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脳卒中/頭部外傷理学療法
Clinical Question 12-3
脳卒中患者に対してメンタルプラクティスを用いた理学療法は有用か
ステートメント 脳卒中患者に対してメンタルプラクティスを用いた理学療法は、歩行速度や
姿勢バランス能力の向上を目的に、歩行能力(10 m 歩行が可能)や時
期(生活期)を考慮して行うことを提案する
□作成班合意率 100%
解説
◇CQ の背景
運動学習は、さまざまなフィードバックに基づいて学習者自身が誤りを修正し、特定のスキ
ルを身につけることである。適切なフィードバックを加えることで課題成績に付加的効果をも
たらすことか、リハビリテーション分野においても多く用いられている。
メンタルプラクティス(または運動イメージ:Motor Imagery)とは、外的刺激に関わらずヒ
トが感覚を経験することによる活動プロセス 1)であり、実際の活動を伴わずに作業記憶内で特
定の活動を再現する活動プロセスをいう 2)。
脳卒中患者に対するメンタルプラクティスの効果を調査した研究は、これまで上肢運動障害を
改善させることが明らかとなってきているが、近年では歩行に特化したメンタルプラクティス
が開発されている。イメージには下肢の運動や歩行を用いているものが多く、内的イメージ(関
節運動感覚)を用いているものと、内的・外的(第 3 者的観察)イメージを用いているものが
ある。運動をイメージしている際は、運動の企画・計画を行う運動関連領野が実際に運動を行
なった時とほぼ同等に賦活することが明らかとされており、リハビリテーションにおける運動
学習の介入手段として注目されている。
そこで脳卒中患者に対してメンタルプラクティスを用いた理学療法が、ADL、歩行能力、姿
勢バランス、在院日数、精神機能に有効であるか、また有害事象である転倒発生、疼痛出現に
ついて、これまで発表されたシステマティックレビューを中心に検証する。
◇エビデンスの評価
これまでの脳卒中患者に対してメンタルプラクティスを用いた治療では、治療時間は大部分
のものが 30 分としている(5 分としている報告もある)。頻度は週 3 日、4 週間とするものが
多い。発症からの経過は 6 か月以内のものが約 6 割を占めている。多くの研究が治療対象者を、
10 m 歩行が可能なことを条件としている。
Guerra ら 3)が行った 32 編の研究のメタアナリシスでは、Functional Reach Test、Timed
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Up and Go、歩行速度の改善がみられるとしている。しかし、全体として研究プロトコルに異
質性が目立ち研究の質は低く、高質の研究に限定すると有意差は消失したと報告している。
Guerra らが評価対象とした研究を除くと、歩行能力、歩行自立度、歩行パフォーマンスにつ
いて報告しているのは下肢に対するメンタルプラクティスの研究 2 編である。Kumar ら 4)は、
発症後 3 か月以上の脳卒中患者 40 名に対して、下肢の運動イメージによるメンタルプラクテ
ィスと下肢運動を併用した治療群と、下肢運動のみの対照群とで比較検討したところ、3 週間
の治療で歩行速度に有意差がみられたことを報告している(治療群;+.14 m/s、対照群;+.9 m/s、
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