の全段階を通して継続的に収集され評価されます。

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新薬の販売承認の取得は、規制当局が申請書類を厳格に審査したうえで、許容可能なベネフィット・リスク・プロファイルであるという当社の判断を認めるかどうかにかかっています。

さらに、医薬品の日々の作用状況を把握することも、医薬品を利用される患者さんの安全性を保護するうえできわめて重要です。そのため、上市後も引き続き当社の医薬品をすべてモニターし、開発段階で確認されなかった副作用が生じたときはすぐに察知できるようにしています。

2006年の抗凝固剤Exantaの回収および開発中止の決定は、新たな臨床試験のデータが重度の肝障害の潜在的なリスクを示唆したことが誘因となりました。このデータは、現在、本剤の販売が承認されている期間を上回る35日を超える期間での静脈血栓塞栓症の長期予防として、整形外科手術後にExantaの使用を調査する臨床試験から得られたものでした。当社では、患者さんの安全性のためにExantaを市場から回収するとともに、その開発を中止しました。

規制当局に加えて、薬剤を処方する医師などの医療従事者の方々と広く連絡をとり、新たな患者さんへのExantaの投与を開始しないようお知らせしました。また、回収に関する報道の際は、錠剤の服用をやめる前にまず医師に相談すべきことを伝える患者さんに対するメッセージが、当社の公表情報に必ず含まれるようにしました。

医薬品の安全性に関する専用リソース

医薬品の臨床上の安全性については、アストラゼネカ全社で500名を超える専門スタッフからなる経験豊富な社内チームが、上記のプロセス全体を通して製品の安全性に対する当社の責務を確実に遂行するべく、安全性に関する業務に専念しています。また、(開発中の製品、上市製品の別を問わず)製品ごとに医薬品の安全性についてグローバルに検討する担当医師を定め、医薬品の安全性を専門とする研究チームのサポートのもと、担当製品の安全性を継続的に監視いただいています。アストラゼネカグループの各国企業の医薬品安全管理責任者は、各自の国内における製品の安全性について責任を負っています。

継続的なコミュニケーション

新薬の承認プロセスとそれ以降の業務の一環として、当社は規制当局と協力し、使用上の注意、服用指示、警告、禁忌、予測される副作用など、医療従事者が処方を行う際の判断に必要となるベネフィット・リスク情報をまとめた処方情報を作成しています。また、適宜、患者さんに対しても当社の医薬品や使用方法に関する情報を提供しています。

当社が依頼した臨床試験の結果については、好結果か否かにかかわらず公表しており、自由にご利用いただけます。また、実施中の試験に関する最新情報も公表しています。こうした情報は当社の専用ウェブサイト(astrazenecaclinicaltrials.com)でご覧いただけます。

当社の臨床試験に関する情報は専用ウェブサイト   (www.ASTRAzENECACLINICALTRIALS.COM)でご覧いただけます。

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私たちが社会にもたらす価値は、幅広く医療に貢献する製品を創製・開発し、市場に送り出す当社の能力が中心となっており、事業の長期的な成功は、ますます厳しさを増すビジネス環境の中で、その貢献の質を維持できるかどうかにかかっています。

医療に対する需要は高まるばかりです。高齢化が進み、人口が増加するなか、十分な処置がとられていない疾患は依然として数多くあります。このようなチャンスに恵まれている一方で、厳しさを増す薬価への圧力、新薬開発に対する規制強化、競争の激化など、様々な困難な課題にも直面しています。

私たちはこうした課題に対処し、これからも真に価値ある医薬品の進歩を図る機会を最大限に活用しなければなりません。

開発パイプラインのプロジェクト件数

49プロジェクト

23プロジェクト

28プロジェクト

20プロジェクト

前臨床 第I相 第III相第II相

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売上高(百万ドル)

重点課題

>新薬の創薬研究開発活動の質とスピードを向上させる。

>社外の新薬開発力を利用して社内の取り組みを強化する。

>卓越した高水準のマーケティング活動を促進し、既存製品から最大限の価値を引き出す。

>急速に発展する市場に戦略的な投資を行うことにより、当社の強みを増強する。

販売地域

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��候補化合物2006年に発見された有望な新薬候補

当社の成長の推進力となっているのは5つの主力成長製品です。これらの製品は長期的な成功の基盤となっています。同時に当社では未来に向けた地固めを行っています。

1,600万ドル

研究開発費1営業日当たり

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研究開発部門への投資(百万ドル)

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-4%

+6%

伸び率

+16% 49

45 17 15

開発プロジェクト1 前臨床段階 第I相臨床段階 第II相臨床段階 第II相臨床段階

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新薬開発への道

新薬を市場へ送り出すプロセスは長く、複雑で、巨額の費用を要し、リスクを伴います。優秀な研究者たちが最先端の装置・設備、技術を駆使し、8~12年もの歳月をかけて創薬研究開発に取り組まなければならないこともあります。新薬となる可能性が最も高い化合物を見つけだすために何千もの化合物について調査研究を行っても、当社や規制当局が厳しい承認基準を課しているため、発売に至るのはごくわずかです。製品の販売に至るまでに、通常8億ドルを超える費用が新薬開発のために投じられます。

当社は世界各地に研究開発組織を擁し、世界8カ国にある16の主要研究拠点で約1万2,000名に及ぶ従業員が価値ある新薬の創薬研究開発に打ち込んでいます。創薬研究組織では、最先端の科学技術を駆使し、新薬となる可能性の高い新しい化合物の発見に努めており、開発組織では、より良い薬剤をより短期間で開発することに力を注いでいます。研究者全員が一丸となり国境や組織の枠を越えて経験を共有し、ベストプラクティスの実践を促進するなど、大規模な組織力を持つグローバル企業という環境から得られる科学基盤を最大限に生かしています。

継続的改善に向けた取り組み当社は、新薬を市場へ送り出すスピードと質の面において業界トップクラスとなることを目指しており、そのため業務プロセスの効率性の向上に継続的に取り組むことにより、見込みのない化合物を早い段階で除外し、重要な医療の進歩に役立つ可能性が最も高い化合物の迅速かつ活発な開発に集中できるようにしています。

さらに2006年には疾患別目標分野の見直しを行い、重点業務の内容を再調整し、医療への貢献と長期的な競争力の強化に向けて、当社の研究資源の最適な配分を徹底しました。重点的に取り組んでいる治療領域は以前と同様ですが、これらの治療領域の中で、当社のスキルを最も有効活用できると思われる疾患を優先し、成功の見込みが低いと思われる領域からは撤退しました。このほか今期はNewOpportunitiesTeamを設置しました。これは、当社の現在の治療領域の枠にとらわれずに、将来の目標とするにふさわしい新しいチャンスについて評価検討する専門チームです。

常に生産性の向上に努めている当社の取り組みの結果は、早期開発段階のポートフォリオの成長に表れています。2006年には21の新薬候補化合物を選定しました(2005年は25、2004年は18でした)。また、がん治療薬のZactima、Recentin(開発コード:AZD2171)、循環器領域のAGI-1067、AZD6140など多数の化合物が後期開発段階に入っています。開発パイプラインの全化合物の詳細については18~19頁の表をご覧ください。

新薬開発力の拡充

科学の進歩が著しい今日の世界では、自社内の創薬研究開発活動だけに全面的に頼っている企業は存在せず、当社でも独自のスキルや資源を補完する能力を持つ外部パートナーとの買収や提携を通じて、社内の能力の強化に努めており、適宜、疾患研究の基礎を広げ1,850件を超える共同研究開発や業務提携を行っています。

2006年は研究開発活動にさらに拍車をかけました。当社は、新生する科学分野の最新情報を継続的にモニターし、患者さんにより良い結果をもたらす次世代の医薬品開発に役立つ機会を常に模索しています。

そうした機会の1つが、バイオ医薬品(生物分子に由来する医薬品)です。生物分子とは、一般に、疾患に反応して生体組織内で自然に生成されるものです。例としては、抗体が挙げられます。新技術により、それ自体には効果がない場合でも、自然反応を模倣し改善できるようになってきています。

Products

「最優先事項は、いまだ満たされていない医療ニーズに対応できる医薬品を送り出すことです。このため、品質と安全性に特に重点を置いた、より質の高い医薬品を創製・開発できる組織を築かなければなりません。競争世界では、スピードもきわめて重要です。

短期的には、製品ライフサイクルを管理し、第III相臨床開発プログラムを実行することで当社の事業上のニーズに対応します。

中期的には、引き続き社外の広大な科学研究基盤を利用する必要があることを念頭におきながら、できる限り迅速に薬剤コンセプトに関する確証と成分に関する確証を得るため、第I相・第II相臨床開発および前臨床開発プロジェクトを推し進めていくことを目指します。

長期的には、現在の当社の研究能力に加えて、革新的なバイオマーカーと画像技術を利用し、さらに生物製剤分野へ戦略的進出を図ることにより当社の変革を目指し、急速に成長しているバイオ医薬品部門において確固とした地歩を確立します」

JOHN PATTERSON FRCP 開発担当エグゼクティブ・ディレクタ

1 新規化合物および適応症・剤型の追加を含みます。

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候補化合物の発見発見された有望な新薬候補化合物

急速に成長している本分野で確固とした地歩を築き、実り多い提携関係を確立する戦略目標に沿って、当社は2006年にCambridge Antibody Techno-logyGroupplc(CAT)―英国に本拠を置く世界トップクラスのバイオテクノロジー企業を買収しました。CAT社のスキルにより、小分子研究分野の当社独自の専門知識と強みを補強し、これを土台として双方の研究分野から今後の新製品パイプラインを構築します。将来2010年以降は、研究開発が商品化につながる可能性の高い当社の有望な候補化合物4つのうち1つは、生物製剤となる見込みです。

このほか本年の重要な取引としては、画期的な乳がん治療薬の共同開発と共同での商品化に関するSchering社との提携や、コレステロール併用薬の共同開発と販売に関するAbbott社との提携が挙げられます。さらに2007年1月には、Bristol-MyersSquibb Companyとの世界的な提携について発表しました。これは、2型糖尿病治療薬として試験中の2種類の治験薬の開発・商品化に関するものです。

2006年に設置した新組織Strategic Planning andBusiness Development(SPBD)は、当社のアウトソーシング活動の重点課題の設定および調整・実施、特に外部の研究開発技術や製品、業務提携の利用をさらに改善することを目的としています。

市場ニーズに焦点を合わせた活動

当社では社内の部門の枠を超えて協力しあいながら、新たに生じる研究機会の優先順位を効果的に設定し、市場ニーズに合った研究機会を開拓するとともに、既存製品の潜在的能力を最大限に活用することにより、当社の製品ポートフォリオの品質を維持するように努めています。

研究開発活動の指針とするため、特定の疾患との闘いで最も効果をあげるには薬剤のプロファイルに何が必要と考えられるか、当社では初期段階で明確にします。こうした疾患別「目標製品プロファイル」(TPP)は、患者さんや薬剤を処方する医師など医薬品の受け手となる人々のほか、医療費を負担する人々のニーズに関する当社の見識に基づいて定められます。

新薬となる可能性の高い化合物が見つかったときは、その候補化合物(CD)に関する個別のTPPを作成します。このプロファイルは以降の開発段階を通して用いられることになり、その後、当社や規制当局が定めた基準に基づいて進捗を評価する際にも活用されます。これにより、製品パイプラインのCD群全体に対する追加投資の優先順位を定め、革新的な新薬として成功する可能性が最も高いCDに常に集中することができます。

2006年にはTPPの要件を満たさなかったために2製品の開発を中止しました。新しい糖尿病治療薬となる見込みのあった薬剤と脳卒中治療薬です。残念ではありましたが、このような決定は、新薬を市場に送り出すことに伴う課題を示しており、製品ポートフォリオを最も可能性の高い最高品質の候補だけに保つための当社の真剣な取り組みを反映しています。

既存製品の成長の促進

当社がビジネスを展開する競争の熾烈な環境では、既存製品の高い実績を市場でさらに促進することが、成功を収めるうえできわめて重要になります。短・中期的には、当社の成長の推進力となるのは、過去12年間に上市した5つの主力製品です。これらの製品は長期的な成功の基盤となっています。同時に当社では、社内の生産性を向上するだけでなく社外の新薬開発力を利用することにより、未来に向けた地固めを行っています。

これらの5つの主力成長製品(Arimidex、Crestor、Nexium、Seroquel、Symbicort)の2006年の売上高は、合計133億ドルに達し、前年比23%増となりました。Zoladex、Seloken/Toprol-XL、Casodex、Zomig、Merremなど好調な成熟製品を含む全製品の売上高は、合計265億ドル(11%増)でした。売り上げの最も多い各製品の個別の実績については13頁をご覧ください。

地球規模で検討し、地域に密着した活動を展開当社のグローバルな組織力には自負を持っていますが、各地の状況に応じたきめ細かい配慮こそが重要であることを心得ています。

当社は100カ国を超える国々で事業を展開しており、全世界を網羅する広範な営業・マーケティングネットワークを確立し、地域市場で強固な関係を築き、常に変化する顧客のニーズに迅速かつ効果的に対応することに注力しています。ほとんどの場合、当社の製品は主に医師をはじめとする医療従事者を対象に、当社の現地法人が販売活動を行っています。こうした販売活動は、まず、医薬情報担当者が直接面談することから始まります―これは現在も唯一最も効果的なマーケティング手法です。

CAMBRIDGEANTIBODYTECH-NOLOGY社の生物学的治療薬に関するスキルにより小分子研究分野の当社独自の専門知識と強みを補強します。

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当社の営業スタッフは最高の部類に属すると考えていますが、適切な科学知識を確実に身につけ、営業スタッフの効率性と卓越したマーケティング活動を促進することを目的としたグローバルな研修プログラムにより、引き続きベストプラクティスと好成績のさらなる促進を図っています。

営業スタッフの活動を補完するため、当社では多様なコミュニケーションツールを活用しており、例えばインターネットは、当社の医薬品とその治療対象の疾患に関する情報を医療従事者などの方々にお知らせするうえで、ますます重要な役割を果たすようになっています。このほか、消費者向け直接テレビ広告が容認されている米国では、こうした手法も活用しています。

いずれの地域の営業・マーケティング活動においても、情報提供チャネルの違いを問わず、必ず、国内外の行動規範や厳格なモニタリング・プロセスに従い、最高の倫理基準を遵守して取り組んでいます。取り組みの詳細については、別冊のCorporateResponsibility Summary Report 2006、または当社のウェブサイトをご覧ください。

顧客が当社の製品を必要とする時期・場所を問わず、迅速、効率的かつ安全に顧客の手に製品が届くよう確実にすることも、当社の優先事項の1つです。当社のサプライチェーンは柔軟性が高く、即応できるように構築されており、世界19カ国、27の製造拠点で各地域のニーズに応えることに専念しています。

主要市場における成功をさらに促進することは最優先事項の1つです。米国、日本、欧州などの既存市場においてリーディング・ポジションを築くとともに、中国のような急速に成長している市場へ戦略的な投資を行い、今後も当社のポジション強化を目指していきます。

2006年には今後3年間に1億ドルを投入し、中国で創薬研究開発センターを設立することを発表しました。同センターでは、中国の患者さん、バイオマーカー、遺伝的性質に関する知識を蓄積することにより、トランスレーショナル・サイエンス研究に取り組む予定であり、当初の治療領域は、がん領域が中心となります。さらに、地元の中国組織との共同科学研究件数をさらに増やすほか、中国臨床薬理部門を設置する計画により当社の研究能力を拡充していきます。

薬価

薬剤費は、通常、国民医療費全体のわずか10~20%を占めるにすぎず、ほとんどの国では国内総生産(GDP)の2%未満です。しかしながら、世界での需要が増えるにつれて、医療費を負担する側―政府、医療保険会社、マネージドケア組織、雇用者、患者さんなどでは医療費予算に対する圧力が高まっています。当社では継続的な課題として、こうした動向に伴う薬価引き下げ圧力への対処に努める一方、継続して新薬を市場に送り出していくために必要な投資を続けています。

当社が医薬品の価格を設定するときは、その製品が患者さん、医療費を負担する側、そして社会全体にもたらす包括的な価値を考慮に入れます。また、公開会社である当社には、常に株主の皆様に投資に対する利益を還元する責任があるという事実も考慮します。当社のグローバルな価格ポリシーでは、患者さんの適切なアクセスの確保など、多様な要因を比較検討し、当社製品の収益性を持続可能な方法で最適化する枠組みを定めています。

知的財産

当社では創薬研究開発、製造、その他の事業活動から生じたすべての発明や新薬について、適切な知的財産の保護を申請するポリシーに従っています。このポリシーの目的は、すべての重要な市場において有効かつ強制可能な特許権等の知的財産権の効果的なポートフォリオを製品ごとに確立し、商品化プロセスにおける不当な競争から当社製品を保護することにあります。

新薬が上市された時点での特許保護期間は、通常8~15年であり、重要な治療領域向け医薬品の供給に要した当社の投資をその期間で回収することになります。当社の知的財産の保護期間が満了すると、他社は、当社医薬品の後発品を販売開始できるようになり、その際の価格は、当社のように巨額の研究開発費を負担する必要がないため、より安価となります。

製品

当社では本年、がん研究施設(設備投資6,000万ドル)と生物学研究部門(設備投資1,600万ドル)を英国で新設し、同国における当社の強力な研究拠点をさらに強化しました。また、今後3年間に中国での研究開発のために1億ドルの設備投資を行うことも発表しました。これには創薬研究開発専門センターの建設が含まれ、当初はがん領域に重点的に取り組む予定です。

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経済上のベネフィット

当社の医薬品は治療上のベネフィットだけでなく、経済上の利点をもたらすことから、医療費を負担する側の方々と協議するときは、こうした利点に関する説明を盛り込み、当社の医薬品の価値が完全に理解されるようにします。このためには医薬品の開発段階全体を通して、医薬品の安全性と有効性を確認するための従来の研究に加えて、費用効果や費用便益、成果(例えば、生存率の改善、生活の質の向上)を実証するための研究に投資する必要があります。

効果的な治療薬は、入院や手術など費用のかさむ治療の必要性が削減されることにより、医療費節減の一助となることがあります。例えば2002年に実施された米国での調査によれば、より新しい薬剤の追加費用として1ドル支出すると、医療費全体で6.17ドルの節減となる場合があることが明らかになっています(病院の費用4.44ドルの節減を含みます)*。

また、生産性に関するベネフィットも生じます。疾患の発症を軽減する新薬や、疾患管理を改善できる新薬を使用すれば、仕事や学校を休んだり、その他の日常活動から離れたりする時間が削減されることになります―患者さんが生産的な日常生活を送るのに役立ちます。

当社の医薬品と同様に事業活動全体も、地域での雇用や賃金の支払、納税、地域支援、地域や国内から調達される材料・サービスの購入により、当社が事業を展開している地域社会の経済発展に貢献しています。当社では新興経済地域での存在感を増す場合と同様に、設備投資、地域パートナーとの提携、臨床試験プログラム、さらに地域社会からの人材の雇用により貢献しようとしています。

アストラゼネカの製品群

がん領域Arimidex(アナストロゾール)トップクラスのアロマターゼ阻害剤。乳がんCasodex(ビカルタミド)トップクラスの抗アンドロゲン剤。前立腺がんFaslodex(フルベストラント)エストロゲン受容体拮抗剤。乳がんIressa(ゲフィチニブ)上皮成長因子受容体(EGfR)チロシンキナーゼ阻害剤。肺がんNolvadex(クエン酸タモキシフェン)現在も広く処方されている乳がん治療薬Zoladex(酢酸ゴセレリン・インプラント)LHRHアゴニスト。前立腺がん、乳がんAbraxane®(タンパク接着パクリタキセル小粒子懸濁注射液)アルブミン接着製剤。乳がん。本剤はAbraxisBioScience,Inc.が権利を保有しており、米国で同社と共同で販促活動を展開。

循環器領域Atacand1(カンデサルタンシレキセチル)アンジオテンシンII拮抗剤。高血圧、心不全Crestor2(ロスバスタチンカルシウム)スタチン。高コレステロール血症治療薬Plendil(フェロジピン)カルシウム拮抗剤。高血圧、狭心症Seloken/Toprol-XL(コハク酸メトプロロール)1日1回服用。高血圧、心不全、狭心症Zestril3(リシノプリル二水和物)ACE(アンテジオテンシン転換酵素)阻害剤。高血圧など広範な循環器(Cv)疾患

消化器領域Entocort(ブデソニド)局所作用性コルチコステロイド剤。炎症性腸疾患。Losec/Prilosec(オプメラゾール)世界初のプロトンポンプ阻害剤(PPI)。胃酸関連消化器疾患Nexium(エゾメプラゾールマグネシウム)PPI。胃酸関連消化器疾患

感染症領域Merrem/Meronem4(メロペネム)静脈投与用カルバペネム系抗生物質。重篤な院内感染

ニューロサイエンス領域Diprivan(プロポフォール)静脈麻酔剤。全身麻酔の導入・維持、集中治療中の鎮静Naropin(ロピバカイン)世界でトップセールスの長時間作用性局所麻酔剤Seroquel(フマル酸クエチアピン)非定型抗精神病剤。統合失調症、双極性躁病、(米国では)双極性うつ病Xylocaine(リドカイン)局所麻酔剤。上市から50年を経た現在も世界で最も幅広く使用されているZomig(ゾルミトリプタン)前兆を伴うあるいは伴わない片頭痛

呼吸器・炎症領域Accolate(ザフィルルカスト)経口ロイコトリエン受容体拮抗剤。喘息Oxis(フォルモテロール)即効性の長時間作用性βアゴニスト。喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)Pulmicort(ブデソニド)吸入式コルチコステロイド剤。喘息Pulmicort Respules(ブデソニド吸入懸濁剤)噴霧吸入式コルチコステロイド剤。生後12カ月の幼児向けRhinocort(ブデソニド)点鼻ステロイド剤。アレルギー性鼻炎、通年性鼻炎、鼻ポリープSymbicort(ブデソニド/フォルモテロール)喘息、COPD。優れた効果を発揮し、投与量を調整しやすい

�0%新薬の90%超は研究開発型医薬品企業によるものです。豊富なスキル、経験、経営資源をあわせもち、万全の体制で真の医薬品の進歩のために必要な活動に取り組んでいるのは、研究開発型医薬品企業をおいてほかにありません。

* FrankR.Lichtenberg:「新薬のベネフィットとコスト:最新事情」全米経済研究所、マサチューセッツ州ケンブリッジ、2002年6月。

1 武田薬品工業株式会社よりライセンス取得2 シオノギ製薬株式会社よりライセンス取得3 Merck&CO.,Inc.よりライセンス取得4 住友製薬株式会社よりライセンス取得

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製品

申請予定治療領域 研究領域 化合物 欧州 米国第III相臨床段階:適応症・剤型の追加

がん進行性乳がん(ファーストライン薬) Faslodex >2009 >2009アジュバント療法 Faslodex >2009 >2009

循環器

糖尿病性網膜症 Atacand 2009 2009高血圧(32/12.5mg、32/25mg) Atacand Plus 2H2008 該当なしアテローム性動脈硬化症 Crestor 申請済 申請済鬱血性心不全(CHf)の転帰 Crestor 2H2008 2H2008末期腎疾患の転帰 Crestor 2009 2009ハイドロクロロサイアザイド(HCTz)(併用薬) Seloken/Toprol-XL 該当なし 承認済

消化器

NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)に伴う胃腸副作用-症状の消散 Nexium 販促可能1 申請済NSAIDに伴う胃腸副作用-潰瘍の治癒 Nexium 上市済 申請済消化性潰瘍出血 Nexium 1H2008 1H2008胃食道逆流症(GERD) Nexium (小袋入り製剤) 申請済 承認済消化性潰瘍(低用量アスピリン関連) Nexium (低用量アスピリン併用) >2009 >2009

ニューロサイエンス

統合失調症 Seroquel SR 申請済 申請済双極性維持 Seroquel 4Q2007 2Q2007双極性うつ病 Seroquel 4Q2007 承認済全般性不安障害 Seroquel SR 2H2008 1H2008大うつ病性障害 Seroquel SR 2H2008 1H2008双極性躁病 Seroquel SR 1H2008 1H2008双極性うつ病 Seroquel SR 1H2008 1H2008

呼吸器・炎症

Symbicort維持・リリーバー療法(SMART)(喘息) Symbicort Turbuhaler 承認済 該当なし

喘息 Symbicort(pMDI製剤) 申請済2 承認済3

慢性閉塞性肺疾患(COPD) Symbicort(pMDI製剤) 申請済2 1H2008第III相臨床段階:新規化合物

がん NSCLC(非小細胞肺がん) Zactima 2H2008 2H2008NSCLCおよびCRC(結腸直腸がん) Recentin(開発コード:AZD2171)4 >2009 >2009

循環器アテローム性動脈硬化症 AGI-1067 4Q2007 2Q/3Q2007動脈血栓症 AZD6140 >2009 >2009糖尿病 サクサグリプチン(BMS社) >2009 1H2008

第II相臨床段階:適応症・剤型の追加がん 乳がん Iressa >2009 >2009消化器 食道外逆流疾患 Nexium >20095 >20095

第II相臨床段階:新規化合物

がん

甲状腺髄様がん Zactima 2H2008 2H2008前立腺がん ZD4054 >2009 >2009固形がん AZD5896; AZD6244 (ARRY-142886) >2009 >2009毛細胞白血病 CAT-3888 >2009 >2009

循環器

脂質異常 Crestor/ABT-335(Abbott社) 該当なし >2009脂質異常 AZD6610 >2009 >2009血栓症 AZD9684; AZD0837 >2009 >2009糖尿病 ダパグリフロジン(BMS社) >2009 >2009

消化器炎症性腸疾患 AZD9056 >2009 >2009GERD AZD3355 >2009 >2009

感染症 重度敗血症 Cytofab™ >2009 >2009

ニューロサイエンス変形性関節症(OA)および慢性関節リウマチ(RA)の徴候・症状 PN-400(Pozen社) >2009 2009統合失調症における認知障害 AZD3480 >2009 >2009アルツハイマー病 AZD3480 >2009 >2009

呼吸器・炎症慢性関節リウマチ(RA) AZD9056 >2009 >2009喘息 AZD1981 >2009 >2009

開発パイプライン

1 信頼できる典拠によれば、これらの症状はすでにGERDの分類内に含まれており、「ナプロキセンやロフェコキシブとの臨床上の相互作用はありません」という表示が承認されています。

2 2008年に補足資料として、2つの追加的な濃度に関する裏づけデータを提出する予定です。3 米国での承認は12才以上の小児への投与に基づくものです。4 本化合物は、現在、第II相から第III相の臨床開発段階にあります。5 食道外逆流疾患(逆流喘息)のプロジェクトが完了しても規制当局への申請は行わない予定です。1H:上半期、2H:下半期   2Q:第2四半期、3Q:第3四半期、4Q:第4四半期

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申請予定治療領域 研究領域 化合物 欧州 米国第I相臨床段階:新規化合物

がん固形がんおよび悪性血液疾患 AZD0530;AZD1152 >2009 >2009固形がん AZD4769;AZD4877;AZD1689;AZD8931;AZD7762 >2009 >2009乳がん AZD2281 >2009 >2009

循環器脂質異常 AZD2479 >2009 >2009糖尿病/肥満症 AZD1175;AZD2207 >2009 >2009不整脈 AZD1305 >2009 >2009

ニューロサイエンス

神経因性疼痛 AZD9272 >2009 >2009不安およびうつ病 AZD2327;AZD3783 >2009 >2009多発性硬化症 AZD5094 >2009 >2009アルツハイマー病 AZD1080 >2009 >2009

呼吸器・炎症慢性関節リウマチ AZD5672;AZD6703 >2009 >2009COPD AZD4818;AZD5904 >2009 >2009喘息 CAT-354;AZD1744 >2009 >2009

前臨床段階:新規化合物

がん

固形がん AZD9935;AZD0424,AZD5180;AZD1845;AZD8830;AZD9468;AZD2932;CAT-5001;AZD6918 >2009 >2009

AZD4922 >2009 >2009固形がんおよび悪性血液疾患 AZD3646 >2009 >2009悪性血液疾患 CAT-8015 >2009 >2009

循環器

糖尿病 AZD6370 >2009 >2009止血 AZD8593 >2009 >2009脂質異常 AZD4121;AZD5861 >2009 >2009血栓症 AZD1283 >2009 >2009糖尿病/肥満症 AZD1656;AZD3988 >2009 >2009

消化器GERD AZD2066 >2009 >2009機能性消化器障害 AZD5329 >2009 >2009

感染症 感染症 AZD5099 >2009 >2009

ニューロサイエンス

アルツハイマー病 AZD3102;AZD0328 >2009 >2009神経因性疼痛 AZD6538 >2009 >2009多発性硬化症 AZD8797 >2009 >2009侵害受容性神経因性疼痛 AZD1940 >2009 >2009パーキンソン AZD3241 >2009 >2009痛覚消失 AZD2066;AZD1386;AZD7903 >2009 >2009不安 AZD6280 >2009 >2009統合失調症 AZD2624 >2009 >2009短時間作用性麻酔剤 AZD3043 >2009 >2009

呼吸器・炎症

COPD AZD6067;AZD7928;AZD1236;AZD5069;AZD9668 >2009 >2009変形性関節症(OA) AZD6357;AZD6605 >2009 >2009

喘息 AZD2392;AZD3825;AZD9215;AZD1678;AZD8848;AZD8075 >2009 >2009

慢性関節リウマチ CAM-3001 >2009 >2009喘息/COPD AZD3199 >2009 >2009

治療領域 化合物適応症・剤型の追加中止

がんFaslodex(アロマターゼ阻害剤無効後のセカンドライン薬)Iressa(頭頸部がん)

循環器 Exanta(心房細動(AF)時の脳卒中の予防)新規化合物の開発中止循環器 Galida;AZD1092;AZD8677;AZD7009;AZD8450消化器 AZD9343;AZD6538;AZD8081;AZD9272;AZD9335ニューロサイエンス NXY-059;AZD9272;AZD9335;AZD7512

呼吸器・炎症 AZD3778;AZD2914;AZD8955;AZD9056;AZD8309;AZD3342

備考Exantaは2006年2月に市場から回収しました。その他のプロジェクトの中止は、目標製品プロファイルの要件を満たさなかったことによります。

化合物に関する情報を開示するにあたっては、ビジネス上の秘密保持の必要性との兼ね合いを考慮することになるため、本セクションに掲載した一部の化合物に関する情報は現時点では開示していません。

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当社の事業はダイナミックで刺激に満ちたビジネスである一方、要求の厳しいビジネスでもあります。事業目標の達成に向けて常に全力を尽くし責任を持って取り組むよう社員に求めるのであれば、私たちはそれが可能となる適切な職場環境を社員に提供しなければならないと考えています。

当社では社員一人ひとりが事業目標に沿って各自の明確な目標と責任を持つように徹底しています。

全 世 界 の 従 業 員 数

社員には、明確な目的意識、課題への対応能力に対する自信、そしてアストラゼネカとその成功への貢献に対する誇りを持って、前向きに、意欲的な心構えで各自の仕事に臨んでもらいたいと考えています。

つまり、社員を鼓舞する効果的なリーダーシップを発揮し、自由なコミュニケーションの場を用意し、学習・能力開発の十分な機会を提供するとともに、各自の長所と実績のみに基づいて、社員一人ひとりが成功できる受容性の高い企業文化を醸成することを意味します。

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社員の勤務地別分布

米国20%

英国18%

スウェーデン21%

その他の地域41%

重点課題

>社員が誇りを持って働ける会社であり続ける。

>効果的なリーダーシップを発揮し、目標と責任を明確にする。

>多様性に富んだ機会平等の社風の中で、社員が最高の成果を挙げられるよう社員の意欲を引き出しサポートする。

>自由なコミュニケーションの場を用意する。

>人 と々の交流を重視していることが全社員に理解されるようにする。

>社員を鼓舞し、職場を活性化する。

高潔高い倫理基準

オープン、誠実信頼、協力

個人と多様性の尊重

すべてのレベルにおける

リーダーシップ

アストラゼネカのコア・バリュー

私たち企業が何を行うかということは重大な意味を持っていると考えています。また、それをどのように行うかということも同様に重大であると考えています。

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率先垂範

絶えず変化し、厳しさを増しているビジネス環境において企業として成功を持続させ、高業績を促進するには、適切なリーダーシップを発揮することがきわめて重要になります。

高い業績目標を設定するだけでは十分でないことは明らかです。活動内容を明確にしたうえで、適切に責任を割り当て、活動の実行を徹底しなければなりません。

アストラゼネカ取締役会は、アストラゼネカグループの戦略とポリシーを定め、事業目標を承認し、それらの目標達成に向けた進捗をモニターします。例えば、財務実績やビジネス上の重要な問題を定期的に見直します(取締役についての詳しい情報は32~33頁をご覧ください)。

シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)は、最高経営責任者をトップとする機能領域横断型の多地域にわたるメンバーで構成されたグループで、事業運営における日常業務を中心に取り組み、ビジネス上の重要な問題について決定を下し、事業目標の達成を指揮します。

全世界6万6,800名に及ぶ社員について、社員一人ひとりが高度な事業目標に沿って各自の明確な目標と責任を持つように徹底しています。業務の遂行を最適化することが優先事項であり、管理職社員は配下のチームメンバーと協力して業績目標を策定する責任を負っています。各社員とチームの貢献はその目標に基づいて評価され、報酬が決定されます。

能力の向上

また、全社員が最高の成果を挙げられるよう手助けするため、社員の最大限の能力開発を奨励・サポートしており、高度な研修や能力開発の機会を提供しています。

管理職社員は、一貫したアプローチを確実にする一連の基本方針と共通プロセスに基づき、チームメンバー全員の能力を明確にし開発する責任を負っています。

さらに、リーダーシップ能力の向上、中核となるマネジメントスキルの強化、他組織との良好な協力関係の開発促進を目的とする一連のグローバルな研修プログラムを実施しています。これらのプログラムを補完するものとして各地域でも能力開発に取り組んでおり、こうした取り組みにはリーダーシップ開発における各機能領域や各国固有の側面が含まれます。

差異の尊重

アストラゼネカは、グローバルな人材がもたらす多様性に富んだ経験とスキルから多大な創造力と活力が生まれると考えています。したがって、一人ひとりの差異が完全に認められ尊重される受容性の高い社風の中で、全社員が部門や地域の枠を超えて自分の知識やアイデアを共有し、好成績のチームを確立するように奨励しています。

また、当社の事業はイノベーションを基盤としているため、社員が常に独創性を発揮し、前提やシステムに疑問を持ち、互いに切磋琢磨しあいながら、新しい考え方を身につけ、新規のより良い仕事の進め方を見つけだすように奨励しています。こうし

た社風の中では、「いつものやり方」は再考すべき当然の理由となります。

当社の長期的な目標は、多様性が各職場で適切に支持され、リーダーシップに反映されるようにすることです。多様性と人事管理はSETの目標に含まれており、多様性の受容の考え方が、人事管理プロセスに一貫して反映されるようにグローバルに足並みのそろった一連の最低基準を定めています。2006年は、上級管理職クラスにおいて多様性が適切に反映されるよう徹底することを引き続き重要課題としました。1つの指標として、現在はSET直属の上級管理職79名のうち33%(2005年は88名中22%)が女性となっています。

継続的な対話

社員がアストラゼネカとその目標に対する各自のコミットメントについて常に確信を持てるようにするには、情報の共有が不可欠であることは明らかです。そのため、社員面談を行うなど様々なコミュニケーションツールを活用し、社員が常に業務の進行について最新の情報を知らされ、それが自分にとってどのような意味を持つかについて明確に理解できるようにしています。

フィードバックは当社にとって非常に重要であるため、あらゆるレベルのコミュニケーションの中でフィードバックを行えるようにしています。さらに、当社の行動規範には社員が誠実性に関する懸念を提起する際の手順が定められており、社内ヘルプラインの電話番号なども記載されています。

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当社では全社員が部門や地域の枠を超えて自分の知識やアイデアを共有するように奨励しています。

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このほか、社員の勤務状況を追跡調査し、検討が必要な領域を明らかにするため、2年に一度、インターネットを利用した世界の全社員を対象とする意識調査を実施しています。2006年には4回目の調査を行い、社員が信頼できるフィードバックの仕組みとして評価していることを反映して、過去最高の回答率(86%)となりました。社員に公表された調査結果は、全カテゴリーにおいて2004年の前回調査時より改善がみられ、ほとんどの事例で医薬品業界の基準を上回りました。肯定的なフィードバックが示された領域としては、社員の健康、安全、情報の共有、コミュニケーション(特に、直属の上司のフィードバックに対するオープン性の向上)が挙げられます。また、社員は、社外取引に適用される当社の倫理基準を高く評価しています。全体的に勤務状況は堅実ですが、リーダーシップと業績管理の一部の側面ではさらなる改善が必要であることが明らかになりました。これらの領域に重点を置いた取り組み―マネジメントの枠組みに組み込まれる責任の明確性を向上させる施策などが、すでに開始されています。

多様性も調査項目の1つであり、全体では社員の63%が、経営陣は全社員の機会均等を支持していると考えていることが調査結果から明らかになりました。これはグローバル高実績基準を上回っています。また、女性の69%、男性の70%が、社内で偏見や差別を受けたことはなく、ほかの人がそのような目に遭っているのを見たこともないと答えました。さらに調査結果には全データの部門別・地域別内訳も含まれ、さらなる改善が必要な領域を確認できるようになっています。

安全で健康的な職場環境の促進

安全な職場環境を整え、全社員の健康と福利厚生を促進することは、常に当社の最優先事項です。事業活動が拡大し変化し続ける中で、当社は絶えず取り組みを強化・調整しており、職場行動や勤務態度に重点を置いた従来のプログラムを増強するとともに、ストレスを管理し、社員が各自の健康上のリスクを理解しやすくする新しいアプローチを採用しています。

2006年初めに、実績の継続的な改善の促進を目的とした安全・健康・福利厚生に関する2010年までの新たな全社的目標と関連する設定目標を導入しました。安全・健康・福利厚生に関する新しい主要行動指標(KPI)は、致命傷・重傷事故と業務上の疾病発症の頻度を1つのKPIにまとめたもので、2010年までに上記の2つの発生頻度を2001年/2002年の基準値に対し全体で50%削減させることが目標です。

さらに当社では、仕事と家庭を健全に両立させることを奨励・サポートしており、全世界の社員の長期的な福利厚生を図るには、当然、仕事と家庭の両立が不可欠となります。

人 と々の交流の重視

ステークホルダーの皆様や地域社会にとって企業が何をするかのみならず、それをどのように実行するのかが重大な意味を持っていると考えます。企業として責任ある活動を行うことによってのみ、信用と信頼を得ることができ、そうした信用と信頼がなければ当社の企業としての評価や事業免許を維持していくことはできません。

つまり、社内、社外でどのような行動をとるかによって社員個人、また組織全体としての信用を築いていくということでもあります。

アストラゼネカでは、高いレベルの企業コア・バリューが全世界で一貫して認識され、適切な行動として反映されるための努力を重ねています。日々のビジネスの中で、全社員が当社の企業責任ポリシーと評価基準に基づいて、企業としての責任について常に認識できるよう取り組みを継続しています。

例えば、管理職社員に対してグローバルレベルの基準をどのように各地域での業務に適用するのかを指針として提供したり、社員とのこまやかなコミュニケーションによって、社員が当社の取り組みをしっかりと理解しているかを確かめ、また、アストラゼネカが今後も国際社会の重要な一員として歓迎され続けるために、社員一人ひとりが重要な役割を担っていることを伝えています。

当社の企業責任に関する取り組みとその実績の詳細については、別冊のCorporate ResponsibilitySummaryReport2006、または当社のウェブサイトをご覧ください。

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研究開発費および販売・一般管理費 百万ドル

12,998

12,074

11,735

06

05

04

50.4%

54.8%

49.1%

売上高に対する

比率(%)

売上総利益 百万ドル

20,916

18,594

16,233

06

05

04

77.6%

75.8%

79.0%

売上高に対する

比率(%)

営業利益 百万ドル

8,216

6,502

4,547

06

05

04

27.2%

21.2%

31.0%

売上高に対する

比率(%)

アストラゼネカの医薬品は、患者さんにベネフィットをもたらし、広く社会に価値を還元することを目的としています。この目的を適切に達成することから生まれる高い財務実績があればこそ、当社は公開会社としての責務を果たし、株主の皆様の期待に応える投資収益を実現できるのです。

患者さんと広く社会に利益をもたらし、永続的な株主価値を創出するために、当社の経営資源、スキル、能力を結集して取り組んでいます。

これらの目標の達成に向けて、急速に変動する世界のビジネス環境において成功を収めるために明確な戦略を定め、私たちの進捗を常にモニターし評価する枠組みの中で、たゆまぬ努力を続けています。

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営業利益 百万ドル

8,216

6,502

4,547

06

05

04

+39%

+12%

伸び率

+28%

重点課題

>ビジネスのあらゆる側面で約束を果たすことにより、トップクラスの財務実績の達成を促進する。

>業界トップに匹敵する持続可能な収益性の高い成長を実現する。

>厳しいコスト管理を行い、継続的な生産性の向上を図る。

>常に業績を評価しモニターすることにより、進捗を評価する。

「過去2年間に培われた売上と利益の向上を促進する当社の活力は、(本書の別のセクションに記載された)製品ライフサイクルのチャンスを活かし、生産性の継続的改善に取り組むことにより、今後も維持していくことができると考えています。長期的には、自社の研究開発パイプライン内から、あるいはアウトソーシングを通じて新しい医薬品を市場に送り出すことにより、さらなる業績の達成を推し進めていく予定です。

当社の売上高は、2006年末までの過去5年間でじつに10%を超える年平均伸び率を達成し、1株当たり利益(EPS)は17%の伸びを記録しています。その当時、当社の売上高のほぼ半分を占めていた複数の製品が特許切れの時期を迎える中で、上記のような業績を達成してきました。

今後も堅調な業績の達成を促進するために何が必要かは明白です。もちろん新薬の開発がきわめて重要になりますが短期的には、既存の製品群や計画の中にも当社の活力を持続させるための多数の要因を見つけることができます。

> 効果的なライフサイクル管理と卓越した営業活動により、当社の主力成長製品である5製品をサポートし、売上を向上させます。

> 良好な売上成長を達成しながら、さらなる利幅の拡大を目指して経営資源の配分とより積極的なコスト管理を引き続き統制すると同時に、研究開発部門への投資の増強に向けて資金を確保します。

> 重点地域への拡大と開発パイプラインの強化に向けた取り組みに豊富な資金を投入すると同時に、株主の皆様に競争力のある投資収益をもたらします」

JONATHANSYMONDSCBE 最高財務責任者

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

戦略

当社の戦略

アストラゼネカは、全世界で事業を展開している先進の研究開発型医薬品企業であり、重要な治療領域において革新的な新薬を送り出すことにより、患者さんの生活の質を高め、株主の皆様はもとより広く社会に価値を還元することを目指しています。

当社が引き続き医療のために最大限の貢献を尽くし、医薬品業界を牽引する持続的な成長を実現し、その成長を確実に管理できるようにするため、当社の戦略は次の3つの重要な優先事項を中心としています。

自社の研究所のみならず、社外の創薬研究開発機関を利用することにより、新薬開発パイプラインを強化する。

製品ライフサイクルを厳しく管理し、質の高い顧客サポートを提供することにより、全既存製品の潜在的能力を完全に引き出す。

原価構造を見直し、上記の重要な事業活動で必要になる追加投資のための資金を確保する。

当社は、今後も事業活動全般においてステークホルダーの方 と々密接に協力しながら、当社の既存の治療領域にとどまらず、さらに広範な領域で患者さんのニーズにお応えし、社会に価値を還元できる医薬品を提供してまいります。

当社ではこの戦略を実現するために一連の明確な目標を設定しており、社員のプロフェッショナリズムとコミットメントにより、業界トップに匹敵する業績を達成したいと考えています。

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当社の目標

戦略の実現に不可欠の原動力として定めた当社の目標では、次の4つの中核的な領域に重点を置いています。

PATIENTS(患者さん)以下を実施することにより、医療ニーズを効果的に把握し、その情報を活用します。

患者さんや医療従事者と密接に協力しながら、医療現場で何が必要とされ、何が重視されているか把握します。

創薬からマーケティング、さらに多岐にわたる当社のビジネス上の意思決定のあらゆる側面において、こうした洞察を組み込み、最も重要な医療ニーズに重点を置いた取り組みを持続できるようにします。これには、最も高い効果を得られる患者さんを医薬品のターゲットに設定することが含まれます。

以下を実施することにより、卓越した顧客サポートを提供します。

患者さんと医療従事者が疾患や治療法の選択に関する理解を深め、必要な医薬品を入手し、医薬品から最大限のベネフィットを得られるようにする革新的な業務遂行を目指します。

PRODUCTS(製品)以下を実施することにより、研究開発プラットフォームとパイプラインを強化し、革新的な新製品を市場に送り出します。

常に当社の業務プロセス全体における効果的なリスクマネジメント、意思決定および効率性の促進に力を注ぐとともに、最先端の科学基盤を活用することにより、社内の創薬研究開発活動の質、スピード、生産性のさらなる向上を図ります。

新製品パイプラインの強化につながる提携や協力や買収を通じて魅力的な社外のチャンスを活用し、社内の創薬開発力を高めます。

生物製剤分野への戦略的進出を図り、急速に成長しているバイオ医薬品部門において確固とした地歩を確立します。

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以下を実施することにより、既存製品の潜在的能力を完全に引き出します。

各製品のライフサイクルを積極的に管理し、当社製品群の治療上・商業上の潜在的能力を十分に活かします。

高水準の営業効率と卓越したマーケティング活動を促進します。

既存市場において当社のリーディング・ポジションを確立し、重要な新興市場における当社の存在感を高めます。

PEOPLE(人材)以下を実施することにより、当社の全世界の人材から精鋭メンバーを結集させます。

効果的なリーダーシップを発揮し、目標と責任を明確にします。

効果的な人事管理および能力開発を行います。

多様性を受容する社風を促進し、社員一人ひとりが尊重され、各自とチームの貢献に応じて適切に報われていると感じられるようにします。

以下を実施することにより、人々との交流を大切にします。

当社の事業内容はもとよりその経営姿勢も同様に重要であり、社員一人ひとりが当社のコア・バリューを各自の日常的な業務活動に反映させる責任を負っていることを社員がしっかりと理解するように徹底します。

PERFORMANCE(業績)以下を実施することにより、業界トップに匹敵する業績を達成し、卓越した先見性をもつ責任ある企業としての評判を確立します。

ビジネスのあらゆる側面で約束を果たし、中核的な優先課題に重点的に取り組み、どのようにそれらを実現するかに集中します。

事業活動全体におけるビジネスチャンスとそれに伴うリスクに効果的に対処します。

原価構造を厳格に見直し、コスト効果の向上を図り、卓越した業務遂行を強化します。

コーポレートガバナンスとコンプライアンスを堅持する継続的な取り組みを徹底します。

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取締役会およびシニア・エグゼクティブ・チーム(SET)は、四半期業績管理(BPM)報告書を用いて当社の戦略目標の達成度を評価します。

この報告書により、取締役会とSETは、非財務面の短期目標および長期的戦略目標に向けた当期設定目標に基づいてその時点の進捗に対する見通しを共有します。

毎年、様々な財務目標とその他の目標が設定されますが、2006年は次の重要領域に重点を置きました。

製品の実績e開発パイプライン生産性および収益性株主利益企業評価コーポレートガバナンス

2006年には、当社では戦略目標の達成に重点を置いた活動をさらに強化するため、当社の業績管理の枠組みを見直しました。現在の戦略目標は次の4つの領域に分けられます。

Patients(患者さん)Products(製品)People(人材)Performance(業績)

企業評価とコーポレートガバナンスの目標は、当社の事業活動全体において一貫した行動を統合することの重要性を反映して、上記の4つの領域すべてに含まれます。

株主利益は、業績に含まれます。

こうした領域の実績評価手法としては、量的に比較する実績評価基準から広範囲にわたる詳細な量的分析まで多様な手法があります。

全体的に、そうした手法は、目標の達成度と永続的な株主価値の最終的な実現状況を常にモニターし報告する枠組みを提供するものです。

取締役会およびSETが上記領域の実績を評価する際に用いる個別の評価基準や、株主の皆様が当社の事業について理解を深め評価するうえで役立つその他の判断基準については、本書の各セクションで説明し、具体的なデータを掲示しています。例えば、次のようなデータです。

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製品

発売製品販売額の伸び(恒常為替レートベース。31頁参照)。全世界における主力成長製品の売上高  (13頁参照)。主力成長製品のマーケットシェア。製品ライフサイクルの状況。

開発パイプライン新薬候補(15頁参照)。開発段階別開発プロジェクト件数(14頁参照)。研究開発部門への投資(米ドル換算。14頁参照)。開発目標の達成度。

業績

1株当たり利益の伸び(表紙裏面参照)。コストの伸び率。売上総利益率、コスト比率および営業利益率(時系列的な推移)(24頁参照)。配当金および株式買い戻し(表紙裏面参照)。フリーキャッシュフロー。株主総利益(40頁参照)。

2006年に当社の業績管理の枠組みを見直したことに伴い、Patients(患者さん)とPeople(人材)の領域に関する2007年の目標は現在策定中であり、これらの目標については適切な時期にご報告します。

企業評価

上述した実績評価は、価値ある医薬品をお届けし、それにより株主価値を実現するという当社の事業の進度を評価するものです。先に述べたように、企業評価とコーポレートガバナンスの目標は上記の重要な領域にも含まれます。

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企業姿勢の評価については、一連の主要行動指標(KPI)を用いており、これらの指標によって企業責任(CR)の重要な領域の進捗を評価しています。コンプライアンス監査と外部機関による保証は、高い倫理基準に則った行動規範の遵守を徹底するうえできわめて重要であり、コンプライアンスは、当社のCRの進捗評価に用いられる多数のKPIに組み込まれています。KPIおよび2006年の当社実績についての詳細は、別冊のCorporate Responsibility Sum-mary Report 2006または当社のウェブサイトをご覧ください。

このほか当社は、Dow Jones Sustainability Indexなどの主要な外部調査の対象となっています。上記指数は、当社の業績を評価し、持続可能な開発の必要性についても理解を深められる有力な手法の1つです。

アストラゼネカは、世界の資産運用責任者が社会的責任投資を行う際に指標として用いる2007 Dow Jones Sustainability World Indexの対象銘柄です。しかし、対象に選ばれるための順位争いが熾烈なEuropean Index (Dow Jones STOXX)では、スコアの伸長にもかかわらず、2005年に失った地位の回復には至りませんでした。

コーポレートガバナンス

AstraZeneca Code of Conduct(行動規範) (当社ウェブサイトで閲覧できます)は、当社が社員に求める行動に関する最高の基準を定めたもので、その遵守を義務づけるものです。本規範に基づき適用法令や行動規範をすべて遵守すべき責務の一環として、当社は、コーポレートガバナンスに関する英国統合規範に定められた、優良なガバナンスに関する基本的な規範をすべて適用しています。また、英国統合規範の諸規定をすべて遵守しており、当社のコーポレートガバナンスにかかわる慣行は、一般にニューヨーク証券取引所のコーポレートガバナンスに関する上場基準に合致しています。アストラゼネカの「継続的保証」プロセスは、上記基準の当社の遵守状況を効果的にモニターできるようにすることを目的としています。

業績評価

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

恒常為替レートベースの売上高とコストの伸び率を算出することにより、経営陣はそれらの現地での実質的な変動を把握し、最近の傾向や関連する投資収益率を比較検討することができます。恒常為替レートベースの1株当たり利益の増加からは、(税引後利益に基づく)事業の収益性だけでなく(特に株式買い戻しプログラムによる)資本構成の管理状況がわかります。

その他の評価基準は為替レートの直接的な影響をそれほど受けないか、実質的な影響を受けません。

売上総利益率と営業利益率。これは主要な実績の利幅の向上を表し、事業の総合的な質が理解できます。主力成長製品の処方量と傾向。これによって請求額ベースの売上高より適切かつ直接的に実質的な事業の成長と個々の製品の進捗状況を把握できます。営業実績。米国のToprol-XLに関しては、後発品の承認・上市時期に関する不確実要素を考えると、売上を予測することはますます困難になっているため、同製品の貢献分は営業実績から控除しています。フリーキャッシュフロー。これにより財務活動を含まない正味キャッシュフローがわかります。事業の買収、短期投資・固定性預金の変動および無形固定資産の売却による資金の変動を調整して、財務活動を含まない資金の純増額を算出します。株主の総利益は、当社が株主の皆様に提供する利益を算定したもので、配当の再投資を前提とした株価の変動を反映しており、同業他社の業績との比較に用いられます。

業績特記がない限り、データはすべて恒常為替レートで算出されています。

売上高年間売上高は11%増加し、すべての地域で堅調な売上増が得られました(米国16%増、欧州6%増、日本5%増、他の地域11%増)。この伸びは販売量の増加によるものですが、(特に米国と一部の欧州地域における)価格低下により一部相殺されることになりました。Toprol-XLは、後発競合製品が2006年11月から米国で発売される事態に直面しており、米国市場のToprol-XLの売上高(2006年は13億8,200万ドル、2005年は12億9,100万ドル)を控除した売上高の伸び率は11%でした。

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はじめに

ファイナンシャルレビュー(要旨)の目的は、2006年度の財務上の業績と2006年末現在の財務状態や、事業に影響する可能性のあるビジネス上の主な要因と動向について、重要な要因と動向を含むバランスの取れた包括的な分析を提供することにあります。

当社の売上の97%以上は医療用医薬品によるものです。医薬品の売上は短期的には一般の経済状況にさほど影響を受けません。それよりも医療上のニーズに直接影響を受け、通常、健康保険制度や国の医療予算により負担されます。

当社の業績は、短期的および長期的に通常の競争とは別の複数の要素に影響を受ける場合があります。

独占特許の失効または特許切れに伴う後発品参入による競合リスクが販売量と価格にマイナスの影響を与える可能性。例えば、Toprol-XL 25mgの後発競合製品が2006年11月に上市されました。各国の規制当局に影響されうる新製品上市のタイミングと、新製品が予想通りに成功しないリスク。 売上高の伸び率と新製品上市に伴うコスト。規制環境の結果としての医薬品の価格に対するマイナスの影響。米国では価格について政府から直接の規制はありませんが、個別の州のプログラムおよび医療保険団体からの圧力が実勢価格を下げる方向に影響しています。米国以外では、政府によって課せられる価格と量に関する様々な規制メカニズムや売上高に応じた遡及的なリベートなどがあります。為替変動。当社の機能通貨および報告通貨は米ドルですが、当社は他の通貨、特にユーロ、円、英ポンド、スウェーデンクローナからも多大な影響を受けています

より長期的には、研究開発の成功がきわめて重要です。当社はこの分野に膨大な資源を投入していますが、こうした投資から得られる利益は長い期間を経て実現されるものであり、本質的に、将来の製品を生み出すか否かについては相当な不確実要素が存在します。

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2006年の財務実績について最も重要な事項は次の通りです。

通年の売上高は11%増の264億7,500万ドルでした。5つの主力成長製品の売上高は引き続き堅調な伸びを記録し、23%増の133億1,800万ドル(売上高全体の50%超)となりました。営業利益は82億1,600万ドルで、営業利益率は3.8ポイント改善され、31.0%でした。製品ポートフォリオのうち年間売上高が10億ドルを超える製品は、5年前の2製品から11製品になりました。 フリーキャッシュフローは67億8,800万ドルで、7億3,600万ドル増加しました。1株当たり利益は34%増の3.86ドルでした。2005年12月から2007年1月までの期間中に12の大型ライセンシング・買収プロジェクトに加えて、9つの大型共同研究開発プロジェクトに関する契約を結ぶことにより、当社の研究開発ポートフォリオを強化しました。研究開発部門への投資は16%増加し、39億200万ドルでした。これは実質的な研究開発活動の増強と買収の影響の両方によるものです。

当社の売上高は、2006年末までの過去5年間じつに10%を超える年平均伸び率を達成し、1株当たり利益(EPS)は17%の伸びを記録しています。その当時、当社の総売上高のほぼ半分を占めていた複数の製品が特許切れの時期を迎える中で、上記のような業績を達成してきました。

過去2年間に培われた売上と利益の向上を促進する当社の活力は、製品ライフサイクルのチャンスを活かし、生産性の継続的改善に取り組むことにより、今後も維持していくことができると考えています。長期的には、自社の研究開発パイプライン内から、あるいはアウトソーシングを通じて新しい医薬品を市場に送り出すことにより、さらなる業績の達成を推し進めていく予定です。

業績評価

当社では主要領域の業績を評価するにあたり、以下に記載した個別の評価基準を用いており、財務評価基準の一部、特に売上と経費の伸び率、営業利益、したがって1株当たり利益では恒常為替レート(CER)で算出したデータを用いています。恒常為替レートは、為替変動の影響を排除することにより、数量・価格・コスト水準に応じて変化する売上高と費用の変動を前期と比較して評価できるようにするものです。

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ファイナンシャルレビュー(要旨)

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年間売上高が10億ドルを超える製品は11製品となり、主力5製品(Arimidex、Crestor、Nexium、Seroquel、Symbicort)の総売上高は23%増の133億1,800万ドルに達し、現在では(2005年の45%からさらに上昇し)当社の売上高全体の50%超を占めています。

消化器領域は2年連続で売上を伸ばし、4%の増加となりました。Losec/Prilosecは前期に続き減収となったものの、Nexiumの好調な売上がこれを十分に補い、Nexiumの売上高は12%増加しました。米国市場では、Nexiumの販売量は引き続き好調な伸びを示しましたが、実勢価格の低下により一部相殺され、13%増の35億2,700万ドルとなりました。他の市場では、フランスおよびイタリアでの良好な売上増がドイツでの大幅な価格崩壊を補い、N e x i u m の売 上高は10% 増 加しました 。Losecの売上高は16%減の13億7,100万ドル(米国12%減、他の地域17%減)でした。

循環器領域の売上高は15%の増加となりました。Crestorの売上高は59%増となり、20億ドルを突破し、米国内の売上高は57%増の11億4,800万ドルに達しました。米国スタチン市場の新規処方に占めるCrestorのシェアは2006年12月現在、9.6%(期首時は6.9%)であり、他の市場でも欧州の好調な売れ行きに支えられ、さらに日本での上市が加わり、売上高を61%伸ばしました。Seloken/Toprol-XLの売上高は3%増加しました。米国での売上の伸びは、Toprol-XL 25mgの後発品が11月に上市されたことに伴い、社内での収益の計上時期を(出荷時から)従来の処方箋の作成時にしたもあり、7% の 増 加 にとどまりました 。C r e s t o rとSeloken/Toprol-XLの好調により、それぞれ7%と24%の減収となったZestrilとPlendilの落ち込みを補うことができました。

呼吸器・炎症領域の売上高は10%の増加となりました。この売上増の主な原動力となったのはSymbicortで、その売上高は18%増加しました。Symbicortの米国での上市は2007年中頃に予定していますが、この上市時期は、技術移転に成功し、必要な製品バッチのバリデーションを終了できるかどうかによって変更される可能性があります。そのほか本治療領域では、Pulmicor tの売上高は11%増加した一方、Rhinocortは7%の減収となりました。

がん領域の売上高は12%の増加となりました。Arimidexの売上高は29%増加しました。Casodexの売上高は9%増加し、米国以外の売上が好調でした。Zoladexの売上高は2年連続して10億ドルを突破しました。Iressaの売上高は、アジア太平洋地域での売上増により米国での落ち込みを幾分補うことができたものの11%の減少となりました。

ニューロサイエンス領域の売上高は16%の増加となりました。Seroquelの売上高は30億ドルを突破し、24%増加しました。米国の抗精神病 薬 市 場 で の 新 規 処 方 箋 枚 数 に占め るSeroquelのシェアは12月に30%を超えるまでに上昇し、他市場での売上高も23%増加しました。

米国での年間売上高は16%増加しました。Prilosecなど減収となった製品があったものの、Nexium、Seroquel、ArimidexおよびCrestorの売上高は良好な伸びを示し、14億4,10 0万ドルに達しました。20 06年および2005年の売上高からToprol-XLの売上を控除した調整後の売上高の伸び率は11%でした。

現在では米国以外からの収益が売上高全体の53%を占めます。欧州での年間売上高は6%増加し、販売量は順調な伸びを示しましたが、価格引き下げの影響を受けました。主力5製品の売上高は全体で21%増となりました。しかしながらドイツでは、後発薬の処方が奨励されており、売上が伸び悩みました。

日本での売上高は、CasodexとArimidexの好調な業績を反映し、さらにCrestorの上市により5%増加しました。中国での売上高は、主要治療領域の中でも特にがん領域製品の堅調な売上増により19%の増加となりました。

営業利益および留保利益

営業利益率は27.2%から31.0%に3.8ポイント増加しました。為替差益等の影響を控除すると、2006年の営業利益率は実質2.9ポイントの改善となりました。

売上総利益率は1.4ポイント増の79.0%でした。Merck社に対する支払比率が若干低下したことにより(対売上比4.7%)、売上総利益率に0.1ポイントのプラス影響が出た一方、為替変動とロイヤルティの支払が売上総利益率を0.3ポイ ント 引 き 下 げ る 要 因 と な り まし た 。MedPointe社との米国におけるZomig販売契約の中途解除に伴う前期の費用と製造引当金のほか、Toprol-XL、NXY-059および製造効率化に関連して繰り入れた当期引当金を控除すると、売上総利益率は実質1.5ポイントの改善となりました。

研究開発費は16%増加し、売上高に対する比率は14.7%で、0.6ポイント上昇しました。販売・一般管理費の増加は前期比5%増にとどまり、これにより営業利益率は2.0ポイント増加しました。

営業外損益については、主としてロイヤルティの支払額が増加したほか、米国とスカンジナビア諸国で非主要製品の権利を売却したことにより前年に比べて増加し、これにより営業利益率は1.1ポイント増加しました。

正味利息・配当収入の2005年からの増加は、主に平均投資残高と利回りが昨年を上回ったことによります。

実効税率は12カ月累計29.0%(前年は29.1%)でした。この前年からの税率の低下は、主に利益の地域分散、株式報酬に関連する税額控除および税額控除の繰り越しに対する繰延税金資産の認識によって生じた減税額から、主に国際移転価格問題に関連する税金引当金の増加額を減じた差額によるものです。

1株当たり利益は、2005年の2.91ドルから本年は34%増の3.86ドルとなりました。当社の概算では、(将来の受取利息を考慮後の)株式買い戻し制度による1株当たり利益の上昇は6セント、また、1株当たり利益に対するToprol-XLの貢献度は50セントでした。Toprol-XLを除外した1株当たり利益の増加率は36%となります。

財務状況(キャッシュフローおよび流動性を含む)

当社の資産の純簿価は136億9,100万ドルから154億1,600万ドルに増加しました。純利益から株式買い戻しプログラムにより41億4,700万ドル、配当金として22億1,700万ドルを分配しました。株式発行費用は総額9億8,500万ドルでした。

設備等の増設および為替差損益(合計15億1,100万ドル)が、減価償却費と設備等の減損(10億300万ドル)ならびに処分費用を上回ったことにより、有形固定資 産の純簿価が 4億6,800万ドル増加しました。営業権と無形固定資産の大幅な増加は、主に当社のアウトソーシング・プログラムの拡大によるもので、これについては以下において詳しく説明します。棚卸資産は、継続的な在庫水準の削減努力により7%余り減少しました。受取債権は、為替変動の影響のほか、米国と英国で売掛金が増加したことにより7億8,300万ドル増加しました。買掛金および引当金は実質的に4億9,900万ドルの増加となりましたが、これは主として(Merck社からの購入量の増加に伴う)米国での買掛金の増加、米国における非主要製品の権利の売却による繰延所得、ならびに為替変動の影響によるものです。

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

キャッシュフロー当社は高収益をあげる企業であり続けます。28頁に記載した様々な要因に左右されるものの、当社の現金資産は現在必要とする用途には充分であり、当社の既存の資本計画、自社株の買い戻し、新製品の上市にとって充分な現預金があると考えています。また、2008年に実現するかもしれないMerck社の利権の買収についても充分であると考えています。

本年の営業活動によるキャッシュフローは20 05年から9 億5,0 0 0万ドル増加し、76億9,300万ドルとなりました。税引前利益は18億7,600万ドル増加しましたが、その一方で必要な運転資本が2億2,400万ドル増加し、支払税額も5億6,300万ドル増加しました。

投資活動による年間累計現金支出は前年の11億8,200万ドルに対して2億7,200万ドルでした。長期預金と当座資金間の資金移動を除いた投資活動からの実質的なキャッシュフローは、前年の6億9,100万ドルに対して本年は13億9,200万ドルのアウトフローとなりました。この増加は、Cambridge Antibody Technology社やKuDOS Pharmaceuticals社の買収など、新たな共同研究開発プロジェクトに伴う無形資産の取得によるものです。

本年のフリーキャッシュフローは前年の60億5,200万ドルに対して67億8,800万ドルでした。株主への還元は53億8,200万ドルで、内訳は正味株式買い戻し額31億6,200万ドル、株主に対する配当金22億2,000万ドル、(入金を差し引いた)買収による正味支出額11億4,800万ドルでした。その結果、正味資金は全体で11億3,500万ドル増加しました。

投資、投資資産の売却および資本支出当社では社内の創薬研究開発活動への投資を持続するとともに、社外のビジネスチャンスを獲得することにより当社の製品パイプラインを強化するべく努力を重ねており、その結果、2件の大型買収を成立させたほか、複数の大型ライセンス契約と重要な共同研究開発契約を結ぶことができました。

当社は本年、KuDOS Pharmaceuticals社(2億600万ドルを投じ、複数のがん治療薬に関する権利を取得)、Cambridge Antibody Technolo-gy社(11億1,600万ドルを投じ、生物製剤パイプラインの確立に向けた基盤を構築)の2社の買収を実施しました。その後、Cambridge Antibody Technology社の買収により取得したHumiraTMのライセンス権から生じる非主要製品に関する無形資産については、6億6,100万ドルで売却しました。

これらの買収を補完するものとして、重要な大型ライセンス契約と共同研究開発契約を締結しました。例えば、AtheroGenics社(冠動脈疾患の患者さんを対象とした画期的な抗アテローム性動脈硬化剤)、Protherics社(抗敗血症薬)、Targacept社(認知障害向けニューロン系

部分的ニコチン作動薬)、Pozen社(エソメプラゾールとナプロキセン配合薬の開発・商品化)の各社と締結した4つの大型契約が挙げられます。このほか、Schering AG、Array、Kinacia、Dynavax、Cubist、Argentaの各社とも契約を締結し、約7,000万ドルの無形資産を計上しています。さらに、当社のCrestorとAbbott社のフェノフィブレートを配合した単一ピル・一定用量製品の共同開発と共同販売促進に関してAbbott社と取り決めを結んでいます。これらの契約にはいずれも調印時の頭金や前払金に加えて、特定の開発目標や販売目標に応じた追加的な支払に関する規定が含まれています。ま た 、2 0 0 6 年 6 月 に は 米 国 に お い てAbraxane®に関する共同販売促進契約を締結し、調印時の前払金2億ドルを無形資産として計上しており、この業務提携から現在までに1,800万ドルの収益を得ています。

当社は期末後に、Bristol-Myers Squibb Com-pany(BMS)およびPalatin Technologies Inc.の各社と2つの共同研究開発契約を締結しました。BMS社との提携は、2型糖尿病治療薬として試験中の2種類の治験薬の開発・商品化に関するもので、一方、Palatin社との提携では、肥満症、糖尿病およびメタボリックシンドローム向け治療薬の探索研究・商品化を目指しています。このほか、抗ウイルス治療薬の探索 研 究・開 発 に重 点 的 に 取り組 んで いるArrow Therapeutics Ltd.の全株式を買収する契約を締結しています。

株総数および株主利益率

取締役会は今後も引き続き収益に応じて配当金を増額(配当倍率を2~3倍の範囲に維持)しながら、株式の買い戻しによりキャッシュフローのバランスを調整する予定です。取締役会は、フリーキャッシュフローがまず必要とされるのは業務上のニーズであると確信しており、従来通り、株主の皆様には余剰金を返還する予定です。取締役会では本年は40億ドルの株式の買い戻しを予定していますが、この金額は、新株の発行により潤沢な資金が確保されれば増額される可能性があります。

2006年には総額41億4,700万ドルを費やして7,220万株を買い戻し消却しました。株式買い戻しプログラムが1999年に開始されてからこれまでに買い戻された総株式数は2億8,280万株(合併後当初の当社株式資本の15.9%)で、累計133億1,900万ドルが支払われました。2006年12月31日現在の発行済株式総数は15億3,200万株です。

当社は2006年3月20日に2005年第2回目の中間配当として0.92ドルを支払い、2006年9月18日に同年第1回目の中間配当を行い、普通株式1株当たり0.49ドルを支払いました。また、同年第2回中間配当については普通株式1株当たり1.23ドルの配当を発表済みです。

ファイナンシャルレビュー(要旨)(続き)

地域別売上高 2006年 2005年 伸び率 百万ドル 百万ドル %

米国 12,449 10,771 16欧州 8,903 8,463 6日本 1,503 1,527 5その他 3,620 3,189 11合計 26,475 23,950 11

株主への還元(まとめ) 株式の 1株当たり 株主への 買い戻し 費用 配当 配当総額 還元総額 (百万株) 百万ドル ドル 百万ドル 百万ドル

1999 4.4 183 0.700 1,242 1,4252000 9.4 352 0.700 1,236 1,5882001 23.5 1,080 0.700 1,225 2,3052002 28.3 1,190 0.700 1,206 2,3962003 27.2 1,154 0.795 1,350 2,5042004 50.1 2,212 0.940 1,555 3,7672005 67.7 3,001 1.300 2,068 5,0692006 72.2 4,147 1.720 2,649* 6,796*合計 282.8 13,319 7.555 12,531 25,850* 配当総額は2006年12月31日現在の発行済株式数に基づく概算。.

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製品別売上高 2006年 2005年 伸び率 がん 百万ドル 百万ドル %

Arimidex 1,508 1,181 29Casodex 1,206 1,123 9Zoladex 1,008 1,004 1Iressa 237 273 (11)Faslodex 186 140 32Nolvadex 89 114 (19)その他 28 10 180合計 4,262 3,845 12

循環器Crestor 2,028 1,268 59Seloken/Toprol-XL 1,795 1,735 3Atacand 1,110 974 14Tenormin 320 352 (7)Zestril 307 332 (7)Plendil 275 360 (24)その他 283 311 (9)合計 6,118 5,332 15

消化器 Nexium 5,182 4,633 12Losec/Prilosec 1,371 1,652 (16)その他 78 70 11合計 6,631 6,355 4

感染症Merrem 604 505 19その他 73 102 (28)合計 677 607 11

ニューロサイエンスSeroquel 3,416 2,761 24Zomig 398 352 13Diprivan 304 369 (17)局所麻酔剤 529 511 5その他 57 66 (12)合計 4,704 4,059 16

呼吸器・炎症Pulmicort 1,292 1,162 11Symbicort 1,184 1,006 18Rhinocort 360 387 (7)Oxis 88 91 (3)Accolate 81 72 13その他 146 155 (6)合計 3,151 2,873 10

今後の見通し

過去3年間にわたる堅調な財務実績は、主力製品の良好な売上増と厳しい費用管理の賜物です。当社をはじめとする製薬業界全体が特許切れへの対応に追われ、政府や民間保険会社から薬価引き下げの圧力を受けて厳しい局面を迎えている現在のような時期において、当社では競争力のある財務実績を維持できるよう今後も堅実な経営に努めます。社内の創薬研究開発の生産性の向上を図るとともに、社外のビジネスチャンスの獲得に向けて継続的に取り組むことにより製品パイプラインを強化することが、今後も当社の最優先事項となります。同時に、これからも当社事業のあらゆる要素において挑戦し続けることにより、長期的な成長の持続を可能とする新製品パイプラインの確立に必要な資金を活用できるようにします。

これに併せて、生産性の向上を図る新たな施策を採用しており、グローバルサプライチェーンの資産活用改善プログラムを発表しました。今後3年間に、当社は生産資産を合理化する計画であり、会計上約5億ドルの引当金(このうち約3億ドルは現金資金)を計上するほか、約3,000名の人員削減を進める予定です。

「はじめに」の部分に記載した様々な要因に左右されますが、2007年は主力製品群の持続的な成長に牽引され、売上高は恒常為替レートベースで1桁台後半の伸び率になると予想されます。厳格な費用管理により、2桁台の1株当たり利益の増加を実現しながら、研究開発部門への投資を大幅に拡大できるようにします。なお、上述した今後の予測では米国におけるToprol-XLの売上と貢献の影響を除外しています。

米国企業改革法(SARbANES- OxLEy ACT)第404条

当社は、米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)第404条に基づき、財務報告に対する内部統制の有効性について報告することを義務づけられており、2006年12月31日に終了した年度について、財務報告に対する当社の内部統制が有効であることを評価済みです。当社の評価内容についてKPMG Audit plcの監査を受け、同監査法人より無限定の適正意見に基づく監査報告書が作成されています。

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

取締役会

Louis schweitzer (64)非常勤会長、取締役指名委員会会長2004年3月11日付で当社取締役に任命。2005年4月よりRenault SAの非常勤会長。1992年から2005年までRenault SAの会長兼最高経営責任者。2002年から2005年までRenault-Nissan BV取締役会会長。Renault SAで1988年から1992年まで最高財務責任者兼エグゼクティブ・バイスプレジデント、1990年から1992年まで社長兼最高執行責任者。BNP-Paribas、Electricité de France、Veolia Environment、Volvo AB、L'Oréalの非常勤取締役。Supervisory Board of Philips Electronics NVの副委員長。

DaviD r Brennan (53)取締役兼最高経営責任者2005年3月14日付で当社取締役、2006年1月1日付で最高経営責任者に任命。Pharmaceutical Research and Manufacturers of America(PhRMA)の理事。European Federation for Pharmaceutical Industies and Associations(EFPIA)の理事。2001年から2005年までAstraZeneca PLCの北米担当エグゼクティブ・バイスプレジデント。2004年から2006年までAmerican Heart Associationの南東部支部長。

Jonathan symonDs cBe (47) 取締役兼最高財務責任者1997年10月1日付で取締役に任命。戦略計画およびビジネス・ディベロップメント、情報サービス、グローバル調達全般の責任者。Diageo plc.の非常勤取締役。UK Accounting Standards Boardの元会員(2003年8月~2006年8月)。Business Tax Forumの共同会長。Advisory Board of Oxford University Centre for Business Taxationの委員。

marcus waLLenBerg (50) 非常勤取締役、監査委員会委員1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元取締役(1989年5月18日付で任命)。2005年12月31日付で当社の監査委員会委員を辞任。Skandinaviska Enskilda Banken ABの会長、Saab ABの会長。Telefonaktiebolaget LM Ericssonの副会長。Electrolux AB、Stora Enso OyjおよびKnut and Alice Wallenberg Foundationの非常勤取締役を兼務。International Chamber of Commerce(ICC)の会長。

erna möLLer (66)非常勤取締役、報酬委員会および科学委員会の委員1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元取締役(1995年5月15日付で任命)。Knut and Alice Wallenberg Foundationの取締役。Clinical Immunologyの教授およびKarolinska Institu-teのNobel Assemblyの副委員長。Royal Swedish Academy of Engineering Sciences、Royal Swedish Academy of Scienceの会員。

John varLey (50)非常勤取締役、報酬委員会委員2006年7月26日付で当社取締役に任命。1998年よりBarclays Bank plcおよびBarclay plcの取締役、2004年よりグループ最高経営責任者。20 01年よりA scot Authority Holdingsの取締役。Employers' Forum on Disabilityの議長、International Advisory Panel of the Monetary Authority of Singaporeの委員。St. Dunstan'sの財務担当役員兼理事、Thornton Smith Plevins Young People's Trustの理事ならびにBusiness Action on Homelessnessの会長。

John Buchanan (63)非常勤取締役、監査委員会会長および報酬委員会委員を兼務 2002年4月25日付で当社取締役に任命。1996年から2002年までBP p.l.c.の取締役およびグループ最高財務責任者。1997年から2001年までUK Accounting Standards Boardの会員。BHP Billiton Plcのシニア独立取締役。Vodafone Group Plcの会長代理。Smith & Nephew plcの会長。

Joe Jimenez (47)非常勤取締役、報酬委員会および取締役指名委員会委員2003年7月1日付で当社取締役に任命。H J Heinz Com-pany副社長および2002年から2006年までHeinz Europeの社長兼最高経営責任者。1998年から2002年までHeinz North Americaのコーポレート・バイスプレジデント、シニア・バイスプレジデント、社長を歴任。Blue Nile, Inc.の非常勤取締役。

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John Patterson FrcP (58)開発担当取締役2005年1月1日付で当社取締役に任命。Royal College of Physiciansの会員。British Pharma Groupの取締役、Cobham plcの非常勤取締役。2001年から2004年までAmersham plcの非常勤取締役。2002年から2004年までAssociation of the British Pharmaceutical Industryの会長。1990年から1994年までSupervisory Board of the UK Medicines Control Agencyの委員。1999年から2004年までAstraZeneca PLCの製品戦略・ライセンシング担当エグゼクティブ・バイスプレジデント。

håkan mogren kBe (62)非常勤副会長、取締役指名委員会委員1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元最高経営責任者兼取締役(1988年5月18日付で任命)。Investor AB、Rémy Cointreau SA、Groupe Danone、Norsk Hydro ASA、Marianne and Marcus Wallenberg Foundationの取締役を兼務。Royal Swedish Academy of Engineering Sciencesの会員。

micheLe hooPer (55) 非常勤取締役、監査委員会委員2003年7月1日付で当社取締役に任命。1998年から1999年までStadtlander Drug Companyの社長兼最高経営責任者。1992年から1998年までInternational Businesses of Caremark International Inc.の副社長と社長を歴任。PPG Industries, Inc.、Warner Music Group, Inc.の非常勤取締役を兼務。

ProFessor Dame nancy rothweLL (51)非常勤取締役、科学委員会委員長2006年4月27日付で当社取締役に任命。企業責任の監督責任者を兼任。University of ManchesterのMRC Research担当教授およびResearch担当副学長。Cancer Research UKおよびCampaign for Medical Progressの理事、Research Defence Societyの会長、Wellcome Trust Public Engagement Strategy Panelの会長を兼務。Biotechnology and Biological Sciences Research Councilの委員。これまでにBritish Neuroscience Associationの会長とMedical Research Councilの委員を歴任。

Jane henney (59) 非常勤取締役、監査委員会、取締役指名委員会、科学委員会の委員2 0 01年9月24日付 で当社取 締 役に任 命。現 在、University of Cincinnati Medical Academic Health Centerの副社長兼Health Affairs長官(2003年4月任命)。これまでに米国National Cancer Instituteの副所長、University of Kansas Medical CenterのHealth担当副総長、米国Food and Drug Administrationのオペレーション担当副コミッショナー、米国Food and Drug AdministrationのFood and Drugs担当コミッショナーを歴任。AmerisourceBergen CorporationおよびCIGNA Cor-porationの非常勤取締役。このほかCommonwealth Fund、China Medical Board、OMERIS、BIO/STARTの委員を兼務。

sir Peter BonFieLD cBe, Freng (62) シニア非常勤取締役、報酬委員会委員長および取締役指名委員会委員を兼任1995年1月1日付で当社取締役に任命。Royal Academy of Engineeringの会員。Telefonaktiebolaget LM Ericsson、Mentor Graphics Corporation、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.、Sony Corporation(日本)、Actis Ca-pital LLPの非常勤取締役。British Quality Foundationの副社長を兼務。Citigroup International Advisory Boardの会員。Sony Corporation Advisory Boardの会員。NXP Supervisory Boardの会長。Corporate Board of the Department for Constitutional Affairsの非常勤取締役。

2006年12月31日現在におけるその他の役員には、4~5頁に掲載のシニア・エグゼクティブ・チームのメンバーが含まれます。

GRAEME MUSKERグループ秘書役兼弁護士1993年6月6日付で当グループ秘書役に任命。

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

取締役会

2006年12月31日現在の取締役についての詳細な情報は、32頁および33頁に記載されています。

取締役会の構成、プロセスおよび責任

取締役会は取締役および非常勤取締役の双方で構成されています。コーポレートガバナンスに関する英国の統合規範とニューヨーク証券取引所のコーポレートガバナンス基準に沿って、取締役会では取締役メンバーの大多数が独立した非常勤取締役です。

取締役全員が会社の成功に対して共通の責任を負っていますが、常勤取締役が事業の運営に直接的な責任を負っているのに対し、非常勤取締役は独立した立場から、取締役会の決定に客観的な判断を加味する責任を負っています。これには経営陣に対する建設的な批判や会社の戦略策定への支援が含まれます。非常勤取締役は経営の内容を詳細に検討し、財務情報の健全性、内部管理、リスクマネジメントなどに関する様々な責任を負っています。常勤取締役に加え、シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)のメンバーが交代で定例的に取締役会に出席することで、取締役会における経営陣の存在感を増し、維持するように努めています。取締役会が終了すると、その都度、非常勤取締役による会議が開かれ、常勤取締役はこれには出席しません。

新規取締役の取締役会への任命については、取締役指名委員会によって運営される手順が確立しており、客観的な基準に照らして評価した候補者の実績に基づいて任命されます。すべての取締役は年次株主総会の都度退任し、株主の皆様による再任に臨むことができます。取締役会では上級の役職への後継の状況を取締役会のレベルも含めて年に一度見直し、後任候補と定期的に連絡を取っています。

取締役会では、会社の戦略と方針を決定し、その目標の達成に向けた進展を監視します。このため、毎年正式に戦略の見直しを行うほか、当社の株主の皆様その他に対する取締役会の義務が理解され達成されているかについての評価も行います。これには、当社の財務実績や重要な業務上の問題に対する定期的な審議が含まれます。

2006年12月の取締役会では、2006年第4四半期に会長が各非常勤取締役とそれぞれの業績、ならびに取締役会全体の業績について個別に話し合った内容に関して、会長から報告がありました。最高経営責任者(CEO)と他の常勤取締役が退席し、非常勤取締役がこれらの取締役の業績について審議しました。さらに、会長が退席し、シニア独立取締役が議長を務め、その同じ12月の取締役会で会長の業績について審議しました。

当社では2006年の通年にわたり取締役・役員賠償責任保険に加入していました。2006年初めには取締役会の各メンバーのために損害保険に加入しました。定款第134条に基づき、現在の取締役と役員は1985年会社法に従ってすでに保護されていますが、最近の同法の改正に伴い、質の高い有能な人材を確保するため、現在の市場では企業が各取締役のために損害保険に別途加入するのが一般的になっています。本書の発行日現在、これらの損害保険は有効に存続しており、各取締役が当社またはその子会社の取締役として各自の権限を行使し、各自の責務と責任を果たすことから生じる一切の損害について、当社は法令と当社定款により認められる範囲内で取締役を免責することが規定されています。

2006年には6回の定例取締役会と1回の臨時取締役会が開催されました。このうち5回はロンドンで、1回はセーデルテリエで行われ、残り1回はテレビ会議でした。

取締役の交代昨年報告しましたように2006年1月1日付で、David BrennanがCEOに任命されました。

非常勤取締役のDame Bridget Ogilvieは、2006年4月27日に開催された年次株主総会で取締役会から退任しました。同氏は9年にわたり当社の非常勤取締役として勤務し、取締役会の様々な委員会の委員を歴任してきました。ごく最近では監査委員会と科学委員会の委員を務めていました。

Professor Dame Nancy RothwellおよびJohn Varleyは、それぞれ2006年4月27日付と2006年7月26日付で非常勤取締役に任命されました。

取締役の選挙および再選挙

定款第65条に基づき、2007年4月の年次株主総会ですべての取締役は退任します。年次株主総会の案内状にて新任および再任に臨む取締役立候補者について詳細をお知らせします。Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの両名は、2007年の年次株主総会で当社取締役を退任する予定です。

取締役会の各委員会

現在の監査委員会の委員は次の通りです。John Buchanan(委員長)、Jane HenneyおよびMichele Hooper。Dame Bridget Ogilvieも2006年4月27日付で当社取締役を退任するまで本委員会の貴重なメンバーでした。

現在の報酬委員会の委員は次の通りです。Sir Peter Bonfield(委員長)、John Buchanan、Joe Jiminez、Erna Möllerおよび(2006年7月26日より)John Varley。なお、Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの両名は、2007年の年次株主総会で退任する予定であり、Bonfield卿が務めていた委員長の役割はJohn Varleyが引き継ぐ予定です。

現在の指名委員会の委員は次の通りです。Louis Schweitzer(委員長)、Håkan Mogren、Sir Peter Bonfield、Jane HenneyおよびJoe Jimenez。

現在の科学委員会の委員は次の通りです。Jane Henney、Erna Möller、Dame Nancy Rothwell(2006年のDame Bridget Ogilvieの退任後、委員長に就任)(以上のメンバーは全員非常勤取締役)、Jan Lundberg、John Pat-tersonおよびChristopher Reilly。

コーポレートガバナンス(要旨)

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コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスに関する英国の統合規範取締役会では、2003年7月に英国の財務報告審議会によって発行され、2006年6月に改正されたコーポレートガバナンスに関する英国の統合規範と関連ガイダンスに準拠して本報告書を作成しました。

当社は統合規範に定められた優良なガバナンスに関する基本的な規範および補助的な規範をすべて適用しており、統合規範のすべての規定を遵守しています。

内部管理とリスクマネジメント取締役会は当社の内部管理システムに対し全面的な責任を負っています。内部管理は、株主の皆様の投資と当社の資産を守ることが目的であり、それにより、会計の適正な記録を維持し、事業や発表で使う財務情報が正確かつ信頼できるものであり、またそれが会社の状況と業績を公正に示すことを確実にします。取締役はまた、内部管理システムの有効性を見直す責任も負っています。このシステムは、事業の効率的な運営と法律および規制の遵守を合理的に保証するものです(必ずしも絶対的な保証を与えるものではありません)。詳細については、下記の2002年米国企業改革法に関する説明個所をご覧ください。

ターンブル報告書に定められたガイダンス1999年9月にイングランド・ウェールズ勅許会計士協会によりターンブル報告書「内部統制:統合規範に関する取締役のためのガイダンス」が公表されたことに伴い、取締役は、グループの管理システムの有効性、リスクマネジメント、そして当社の高次の内部統制機構の見直しに継続的に取り組んでいます。これらの見直しには、内部統制の評価、特に経営陣が統制の維持を保証することによって裏づけられた財務面の内部統制の評価のほか、法定監査業務の過程で明らかになった諸事項に関するグループ内部監査部門および外部監査人からの報告が含まれます。

こうした見直しの土台となっているのは、毎年実施される「保証確認書」のプロセスであり、責任者はこのプロセスにより、財務面および非財務面の内部統制システムの妥当性とそれらのシステムが当社のポリシーと関連法令・規則(製薬業界の規制要件を含みます)に適合していることを確認するとともに、何らかの統制上の不備があれば当社の継続的な保証プロセスを通じて報告済みであることを確認しています。

したがって取締役は、当社は社内に組み込まれた有効な内部統制システムを維持しており、ターンブル報告書のガイダンスを遵守していると確信しています。

グループのリスクと管理に関する方針/リスク諮問グループ当社では、Group Risk & Control Policy(グループのリスクと管理に関する方針)とそれを支える基準を取締役会で採用することによって、すべての業務の重要な要素としてビジネスリスクの管理を確認し様式化することを目指してきました。

ライン部門の管理については、専門のリスクマネジメント・チームがサポートしており、重要なリスクを特定し、適宜、関連部署へ伝達するよう徹底化を図っています。このチームの成果は、各事業領域を代表する上級管理職社員で構成されるリスク諮問グループ(RAG)によって評価されます。RAGは、新たに出現するリスクはもとより組織内の複数の部門に横断的に影響するリスクについて検討するだけでなく、ベストプラクティスを組織全体で共有することによりリスク管理の継続的な改善を促進するうえでも重要な役割を担っています。RAGの議長は最高財務責任者が務め、年2回、シニア・エグゼクティブ・チームに報告します。当社のリスクプロファイルに関するRAGの報告書は、監査委員会と取締役会の両方によって評価されます。

2002年米国企業改革法(SARbANES-OxLEy ACT)アストラゼネカPLCのADS(米国預託株式)はニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されており、したがって当社は外資系企業に適用される米証券取引委員会(SEC)の報告その他の要請に従っています。米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)は2002年7月末に施行されました。当社はニューヨーク証券取引所に上場しているため、外資系企業に適用される同法の条項に従う必要があります。同法第404条により、企業は財務報告の内部統制を確立する経営陣の責任について記載した経営陣による報告書を、米証券取引委員会に提出する年次報告書に含め、かかる内部統制の有効性を毎年評価することを義務づけられています。さらに、外部監査人が経営陣の評価について証明し、報告しなければなりません。大規模早期登録会社(large accelerated filer)に該当する外資系企業であるアストラゼネカは、まず、2006年12月31日に終了する会計年度に関して第404条を遵守する必要があります。

当社は外資系上場企業に適用される上述の条項をすでに遵守しています。取締役会では、同法が施行される以前に、当社がすでに健全なコーポレートガバナンスの枠組み、財務状況および業績に関する正確で時宜を得た適切な報告プロセス、また効果的で堅固な内部統制システムを確立できていたと考えています。このため、当社は、主として既存のコーポレートガ

バナンスの枠組みおよび報告、内部統制、その他の関連事項にまつわるプロセスを発展・調整させることで同法を遵守しました。

財務報告の内部統制の有効性に関する取締役会による評価については、31頁のファイナンシャルレビュー(要旨)に記載しています。

ニューヨーク証券取引所(NySE)当社は、NYSEでADSが取引されている外資系上場企業として、米国企業がNYSE上場基準に基づき遵守を義務づけられるコーポレートガバナンスの慣行について見直しを行っており、当社の慣行は全般的にそれらの基準に合致しています。

行動規範

当社は、すべての子会社およびその社員が、高潔さと誠実さという最高の倫理基準に従い、充分なスキル、配慮、勤勉さ、公平さをもって業務の遂行にあたることを要求し、これを方針としています。当社の経営陣は、業務全体を通して当社のCode of Conduct(行動規範)に定めた基準を強化するよう努めており、特にすべての社員に対して、Code of Conductの文書およびその精神、またその補足として当社が定める高い倫理基準を遵守するよう求めています。Code of Conductは当社のウェブサイト (astrazeneca.com)でご覧いただけます。

最高経営責任者、シニア・エグゼクティブ・チームおよび権限の委任

最高経営責任者(CEO)は、取締役会から付与された権限に基づき、特段に取締役会に留保されている諸事項を除く一切の経営事項に関して、長期的な株主価値を高めるという第一の目標の実現に向け、収益性を高める方向に沿って当社を経営し、発展させる責任を負っています。

CEOは、会社の方針、留保権限、日常的な報告要件の枠組みの中で、会社の事業の経営と業績について、取締役会に対して責任を負っています。CEOは特定の重要事項については取締役会に決裁を仰ぐ義務があります。取締役会、取締役会委員会、会長、CEO、シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)の役割と、会社の権限の委任先、留保権限、事業の運営方法、業務機能の役割はすべて文書に記述されています。

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

CEOはまた、SETを設置し、その議長を務めています。CEOは取締役会から付与された権限に伴う責任を完全に留保しつつ、SETの機構を通じて、当社の事業(Aptium OncologyとAstra Techを含む)に関わる権限を行使しています。SETのメンバーは4~5頁に掲載の通りです。SETは、通常、月1回会議を行い、重要な業務上の問題について検討し決定するほか、通例、取締役会の注意を要する、あるいは取締役会に委ねるべき規模や重要性を有する事項についても、取締役会の審議・決定に向けて提出する前にそれらの事項について検討します。

情報開示ポリシーおよび開示委員会

当社では、株主や投資家の皆様が関心を持たれる内部情報等の取り扱いと開示の枠組みを定めた情報開示ポリシーを適用しています。また、このポリシーには開示委員会の役割も規定されています。開示委員会は最高財務責任者が委員長を務め、定期的に会議を開いて、CEOが内部情報とその開示について決定を下せるよう手助けし、決定内容を伝達します。

監査人への情報開示

各取締役の知る限り、当社監査人が認識していない重要な監査情報は存在しないこと、ならびに各取締役が重要な監査情報を入手し、当社監査人がその情報について知っているよう確実にするため、取締役として実行すべきすべての措置を講じていることが、2006年取締役報告書承認日現在の在任取締役により確認されています。

株式資本の変動

2006年における当社普通株式資本の変動は、以下の表に掲載の通りです。

株主への還元

当社が明言している配当ポリシーには、定期的な配当金と株式買い戻しの要素が含まれ、株主の皆様に利益を還元すると同時に、長期的な資本構成の管理をより効果的に行える柔軟な手段を講じています。

株主の皆様が何を優先されるかはそれぞれ異なることから、取締役会では定期的な配当金と株式買い戻しプログラムを組み合わせることで、全株主グループの利益の均衡を図ることができると確信しています。

取締役会では株主利益に関する戦略の継続的な見直しを行っており、収益に応じて配当を引き上げる一方、1株当たり利益の対配当倍率を少なくとも2倍にするという意図を2006年にも改めて表明しました。

また取締役会では、フリーキャッシュフローがまず必要とされるのは事業への投資であり、そのうえで株主の皆様に余剰金を還元すべきであると確信しています。したがって、取締役会では2007年は株式買い戻しプログラムにより株主の皆様に40億ドルを還元することを予定していますが、社員によるストックオプションの行使に伴う株式発行により2007年中にさらなる余剰資金が生じた場合は、こうした追加資金により株式買い戻しプログラムを拡大することについて取締役会で検討する予定です。

2006年には、普通株式7,220万株(額面0.25ドル)を総額41億ドルで買い戻し、消却しました。一方、2006年には総額10億ドルの社員ストックオプションに関連して2,350万株が発行されました。したがって2006年に買い戻された正味株式数は4,870万株で、これは2006年1月1日現在の当社の発行株式総数の3.1%に相当します。

1999年の買い戻しプログラム開始以来、買い戻し消却された普通株式の総数は2億8,280万株、総額133億ドルとなります。この株式数は、1999年に買い戻しプログラムが開始された当時の当社発行株式総数の約15.9%に相当します(30頁の表参照)。

当社は英国の法律ならびに英監督当局(FSA)の上場規定、情報開示規定および目論見書に関する規定を確実に遵守するため、自社株買い戻しプログラムのすべての面に関して厳しい管理を維持していきます。特に当社の開示委員会は当社が禁止期間中に自社株を買い戻さないことを徹底させています。当社は、2007年の年次株主総会で、自社株の買い戻しについて、株主の皆様に新たに承諾を求める予定です。

債権者への支払に関するポリシー英国産業連盟(CBI)のサプライヤーへの迅速な支払に関する規約の遵守は、当社のポリシーに正式に明記されていませんが、当社では取引条件について取り決める際にその都度すべてのサプライヤーと適切な支払条件について合意するポリシーに従っており、サプライヤーに対する支払条件の周知徹底を図り、取引条件が遵守された場合には必ず支払条件を守っています。AstraZeneca PLCの子会社における貸借対照表日付現在の債権者に対する未払総額は、74日間の平均仕入額に相当します。

年次株主総会

当社の2007年の年次株主総会は2007年4月26日木曜日に開かれます。主要会場はロンドンです。ストックホルムにサテライト会場が用意されます。

外部監査人

2007年の年次株主総会で、当社の監査人としてKPMG Audit Plc(ロンドン)を再任する議案を提出する予定です。

取締役会を代表してG H R MUSkERグループ秘書役兼弁護士2007年2月1日

株式数 (百万株) 百万ドル

2006年1月1日現在 1,581 395株式の発行 23 6株式の買い戻し (72) (18)2006年12月31日現在 1,532 383

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この取締役報酬報告書(要旨)は、Directors' Remuneration Report Regulations 2002 (2002年取締役報酬報告書規定)に従って作成 されています。同 規 定の 要 件 に 従 い、2007年4月26日木曜日に開催される年次株主総会で、取締役報酬報告書の承認を求める議案を提出する予定です。

報酬委員会は、Sir Peter Bonfield(委員長)、John Buchanan、Joe Jimenez、Erna Möllerおよび(2006年7月26日より)John Varleyの5名で、委員は全員が非常勤取締役で構成されています。Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの両名は2007年の年次株主総会で取締役の再任 候 補 に 名 を 連 ね な い 意 向 で あ り 、Bonfield卿が務めていた委員長の役割はJohn Varleyが引き継ぐ予定です。

全体的な報酬のポリシーおよび目的

報酬委員会は取締役の報酬水準を決定するにあたり、以下のような全社員に関するポリシー、実践方法、その他の要因について検討します。

当社はダイナミックな成果主義の文化を維持することに努めています。成果主義の文化とは、各社員が当社の目標を明確に理解するとともに、各自の業務がその目標に及ぼす影響を理解し、高いレベルの成果を達成することで報酬を得るものです。こうした背景の下で、取締役およびその他のシニア・エグゼクティブ・チーム(SET)メンバーの個別の報酬が取締役会と報酬委員会の審議において検討されます。

取締役会では、今期の取締役会のアプローチに沿って、当社の今後の全体的な報酬のポリシーおよび目的を次のようにすることを確認しています。

世界でベストの製薬企業の1社としてのポジションを持続できるように、優秀な人材を引きつけ定着させます。社員が株主利益の持続的な向上に必要なレベルの成果を達成できるよう環境を整えます。

これを達成するための報酬ポリシーおよび実践方法は、次の通りです。

個人とチームの報酬を各レベルで業務の成果に合わせる。社員の能力が最大限に発揮できるよう奨励する。社員が自らの利益と株主の皆様の利益を結び付けて考えるよう奨励する。短期および長期的に社員を通じて業務上の成果を達成し、優れた成果を評価するマネージャーの責任をサポートする。現実的かつ有益であるために地域を重視し柔軟性を持つ。市場ニーズに応じて現実的で有益であるよう社内で一貫性を持つ。

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各雇用市場で競争力と高いコスト対効果を持つ。

報酬パッケージの内容のコストおよび価値は、包括的に考慮され、下記の通り設計されています。

短期および長期的な目標と連動して、業務に関する内容の固定と変動部分の適切なバランスを確実にとる。市場の競争力を反映させる。

エグゼクティブ・ディレクターの報酬

2006年のエグゼクティブ・ディレクターに関する個別の項目は次の通りです。

年収―各エグゼクティブ・ディレクターの実際の給与は、取締役会を代表する報酬委員会によって決定され、英ポンドで設定されます。全エグゼクティブ・ディレクターの報酬条件は、以下に記載するDavid Brennanの年金(健康保険を含む)に関する取り決めを除き、英国の基準に則っています。

2007年に向けて見直しを行ったエグゼクティブ・ディレクターの年収は次の通りです。

David Brennan 94万ポンド(2006年より8.05%増)John Patterson 50万4,692ポンド (2006年より3.50%増)Jonathan Symonds 60万ポンド(2006年より8.15%増)

短期ボーナス最高経営責任者は、下記の基準に照らして評価した業績に基づく年次ボーナスを受け取る資格があり、このボーナスは年収の0~180%の範囲で支払われ、目標業績を達成した場合は年収の90%が支給可能でした。本ボーナスは年金受給の対象とはなりません。2006年のDavid Brennanのボーナスは104万9,220ポンド(年収の120.6%)でした。2007年のボーナスも同様の範囲となります。最高財務責任者および開発担当エグゼクティブ・ディレクターは、下記の基準に照らして評価した業績に基づく年次ボーナスをそれぞれ受け取る資格があり、このボーナスは年収の0~150%の範囲で支払われ、目標業績を達成した場合は年収の75%が支給可能でした。本ボーナスは年金受給の対象とはなりません。2006年のJonathan Symondsのボーナスは56万6,936ポンド(年収の102. 2%)、John Pattersonのボーナスは48万9,124ポンド(年収の100.3%)でした。2007年の両氏のボー ナスも 同 様 の 範 囲 となりま す。

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エグゼクティブ・ディレクター(およびその他のSETメンバー)の年次ボーナスを査定する際の業績評価基準は、次の通りです。

50%は、1株当たり利益を基準とする。25%は、個人の特定の担当領域の査定(または、最高経営責任者の場合は他の各SETメンバーの成果の平均)に基づいて決定する。25%は、業務実績の質に対応した質的量的バランスに基づいて決定する(以下の「業績目標と業績評価」において説明します)。

SETメンバーについては、確定したボーナスの一部を3年間にわたって支払を繰り延べる規定があり、繰り延べられる現在の割合は、エグゼクティブ・ディレクターの場合はボーナス(税込み)の3分の1、他のSETメンバーの場合は6分の1となっています。

長期報奨金エグゼクティブ・ディレクターはまた、数年間にわたって当社の株価が上昇した場合には、アストラゼネカ・ストックオプション・プランに基づきストックオプションの付与を受けることができます。上記オプションの付与は報酬委員会によって判断されます。同様に、報酬委員会は、適用する業績目標と、オプションの付与や行使にその業績目標を適用すべきかどうかについて判断を行います。さらに2006年にはエグゼクティブ・ディレクター(およびその他のSETメンバー)は、後述するアストラゼネカ業績連動ストック・プランの参加資格を有していました。

年収同等額の株式を保有し、アストラゼネカ・ストックオプション・プランに基づき取得した正味株式数については、オプション行使後少なくとも6カ月間保有することが予想されています。当社の柔軟な福利厚生制度に参加することにより、その他の慣習的なベネフィット(車や医療給付など)も受けることができます。 年金に関する取り決めについては以下に記載します。               

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取締役報酬報告書(要旨)

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

業績目標と業績評価

上述した2006年の短期ボーナスに関する重要な要因としては、予測を上回る堅調な財務実績と重要領域における卓越した進歩が挙げられます。1株当たり利益は前年比34%増となり、全世界の売上高は全体で11%増加し、主力製品の売上は23%増加しました。また、営業利益は28%増加し、研究開発部門への投資は16%増加しました(上記データはすべて恒常為替レートベース)。開発パイプラインが強化されたことにより、現在のプロジェクト件数は120(前年は106)を数え、95の新規化合物と25のライフサイクル管理プロジェクトが含まれます。重要なアウトソーシング活動としては、6件の重要なライセンス契約と買収契約を本年中に締結したこと、特にCambridge Antibody Technology Group plc.の買収が挙げられます。製品ライフサイクルの管理面で良好な進歩がみられ、米国や欧州諸国において9件の申請を行い、9件の承認を得ました。例えば、Crestor(アテローム性動脈硬化症)とSeroquel SR(統合失調症)について欧州諸国および米国の両方で申請を行いました。こうした業績は、コスト統制、生産性向上、業績管理に重点を置いて継続的に取り組んできたことが土台になっており、2006年のボーナス査定には以下の事項に関する明確な目標に基づく2006年の全社の業績と関連部門の業績が反映されました。

財務実績研究開発活動の進歩リスクマネジメント経営幹部の能力開発と継承コーポレートガバナンスおよび企業の社会的責任 企業評価

2006年には、当社では戦略目標の達成に重点を置いた活動をさらに強化するため、当社の業績管理の枠組みを見直しました。2007年のボーナス査定には以下の事項に関する明確な目標に基づく全社の業績と関連部門の業績が反映される予定です。

Patients(患者さん)Products(製品)people(人材)performance(業績)

これらの目標の詳細については26~27頁に記載しています。

年金に関する取り決め

最高経営責任者は、旧Astra Merck社員に適用される付帯条項に基づきアストラゼネカ米国確定給付年金に加入しています。本制度の加入者に提供される給付は非課税であり、本制度の所定の方法と米国税法に基づく一定の限

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度を超える確定年金は、補足的な非適格年金により提供されます(英国会計勘定に計上されている英国での勤務に関する確定額)。いずれの制度も通常の年金受給開始年齢は65才です。ただし、下記のすべての条件を満たしている場合は、適格年金では62才以前でも減額なしで早期退職給付を受け取ることができます。

退職時の年齢と勤続年数の合計が85以上である1996年7月1日の時点で年齢と勤続年数の合計が60以上であった非高額所得社員の区分に該当する加入者であった

補足的な非適格年金は高額所得社員に関するものであり、非適格年金でも同様の早期退職条件が適用されます。

退職後に死亡した場合、加入者が退職前に選択していれば残された配偶者や被扶養者に支払われる年金があります。

英国では2006年4月6日から年金税制に関する一部の改正が施行されたことから、報酬委員会は、今回の改正が英国エグゼクティブ・ディレクターの年金制度に及ぼす影響について検討しました。報酬委員会では、将来の年金の代わりに、エグゼクティブ・ディレクター各人の選択に応じて毎年提供され支払われる一時金を支給することを認めていますが、この一時金については、代替的な年金給付全体の経費と整合化が図られています。

開発担当エグゼクティブ・ディレクターは、選択権を有する2006~2007年に関して一時金を受け取るのではなく、当社が基本とする英国の確定給付年金に引き続き加入することを選択しました。本制度では通常の年金受給開始年齢は62才です。しかし、加入者は60才から保険数理による減額なしに確定年金を受け取ることができます。また、早期退職の希望を会社が承諾した場合は57才から、会社の要請により退職した場合は50才から、減額なしで確定年金を受け取ることができます。退職後に死亡した場合、退職後5年間は確定年金の全額の支払が保証されており、その後は残された配偶者や被扶養者がいる場合は、3分の2に減額された金額が支払われます。

最高財務責任者には、開発担当エグゼクティブ・ディレクターに適用される確定給付年金制度と同等の年金の取り決めに基づいて支給されます。この取り決めの構成は、法定所得制限の 適 用に 端 を 発したものです。同 規 定 は2006年4月に施行された英国年金税制改正後に削除されましたが、同等の年金の取り決めは現在も変更されておらず、以下の方法の組み合わせにより年金が支給されます。

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当 社 は 基 本 給 の 2 6 % を 毎 年 支 払う。Jonathan Symondsに関する2006年の当社の年金関連負担額は17万2,000ポンドでした。この金額は、3月までの50%の料率による3カ月分と上記の新しい料率による9カ月分に相当します。上記支給により、英国確定給付年金と同等の給付が提供されない場合は、当社において差額を埋め合わせます。

アストラゼネカ業績連動ストック・プラン

2006年は、アストラゼネカ業績連動ストック・プラン(「本プラン」)の施行から2年目となります。

報奨の付与と確定本プランは、AstraZeneca PLCの普通株式(「株式」)に関して、業績に連動した報奨(「報奨」)として株式を付与することを規定しています(ただし、米国では米国預託株式の形で付与される場合があります)。本プランの規則または報酬委員会の裁量により定められる例外的な場合を除き、報奨の確定は、アストラゼネカグループにおける所定の業績目標と勤続期間を満たすことが条件となります。報奨は年金受給の対象とならず、譲渡することはできません(ただし、本プランの参加者が死亡した場合は除外され、その場合は参加者の遺言執行者や遺産管理人に譲渡できます)。

参加基準報酬委員会は、本プランに基づく報奨を承認し、業績目標など本プランの運用方法に関するポリシーを定め、本プランへの参加を求める社員を決定する責任を負っています。

通例、報奨はいつでも付与できますが、当社の決算期間中は付与できません。昨年報告しましたように、最初の報奨の認定は2005年6月29日に行われました(「2005年報奨」)。2006年の報奨の認定は3月24日および5月19日に行われました(「2006年報奨」)。これらの付与の詳細については、40頁に掲載した表をご覧ください。

業績期間2005年報奨の場合、業績目標の対象期間は2005年1月1日から始まる3年間とされており、2006年報奨に関しては、業績目標の対象期間は2006年1月1日から始まる3年間となります。

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取締役報酬報告書(要旨)(続き)

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業績目標上記のいずれの報奨についても、業績目標は、該当する3年間の当社の株主総利益(TSR)と、選定した製薬企業12社からなる同業他社の同期間のTSRを比較して評価されます。これらの製薬企業は次の通りです。アボット・ラボラトリーズ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、イーライリリー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、メルク、ノバルティス、ファイザー、ロシュ、サノフィ・アベンティス、シェリング・プラウ、ワイス。

TSRとは、該当する業績期間の開始日からその終了日までの期間中、一定数の株式について株価の上昇と配当の再投資の推移を調べ、選定した比較企業各社を当該期間のTSRの実績に基づいてランク付けするものです。当該報奨に基づき付与される株式数は、以下の報奨確定表に従い、業績期間中の当社のTSRランキングにより決定されます。

当社の 報奨に基づき TSRランキング 確定する株式の割合

中位より低い 0% 中位 30%上位25%以内 100%中位から上位25%までの間ランキングに応じて按分した割合

短期変動の影響を軽減するため、該当する業績期間の開始前および終了前3カ月間の各社のTSRを算出して収益性指数を平均化しています。

報酬委員会は、当社のTSRの実績が比較企業上位25%のTSRよりかなり上回っている場合は、報奨により付与される株式にさらに最高25%の株式を上乗せして認定する裁量を有しています。

報酬委員会は、その公正かつ妥当な活動により上記業績目標がもはや適切ではないと信じるに至ったときは、当該事情を考慮のうえ業績目標を変更するか、業績目標の適用をやめることができます。

アストラゼネカ業績連動ストック・プランにおける2006年の業績次頁のグラフは、各報奨について、該当する業績期間の開始日から2006年12月31日までの当社のTSRの実績が、比較企業各社のTSRと比べてどの程度であったか、また、この場合、当社は同業他社との比較において何番目にランキングされるかを表しています。

エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約

各エグゼクティブ・ディレクターの個別の雇用契約については、上掲の表に詳しく記載しています。エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約が解除される場合、状況次第では、当該エグゼクティブ・ディレクターが契約上の通知期間中に受け取るはずであった給与とベネフィットに相当する補償金の支払に加えて、開発担当エグゼクティブ・ディレクターの場合は38頁に記載した減額なしの年金受給資格を提供する責任が当社に生じることがあります。現在のエグゼクティブ・ディレクターに関しては、当社の予想では上記の責任は、1年間の基本給、設定ボーナスおよびその他のベネフィットが算定基礎になると思われます。エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約を解除する場合の当社のポリシーは、契約上の権利を上回るエグゼクティブ・ディレクターに対する責任の負担を回避し、可能な限り最大限度まで責任が軽減されるように取り計らうことにあります。

非常勤取締役の地位

非常勤取締役とは雇用契約を締結しておらず、非常勤取締役には業績に連動したボーナスやストックオプションの付与を受ける資格はありません。また、非常勤取締役のために年金拠出金の払い込みは行われません。非常勤取締役の報酬は、エグゼクティブ・ディレクターで構成される取締役会委員会によって設定されます。

2006年の取締役の報酬2006年12月31日に終了した年度の取締役の役務について支払または計上された報酬総額 (年金拠出金ならびにストックオプションおよび業績連動ストック・プランによる報奨額を除く)は、1,200万ポンド(2,100万ドル)となっています。個別の取締役の報酬は46頁にポンド換算および米ドル換算で記載されています。

株主の総利益

2002年取締役報酬報告書規定では、取締役報酬報告書において、当社株式の保有に係る5年間の株主総利益(TSR)と、広範な株式市場の株価指数の算出に使われる同種・同数の銘柄を保有した場合のTSRを対比して表示したグラフを記載することが義務づけられています。当社はファイナンシャルタイムズ100社(FTSE 100)株価指数の対象企業であり、したがって次頁に掲載した本グラフには適切な指数としてFTSE 100株価指数を選択しています。本グラフは順次5年の期間の開始時に100社の株価指数に基づいて再計算されます。

業績連動ストック・プランによる報奨に関する取締役の権利

アストラゼネカ業績連動ストック・プランやアストラゼネカ米国エグゼクティブ業績連動ストック・プランに基づく報奨の対象となる株式または米国預託株式(ADS)に関する取締役の権利については、46頁に掲載した取締役の報酬一覧表には含めずに、次頁の表にまとめて記載しています。なお、「設定株式数」とは、確定率が100%の場合に確定する最大株式数を指しています。

取締役会を代表してG H R MUSkERグループ秘書役兼弁護士2007年2月1日

エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約の詳細(2006年12月31日現在)

2006年12月31日 エグゼクティブ・ディレクター 雇用契約日 現在の残存期間 通知期間

David R Brennan 2006年1月1日 1年 1年Jonathan Symonds 1998年5月20日 1年 1年John Patterson 2005年1月1日 1年 1年

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TSR-過去5年間のアストラゼネカと同業他社との比較*

100

50

150

02002年1月 2003年1月 2004年1月 2005年1月 2007年1月2006年1月アストラゼネカ FTSE 100 同業他社平均

*出典:Thomson Financial Datastream

TSR-2005年1月1日から2006年12月31日までのアストラゼネカと同業他社との比較           (2005年報奨の場合)*

*出典:Thomson Financial Datastream

0-10

1020304050607080

ロシュ(RCH)

グラクソ・

スミスクライン(GSK)

アストラ

ゼネカ(AZ)

3位サノフィ・

アベンテ

ィス(SA)

ノバルティス

(NOV)

ワイス

(WYE)

シェリング・

プラウ(SP)

ジョンソン・エンド・

ジョンソン(J&J)

メルク(MRK)

アボット・

ラボラト

リーズ(ABT)

イーライリリー

(LLY)

ブリストル・マイヤーズ

スクイブ(BMS)

ファイザー(PFI)

4位

TSR-2006年1月1日から12月31日までのアストラゼネカと同業他社との比較         (2006年報奨の場合)*

*出典:Thomson Financial Datastream

0-10

1020304050607080

ロシュ(RCH)

グラクソ・スミスクライン(GSK)

アストラ

ゼネカ(AZ)

サノフィ・

アベンテ

ィス(SA)

ノバルティス

(NOV)

ワイス

(WYE)

シェリング・

プラウ(SP)

ジョンソン・エンド・

ジョンソ

ン(J&J)

メルク(MRK)

アボット・

ラボラト

リーズ(ABT)

イーライリリー

(LLY)

ブリスト

ル・マイ

ヤーズ

スクイブ(BMS)

ファイザー(PFI)

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

業績連動ストック・プランに基づく報奨に関する取締役(退任取締役を含む)の権利 権利を保有する報奨(設定株式数) 報奨の 報奨の 2006年1月1日現在 2006年12月31日現在 対象となる 金銭的価値 報奨および業績期間 または任命現在 または辞任日現在 設定株式数 (ポンド)1 認定日 確定予定日

David R Brennan2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日 – 73,109 73,1092 2,174,993 2006年3月24日 2009年3月24日2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日 – 19,092 19,0923 543,740 2006年5月19日 2009年5月19日合計 – 92,201 92,201 2,718,733John Patterson2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日 41,945 41,945 41,9454 939,987 2005年6月29日 2008年6月29日2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日 – 32,319 32,3192 961,490 2006年3月24日 2009年3月24日合計 41,945 74,264 74,264 1,901,477 Jonathan Symonds2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日 47,723 47,723 47,7234 1,069,472 2005年6月29日 2009年6月29日2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日 – 41,646 41,6462 1,238,968 2006年3月24日 2009年3月24日合計 47,723 89,369 89,369 2,308,440 Sir Tom McKillop5

2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日 104,417 104,417 104,4174 2,339,985 2005年6月29日 2009年6月29日合計 104,4176 104,4176 104,417 2,339,985 1 該当する設定された割合の各取締役の給与額を、報奨認定日の1株当たりの株価で割って設定株式数を算出しました。2 報奨認定日現在の株価は2,975ペンスでした。3 報奨認定日現在の株価は2,848ペンスでした。4 報奨認定日現在の株価は2,241ペンスでした。5 2005年12月31日付で取締役を退任。6 2005年取締役報酬報告書の74頁で説明しましたように、この報奨は今後按分されることになります。

アストラゼネカ米国エグゼクティブ業績連動ストック・プラン(2000年制定)に基づく報奨の対象となるAstraZeneca PLCのADSについて、2006年12月31日現在、David Brennanが保有する権利は上掲の表に含まれておらず、以下の通りです。ADS 1株はアストラゼネカ普通株式1株に相当します。Brennan氏が報奨確定予定日に無条件で権利を付与されるADS株式数は、3年間の業績期間におけるアストラゼネカの株主総利益と、米国Pharmaceutical Human Resources Associationに加入する他企業の株主総利益を比較評価して決定されます。 認定された 2006年に 認定された 報奨の当初の 2006年に 確定した報奨の 権利を保有する報奨(設定ADS株式数) 報奨(設定 金銭的価値 確定した報奨 金銭的価値 2006年に 報奨確定 2006年1月1日現在 2006年12月31日現在 ADS株式数) (ドル) (ADS株式数) (ドル) 消滅した報奨 認定日 予定日

David R Brennan 33,104 – 33,104 1,163,9371 31,780 1,643,9792 1,324 2003年3月25日 2006年3月25日 28,826 28,826 28,826 1,344,1563 – – – 2004年3月26日 2007年3月26日 27,877 27,877 27,877 1,124,8374 – – – 2005年3月24日 2008年3月24日合計: 89,807 56,703 89,807 3,632,930 31,780 1,643,979 1,324

1 報奨認定時の価格は35.16ドルでした。2 2006年3月25日(報奨確定日)におけるADSの終値は51.73ドルでした。3 報奨認定時の価格は46.63ドルでした。4 報奨認定時の価格は40.35ドルでした。

取締役報酬報告書(要旨)(続き)

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財務報告書(要旨) 独立監査報告書

この財務報告書(要旨)は、当社グループの財務諸表、取締役報告書および取締役報酬報告書に記載された情報の要約であって、当社グループの正式の年次財務諸表、取締役報告書および取締役報酬報告書とは異なり、当社グループの業績および事業状況に関して完全に理解していただくのに十分な情報を提供しているとはいえません。より詳細な情報を必要とされる株主の皆様には、当社グループのAnnual ReportおよびForm 20-F Informationを1部無料で入手する権利があります。これは当社登録事務所の事務局で配布しています。

42~46頁に記載された財務報告書(要旨)は2007年2月1日に取締役会において承認され、取締役会を代表して以下の取締役により署名されました。

DAvID R bRENNAN JONATHAN SyMONDS取締役 取締役

19 8 5 年 会 社 法 第 2 5 1条 の 規 定 に 基 づくASTRAZENECA PLCの監査報告書私たちは42~46頁に掲げられた財務報告書要旨を監査しました。この報告書は1985年会社法第251条に従って、団体としての当社の構成員に対してのみ報告されたものです。私たちの監査はこのような報告書の中で報告を必要とする事項について、当社の構成員に報告できるように意図されており、他のいかなる目的を意図したものでもありません。法律が認める限り、私たちは私たちの監査、本報告書、あるいは私たちの意見に対して、アストラゼネカ社および団体としてのアストラゼネカ社の構成員以外のいかなる人物に対しても責任を認めたりあるいは負ったりすることはありません。

取締役および監査人の責任取締役は、関連法規に従ってAnnual Review 2006を作成する責任があります。

私たちの責任はAnnual Review 2006に記載されている財務報告書要旨が、正式な年次財務諸表、取締役報告書および取締役報酬報告書に合致しており、1985年会社法第251条およびこれに基づく諸規則によって定められている要件を遵守しているか否かに関して、自らの意見を表明することにあります。

私たちはまたAnnual Review 2006に記載されている他の情報を読み、明らかな虚偽の記載または財務報告書(要旨)との重大な不一致を認めた場合、それが私たちの報告に与える影響を検討します。

意見の根拠私たちは、監査業務委員会が発行したBulletin 1999/6「財務報告書要旨に関する監査人のステートメント」に基づいて作業を行いました。グループの正式な年次財務諸表に掲げられた私たちのステートメントには、これらの財務諸表と取締役報酬報告書に関する監査人の意見の根拠が説明されています。

監査意見私 たち の 意 見 で は 、財 務 報 告 書 要 旨 はAstraZeneca PLCの2006年12月31日に終了した年度の正式な年次財務諸表、取締役報告書、取締役報酬報告書に合致しており、1985年会社法第251条およびこれに基づく諸規則によって定められている要件を遵守しています。

2007年2月1日

kPMG Audit Plc勅許会計士登録監査人 8 Salisbury Square London EC4Y 8BB

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

2006年 2005年 2004年 $m $m $m

売上高 26,475 23,950 21,426

売上原価 (5,559) (5,356) (5,193)

物流費用 (226) (211) (177)

研究開発費 (3,902) (3,379) (3,467)

販売費および一般管理費 (9,096) (8,695) (8,268)

その他の営業収益および営業費用 524 193 226

営業利益 8,216 6,502 4,547

合弁会社における持分の売却利益 – – 219

金融収益 888 665 532

金融費用 (561) (500) (454)

税引前利益 8,543 6,667 4,844

税金 (2,480) (1,943) (1,161)

当期利益 6,063 4,724 3,683

株主持分損益: 6,043 4,706 3,664少数株主持分損益 20 18 19

基本的額面0.25ドル普通株式1株当たり利益 $3.86 $2.91 $2.18

希薄化後額面0.25ドル普通株式1株当たり利益 $3.85 $2.91 $2.18

加重平均発行済普通株式数(百万株) 1,564 1,617 1,673

希薄化後加重平均発行済普通株式数(百万株) 1,570 1,618 1,675

当期配当金 2,217 1,676 1,408

すべての活動は継続事業に関連するものです。

連結認識損益計算書12月31日終了年度 2006 2005 2004 $m $m $m

当期利益 6,063 4,724 3,683

 合併に対する外国為替変動調整額等 922 (1,052) 744

株主持分に繰り入れた売却可能有価証券評価(損)益 (Available for sale (losses)/gains taken to equity) (20) (10) 31

保険数理による当期損失 (Actuariallossfortheperiod) (108) (35) (179)

準備金に直接繰り入れた項目に適用される税金 (Taxonitemstakendirectlytoreserves) 137 (25) 416

931 (1,122) 1,012

当期総認識損益 6,994 3,602 4,695

株主持分損益: 6,970 3,595 4,690少数株主持分損益 24 7 5

2004年に準備金に直接繰り入れた項目に適用される税金には、2000年に生じた外国為替換算差損に関連する3億5,700万ドルの控除が含まれています。

$mは百万ドルを表します。

連結損益計算書12月31日終了年度

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2006年 2005年 2004年 $m $m $m

資産の部固定資産有形固定資産 7,453 6,985 8,097

無形固定資産 4,204 2,712 3,050

その他の長期投資 119 256 262

繰延税金資産 1,220 1,117 1,218

12,996 11,070 12,627

流動資産棚卸資産 2,250 2,206 3,020

売掛金その他の受取債権 5,561 4,778 4,620

その他の短期投資 657 1,624 1,198

所得税還付未収金 1,365 183 120

現預金等価物 7,103 4,979 4,067

16,936 13,770 13,025

資産合計 29,932 24,840 25,652

負債の部流動負債利付き短期借入金 (136) (90) (142)

買掛金その他の支払債務 (6,334) (5,466) (5,478)

未払所得税 (2,977) (1,283) (967)

(9,447) (6,839) (6,587)

固定負債利付き長期借入金 (1,087) (1,111) (1,127)

繰延税金負債 (1,559) (1,112) (1,328)

退職給付債務 (1,842) (1,706) (1,761)

引当金等 (327) (309) (266)

その他の長期未払金 (254) (72) (86)

(5,069) (4,310) (4,568)

負債合計 (14,516) (11,149) (11,155)

純資産 15,416 13,691 14,497

資本の部資本金および資本準備金株式資本金 383 395 411

株式払込剰余金 1,671 692 550

株式償還積立金 71 53 36

合併積立金 433 433 433

その他の積立金 1,398 1,345 1,384

利益剰余金 11,348 10,679 11,590

15,304 13,597 14,404

少数株主持分 112 94 93

資本合計 15,416 13,691 14,497

42~46頁に記載された財務報告書(要旨)The Summary Financial Statementsは2007年2月1日に取締役会において承認され、取締役会を代表して以下の取締役により署名されました。

DaviD r Brennan Jonathan symonDs取締役 取締役

連結貸借対照表12月31日現在

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

2006年 2005年 2004年 $m $m $m

事業活動によるキャッシュフロー税引前利益 8,543 6,667 4,844

金融収益および費用 (327) (165) (78)

合弁会社における持分の売却利益 – – (219)

減価償却費、償却費および減損額 1,345 1,327 1,268

売掛金その他の受取債権の増加 (470) (502) (207)

棚卸資産の減少 158 596 129

買掛金その他の支払債務の増加 420 238 11

資金移動を伴わないその他の費用の変動 263 220 384

事業活動から得られた資金 9,932 8,381 6,132

支払利息 (70) (32) (69)

支払税金 (2,169) (1,606) (1,246)

事業活動からの正味キャッシュフロー 7,693 6,743 4,817

投資活動によるキャッシュフロー事業の買収 (1,148) – –

事業の売却 – – 355

短期投資および固定性預金の変動 1,120 (491) 1,855

有形固定資産の取得 (794) (810) (1,063)

有形固定資産の売却 35 87 35

無形固定資産の取得 (545) (157) (215)

無形固定資産の売却 661 – –

長期投資の取得 (17) (12) (117)

長期投資の売却 68 – –

受取利息 352 206 119

少数株主に対する子会社の支払 (4) (5) (5)

受取配当金 – – 6

投資活動からの正味キャッシュフロー (272) (1,182) 970

財務活動前の正味キャッシュフロー 7,421 5,561 5,787

財務活動によるキャッシュフロー株式の発行による受取額 985 143 102

自社株買い戻し (4,147) (3,001) (2,212)

貸付金 – – 746

借入金の返済 – – (21)

配当金の支払 (2,220) (1,717) (1,378)

短期借入金の変動 16 3 2

財務活動からの正味キャッシュフロー (5,366) (4,572) (2,761)

当期現預金等価物の正味増加高 2,055 989 3,026

現預金等価物期首残高 4,895 3,927 872

為替変動の影響 39 (21) 29

現預金等価物期末残高 6,989 4,895 3,927

連結キャッシュフロー計算書12月31日終了年度

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2006年 2005年 2004年 2006年 2005年 2004年 1株当たり 1株当たり 1株当たり $m $m $m

2006年3月に支払われた前期確定配当金 $0.920 $0.645 $0.540 1,453 1,061 914

2006年9月に支払われた中間配当金 $0.490 $0.380 $0.295 764 615 494

$1.410 $1.025 $0.835 2,217 1,676 1,408

後日、確定配当金として支払われる当期第2回中間配当金は1株当たり1.23ドル、総額18億8,500万ドルです。この配当金は2007年3月19日に支払の予定です。

配当金の支払に伴い、300万ドルの為替差損(2005年は4,100万ドルの為替差損、2004年は3,000万ドルの為替差益)が発生しました。これらの為替差損益は金融収益および金融費用に含まれます。

1株当たり利益 2006年 2005年 2004年

特別損益調整前当期利益($m) 6,043 4,706 3,378

税引後特別損益($m) – – 286

当期利益($m) 6,043 4,706 3,664

特別損益調整前普通株式1株当たり利益 $3.86 $2.91 $2.01

特別損益にかかわる普通株式1株当たり利益 – – $0.17

普通株式1株当たり利益 $3.86 $2.91 $2.18

希薄化後特別損益調整前普通株式1株当たり利益 $3.85 $2.91 $2.01

希薄化後特別損益にかかわる普通株式1株当たり利益 – – $0.17

希薄化後普通株式1株当たり利益 $3.85 $2.91 $2.18

加重平均発行済普通株式数(百万株) 1,564 1,617 1,673

ストックオプション残高の希薄効果(百万株) 6 1 2

希薄化後加重平均発行済普通株式数(百万株) 1,570 1,618 1,675

社員ストックオプション制度を除いて、未発行株式に係わるオプション、ワラントまたは新株引受権の残高は存在していません。上の計算に使用された利益の数値は、普通株式1株当たりの希薄化後利益の計算用に変更はされていません。2004年の特別損益調整前普通株式1株当たり利益は、次の2つの項目による影響を除外して算出しています―合弁会社における持分の売却による税引後利益(2億2,800万ドル)と、米税務当局との合意により、2002年に計上したZoladexの和解金の一部が税控除の対象として認められたことに伴う減税額(5,800万ドル)。

後発事象当社は期末後に、Bristol-Myers Squibb CompanyおよびPalatin Technologies Inc.の各社と2つの共同研究開発契約書を締結し、それぞれ頭金として1億ドルと1,000万ドルを支払っており、これらの支出額については2007年に無形資産として計上する予定です。Bristol-Myers Squibb社との提携は、2型糖尿病治療薬として試験中の2種類の治験薬の開発・商品化に関するものです。このほか、Arrow Therapeutics Ltd.の全株式を1億5,000万ドルで買収する契約書を締結しています。Arrow Therapeutics Ltd.は非公開会社で、抗ウイルス治療薬の探索研究・開発に重点的に取り組んでいる英国のバイオテクノロジー企業です。

配当金

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

2006年の取締役の報酬

2006年12月31日に終了した年度の取締役の役務について支払または計上された報酬総額(年金拠出金ならびにストックオプションおよび業績連動ストック・プランによる報奨額を除く)は、1,200万ポンド(2,100万ドル)となっています。個別の取締役の報酬は以下にポンド換算および米ドル換算で記載されています。取締役の給与、報酬、ボーナスおよびその他の給付はすべて英ポンドで設定されています。 給与および ボーナス 課税対象 2006年 2005年 2004年 報酬 現金 株式1 給付 その他 総額 総額 総額 ポンド £’000 £’000 £’000 £’000 £’000 £’000 £’000 £’000

Louis Schweitzer 260 – – – – 260 260 312

David R Brennan 942 699 350 1 671 2,663 8193 該当なしJohn Patterson 483 326 163 14 21 1,007 1,049 該当なしJonathan Symonds 598 378 189 6 5 1,176 1,269 970

Sir Peter Bonfield 82 – – – – 82 82 76

John Buchanan 69 – – – – 69 69 61

Jane Henney 57 – – – – 57 57 54

Michele Hooper 49 – – – – 49 49 43

Joe Jimenez 49 – – – – 49 49 43

Håkan Mogren 100 – – – – 100 100 4794

Erna Möller 57 – – – – 57 57 54

Dame Bridget Ogilvie5 18 – – – – 18 57 54

Dame Nancy Rothwell6 30 – – – – 30 – –

John Varley7 21 – – – – 21 – –

Marcus Wallenberg 40 – – – – 40 49 46

退任取締役その他8 – – – – – – 2,289 2,115

合計 2,855 1,403 702 21 697 5,678 6,255 4,026 給与および ボーナス 課税対象 2006年 2005年 2004年 報酬 現金 株式1 給付 その他 総額 総額 総額米ドル $’000 $’000 $’000 $’000 $’000 $’000 $’000 $’000

Louis Schweitzer 475 – – – – 475 476 562

David R Brennan 1,720 1,278 639 2 1,226 4,865 1,4993 該当なしJohn Patterson 883 596 298 25 37 1,839 1,918 該当なしJonathan Symonds 1,093 691 345 11 9 2,149 2,321 1,764

Sir Peter Bonfield 150 – – – – 150 150 138

John Buchanan 126 – – – – 126 126 111

Jane Henney 104 – – – – 104 104 98

Michele Hooper 89 – – – – 89 90 78

Joe Jimenez 89 – – – – 89 90 78

Håkan Mogren 183 – – – – 183 183 8714

Erna Möller 104 – – – – 104 104 98

Dame Bridget Ogilvie5 34 – – – – 34 104 98

Dame Nancy Rothwell6 56 – – – – 56 – –

John Varley7 39 – – – – 39 – –

Marcus Wallenberg 73 – – – – 73 90 84

退任取締役その他8 – – – – – – 4,191 3,847

合計 5,218 2,565 1,282 38 1,272 10,375 11,446 7,321

1 本欄の数字は、2006年のボーナスのうち保有株式による支給が3年間繰り延べられる部分を表しています。2 通年ではありません。3 2005年3月14日付で取締役に任命されたため通年ではありません。 4 補償金45万ポンド(81万8,000ドル)、2004年8月までの非常勤取締役報酬2万9,000ポンド(5万3,000ドル)を含みます。5 2006年4月27日付で取締役を退任したため通年ではありません。6 2006年4月27日付で取締役に任命されたため通年ではありません。7 2006年7月26日付で取締役に任命されたため通年ではありません。8 Sir Tom McKillopの2005年報酬総額225万3,000ポンド(412万5,000ドル)のほか、Åke Stavlingに対する最終支払額3万6,000ポンド(6万6,000ドル)を含みます。

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グループ財務データ

2003年 2004年 2005年 2006年 12月31日終了年度 $m $m $m $m

売上高および利益売上高 18,849 21,426 23,950 26,475

売上原価 (4,463) (5,193) (5,356) (5,559)

物流費用 (162) (177) (211) (226)

研究開発費 (3,012) (3,467) (3,379) (3,902)

販売費および一般管理費 (7,393) (8,268) (8,695) (9,096)

その他の営業収益および営業費用 188 226 193 524

営業利益 4,007 4,547 6,502 8,216

合併会社における持分の売却利益 – 219 – –

金融収益 381 532 665 888

金融費用 (311) (454) (500) (561)

税引前利益 4,077 4,844 6,667 8,543

税金 (1,033) (1,161) (1,943) (2,480)

当期利益 3,044 3,683 4,724 6,063

当社株主持分損益 3,022 3,664 4,706 6,043

少数株主持分損益 22 19 18 20

1株当たり利益特別損益調整前額面0.25ドル普通株式1株当たり利益 $1.77 $2.01 $2.91 $3.86

額面0.25ドル普通株式1株当たり利益(基本) $1.77 $2.18 $2.91 $3.86

額面0.25ドル普通株式1株当たり利益(希薄化後) $1.77 $2.18 $2.91 $3.85

配当金 $0.725 $0.835 $1.025 $1.410

売上利益率営業利益(対売上高比率) 21.3% 21.2% 27.2% 31.0%

利益対固定費率(IFRS) 100.4 93.6 85.6 92.7

2003年 2004年 2005年 2006年12月31日現在 $m $m $m $m

貸借対照表固定資産(有形および無形) 10,574 11,147 9,697 11,657

その他の投資 133 262 256 119

繰延税金資産 1,261 1,218 1,117 1,220

流動資産 11,593 13,025 13,770 16,936

資産合計 23,561 25,652 24,840 29,932

流動負債 (6,558) (6,587) (6,839) (9,447)

固定負債 (3,828) (4,568) (4,310) (5,069)

純資産 13,175 14,497 13,691 15,416

資本および資本準備金 13,086 14,404 13,597 15,304

少数株主持分 89 93 94 112

株主持分および準備金合計 13,175 14,497 13,691 15,416

2003年 2004年 2005年 2006年12月31日終了年度 $m $m $m $m

キャッシュフロー

事業活動による正味キャッシュフロー 3,368 4,817 6,743 7,693

投資活動による正味キャッシュフロー (852) 970 (1,182) (272)

財務活動による正味キャッシュフロー (2,674) (2,761) (4,572) (5,366)

(158) 3,026 989 2,055

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AstrAZenecA AnnuAl review 2006

株主情報

アストラゼネカ 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年

発行済普通株式-百万株期末現在 1,719 1,693 1,645 1,581 1,532

当期加重平均発行済普通株式数 1,733 1,709 1,673 1,617 1,564

株価-額面0.25ドル普通株式1株当たり最高値(ペンス) 3625 2868 2749 2837 3529

最安値(ペンス) 1799 1820 1863 1861 2574

期末現在株価(ペンス) 2220 2680 1889 2829 2744

発行済株式の所有数別の状況(2006年12月31日現在)所有規模別 2006年株式数 %

1–250 0.5

251–500 0.7

501–1,000 0.9

1,001–5,000 1.3

5,001–10,000 0.2

10,001–50,000 1.0

50,001–1,000,000 12.3

1,000,001-† 83.1

発行済株式総数 100.0

† VPCおよびADRの保有を含む

2006年12月31日現在、AstraZeneca PLCには137,137名の株主が登録されており、所有株式数は額面0.25ドル普通株式1,532,245,608株です。2006年12月31日現在、ADR(米国預託証券)の株主数は約100,000名で発行済株式の10.48%を占めており、またVPC Services Agreementのもと157,000名の株主が発行済株式の23.32%を占めています。それぞれのADRは普通株式1株に相当し、JP Morgan Chase Bankから発行されています。

2006年株式配当 米ドル 英ペンス スウェーデンクローナ 支払日

第1回中間配当分 0.49 26.6 3.60 2006年9月18日第2回中間配当分 1.23 63.0 8.60 2007年3月19日合計 1.72 89.6 12.20

2006年配当金の支払い2006年3月19日に支払われる2006年第2回中間配当の基準日は2007年2月9日(英国、米国およびスウェーデン)に設定されています。ロンドン証券取引所およびストックホルム証券取引所で2007年2月7日以降に取引されている株式は配当落ちとなっています。また、ニューヨーク証券取引所では、同日以降、配当落ちADRが取引されています。2007年以降の配当金は、通常、以下の予定により支払われます。

第1回中間配当: 7月に発表、9月に支払を実施。

第2回中間配当: 1月(または2月)に発表、3月に支払を実施。

2007年9月17日に支払予定(英国、米国およびスウェーデン)の2007年第1回中間配当の配当基準日は、2007年8月10日です。

2007年財務カレンダー

2007年4月26日 年次株主総会および2007年第1四半期決算発表2007年7月26日 2007年第2四半期決算および上半期決算発表2007年11月1日 2007年第3四半期決算および9カ月決算発表

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競争状態にかかわる記述特に記載がなければ、本Annual Reviewに掲載されており、当社の事業または製品のおかれた状況を、競合他社ないし競合製品との関連で説明される市場情報は、医薬品業界に統計 資 料 を提 供 する大手リサーチ 会 社 I M S Healthから入手したデータに基づいています。当該資料は、2006年9月30日に終了した12カ月間を対象にした公表されているデータです。他に記載がなければ、IMS Healthから入手したマーケットシェアおよびデータは、当該期間における当社の総売上高を競合他社および市場全体の売上高と比較することによって算出しています。本Annual Reviewでは、医薬品の世界市場等に関する言及は、IMS HealthのMIDAS Quantumデータベースに収録されている52カ国のデータに関するものであり、これはIMS Healthの監査対象国の約95%(金額ベース)に相当します。

ShareGiftアストラゼネカはすべての株主の皆様を、所有株式の多寡に関わらず歓迎し重要視しています。しかし、少数の株式を保有されている株主の皆様で、その株式の価値が売却しても経済的でない場合、現在あるいは将来において、その株式をShareGiftを通じて慈善団体に寄付する こ と を 望 ま れ る か も し れ ま せ ん 。ShareGiftは独立した慈善株式寄付スキームです。このスキームの特徴の1つは、ShareGiftを通じた株式の寄付には英国で課税対象となるキャピタルゲインもロスも発生しないことで、現在は寄付によって英国での所得税が減額される場合もあります。ShareGiftについての詳細はウェブサイトsharegift.orgをご覧いただくか、ShareGift(電話番号:020-7337-0501、住所:46 Grosvenor Street, London W1K 3HN)までお問い合わせください。株式の寄付に関する英国での税金の状況についての詳細は、英国歳入関税庁(ホームページ:hmrc.gov.uk)にお問い合わせください。寄付に必要な株式譲渡の書類は、アストラゼネカの株主登録機関であるLloyds TSB Registrars(ホームページアドレスは本書背表紙に掲載)から入手できます。ShareGift はOrr Mackintosh Founda-tion(慈善団体登録番号:1052686)によって運営されています。

正式なaNNUaL rePOrtおよびfOrM 20-f iNfOrMatiONの入手方法当社ではAnnual ReportとForm 20-F Informa-tionのほか、それほど詳細な情報を必要とされない投資家の皆様向けに本Annual Reviewを発行しています。いずれの文書も当社のウェブサイト(astrazeneca.com)でご覧いただけます。株主の皆様が正式なAnnual ReportとForm 20-F Informationの受領を希望される旨を当社の株主登録機関に通知されていない限り、本Annual Reviewは発行日現在の全株主に送付されます。あるいは別の方法として、株主の皆様はShareviewにおいて登録されることにより、財務報告書が発行された際に電子メールによる通知の受領を選択することもできます。冊子形態の財務諸表は、当社事務局にご連絡をいただければ送付させていただきます。

Shareviewアストラゼネカの株主の皆様でインターネットにアクセスできる方は、shareview.co.ukで必要事項を登録していただくと、ポートフォリオが作成されます。Shareviewは、当社の株主登録機関であるLloyds TSB Registrarsが運営する無料で安全なオンラインサービスで、損益の推移、株価表示、最近の配当に関する情報などをご覧いただけます。

商標アストラゼネカグループの商標は本文書中、斜体で表示しています。AstraZenecaのロゴ、シンボルはすべて、アストラゼネカグループの商標です。アストラゼネカ以外の他社の商標には®またはTMの表示を付記しております。

用語の使用本Annual Reviewでは、文脈上他を意味する場合を除いて、「アストラゼネカ」「当社グループ」「全社」「当社」「私たち」「私たちの」という用語は、AstraZeneca PLCとその連結会社を意味します。

将来予想に関する記述についての 警告文Annual Reviewは、当社の株主の皆様に情報を提供することを目的としていますが、特に米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Li-tigation Reform Act 1995)の「セーフハーバー」規定の適用を受けるため、当社は以下の警告文を発します:本Annual Reviewには、アストラゼネカグループの事業運営、業績および財政状態にかかわる将来予想に関する記述が一部記載されています。当社では予想は合理的な仮定に基づいていると考えていますが、将来予想に関する記述は、その性質上リスクや不確実要素を伴い、様々な要因の影響を受ける可能性があり、かかる要因によって実際の成果や結果は、予測と大幅に異なったものになる可能性があります。将来予想に関する記述は、本Annual Reviewの作成日現在入手可能なデータや情報を反映しており、当社がこうした将来予想に関する記述を更新する義務を負うものではありません。将来予想に関する記述の中で当社が使用している言葉として、「期待」「考え」「予想」「意図」などが挙げられますが、それと類似した表現も使用しています。実際の結果が将来予想に関する記述と大幅に異なったものになる重要な要因には、当社にとって不可抗力のものが含まれます。かかる要因として、特に次のことが挙げられます:特許権や独占販売または商標の消失ないし満了、実質的な悪影響を及ぼす訴訟/政府の調査要求および不十分な保険の補償範囲に関するリスク、為替相場の変動、研究開発の結果商業的成功につながる新製品が開発されないリスク、戦略的提携が不成功に終わるリスク、競争による影響、価格統制および価格の下落、課税のリスク、多額の製造物責任請求、サードパーティが材料やサービスを供給できない場合の影響、不適切な危機管理に伴うリスク、新製品の上市が遅れるリスク、製品に対する規制当局の承認を獲得し維持することが困難な状況、規制当局の取り締まりに従わないことのリスク、新製品が期待通りに機能しないリスク、環境に関する法的責任を被ることのリスク、新興市場での事業活動に伴うリスク、評判にダメージを受けるリスク、製品が偽造されるリスク。したがって、本Annual Reviewは絶対に利益を予測するものと解釈しないでください

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