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ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。 http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html 1999 No.460 8 スピーディな行動連鎖が企業や経済を変える 難しいことはいろいろいえる。しかし、ごく単 純に言えば「経済や経営におけるスピード」という ことは、「来たメールには判断を下して、直ぐに 返事を書く」「来た情報には直ちに判断を入れ、レ スポンスする」ということだと思う。そのスピー ディな行動の連鎖が、個々の企業、ある国の経済 の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄 を謳歌できるのかなど。しかし筆者は最近、「ア メリカ経済は変わった」と本当に思い、繁栄の一 因を見た印象がしたことがある。自分のホームペ ージ(http://www.ycaster.com/)を置いて使ってい るディジウェブ(http://www.digiweb.com/)のサー バがダウンした。むろん本社はアメリカだ。でメ ールを出した。1976年から4年間アメリカに住ん だ経験から、返事が来るのは2~3日後だと思った。 しかし驚いたことに、わずか数分もしないうち に返事が返ってきたのである。「あなたのクレー ムは受け付けた。クレーム番号は何番だ。原因が 分かったら直ぐにメールを出す。そのメールを返 信する時は、クレーム番号を必ずどこかに入れて くれ」と。自動応答だが、送った方はこれで安心 する。そしてしばらくしたら、担当者のメールが 故障の背景、今どういうことをしているかという内 容付きで送られてきた。残念ながら、日本のプロバ イダでここまでしている会社を筆者は知らない。 一事が万事という言葉がある。もし仮に、アメ リカの企業が社内でも対顧客でもこのようなメー ルや情報のやり取りと、それに伴う判断の連鎖処 理システムを作り始めているとしたら、それは企 業の対顧客グリップ、状況判断、対応、経営意思 決定において凄い力になっているに違いない。む ろん、経済環境の変化に応じた経営のスピード化 が可能だ。 双方向性とコンピュータ・リテラシが命題 日本はどうか。高価なシステムを入れても、 「俺はパソコンが嫌いだ」「書類はまだ紙で欲しい」 といった方々が一杯いる。仕事の流れが整理され るどころか、紙とデジタル情報が入り交じり、情 報の流れが何重にも複雑化している。だから、日 本のIT投資は生産性を引き上げるどころか、まだ 引き下げている。企業に対するクレームで敏速・ 満足のゆくメールを受け取ったことはあまりない から、そうした体勢もできていないのだろう。笑 えるのは、電子メールの文面がアナログ時代その ままなのだ。 ポイントは「双方向性」と「全体のレベル」にある と思う。目覚ましいIT技術の進歩とそれから生ま れた機器は、システム全体のコストを引き下げて 90年代の半ばまでは想像もできなかった「双方向」 なメール、情報、注文の授受を可能にした。アメ リカを中心とした動きだが、世界各国で本、パソ コン、自動車などなど、多くのものがネット販売 に移りつつある。そしてもうすぐ音楽もネット配 信される。リアルタイムでの「双方向通信」がこれ らを可能にした。「双方向の情報授受」は、経営判 断の連鎖のスピードを上げざるを得ない。こうし た中で、経営のラダーの見直しも始まった。 2番目のポイントは、コンピュータ・リテラシ (IT機器利用能力)における「全体のレベル」であ る。ツールとしてのIT機器とそのネットワークが ワークするためには、そのネットワークにぶら下 がっている構成員が機器とそれが備え持つ能力を 一定のレベル以上で使えるようになる必要があ る。突出したオタクが複数いても駄目。なぜなら 経営判断は各レベルで下され伝達される性格のも のだが、そのリンクがどこかで切れたらネットワ ークを張っている意味そのものが著しく低下する からである。 今こそIT操作能力で「戦える体勢」を アメリカでは「生産性パラドックス」という議論 が一時盛んだった。90年代の前半から97年くらい にかけての話だ。IT投資をしてもしても、生産性 は上がらなかったのである。ところが、ここ数年 でアメリカの生産性は大幅に上昇してきた。今年 第1四半期は昨年最終四半期に比べて4%もの上昇 である。「それは、もっぱら技術革新の成果」(グ リーンスパンFRB議長)なのだが、筆者はもっと 重要なのはアメリカ人のPCやネットワークに対 する習熟度が全体的に一定水準を超えたからだと 思っている。日本はIT投資の水準は決して低くは ないが、従業員、国民の習熟度が低い。高い高性 能の機器が、能力を発揮できないまま眠っている のである。残念ながら、生産性は低い。 経済の変化を加速しているのも、この「双方向 性」である。デジタル・テクノロジーの進歩と、そ れから生み出される機器が情報の流通速度を増し た。流通速度を増した情報が、また経済の変化を 加速している。それに対応するためには、経済の 参加者が「双方向」での情報把握、意思決定を行う しかない。そのためには、企業の社内・社外のシ ステム、行政システムなどなどを、できる限り 「双方向」の流れに持っていく必要がある。 チンギス・ハーンの時代の「戦士」資格は、恐ら く「馬に乗れること」だっただろう。今のIT操作能 力は、その時代の馬以上に普遍性があり、緊要で ある。経営者も企業人も、まずは今の時代におい て「戦える体勢」を整えることから始める必要があ ると思う。最低限のスキルが、自信になる。 スピードの時代 住信基礎研究所 主席研究員 伊藤 洋一◆特集:連結経営時代の会計システム ヤマトシステム開発-新会計システムを 構築 (4面) 日本ユニシス-連結会計システムを活用 (6面) ◆ユーザ事例 大日本印刷-新人事情報システムを構 (7面) ヘキスト・マリオン・ルセル-新営業・マ ーケティング情報システムを構築 (8面) NTTコムウェア-基幹システムを再構 (9面) ユーコープ事業連合-基幹系の共同購 入システムを再構築 (16面) ◆IT最前線 *モバイル・コンピューティング (10面) *「Integrated View」導入事例 (11面) *オブジェクト指向技術(3) (12面) *ネットワーク技術の動向(2) (13面) *Web時代のWFシステム (14面) UN 特集:連結経営時代の会計システム

16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

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Page 1: 16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html

1999No.460 8

●スピーディな行動連鎖が企業や経済を変える難しいことはいろいろいえる。しかし、ごく単純に言えば「経済や経営におけるスピード」ということは、「来たメールには判断を下して、直ぐに返事を書く」「来た情報には直ちに判断を入れ、レスポンスする」ということだと思う。そのスピーディな行動の連鎖が、個々の企業、ある国の経済の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。アメリカと日本の経済力の逆転についてはさまざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄を謳歌できるのかなど。しかし筆者は最近、「アメリカ経済は変わった」と本当に思い、繁栄の一因を見た印象がしたことがある。自分のホームページ(http://www.ycaster.com/)を置いて使っているディジウェブ(http://www.digiweb.com/)のサーバがダウンした。むろん本社はアメリカだ。でメールを出した。1976年から4年間アメリカに住んだ経験から、返事が来るのは2~3日後だと思った。しかし驚いたことに、わずか数分もしないうちに返事が返ってきたのである。「あなたのクレームは受け付けた。クレーム番号は何番だ。原因が分かったら直ぐにメールを出す。そのメールを返信する時は、クレーム番号を必ずどこかに入れてくれ」と。自動応答だが、送った方はこれで安心する。そしてしばらくしたら、担当者のメールが故障の背景、今どういうことをしているかという内容付きで送られてきた。残念ながら、日本のプロバイダでここまでしている会社を筆者は知らない。一事が万事という言葉がある。もし仮に、アメリカの企業が社内でも対顧客でもこのようなメールや情報のやり取りと、それに伴う判断の連鎖処理システムを作り始めているとしたら、それは企業の対顧客グリップ、状況判断、対応、経営意思決定において凄い力になっているに違いない。む

ろん、経済環境の変化に応じた経営のスピード化が可能だ。●双方向性とコンピュータ・リテラシが命題日本はどうか。高価なシステムを入れても、

「俺はパソコンが嫌いだ」「書類はまだ紙で欲しい」といった方々が一杯いる。仕事の流れが整理されるどころか、紙とデジタル情報が入り交じり、情報の流れが何重にも複雑化している。だから、日本のIT投資は生産性を引き上げるどころか、まだ引き下げている。企業に対するクレームで敏速・満足のゆくメールを受け取ったことはあまりないから、そうした体勢もできていないのだろう。笑えるのは、電子メールの文面がアナログ時代そのままなのだ。ポイントは「双方向性」と「全体のレベル」にあると思う。目覚ましいIT技術の進歩とそれから生まれた機器は、システム全体のコストを引き下げて90年代の半ばまでは想像もできなかった「双方向」なメール、情報、注文の授受を可能にした。アメリカを中心とした動きだが、世界各国で本、パソコン、自動車などなど、多くのものがネット販売に移りつつある。そしてもうすぐ音楽もネット配信される。リアルタイムでの「双方向通信」がこれらを可能にした。「双方向の情報授受」は、経営判断の連鎖のスピードを上げざるを得ない。こうした中で、経営のラダーの見直しも始まった。2番目のポイントは、コンピュータ・リテラシ

(IT機器利用能力)における「全体のレベル」である。ツールとしてのIT機器とそのネットワークがワークするためには、そのネットワークにぶら下がっている構成員が機器とそれが備え持つ能力を一定のレベル以上で使えるようになる必要がある。突出したオタクが複数いても駄目。なぜなら経営判断は各レベルで下され伝達される性格のも

のだが、そのリンクがどこかで切れたらネットワークを張っている意味そのものが著しく低下するからである。●今こそIT操作能力で「戦える体勢」をアメリカでは「生産性パラドックス」という議論が一時盛んだった。90年代の前半から97年くらいにかけての話だ。IT投資をしてもしても、生産性は上がらなかったのである。ところが、ここ数年でアメリカの生産性は大幅に上昇してきた。今年第1四半期は昨年最終四半期に比べて4%もの上昇である。「それは、もっぱら技術革新の成果」(グリーンスパンFRB議長)なのだが、筆者はもっと重要なのはアメリカ人のPCやネットワークに対する習熟度が全体的に一定水準を超えたからだと思っている。日本はIT投資の水準は決して低くはないが、従業員、国民の習熟度が低い。高い高性能の機器が、能力を発揮できないまま眠っているのである。残念ながら、生産性は低い。経済の変化を加速しているのも、この「双方向性」である。デジタル・テクノロジーの進歩と、それから生み出される機器が情報の流通速度を増した。流通速度を増した情報が、また経済の変化を加速している。それに対応するためには、経済の参加者が「双方向」での情報把握、意思決定を行うしかない。そのためには、企業の社内・社外のシステム、行政システムなどなどを、できる限り「双方向」の流れに持っていく必要がある。チンギス・ハーンの時代の「戦士」資格は、恐らく「馬に乗れること」だっただろう。今のIT操作能力は、その時代の馬以上に普遍性があり、緊要である。経営者も企業人も、まずは今の時代において「戦える体勢」を整えることから始める必要があると思う。最低限のスキルが、自信になる。

スピードの時代住信基礎研究所主席研究員 伊藤洋一氏

主な記事

◆特集:連結経営時代の会計システム*ヤマトシステム開発-新会計システムを構築 (4面)*日本ユニシス-連結会計システムを活用

(6面)

◆ユーザ事例*大日本印刷-新人事情報システムを構築 (7面)*ヘキスト・マリオン・ルセル-新営業・マーケティング情報システムを構築 (8面)

*NTTコムウェア-基幹システムを再構築 (9面)

*ユーコープ事業連合-基幹系の共同購入システムを再構築 (16面)◆IT最前線

*モバイル・コンピューティング (10面)*「Integrated View」導入事例 (11面)*オブジェクト指向技術(3) (12面)*ネットワーク技術の動向(2) (13面)*Web時代のWFシステム (14面)

UN

特集:連結経営時代の会計システム

Page 2: 16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

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バブル崩壊以降昏迷を続ける日本経済と、繁栄を謳歌するアメリカ経済の差はいったいどこから発生したのであろうか。巷間唱えられている日本経済の三大過剰(債務、設備、雇用)もその一因として考えられるが、アメリカ経済の隆盛には、パワーシフト(権力→金力→知力)という時代の趨勢を見抜き、情報技術を経営に積極的に活用しているアメリカ企業の逞しさ(ベンチャー企業がその代表)がその根底にあるのではないだろうか。企業競争力の最終的源泉は人である。企業の構成員のすべてが情報技術を活用し知力で勝負する時代がやってきたのである。

さて、それでは企業においてどのように情報技術を活用し知力を向上させるべきであろうか。これまでの多くの日本企業では、企業全体のビジネスと情報化の全体構想を描かずに、販売、経理といった個別の業務機能のみに着目し情報システムの導入・開発が進められてきた。情報技術を、単なる効率化、機械化の手段として捉えていたからである。しかし、情報技術が企業活動において果たす役割は大きく変わった。パソコンとネットワークの驚異的な進化と低価格化(情報通信革命)は、情報技術を単なる効率化の手段から、企業全体の情報の流れを担い企業の知的資産を管理、増大する強力な武器に変身させたのである。 (図1)

こうした時代において情報技術を活用するためには、個別業務機能のみに着目して情報化を考えるのでは不適切である。経営戦略と企業活動全体を視野に入れてビジネスと情報化を考えるべきである。図1は、ERP、SCM、CRM、KMといった最新の情報技術と、企業の主要活動=①経営戦略、②調達・提供、③需要創造、④知価創造、⑤経営管理との関係を図示した概念モデルである。まず、ビジネス改革と情報化のグランド・デザインをこのような概念モデルから出発して描くこと、そこから情報技術による企業革新は始まるのである。

従来、会計業務はややもすると単なる経理、記帳および出納事務として捉えられがちであった。また、管理会計といっても、月次決算、セグメント別損益管理といった観点でのみ把握される傾向が強かった。しかし図1に見るように会計は、経営戦略、調達・提供、需要創造、知価創造という企業活動の要=経営管理として位置づけられるべきものである。では、経営管理の具体的な内容はどのようなものであろうか。経営管理を、航空機パイロットがコックピットの各種計器盤をバランスよくモニターしながら操縦することにたとえるバランス・スコアカード(参考文献参照)という経営管理手法がある。これを参考にすれば、経営管理は次のようなフレームワークとして考えることができる。(1)財務の視点

・B/S、P/Lといった財務諸表の各指標・ROE、キャッシュフローなどの資本生産性(2)顧客の視点

・顧客に提供した価値とそれを創り出すのに要したコスト

・顧客満足度、顧客からのクレーム件数など(3)業務プロセスの視点

・業務活動の生産性、業務量、業務成果物の質量とコスト

(4)学習と成長の視点

・組織と人がどれだけ成長したか・知的資産の質と蓄積量この4つの視点をベースにして企業全体および部門別の経営管理指標を設定し業績評価を行う仕組みを作ることが必要である。企業全体の活動を財務指標と非財務指標(財務データだけではビジネスは見えない!)とによってバランスのとれた業績評価を行い、客観的データに基づく意思決定を行うことが(当然、経理部門だけの仕事ではない)経営管理のあるべき姿なのである。

上記のような経営管理の姿を実現するためには、企業の資産と活動に関する情報が統合的に提供されることが必要となる。情報システム、とりわけ業務活動全体を統合したERP(統合業務処理パッケージ)がその力を発揮する場面である。 (図2)

ERPは基幹業務を統合的に支援する情報システムと一般には理解されているが、それだけではない。業務統合データベースに蓄積される企業活動全体の情報をもとに経営管理フレームワーク確立のための情報基盤として活用することができるし、また、そうであらねばならない。そしてまた、明細データをデータベースに保有(大福帳)していることから、要約された企業活動情報(財務、非財務)により大枠の傾向を把握した後にドリルダウンなどによりその詳細分析を行うことが容易である。したがって、経営管理指標を前述

のごとく企業の戦略的目標に応じて

設定するとともに、その情報源と情報の切り出し方(具体的にはデータベースの検索キーの設定)を柔軟に設定可能なERP(例えばOracleApplications)を利用すれば、企業の戦略目標に応じた経営管理の実現に大きな威力を発揮する。また、イントラネット環境などを利

用して情報共有を実現すれば、企業の各部門における部門レベルの経営管理(企業全体目標のブレークダウン、現場での目標管理)も容易に可能となる。このようにして経営管理フレーム確

立と基幹業務プロセス統合が実現できビジネスと情報システムとの融合が達成されるのである。

以上を集約すると、戦略的経営管理実現のステップを以下のようにまとめることができる。(1)ビジネスと情報の統合的なグランド・イメージを作り、戦略を策定する(図1参照)。(2)企業戦略目標に応じた経営管理指標(財務、非財務)を設定する。(3)経営管理に必要な情報を情報システムから容易に取得できる仕組みを構築する(図2参照→ERPの活用)。(4)イントラネットなどの情報共有の仕組みを利用し、全社/部門及び現場において経営管理サイクルを回し、継続的な改善と改革の活動を展開する。今、日本経済は物的資本の時代(大きなものが勝つ)から知的資本の時代(小さくても賢いものが勝つ)への転換というパラダイムシフトを迎えている。このような状況にあって、情報技術を効率化の道具としてではなく、知識・知恵の結集、創造の武器として活用できるかどうかが企業の死命を制するようになった。知力の時代を、まず戦略的経営管理実現=全体最適実現により勝ち抜こうではないか。(E-MAIL:[email protected])

1999年8月1日第460号

UN

戦略的経営管理実現とERPの活用日本ユニシス株式会社

クロスマーケット営業本部 販売推進部シニアコンサルタント 山本正雄

特集.連結経営時代の会計システム

知力の時代がやって来た

情報技術による企業革新モデル

企業活動の中核としての経営管理(会計)

経営管理を支援するERP

戦略的経営管理実現に向けて

[参考文献]

キャプラン/ノートン著「バランススコアカード」吉川武男訳、生産性出版、1997

③データ活用によるビジネス展開�・顧客購買履歴→CRMへの展開�・商品販売実績→マーケティング/商品開発�・原価データ→コスト削減、BPR��

経営管理�

業務統合�データベース�

データ活用�

販売計画� 在庫計画� 製造計画� 購買計画�

基幹業務プロセス�

販売� 在庫� 製造� 購買�

EDI�EC

①経営管理フレームの確立� ・経営管理指標に基づく業績評価� ・客観的データに基づく意思決定�

②基幹業務プロセスの統合�・物流、金流、情流の一致→使用資源の最適化� 製造量最適化、在庫削減、リードタイム短縮、販売機会向上�・非付加価値業務の削減(本業への専念)�� ④SCMへの�

 展開��

図2 ERPが実現するビジネス・ベネフィット

経営パラダイムの転換�・量から質へ�・資本生産性の追求�

顧 客�

ERP����

スピード�

コスト�

SCM

需要創造�顧客/価値の発見�

チャネル構築�商品開発�

マーケティング�販促�

顧客管理�

CRM

価 値�

ERP:Enterprise Resource Planning�SCM:Supply Chain Management�CRM:Customer Relationship Management�KM:Knowledge Management

KM

経営戦略�ビジネス・ドメイン�コアコンピタンス�事業システム�

経営管理�意思決定と業績評価�財務、顧客、�

プロセス、ナレッジ�

知価創造�知恵の結集と創造�

ネットワーク経済/社会の�本格的到来�・インターネットが世界を変える�

発注�製造�物流�販売�

調達・提供�最小コストで�最大顧客満足�

図1 ITによる企業革新モデル

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ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

ネットワーク・コンピューティング時代の次世代

ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージであ

る、「Oracle Applications Release11(以降APPS)」は、

米国ORACLE社が自社の持つデータベース、ツール

などのテクノロジーを統合し開発した基幹業務向け

の統合パッケージ・ソリューションである。

APPSは7つの製品カテゴリ、40以上のモジュー

ル群(図)で構成されており、企業活動のフロント・オ

フィス機能といわれる営業活動から人事、会計、サ

プライチェーン、製造といったバックオフィス機能

までカバーしている。そしてこれらのモジュール群

はシームレスに統合されていて、ユーザの基幹業務

をサポートする。

本文では、統合会計カテゴリに属する5つのモジ

ュール(一般会計、売掛管理、買掛管理、資金管理、

固定資産管理)の概要、ならびに日本ユニシスが日

本のビジネス環境に合わせてセットアップし、日本

ユニシス独自の統合会計短期導入モデルとして開発

した「FaSet Financial」の機能概要を紹介する。

「FaSet Financial」は、APPSの補完商品として開

発したもので、APPSとFaSet Financialの両方の導

入を提案することで、カスタマイズを客先固有の最

低限のものに押さえると同時に、工数削減、短期導

入の実現を目指す。

戦略的企業へ変革するためには、財務経理部門を戦略的組織に変革させる必要がある。APPS統合会計システムは、グローバル財務管理、企業の意思決定支援、継続するプロセス改善を実現し、戦略的企業への変革をサポートする。支払管理、請求・回収管理、固定資産、資金管理、連結および分析、財務計画のビジネスフローにおける機能を、グローバル・オペレーション・サポートを含めて提供する。APPS統合会計システムは次の5つのモジュールで構成されている。①一般会計(APPS GL)

統合会計システムの中核をなすモジュールで、フレックス・フィールドによって勘定体系を柔軟に設定することを可能とし、残高の階層的管理を行う。また、企業全体での財務コントロール、データの収集、情報へのアクセス、財務レポート生成を行う。さらに、財務計画にとって重要である予算と実績との対比分析、予算編成、財務予測などを企業レベル、部門レベルなどのさまざまな階層からのトップダウン、ボトムアップで実現する。②売掛管理(APPS AR)

請求業務のニーズに対応したモジュールで、請求、回収プロセスを管理し、請求書発行と入金業務を合理化する。支払方法、各国特有の地方税・国税の記録など、グローバル機能にも対応し、請求と代金回収のプロセスの自動化を実現する。③買掛管理(APPS AP)

企業の支払管理のソリューションを提供するモジュールで、購買管理モジュール、固定資産管理モジュール間の緊密な統合により、重複入力をなくし、

注文/受領済み商品やサービスだけに支払を限定することが可能である。④資金管理(APPS CE)

一般会計モジュール、売掛管理モジュール、買掛モジュールと連動して、銀行勘定調整と資金管理のための包括的なソリューションを提供する。統合された資金予測機能により、自社の正確な資金繰りをタイムリーに把握できるため、より正確なキャッシュフローを予測し、資金計画を効率よく管理できる。⑤固定資産管理(APPS FA)

買掛管理モジュールとの統合によって、オープン・インタフェースにより資産の一括入力を可能とする。財産や設備管理を正確に管理するので、資産ベースで常に最善の会計戦略や税務戦略を選択できることが保証される。また、機器のリースを慎重に管理することによって、事業費全体を削減できる。

日本ユニシスは、APPSを企業に提案するにあたり、どの企業でも共通に発生する外付け開発部分を「FaSet Financial」として提供する。FaSet Financialは次の4つのモジュールで構成されている。①FaSet Financial-GL

会計セットアップ・モデル、会計セットアップ・ツール、会計補完機能キットの3つの機能から成り立っている。会計セットアップ・モデルは、さまざまな業種・業態にそのまま対応できる会計フレックス・フィールドのひな形を提供する。また「残高管理メッシュ」については予備セグメントも用意しているので柔軟に対応可能である。会計セットアップ・ツールで、スプレットシートからの勘定科目コードの自動投入、会計期間設定、配賦式設定などのインプリメンテーションを行う。その結果に基づいて、会計補完機能キットで、より操作性に優れた新仕訳入力画面と、日本の企業会計に求められる標準的な帳票出力を提供する。②FaSet Financial-AP(99年10月リリース予定)

APPSの買掛管理モジュールを利用し、入力機能、出力機能を充実させた商品を提供する。入力機能については、Webを利用した発生入力と承認機能を実現した。出力機能については、仕訳先別残高明細、支払予定、総合振込などの帳票を充実させた。その他の機能として、電子帳簿対応可能な仕訳の作成を行う機能や、仕入先マスタへの初期移行ツールを提供する。

③FaSet Financial-AR(99年11月リリース予定)

APPSの売掛管理モジュールを利用し、入力機能、出力機能を充実させた商品を提供する。入力機能については、Webを利用した発生入力と承認機能を実現した。出力機能については、顧客別残高明細、入金予定、消込一覧表などの帳票を充実させた。その他の機能として、電子帳簿対応可能な仕訳の作成を行う機能や、顧客マスタへの初期移行ツールを提供する。④FaSet Financial-FA(99年12月リリース予定)

APPS標準の固定資産モジュールは、「日本税法」に準拠している部分が少ないので、ユーザ適用の際に膨大なカスタマイズ工数が発生する。このような事態を回避するために、日本ユニシスは、APPSとの親和性を重視しつつ、日本の制度、法律に準拠したパッケージとして、FaSet Financial-FAを新規に開発した。このパッケージはAPPSの固定資産管理モジュールの代替として設計・開発しているので、短期導入を支援する他のFaSet Financialシリーズとは若干性格が異なる。FaSet Financial-FAは資産情報管理、財務情報管理、会計情報管理の3つの機能を提供する。資産情報管理は、固定資産の基本台帳、変動履歴の管理、照会を行う。財務情報管理は、減価償却費計算、償却資産税用計算を行う。また償却シミュレーションも可能である。会計情報管理では、資産データについて、会計カテゴリ・セグメントを用いて自動仕訳を行い一般会計モジュール(APPS GL)に連動する仕組みを提供する。

◇なお、日本ユニシスは、「FaSetシリーズ」の一環として、人事管理システムの構築支援を目的としたツール群、「FaSet HR」を提供している。FaSet HRは以下の5つのモジュールで構成されている。①人事データ・セットアップ・ツール②人事インタフェース・ツール③人事情報検索ツール(定型検索処理・汎用検索処理)④インプリメンテーション・ツール(99年12月リリース予定)⑤OTA連動ツール(99年12月リリース予定) UN

APPS統合会計システムの機能概要

FaSet Financialの機能概要

「Oracle Applications」と「FaSet Financial」の機能と活用日本ユニシス株式会社ERPソリューション室長 藤田力夫

設計部品表管理� 部品表管理�  生産計画�   負荷計画�    工程計画�    原価管理�     品質管理�     フロー生産管理�

サービス管理、営業支援(SFA)�コールセンター(CTI) 、営業報酬�

サプライヤー・スケジューリング�  サプライチェーン計画�   製品構成支援�    在庫管理�     購買管理�      受注管理�       出荷管理�

    一般会計�   買掛管理�  売掛管理� 資金管理�固定資産管理��

テクノロジー製品�

プロジェクト管理� 統合会計�

サプライチェーン�管理�

フロント・オフィス�アプリケーション�

人事管理�

生産管理�

    人事情報管理�   給与計算管理�  教育研修管理�(勤怠情報管理)��

セルフサービス�OADW(オラクル・アプリケーション・データ・ウェアハウス)�ワークフロー、EDIゲートウェイ�

プロジェクト生産� プロジェクト請求管理�  プロジェクト原価管理�   パーソナル・タイム&エクスペンス�    アクティビティ・マネジメント・ゲートウェイ���

Oracle Applications R11の統合されたモジュール群

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4 1999年8月1日第460号

人、モノ、カネなどあらゆる経営資源を最適効率

で活用する経営のスピード化(アジル経営)が指向さ

れている。アジル経営とは意思決定の迅速化と同義

であり、根幹には迅速な情報の流通がなければなら

ない。

ヤマトシステム開発ではOracle Applications統合

会計を中核とした新会計システム「FACE21(Fight for

the Agile management to the CEntury of 21st)」を構

築し、経理部に集まる経営管理情報を迅速に全社に

公開して共有し、まず“カネ”の側面から意思決定

の迅速化と情報ベース経営の基盤整備を実現した。

ヤマトシステム開発では、これまでの会計システムに次のような課題を抱えていた。*パッケージが2000年問題に未対応*経営管理資料の提供が質(分析の深さ)、量(分析の間口)の点で不足*組織変更、統廃合が頻繁であり、システム対応が煩雑*経営情報を多角的に活用する環境に欠ける*機能別組織の評価手段が未整備でPDCAサイクルが確立できない*連結決算処理への迅速化が必要そこで、経理部の会計情報を全社に迅速に提供しアジル経営を支援するために会計システムを一新することにした。経理部経理課長成瀬正義氏は、新会計システム構築の狙いについて次のように語っている。「従来は、現場入力はC/S系にて処理し、一旦入力伝票を汎用機に転送後、管理会計部分をホスト処理、その後管理会計情報をC/S系システムへフィードバック、財務情報をオフコンにフィードバックして、オフコン上の会計パッケージにて財務会計部分を管理していた。1つの情報が複数に点在し、連携処理が煩雑、財務会計と管理会計の分離という、多くのユーザが抱えている問題点を当社も抱えていた。こういった点を解消するため、ERPの持つ統合化というメリットを享受することにした。これまでの経営管理情報は最終確定情報を帳票で部門長に配布していたため、タイムラグが生じ、分析・加工も自由に行えない。新会計システムはペーパーレス化を視野に入れながら、イントラネットと結合し、全社的なアジル経営を実現できると判断した。また、全社貸借対照表だけでなく、部門別にも提供し、損益、貸借の両面から業績評価を行える体制を目指した。こうした思いを込めて、新会計システムを「FACE21」と命名し、21世紀を目指して戦い抜く当社の新戦力の柱に据えた」。

成瀬氏はさらにOracle Applicationsの選定理由を次

のように語っている。「業務の実体を的確に把握するにはさまざまな切り口から経営情報を分析しなければならない。当社では業務範囲がシステム開発、受託計算、人材派遣、物流情報、倉庫業まで幅広い。Oracle Applicationsでは、こうした当社固有の組織・管理体系をシステムに反映でき、詳細な情報分析ができる機能(フレックス・フィールド)を高く評価した。また、Webへの対応が可能であり、将来においても最新ITへ追随可能なこと、そして既存システムとのインタフェースのとりやすさも選定理由の1つである」。同社では98年6月に開発プロジェクトを発足させ、99年5月の本番稼働までわずか11カ月という短期間でシステムを立ち上げた。プロジェクトは、経営企画本部長、経理部長を中核メンバーにし、成瀬 正義氏をリーダーとして、業務支援グループ、業務グループ、開発グループ、技術支援グループで構成された。プロジェクト・チームは、企画立案から、要員計画、進捗管理、開発工程までを担当し、OracleApplicationsの豊富な導入経験を理由に日本ユニシスが導入コンサルティングを行った。また、同社ではERPビジネスを事業の1つとして捉えておりERP営業部が組織されている。今回、自社導入によるノウハウ蓄積もFACE21の大きな目標とのことである。

新会計システムは、サーバにWindowsNT、OracleApplications一般会計(GL)、買掛(AP)、固定資産(FA)の各モジュールを採用した。本システムはOracleApplicationsがWindowsNT上で稼働した日本初のケースである。システムの仕組みは、データ入力機能を持つ統合OAシステムから経理サーバに会計データを取り込み会計処理を行う。そして一定時間ごとにExcelに転送してイントラネット上に公開する。 (図)

新会計システム構築の狙いの1つである迅速な意思決定をより効果的にするものがExcelによる情報分析である。新会計システムでは表計算ソフトExcelを活用して必要な人がそれぞれのレベルで生のデータを自ら分析できる仕組みを作った。例えば部署別・機能別・顧客別の予算実績対比・前年実積対比を全社レベルから部・課レベルにドリリングを行

い、該当科目(売上・経費・内部取引など)の内訳を仕訳レベルにて分析し、差異分析を現場管理職が自分の机上のパソコンから行えるというものである。イントラネット上に公開されるデータは、部署別予算実績一覧表、予算実績表、通期予算実績、顧客別売上高順位表などである。これらの情報開示にはセキュリティを設け、全社レベルの情報は部長職以上、部・課レベルの情報は課長・係長・庶務担当職だけに情報のアクセスを制限している。イントラネット上に収支・財務情報を公開したことにより、従来は部署に割り当てられた固定

クライアントでしか、また収支情報を紙でしか確認できなかったものが、ブラウザソフトが搭載されたクライアントであれば、どこからでもアクセス可能となり、同じ情報を同時に現場担当者から経営トップまで閲覧が可能となった。

新会計システムの効果は次のとおりである。*イントラネットによる情報提供体制で情報配布を2日短縮した。また従来の帳票出力、各部所への発送作業がなくなり省力化が図れた。*貸借対照表、損益計算書を全社レベルの他、部署別にも提供できる。*長期・中期・直近の時系列の経営情報を迅速に把握できるようになった。今後、早期のデータ入力が実現すれば、アジル経営支援を一層強化できる。*自部署のデータを一覧でき、加工・保存もできる。経営会議への提出資料の作成も容易に行え、作業負荷が軽減できた。*全社での情報共有化により、企業全体から各部門までが数値基準による管理(効果的なPDCAの回転)を行える。

成瀬氏は今回のシステム化で「第一段階として、イントラネット上での情報公開の仕組みを作った。今後は売掛処理の移行を来期に予定しており、事業別キャッシュフローを把握したい。また、日計の計上も視野に入れて月中管理も取り入れたい。さらには、現在ホスト上にある人事給与管理、原価管理も新システムに移行し、受注情報、入金情報も取り込み、最終的に受注から入金までの一気通貫のシステムを実現し、ERPならではのシステムに発展させていきたい」と語っている。 UN

「FACE21」をアジル経営の柱に据える

経営情報を全社に公開し情報共有を図る

今後の展開

経営情報のフィードバックの迅速化でアジル経営の基盤を確立

フレキシブルな機能を評価しOracle Applicationsを選定

現場側� ホスト側�

統合OA 人事給与�

日報� 仕訳データ� 給与仕訳�データ�

・顧客別� 工番別� 収支�・ドリルダウン�

統合OA イントラネット(ブラウザ)

情報公開� 情報公開� 情報公開� ・実算表�

経理サーバ�

Oracle Applications

オープン・インタフェース�

一般会計�

買掛・固定資産�

Excel�取り込み�

HTML統 合 D B

Web

サーバ�

�原価管理�

新会計システム概要図(第一次)

成瀬正義氏

ヤマトシステム開発Oracle Applicationsで新会計システム「FACE21」を構築

イントラネットで経営管理情報を提供し“アジル経営”を目指す

■ヤマトシステム開発株式会社http://www.nekonet.co.jp/◆「クロネコヤマトの宅急便」の戦略情報システム・センターとして培ってきた実績・ノウハウをもとに、情報処理サービス・通信ネットワーク・物流情報サービスの三位一体化したサービスを提供している。◆所在地=東京都世田谷区上馬2-22-10◆代表者=内田五郎社長◆売上高=276億円(99年3月)◆従業員数=2,000人(同上)

特集.連結経営時代の会計システム

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5

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

2000年の連結会計制度改正により、連結会計への

関心が高まっている。税効果会計・キャッシュフロ

ー作成といった制度改正・情報の開示要求への対応

を早急に実現するため、専用の連結会計システム採

用の有効性が認識されてきている。

これらの要請に応えることのできる代表的な連結

会計システムとして、「DivaSystem」を紹介する。

グループ会社からの情報収集手段として、ネットワークを利用したWebによる方法と、ネットワークを利用できない場合に利用するトランスレータ機能による方法とが用意されている。Webによる場合は、マスタ情報の管理や各収集項目変更に対し迅速な対応や運用負荷を軽減することができる。他方、トランスレータ機能を利用する場合には、各グループ会社の会計システムの財務データをDivaSystemフォーマットへ容易に変換することができる。また、会計システムとしてOracleApplications統合会計システムを採用している場合には、DivaSystemと直接データ連携をとることができる。標準の収集対象情報に次のものがある。①各会社の基本財務諸表情報である個別財務諸表②債権債務・損益取引に関するグループ内取引情報としての相手先別取引明細

③各会社の個別財務諸表に対して税効果仕訳を自動生成するための申告調整明細

④事業の種類別、所在地別といったセグメント情報を作成するためのセグメント別勘定明細

⑤キャッシュフロー情報を作成するための勘定科目増減残高明細

連結財務諸表などの作成処理に利用するマスタデータの入力、連結データの入力・修正などを行う画面が標準に用意されている。①マスタメンテナンス

DivaSystemの運用に必要な情報の登録・修正を行うための画面群。会社・勘定科目・連結範囲などを登録する。

②連結仕訳入力

連結自動仕訳でサポートされない消去仕訳データや修正仕訳データの入力画面。

③セグメント振替明細入力

セグメント情報を作成する上で、システムで自動的に付加されるセグメント情報を変更する場合に使用する画面。必要に応じて、セグメントを任意に分解してセグメント情報を作成することも可能。

④投資と資本の明細入力

資本取引に関する明細情報を入力する画面。持分比率を計算し、主要な投資と資本の移動に関する消去仕訳を作成する。

⑤換算修正入力

自動換算機能で算出された換算結果を修正する

場合に使用する画面。⑥連結キャッシュフロー仕訳入力

自動的に作成された連結キャッシュフロー表を修正する場合に使用する画面。

グループ会社から収集した財務データを基に、以下の主要な自動処理を行う。①連結財務諸表作成用データチェック

貸借一致、剰余金期首期末一致、当期利益一致、増減残高明細の残高一致などデータの整合性チェックを行う。

②外貨換算

カレントレート法によるか決算日レート法によるかの選択が可能で、自動計算する。

③持分比率自動計算

投資・資本明細から入力された株式数を基に、表面比率(所有割合)と実質比率(持分割合)を自動的に計算する。

④開始仕訳

自動作成・手入力のいずれの場合でも、自動的に開始仕訳を作成する。

⑤税効果明細

各グループ会社の申告調整明細より、税効果会計の仕訳を自動作成する。

⑥内部取引消去

債権債務の消去、損益取引の消去、配当金に関する仕訳を自動作成する。

⑦棚卸未実現消去・固定資産未実現消去

未実現の消去仕訳の作成は、各社固有の処理が行われており、決算結果への影響が多いが、個別に対応することが可能である。

⑧貸倒引当金調整

貸金の額を自動算出し、貸倒引当率を乗じて消去仕訳を自動作成する。

⑨税効果調整

修正仕訳あるいは消去仕訳として入力、または自動生成された仕訳について、税引前利益に影響を与える勘定科目の金額に対して、仕訳ごとに各グループ会社の実効税率を乗じて仕訳のための金額を算出する。

⑩投資と資本当期移動分の消去

当期に行われた増減資、追加取得・売却などによる仕訳を自動作成する。⑪ 当期利益・利益処分(少数株主持分

の認識)

修正仕訳後の「当期利益」に対する少数株主持分を計算し、仕訳を自動生成する。⑫当期利益・利益処分(持分法)

修正仕訳後の「当期利益」に対する持分の増減額を計算し、仕訳を自動生成する。⑬連結財務諸表作成

連結精算表を作成し、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結剰余

金計算書の公表用の財務諸表を作成する。⑭セグメント情報作成

セグメントの概念に対応した異なるセグメント間の仕訳をセグメント間消去仕訳と認識し、セグメント情報を作成する。⑮キャッシュフロー情報作成

新連結会計制度に対応した原則法による連結キャッシュフロー計算書を作成する。

多次元分析ツール(BusinessObjects)を利用して照会することができ、照会結果を表計算ソフト(Excelなど)へ取り込み、加工することもできる。標準定型レポートとして、連結仕訳帳、連結精算表、連結貸借対照表、連結損益計算書、セグメント仕訳帳、連結キャッシュフロー表、税効果明細レポート、税効効果調整レポート、内部取引調整レポートなど分析レポートが多数準備されている。また、BusinessObjectsを利用してユーザ独自レポートを作成し、追加することも可能なため、グループ経営管理のために必要な情報を容易に得ることができる。

(1) 連結会計制度への対応

・企業会計の連結重視に向けて、制度改正に対応できる連結会計システムの構築が可能・有価証券報告書の様式見直しに伴う「非会計データ(役員、従業員数などの情報)」の収集・開示への対応が可能・ディスクロージャーへの積極的に対応できる環境の整備が可能(2)グループ会計情報の有効活用

・収集した情報を財務会計にのみならず、管理会計に活用することも可能・子会社や外部への情報の円滑な開示・提供が可能(3)グループ会計情報の効率的収集

・子会社・親会社双方の情報収集負荷が軽減できる・収集情報量の拡大(サイクル、範囲など)に対応可能などが挙げられる。 UN

グループ会社の財務データ情報収集

連結決算処理用データ入力

連結会計レポート

導入効果

連結自動処理概要

連結会計システム「DivaSystem」日本ユニシス株式会社

ソリューションシステム部ERPソリューション室システムマネジャー 上田佳正

その他�会計システム�

BusinessObjectsによる定型レポートの参照・非定型レポートの作成 �

データ入力・実行システム�Divaメイン・メニュー�

データ活用機能�

DivaSystem Data Model��

ユーザデータ・

モデル�

プロセスデータ・

モデル�

コアデータ・

モデル�

バッチ処理システム�SQR Despatcher�

バッチ処理SQL定義群�

システム・

インタフェース機能�

テキスト・

データ取込機能�

DB Uploader

オプション�

データ翻訳定義機能�

TransM

apper

会計システム・

データ抽出機能�Plug

会計システム�

Oracle�Apprications��または�

標準機能範囲�

DivaSystemシステム概要図

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6 1999年8月1日第460号

会計制度の改正で2000年3月期から決算が連結中

心に移行する。連結では関連子会社の財務諸表を合

算し、連結会社間の取引を相殺するなどの手続きが

行われ決算作業が煩雑となる。

そこで単独決算よりも時間がかかる連結決算手続

きの合理化を図るため、新しい会計システムを導入

する企業が増えている。日本ユニシスも連結会計シ

ステム「DivaSystem」を導入し連結決算の効率対応

を図った。以下にその取り組みを紹介する。

従来、日本ユニシスの連結範囲は連結子会社2社、持分法適用会社12社であり、担当者は表計算ソフトウェア(Excel)を用いて手作業で連結決算対応を図ってきた。今回の制度改正により、連結対象範囲が実質支配力基準となり、持分法適用関連会社6社が子会社扱いとなったことから、従来持分法を適用していた子会社と合わせてすべて連結子会社となり、手作業では対応困難となってきた。また期中の資金の流れを示すキャッシュフロー計算書を連結ベースで公開しなければならなくなり、加えて、2001年3月期からは中間期にも連結財務諸表の作成が必要となった。こうした会計制度の変更に伴い日本ユニシスでは、①新連結会計制度に向けての連結作業の合理化・迅速対応②連結決算短信の充実によるIR活動(投資家向け広報)の強化③将来的に四半期や月次決算への連結情報の取り込みなどを目指して連結会計システム「DivaSystem」を導入し、システム対応を図った。

DivaSystemの選定に当たっては、「当社が販売代理店であることも当然だが、厳密かつ公平に機能評価をした結果である」(経理部)。評価のポイントとしては、*今後の企業会計の連結重視に向けて制度改正に対応できる連結会計システムを短期・低コストで構築できる*データ活用についてはBusinessObjectsと連携することにより、多次元分析機能を活用した各種レポートが利用できる*連結会計制度改正への迅速対応が図れる*Web入力をはじめ多様なデータ収集環境が用意され、グループ会社の状況に応じた収集方法が選択できる*主要なERP会計システムはもとより、会計専用ソフトウェアから直接情報を収集できるなどを挙げている。

経理部では、本年1月末にDivaSystemの導入を決め、2月から現行業務分析、導入計画作成、データ

収集準備、システム・セットアップ、データ・コンバージョンなどの導入作業を行った。この導入作業は、経理部決算担当者(1名)を(株)ディーバと日本ユニシスERPソリューション室がサポートする形で進められ、超短期間で完了している。 (上表)

「導入に当たっては、DivaSystemの仕組み・思想が今後の連結決算を反映したパッケージとなっているので、一切カスタマイズは行わず、DivaSystemの機能に合わせていくという方針をとった。データ検証やトレーニング・テストには、本システムの機能や連結会計に精通しているディーバ社公認会計士の支援を得、実務的な機能理解の助けとなった。連結決算の仕組みを理解している利用部門の人ならば、情報システム部門の手を借りずに十分に導入可能なパッケージである」(経理部)。

本システムは、PCサーバ、PCクライアント各1台で構成される、経理部専用の分散システムである。まずは99年度の連結決算処理に活用され、連結作業の早期対応を実現させた。実際の処理は次の要領で行われた。①連結対象会社が、Excelで作成された入力用標準シートに連結に必要な会計情報を記入し、電子メールで送信しデータを収集。

②収集されたデータをサーバに取り込み、DivaSystemの連結財務諸表作成用データチェック、持分比率自動計算、開始仕訳、税効果自動仕訳などの自動機能を使って1週間で連結利益を集計。

③これら自動換算機能で算出された連結データを修正画面で詳細に修正、未達取引などを考慮した消去仕訳データや修正仕訳データなどを入力し5月の決算発表で連結決算短信として公表。「DivaSystemは相手先別明細などのデータから、売上と仕入の取引消去を簡便に行える機能を持っているので、基本的消去仕訳の範囲での連結集計は1日で作成できる。当然だがこれまでのExcelによる集計作業と比べ、格段に作業が早くなった」(経理部)としている。

連結会計システムの活用効果については次の点を挙げている。*入力データのエラーチェックから税効果会計を適用した連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュフロー計算書の作成までを自動処理するので、連結決算作業が大幅に省力化された*多次元分析ツールが用意されているので、1度データを取り込むと分析結果を経営者のニーズに沿った報告書ができる。また、分析結果をExcelに落し込んで自由に2次加工できる*制度改正に伴う新しい機能の追加にも迅速対応されるためメンテナンスが楽になる*DivaSystem の主管部所であるERPソリューション室も導入作業に参画し、連結会計に関するノウハウを蓄積し今後のお客様対応に活かせる

なお、連結決算は、親会社の連結決算担当部署だけで完結するものではない。グループ会社から連結決算用の各種資料を提出してもらうなどの協力があって成り立つ。このため、日本ユニシス・グループでは定期的に子会社の決算担当者と連絡会議を開き、今回のDivaSystemの導入に伴う提出資料の様式変更やデータ送信の方法、制度改正に関する対応などについての勉強の場を設けている。これにより、親会社と子会社間の連結処理の統一化を進めている。

今後は、四半期対応のみならず月次連結決算への拡大、Webによるグループ会社間での決算情報の共有、さらにERPパッケージOracleAplicationsで構築した経理システムとのデータ連携による情報の直接取り込みなどを計画している。 UN

連結対象会社の増加でシステム対応が必須に

公平な機能評価によりDivaSystemを採用

超短期で導入作業を完了

自動機能の活用で連結集計を1日で作成できる

今後の対応

スムーズな導入のための協力と教育

DivaSystemの導入効果

作業項目�

DivaSystem環境整備�

日本ユニシスDivaSystemLCA導入プロジェクト�

環境整備方針作成�HW・SW選定�HW・SW確定/発注�HW・SW到着/準備�システム・インストール�プロダクト納品�HW経理部へ移設・稼働確認��DivaSystem導入�

初期作業�業務とシステムの分析�データ収集方針の決定�

マスタデータ準備�

トランザクション・データ準備�開始仕訳作成�トランザクション・データ準備�データエントリ�

過年度決算処理実行・テスト�決算処理実行トレーニング�DivaSystem検収作業�導入コンサルティング完了�

DivaSystem保守�保守開始�

担当�

経理部�経理部�経理部�

ERPソリューション室�ERPソリューション室�ERPソリューション室�ERPソリューション室�

経理部/DIVA�経理部/DIVA

経理部/DIVA�経理部�

ERPソリューション室�

経理部�経理部�経理部�

ERPソリューション室/DIVA�DIVA�経理部�

DIVA

支援�

DIVA�DIVA���DIVA�DIVA

DIVA�DIVA

DIVA�DIVA

経理部��

DIVA

作業内容�

DivaSystem導入に伴う環境整備方針の作成�DivaSystem使用機器選定�使用機器確定、発注�DIVA社へのHW・SW搬入、稼働事前環境設定�DivaSystem、DBMSその他システム稼働環境設定�納品�設定済システム移設、環境設定、稼働確認�

システムの機能と業務の擦りあわせ�関係会社データ収集方針の検討・確定�

明細系データ入力に必要なマスタ項目作成方針の決定�マスタ設定シートへのデータ入力(Excel)�マスタデータのシステムへの移行�

過年度決算用開始仕訳データ準備・作成�明細系および過年度決算仕訳データ準備�過年度明細系データのDivaSystemへの投入�実データ利用決算処理実行・レポーティング・テスト�ユーザ・トレーニング(DivaSystem、Business Objects)�DivaSystem検収作業�

導入後の決算対応は保守として実施�

マスタデータ作成方針作成�マスタデータ作成�本番環境データ移行�

導入に関する主な作業内容と役割分担

日本ユニシス連結会計システム「DivaSystem」を活用

制度改正への迅速対応を実現

特集.連結経営時代の会計システム

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印刷業界を取り巻く経営環境は、技術革新の進展、市場競争の激化などで厳しさを増している。大日本印刷では、これらの変化に対応するために数十社にのぼるグループ企業を併せた総合力強化を経営課題の1つとして掲げている。この課題に対応するべく、同社は95年以来全社的な業務革新に着手し、基幹業務を中心に情報技術を最大限に活用した新しい仕組みづくりを進めている。その一貫として人事・労務面においても、グループ企業を含め、各人の能力を最大限に活かせる適材適所の人材配置と職場環境を整備するため、情報技術を駆使したヒューマン・リソース・マネジメントの実践を目指して、人事情報システムの刷新を図ることとした。

これまでの人事情報システムの問題点として、次のような点があった。*ホストと専用端末による人事・労務部門専用のツールであり管理職層の人事情報活用が困難であった

*本社機構単体として設計されたため、グループ企業全体を視野に入れたシステムになっていない

*帳票出力重視型でありシミュレーション機能など意思決定支援機能が不足している

*人事・労務部門における大量のデー

タ・メンテナンス作業が必要とされるそこで、こうした問題点を解決するべく、人事情報システムの刷新を図ることとした。

こうした課題を解決する新人事情報システムの第一弾として、まず、これまで帳票で行ってきた各種申請・承認・請求を本人が自席のPCから発信・登録する仕組みにし、また管理職は部下の人事情報をネットワークを通じて入手できるシステムの開発から進めた。開発に当たって、人事・労務部門、

情報システム部門、人事事務を担当するグループ企業からなるプロジェクト・チームが編成された。本システムは97年4月から検討を開始し、98年5月から日本ユニシスが参画して開発に着手した。99年4月に開発を完了し、5月から順次本番稼働を開始している。システム開発にあたってはスピードを重視し、ERPパッケージをベースとすることとし、その選定にあたっては、同社独特の人事の仕組みに適合させるカスタマイズ性に優れていること、加えて開発ツールが同社の推奨製品であることなどか ら 、 O r a c l e

Applicationsを採用した。また、開発パートナーとして日本ユニシスを選定した理由は、①OracleApplications人事情報管理モジュールの日本語化を担当して機能を熟知している、②同パッケージの導入実績が高い、③これまでの同社におけるシステム構築の実績などである。日本ユニシスはシステム・インテグレータとなり、Oracle Applicationsの精通者を中心にチームを編成し、開発とコンサルティングを担当した。

新人事情報システム「D-Serve」は以下の機能を提供している。①一般社員が自ら人事情報の参照、登

録、各種申請を行える

現時点で、社員約1万2,000人のうち、メールIDを持つ約8,000人が自席のPCから給与明細と給与一覧情報をイントラネットを介して参照・確認したり、各種届出・申請を行える。この仕組みを使うことで、例えば、社員は住所変更、給与口座変更、結婚、欠勤・休暇、扶養家族変更などの届出、欠勤・休暇申請などをパソコンから行える。管理職は、申請に対して諾否をデータベースに登録する。登録されたデータはサーバ上で個人の勤務管理データとして更新したり、給与計算データとして活用する予定である。また将来は出勤簿を不要にすることも考慮している。②管理職への人事情報の提供

一方、管理職は、部下の生年月日・住所・学歴などの属人情報、家族情報、人事履歴、給与情報、人事考課情報、自己申告情報、職能開発情報などを随時照会できる。

閲覧できる情報は、一般社員は本人の情報だけに限定し、ライン管理職の場合は所属する部下の情報のみとし、上位職や他の部門の情報は閲覧できない。システムへのアクセスは、全社メール・システムのIDとパスワードを利

用しているが、機密保護が要求される人事情報がネット上を流れるため万全なセキュリティが必要となる。そこで、D-Serveではパスワードを毎月変更するとともに、①ネットワーク上を流れるデータはSSLにより暗号化する、②CookieやURLのパラメータの改ざん防止とログを採取する、③ログイン日時、ログイン失敗回数を表示するなど、万全なセキュリティを講じている。しかし、このシステムは、ほとんどの社員が使用するため、使い勝手の良さも要求される。そこで、大部分の操作をマウスだけで使えるようにするとともに、申請・届出などの画面操作は「はい・いいえ」の誘導式にしている。また、オンライン・マニュアルの充実も図り、導入の事前教育はほとんど不要であったという。

同社では「D-Serve」の効果として次の点を挙げている。*本人自ら手元のPCから申請あるいは給与明細などを確認でき、経費、時間の大幅な削減を図れる(約8,000人分に配布していた給与明細を廃止する)。情報発信源である社員によるリアルタイムで正確なデータ・メンテナンスは、人事部門の業務負荷を軽減することになる*管理職は、部下の特性、キャリア、スキルなどの人事情報を即座に体系的に把握できるため、部下の能力を活かした適材適所の人材配置を推進できる。今後は、グループ全体で3万数千人にのぼる社員の人事情報を一元管理しグループ全体として最適な人材配置、育成計画に則したキャリア・プランの立案などにも活かしていく。また、給与計算、社会保険などの共通の法定事務を統合的に集中処理する方策も検討されている。一方、人事・労務部門ではシステム機能強化に向けて、業績管理システムや機構改訂システムの開発も進めている。これによって、人事異動シミュレーションなどを展開し、有機的な組織構造を効率的に構築できる体制を整備していきたいとしている。さらに将来は次のような機能を実現していく計画である。◇本社・グループ全体を視野に入れ、権限と責任範囲に応じて人事部門以外の者も活用できる仕組みにする◇生情報に直接かつ多面的な角度からアプローチできる意思決定支援機能を実現する◇人事情報を生産管理、購買、会計など他のモジュールに活用できる仕組みとする

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

UN

大日本印刷大日本印刷では、戦略的人事システムへの変革を目指してOracle

Applications人事情報管理モジュールをベースに新人事情報システムの構築

を進めているが、その第一弾として、社員がブラウザを利用して人事情報の

参照、登録、各種申請を行う人事情報イントラネット・システム「D-Serve」の

稼働を開始した。

◆1876年(明治9年)、我が国最初の本格的印刷会社として誕生。「拡印刷」を基本コンセプトに印刷技術を応用・発展させ幅広い分野の製品やサービスを提供してきた。今日では、より豊かな暮らしと、より良いコミュニケーション

■大日本印刷株式会社 http://www.dnp.co.jp/index_e.html

を築くことを目指す「情報コミュニケーション産業」として発展している。◆所在地=東京都新宿区市谷加賀町1-1-1◆代表者=北島義俊社長◆売上高=1兆985億4,700万円(99年3月)◆従業員数=1万1,800人(同上)

Oracle Applicationsで人事情報イントラネット・システム「D-Serve」を構築戦略的人事システムへの変革で企業総合力強化を目指す

人事ソリューション

ヒューマン・リソース・マネジメントでグループ企業を含めた総合力強化を目指す

人事業務の機能強化・効率化を目指し、人事情報システムの刷新を推進

ネットワークを活用し、ESS(Employee Self-Service)を実践

各自の届出・申請、管理職への人事情報の提供をイントラネットで

万全なセキュリティ確保と使いやすさを追求

グループ企業を含めた人事情報を一元管理し、戦略的活用を目指す

各職場�・ユーザコード/パスワード�・アクセスログ管理�・役割に応じたデータアクセス権限�・機能限定�

総務� 上司�

電子メールやブラウザなどで連絡・確認�

・回線上のデータの暗号化�

人事専用ネットワーク�(仮想)

DNP基幹ネットワーク�

人事情報サーバ群�・サーバルーム� 施錠管理�

ホスト・コンピュータ�給与計算・健康管理�

ファイアウォール�

人事・労務部門�

・ユーザコード/パスワード�・端末限定�・役割に応じたデータアクセス� 権限�

新人事情報システム「D-Serve」構成図

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医薬品メーカーの主業務は、薬剤の研究開発・製造、卸業への販売、医療従事者への情報提供と収集などである。ヘキスト・マリオン・ルセルでMR(Medical Representative)をはじめエリア・マネジャー、流通・営業推進・企画などの各担当に営業情報、マーケティング活動状況、市場情報などを提供するものがSUMMIT(営業・マーケティング)システムである。これまでのSUMMITシステムは旧3社のシステム統合が不十分で、①運用コストの増大、②データ/リソースの重複、③拡張性の欠如などの問題があり、利用者側からは必要情報が少なく、アクセスもしにくいなどを指摘され抜本的改善が急がれていた。

ヘキスト・マリオン・ルセルでは営業・マーケティングの基本戦略をこれまでの本社主導型からエリア・マーケティングへ転換した。「競争激化の市場で、魅力的市場セグメント・顧客を正確に把握して営業資源を集中し、シェアを拡大する。その活動を支援する基盤の情報システムを全面的に再構築することになった」(新S&M情報シス

テムプロジェクト プロジェクトマネージャー武馬友義氏)。新システム構築にあたり利用者からは必要な時に、必要な情報をタイムリーに取り出し、加工・分析できることを求められた。そのためにはトップマネジメントから、MRまで社内の幅広い階層に対する定型的なレポートの充実と、即時の情報要求に利用者自身が対応できる非定型検索の仕組みが求められた。一方、システム開発の立場からは、定型的なレポートといえども変動要素が多いユーザの要求に、高い開発生産性を維持しつつ柔軟に応える仕組み作りが必要であった。さらに実運用に入ったシステムは、メインフレーム並の運用管理機能が用意されなければならない。新システムへの具体的な要件は*エリア・マーケティング支援のため市場情報を県単位から市区郡単位への細分化、実消化(卸を通じた販売実績データ)と自社実績などを加味した複合情報を把握できること*定型的出力の充実と非定型的処理の仕組み作りと予測・分析ツール活用*3台の汎用機をダウンサイジングしてUNIX/NT機への統合*従来の数時間もの検索応答時間を数秒に短縮し、かつ高い操作性の実現*目的データベース(データマート)の

自動生成などシステムの柔軟性確保

*メインフレーム機以上のバッチ処理能力と運用管理機能の確保

などに要約された。これらの新

システムへの要件を念頭にユーザ部門から専任5名、IT部門から専任8名、兼任1名を選出し、新システム・プロジェクト「SUMMIT」が98年1月に発足した。開発パートナーとして日本ユニシスが選ばれた。

顧客や市場は刻々と変わりそのニーズは変幻自在である。そうした要求に的確に応えるシステム構築に開発プロジェクトは腐心した。その答えは情報系システムの出力では“変更の多い部分はスクラップ&ビルドで開発する”を基本方針としたことである。すなわち「ユーザの要求はなかなか決まらない、決まってもすぐ変更される。そこで修正はやめて、作って不満足なら捨て新しく作り直そう」(武馬氏)という発想である。

スクラップ&ビルドによってユーザニーズに柔軟に対応できるよう工夫されたシステム形態が上図である。このシステムは開発方法を通常の考え方から逆転させ、まず、①インプットを先に決め②アウトプットを簡単に作る仕組みを考え

③最後にアウトプットを決めることによって生み出された。システムのキーポイントとなる主要部分をいくつかを紹介しよう。◆目的データベース作成ツール

これはスクラップ&ビルドの中核の仕組みである。基幹データベースから必要なデータを抽出・加工・編集して目的データベースをスクラップ&ビルドで構築するプログラムを自動生成することによって、使い捨てできるだけでなく開発生産性の向上にも寄与している。基幹データベースを直接アクセスするのではなく、中間に利用者の視点・切り口に応じた目的別データベース(データマート)を作成することで、検索ニーズに柔軟に対応できる。◆目的データベース検索ツール

これは目的データベースからレポー

トを検索・抽出するツールで、定型検索と、利用者が自由に帳票を作成できる任意検索の2種が用意されている。検索ツールはImpromptuとExcelとがある。Excelによる検索では目的データベースから条件にあった情報を抽出するだけでなく、複数のレポート間を自由にナビゲートしてレポートを検索できる。また出力レポートをさらに編集・加工する機能を持ちつつクライアントの負荷を軽くし、速い応答時間が確保されている。◆メニュー・システム

これはシステムの起動操作を統一し、利用者に共通のインタフェースを提供するものである。検索時における柔軟な条件入力を可能とし、アプリケーションの稼働時間制御、利用ログの採取、システム、データベース、利用者グループごとの同時稼働数の制御(流量制御)、クラスタ構成をとる各CPUノードのバランス制御も行っている。

SUMMITでは、次のような技術的先進性を実現している。①システム構造面では、膨大なデータが毎日、基幹データベースに取り込まれるが、その際、Oracle8の最新機能を活用しデータ更新を更新対象のみに行い(洗い替えという)バッチ処理の高速性を実現している。

②サーバをクラスタ構成にし4ノード並列処理で高速処理と高い可用性を実現している

③オラクル・パラレルサーバ(OPS)の採用で、ハイアベイラビリティ構成によるノード障害時の自動切り替えが可能

④サーバ運用、ジョブ運用、ネットワーク運用を統合化してサーバ/ネットワークの集中監視を実現するとともに、GUI画面からの稼働状況監視を実現

◇なお、今後はWebによるデータの収集・登録・検索、モバイルによるデータの検索と入力などへのシステム拡張が予定されている。

1999年8月1日第460号

UN

医薬品ビジネスに求められる情報システム

エリア・マーケティングを支援する情報基盤の強化

スクラップ&ビルドを基本方針に

要求に柔軟に対応するシステムの実現

SUMMITシステムの技術的先進性

医薬品業界の経営環境は、医療行政の変化、薬価行政の大幅見直し、医・

薬分業の拡大によって大きな変革に直面している。環境変化と競合激化に迅

速・柔軟に対応する営業・マーケティング戦略の強化が急がれる。

それを支援する情報システムは、戦略性が高く、要求される情報は非定型

が多く、即時に幾通りもの切り口で提供されなければならない。

ヘキスト・マリオン・ルセルの「SUMMIT(Strategic Utilization of Modern

Marketing Information Technology)」システムは、こうした要求に迅速・柔軟

に応える大規模C/SS型データ・ウェアハウス・システムとして再構築された。

■ヘキスト・マリオン・ルセル株式会社

◆ヘキスト・マリオン・ルセルグループ(本部ドイツ)の日本法人で、96年4月にヘキストジャパン、森下ルセル、マリオン・メリル・ダウの3社が合体して新発足した。医家向け医薬品の輸出入・製造・研究開発と販売、ならびに医

療機関への情報提供・収集を主事業としている。◆所在地=東京都港区赤坂2-17-51◆代表者=マーク・デュノワイエ社長◆従業員数=3,210人(97年)◆売上高=約1,419億円(97年)

C/SS型大規模データ・ウェアハウス・システム

新S&M(営業・マーケティング)情報システム「SUMMIT」を構築医薬品業界の経営環境激変への対応を図る

流通ソリューション

ヘキスト・マリオン・ルセル

〈構成〉�サーバ:HP EPS23システム�   EMC Symmetrix3430�RDB :Oracle8

実消化�データ�

日報�データ�

IMS�クレコン�データ��

DCF�データ�

実消化�上流処理システム�

MR日報�上流処理システム�

市場情報�上流処理システム�

マスタ�上流処理システム�

統合(基幹)DB�(Oracle8)

実消化�データ�

MR日報�データ�

市場�データ�

マスタ�

目的DB�作成処理�

ディスク容量:約700GB

統合メニューツール�(業務メニュー・稼働管理・流量制御)

目的DB群�(Oracle8)

目的�DB

クライアント数:�約1,000台�

マスタ・�

メンテナンス�

定型レポート検索処理�

非定型レポート検索処理�

上流処理�・データ変換処理・自社コード変換処理�・エラーデータ処理・過去データ洗替処理�             など�

目的DB作成ツール�「S&B(Scrap & Build)」�(プログラム/シェル自動生成)�関数(縦横変換、軒数計算 など)

検索ツール�・Impromptu�・Excelアドイン� ツール�

SUMMITのシステム全体概念図

Page 9: 16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

9

NTTコミュニケーションズでは、DDXパケット、フレームリレー、セルリレーの3種類のパケット通信事業を支える基幹システムとして、PEGASUSと呼ばれるシステムを運用していた。PEGASUSシステムは、パケット・サービスを主力商品としていた頃に、メインフレームを中心とするセンター集中型のシステムとして構築された。しかし、PEGASUSには次のような問題があり、抜本的対策の必要に迫られた。*PEGASUSシステムでは、システムの構造上、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟な対応をとることが難しくなってきた。

*業務量の増加に伴い、システムの処理能力不足が表面化してきた。

*PEGASUSシステムのマシンが旧式化してきており、マシンの世代交代時期にきていた。

*市場ニーズが、パケット・サービスからフレームリレーやセルリレーといった新サービスにシフトしてきており、新サービスに本格的に対応できる新システムの登場が望まれていた。

*通信自由化やNTT再編成の流れの中

で、将来の競争の激化が予想され、競争力の強化が必要になってきた。これらの問題に対応すべく、フレームリレー・サービス業務を皮切りに、段階的にオープン・システムへの移行を進めることになった。PRASMAは、NTTコムウェアが開発を担当し、日本ユニシスは、Forteの提供、Forte技術支援、業務システムの開発分担などの形で協力した。

PRASMAシステムの開発に当たって、次のような方針が打ち出された。(1)従来のメインフレーム中心のセンター集中方式をやめ、複数の大型UNIXサーバで構成する分散システムとする。(2)クライアント端末はWindows PCとし、端末リソースの有効利用を図る。(3)業務ごとに搭載サーバを分離する

ことで、将来の業務拡大によってサーバの処理能力が不足した場合は、その業務のためのサーバを増設し、並列処理が可能な形態とする。

(4)データベースは、各業務サーバごとではなく、1カ所のデータベース・サーバで集中管理し、データベースの維持管理を容易にする。

(5)大地震のような広域災害が発生してもサービスを継続できるよう、サーバ群の設置サイトを関東と関西に分け相互にバックアップする形態とする。

(6)システムの信頼性と性能を確保する。

(7)PEGASUSの既存システムとの連携・有効利用を図る。これらの要求を満たすため、大規模分散オブジェクト・システム開発/実行環境ツールであるForteを開発主力ツールとして採用決定した。

PRASMAシステムは、全国の支店などに設置された多数のクライアントPCから、東西2カ所に設置されたセンターの複数台の大型UNIXサーバをアクセスする、分散処理システムとして構築された。東西のセンターは、阪神大地震のような広域災害で一方のセンターが使用不能になった場合、生き残ったもう一方のセンターが、機能を肩代わりするようになっている。1つのセンター内では、各サーバごとに担当業務を割り当て、特定のサーバがダウンした場合は、他のサーバがその機能を肩代わりするようになっている。また、トランザクション量が比較的多いSO(サービスオーダー)業務を担当するSOサーバは、3台並列構成とし負荷分散を図っている。SO業務に限らず、将来、業務の拡大に伴って特定のサーバの能力が不足した場合は、サーバ増設によって簡単に負荷分散が図れるようになっている。 (図1)

PRASMAシステムは当初の計画どおり、98年12月からサービスを開始し、現在に至るまで順調な稼働を続けている。

Forteは、大規模分散オブジェクト・システムの開発/実行環境ツールとして、高度な基幹システム開発に欠かせ

ないさまざまな充実した機能を持つ業界リーダ的ツールである(図2)。Forteでは、どのような巨大な分散システムでも、あたかもPC上で動作する単一のローカル・アプリケーションの感覚で開発することができる。国内でもForteによる開発事例は増えてきているが、今回のPRASMAシステムは、その中でも最大級の開発規模となった。開発プロジェクトの責任者である顧客料金系システム事業部 シニアマネージャ島津芳広氏は、Forteについて次のように語っている。「短期間での開発のために多くのプログラマが参加したが、大部分の人はForteを使うのが初めてにもかかわらず稼働するシステムに仕上がった実績からいって、良いツールだと評価している。経験の浅いツールを使って基幹システムにインテグレーションするために、苦労した部分があるが、その分Forteに関するかなりのノウハウを蓄積できたと思っている」。

PRASMAシステムは、現在、フレームリレー・サービス業務を支えるシステムとして稼働中であるが、今後は、セルリレー・サービスやその他の新サービス対応機能などを、順次取り込む計画である。そのための機能拡張にはすでに着手しており、現在も進行中である。PRASMAシステムは、NTTコミュニケーションズのパケット通信系サービス業務を支える重要な基幹システムとして発展することが期待されている。

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

NTTコムウェアエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションウェア(略称:NTTコムウェア)では、

NTT再編成により7月1日に誕生した長距離・国際サービスを提供するNTTコミ

ュニケーションズが使用する基幹業務システム「PRASMA(Packet & Relay

Account and Service MAnagement system)」の開発に成功した。PRASMAは、

メインフレームベースのシステムであった従来の「PEGASUS(Packet Extra

high GrAde Service sUpporting System)」の一部を、UNIX、PCベースの分散シ

ステムにダウンサイズしたもの。PRASMAは98年12月からサービスを開始し、

現在、順調に稼働中。開発には、日本ユニシスが販売する大規模分散オブジ

ェクト・システム開発/実行環境ツール「Forte」を全面採用し、日本ユニシスが

開発の一部とForte技術支援などを担当した。

◆世界最大のキャリア・NTTで、通信用ソフトウェアや業務処理・業務支援のシステムを、開発からメンテナンスに至るまで総括的に遂行してきた組織を母体として、97年4月、新会社として独立。97年9月営業開始。電気通信、情報産業の分野はもちろん、巨大データベース業務処理から最新Java技術

■エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションウェア株式会社 http://www.nttcom.co.jp/によるSOHO環境まで、ネットワークとコンピュータによるトータル・ソリューションの提供を目指している。◆所在地=東京都港区港南1-9-1◆株主=日本電信電話株式会社◆代表者=三原種昭社長◆資本金=200億円(授権資本:800億円)◆従業員数=9,100人(98年3月31日)

分散オブジェクト・システム開発/実行環境ツール「Forte」を利用し

NTT基幹システムのダウンサイズに成功NTTコミュニケーションズの基幹システム「PRASMA」サービス開始

社会公共ソリューション

オープン化で時代の要請に応える

さまざまな開発要件に応えるため「Forte」を主力開発ツールに採用

万全な災害対策、負荷分散でシステムの安定性・信頼性を実現

高度な大規模分散システム構築に威力を発揮する「Forte」

さらなる機能拡張にも着手

基幹業務処理センター(関西) 情報活用処理センター(関東)共通データサーバ� バッチ処理サーバ�情報活用処理サーバ�

運用支援サーバ群�運用支援サーバ群�

設備/故障サーバ� SOサーバ�

FR網�

支店1� 支店N

ネットワーク�管理系�

システムなど�

PRASMAクライアント� PRASMAクライアント�

FR交換設備�

料金系システム�

集中管制センタ-�

……�…� …�

…�新OPS網�

稼働祝賀会での開発関係者一同

図1 PRASMA(1次1期)システムのネットワーク構成図

図2 Forteの代表的機能

環境コンソール:分散環境全体を監視できるグラフィカルな環境管理ツール�

アプリケーションの状態監視と起動/停止制御�

アプリケーションのパフォーマンス/リソースの監視�

アプリケーション・パーティションのダイナミックな配置変更�

アプリケーション開発機能�

マルチプラットフォーム対応:各種UNIX、Windows、Macなど�

トランザクショナル・オブジェクト指向4GL:大規模分散システムの全体を記述可能�

巨大な基幹システムでもPC上で開発可能な開発環境(GUIビルダ含む)�

豊富なクラスライブラリ�

セントラル開発リポジトリ:共同開発をサポート�

シンボリック・デバッガ:マルチスレッドも追跡可能�

外部アプリケーションとの豊富な連携手段:Cラッパリング、ActiveX、CORBAなど�

信頼性サポート:フェイルオーバ、分散トランザクション処理、エラーハンドリング�

パフォーマンス・サポート:ロード・バランス、マルチタスク、リソース最適化�

さまざまな形態でのテストをサポート�

パーティション・ワークショップ:アプリケーション分割を可能にする�

ディストリビューション(出荷セット)のワンタッチ作成(C++コンパイルも可)�

DOM:開発者から完全に隠蔽された独自ORB(ネームサービス機能付き)�

�システム管理機能�

UN

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本稿では我が国のモバイル・コンピューティングの現状および課題、業務のモバ

イル化についての考え方、日本ユニシスのコンサルティング・サービスについて紹

介する。

携帯電話を中心としたモバイル通信市場が急拡大している。郵政省によると、99年4月末現在

4,246万台と、ここ3年間は連続して1,000万台/年の増加である。PHSは579万台と18カ月ぶりに前年同月比純増に転じた。市場には携帯PC、スマートフォンを中心に、GPS、地図表示、Mail、Browser、カメラ機能を内蔵した端末まで登場し始めた。一方、サービスにおいてはI-ModeやEZサービスなどの、インターネット・ベースでのモバイル・サービスが登場し、一気にECサービスのモバイル化が実現されそうである。また、ドリームネット社(NTTグループ)に見られるようなモバイル専門のISPも登場している。しかしながら、これら商品の利用者

は主に一般消費者、パワーユーザであり、企業での導入は、先進的企業に限られている。98年10月に日本能率協会が上場2,300社の情報システム部門長に行ったモバイル・コンピューティング利用実態調査によると、導入済みユーザは20.7%、計画ありを加えても26.6%に留まっている。また、検討中、可能性ありが42.6%となっており、多くの企業は導入の意向を持ちつつ状況を注視していることが伺われる。 (図1)

現在、多くの企業は、モバイル・コンピューティングの導入意向を持ちながらも、状況を注視している。これには3つの理由があると思われる。1つ目は無線インフラである携帯・

PHSのサービス内容(速度、品質、価格など)である。現在の通信品質はITUの音声通話に関する要求品質(G.144)がもととなっている。これはリアルタイム性については問題ないが、品質、速度面では水準が低い。“データ通信に適した通信環境を実現する”これが課題である。2つ目は実践時での必要情報が不足していることである。このため先発企業は、多少の差はあるが、モバイル導

入時に試行錯誤を繰り返している。“システム構築、運用管理時に発生するモバイル固有の問題に関する情報および対応法を整備し明らかにする”これが課題である。3つ目は各企業がモバイル化のキラーValueを見い出せないことである。キラーValueとは、企業が新事業あるいは既存事業をモバイル化することにより、決定的な価値を生み出す新事業あるいは既存事業のプロセスのことである。“企業にあったキラーValueを見出す”これが課題である。以下ではこれらの課題を念頭に今後の動向について述べる。

まずモバイル・コンピューティング・システム(以下モバイル・システムと略記)全体を鳥瞰してみる。図2は主な構成要素について示したものである。モバイル・システムは5つの層から構成されると考えられる。セキュリティ技術と運用管理技術はすべての層に関係する。システム化を検討する場合、各層から最適の技術を選択することにより全体的な構成を知ることができる。ここでは紙面の関係上4つの技術動向について述べる。◆携帯端末層

各種携帯端末に関する層である。先発企業からはバッテリ時間の短さ、携帯性・耐久性のなさなどの基本的な機能の弱さが指摘されていたが、耐震、耐水、耐塵機能を持ったフィールド・サービス専用機や、ディスクなどの稼働部品を削除した車載専用機が登場している。最近ではGPS、カメラ、PHS機能の内蔵や、テレメタリング専用、地図情報表示など、多様な機能を持った製品が登場している。これらの機能は利用者側から見る

と、業務に適用した場合、設備環境不

要(スペースを取らない、設備が不要、移設が容易、電源1本あればオフィス環境をどこでも実現可能)、幅広い実行環境(いつでも、どこでも、誰とでもインタラクティブで実現可能)、処理できるコンテンツの充実(音声、データ、図面、画像処理が可能)、高度な携帯利便性(端末1つあればOK)などのメリットがある。◆アクセス側通信層

無線アクセスのインフラの層である。現実的には携帯・PHSが主である。先発企業からは速度の遅さ、高コストが指摘されている。また、常時接続、高速度サービスの要求も強い。現在、無線通信技術の進歩により、アクセス側通信機能は大幅な性能向上が図られつつあり、今後も続くと思われる。携帯電話では現行システムと比較して、速度品質15倍、誤り品質1,000倍以上(有線と同等)の国際標準(IMT-2000)に則ったサービスが、2001年度より開始される。PHSでは、現行のインフラ上で高速サービス(64Kbps)が各社より開始されており、今後はパケットによる常時接続も予定されている(99年末)。これらの性能向上により無線通信網は、従来の有線通信網ではカバーできなかった独自の価値を持ったモバイル情報処理用の通信網に変貌しつつある。これらの機能を、業務に適用した場合、365日/24時間接続を利用した無人・自動処理システムが可能、各種コンテンツ(音声、データ、図面)を利用してのサービスや営業支援が可能、世界各国で使用可能(現在は国内のみ)などのメリットがある。◆セキュリティ

モバイル・システムのセキュリティに関する技術である。携帯・PHSから企業センターへアクセスできるということは企業システムの一部(ネットワークの受け口)を外部へ露出することになる。モバイル・システムは不特定多数からのアクセスが可能であるため、本人認証が最も重要となる。生体特徴である指紋を利用した本人認証機能が昨年より登場し、英国国会議員のNote-PCの本人認証に採用され話題となった。そのほか携帯端末の紛失や盗難、それに伴うデータの流出対策や、業務で使用しているAPレベル

でのセキュリティなど、すべての層での検討が必要となる。業務に適用した場合、セキュリティを厳密にすればするほどエンドユーザにとって操作が煩雑となってしまう。この点、モバイル環境では、今後、指紋認証機能が有効である。日本ユニシスでは、モバイル環境での使用を考慮したトータル・セキュリティ・サービスとして、iSECUREを提供している。◆運用・管理

モバイル・システムの運用管理についての技術である。企業ではネットワークを構成する機器の識別や構成管理、各種状態、各種統計をサーバ、ルータ、クライアントPCについて行っている。モバイルの場合、Windowsなどが動作するPCを除けばこれらの機能をサポートしていない機器が多い。IPアドレスについても、クライアントからアクセス・サーバ接続時に動的に割り当てられることから、センターからのポーリングによる管理情報の収集は難しいのが現状である。このため、モバイル端末に管理用エージェントを動作させておき、センター・システム接続時に端末から必要情報を送るなどの方法がMCPC(モバイル推進コンソーシアム)などで検討されている。日本ユニシスはMCPCのメンバーとして“モバイル・コンピューティング・システム運用構築ガイド”の整備・開発に参画している。モバイル環境では、トランザクションの発生度合、集中度合、端末環境の安定度合、発生時間、場所を把握することがモバイル・ワーカ支援や、システムの有効性を測る上で極めて重要である。これらのログを活用することにより、ネットワーク施設の充足度、トランザクションの伸び、部門ごとの使用量・コストが把握でき、さらに、車輛ルートの最適化、仕事の効率把握およびスケジューリングなどの実業務の向上が期待できる。

(次号へつづく)

1999年8月1日第460号

UN

モバイル・コンピューティングの現状と動向 (上)日本ユニシス株式会社

アドバンストコンサルティンググループシニアコンサルタント 田中洋一郎

サービスアドバンスト・コンサルティング・サービス(23)

モバイル・コンピューティングの現状

モバイル・コンピューティングの課題

モバイル・コンピューティングの動向

導入済み� 導入計画有り� 検討中� 可能性有り�� 不明�

20.7

5.9

14.028.6

30.8

図1 モバイル・コンピューティングの導入状況

層� 内    訳�

業務� 業務系�(トランザクション・タイプ) 情報系・業務系�オフィス支援系�

処理サービス� TRX�処理�

DBアクセス処理�

非定型IR データサーバ�配信型処理�

グループウェア処理�

電子メール�情報共有�

ミドルウェア� モバイル通信ミドルウェア�

通信�センター側�

リモートアクセス�インター/イントラネット� LAN

専用線� PSTN ISDN

アクセス側� 携帯� PHS ページャ�スタンドアロン�

携帯端末�Windows95�タイプ�

WindowsCE�タイプ�

専用端末�タイプ�

電子手帳�タイプ�

スマートフォン�タイプ�

セキュリティ�運用管理�

…�

…�

…�…�

…�

・�

・�

図2 モバイル・システムの主たる構成要素

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異機種サーバ統合監視システム「 Integrated View 」(本紙第451号で紹介)は、すでに導入稼働中、あるいは構築中の事例があり、以下に代表的な3つの利用例を紹介する。Integrated Viewは USフ ァ ミリ

(Solaris)上で稼働するソフトウェアであり、TCP/IP接続されたHMP IXシリーズ、ITASCAシリーズなどの2200系サーバ、Solarisサーバ、HP-UXサーバ、さらにはWindowsNTサーバを監視対象として、各種のイベントを一括集中監視する機能を提供する。Integrated Viewの特徴の1つとして、他のオープン系運用管理ツールにはない2200サーバの監視機能があり、すで

にIOF連携機能を提供済みである。また、2200系サーバとの連携強化については、さらにXISコンソール連携機能も今年度提供を目標に現在開発中である。今回紹介する3つの事例はいずれも2200系サーバのコンソール監視が共通項目となる。①複数の2200系サーバのコンソール集中監視の利用例②複数の2200系サーバのコンソール監視に2200系サーバの運用管理システムIOFとの連携を加えた利用例③2200系サーバのコンソール監視に複数のAQUANTAサーバ(WindowsNTサーバ)との連携を加えた利用例

全日本空輸(株)の導入例は2200系サーバ、XPCシステム用コンソールの複製画面表示(100%複製可能)、障害情報の統合監視、障害発生時の音声通知を主な目的としている。また、24時間運用を前提として、さらに障害時に備えてIntegrated Viewサーバ、Integrated View端末およびLANを冗長構成としている。監視対象はすべて2200系サーバで、新国内旅客系システム3台、空港系システム2台、国際貨物系システム2台、国内貨物系システム2台、XPCシステム2台、合計11システムのコンソール合計22台をIntegrated View端

末7台で監視している。各システムはその用途に応じて同一ビル内の各階に分散配置されているが、Integrated Viewを導入することで11システムに及ぶコンソールの情報を効率的に一元管理している。 (図1)

(株)シーティーアイは、中部電力(株)のシステム全般の運用をしており、分散システムの拡大に伴う運用管理負荷の増大に対処することを目的として、新監視運用システムがこの5月より運用開始されているが、Integrated Viewは監視業務の中心的な役割を果たしている。2200コンソールの集中監視機能に加えて2200系サーバの運用管理システムである拡張IOF

との連携機能、さらにIntegrated Viewに標準機能として装備されているイベ

ント蓄積(トラブル・チケット)機能をベースとする障害履歴管理などを使用している。監視対象は遠隔地4カ所であり、同一ビルでの統合監視に加えて、2カ所のセンター間をATM接続、静岡、長野を含む4拠点を3Mbpsの専用線で接

続する大規模構成となっている。運用の形態は24時間体制であり、障害に備えてIntegrated Viewサーバの冗長構成を採用している。なお、今後はオープン系のネットワーク管理システムとの連携が計画されている。 (図2)

(株)九州地区農協オンラインセンターでの導入例では、新情報系システムとしてのHMP IX5600の2200ノードに対するコンソール監視機能、拡張IOFに対する連携機能に加えて、複数のWindowsNT(AQUANTA)サーバのイベント監視を計画中である。監視対象となるWindowsNTサーバ群にはSYSTEMエージェントとAPエージェントが搭載され、メモリ、CPU、ディスクなどの各種資源監視と、WindowsNT上で稼働する各種アプリケーションからのイベントを集中監視する。現在、連携を計画し

ているアプリケーションは日本ユニシスのMAPPER/WNT、日立製作所(株)のJP1/Cm2、コンピュータ・アソシエイツ(株)のARCserveである。各々のアプリケーションが持つ外部

へのテキスト・ログ出力機能と連携、そこからIntegrated ViewのAPエージェントが障害関連情報を受け取り、統合監視画面に集中表示するとともに、音声出力としての外部出力が予定されている。障害情報に基づく各種のアクションはIntegrated View端末上から連携起動が可能なリモート・コントロール・ソフトウェアを利用して対象となるWindowsNTサーバのアプリケーションを直接操作することで対応可能である。 (図3)

また、以上のようなケースでは、いずれもオプションの各種監視エージェントを追加することで、さらにUNIX系サーバに対する監視機能を容易に付加拡張することができる。上記事例の 2 2 0 0 系サーバと

WindowsNTサーバに加えて、UNIXサーバに対しても、*リソース監視エージェントを追加した場合は各種資源情報

*アプリケーション連携エージェントを追加した場合は監視対象アプリケーションが出力するテキスト・ログと連携することでステータス情報

などをIntegrated Viewの集中監視の対象に加えることができる。

◇なお、一方で冒頭でも触れたように各種の基幹系システムとして位置付けられる2200系サーバとの密接な連携を深める目的でIOF連携機能に加えて、2200系サーバの最新の統合オンライン

構築用基盤ミドルウェアであるXIS_WebNetおよびXISの専用コンソールとの連携機能を開発中である。Integrated Viewはこのようにユーザのニーズに併せて各種のアプローチで集中監視をスタートさせることが可能な統合監視システムである。*2200系サーバのコンソール統合監視*2200系ミドルウェアと連携して基幹業務システム(オンライン、バッチ)を監視*増大しつつあるオープン系分散システムの監視*アプリケーション連携エージェントによるオープン系既存ツールとの共存上記いずれのアプローチからも集中監視をスタートできる。異機種集中統合監視というキーワードで監視業務全体の負荷軽減を図ることが可能になるIntegrated Viewの導入を是非ご検討いただきたい。

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

UN

異機種サーバ統合監視システム「Integrated View」導入事例

日本ユニシス株式会社商品企画部HMP-IX企画室課長 大畑孝之

IT最前線

2200系サーバを中心とした監視構成3例

複数の2200系サーバのコンソール集中監視の利用例-全日本空輸

複数の2200系サーバのコンソール監視に2200系サーバの運用管理システムIOFとの連携を加えた利用例-中部電力/シーティーアイ

2200系サーバのコンソール監視に複数のAQUANTAサーバ(WindowsNTサーバ)-九州地区農協オンラインセンター

各種監視エージェントの追加でUNIX系サーバの監視機能も容易に付加拡張が可能

IV端末�IV端末�

ITASCA�コンソール×2ITASCA�

コンソール×2

XPC�コンソール×2

2200�コンソール×22200�

コンソール×22200�コンソール×22200�

コンソール×22200�コンソール×22200�

コンソール×2

IV端末�IV端末�

IVサーバ�(サブ)

IV端末�

ITASCA�コンソール×2

XPC�コンソール×2

ルータ�

監視対象システム� ― ITASCA3800 × 3� ― 2200 × 6� ― XPC × 2�  計 18~22コンソール��注)IV:Integrated View

IVサーバ�(メイン) IV端末�

図1 2200系サーバのコンソール統合監視

稲永センター� 名駅南センター�

長野支店�静岡支店�本社�

IVサーバ�(メイン) IVサーバ�

(サブ)

IV�端末�IV�端末�IV�端末�IV�端末�

IV�端末�IV�端末�IV�端末�IV�端末�

IV�端末�IV�

端末�

IV�端末�IV�

端末�

IV�端末�IV�端末�

CNSL

CNSLCNSL

CNSL CNSL CNSL CNSL

ITASCA�3800

ITASCA�3800

HMP IX�5600

HMP IX�5600

HMP IX�5600 HMP IX�

5600

専用線�3Mbps

ATM�156Mbps

2200/900

図2 IOF連携+遠隔地統合監視

CNSL

WindowsNT�(AQUANTA)�サーバ�WindowsNT�

(AQUANTA)�サーバ�

WindowsNT�(AQUANTA)�サーバ�

WindowsNT�(AQUANTA)�サーバ�

WindowsNT�(AQUANTA)�サーバ�

HMP IX�5600

監視対象システム� ― HMP IX5600×1�   IOF連携あり� ― Windows NTサーバ×5

IVサーバ�IV�端末� IV�

端末�

CNSL

図3 異機種サーバ統合監視

Page 12: 16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

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オブジェクト指向という言葉は、ビジネスのモデル化からプログラミング言語までさまざまな領域で使用されている。日本のみならず世界的にも、いまだオブジェクト指向はアプリケーション開発方法の標準となり得ていない。例えば、オブジェクトとメッセージによる現実のモデル化という世界観については、ソフトウェア工学者から「日の出の時、太陽が鳥に鳴けとメッセージを送るのか」*1と揶揄された。

また、純粋にオブジェクト指向で進めようとすると、企業規模でのシステム開発では設計者を揃えられない、というのがプロジェクト・マネージャの現実的な認識とされている*2。しかし、いくつもの経験からオブジェクト指向技術は、当初の限界を越え実用的な段階に進んでいる。少なくとも、システム開発方法としてのオブジェクト指向はコンポーネント指向に移行している。

オブジェクトと同様、コンポーネントもいろいろな意味で使われている。ここでは、コンポーネント指向の本質をインタフェースと実装の分離として捉える。実装はプログラムの実体(コンポーネント)であり、領域を割り当て、手続きを実行する。インタフェースは、その手続きを外部から実行できる操作として公開したものである。インタフェースと実装は、C言語での関数プロトタイプなどの宣言と変数・手続きの定義に相当する。 (図1)

この2つが分離していれば、インタフェースが変わらない限り、コンポーネントの変更はクライアントのプログラムに影響しなくなる。 (図2)

そして、同じインタフェースを持てばコンポーネントを取り替えることができ、同じインタフェースを利用する複数のクライアントで同じコンポーネントを利用できるようになる。 (図3)

図からも読み取れるように、インタフェースと実装が分離しているためには次のような条件が必要である。第1に、クライアントはインタフェースを通してコンポーネントを操作すること。第2に、インタフェースとコンポーネントは多対多の関係であるこ

と。このような条件を満たすことにより、コンポーネントは置き換え可能という性質を持ち、再利用可能な部品となる。インタフェースの分離はオブジェクト指向技術の産物である。デザイン・パターンなどの設計テクニックとして利用されだし、Javaの登場により言語機構として実現された。

企業規模でのアプリケーションは、サーバ・サイドでの開発に重点がある。まず、GUIで成功した小粒度のコンポーネントとフレームワークという組み合わせが、サーバ・サイドにも持ち込まれた。このアプローチでのコンポーネントは、それまでビジネス上のオブジェクトとして議論されていたものに比べ粒度の小さいもの(通貨など)であったものの、従来のパッケージ製品に柔軟性を持たせる意義はあった。サーバ・サイドの本格的なアプリケ

ーション開発をコンポーネント指向とするためには、GUIアプリケーションでは意識されなかった幾つかの技術的なポイントが浮上する。 (図4)

まず、分散オブジェクト技術である。サーバ・アプリケーションにはレガシー・システムを含むヘテロジニアスな環境への対応と拡張性が求められる。このためにはサーバ・プログラムの開発言語や物理的な配置に、クライアント・プログラムが影響されないことが必要である。このようなプログラム

言語透過性や位置 透 過 性 は 、CORBA(CommonObject RequestB r o k e rArchitecture)やCOM(Component Object Model)といった分散オブジェクト技術によって提供される。次に、通信やトランザクションなどのシステム制御機能からの独立である。EJB(Enterprise Java Beans)ではシステム制御機能をコンテナに担わせることによって、アプリケーション・ロジックをコンポーネント化し、再利用性を高めるというアプローチを示した。第3のポイントは、コンポーネントの粒度を階層化することである。統一

モデリング言語(UML)には、サブシステムの記法が取り入れられた*3。サーバ・サイド開発で最も重要な、データの保全性のためにも、サブシステムの粒度のコンポーネントが適当である。コンポーネント指向開発方法の1つであるカタリシス*4も、この大粒度のコンポーネントを想定している。

サーバ・サイドのアプリケーション開発では、生産性と品質の保証が重視される。コンポーネント指向は、開発を見通しのよいものにし、客観的に判断しやすい情報を提供する。例えば、開発プロセスにおいても、インタフェースと実装の分離を一貫して適用すると、要件分析からプログラム開発・テストまでの成果物をインタフェースによって追跡できるようになる。さらに、このインタフェースをUMLで記述することにより開発者間やツール間で客観的な情報交換ができる。UMLで記述したモデルをXML文書へ交換するための規約が標準化されつつあり*3、これを利用するとリポジトリを介してツール間をつなぐことができる。 (図5)

インタフェースを実装から分離させることは、コンポーネント指向開発で追加された負荷である。Java RMI(Remote Method Invocation)

以上見てきたようにサーバ・サイドのコンポーネント指向開発を支える実行環境、開発環境は揃いつつある。コンポーネント指向の効果は再利用性だけではない。置き換えできるという性質を利用した分散・並行開発、インタフェースを軸とした開発管理など開発プロセス改善への寄与がその一例である。ところで、大粒度のインタフェースは企業のサービスに相当する。現在、ビジネス・アプリケーションの課題は、

は、この負荷を少なくするように考慮されており、COMのインタフェースは開発環境を利用して生成できる。CORBAベースでもこの点をサポートする製品が提供され始めている。サーバ・サイドのコンポーネントの場合、これだけでは十分でないことは先ほど述べたとおりである。アプリケーション・ロジックの独立性・再利用性をより高める開発環境が必要である。インタフェースを形式的に記述することにより、このような機能を持つ開発環境の提供が可能になった。EJBはこの点で一歩進んでいるが、アプリケーション・ロジックとの乖離は残っている。

1999年8月1日第460号

UN

コンポーネント指向開発現実的な開発アプローチ

日本ユニシス株式会社生産技術部情報技術室システムマネジャー 羽田昭裕

IT最前線オブジェクト指向技術(3)

実用的な段階に進むオブジェクト指向技術

コンポーネント指向とは

ビジネス・アプリケーションとコンポーネントコンポーネント開発の今後

コンポーネント指向と開発環境

大量・高速の事務処理からビジネスの改革に対応したサービス提供に移行しつつある。このようなサービスの進展とともに、コンポーネント指向開発の適用が広まっていくと考える。

外部公開操作�(関数プロトタイプ)

プログラム定義�(変数・関数定義)

インタフェース� コンポーネント�

インタフェースAクライアントX インタフェースA'

コンポーネントa コンポーネントa'

クライアントx クライアントyインタフェースA

コンポーネントa

図1 インタフェースとコンポーネント

図2 インタフェースの再利用と追加(コンポーネントの修正)

図3 コンポーネントの再利用(複数クライアントからの利用)

クライアント x�(Visual Basic)

コンポーネント a�(COBOL)

コンポーネントb�(Java)

レガシー z�(COBOL)

DBa DBb

システム制御機能�

コンテナ�

インタフェース�

サブシステム�

他コンポーネント呼出し部品�

システム制御機能呼出し部品�

図4 コンポーネント指向ビジネス・アプリケーション

要件分析�

論理設計�

物理設計�

インタフェースa ツールs

ツールt

ツールu

リポジトリ�(UML)

XML文書�

インタフェースa �'

インタフェースa''

図5 インタフェースのリポジトリ管理と追跡可能性

[注]*1 S. Cook, J.Daniels : Designing ObjectSystems

*2 G.C.Dennis, J.R.Rubin : Mission-CriticalJava Project Management

*3 OMG Unified Modeling LanguageSpecification Version 1.3

*4 D'Sourza, Wills : Objects, Components,and Frameworks with UML

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13

インターネット利用者の急増が続いている。これに対応するため、ネットワー

クの高速化は不可欠な技術となっている。高速化には2つの方向性があり、1つは

実際に大量のデータを短時間に送れるようにする技術、そしてもう1つは大量の

データをコンパクトにまとめたり、効率を高めるなどして、限られた回線を限界

まで使い切ろうという技術である。今回から2回に分けてインターネットの高速

化技術について述べる。

まずは前者の回線自体を高速化する技術について考えてみる。

インターネットの高速化が強く求められている。コンテンツの変化、そしてユーザ数の増加がネットワーク自体の強化を追い越そうとしているからである。インターネットではファイル転送、情報交換、ホームページの送信などさまざまな役割を負っている。そして、音声もインターネットに乗り始めた。かつてファイル転送とテキスト・ベースのホームページの表示程度が主たる役割だったが、現在では、ECやBtoB、BtoCなど企業情報や、商用利用など、非常に幅広いコンテンツがインターネット上を行き交うようになっている。ホームページを見るだけでも分かるが、かつてのようなテキスト・ベースのものは少なくなり、画像や音声、ビデオ、そしてプログラムが組み込まれたものも珍しくはない。1ぺージ当たりの容量も数バイトというものはほとんどなくなり、数Kバイト以上になっている。もちろん情報の重要性も高まっている。企業の中には売り上げなどの財務情報に関わるもの、顧客からの注文などをインターネット経由でやり取りすることも、むしろ当たり前になりつつある。さらに、ユーザ数の増加も目覚まし

い。国内のインターネット利用者は、95年6月に45万人だったのが、99年2月には1,500万人を突破した。約4年で30倍以上に膨れ上がったことになる。さらに99年末には1,800万人を超えると予測されている(インターネット白書'98、インターネット白書'99:日本インターネット協会編)。これとともにネットワークのトラフィックも増加している、例えばNSPIXP2で交換されるトラフィックは97年5月に約100Mbpsだったのが、99年5月には900Mbpsに到達するまでになっている。2年で10倍近い成長率である。もちろんユーザ数の増加は国内だけではない。全世界でユーザ数は増加している。むしろ日本は先進国の中ではユーザ数増加が遅い方だといわれている。国内から世界への通信量も増加している。99年末から2000年に掛けて日米間の新しい海底ケーブルPC-1をはじめとする国際海底ケーブルが続々と開通し、増加する通信量への対応と国際通信コスト削減に貢献することになるだろう。2001年にはデータ通信が、音声通信を超えるという意見も多く聞かれるようになってきた。

このデータ量の爆発的増加は、現状のままで支えることは不可能になってきた。そこで考えられているのが、各種の高速化技術である。まず身近な部分、つまり加入者宅から通信事業者やISPまでの回線の高速化としては、xDSL(Digital Subscriber Line)技術やCATVインターネット、衛星インターネットがある。 (図)

すでにCATVインターネット、衛星インターネットはサービスを開始しており、地域的な制限はあるが利用は可能だ。そして現在最も有望視され、シンガポールでは商用利用が始まり、アメリカ、カナダ、フランス、イタリア、イギリスなどでも試験運用が開始されているものとして、xDSLの1つである

ADSL(Asymmetric DSL)がある。ちなみにxDSLには伝送方式の違いでいくつかの種類があり、ADSL、HDSL(High Bit Rate DSL)、VDSL(Very HighBit Rate DSL)、SDSL(Single Line DSL)などがある。この中で最も注目されているのがADSLである。国内でも99年秋からADSLアクセス回線のサービスが開始される。ADSLの仕組みを簡単に説明すると以下のようになる。現在通常のモデムで使われているのは音声の伝播に使われている300Hz~3,400Hzの帯域である(通常4KHz帯と呼ばれる)。ADSLでは1.1MHz(フルレート)や552KHz(ハーフレート)までの帯域を細かく分割してデータを通信する。つまりフルレート

の場合はこれまでのモデムを256台、ハーフレートの場合は121台並列に接続して使うのと同じことになる。これによりデータ通信

速度は上りで640Kbit/s(フルレート)、512Kbiit/s (ハーフレート)、下りで8Mbit/s(フルレート)、1.5Mbit/s(ハーフレート)まで高速化できる。ADSLを使うには、加入者側と電話局側に、ADSLに対応したモデムを導入すればよい。ただしフルレートの場合、これとは別にPOTS(Plain Old Telephone System)スプリッタと呼ばれる信号分離装置が必要になる。これは、従来の4KHz帯とデータ通信に使う帯域を分離するための装置である。特にフルレートの場合は、音声とデータが干渉してしまうためである。このため現在注目が高まっているのはPOTSスプリッタが原則的には必要ないハーフレートのADSLである。国内で提供が予定されているのもハーフレートのADSLで、首都圏、大阪

加入者と電話局といった、いわば支線部分をいくら高速にしても、幹線となるバックボーンの速度が低くては全体として高速にならない。バックボーン の 高 速 化 技 術 と し てSONET(Synchronous Optical Network)フレームをWDM(Wavelength DivisionMultiplexing)伝送路で使う方法が注目を受けている。SONETは日本テレコムの次世代ネットワークPRISM(Progressive andRevolutionary Integration on ServiceMedia)や新興通信事業者のクロスウェイブ コミニケーションズの基幹ネットワークなどで採用されたことで話題を呼んでいる。まずWDMについて説明する。簡単に言えば異なる複数の波長を使って信号を多重化し、1本の光ファイバの伝送量を増やす技術である。1本の光ファイバの両端にWDM装置を設置すれば、光ファイバを数本から数十本施設したのと同じ容量を確保できる。特に国際通信に使う海底ケーブルなど、増設が困難な光ファイバの容量を増加するのに有利な方法である。すでに数Tbit/s超にまで達している。そしてSONETであるが、これはさまざまな帯域のデータを高速回線に束

圏の一部地域が予定に入っている。ただし、一般ユーザがNTTから直接ADSLアクセス・ラインを借りる形態はなく、インターネット・サービス・プロバイダなどの電気通信事業者のインターネット接続サービスやNTTのOCNサービスのアクセス回線部分として提供される。回線上を流れるプロトコルはIPパケットに限定されている。ただし、他の電気通信事業者との接続点(POI)ではクラシカルIPoverATMと呼ばれるATM上にIPプロトコルを乗せた形式でデータが送受信されることになる。

ねて高速伝送する技術である。具体的には、データの多重方法やフレーム・フォーマット、データを多重化した回線で相互接続する装置間の同期の取り方や光インタフェースの仕様からなる。SDH(Synchronous Digital Hierarchy)は、SONETをベースに、ANSIが標準化した仕様である。SONET/SDHの肝となるのは、さまざまな帯域のデータをそれぞれコンテナに入れ、格納場所を示すポインタを付けて多重化するといった手順を繰り返すという点である。これによって、さまざまな種類のデータが、分割可能な形で1つのフレームに収まり、それぞれのデータで必要な帯域が確保される。このように、バックボーンから加入者まで、回線の高速化技術は日々進化し続けている。しかし、ハード的な技術の進化は、施設されるまでに時間がかかる。インターネットのトラフィック拡大はこれを待ってくれるはずがない。そこで次回は、インターネットの高速化技術の続きとして、現在ある限られた回線の容量を使って、そこにいかにしてデータをつめ込むか、いかに有効に回線を使うか、といった技術を紹介する。

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

UN

インターネット高速化技術高速データ転送を実現する最新技術動向

日本ユニシス株式会社ネットワークシステム部統合技術室日本ユニシス情報システム株式会社インターネットサービス部

IT最前線ネットワーク技術の動向(2)

コンテンツの多様化、ユーザ数の増加で高速化へのニーズ高まる

既存のメタリック・ケーブルを使い加入者宅と基地局間を高速化するxDSL

波長分割多重方式を使ってバックボーンを高速化

モデム�

ユーザ�

A.従来の電話回線用モデムの回線構成�

B.xDSLモデムの回線構成�

加入者線�

電話局�

電話�中継回線�

電話局�

加入者線�

ユーザ�

モデム�

xDSL�モデム�

電話機�

ユーザ�

加入者線�

電話局�

xDSL�モデム�

ルータ等�高速�

データ回線�

電話�中継回線�

電話回線用モデムとxDSLモデムの構成の比較

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ワークフローに関する言葉として、ワークフロー、ワークフロー・システム、ワークフロー管理ツール、ワークフロー・ソフトウェアなどの言葉が使われ混乱しているので定義をしておく。●ワークフロー

文字どおり作業の流れで、伝票(情報)の発生から、関係者による承認や関連組織への送付、受付、内容確認などを経由して、目的とした作業の終了までを対象とした一連のビジネス・プロセスを意味する。●ワークフロー・システム

ワークフローの簡素化や自動化を行い、業務の無駄を排除するとともに、伝票や帳票類を電子的に管理すること

で、組織および個人の生産性を向上させることを目的としたシステムを意味する。業務プロセスはどんなに複雑であっても、事前に入力・変換・出力は明確にしておく必要がある。ワークフロー・システムに関連している人がワークフローというと、このワークフロー・システムを指すことが多い。●ワークフロー・ソフトウェア

ワークフロー管理ツール、ワークフロー・ツール、ワークフロー・エンジンなどとも呼ばれワークフロー・システムを実現するための道具をいう。ワークフロー・システムの開発環境および実行管理機能を含んでいる。

21世紀を目前にし多数の企業が経営ビジョンの一環として、ホワイトカラーの生産性向上に取り組んできている。生産現場や営業部門での合理化、効率化は進んでいたが、従来のホワイトカラーの生産性のままでは、企業を経営するのは困難となり、企業の存続をかけて間接部門の合理化に本格的に取り組まざるを得ないからである。パソコン分野におけるコンピュータ技術の進歩、コンピュータ・ネットワーク環境の企業内、企業間の整備など、エンドユーザ・コンピューティングの環境が整い、ホワイトカラーの生産性向上を目指し、ワークフロー・システムの導入が始まった。日本では、まずグループウェアを使用したワークフロー・システムの導入が行われ、次のステップとして稟議ワークフロー・システムのような本格的なワークフロー・システムの構築が始まった。情報を回覧するなどの経路が簡単なワークフロー・システムは、すでに導入されているグループウェアでも構築可能であるが、稟議ワークフロー・システムのような本格的なワークフロー・システムは、グループウェアのワークフロー機能では実現が難しい。そ

のために本格的なワークフロー・システムを構築するための専用ツールとしてワークフロー・ソフトウェアが見直されている。ワークフロー・ソフトウェアもグループウェアとほぼ同時期に製品が出始めたが、日本においてはグループウェアが発売当初からワークフロー機能を実現することを宣伝したために、ワークフロー・ソフトウェアの導入が見送られた。このために本格的ワークフロー・システムの構築は欧米に比べて4~5年程度の遅れをきたしてしまった。この間にもワークフロー・ソフトウェアは図1に示すような変遷を遂げている。当初クライアント/サーバ・システムとして独立していたワークフロー・ソフトウェアが、グループウェアとの連携を図ったりしながら、現在はWebに対応するためにサーバ側の機能の強化を図りワークフロー・エンジンとして機能を提供する方向に向かっている。

欧米では、すでに80年代中期から導入されていたワークフロー・システムは、ワークフロー・ソフトウェアの製品間の相互接続や関連製品との接続標準化を目指す段階に入り、非営利の標準化団体であるWfMC(Workflow ManagementCoalition)が中心となり標準化の制定を進めている。●WfMC

WfMCは1993年8月に、ワークフロー・ベンダ、ユーザ、アナリストおよび大学研究グループによって設立された非営利の国際的組織で、ワークフロー・ソフトウェア間の接続性、相互運用性、用語などの標準化の確立を行い、ワークフロー・システムの発展と推進を目的としたものである。WfMC標準プログラムのフレームワークとして提供される「ワークフロー参照モデル」に沿った形でワーキング・グループが組織されている。この参照モデルは、ワークフロー・ソフトウェアの標準化をを目的とし、ユーザ、コンピュータ・ツール、アプリケーション、その他のソフトウェア・サービスなどの環境に付随して相互に作用する、5つの独立した機能のインタフェースを定義している。 (図2)各々のインタフェースは1から順に、プロセス定義ツール・インタフェース、ワークフロー・クライアント・アプリケーション・インタフェース、起動アプリケーション・インタフェース、ワークフロー相互接続インタフェース、管理およびモニタリング・ツール・インタフェースとなっている。特にインタフェース4のワークフロー・ソフトウェア間の相互接続に関しては、年4回開催されるWfMCの会合でデモンストレーションが行われ、観客が多数集まり関心の高さが表われている。相互接続に関してはWWW

(World Wide Web)で使用されているプロトコル(HTTP)を使用した提案もされており、接続が容易になることが期待できる。今後は、実運用段階に入り接続するだけではなくインタフェース5で定義される管理、モニタリングのインタフェースの実装が重要になってくる。これらの定義に則ったワークフロ

ー・ソフトウェアを使いシステムを開発しておくことにより、各企業がすでに別々の製品を導入していても簡単に企業間連携をとることが可能となったり、各機能ごとに別々のベンダの製品を利用したりすることが可能となる。http://www.aiim.org/wfmc/

mainframe.htm

●国内のワークフロ

ー関連活動

*WfMC J-SIG(WfMC日本支部)WfMCには日本から、ワークフロー製品ベンダとして日立製作所、富士通、日本電気、日本ユニシス、ユーザとしてNTTなどが参加しているが、国内の要求をWfMCの標準化に反映させたいと考えている企業のため、WfMCの日本支部(J-SIG)が設立されている。http://www.wfmc.gr.jp/

*ビジネスプロセス革新協議会(Business Process InnovationAssociation(BPIA))WfMC J-SIGはソフトウェア側からの視点が強いが、BPIAは利用する側からの視点が強い。現在会員を募集している。http://www.b-p-i-a.com/

*BP/IT(Business Process / InformationTechnology)研究会前年度まで電気通信学会の専門委員会として活動していたワークフロー調

査専門委員会の後継の研究会である。各団体、研究

会についての詳細はURLを載せたので検討願いたい。その他にも各ソフトウェア・ベンダが行っている研究会などがある。

1999年8月1日第460号

UN

Web時代のワークフロー・システム(上)日本ユニシス株式会社

ソリューションシステム部ソリューションスペシャリスト 古田 茂

IT最前線

ワークフロー・ソフトウェアの再評価

ワークフローの定義

ワークフロー・ソフトウェアの標準化

BPRワークフロー�ソフトウェア�

E-Mailグループウェア�

Notes�Exchange

Web

ワークフロ-・エンジン�

LAN/WANインターネット�

全社LAN/WAN

部門LAN

UNIX

WindowsNT

図1 ワークフロー・ソフトウェアの変遷

ワークフロ-�エンジン�ワークフロ-�エンジン�

プロセス定義�ツール�

その他の�ワークフロー�起動サービス�

ワークフロー管理と�モニタリング・ツール�

ワークフロー・�クライアント・�アプリケーション�

アプリケーション�呼び出し�

ワークフロ-APIと変換フォーマット�

ワークフロ-起動サービス�

ワークフロ-�エンジン�

Interface 1

Interface 2 Interface 3

Interface 5 Interface 4

図2 WfMCの参照モデル

(次号へつづく)

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日本ユニシスは、複数の独立したシステム間の連携を効率化する、異種システム連携ミドルウェア『SESA(セサ)』を発表し、販売を開始した。企業経営に直結したシステムの集中化が望まれる昨今、製造業などにみられるように、企業内ではCAD/CAMシステム、PDMシステム、生産管理システムといった、個々の部門が個別に導入し異なったプラットフォーム上で稼働しているシステムを、よりシンプルに、より短期間で連携させることが企業勝ち残りのための大きな課題となっている。しかし、古くから使われ再構築も困難なレガシー・システムや、ユーザ側でプログラム変更の難しいパッケージ・ソフトの存在など、複雑かつ大規模な作業が要求され、システム環境の変化への対応には限界が生じているのが現状である。日本ユニシスでは、このような異種システム連携をサポートするために、メッセージ配布機能やメッセージ変換機能、フロー制御機能、ウェアハウス機能など、メッセージ・ブローカとしての機能を本ソフトウェアで提供する。今回発表の『SESA』は次の4つの特徴を備えており、トータルな開発コスト・保守コスト低減を可能にする。(1)システムの変化・更新に柔軟に対応

人事や会計、生産管理など個別に構築された複数のシステム間の統合と接続プロセスの再利用をサポート。多種多様なハードウェアの混在、アプリケーションのマルチベンダ化に対応するとともに、将来的なアプリケーションの更新・変更、システム環境の変化への柔軟な対応を可能にする。(2)物理的なネットワークを意識しない

システム連携を支援

ネットワークを構成する物理的機器、IPアドレスなどを意識することのない、メッセージの受け渡しを実現。環境の変化に対してもGUIを用いて容易に設定変更が可能。(3)システム連携に関連する情報の集中

管理が可能

転送ログの監視・管理に加え、メッセージの流量、各システムの稼働状況、関連機能の動作状況などのモニタリングなど、ネットワーク連携の集中的な管理が可能。(4)可視的なシステム連携を実現

各アプリケーションごとに設定され

るシステム連携に必要な情報(データ項目、タイミングなど)を一元的に管理。開発から運用まで、それぞれの段階における連携情報の追加・更新・参照もGUIを用いて容易に行うことが可能。「SESA」の価格は標準構成3,000万円。出荷は今秋から開始し初年度10億円、3年間で50億円の販売を見込んでいる。今後はメッセージ・ブローカとしての機能強化、対象プラットフォームの拡大、対象OSバージョンの拡大などを必要に応じて行っていく予定。

●コールセンター・ソリューションを

北米で展開

ユニシス社はヨーロッパでの展開で成功をとげているコールセンター・ソリューションを北米にも拡張することを発表した。今回北米に展開するコールセンターは電話のスイッチからデスクトップやサーバに至るクライアントのビジネスやITシステムに入り込んだシームレスな統合を可能にするようなインフラ部分の開発も包含している。このコールセンター・ソリューションの特徴は、ユニシスがカスタマの相互ネットワークである総合的なビジネス・プロセスを開発している点にある。これには音声、FAX、電子メール、インターネット・チャット、ウェブのブラウジングなどが含まれる。このソリューションは、ユニシスのカスタマが、その顧客のライフスタイル、好みおよび購買パターンなどの過去の履歴を貯えてあるデータベースにリンクして、顧客のニーズや期待を上回るサービスを提供するのをサポートする。今回北米でのコールセンター・サービス開始に踏み切ったのは、Optimus、Excell Global Servicesおよびチューリッヒ保険などを含む数々の企業のコールセンター導入で大成功をおさめたため。●カーニバルクルーズ社

「ClearPath HMP IX5800」を採用

ユニシス社はカーニバルクルーズライン社に対し、新しいClearPath HMPIX5800エンタープライズ・サーバを販売する契約を結んだことを発表した。契約金額は数百万ドルにのぼる。同社はこれにより、同社のWebサイトインターネットによるクルーズの予約をスタートさせるなど、予約の設備を拡大している。従来からユニシス・エンタ

ープライズ・サーバを使用し空席情報や予約情報を利用していた同社は、ユニシスのC l e a r P a t h サーバとWindowsNTベースのインターネット・サーバをリンクするアプリケーションを開発し、空席情報の提供およびクレジットカードを使用してのクルーズのブッキングなどの情報を、インターネットを通じて顧客が利用できるようにした。カーニバル・クルーズはバハマ、カリブ海諸国、メキシコ、パナマ運河およびカナダなどへ運行している世界最大のクルーズ会社。●「AQUANTA ES2085R」がベンチマ

ーク・テストで記録を更新

ユニシス社は「AQUANTA ES2085R」が、TPC-Cベンチマーク・テストで業界で最速の記録を達成したことを発表した。ユニシスの 550MHz IntelPentium Ⅲ Xeon 8プロセッサ、レベル2キャッシュAQUANTA ES2085Rサーバ上でMicrosoftSQL Server 7データベースを稼働させ、37,757.23/tpmC、$23.18/tpmCを達成した。この結果によりトータルの費用の面において優位に立つWindowsNTのUNIX/RISC技術に占有されていた分野への進出を積極的に進めていることを示した。ユニシスは先月500 MHz Intel

Pentium Ⅲ Xeon プロセッサを8基搭載した「AQUANTA ES5085R」が、ヨーロッパ最大の航空券予約システムAmadeus向けに行ったベンチマーク・テストで、ユニシスの400 MHzPentium Ⅱ Xeonを 4基 搭載した「Aquanta QS/2」の2.5倍のパフォーマンスを達成している。付加価値技術としてのUni sy s

「Enterprise Software Suite(ess)」が、WindowsNTサーバ・パフォーマンスの最適化、管理の容易性のためのハードウェア、ソフトウェアおよびミドルウェア・プロダクト、新しいシステム・マネージメントなどの特徴をAQUANTA8wayサーバに盛り込んでいる。大規模、基幹業務システムにおける熟練した技術と15年にわたるMicrosoft社とのパートナーシップ契約に基づき、ユニシスはエンタープライズ・コンピューティングにWindowsNTを採用するカスタマをサポートするため、業界でも屈指の包括的なインフォメーションおよびサポート・サービス・ソリューションおよびエンタプライズ・サーバ技術を提供している。

●第8回アパレルシステムフェア

◇日程:8月24日(火)~25日(水)◇会場:東京・TOC◇出展内容:アパレル繊維業向け企画生産管理システム「Cyber-QR 2000」ほかを紹介●建築新技術展

A/E/C SYSTEM JAPAN'99◇日程:9月1日(水)~3日(金)◇会場:東京・池袋サンシャインシティ文化会館◇出展内容:新・住宅設計システム「DigiD」の機能、事例などを紹介●ユニシスクロスフォーラム’99

-業種を越えてビジネスの未来を切り開く-◇日程:9月10日(金)◇会場:東京・青山ダイヤモンドホール◇内容:基調講演=Amazon.com社副社長 W.Price氏、Vantive社CEOT.Thomas氏ほかCRM、ERP/SCM、i-Commerceの各分野にわたる9セッションを開催http://www.unisys.co.jp/cross/seminar/ucf.htm

日本ユニシスでは、夏休み恒例のホームページ・クイズを今年も8月31日まで実施しています。日本ユニシスのホームページに掲載されている簡単なクイズに答えると、正解者に抽選で東京ディズニーランド・パスポート・チケット(10組20名)をはじめ図書カード、特製マウスパットなどが合計で300名に当たります。ホームページには、各種製品情報、セミナー/イベント情報、Y2K関連ページをはじめ本誌「ユニシス・ニュース」のバックナンバーなども掲載しています。この機会に是非、日本ユニシスのホームページにアクセスしてみませんか。http://www.unisys.co.jp/

ユニシス・ニュース

1999年8月1日第460号

UN

5

もうお済みですか�

日本ユニシス

複数の独自システムを柔軟に連携するミドルウェア「SESA」を販売開始

ユニシス社リリースから

イベント・ショウガイド

日本ユニシス夏休み恒例「ホームページ・クイズ」実施中

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Page 16: 16-01 (Page 1)の生産性を上げ、それがしいては繁栄につながる。 アメリカと日本の経済力の逆転についてはさま ざまな議論がある。アメリカばかりが、なぜ繁栄

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生協は、消費者が自らの生活を擁護し向上させる目的で協同出資し、生活物資の購買事業(店舗事業、共同購入)を運営し発展してきた。生協事業を支えてきた共同購入とは、主婦を中心とする組合員が3~10人単位で“班”を作り、班を通じて商品を注文し、分配し合う仕組みである。ユーコープ事業連合 情報システム部長佐藤喜隆氏は、「この共同購入が、今、大きな変化に直面している。近年、婦人の社会進出の増加や、プライバシー重視の生活様式に伴い、共同購入のための班が形成されにくくなってきた。このため、“個人”でも商品購入ができる仕組み作りが、生協の新事業戦略となっている。しかし班を管理対象に、10数年前にメインフレーム上に作られた旧共同購入システムは、改修を重ねて複雑になり、組織の生き残りをかけた業務改革に柔軟に対応できない。そこで、個人購入や個人別袋詰め配達(個封印)を今後の事業展開の柱とする新システムに全面的に更改し、併せて最新情報技術を取り入れつつ経済性をも追求したオープン・システムとして再構築することにした」という。

“班”の変容に対応し、共同購入を個人単位で成立させようという、生協事業の根幹からの見直しでシステム再構築がスタートしたが、もう一方で差し迫った課題への対応もあった。その第1点がシステム運用コストの削減である。メインフレームによる旧共同購入システムは、横浜市磯子区のコンピュータ・センターに設置され運用されてきた。新システムはスペースの制約から別途のセンターに設置することにしたが、新旧2つのセンターを維持することはコストの面からも許されず、磯子センター業務撤廃によるセンター1本化が急務であった。第2点が2000年問題への対応である。旧システムは膨大なソフトウェア資産を抱えており、2000年問題をクリアするには数十億円単位の追加投資が見込まれた。新しくシステムを開発する以上に労力と時間を要し、新たな付加価値を生まない改修作業への膨大な投資を避け、技術革新の成果を最大限に享受しつつ大幅なコスト削減を

新共同購入システムの狙いは前述のように全国生協初の試みである全地域での個封印対応である。これに加えて新たに未収金システム(売掛管理システム)、組合員システム(顧客管理システム)が開発されることとなった。共同購入は1週間サイクルで、購入申込書の配布~同回収~商品配送という処理となるため、バッチ処理主体のシステムである。組合員140万人の購入申込書のバッチ処理を、オープン・システムで実現するというかつて類例のないシステム開発となった。このためこのシステムの実現を危ぶみ、批判する声も聞かれた。しかし佐藤氏は不退転の決意で臨

み、費用と機能の面で、現実的でかつ確実な納期、品質を確保する開発計画を策定しマルチベンダの下に開発を進めた。新システムは、事業戦略上絶対に失敗は許されず、短期に立ち上げなければならない。そのためには、*システム到達点の冷静な分析評価*システム課題の整理と優先順位付けなど重点指向の資源配分

*確実な稼働を前提とした体制確保と日程計画の作成

など、強力なプロジェクト管理がなされなければならない。佐藤氏は「各チームで開発中のシステムをトータルにコーディネートし、オープン製品を統合化していく技術力を評価し、全体プロジェクトの管理を日本ユニシスに依頼した。具体的には各開発チームを横断してプロジェクトを管理する組織としてプロジェクト・コントロール・チームを設け、日本ユニシスがこのチームを全面的に支援することで開発を管理

実現するために、オープン・システムへダウンサイジングする新システム構築が決断された。このため、新システムは、“小さく、軽く、安く”を前提にUNIXベースのオープン・システムとしてダウンサイジングされることになった。

した。結果的にこれが功を奏し、今回の新システムは納期、品質とも仕様通りに出来上がり、無事に本番稼働を迎えた」と語る。

新システムの基盤整備では、①バッチ処理の高速化、②安全運転、③高信頼性の確保のためにさまざまな工夫が加えられた。例えば、*チャネルの増強によるCPU/メモリの最大限活用

*レイドディスクの採用などディスク入出力の高速化・分散化

*二重化による安全性対策*開発言語としてCOBOLの全面採用*管理ソフトウェアの充実などを図ったことである。これによって新共同購入システムはメインフレームと遜色ないバッチ処理の高速性、安定稼働を、はるかに高い経済性で実現している。 (図)

「オープン・システムはメインフレームに比べ安定性、信頼性に欠けるという定説があり、メインフレーム並みのシステム性能が確保できるか不安はあったが、その常識を覆し当初の批判に実績で応えられた」(佐藤氏)。システム開発全般を指揮した理事

管理本部長間瀬直光氏は、今後を次のように展望している。「果敢な挑戦が成功し、環境変化に対応できる情報基盤が確立され、将来への積極的な展望が開けた。次は貴重な資産である顧客情報を活用する情報戦略を展開したい。これからは経営を支援する情報システムから、情報システムで事業戦略を展開する局面を早急に開きたい」。

ユーコープ事業連合では、今回の新システムで全国の生協に先駆けて、3月31日から共同購入班への個封印配達を実現させた。これによって、①組合員による商品仕分けをなくし、良好な鮮度や品質を保持でき、②不在がちな組合員も気兼ねなく利用し、③プライバシー保持の要求にも応えるなどの利点を実現した。

発行日本ユニシス株式会社広報部広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人山下宗久 編集人武井 浩 制作ピー・アールセブン 発行日 1999年8月1日 ISSN 0915-051X

1999年8月1日 第460号*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各社の登録商標または商標です。*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。

ユーコープ事業連合生活協同組合連合会ユーコープ事業連合(以下:ユーコープ事業連合)は、

メインフレーム上で処理してきた大規模バッチ処理による基幹系の新共同購

入システムをUNIXベースのオープン・システム“U-COM”として再構築した。

再構築はマルチベンダ方式で進められ、日本ユニシスは、全体のプロジェ

クト・マネジメントとシステム基盤構築を担当し、当初のスケジュール通り、

開発着手から1年半の本年3月16日に本番稼働を実現した。

■生活協同組合連合会ユーコープ事業連合◆コープかながわ、コープしずおか、山梨中央市民生活協同組合など神奈川県、静岡県、山梨県の6生活協同組合(以下生協)で組織する事業連合体。主な業務は、①商品の共同仕入れや独自商品の開発、仕分配送、②店舗事業/共同購入事業に関する供給支援、③

140万組合員の情報管理や共同事務処理支援など。◆本部=横浜市港北区新横浜2-5-11◆代表者=上田克巳理事長◆総事業高=1,617億円(99年3月)◆使用機種=UNIXサーバUS2000U/1000/450、NTサーバ「Aquanta DS/6」ほか

基幹系の共同購入システムを「オープン・システム」に再構築

日本ユニシスがプロジェクト管理し計画通りの開発を実現

生活者のライフスタイルに即応した新共同購入事業の展開

“小さく、軽く、安く”を前提にオープン系のバッチ処理システムへ

流通ソリューション

日本ユニシスが全体プロジェクト管理を担当し計画通り完成

UN

メインフレームに匹敵するバッチ処理の高速性/安定稼働を実現

全国生協初の“個封印”配達を実現DF350ディスク�

8mmDAT装置�

8.7GB

4.1GB

x10

x10

40GB

40GBdrivedrivedrivedrive

C/U

C/U

C/U

C/U

US2000Uサーバ�

CPU:UltraSparc×16�

メモリ:3GB(256MB×12)�

I/O:UltraDFW SCSI2×16�

ディスク:58GB(4.2GB×14)

主なソフトウェア�・OS:Solaris2.5.1�・DB:Oracle8�・開発:COBOL/VB�・運用:JP1/AJS�    NETM*CM2�    VM/S-Backup

主なアプリケーション�・共同購入システム�・組合員システム�・未収金システム�・共通マスタシステム�

ハードウェア基盤構成

ユーコープ事業連合の活動風景

間瀬直光氏