19
193 第 5 章 主ポンプの設計 J m min D E F G I M N L min Y P O Q h T t W Z E mm d φ C φ J m min D E F G I M N L min Y P O Q h T t W Z E mm d φ C φ 注 1) L min は主ポンプとして短くできる最小寸法を示す。 2) 吐出し量 36m 3 /min 超~50m 3 /min 以下の主ポンプ寸法は、標準流速オープン形吸込水槽を採用する。 3) 全揚程が斜流ポンプで 3.2m 以下、軸流ポンプで 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照の上、適用する。 注) 適用条件は、表-5.48 の注 1)~3)を参照のこと。 表-5.48 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅰ型ポンプ、一床式、高流速オープン形吸込水槽)寸法 表-5.49 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅱ型・Ⅲ型ポンプ、一床式、高流速オープン形吸込水槽)寸法 1,550

193 第5章 主ポンプの設計 hT t W Z - maff.go.jp...hT t W Z E mm d φ C φ 注1) L min は主ポンプとして短くできる最小寸法を示す。 2) 吐出し量36

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193

第 5 章 主ポンプの設計

Jm

min

DE

FG

IM

NL m

inY

PO

Qh

Tt

WZ

E

mm

d φC

φ

Jm

min

DE

FG

IM

NL m

inY

PO

Qh

Tt

WZ

E

mm

d φC

φ

注1)

Lm

inは主

ポンプと

して短

くでき

る最

小寸

法を

示す

2)

吐出

し量

36

m3/

min

超~

50m

3/

min

以下

の主

ポン

プ寸

法は

、標

準流

速オ

ープ

ン形

吸込

水槽

を採

用す

る。

3)

全揚

程が

斜流

ポン

プで

3.2

m以

下、

軸流

ポン

プで

2.5

m以

下の

場合

は、「

5.4.4.1〔

参考

〕主

ポン

プ選

定上の

注意」を

参照の

上、適用

する。

注)

適用条

件は

、表

-5.48の

注1)~

3)を

参照

のこ

と。

表-5.48 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅰ型ポンプ、一床式、高流速オープン形吸込水槽)寸法

表-5.49 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅱ型・Ⅲ型ポンプ、一床式、高流速オープン形吸込水槽)寸法

1,550

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194

技 術 書・ポ ン プ 場

⑬ 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ

(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型ポンプ、一床式、セミクローズ形吸込水槽)

注 1) LWL は最低吸込水位、LLWL は非常停止吸込水位を示す。

2) 仕上り床面はシンダーコンクリート打設の場合、打設後の床面を示す。

3) Z 寸法は、一段減速の場合の最小値を示す。二段減速の場合、概ね、Z=D としてよい。

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195

第 5 章 主ポンプの設計

mm

inD

EF

GI

RL m

inh

kT

tZ

WJ

E

mm

d φC

φθ

Q

mm

inD

EF

GI

RL m

inh

kT

tZ

WJ

E

mm

d φC

φθ

Q

注)

適用条

件は

、表

-5.50の

注1)~

3)を

参照

のこ

と。

注1)

Lm

inは主

ポンプと

して短

くでき

る最

小寸

法を

示す

2)

セミ

クロ

ーズ

形吸

込水

槽は

吐出

し量

200

m3/

min

超~

600m

3/m

in以

下の

主ポ

ンプ

に採

用す

る。

3)

全揚

程が

斜流

ポン

プで

3.2

m以

下、

軸流

ポン

プで

2.5m

以下

の場

合は

、「

5.4.4.1〔

参考

〕主

ポン

プ選

定上の

注意」を

参照の

上、適用

する。

表-5.50 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅰ型ポンプ、一床式、セミクローズ形吸込水槽)寸法

表-5.51 減速機搭載形立軸軸流及び立軸斜流ポンプ(Ⅱ型・Ⅲ型ポンプ、一床式、

セミクローズ形吸込水槽)寸法

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196

技 術 書・ポ ン プ 場

⑭ 大容量立軸軸流ポンプ(二床式)

表-5.52 大容量立軸軸流ポンプ(二床式)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法 (mm)

d C Db Ds F G H I J □K

600 超~ 740 以下

740 超~ 850 以下

850 超~1,000 以下

1,000 超~1,150 以下

2,200

2,400

2,600

2,800

3,000

3,200

3,400

3,600

2,400

2,600

2,800

3,000

2,800

3,300

3,800

4,000

3,200

3,500

3,900

4,200

6,000

6,600

7,000

7,600

4,200

4,600

5,000

5,500

1,800

2,000

2,200

2,400

4,200

4,600

5,000

5,600

4,000

4,300

4,600

5,000

注 1) 斜線部は主ポンプ本体の一部であるので、模型試験により性能を確認して、二次コンクリートにて適切な形状、寸法を決

定する。 2) LLWL は、吸込水槽の非常停止吸込水位を示す。 3) 仕上がり床面は、シンダーコンクリート打設の場合、打設後の床面を示す。 4) インペラ没水深さは LLWL より 1,000mm 低いレベルとする。

5) 全揚程が 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照の上、適用する。

6) 主ポンプの性能は、上図のⓍ~Ⓨ間の模型(主ポンプ並びに水路)を製作し、模型試験にて確認する。

7) 本表は標準比速度ポンプ・クローズピット形吸込水槽における寸法であり、高比速度ポンプ・高流速クローズピット形吸

込水槽の場合は、「高 Ns・高流速ポンプ設備 計画設計技術指針」を参照する。

また、標準比速度ポンプ・高流速クローズピット形吸込水槽の場合は、別途検討が必要である。

LLWL

Ds Db

d

K

Db I

J

F H

G

C

φ

φ

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197

第 5 章 主ポンプの設計

⑮ 大容量立軸斜流ポンプ(二床式)

表-5.53 大容量立軸斜流ポンプ(二床式)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法 (mm)

d C Db Ds F G H I J □K 600 超~ 740 以下

740 超~ 850 以下

850 超~1000 以下

1000 超~1150 以下

2,200

2,400

2,600

2,800

3,200

3,500

3,800

4,000

2,400

2,600

2,800

3,000

2,800

3,300

3,800

4,000

3,400

3,700

4,200

4,500

6,000

6,600

7,000

7,600

5,600

5,900

6,500

7,000

1,800

2,000

2,200

2,400

4,200

4,600

5,000

5,600

4,000

4,300

4,600

5,000

注 1) 斜線部は主ポンプ本体の一部であるので、模型試験により性能を確認して、二次コンクリートにて適切な形状、寸法を決

定する。

2) LLWL は、吸込水槽の非常停止吸込水位を示す。

3) 仕上がり床面は、シンダーコンクリート打設の場合、打設後の床面を示す。

4) インペラ没水深さは LLWL より 1,000mm 低いレベルとする。 5) 全揚程が 3.2m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照の上、適用する。

6) 主ポンプの性能は、上図のⓍ~Ⓨ間の模型(主ポンプ並びに水路)を製作し、模型試験にて確認する。 7) 本表は標準比速度ポンプ・クローズピット形吸込水槽における寸法であり、高比速度ポンプ・高流速クローズピット形吸

込水槽の場合は、「高 Ns・高流速ポンプ設備 計画設計技術指針」を参照する。

また、標準比速度ポンプ・高流速クローズピット形吸込水槽の場合は、別途検討が必要である。

LLWL

Ds Db

d

K

Db

I

J

F H

G

C

φ

φ

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198

技 術 書・ポ ン プ 場

⑯ 軸流形チューブラポンプ

表-5.54 軸流形チューブラポンプ(Ⅰ型)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法(mm)

d1 d2 L P W1 W2 H1 H2

36 超~ 50 以下

50 超~ 70 以下

70 超~ 90 以下

90 超~115 以下

115 超~150 以下

150 超~200 以下

200 超~255 以下

255 超~325 以下

325 超~400 以下

400 超~480 以下

480 超~600 以下

600

700

800

900

1,000

1,200

1,350

1,500

1,650

1,800

2,000

600

700

800

900

1,000

1,200

1,350

1,500

1,650

1,800

2,000

2,700

2,700

2,900

3,100

3,400

3,900

4,300

5,000

6,500

7,000

7,500

1,220

1,320

1,380

1,590

1,640

1,760

2,000

2,100

2,600

2,760

2,760

1,200

1,300

1,400

1,600

1,600

1,700

1,900

2,000

2,400

2,600

2,600

1,500

1,600

1,700

1,900

1,900

2,100

2,300

2,500

2,900

3,100

3,100

600

650

650

750

800

800

850

900

1,050

1,100

1,100

1,150

1,200

1,300

1,500

1,600

1,700

1,900

2,000

2,150

2,250

2,400 注 1) 本表は、主ポンプ全揚程 4 m のもので作成している。

2) H2 寸法は、一次土木工事の床面までの寸法を示しており、主ポンプ及び電動機への油、、空気、配線ケーブル等

のスペースを含んでいる。

3) L寸法は、バタフライ弁の干渉防止用短管寸法は含まない。

4) 吐出し量 600m3/min 超の寸法については、各社により差があり標準化していないが、製作は可能である。

5) 全揚程が 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照の上、適用する。

表-5.55 軸流形チューブラポンプ(Ⅱ型)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法(mm)

d1 d2 L P W1 W2 H1 H2

36 超~ 50 以下

50 超~ 70 以下

70 超~ 90 以下

90 超~115 以下

115 超~150 以下

150 超~200 以下

200 超~255 以下

255 超~325 以下

325 超~400 以下

400 超~480 以下

480 超~600 以下

600

700

800

900

1,000

1,200

1,350

1,500

1,650

1,800

2,000

500

600

700

800

900

1,000

1,200

1,350

1,500

1,650

1,800

2,700

2,700

2,900

3,100

3,400

3,900

4,300

5,000

6,500

7,000

7,500

1,220

1,320

1,380

1,590

1,640

1,760

2,000

2,100

2,600

2,760

2,760

1,200

1,300

1,400

1,600

1,600

1,700

1,900

2,000

2,400

2,600

2,600

1,500

1,600

1,700

1,900

1,900

2,100

2,300

2,500

2,900

3,100

3,100

600

650

650

750

800

800

850

900

1,050

1,100

1,100

1,150

1,200

1,300

1,500

1,600

1,700

1,900

2,000

2,150

2,250

2,400

注) 適用条件は、表-5.54 の注 1)~5)を参照のこと。

d dHH

W

W

L

P Pφ φ φ φ

Page 7: 193 第5章 主ポンプの設計 hT t W Z - maff.go.jp...hT t W Z E mm d φ C φ 注1) L min は主ポンプとして短くできる最小寸法を示す。 2) 吐出し量36

199

第 5 章 主ポンプの設計

⑰ 斜流形チューブラポンプ

表-5.56 斜流形チューブラポンプ(Ⅰ型)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法(mm)

d1 d2 L P W1 W2 H1 H2

36 超~ 50 以下 50 超~ 70 以下 70 超~ 90 以下 90 超~115 以下 115 超~150 以下 150 超~200 以下 200 超~255 以下 255 超~325 以下 325 超~400 以下 400 超~480 以下 480 超~600 以下

600 700 800 900

1,000 1,200 1,350 1,500 1,650 1,800 2,000

600 700 800 900

1,000 1,200 1,350 1,500 1,650 1,800 2,000

3,000 3,200 3,600 4,000 4,200 4,400 4,700 5,200 7,000 7,500 8,000

1,350 1,380 1,500 1,640 1,760 1,870 1,950 2,200 2,600 2,760 2,760

1,400 1,400 1,500 1,600 1,700 1,700 1,800 2,100 2,400 2,600 2,600

1,700 1,700 1,800 1,900 2,000 2,100 2,200 2,600 2,900 3,100 3,100

650 650 750 800 800 800 800 950 1,050 1,100 1,100

1,150 1,200 1,300 1,500 1,600 1,700 1,800 2,000 2,150 2,250 2,400

注 1) 本表は、主ポンプ全揚程 6 m のもので作成している。

2) H2 寸法は、一次土木工事の床面までの寸法を示しており、主ポンプ及び電動機への油、 空気、配線ケーブル等のスペー

スを含んでいる。

3) L 寸法は、バタフライ弁の干渉防止用短管寸法は含まない。

4) 吐出し量 600m2/min 超の寸法については、各社により差があり標準化していないが、製作は可能である。

5) 全揚程が 3.2m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照の上、適用する。

表-5.57 斜流形チューブラポンプ(Ⅱ型)寸法

吐出し量(m3/min) 主 要 寸 法(mm)

d1 d2 L P W1 W2 H1 H2

36 超~ 50 以下 50 超~ 70 以下 70 超~ 90 以下 90 超~115 以下 115 超~150 以下 150 超~200 以下 200 超~255 以下 255 超~325 以下 325 超~400 以下 400 超~480 以下 480 超~600 以下

600 700 800 900

1,000 1,200 1,350 1,500 1,650 1,800 2,000

500 600 700 800 900

1,000 1,200 1,350 1,500 1,650 1,800

3,000 3,200 3,600 4,000 4,200 4,400 4,700 5,200 7,000 7,500 8,000

1,350 1,380 1,500 1,640 1,760 1,870 1,950 2,200 2,600 2,760 2,760

1,400 1,400 1,500 1,600 1,700 1,700 1,800 2,100 2,400 2,600 2,600

1,700 1,700 1,800 1,900 2,000 2,100 2,200 2,600 2,900 3,100 3,100

650 650 750 800 800 800 800 950 1,050 1,100 1,100

1,150 1,200 1,300 1,500 1,600 1,700 1,800 2,000 2,150 2,250 2,400

注) 適用条件は、表-5.56 の注 1)~5)を参照のこと。

HHW

W

L

dφ dφPφ Pφ

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200

技 術 書・ポ ン プ 場

5.4.4.4 水中モータポンプ

土地改良施設に水中モータポンプを採用する場合の留意事項を、以下に示す。

(1) 水封式モータ

水封式は井戸ポンプ(深井戸・浅井戸)に採用されて、比較的小出力(~55 kW 程度)でモータ

極数 2~4 極が汎用製品として生産されている。中・大出力になると一品生産になるため、価格(高

価)や納期(長い)等を調査の上、採用を判断する必要がある。

また、モータが水中にあるために絶縁不良を起こしやすいデメリットがある。

(2) 乾式モータ

通電部が水中にあるため、絶縁あるいはシールに十分留意しても高い電圧を供給することは本質

的に危険を伴うので低圧とする。

低圧モータの場合、出力が大きくなるとケーブルサイズが大きくなり、取扱いの面からおおむね

250kW 以下とされている。

また、歯車減速機を介在させると歯車減速機の信頼性・寿命に問題があるため、モータは直結と

し、極数は 20 極程度以下とする。

(3) 保守管理

水中モータは、以下のような維持管理が必要とされている。

① 日常点検(週 1 回)

・電圧、電流の測定

・浸水検知器の作動確認(乾式)

・ヘッドタンクの水位確認(水封式)

② 月点検

・週 1 回点検項目・絶縁抵抗の測定

③ 年点検

・月 1 回点検項目

・潤滑油の交換

・メカニカルシール室の浸水の確認

・ごみの詰まり、ケーブルのシール部の確認

④ オーバーホール( 5 年に 1 回:総合点検)

・メカニカルシールの点検、摺動部の交換又はラッピング

・モータのオーバーホール(コイルの巻替え、ケーブルの損傷・固定に細心の注意を払う)

(4) 信頼性の向上

水中モータの信頼性を高めるために、モータ内への浸水防止策を十分検討する。

① 土砂混じりの原水に対するメカニカルシール部及びケーブル引出部の検討。

② ケーブル(動力及び制御ケーブル)の流水による振れ止め対策の検討。

③ 保護装置(浸水検知器、温度検知器)の設置。

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201

第 5 章 主ポンプの設計

(5) 耐用年数

水中モータポンプの耐用年数は、陸上ポンプより短く、モータ部に関してはさらに短い期間で更

新されている。

(6) 水中モータポンプの適用範囲

以上の 1)~5)項の条件を考慮した場合、主ポンプの吐出し量はおおむね 115m3/min 以下、また

機場の計画揚水量はほぼ 240 m3/min が限度とされている。

(7) ポンプゲート形水中モータポンプ

扉体に一体で取り付けて扉体とともに昇降させる水中モータポンプで、ポンプ本体は既存の自然

排水路内に設置でき、建築スペースを小さくできる利点がある。土木構造物や敷地が狭いなどの制

約がある場合に検討対象とする。

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202

技 術 書・ポ ン プ 場

5.5 主ポンプの据付高さと回転速度

5.5.1 据付高さと主ポンプ形式の関係

選定された主ポンプ形式について、 高吸込水位以上の高さに据付けた場合、吸込性能上支障が

なければ、これによって主ポンプの据付高さを決定し、吸込性能上支障のある場合は、土木建築構

造を水密構造とし、主ポンプ据付高さを低くしたり、立軸ポンプでは主原動機を 高吸込水位以上

に据付ける等、土木建築構造と主ポンプ形式の両面から検討する必要がある。

5.5.2 キャビテーション(空洞現象)

流水中に局部的に高い真空が生じると、水は気化して蒸気の細かい気泡が発生する。インペラの

羽根入口において も低圧になるので、ここに気泡が発生することがある。この気泡は水流によっ

て移動し、羽根の圧力の高い部分にくると押しつぶされて急激に消滅し、その際に騒音や振動を起

こし、効率や吐出し量を低下させるだけでなく、インペラを損傷したりする。この現象をキャビテ

ーションといい、主ポンプに有害なものである。

キャビテーションの原因としては、次のようなことが考えられる。

① 主ポンプの据付高さが高過ぎる。

② 主ポンプの回転速度が速過ぎる。

③ 主ポンプの設計点における揚水能力に対して、揚水量が過大流量で運転される。

④ 吸込管の損失水頭が大き過ぎる。

また、キャビテーションの防止方法としては、次のようなことが考えられる。

① 主ポンプの据付高さを低くする。

② 主ポンプの回転速度を下げる。

③ 吸込管が長い場合には、管径を太くし損失水頭を小さくする。

④ 吸込側で水量を絞ることはさける。

⑤ 吸込水槽内の流れに、渦や乱れを生じないようにする。

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203

第 5 章 主ポンプの設計

5.5.3 主ポンプの据付高さと回転速度

主ポンプの据付高さを検討する場合は基準となる面が必要となり、主ポンプ基準面として吐出し

水頭、吸込水頭等を計算するとき、位置水頭の基準となる水平面で、これはインペラの羽根入口端

の描く円の中心点を通る水平面である。(JIS B 0131)

この基準面が吸込水位より高い位置にある場合を吸上げといい、低い位置にある場合を押込みと

いう。

吸上げとするか、押込みとするかは経済比較等を行い決定するのが一般的である。

主ポンプの据付高さと回転速度は、吸込実揚程(高揚程の場合はインペラ中心と 低吸込水位と

の差、低揚程ポンプの場合はインペラ上端と 低吸込水位との差)と、主ポンプの運転範囲(吐出

し量が設計点に対して、どの程度変動するか)の要因により、有害なキャビテーションを起こさな

いように決める必要がある。

有害なキャビテーションが発生しないためには、hsv(利用有効吸込ヘッド)≧Hsv(必要有効吸込

ヘッド)の条件が成り立つことが必要である。

高揚程ポンプの場合は、式(5.31)、式(5.33)、図-5.25及び図-5.27 を利用して据付高さと回

転速度を決定すれば有害なキャビテーションは発生しない。図-5.26及び図-5.28は吐出し量が

120%以内の範囲を条件に作成しているので、利用に際しては 大吐出し量が 120%以内であること

を確認する必要がある。120%を超える場合には、別途検討が必要である。

低揚程ポンプの場合は、式(5.34)、式(5.35)により、主ポンプの回転速度と、設計点において

主ポンプが要求する必要有効吸込ヘッドを求め、式(5.36)により主ポンプが利用できる利用有効

吸込ヘッドを求めて、hsv(利用有効吸込ヘッド)≧Hsv(必要有効吸込ヘッド)の条件を満足すれ

ば、有害なキャビテーションは発生しない。

(1) 高揚程ポンプ

① 渦巻ポンプ 渦巻ポンプの回転速度は一般に、式(5.31)により求められる。

Q

43

= ss hH SN +・ ....................................................................... (5.31)

N :主ポンプの回転速度(min-1)

S :吸込比速度

主ポンプの運転範囲により、図-5.25 から求めた吸込比速度とする。

図-5.25 渦巻ポンプの吸込比速度

吸込比速度

S

吐出し量比 q(%)

1500

1400

1300

1200

1100

1000

900

800

700100 110 120 130

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204

技 術 書・ポ ン プ 場

Q :設計点吐出し量(m3/min)

ただし、両吸込ポンプの場合は で計算する。

hs :吸込揚程(m)

吸込実揚程(吸上げの場合は-符号、押込みの場合は+符号とする)+hℓs(吸込管損

失水頭で、キャビテーション検討を行う任意の吐出し量における損失水頭、-符号)

Hs=大気圧(m)-水の飽和蒸気圧(m)-余裕水頭(m)

Hs=106・(Pa-Pv)/g-=9.5m

:揚水の密度(kg/m3) =1,000 kg/m3

g :重力の加速度(m/s2) g =9.8m/s2

Pa:大気圧(MPa) Pa =0.101MPa

Pv:水の飽和蒸気圧(MPa) Pv =0.0032MPa(at 25℃)

:吸込余裕水頭(m) =0.5m

式(5.31)で求めた主ポンプ回転速度 N が主原動機回転速度 Nm と異なるときは、Nm≦N の

条件で Nmを選定し、主ポンプの回転速度とする。(「6.2 主原動機の回転速度及び出力」参照)

なお、決定した主ポンプの回転速度から式(5.32)により比速度(Ns )を求めて、この値が小

さいか(Ns≦100)あるいは大きな場合(Ns≧650)には主ポンプ効率や主ポンプの寸法、形状

等に影響することがあるので、主ポンプの回転速度の決定にはさらに詳細な検討を行う必要が

ある。これは、図-5.26 を使用して主ポンプの回転速度を決定する場合も同様である。

Ns=N・43H

Q ........................................................... (5.32)

Ns :比速度

N :決定した主ポンプの回転速度(min-1)

Q :設計点吐出し量(m3/min)

ただし、両吸込ポンプの場合は で計算する。

H :全揚程(m)

ただし、多段の場合は1段当たりの全揚程とする。

〔参 考〕

(例)過大流量における吐出し量が、設計点の 120%の場合で両吸込渦巻ポンプの回転速度を求め

る。

S :1,200(120% Q 時の S 値)

Hs :9.5m

hs :-4m(吸込実揚程に 120% Q 時の吸込管損失水頭(-符号)を加算した値)

Q :30m3/min(設計点吐出し量)

N=

=1,11315

5.5× 1200=

230

-49.5+ ×1200=

2

+ 434343 S・

Qss hH

電動機実回転速度 Nm≦N から(図-5.26により)

50Hz の場合 Nm=970 min-1(6P)

60Hz の場合 Nm=880 min-1(8P)

Q 2

Q 2

となる。

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205

第 5 章 主ポンプの設計

比速度の検討(50Hz の場合)

全揚程 H=35m の場合 261=35

230×970==

4343HNNs Q・

この場合は、100≦Ns≦650 の条件を満足するので、選定した回転速度(970 min-1)で決定

される。

全揚程 H =130m 場合 98=130

230×=970

43 Ns

この場合は、100≦Ns≦650 の条件を満足しないので、インペラの段数を増やすなどの検

討を行う。

回転速度を求める簡略法として、吐出し量の 大値の目安が設計点の 120%以内の場合は、

吸込揚程から図-5.26 より回転速度を求めることができる(この場合の吸込揚程は、吸込実

揚程から 120% Q 時の吸込管損失水頭を差引いたものである)。

〔参 考〕

(例) 1.吸上げの場合

吐出し量 20m3/min(設計点吐出し量)、吸込揚程が-4m{=吸込実揚程(-3.5m)、120%Q

時の吸込管損失水頭(-0.5m)}で、両吸込渦巻ポンプ(50Hz)の場合の回転速度は 970min-

1(6 P)となる。

全揚程 H =40m の場合 193=40

220970×=

43 Ns

100≦Ns≦650 の条件を満足するので、選定した回転速度(970min-1)で決定する。

全揚程 H=100m の場合 97=100

220970×=

43 Ns

100≦Ns≦650 の条件を満足しないので、インペラの段数を増やすなどの詳細な検討を

行う。

2.押込みの場合

吐出し量 18m3/min、吸込揚程が +3m {=吸込実揚程(+3.5m)、120% Q 時の吸込管損

失水頭(-0.5m)}で、両吸込渦巻ポンプ(50Hz)の場合の回転速度は 1,450 min-1(4 P)と

なる。

比速度の検討

全揚程 H=12m の場合 675=12

2181,450×=

43 Ns

100≦Ns≦650 の条件を満足しないので、回転速度を下げるなどの詳細な検討を行う。

全揚程 H=60m の場合 202=60

2181,450×=

43 Ns

100≦Ns≦650 の条件を満足するので、選定した回転速度(1,450 min-1)で決定する。

注)上記は、標準電動機の場合を示す。

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206

技 術 書・ポ ン プ 場

注 1) 回転速度は標準電動機の場合、同期速度に約 3 %スリップ率を考慮したものである。

( )書きはトップランナーモータの値である。この値は誘導電動機の特性により多少変化する。

2) トップランナーモータ(かご形三相誘導電動機、200V、400V、375kW 以下、2,4,6P)は、標準電動機より

回転速度が高くなるが、上記線図上では回転速度の差がほとんどないため、併用して問題ない。

なお、吐出し量と揚程の交点が回転速度の境界線上にきた場合は、詳細な計算によるものとする。

3) 吸込実揚程は、次による。

4) 吸込揚程 hs は、吸込実揚程(押込み:+符号、吸上げ:-符号)に吸込管の配管損失水頭(-符号)を加

算したものである。

5) 図中の主ポンプ吐出し量は、設計点吐出し量のことで、吐出し量が 120%以内の使用範囲に適用。

図-5.26 渦巻ポンプ(片吸込、両吸込)の回転速度と吸込揚程(横軸、立軸共用)

吸上げの場合 押込みの場合 立軸片吸込渦巻きポンプの場合

hs

hs

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207

第 5 章 主ポンプの設計

表-5.58 押込み・吸上げ方式の比較

配置 項目

インペラと吸込水位

の関係

・インペラが吸込水位より低い位置となる。

・インペラが吸込水位より高い位置となる。

主ポンプ回転速度 一般に吸上げよりも速い。 一般にキャビテーションの発生を防ぐため

押込みより遅い。

満水系統設備 不要である。 必要である。

弁類(吸込側) メンテナンス時に主ポンプ吸込側を締切る

ために必要である。 不要である。

主ポンプの始動性 早い。満水動作の必要が無い。 遅い。満水動作が必要となる。

自動運転に対する 信頼性

補機が少なく信頼性が高い。 補機が多く信頼性がやや低い。

土木費 土木構造がやや複雑となり高価である。 土木構造が簡単で安価である。

注 1) 押込み方式には、上表のように常時インペラが水面下の場合のほか、運転中や休止時には水面上にあるが、運転開始時に

インペラが完全に水面下にあって、満水行程を必要としない場合もある。

2) 主ポンプのキャビテーションの検討から主ポンプ据付レベルを決定する場合は、設計当初から押込み方式とはせずに、キ

ャビテーションが発生しないレベルまで床を下げることが経済的な場合があるので、計画時に十分留意する。

WL

WL

押 込 み 方 式 吸 上 げ 方 式

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208

技 術 書・ポ ン プ 場

② 高揚程斜流ポンプ 斜流ポンプの回転速度は、式(5.33)により求められる。

Q

43+= ss hHSN ・ ................................................................ (5.33)

N :主ポンプの回転速度 (min-1)

S :吸込比速度

主ポンプの運転範囲により、図-5.27 から求めた吸込比速度とする。

図-5.27 高揚程斜流ポンプの吸込比速度

Q :設計点吐出し量(m3/min)

hs :吸込揚程(m)

吸込実揚程( 低吸込水位からインペラ入口までの高さ:表-5.30の E 寸法から

表-5.59の U 寸法を差引いた値。押込みであるから、+符号とする)+hℓ s(立軸斜

流ポンプの場合、吸込管損失水頭=0m)

Hs =大気圧(m)-水の飽和蒸気圧(m)-余裕水頭(m)

Hs =106・(Pa-Pv)/g- =9.5m

:揚水の密度(kg/m3) =1,000kg/m3

g:重力の加速度(m/s2) g =9.8m/s2

Pa:大気圧(MPa) Pa =0.101MPa

Pv:水の飽和蒸気圧(MPa) Pv =0.0032MPa(at 25℃)

:吸込余裕水頭(m) =0.5m

式(5.33)で求めた主ポンプ回転速度 N が主原動機回転速度 Nmと異なるときは、Nm≦N の条件

で Nmを選定し、主ポンプの回転速度とする。(「6.2 主原動機の回転速度及び出力」参照)

立軸斜流ポンプの回転速度を求める簡略法としては、吐出し量の 大値の目安が設計点の 120%

以内の場合、全揚程と設計点吐出し量から、図-5.28 により求めることができる。

吐出し量比 q(%)

1500

1400

1300

1200

1100

1000

900

800

700110 120 130

吸込比速度

S

100

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209

第 5 章 主ポンプの設計

注 1) 回転速度は標準電動機の同期速度に約 3 %スリップ率を考慮したものである。

( )書きはトップランナーモータの値である。この値は誘導電動機の特性により多少変化する。

2) トップランナーモータ(かご形三相誘導電動機、200V、400V、375kW 以下、2,4,6P)は、スリップ率が少ないので、

回転速度が上記より高くなるので、注意が必要である。

3) 電動機回転速度の選定は、

Nm≦N の条件を満足するように決定する。

Nm:電動機実回転速度(min-1)

N :本図により選定された主ポンプ回転速度(min-1)

4) H≦12m の場合、主ポンプの比速度は Ns=900、

H≧14m の場合、主ポンプの比速度は Ns≦800 とした。

5) 吐出し量が 120%以内の使用範囲に適用。

〔参 考〕 (例)吐出し量 50m3/min で、全揚程 16m のとき、主ポンプ回転速度は約 750min-1、これから電動機実回転速度は、

次のようになる。

50Hz 8P 730min-1

60Hz 10P 700min-1

図-5.28 立軸高揚程斜流ポンプ回転速度選定図

(1765)

(1465)

(1765)

(1465)

(985)

(1175)

(1175)

(985)

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210

技 術 書・ポ ン プ 場

(2) 低揚程ポンプ

低揚程ポンプにおいては、吸込揚程の変動、運転範囲の変動が大きく、たとえば吸込水位と吐出

し水面が同一高さになる場合がある。このため低揚程ポンプについては、主ポンプの吸込性能及び

据付高さを検討する必要がある。

低揚程ポンプは、以下の選定手順により行う。

横軸軸流ポンプ:吐出し管形式タイプ 2(Ⅱ型ポンプ) 設計点全揚程 2.5m 以下

横軸軸流ポンプ:吐出し管形式タイプ 3(Ⅰ型ポンプ) 設計点全揚程 3m 以下

横軸斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 2(Ⅱ型ポンプ) 設計点全揚程 4m 以下

横軸斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 3(Ⅰ型ポンプ) 設計点全揚程 5m 以下

立軸軸流ポンプ:吐出し管形式タイプ 2(Ⅱ型ポンプ) 設計点全揚程 4m 以下

立軸軸流ポンプ:吐出し管形式タイプ 3(Ⅲ型ポンプ) 設計点全揚程 5m 以下

立軸斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 2(Ⅱ型ポンプ) 設計点全揚程 8m 以下

立軸斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 3(Ⅲ型ポンプ) 設計点全揚程 9m 以下

横軸軸流・斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 1(Ⅰ型ポンプ)

又は、

立軸軸流・斜流ポンプ:吐出し管形式タイプ 1(Ⅰ型ポンプ)

注1) 吐出し管形式タイプ 1(Ⅰ型ポンプ)は主ポンプ効率が高く、配管損失水頭が小さいため全揚程が小さいことから原動機

出力が小さくなり、タイプ 2(Ⅱ型ポンプ)あるいは、横軸ポンプのタイプ 3(Ⅰ型ポンプ)、立軸ポンプのタイプ 3(Ⅲ型

ポンプ)より運転時間を考慮した場合、経済性に優れている場合がある。したがって、タイプ 2(Ⅱ型ポンプ)あるいは、

横軸ポンプのタイプ 3(Ⅰ型ポンプ)、立軸ポンプのタイプ 3(Ⅲ型ポンプ)において、吸込性能を満足した場合でも、タイ

プ 1(Ⅰ型ポンプ)との総合的な比較検討が必要である。

2) 上位の形式が吸込性能を満足する場合は、下位の型式の吸込性能上は安全であるため検討は不要である。ただし、ポンプ

の型式決定に関しては、表-5.15 に記載の各ポンプ型式の得失を踏まえて選定する必要がある。

*Ⅱ型ポンプは、締切軸動力オーバーする等で、(軸流ポンプと同様)吐出弁開での始動となり、満水時間が長くなり、

始動に時間がかかる等の特徴がある。

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211

第 5 章 主ポンプの設計

① 設計点における主ポンプが要求する必要有効吸込ヘッド( Hsvo )と利用有効吸込ヘッド(hsvo )

( i ) 設計点において主ポンプが要求する必要有効吸込ヘッド(Hsvo )

設計点において主ポンプが要求する必要有効吸込ヘッド(Hsvo )は、式(5.35)から求めら

れるが、そのため図-5.29 で主ポンプ回転速度を求める。また、式(5.34)により計算でも求

められる。

21

0

43

・=Q

HNsN ......................................................... (5.34)

N :主ポンプ回転速度(min-1)

Ns:比速度 軸流ポンプ Ns =1,500 及び 2,000

斜流ポンプ Ns = 900 及び 1,300

H :設計点における全揚程(m)

Q 0:設計点における吐出し量(m3/min)

Hsvo=

34

0・

SN Q ................................................... (5.35)

Hsvo:設計点において主ポンプが要求する必要有効吸込ヘッド(NPSH.Re)(m)

S :吸込比速度

軸流ポンプ Ns =1,500 の場合、 S =1,250

Ns =2,000 の場合、 S =1,200

斜流ポンプ Ns = 900 の場合、 S =1,350

Ns =1,300 の場合、 S =1,300

N :主ポンプ回転速度(min-1)

Q 0 :設計点における吐出し量(m3/min)

(ii)利用有効吸込ヘッド(hsvo)

設計点における利用有効吸込ヘッドは、式(5.36)により求められる。

hsvo=106・(Pa-Pv)/g-hℓso+hso-0.5 ................................. (5.36)

hsvo:利用有効吸込ヘッド(NPSH.Av)(m)

:揚水の密度(kg/m3) =1,000kg/m3

g :重力の加速度 g =9.8m/s2

Pa :大気圧(Mpa) Pa=0.101Mpa

Pv :水の飽和蒸気圧(MPa) Pv=0.0032MPa(at 25℃)

hℓso:吐出し量比 q における吸込管損失水頭(m)

横軸ポンプ:hℓso=0.1m

立軸ポンプ:hℓso=0 m (オープン形吸込水槽)

hℓso=0.1m (セミクローズ形吸込水槽)

hso :吸込実揚程(m)

横軸ポンプ:符号(-)吸込水位から主ポンプインペラ入口上端までの高さ

(図-5.34及び表-5.59参照)

立軸ポンプ:符号(+)吸込水位から主ポンプインペラ入口上端までの高さ

(図-5.35及び表-5.59参照)

0.5 :吸込余裕水頭(m)