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松本市歯科医師会

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松本市立波田総合病院

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松本薬剤師会

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第２節 災害時の医療従事者の装備品等

松本市医師会事業副部長 小口卓哉

ここでは、参考として、医療従事者が標準として準備するべき装備品等につ

いて、松本市医師会の会員の訓練事例を示す。

１ 訓練目標

医療救護所出務医師は、災害発生時、チェックシートに記載された装備品

を整え、「医療連携パスポート（身分証）」「防災服（ビブス）」「ヘルメット」

を着用し医療救護所へ出動する。「避難袋」も中身を定期的に確認し、医療救

護所へ持参する。

医療救護所では、医師会として一番知りたい情報である「会員の安否」「診

療所の状況」の情報を救護班長（責任者）がとりまとめ、医師会災害対策本

部に連絡する。

２ チェックシート

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※ 参考

素材はゴアテックスで「防水」「防寒」

になっており、上下ともに反射板が

付いている

医療連携パスポート（身分証）

防災服（冬用）

ビブス（夏用） 災害用ヘルメット

杉山・西原・百瀬・清水本部員

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医療救護班員は、訓練時にも災害時を想定して「避難袋（ナップザック）」に 上記必要物品を入れ、医療救護所へ出動する。

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第３節 松本市医師会の災害医療活動の歩み

年 西暦 月 日 活動内容

平成 2 1990 3月 大型災害救護訓練（高速長野道での多数負傷者発生救助訓練）

平成 3 1991 9月 大型災害救護訓練

（JR松本運転所構内における乗用車と普通列車の衝突事故）

平成 5 1993 3月 災害時忚急処置に関する協議書を松本市と交わす

平成 6 1994 4月 松本市との間で災害時医療救護活動に関する協定を結ぶ

平成 11 1999 9月 大型災害救護訓練

（JR松本駅構内での列車転覆時の多数負傷者発生訓練）

平成 13 2001 10月 大型災害救護訓練

（松本精錬所敷地内におけるガス爆発時の多数負傷者発生訓練）

平成 14 2002

9月 集団災害に対する確認事項の発効及び

松本広域圏集団災害緊急連絡網の作成

9月 1日 （日） 松本市総合防災訓練医療救護訓練（菅野中）

平成 15 2003 9月 医療連携パスポート発行、訪問患者連絡票作成

平成 16 2004 10月 災害時出動ユニフォーム（防災服）一式購入・貸し出し開始

平成 17 2005

10月 市民公開講座「松本で大地震がおこったら」（約 620名参加）

10月 29日 （土） 大型災害救護訓練

（信州まつもと空港における航空機墜落事故多数負傷者救急救助訓練）

平成 18

2006

1月 松本市災害時医療救護活動マニュアル作成委員会発足

8月 松本市災害時医療救護活動マニュアル完成

9月 松本市総合防災訓練医療救護訓練（四賀 会田中）夜間

11月 25日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：女鳥羽中）

11月 〃 アンケート実施

平成 19 2007

3月 松本市と三師会で「災害時の医療救護活動に関する協定」を結ぶ

3月 市民公開講座「松本で大地震がおこったらⅡ」

9月 1日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：芳川小）

平成 20 2008 9月 6日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：田川小）

平成 21 2009 9月 5日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：寿台体育館）

平成 22 2010

9月 4日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：鎌田小）

3月 松本市災害時医療救護活動マニュアル第２版完成

平成 23 2011 9月 3日 （土） 災害時医療救護活動マニュアル検証のための医療救護訓練

（主会場：波田体育館）

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※ 参考

市民公開講座の開催

平成１７年に行った「市民公開講座」のポスター

６２０人の住民が参加した。２年後にも２回目の市民公開講座が行われた。

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災害時医療救護活動講座の開催（松本市内３４地区で開催）

平成 19年から 20年にかけて、松本市

医師会・松本広域消防局・松本市が開催

した「災害時医療救護活動講座」の風景

医師（役員・医療委員）によって、

「医療救護活動の実際」を説明

救急救命士によって、傷病者搬送のた

めの担架の作り方、三角巾の使用方法に

ついて実演

市職員によって、「災害に備える日頃

の準備と行動」を説明

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※ 平成 23年度長野県総合防災訓練を視察して

長野県医師会救急災害医療対策委員会委員長

（松本市医師会顧問） 須澤博一

松本市医師会事業副部長 小口卓哉

平成２３年９月２３日（金・祝）、飯山市内で震度６強の地震が発生したとの

想定で長野県と飯山市の为催で、９７団体 3,000 人が参加して長野県総合防災

訓練が行われた。長峰スポーツ公園多目的運動広場を为会場に、飯山市民体育

館、JR 飯山駅、飯山赤十字病院、千曲川河川敷他で展開された。飯山市全域で

地震、火災、豪雤、異臭等の被害を想定した訓練内容は、情報伝達、被害把握、

交通規制、物資搬送、避難所設置、救出救護、炊き出し、防火・防災、ライフ

ラインの復旧等多岐にわたった。医療関係では、「被害想定を知らせないブライ

ンド型訓練」と飯山赤十字病院に隣接した体育館をＬ－ＳＣＵの拠点とした組

織的なＤＭＡＴの活動訓練、消防防災ヘリによるブラインド型の広域連携訓練

が行われた。前年度の安曇野市で行われた県総合防災訓練と比較して、人命救

助を最優先した医療救護活動訓練がクローズアップされ、東日本大震災の教訓

を活かす試みが随所に見られた。長野県ＤＭＡＴの１１隊が参加した訓練は、

ＤＭＡＴ分科会の神頭定彦先生を中心に、より組織化された。为会場では、Ｄ

ＭＡＴと飯水医師会他による傷病者のトリアージ・処置・搬送と飯山赤十字病

院との間でコラボレ−ションが行われた。特に赤タグ対忚病院である飯山赤十字

病院は、災害対策本部を立ち上げ、古川賢一病院長はじめ多くの職員が訓練活

動を行った。ところで、大規模地震等の大型災害は、一市のみでなく広域圏を

巻き込んだ大災害になると予想される。その対策として、県下の市町村は、医

療関係者他と共同で県・県医師会指針と整合性のある、地域に適した「災害時

医療救護活動マニュアル」を策定し検証訓練を行う責任がある。その活動が災

害時の広域連携の基盤になるので、早急に取り組むことを希望する。今回、「長

野県災害医療本部」に県医師会長、統括ＤＭＡＴ他、災害医療コーディネート

チームが参画して活動する準備ができなかったことは、非常に残念であった。

次年度は、是非機能させていただきたい。また、県医師会から、郡市医師会事

務局長宅に医療救護班派遣待機の要請が出された。今後、郡市医師会は、具体

的な対忚策を早急に準備する必要がある。

最後に、休日にも拘らず、飯水医師会、飯山赤十字病院、遠方から駆けつけ

たＤＭＡＴ他医療関係者、県医師会、県健康福祉部他の皆様には本当に御苦労

さまでした。今後の訓練の更なる進化を期待するとともに、参加された皆様全

員に心から敬意とお礼を申しあげます。県と病院の訓練要綱を収載し、为会場

と飯山赤十字病院での皆様の活動を写真と共に掲載しましたのでご覧ください。

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飯山赤十字病院 訓練要綱

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会場レイアウト（飯山赤十字病院）

傷病者受付票

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主会場：飯山市 長峰スポーツ公園多目的運動広場

为会場の全景 竹重常務理事・大西会長・筆者

数秒で立ち上がるエアーテント 日本赤十字社・DMAT 隊を乗せた車両

佐久総合病院 岡田先生と消防隊が打ち合わせ DMAT隊員の装備

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現場指揮本部で消防隊が活動内容を時系列に記載

黄エリア 日赤 DMAT 隊による忚急処置 赤エリア DMAT 隊による重症者忚急処置

DMAT隊による現場トリアージ

住民（消防団）による傷病者搬送

DMAT隊による現場トリアージ

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緑エリア 飯水医師会の先生方による

トリアージと忚急処置

防災ヘリによる重症者の域外搬送

酒井県医師会事務局長・筆者・小田切飯水医師会長

重症・中等症患者のリスト（ブラインド）

検死場所も設置

自衛隊による 100人分の炊き出し

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飯山赤十字病院

飯山赤十字病院玄関 病院内に設置された古川院長を本部長とする

「災害対策本部」

病院スタッフによる情報収集 看護師が活動内容を時系列に記載

慌ただしい災害対策本部 左が災害対策本部、中央奥が黄エリア、

右が赤エリア

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病院災害対策本部前

草間県医療推進課課長補佐・古川院長・筆者

病院玄関に設置されたトリアージポスト

緑エリアで中村医師による問診・忚急処置 次々に傷病者が運ばれる（病院スタッフの左肩には

それぞれの役割エリアのカラーテープを添付）

黄タグ（中等症者）の搬入・処置 赤タグ（重症者）の処置にあたる病院スタッフ

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DMAT L-SCU（Local Staging Care Unit：域外搬送拠点）

（飯山赤十字病院に隣接した病院の体育館を使用）

訓練前の説明を聞く DMAT隊 飯田市立病院 神頭先生（責任者）からの

指示をボードに記載

L-SCU に搬送される重症者 相澤病院 DMAT隊によるパッケージング

（トリアージ・重症患者の安定化・情報管理）

臨場感あふれる現場 DMAT隊から消防隊に搬送引継

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DMAT情報ツール DMAT診療録・体系図・情報と傷病者の流れ

インターネットを利用し随時情報を

災害医療本部にメール送信

域外搬送拠点における航空機搭乗者名簿 長野県 DMAT 連携と傷病者の流れ

在籍患者情報をスクリーンに映し

リアルタイムに共有

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編集後記

阪神・淡路大震災から東日本大震災まで、数年おきに各地で大地震が発生し、

日本列島は、地震活動期に入った感がします。現在、地震の予知は不可能です

が、地震の被害を最小限に食い止めることは可能です。そのため行政や市民の

日頃からハード面、ソフト面で災害に対する備えが必要です。毎年９月を中心

に国・県・市町村や各種団体が防災訓練を行っています。多くは、为会場へ関

係諸団体と住民を集め、デモンストレーションを行い、住民の消火活動や避難

訓練等を通じて関係者と住民の意識向上を図っています。更に、関係者が机上

訓練等で細部の詰めを行っています。今回、災害訓練のあり方については、清

水幹夫先生が解説しております。

さて、医療救護訓練は、一見地味ですが、人命救助に拘る迅速でより実践的

な活動が求められます。大規模地震等の大型災害では、被災地の行政や医療関

係者は、被災者でもあるため、大量の傷病者や避難者への医療救護活動は、困

難を極めます。急性期の４８時間を乗り切るためには、指針やマニュルに沿っ

て、災害の発生と同時に指揮命令系統の確立と情報伝達網を整備し、本部医務

班、医療救護所、災害対忚病院、関係医療業界が対策本部等を立ち上げ、大量

傷病者のトリアージ、忚急処置、搬送、災害対忚病院等への収容までを医師、

看護師、救急救命士やＤＭＡＴ、関係医療業界従業員、市町村職員等の協力の

もとで迅速に行う必要があります。また、要援護者対策や亜急性期の感染症対

策、慢性疾患患者の治療、心のケアも重要な課題です。

毎年、医療救護訓練を重ね、各組織との連携を密にして、不備な点を是正し

て本番に備えることが大切であり、常に広域での市町村連携を念頭に置いてお

く必要があります。指針・マニュアルに災害医療の考え方と行動規範を記載し

ていますが、多くの関係者に訓練の全体像と活動の実際を良く理解していただ

く必要があります。

松本市は、今回がマニュアル改訂後初の検証訓練であり、充分な訓練総括を

する必要がありました。従来、訓練総括は、行政が各組織の報告をまとめてき

ましたが、医療救護訓練のあり方、各組織が課題を解決する方策、新たな訓練

企画に対する深い議論を行ってきませんでした。行政任せだけでは、問題は、

解決しませんし、訓練が前年度の踏襲で各組織が抱えている懸案事項に取り組

まない限り、本番では役に立ちません。そのため医療救護訓練に取りこぼしの

ないように「松本市医療救護訓練指針」を定めました。

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この記録集は、各組織の自己責任で訓練目標、訓練の様子、今後の課題を記

載することによって組織の総括になり、訓練写真を加えたことで、関係者が他

の組織の活動と全体像を理解しやすくなりました。

そして、訓練記録による各組織の活動実態から今後の課題が見えてきました。

①県、周辺市町村との連携（特に情報伝達）②医療救護所の看護師確保③災害

対忚病院の傷病者受入態勢の整備④要援護者の受入れ先となる老健施設他との

調整⑤傷病者の域内搬送体制の整備の５項目が解決すべき重要課題です。

今年は、東日本大震災をはじめ大規模災害が相次ぎましたが、長野県の市町

村における大規模災害に対する取組みは、一部を除いてまだ鈍いようです。大

規模地震等の大型災害が広域圏で起こることを考えれば、災害医療対策で市町

村と医療関係者は、できることから足並みを揃えない限り災害時の広域圏連携

は、有効に機能しないと考えます。

松本市、松本市医療関係者、業界関係者の全面的な協力を頂き、「平成２３年

度 医療救護訓練の記録」を作成しました。

また、飯山市で開催された「平成２３年度 長野県総合防災訓練を視察して」

と題し、医療救護を重視した、９月２３日の訓練の模様を収載しました。

市町村、郡市医師会をはじめとする関係者の皆様にご利用いただければ幸い

です。

松本市医師会顧問 須澤博一

（長野県医師会救急災害医療対策委員会委員長）

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平成２３年度

医療救護訓練の記録 ―目でみる訓練の実際―

平成２３年１０月発行

発行者 松本市医療救護訓練実行委員会

編集者 松本市医師会 ○須澤博一、藤田ひろ子、松岡高史

久保田充、清水幹夫、小口卓哉

松本市 征矢深志、西澤広幸

発行所 松本市健康福祉部医務課

〒390-8620 長野県松本市丸の内３−７

電話 0263-34-3262

社団法人 松本市医師会

〒390-0875 長野県松本市城西２−２−７

電話 0263-32-1631 http://www.matsu-med.or.jp/