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Meiji University Title Author(s) �,Citation �, 46(7-8): 53-76 URL http://hdl.handle.net/10291/5796 Rights Issue Date 1963-04-30 Text version publisher Type Departmental Bulletin Paper DOI https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

53 一 ヨーマンの範嬬的考察一 (884) - Meiji Repository: ホーム...(884) ヨ ー マ ン の 範 鴫 的 考 察 53 一 ヨーマンの範嬬的考察一 一 三 二 問

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  • Meiji University

     

    Title ヨーマンの範疇的考察

    Author(s) 浅田,毅衛

    Citation 明大商學論叢, 46(7-8): 53-76

    URL http://hdl.handle.net/10291/5796

    Rights

    Issue Date 1963-04-30

    Text version publisher

    Type Departmental Bulletin Paper

    DOI

                               https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

  • (884)

    の範

    一 ヨーマ ンの範嬬的考察 一53

    一二三

    問題

    の所在

    ヨー

    マンの歴史的規定

    ヨー

    マンの経済的規定

    一般

    に、近代賃金労働者

    の形成

    は、封建家臣団

    の崩壊、中世ギ

    ルドの分解

    および農民層

    の階級分解

    によ

    ってもたら

    されるが、

    その中核

    をなすも

    のは

    いうま

    でもなく農民層

    の階級分解であ

    る。

    そして、

    この課.題を解明す

    る鍵

    は、農奴

    解放後

    の封建

    制解体過程

    にお

    いて顕著

    な活躍をしめしはじめる自由

    で自営な農民たる

    「ヨー

    マン」(鴫8ヨ曽)

    の歴史

    的運命を追求することによ

    ってあ

    たえられるであろう。

    いままで、

    このヨー

    マンに

    ついての研究

    は、すでに数多くの

    れた研究成果が残され

    ていることは周知

    のとおりであ

    る。

    それにもかかわらず研究史

    の現段階

    にお

    いては、

    いまな

    お、独立的自営農

    民の農民層分

    解をめぐ

    って、

    いわゆる

    「農民層

    分解

    そのものにおける二

    つの道」

    が看取されて

    いる

  • 54叢一…ノ』↓i冊

    学一 一 商(885)

    のである。

    なわち、

    農民分解

    の近代的両極分解を主張

    される論者

    は、

    ヨー

    マンを十五世紀

    における

    「民富」

    (8ヨ日呂

    宅↑

    く巳冨「。ズげε日)の

    一般

    的形成

    の担

    い手

    として、

    かれらを自由

    ・独立

    「中産的生産者層」

    と規定される。

    って、民富

    の担

    い手

    としてのヨー

    マンを近代化

    の歴史的起点

    と見倣し、当時

    のイギリス社会を典型的な小ブルジ

    ア社会

    と規定されて

    いるのである。それに対

    して、寄生地主的分解

    を主張される論者

    は、

    十五世紀

    ヨー

    マンを歴史的

    範疇

    として

    「中産的生産者層」

    を指示す

    るものではなく、

    一定の社会的地位

    .封建

    的身分

    の表示であ

    って、

    かれら

    は、独立的自営農民

    ではなく奇生地主

    ・耕作権保持者

    "小作農

    民と規定される。

    したが

    って、十五~十

    六世紀におけ

    る農民分解

    を前

    では

    「中産的生産者層」

    の内部

    におけ

    る近代的階級分化

    の進

    を主張され、後者は土地

    を集中した小作農民白身

    が寄生地主に上昇

    ・転化

    し、

    .、重に地主

    11小作関係を形成

    してゆ

    く封建的分解

    いう全く異な

    った見解

    が生まれ

    ている。

    これら農民分解論

    の二

    つの把握力法は、それ

    を起

    点としてイ

    リス絶対王制下の全農業

    n土地問題

    をはじめ、絶対

    王制ならびに原蓄過程

    の性格

    ついても、ま

    ったく異な

    った見

    解を生ぜしめるであろう。それゆえに、問題

    の鍵

    が、

    いつに目営農民の把握の仕方

    いかんにかか

    っているとい

    っても

    して過言

    でないよう

    におもわれる。

    こで、

    われわれは、

    いま

    一度

    ヨー

    マンの基礎概念

    について.再検討を試

    み、農

    民分解

    の基本的方向を立証

    しなけれ

    ばならな

    いとおもう。

    とりわけ、本稿

    では、

    ヨー

    マンの本源的

    ・基礎的形態を把握

    し、それを貴

    く内在

    的諸法則を究

    ー明

    して、

    かれらのあゆむ歴史的方向を明ら

    かにした

    い。

    ヨー

    マン

    の歴

    的規

  • (886)ヨーマ ンの範鴫 的考察55

    われわれは、

    ヨー

    マンを厳密

    に理解す

    るために、まず、

    「ヨー

    マン」

    の語義をたずねること

    からはじあよう。

    イギリ

    スの

    「ヨー

    マン」

    という言葉

    の概念内容

    が時代

    の推移

    とともに、ま

    た、それぞれ

    の地方における農業発展

    度合

    によ

    って、

    いろ

    いろな

    ニュア

    ンスをも

    つに

    いた

    った

    ことはたしかである。

    しかしながら、

    われわれはこの問題を

    正確

    に把握す

    るために、まず、

    古典的な意味

    におけ

    るヨー

    マンを理解

    しなければならな

    いと思う。そして、それが時

    の経過

    ととも

    (とりわけ十六世紀以降)広

    い意味

    に変化して

    いく姿

    をみなければならな

    いだろう。

    (1

    )

    十四世

    紀末ま

    で、軍事的奉仕者

    に使用されて

    いた

    「ヨー

    マン」と呼ば

    れる占

    い語義が、農村

    一定

    の社会的序列、

    いは身分

    を示す言葉

    として使用されたのは、十四世紀末

    の農奴解放以降

    いわれて

    いる。とりわけ、十五世紀後

    には、正確

    に農村

    における土地保有

    の法的権利をも

    つ農民を示す言葉とな

    っている。すなわち、

    ヨー

    マンと呼ばれ

    る農民

    は、

    その土地保有

    の法

    的形式

    から

    みれば、

    「自由

    土地保

    有農民」

    (守Φ各o泣ぼω)「慣

    習土地保有農民」

    11

    「登録

    土地保有農民」-(o己む。9日剖∨穗ロ四詳ω1100℃旨ゴo江窪む。)および

    「短期借地保有農民」

    (汀器Φげ。冨巽ω)の三

    つの範鴫か

    ら構成さ

    (2

    )

    れている。

    自由土地保有農民は、

    その土地保有

    の関係

    から

    みれば、

    一にかれは、

    その土地

    「領地」(〔ΦOユ‖峠⑦口画)

    で保有

    し、

    土地保有が国王

    から

    「特許

    証文」

    (・9吋盲

    )によ

    って守られて

    いるためにも

    っとも確実

    である。

    さらにかれらは、

    自由

    にその土地

    を相続

    ・占有することができ、な

    かには売却な

    いし相続

    によ

    って土地を分割

    しうるものさえあ

    った。

    第二

    に、

    かれら

    の保有地

    「国王の法廷」

    (民日m.の89庁)

    によ

    って、保護

    をうけ、

    土地保有

    ついての保証

    は、

    はる

    かに他

    の農民

    より確実な

    ものであ

    った。さらに、身分的、社会的には収

    入四〇

    シリ

    ング

    以上のも

    のは議員選

    挙の権利

    があたえられ、職業

    の選択

    の自由

    が許されて

    いた。

    まさ

    に、かれらは

    「農

    民貴族」

    のような存在

    であ

    った。

    一般

    に、

    (3

    )

    十五世

    紀のころ

    ヨー

    マンと呼ばれ

    ていたのは、

    このような

    「四〇

    シリング以上

    の土地収益をも

    つ土地保有農民」を中

  • 56叢一∋4ワtitm

    学一 商(887)、

    心とす

    る農

    民な

    のである。

    これに対

    して、登録

    土地保有農

    民な

    いし慣

    習土地保有農

    民は、

    「マナー裁判所

    での還付と承認と

    によ

    っ.て移管

    され、

    (4

    )

    裁判所記録

    であきら

    かになるような

    マナー

    の慣習に従属する土地保有農民」を

    いうのである。,しかし、

    この両者

    も厳

    には土地保有

    の法的形成

    によ

    って二

    つの形態

    に区分さ

    れている。同じ

    「マナーの慣習」にしたが

    いながら、

    「マナ

    ー裁判所帳簿

    の謄本

    を所持することにより土地を保有す

    る」農民、

    いわゆる登録土地保有農

    民と、裁判所

    の文書

    上の

    承認

    ではなく、ただ

    「領主

    の意志

    」あ

    るいは

    「領主または裁判所

    の許可制」によ

    って土地を保有する慣習土地保

    有農

    の二

    つの形態

    である。

    いずれにしても、両者

    とも、その土地保有権

    の特質

    は、農奴

    が、

    「マナー

    の慣習

    に従属」し

    て、領主

    の意

    のままに土地を保有したのに対して、領主の直接

    の恣意によるのではなく、

    マナー裁判所

    を媒介として、

    すなわち第

    三者

    の介

    入によ

    って、

    「マナーの慣習」

    に規制された土地保有農民にすぎな

    いのであ

    る。

    さらに、これら

    土地所有

    の権利

    と義務

    を規定した

    マナー

    の慣

    習は、

    「固定地代」

    (ぺm口[O〔知⑩切一NΦ)

    であるが、領主

    は、

    の本来

    の地代

    とは別

    一時賦課金を課す

    ことが禁

    止され

    ているにもかかわらず、

    かれら農民に課

    していることが史料

    によ

    って明

    (5

    )

    かにされ

    ている。

    ところで、われわれが注意す

    べき

    ことは、トーネー

    (匹△汀江

    出ぴロ磯

    ↓①≦Rぺ)

    の資料によ

    っても明らかにされたよ

    うに、十五~

    十六世紀にかけ

    て、こうした性格をも

    つ慣習

    土地保有農民

    が、

    ヨー

    マンリーの広汎な基盤とな

    っているこ

    である。すなわち、トーネーの資料によれば、十

    六世紀には全農村人

    口の約半数

    をしめ、十

    七世紀初頭

    にお

    いてさ

    (6

    )

    え、三分

    一が登録

    土地保有農民であ

    ったと

    いって

    いる。

    さらに、

    このことに

    ついて、コスミ

    ンズキー

    (国・〉・民oω日ぎ1

    路ぺ)は、

    「十四~十五世紀

    における農奴制

    の衰頽

    によ

    って、農民

    の人格的隷属は廃

    止されたにも拘らず

    、イギ

    リス農

    の基本的大衆

    は自己

    の分与地

    に対する私的所有権を有しなか

    った。自由な

    土地保有者ー

    フリーホー

    ルダーー

    の権利

  • (888)一 ヨーマ ンの範晴的考察 一57

    は完全な

    土,地所有

    に近づ

    いた。彼らは耕地

    に対してわず

    かな地代

    を領

    主に支払

    い、白由

    にこれを使う権利

    を有

    した。

    しかし、

    フリーホー

    ルダーはイギリ

    ス農民階級

    の僅

    かな部分をなしたのであ

    って、大部分は

    コッピ

    ィホールダーから

    った」

    と指摘

    して

    いる。

    以上、われわれ

    がしりえ

    たような古典的

    ヨー

    マンの概念規定

    は、

    いまま

    一般的

    いわれて

    いたような富裕な

    「自

    土地保有農民」だけを意味す

    るのではなく、厳密

    には

    「登録

    土地保有農民」な

    いし

    「慣習土地保有農民」

    を含

    めた

    ものと

    して理解す

    べきだと考え

    る。

    とりわけ、十五世紀

    から十

    六世紀にかけ

    ての農

    民分解

    に分析

    の視点をおくとき、

    しろ、

    ヨー

    マンの概念規定

    は貨幣地代支払義務を負担

    つつ土地を保有

    していると

    ころの

    「慣習土地保有農民」

    「登録

    土地保有農

    民」などを中

    心としてなされる

    べき

    ではな

    いだろう

    か。

    このような意味

    でのヨー

    マンを指標

    として、その歴史的性格

    つぎに明ら

    かにしていこう。

    一般

    に、

    ヨー

    マンはそ

    の内容

    において、

    自由な

    「白営農民」

    (ωΦ一ひΦ薯

    S切。冨津oaocdざΦ日)と規定され、

    身分的に

    は封建的経済外強制

    によ

    って支配されて

    いる

    「隷従

    民」

    ではなく、独立した身分をも

    ち、小経営

    のための生産手段を

    「自由

    に所有す

    る小生産者」

    を包含するところの、

    小生産農民を

    いう

    のである。

    こうして通常

    ヨー

    マンは

    「独

    立的自営農民」(§ぎ蔑曇

    。q窪

    σω葺5Φ口庁聾

    。邑2

    切巴5

    いう概念

    一括されて

    いる。

    これを

    マルクスの古典的規定

    にしたがえば、

    「白営農民の自由な所有

    は、あきらかに、小経営

    のためのーす

    なわち、

    そこでは土地

    の占有が自分自身

    の労働

    の生産物

    にたいする労働者

    の所有

    のための

    一条件

    であるような、そし

    て、そこ

    では自由な所有者

    であろうと小作

    人であろうと、農耕民が

    つね

    に自分の生活維

    持手段

    を自分自身

    で、・独立に

    ・個別的

    労働者

    とし

    ・自分

    の家族

    とともに生産

    せねばならぬような、

    そう

    した生産様式

    のための1土地所有

    の最も

    正常的な

    (7

    )

    形態」な

    のである。すなわち、自営農民

    としての

    ヨー

    マンは、自

    己の所有

    または占有

    している土地

    と労働手段をも

  • 58叢一

    論学一 商(889) ~

    て、自

    らの生活維持手段

    を自分

    の家族

    ととも

    に労働す

    ることによ

    って再生産する農民を

    いうのであ

    る。

    これこそ

    ヨー

    マンの抽象的、

    一般的概念規定

    であるが、そ

    の具体的形態としては、

    一般的

    にいわれる「分割地農

    民し

    と理解する

    ことができる。

    しかしながら、

    いままでこれら

    の関係

    ついての基礎的把握

    は、かならずしも明ら

    かにさ

    れては

    いな

    いようである。

    マルクスは分割地

    土地所有農民

    の存在

    ついて、

    つぎ

    のように説明して

    いる。

    「小農民経

    と独立

    の手

    工業経営

    とは、

    いずれも

    一部的

    には封建的生産様式

    の土台

    をなし、

    一部的にはその解体後

    に資本制的経

    営と相並

    んで現われるも

    のであるが、それらは同時に、本

    源的

    ・東洋的な共同所有

    が解体した後

    の、

    そして奴隷制

    (8

    )

    まだ生産

    を真実

    に征服

    しな

    い前

    の、最盛期におけ

    る古典的共同体

    の経済的基礎

    をなす」。

    なわち、小経営的生産者

    しての分割地農民は、

    いかなる時期

    にも小生産者的生産様式

    に共通

    なも

    のとして、存在して

    いたことを指摘

    して

    るのである。

    からと

    いって、

    われわれは分割地農民

    一般

    をただちに超歴史的概念

    としての独立的自営農

    民と規定することはで

    きな

    いのである。

    マルク

    スのいう奴隷制

    から資

    本制社会

    にいたるま

    で存在す

    ると

    ころの分割地農

    民は、

    むしろ自営農

    として

    一般的範疇であ

    るのに対して、封建的

    土地所有解体過程

    にあらわれ

    る分割地農

    民は独立的自営農民として特

    な歴史的範疇

    としてとらえねばならな

    いと考

    える。

    そこで、

    われわれはとくにイギリ

    スの封建

    的土地所有

    におけ

    る分割地農民

    をとりあげ、具体的

    にこの問題を検討

    てみよう。

    イギ

    リスの農奴制

    のもとでの分割地農民は、

    ドウ

    ムズ

    ・ブ

    ック

    (O。日mΦ9司ヒ。8ぎ

    」Oc。Φ)でいわれ

    ブリし

    マン

    (犀oo日碧n嵩9ユ

    ぎヨぎΦω)、ソ

    ック

    マン

    (ω8日昌目。。o冨ヨ彗巳)およびヴ

    ィレ

    (≦≡ぎ11≦

    富巳)

    など共

    同体

    の自

    (9

    )

    地保有農民をあげること

    ができる。し

    かし、

    イギ

    リスの場合

    同じ自由な土地保有農民とは

    いえ、その性格にお

    いてか

  • (890)一 ヨー マ ンの範疇 的考察 一59

    なり

    の相違

    がみられる。

    フリー

    マンの土地所有

    が軍事的、政治的ある

    いは宗教的

    な自由土地保有

    であるのに対して、

    ック

    マンの自由上地所有

    マナーの慣習によるも

    のである。

    その意味では、

    ック

    マンが分割地農民

    の典型

    である

    いえ

    る。そ

    こで、

    ック

    マンを中心にして分割地所有

    の形態をみてゆくことにしよう。

    ック

    マンの土地占右

    にお

    いて、特性的条件

    は、第

    一に、

    土地

    マナーの慣習

    によ

    って保有

    されたも

    ので、

    フリー

    マンのように、

    マナー形成後上から賦与されたも

    のではな

    いということ。したが

    って、

    その必然的結

    果として第

    二に、

    その土地保有の保証が、

    マナー

    の法廷

    によ

    ってその正当性

    を保証されていることである。

    これに対して、

    フリー

    マン

    の場合

    は、

    それが上から

    の特許証文

    (oげ四詳氏)に依存し

    ているのである。

    このソ

    ック

    マンの土地所有保証

    の形態

    は、

    一方

    で、領

    主の司法権

    への従属を意味するものである。すなわち、

    フリー

    マンは、土地

    の自山な処分権をも

    っている

    のに対し

    て、

    ック

    マンは領主

    の同意な

    しには、そ

    の土地

    の譲渡

    や売買は許さ

    れな

    いのであ

    る。

    したが

    って、そ

    の土

    に対する従属

    は、その領主

    への経済的従属

    が強まるととも

    に強化

    され

    る要素

    をも

    って

    いる。第三に土地占有

    の条件

    として、

    かれら

    は古くからの

    マナーの慣習によ

    って、軽微な賦役

    の負担をうけ

    いることである。そ

    れが十

    一世紀以

    降金納地代

    の負担者

    として現われてくる。

    この金納地代

    を支払

    い農業労働

    を免除されて

    いる地代形態

    がソ

    ック

    マンの

    一つの特徴

    であり、

    それが同時にヴ

    ィレンを区別するものとされて

    いる。すな

    わち、ヴ

    ィレンは、労働賦役

    一般

    である

    のに対

    して、

    ック

    マンは重点が貨幣地代

    であ

    って、その労働賦役

    が軽微なことを特徴

    としている。そ

    の意味

    でソ

    ック

    マンは共同体

    においては、ヴ

    ィレ

    ンと対比して特権をも

    って

    いる自由な存在

    であ

    ると

    いえ

    る。

    しかし、

    この

    領主

    へのソ

    ック

    マンの貨幣地代

    による経済的従属関係

    が、十二世紀

    マナーの財政

    的哀退

    の過程

    で、ヴ

    ィレ

    ンに比し

    て逆に強

    められ

    る結果

    になることを注意しておかねばならな

    い。そ

    れは、貨幣地代が賦役

    に比し相対的に重

    い比率

    換算され、領

    主の財政危機

    をのりき

    るための手段として利用されたことである。

    いわばそれは、上からの貨幣要求

  • あり、

    「再版農奴制」

    (Φ⑱8昆

    切Φ邑

    §

    )

    の方向

    である。

    この点貨幣地代

    の性格

    が十四世紀農奴

    解放

    にともな

    って、広

    60

    一般化

    してい

    った地代金納化

    の場合とま

    ったく

    ことな

    ったものであることに留意しなければならな

    い。

    以上によ

    って、

    われわれは

    一応封建

    的土地所有制

    のもと

    での分割地農

    民の歴史的

    性格を

    しりえたのであるが、その

    内容

    一層明

    らかにするために、

    いま

    一度

    これを理論的

    に整理してみよう。

    一般

    に、分割地所有農

    民は種族共同体員

    の大量

    的移行、新

    い労働手段

    の発展、

    または他

    人の土地

    の奪取など、個

    々の共同体員

    の活動が

    一層発展するという条件

    によ

    って生ま

    れる。

    したが

    って、そ

    のような過程

    のな

    かで、

    「個

    々人

    がそれぞれの分割地である土地の私的所有者となるための条件はますます多くなり、その土地の個別化した耕作は、

    (10

    )

    とそ

    の家族

    にゆだねられる」

    のである。すなわち、

    ここにお

    いて、分割地農民が独立した自由な自営農民

    としての

    性格をも

    つに

    いたる

    のであ

    る。

    しかじ、そ

    の独立

    した自由な自営農

    民は、

    「共同体

    一員

    としての彼

    らの相互関係

    (11

    )

    より、共同の需要

    のための公有地

    の確保や、共

    同の栄誉などによ

    って保障されて

    いると

    いう事実

    にもとず

    いている」

    のであ

    って、そ

    こには共同体

    における成員権の範囲

    での自立、独立な分割地所有である。

    したが

    って、

    かれらは封建的諸義務

    の負担

    においては共同体

    の中

    で特権的地位

    におかれているが、所有関係

    におい

    ては、共同体

    の秩序に従

    っているのである。すなわち、

    かれらは、共同体

    の成員と

    して私的所有者

    なのである。

    かれ

    が土地としての自分の私有財産

    に関係するときは、同時

    にまた、共同体

    におけ

    る自分

    の成員権

    の基礎

    としてのこの私

    (12

    )

    有財産に関係す

    るのである。すなわち、農奴制

    が支配して

    いる社会

    では、かれら

    が私的土地所有

    ‖占有

    の形態

    におい

    て自由であり、特権的権利をも

    つも

    のであ

    っても、封建地代

    が剰余労働

    一般的形態としてあらわれて

    いるあ

    いだは

    D

    一般

    に私的労働

    が自立的

    ・独立的たりえな

    いのであ

    る。

    89(

    いずれにしても、

    ここで、われわれは農奴制以前における分割地農民と封建的土地所有制解体後の独立白営な分割

  • (892)一 ヨMマ ンの範帽5的考察 一61

    地農民とを無差別に同

    一概念

    で理解することの危険性を指摘しておかねばならな

    い。

    われわれが、独立的自営農民と分割地土地所有農民とを同

    一概念で理解するならば、それは封建的土地所有関係

    の過渡的段階に照応する

    「過渡的農民」を前提として考えねばならないのである。しかしこの場合、過渡的というの

    は、単に過渡的段階に存在するというだけでなく、独立的自営農民が自らの

    「土地の所有がこの経営様式の完全な発

    展のために必要なのは、用具の所有が手工業的経営の自由な発展のために必要なのと同様である。土地所有はこの場

    (13

    )

    合には、人格的自立性

    の発展

    のための基礎

    をなす。

    それは、農業

    そのも

    のの発展

    のためには、必要な

    一通過点であ

    る」

    いう歴史的意義

    をも

    っているのである。すなわち、それは農業そ

    のも

    のの発展

    にと

    っての

    一つの必要な通過点

    なの

    であり、必然的な歴史的経過であると

    いう

    ことと同時

    に、自営農民が自

    己の所有す

    る上地と労働手段そのも

    のの所有

    を資本制生産様式

    の発展

    によ

    って奪われるも

    のであると

    いう二重

    の歴史的意義である。・

    さらに、

    ここで過渡的農

    民としての自肯農民が、

    共同体的諸関係

    なり諸

    規制

    (封建的経済外強制)から完全

    に解放さ

    れたかどうか、

    みること

    にしよう。

    一般

    には、過渡的段階

    におけ

    る自営農民

    「経済外強制」から解放されたも

    のと考えられて

    いる。

    しかし、

    この問

    題は、

    周知

    のように日本

    の土地所有関係

    をめぐ

    っての論争

    でも指摘されたように、単純に規定

    づけられな

    いのではな

    いか。そ

    こで、

    この経済外強制

    ついて少

    し吟味してみた

    いと思う。また、

    この問題

    は過渡的農民としての自営農民

    を規定するための基本的問題

    を含んで

    いることでもあ

    る。

    過渡期

    におけ

    る経済外的強制

    の問題

    を究明するまえ

    に、

    まず、はじめに経済外的強制

    一般的規定

    を明らかにして

    おかねばならな

    い。

    マルク

    スは、

    経済外的強

    制に

    ついて、

    「生産諸条件

    の所有者

    と直接的生産者との直接的関係

    こそ

    は、ー

    この関係

    のそ

    のとき

    どきの形態

    は、

    つねに自然的に、労働

    の仕方様式

    ・したが

    って労働

    の社会的生産力

  • 62叢 一払fima

    学一 商(893)

    一・定

    の発展段階

    に照応するのだ

    が、ー

    つねに、そこに吾

    々が全社会的構造

    の、

    したが

    ってまた主権

    11および従属関係

    (14

    )

    の政治的形態の、要するにそのときどき

    の独自的国家形態の、

    いちばん奥

    の秘密、

    かくされた

    基礎」をなすものであ

    ると概念規定して

    いる。

    ここでは、生産手段

    の所有者

    と直接生産者

    の収奪関係

    として階級社会全般

    の問'題として抽象

    に規定

    して

    いる。封建

    的社会

    では、

    土地

    の独占的所有者

    ‖領

    主とそれを占右ある

    いは利用する直接的生産者

    U農奴

    の隷従関係を考え

    ることができ

    る。

    具体的

    には、

    「人格的な従属諸関係、程度

    はともあれ、人格的な非自由、

    およ

    (15

    )

    び、

    上地

    の附属物

    として土地に緊縛され

    ていること、本来的意味

    での隷

    属」を

    いう

    のである。そ

    して、そ

    の関係

    での

    「剰余労働

    はもはやその現物姿態

    では行われず、

    したが

    ってま

    た、

    もはや地主またはそ

    の代表者

    の監視

    や強制

    のもと

    では行われないのであ

    って、むしろ直接的生産者は、直接的強制の代りに諸関係の力により、鞭の代りに法律的規定

    (16

    )

    によ

    って駆

    りたてられる」

    ことになるのである戸すなわち、封建的経済外的強制

    の本来的形態は、人格的隷属関係

    全剰余労働収取

    のための農民

    の土地

    への緊縛であ

    る。

    この隷属関係が典型的

    に現われるのは、

    いうま

    でもなく農奴制

    土地所有関係

    である。

    では、

    このような経済外的強制

    を過渡期

    の自営農

    民に適用して考え

    てみよう。まず、第

    一の条件

    は、

    つまり土地所

    有者

    に対す

    る人身的従属

    からは解放されて

    いるとみてよ

    い。

    つぎ

    に第二

    の条件

    は、

    つまり剰余労働部分

    の収取は、貨

    幣地代

    によ

    って、契約上

    の明文

    にしたが

    って規定された契

    約関係

    の形態に転化

    している。

    したが

    って、

    この関係

    は、

    属関係

    ではなく独立

    した人格

    としての契約関係である。厳密

    な意味

    での本来的な経済外的強制

    からは、自営農民は

    一応解放

    されたと考

    えることができる。

    しかし、抽

    象的

    な広

    い意昧

    での経済外的強制

    からは解放されては

    いな

    いので

    ある。

    いう

    のは、

    この過渡的段階

    にお

    いても農民経済

    が、封建的領

    主経済

    から完全

    に分離

    されていな

    いという事情

    によるも

    のであ

    る。

    すなわち、

    領主

    の手には白営農民の分与

    のうち、きわ

    めて本質的部

    分であ

    る共同地

    (森林

    .採

  • (894)一 ヨー マ ンの範礁的考察 一63

    草地

    ・家畜の放牧場など)、さらには農村家内

    工業

    など

    の経済的支配

    がのこさ

    れて

    いる。

    一方、

    これを農民

    の側

    から

    みれ

    ば、農民経済

    がこれら

    の共同地

    (用益権)

    がなけ

    れば、

    白己

    の所有す

    る分割

    地における農耕労働

    のみで自立した経営

    を営む

    こと

    ができな

    った、

    いう

    ことを意味する。

    このような事情

    のな

    かで、領主は経済外的強制

    の可能性をやは

    (17

    )

    のこしていたのであ

    る。

    このよう

    に、自営農

    民が、本来的

    な分割地と労働手段の白由

    で独立な所有者であ

    っても、他面

    にお

    いて共

    同地と農

    村家内

    工業

    を不可欠

    に補足

    しなければならな

    いと

    いう経済状態

    におかれ

    ている以上、われわれは、

    かれらを完全

    に自

    で独立な農民と概念規定すること

    に疑問

    をも

    たざるをえな

    い。過渡的

    土地所有形態としての分割地

    土地所有農民

    11

    自営農民は、本来的な農耕農民を分割所有し、

    共同地

    の用益権

    を保有する自由な小生産農民であると厳密

    に規定すべ

    きであろう。

    したが

    って、過渡的段階

    におけ

    る分割地所有

    と土地所有

    の形態は

    「従来

    の古

    い諸形態

    のば

    いと同様

    に農村人

    口が

    都市

    口を数的に大

    いに凌駕

    していると

    いう

    こと、

    つまり、ともあれ資

    本制的生産様式

    が支配的だとし

    てもその発展

    が相対的にまだ低く、したが

    って他

    の生産諸部門

    でも資本

    の集積

    が狭

    い限界内

    で運動

    して資本分散

    が優勢

    だという

    (18

    )

    こと」を前提として存

    在す

    る。また

    「小土地所有

    の〕00提は、人

    口のはるか圧倒

    的大多数が農村人

    口であり、社会的労

    でなく孤立的労働

    が優易

    であ

    ること、

    したが

    って、富

    と再生産ーそ

    の物質的ならびに精神的条件ー

    の発展

    したが

    (19

    )

    て合理的耕作

    の諸条件

    もかかる事情

    のもとでは排除されて

    いること」

    であ

    る。

    この

    マルク

    スによる分割地農民の歴史

    的規定は、

    封建制解体から

    マニュファクチ

    ュアの段階までに照応

    したものと理解される。

    それゆえに、

    「分割地所有

    は、本性上、労働

    の社会的生産諸力

    の発展、、労働

    の社会

    的諸形態、諸資本

    の社会的集積、大規模な牧畜、科学

    の累進

    (20

    )

    的応用、を排除す

    る」と

    いう前提条件が考えられ

    るのであ

    る。

  • 64

    叢善ム両閥

    学一 商(895)

    ここで、

    マルクスによる分割地農民

    の存在する前提とその本性

    の規定

    ついて吟味

    してみよう。

    これら

    の諸点

    で、分割地農民

    の歴史的前提条件

    の規定

    ついてはす

    でに明

    らかにされて

    いる

    ので問題はな

    いと思う

    が、分割地農民

    か、

    「その本性

    上」な

    ぜに

    「労働

    の社会的生産諸力

    の発展」などを排除

    しなけ

    ればならな

    いのか、

    いう問題

    は、

    ヨー

    マンの概念規定

    のうえからもより立

    ち入

    って考察すべぎ問題

    である。すなわち、分割地農民

    の生産

    諸力

    の発展が、資本主義的諸関係

    の未発達

    であるという外的条件

    によ

    って規定されるのか、あ

    るいは、分割地農民自

    のな

    かに

    これら

    の発展

    を排除する

    「本性」をも

    っているものかどうか。

    このことをいいかえれば日営農民

    の発展

    外的条件

    にあるとするならば、資本制生産

    の発展過程

    とともに、民富形成および生産手段

    の拡大と

    いう近代産業資本

    への自成的発展

    という上昇

    コー

    スが理論的に説明されるし、それとは逆に、

    かれら自身

    のなかに、

    その発展を排除

    るという本性

    をも

    つも

    のであ

    るならば、資

    本制生産

    の発展

    のな

    かで、

    かれら

    の自由な

    土地所有

    が必然的

    に崩

    壊し、

    近代賃労働者

    に転化して

    いく下降

    コー

    スが理論的

    に成、Uする。

    この問題は

    いわゆる従来

    の系譜論、範疇論を理解す

    るため

    一つの指標

    をなすも

    のと考え

    る。それはともあれ、

    マルク

    スの解明を吟昧

    し、あわせてわれわれの見解をの

    べることにしよう。

    マルク

    スが、

    これを規定して

    いる前後

    の説明

    から、われわれは

    つぎ

    のよう

    に理解す

    ることができ

    る。す

    なわち、自

    営農民

    の自由な

    「土地所有を崩壊さ

    せる諸原因

    は、土地所有

    の制限

    を示す」

    ことを規定して

    いる。

    そして

    「そ

    の諸原

    因は、大

    工業

    の発展

    の結果たる土地所有

    の正常的補足をなす農村的家内

    工業

    の絶滅。

    こうした耕作

    のもとにおかれた

    土地の漸次的な疲弊と吸取。蕎

    所有地の、杢

    地所喜

    による賢

    」など・その崩壊の外的条件を説明している・

    同時

    に、

    その後

    の説明では

    「高利と租税制度

    とは、分割地所有を

    いたるところで窮乏化させざ

    るをえな

    い。土地価格

    におけ

    る資本

    の支出

    は、

    この資本

    を耕作

    から取り上げ

    る。限りな

    い、生産手

    段の分散および生産者

    そのも

    のの離散。

  • (896)

    人間力

    の老大な浪費。生産諸条件の累進的悪化と諸生産手段の騰貴とは、分割地所有の必然的な

    一法則である。

    この

    (22

    )

    生産様式

    にと

    っての豊作

    の不幸」をもたらすも

    のであ

    ると、崩壊

    の原因を自営農民の

    「本性上」

    の生産様式

    にもとめ

    ているのである。

    これら

    マルクスの二

    つめ側

    面から

    の説明では、そ

    の結論をだす

    ことは

    いまだ不十分であろう。

    それは、これら小生産様式を貫く自営農民

    の内在的必然性

    の究明によ

    ってはじめて明らかにされる問題

    である。

    一一 ヨーマ ンの範曙的考察65

    (1

    )

    「ヨ

    ン」と

    は、

    に、

    の「カ

    ンタ

    リ物

    (○・O富

    二〇〇さ

    ↓古⑳

    ○①暮

    Φ「亘⊂蔓

    ↓巴Φ。り)

    の当

    「ヨー

    ン」

    「ナ

    の槍

    」、あ

    は、

    「家

    」、

    「従

    」、

    「奉

    れ、

    て軍

    の任

    よう

    (こ

    のく

    £

    は、

    「イ

    ・ヨー

    の研

    )。

    (2

    )

    出.↓①き

    ①ざ

    ↓冨

    〉σq叶①「{昌

    。げ冨日

    穿

    む。…蓉

    0雪

    、鳥

    N・

    (3

    )

    ↓四≦器

    ・o…吟こ

    巳。。.

    (4

    )

    弓①≦ロ①S

    oU.合

    〇・昌

    (5)

    ・マ

    の慣

    「第

    !

    は領

    コピ

    い。

    て領

    し何

    〔一時

    い」。

    (Z.むo・ロ・

    .昏

    ・国・Ω

    O「ロ切)

    ρ

    て明

    いる

    (こ

    の研

    は、

    「寄

    の研

    一章

    の基

    (吉

    )

    で参

    )。

    (6

    )

    ↓但≦o⑱子

    o層・。=こ

    ℃・お

    (7

    )

    ・マ

    「資

    4

    =

    二六

    (8

    )

    一部

    (9

    )

    のも

    の自

    て秦

    に要

    「第

    一に

    ング

    ンド

    は種

    が、

    る自

    ング

    が、

    に封

    て持

    ・ヴ

    ァー

    ター

    (あ

    ゴ巴やく冒頓呉⑳吟)

    は、

    の成

  • 66叢一≡ムlilWI

    学商一(897)

    で、

    れ、

    に忠

    て、

    がヴ

    の身

    へと

    は、

    で、

    が多

    た。

    に、

    いわ

    の構

    であ

    、.一に

    の基

    の上

    マナ

    て行

    に、

    村ピ①ロm

    の完

    て、

    .定

    て釆

    「共

    て特

    が、

    し農

    「共

    一員

    て存

    「共

    の共

    な特

    いた

    て彼

    が保

    た。

    に、

    ンな

    にす

    が、

    「共

    て、

    は反

    「共

    に、

    ろ非

    L

    (秦

    「前

    )。

    (10

    )

    ・マ

    「資

    (

    「マ

    ・エ

    ・上

    ・一.一.九

    )。

    (11

    )

    一.九

    (12

    )

    三〇

    は別

    「小

    し、

    は、

    の使

    る労

    のー

    の、

    15

    が老

    のー

    る」

    (「資

    一部

    一頁

    )。

    -

    (13

    )

    ・マ

    「資

    ユ鯛」

    三部 、

    一一、一六

    百ハ。

    て賦

    と資

    の結

    つぎ

    「資

    一挙

    一挙

    は消

    て、

    つ可

    は、

    の特

    と資

    (「レ

    三巻

    一八

    三頁

    )。

    (14

    )

    ・マ

    「資

    一五

    (15

    )

    一..部

    一四

  • (898)一 ヨー マ ンの範疇的考察 一

    67.

                 22212019181716)))))))

    同 同 同 同 カ レ 同

    書 書 書 書ll書、 、 、 、 ル

    ニ ・

    第 第 第 第 ・ ン 第 の       マ ニご        ら  コ ロ の

    部 部 部 部 ル 前 部、 、 、 、 ク き局 、

    下 下 下 下 ス 書 下、 、 、 、Li

    コー一 一 一 ・一 資 … 一一・ ・ 一 … 本 八 一

    三 三 三 四 論 三 …

    七 六 七 五L頁 五

    頁 ~ 頁 頁 第 。 項。 七 〇 。 三 。

    頁o

    部、

    下、

    ヨー

    マン

    の経

    的規定

    独立的自営農民H分割地農民としてのヨー

    マンを貫

    くところ

    の経済的規定は、剰余農産物価格を決定す

    る法則性

    よび地代

    H借

    地料

    の決定を支配する法則性

    にもとめねばならな

    い。

    こで、われわれはまず、分割地農民の地代から検討をはじめることにしよう。

    一般

    に、分割地所45形態

    のもとでの地代

    は、剰余価値

    の通例的、

    一般的形態

    をなす封建制地代

    から、剰余価値

    から

    まず資本

    の利潤が控除されると

    いう資本主義的地代

    へ転化す

    る場合

    の、過渡的地代範疇

    を形成するも

    のと

    いわれてい

    る。それは、自己

    の超過労働

    のであ

    るか他

    人の労働

    のであ

    るかをとわず、貨幣地代に表示された剰余労働

    の給付後に

    (1

    )

    なお残るところ

    の、

    いわゆ

    「胚芽的利潤」

    (①日げ昌。曇

    合Φ印。宗)

    一般的形態

    である。

    それが分割地農民

    の場合

    は、自

    己の労働および資本

    のための不可欠な就業場面

    として現象す

    る土地を私有すると

    いう形態

    にあるために、

    「借

    地料も支払

    われず、

    したが

    って地代は、剰余価値

    の分化形態としては現象

    しな

    い、ー

    いっても地代は、

    ともあれ資

    本制的生産様式

    が発展

    している諸国

    では、他

    の生産諸部門

    との比較

    による超過利潤として、但し、総じ

    て農民

    の労働

  • 68叢一

    論学一 商(899)

    (2

    )

    の全収益

    と同じく農民

    に帰属す

    る超過利潤

    として、

    みず

    からを表示する」

    のである。さら

    に、

    この場合

    の地代

    の性格

    はv

    「資本制的生産様式

    のもと

    でと同様

    に、差額地代すなわち、優等地ま

    たは位置

    のよ

    い地所

    にと

    っての商品価格

    (3

    )

    超過部分が実存する」のである。したがって、資本主義の未発展な段階では余分な生産物として現象し、優等地に生

    (4

    )

    る差額地代部分が

    「より有利な自然的条件

    のも

    とで自

    分の労働を実現させ

    る農民

    のポケ

    ットに流れ

    こむ」

    のである。

    ころで、

    このような地代が成

    立す

    るためには、当然に剰余生産物

    を貨幣化するための市場関係

    の成立

    が、前提

    され

    ていなければならな

    いのである。事実、イ

    ングラ

    ンドにおいては、十三世紀に早くも市場

    の成立をみ、わけ

    ても

    十四世

    紀後半以後、

    いわゆる局地内市場

    の拡大

    が農奴制

    の解体と併行

    し、それと相互関係をも

    ちな

    がら展開し

    てゆく

    のである。それらは同時

    に、

    この時期

    「価格革命」と

    いわれる

    ほどの穀

    ・羊毛

    を中

    心とした経済変動がみられ、

    (5

    )

    農民のあたらしい負担形式とな

    ったところの固定的な貨幣地代は、実質的にたえず軽減される傾向にあ

    った。これら

    の事情が、貨幣地代で表示される剰余労働の支払

    ったのちになお残る胚芽的利潤形成の根源である。

    それを地代の観点で規定すれば、分割地農民のもとでは、最劣等地には何らの地代部分も実存しないが、優等地で

    は、かれらに白家労賃部分と合体して流れこむ差額地代が生まれるということである。しかし、ここでは、差額地代

    によ

    ってもたらされる胚芽的利潤が、かれらを貫く内在的法則にもとつくものか、それとも偶然的な商品交換による

    需給の偶然的変動によってもたらされるものであるかという問題が残される。それは、かれらの剰余生産物の価格形

    成の分析によらねばならない。

    分割地所有農民のもとにおける剰余生産物は、

    「農村生産物の圧倒的部分がその生産者たる農民たち自身の直接的

    (6

    )

    生活維持

    手段

    として消耗され、

    それ以上

    の超過分だけが商品として都市との商業

    に人りこむ」と

    いう

    ことがまずそ

    前提とな

    るのである。したが

    って、かれらの所得

    ‖胚芽的利潤範疇

    「自分自身

    のために労働

    し自

    分自身

    の生産物を

  • (900)一 ヨーマ ンの範疇的考察69

    売るとす

    れば、彼

    は第

    一には、自分白身を労働者とし

    て充

    用す

    る自分自身

    の雇傭者

    (資本家)と看なされ、

    また、

    分自身

    を自分

    の借地農業者とし

    て充用する自分自身

    の土地所有者と看なされる。彼

    は賃労働者

    とし

    ての自分

    には労賃

    (7

    )

    を支払

    い、資本家

    としての自

    分には利潤を請求

    し、土地所右者

    としての自分には地代

    を支払う」と

    いう関係

    にお

    いて

    生まれるのである。

    これは、

    いうま

    でもなく、所有

    が所得

    を生むと

    いう資本主義的所得概念を小農民に適用

    した抽象

    的規定

    であ

    って、

    それら

    の所得

    が実現されるという必然性を有

    するというのでは決してな

    いのである。だ

    から土地

    資本

    ・労働

    のす

    べてを私的所右す

    る分割地農民

    にお

    いては、

    「分割地農民が白分

    の土地を耕作するため、または土地

    を耕作

    用に買うためには、正常的な資

    本制的生産様式

    のばあ

    いのよう

    に、土地生産物

    の市場価格

    が彼

    に平均利潤をー

    ましてや地代

    の形態

    で固定さ

    れた、

    この平均利潤をこえる超過分をーもたらす

    に足りるだけ騰貴

    することは必要

    でな

    (8

    )い」と

    いう現象

    が生まれるのである。

    すなわち、'分割

    地農民

    の場

    合には、かれらの生産物価値

    (剰余労働部分)が

    つね

    に市場価格とし

    て実現する必然性を

    たな

    いのであ

    る。したが

    って、

    かれらの剰余生産物

    の調整的市

    場価格

    「異常

    な弔情

    のもとでのみ生産物

    の価値

    達する」

    ことがあ

    っても、

    一般

    的には市場価格

    が生産物

    の価値

    または生産価格

    にまで騰貴す

    ること

    はな

    いのであるか

    ら、

    「最も不利な条件

    のもとで労働する農民の剰余労働

    一部分は、無償で社会

    に贈与されるのであ

    って、生産価格

    (9

    )、

    の調整

    または価値

    形成

    一般

    には参加

    しな

    い」

    のであ

    る。

    このよう

    に、自営農民

    の剰余労働部分

    が価格形成

    に参加せず、

    社会

    に無償

    で贈与

    されると

    いう必然性は、

    さき

    に指摘

    したように、

    かれら

    の生産物が直接的生活

    手段

    とし

    て消耗され、

    それ以上の超過分だけ

    が商品として都市

    との商業

    には

    いり

    こむ、

    いう関係

    によ

    って

    つくりだされるのである。すな

    わち

    かれらの過翼

    の商品化が、いまだ昌

    消費を越竃

    にすぎないという黒

    自足経済を基盤とした段

    での限

    られた商品交換

    であると

    いう

    ことであ

    る。

    さらに、心う

    一つの点

    は、そ

    の交換

    の基礎

    が、社会的

    に必要な労働

  • 70叢一、!」

    ilru

    学商一

    (901)

    時問に比例

    して相互に交換されると

    いう社会的労働

    にもとつくも

    のではなく、その労働は

    「孤立化された労働

    であり、

    (10

    )

    生産性

    の客観的なー社会的ならびに物質的なー諸条件を奪

    われた、それらを失

    った」労働力

    の自給

    によるものである。

    したが

    って、「それら

    の生産

    のために社会的

    に必要な労働時間が、たとえば家

    が頭

    上に崩

    れ落

    ちる場合

    の重力

    の法則

    (11

    )

    ように、規制的な自然法則

    として暴力的に自己を貫徹す

    る」と

    いう商品

    の市場価値規定

    を包含するものではな

    い。

    それゆえに、自営農民としての分割地農民

    のもとにおける農産物価格は、

    「本来

    的な費用を控除

    したのち彼

    が日分

    自身

    に支払

    う労賃」

    によ

    って規定される。厳密

    には、

    「資本制的生産様式

    のもと

    でと同様

    に、差額地代すなわち、優

    (12

    )

    等地または位置

    のよ

    い地所

    にと

    っての商品価格

    の超過部

    分が実存する」

    のである

    から、農産物価格は

    「最劣等地

    の生

    産物

    の費

    用と自家労賃

    によ

    って決定されることになる。

    したが

    って、そ

    の価格

    つね

    にこれら費

    用価格水準

    によ

    って固定化する必然性を有

    しな

    いのである。それゆえ

    に、

    「生産物

    の価格

    がかれらに労賃を保障す

    るかぎり、

    かれらは自分

    の土地を耕作するはず

    であ

    って、

    この労/7はしばし

    (13

    )

    ば肉体的最低限度まで下る」

    という現象

    が現われるのである。そし

    て、その低

    い価格

    「生産者

    たち

    の貧窮

    の結果

    (14

    )

    って、

    かれら

    の労働

    の生産性

    の結果

    では決

    してな

    い」

    いう

    ことをここで明らかにし

    ておかねばならな

    い。

    このこ

    とは、も

    っとも不利

    な自然的条件

    のもと

    で生産された分割地農民

    の生産物価格

    つね

    に剰余労働を含

    まな

    いも

    のとし

    て規定されることを指

    し示すものである。

    こうして、独立的自営農民

    11分割地農民の農産物価格

    が、擬制的意昧

    での価値や生産価格

    よりも低く決定されると

    いう法則性

    は、

    かれら

    の生産様式それ自身

    から必然的

    に規定されるも

    のであり、決してかれら

    の労働

    の生産性

    の結果

    でな

    いこと

    が明

    らかにな

    ったのであ

    る。

    したが

    って、

    このことは当然

    に、

    たとえ

    一時的

    に剰余労働

    の超過部分

    がかれ

    のもとに生じたにしても、それ

    は偶然的なも

    のであ

    って、決

    して固定化され

    る性質

    のも

    のではな

    いことが明ら

    かに

  • (902)ヨーマ ンの範聴 的考察71

    (15

    )

    れるであろう。さらに、そのことが同時

    に、さきにも少し指摘

    したように、擬制的意味での剰余労働ま

    たは剰余価

    を除去

    したところの交

    換は、決し

    て価値通り

    の等価交換を意味す

    るも

    のではなく、それは費用価格

    での交換

    にすぎ

    いのである。

    これら

    の論拠

    によ

    って、われわれは独立自営農民

    の生産

    「単

    に商品の等価交

    への法則性を与え

    るのみでなく、

    (16

    )

    品生産者

    の内部

    に分解

    をひきおこし、そ

    の法則性

    ・価値法則

    をあくまで貫徹させる」

    いう考え方

    にた

    いしては疑

    をも

    たざるをえな

    い。

    これら

    の理論的展開は、産業的中産者

    が剰余生産物

    の胚芽的利潤

    の蓄積

    によ

    って、自ら

    のう

    ちに生産力

    を近代的に培養

    し、小農経営

    を資

    本制経営

    に拡大発展せしめると

    いう、

    いわゆる自営農民の富裕化

    の理論

    的根拠

    にな

    って

    いる。

    周知

    のよう

    にこれらの論拠は自営農民

    の両極分解

    であ

    って、封建制

    から資本制生産

    への移行過程は、産業的中産者

    の価値通りの交換

    による自由競争

    によ

    って、

    かれら

    の勤勉

    と怠惰にも

    とづく自己分解が資本関係

    を創出すると

    いわれ

    るも

    のである。

    しかし、

    われわれは、先

    にのべたごとく

    一般

    には等価交換

    ではなく、

    この段階

    こそむしろ前期的資本

    の不等価交換

    によ

    る小商品生産者

    の破壊

    が進行す

    る過程と理解す

    べき

    であ

    ると考え

    る。

    したが

    って、

    このような理論

    根拠にた

    ってはじめて、さきに指摘した分割地所有

    が、

    「本性上」、

    労働

    の社会的生産諸力

    の発展

    ・労働

    の社

    的諸形態

    ・諸資本

    の社会的累積などを排除すると

    いう規定や、高利と租税制度が

    「時

    には暴力的」

    に、

    「時

    には吸

    血的」

    な方法

    で分割地所有者を窮乏化さ

    せる、

    という

    マルク

    スの諸規定

    が、明

    らかにされるのである。

    以上、われわれは、自営農民の正常的存在形態

    である分割地所有農民

    の内在的諸法則

    ついてみてき

    たのであるが、

    その亜種的形態

    と考えられる

    「借地保有農民」(一⑳恥oロm汀O一亀Φ嵩)に

    ついて簡単

    にふれ

    ておきた

    い。

    ちろん、

    この借地農民を官営農民

    の範疇として理解するかどう

    かに

    ついては、

    かなり問題

    があるのだが、

    ここで

  • 72叢一鮪酊旧

    学一 商(903)

    は借

    地農民を封建制

    から資本制

    への

    「過渡的農民」

    として、

    一応自営農民

    の奇

    型的形態

    として規定

    してお

    こう。した

    って、われわれがここで自営農民

    の範疇と

    して考え

    る借地農民は、十五ー十

    六世紀

    にイギリ

    スにみいだされる

    「小

    定期借地保有農民」(むD日①一一一Φ①切OげO一ユΦ「ω)であ

    って、

    マルクスのいう領主直

    営地の

    一括

    貸付

    を受ける

    「大定期借地保有農

    (17

    )

    民」

    (一烏ぴqこ

    ⑳器各巳臼氏・。)(「資本制的借地農」(8葺呂・・二

    ①§

    伶『切)の先駆的原型)を

    いう

    のではな

    い。

    これは別個

    の範疇の

    農民とレて考え

    るべき性質

    のも

    のであ

    って、

    ヨー

    マンを拡張解釈して、他人

    の労働

    を雇傭して

    いるような大農場経営

    までもそ

    の概念

    のな

    かに入れ

    ることは許されな

    いのである。

    いずれ

    にしても、借地農業者

    は、分割地農民と等

    しく、過渡的

    ・中間的諸形態に属するとは

    いえ、自由な分割地所

    を失

    ったか、ある

    いは、農奴

    解放後

    にお

    いてもその所有

    が認

    められな

    ったために、定期的契

    約によ

    って耕作地

    借入れてい京

    定期借地保裏

    民である・そして・その借入耕地は・主として領主あるいは新地主H寄生齢

    の私有

    を借

    入れ

    たものとみなされる。

    したが

    って、かれらは、

    独立自営な分割地保有農

    民と異なり、地主

    土地所有と

    の対

    立関係

    にあると

    いう点

    にその特徴があるのである。

    こうし

    て、分割地農民と小定期借

    地保有農民とにお

    いては、基本的な生産手段とく

    に土地所有関係が異な

    っており、

    したが

    って、

    かれらを貫

    く経済法則性も当然に相違した形

    であらわれるのである。そ

    こで、

    われわれは、借地保有農

    の再生産条件を検討す

    ることによ

    って、さらに、そ

    の歴史的性格を明ら

    かにしなければならな

    い。

    まず、はじめに

    マルクスが借地保有

    農民

    の経済法則

    ついていかに規定して

    いるかを吟味

    してみよう。し

    かし、・このことに

    ついての

    論述は

    「資本論」

    のなかではほとんど統

    一的

    に説明され

    ていな

    いのである。

    ここでは土地所有

    との関係にお

    いて、名

    目的地代

    としての借

    地料

    に加えて、

    土地

    に合休さ

    れた小資本

    をも収奪

    される

    ことを説明し

    ている。

    そして、

    マルクスはその名目地代

    の実例として、ジ

    ・ン

    .L

    ・モルト

    ンの

    「地産

    の源泉」

    を引用し

    「幾多

    の地方

  • (904)一 ヨーマ ンの範疇的考察 一

    ・̀

    で大借地の地代が小借地の地代よりも低いことが認められているが、それはけだし、

    『小借地を求める競争は普通に

    は大借地を求める競争よりも大き

    いからであり、また、農業以外の何らかの仕事に就くことが滅多にできない小借地

    農業者たちは、比較的に適当な仕事を見

    いだす必要に迫られて、高すぎることを自ら知

    っている地代を進んで支払お

    (19

    )

    うとすることがしば

    しばあるからである』

    と」

    って

    いる。

    これは、小定期借地農民がかれら相

    互の、とりわけ大定

    期借地農民との激

    しい競争

    のもと

    に支払

    われる競争地代

    (8日駕↓三く。器暮)ある

    いは搾取地代

    (田筈・苫忌)の説明と考

    えてよ

    い。そ

    のばあ

    い、小定期借地農民は、地代を競う過程

    で、地代

    が必要労働部分ー擬制的

    いえば、

    かれら

    の利

    潤はおろか労賃部分ま

    でーに食

    い込むま

    で高

    められ、

    かれら

    の貧窮

    と没落

    をはや

    めることになる。事実、こう

    した事

    はイギ

    リスの十七世紀

    における旧修道院領を獲

    得した宮

    廷貴族、ジ

    ェントリーおよび都市商人層

    のもとにおいてか

    なり広汎

    に見られる。

    いずれにしても、競争地代や搾取地代を課

    せられ

    ているような小定期借地保有農民のもとでは、分割

    地農民と同じ

    よう

    にその

    「本性」にお

    いて、剰余生産物

    一部分を拡大

    ・蓄積しな

    がら資本制的借地農

    へ上昇発展す

    ると

    いう要因

    を何

    一つも

    っていな

    いことが明らかにな

    ったとおもう。

    以上、われわれ

    は、自営農民たる

    ヨー

    マンのも

    つ内在的諸法則を明ら

    かにす

    ることによ

    って、かれら

    のあゆむ

    べき

    歴史的方

    向が、商人的

    ・高利貸的

    吸着など

    の外的要因のみでなく、それ自身のも

    つ必然的な崩

    壊法則

    によ

    って導

    かれ

    いる

    ことをみることができ

    た。

    したが

    って、自営農民が農奴解放をみず

    からの手

    でたたか

    いとり、そ

    の剰余生産物

    を商品経済

    ・貨幣経済

    のな

    かに移

    入しな

    がら、胚芽的利潤

    を拡大

    ・蓄積

    して、

    ついに近代産業資本に成長し

    ていく両

    極分解論

    にもと

    つく経路

    は、系譜的

    に立証されるとし

    ても、範疇としては否定されねばならな

    い。範疇的

    に自営農民

    たる

    ヨー

    マンは、圧倒的比重にお

    いて近代賃

    金労働者に転化

    してい

    ったと把握しなければならな

    い。

    このような分折

  • 74叢 一 一

    論学商(905)

    視角

    にた

    ってはじめ

    て、自

    由で自営な農民

    である

    ヨー

    マンの崩

    壊過程が法則的に理解さ

    れるのではな

    いだろうか。

    れらは、封建的土地所有

    の否

    定によ

    って誕

    生し、そ

    のもとで全精力を発揮し自らを止揚

    しながら封建制社会

    を根本的

    にほ

    りくず

    し、近代資本制的生産

    つくりだす

    ための架橋的役割

    をはたす

    のであるが、そのことが同時

    に自ら

    の存在

    否定す

    る悲惨

    な歴史的運命

    を担

    っていたのである。

    すなわち、

    かれらのはたした偉大な市民的民主主義革命

    は、封建

    的生産様式

    の基

    本的な変革を前提

    としてすすめられる

    のであ

    って、それが同時

    に、

    ヨー

    マゾ

    のよ

    ってた

    つ物質的基礎、

    すなわち封建的土地所有

    に対応した小土地所有制

    をうばう

    ことをも意味するものであ

    った。

    このことは、

    ヨー

    マンの

    (20

    )

    封建的土地所有を究極

    の地盤

    とし

    ているところの

    「中間

    的な中途はんぱ」

    な小経営

    が、資本制生産

    の端緒

    とし

    ての

    ュフ

    ァクチ

    ュア生産

    の進行する過程

    にお

    いて破綻

    せざるをえな

    い運命

    におかれて

    いることを物語

    るも

    のである。そ

    こに自営農民

    の、したが

    ってヨー

    マンの消滅過程

    があると

    いえ

    るのである。それゆえ

    にこの過程

    「本質

    的には、土

    地からのはたらき手の分離

    の過程であり、

    かれを

    ヨー

    マン、自由な勤労者、

    小土地所有者ある

    いは借地農

    (コロー

    ス)、自由

    な農民として

    いた土地所有

    の諸関係

    の分解

    であり、労働要具にた

    いするはたらき手

    の所有なら

    びに

    一定

    の手

    工業的熟練としての労働

    そのも

    (たんに所有

    の源泉

    としてのそれではな

    い)

    にた

    いするかれの所有を前提する、同

    職組合的関係

    の蕊

    」であワ

    このようう歴史的過程こそ・ほかならぬヨ↓

    ンの

    「階級分ぎ

    の過程である・それ

    ヨー

    マンが近代賃労働者層

    と近代資本家層と

    に、

    とく

    に範疇的

    には賃労働者

    に階級分解

    を遂げ、したが

    って、

    その

    本質

    にお