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会場 C
領域 3
C-1 強磁性三角ナノリングの静的、及び動的磁化状態の検出九大物理 A, 九大シス情 B, 九大スピンセ C 日出柄 誠A, 崔 暁敏 B, 木村 崇 A,C
正三角形状のナノ磁性体の残留磁化状態となる磁気渦構造は、磁場印加方向により渦の旋回方向を制御できることが知られている。我々は、三角形状のリング磁性体においても同様の手法が適用できるのを期待して、マイクロマグネティクスによる数値計算、及び実験を行った。 数値計算の結果、リング磁性体においても、少し磁場印加過程は異なるが、無磁場中で渦と同様の閉磁区構造を安定化させることができ、更にその旋回方向は、三角形状ナノ磁性体の場合と同じ傾向を示すことが判明した。さらにPt ホールバーを用いた正三角形磁性リングの磁化過程の検出実験も行い、上記数値計算に観測される正三角形リングの磁区構造相転移現象を明瞭に観測することに成功した。
講演では、正三角形リングの磁区構造安定性に関する角度依存性や縮退効果などについて考察する。[1]S. Yakata et al. APL. 99, 242507 (2011).
24
C-2 ナノ磁性体中のスピンダイナミクスによるエネルギー散逸機構九州大学理学部物理学科固体電子物性研究室 A, 九州大学大学院理学府物理学専攻固体電子物 B, 福岡工業大学工学部電子情報工学科 C, 九州大学大学院理学研究院物理学部門 D, 九州大学量子ナノスピン物性研究センター E 横谷有紀A, 山野井一人 B, 家形諭 C, 木村崇 D,E
反磁界の大きなナノ磁性体では、低磁場領域においてもマイクロ波印加により強磁性共鳴(FMR)を誘起できる。しかしながら、マイクロ波強度が大きい、または不均一な場合、反磁界も不均一となり、FMR特性に大きな乱れが生じる。このような非線形的な振る舞いは、スピンの高速応答、及び新奇なスピン流生成機構を探るうえで、極めて重要である。そこで今回我々は図1のような素子を作製し、FMR特性のマイクロ波磁界強度依存性を調べた。図2に、マイクロ波強度 0dBm、及び20dBmの FMR スペクトルを示す。0dBm では通常の FMR によるローレンツ型の抵抗変化
のみが観測されたが、20dBmでは、抵抗変化の半値幅が太くなると共に、低磁場側に複数のサテライトピークが観測された。これらのピークは、スピン波の励起に対応していると考えられる。発表では、より系統的な実験結果をエネルギー散逸との関連性を含めて議論する。
0 dBm20 dBm
0dBm () 20dBm (
)R
R
(mT)μ0H
図1 素子構造 図2 線形と非線形の FMRスペクトル
コプラナー・ウェーブガイド
高周波電流
V
強磁性共鳴強磁性体細線(幅2 um)
RF 6 GHz
C-3 多端子スピン生成源を用いたクーパー対形成ダイナミクスの解明九大理物 A, 九大量子ナノスピン物性研究センター B 坂本美智子A, 小野雄馬 A,大西紘平 A,B, 木村崇 A,B
超伝導近接効果によりクーパー対が誘起された常伝導体に、スピン偏極した電子を注入することで、スピン蓄積とクーパー対が共存した状態を人工的に創出できる。このような系では、クーパー対形成過程のスピン蓄積による制御など新しい量子効果が期待できるが、それらを実験的に検出することは容易ではない。そこで本研究では、常伝導体 Cu/超伝導体
Nb二層膜上に強磁性体NiFeで構成される2つのドット型のスピン生成源を配置し、更に、同じく NiFeドットからなる Cu 層中のクーパー対形成過程検出端子を持つ図のような素子を作製した。本素子において、2つのスピン生成源を平行配列させてスピン注入を行う場合と、反平行にした場合とでは、Cu 層中のクーパー対の形成過程に差が生じ、その差は、Cu 層の電気抵抗測定により検出できると期待される。
各端子を用いたスピンバルブ測定、及び界面抵抗測定の磁場依存性などから、十分低温で磁場が弱い領域では、Cu層中にスピン蓄積が存在すると同時にクーパー対も存在していることを示す実験結果を得ることに成功した。当日の発表では、平行、及び反平行状態から
の二端子スピン注入実験の結果を交えて、Cu層中のクーパー対形成過程制御の可能性について議論する。
25
C-5 CoFe 系合金における熱的スピン流励起と非線形スピン吸収効果九州大学理学部物理学科 A,九州大学大学院理学研究院 B,九州大学大学院システム情報科学府 C, 九州大学大学院理学府 D, 九州大学大学院理学研究院物理学部門 E,九州大学量子ナノスピン物性研究センター F 植松銀河A, 野村竜也 B, 胡少杰 C,日出柄誠 D, 木村崇 E,F
近年、強磁性体に温度勾配を与えることでスピン流を生成する方法が注目されている。これは、強磁性体のゼーベック係数が上向きスピンと下向きスピンで異なることに起因しており、スピン流の生成量はゼーベック係数の差に比例する。本研究では、熱的スピン流の生成効率向上のため、上向きスピンと下向きスピンのゼーベック係数の差が大きい CoFeAl(CFA) を用いて、更に形状を最適化することで、熱による巨大スピン流の生成を試みた。
今回、より大きな熱勾配をジュール熱により創出するため、厚さ 100 nm 、幅 100 nm のCFA強磁性細線で構成される図 1のような横
型スピンバルブ構造を作製した。図 1 に示す端子配置にて、熱励起スピン流によるスピンバルブ効果を測定した結果、図2に示すように、室温にてマイクロボルトを超える大きな電圧が観測された。これは、スピン流密度にすると109A/m2 を超える強度に対応する。講演では、熱励起スピン流の吸収効果についても説明する。
C-6 NiO薄膜を介した 3d伝導電子のスピン輸送特性九州大学理物 A, 福岡工業大学電子情報工学科 B, 量子ナノスピン物性研究センター C 岡部京太A, 川北直史 A, 野村竜也 A, 家形諭 B, 木村崇 A,C
GdOxやNiOxなどの金属酸化物を2つの金属電極で挟み電界を加えると、金属-絶縁体転移現象が誘起される。この現象は、電界の極性反転により逆方向の相変化も誘起できるため、物理的に興味深いだけでなく、抵抗スイッチング素子やメモリスタなどのナノエレクトロニクスへの応用も期待されている。我々は、相転移を示す酸化物が、磁性を持つ原子を含む場合が多いことに着目し、相転移とスピン状態の相関を明らかにするべく研究を進めている。今回我々は、ネール温度近傍でのNiOxのスピン状態の変化と相転移現象の関連性を調べるために、図1の左上に示すような CoFeB/NiOx/W素子を作製し、伝導特性の温度依存性を評価した。図1に室温と 140 Kにおける I-V特性を示す。温度の低下と共に、正方向(絶縁体から金属への
相転移)のスイッチング電圧のみが急激に増大する傾向がみられた。講演では、より詳細な温度依存性や電極スピンの影響も踏まえ、相転移現象とスピン状態の関係について議論する。
-2 -1 0 1 2 3
-20
0
20
V (V)
I (m
A)
RT 140 K
set
reset
1 CoFeB/NiOx/W I-V
26
C-7 ホイスラー合金Co2TiGa1−xSnxの磁気・輸送特性鹿児島大院理工 A, 東北大金研 B, 東京大物性研 C, 東北学院大工 D 藤本祐太郎A,西迫裕也 A, 重田出 A, 梅津理恵 B, 野村明子 B, 山内徹 C, 湯葢邦夫 B, 鹿又武 D,真中浩貴 A, 寺田教男 A, 廣井政彦 A
スピントロニクスのデバイス応用の観点から,高いキュリー温度を示す Co基ホイスラー合金(Co2YZ)がハーフメタル材料として注目されている。特に,Yサイトが磁性原子であるMnのホイスラー合金 Co2MnSiは,トンネル磁気抵抗 (TMR)素子で 89%のスピン分極率が報告されて以来,ハーフメタル特性に関する研究が盛んに行われている。本研究では,Co基ホイスラー合金 Co2TiGa1−xSnx (0 ≤ x ≤ 1)に注目して,その磁化や電気抵抗を系統的に測定することによって磁気・輸送特性を明らかにする。
T = 5 Kにおける磁化曲線の組成 x依存性を図 1に示す。Co2TiGaと Co2TiSnの自発磁化はそれぞれ 0.8 µB,1.98 µB を示し,文献値に近い値が得られた [1]。Sn-rich の組成の磁化は Slater-Pauling則に従うため,ハーフメタルの候補と考えられる。一方,Ga-rich の組成では,図 1 からわかるように磁化が飽和する
磁場が大きくなる傾向にあるため,磁化の値がSlater-Pauling 則から少しずれることが明らかになった。発表当日は,磁化の温度依存性や電気抵抗に
ついても報告する。[1] K. R. A. Ziebeck, P. J. Webster: J. Phys.Chem. Solids 35 (1974) 1.
x = 1.0 x = 0.9 x = 0.8 x = 0.7 x = 0.6 x = 0.5 x = 0.4 x = 0.3 x = 0.2 x = 0.1 x = 0.0
M (
B/f.
u.)
B (T)1 T = 5 K
Co2TiGa1-xSnxT = 5 K
C-8 Ru2Cr1−xTixSiとRu2Cr1−xVxSiの物性鹿児島大院理工 A, 東大物性研 B 佐野紘晃A, 西井上創羅 A, 重田出 A, 伊藤昌和 A,小山佳一 A, 近藤晃弘 B, 金道浩一 B, 廣井政彦 A
我々は、Ruベースのホイスラー化合物の物性について研究してきた。Ru2CrSi は TN =13 Kで反強磁性転移するが、それから推定される反強磁性相が壊れる磁場よりはるかに高い磁場まで反強磁性相が保たれることを報告した。この現象を理解するためには Crを他元素で置換することによって磁気相互作用が変化すると考えられるので、置換した試料の物性を調べるのが有効であると考えられる。そこで、今回は Ru2Cr1−xYxSi(Y = Ti, V)の作製を試み、単相試料を得ることができた。1T における磁化率の測定では、それぞれの試料においてピークが見られたので、Fig.1 にピーク温度の x 依存性を示した。Fig.2 には、x = 0.1, 0.2 の 0 T での電気抵抗率の温度依存性を示した。置換することにより磁化率のピーク温度 (x = 0 のときの磁化率のピークは反強磁性転移に対応する) の減少が見られた。一方、抵抗率測定において、Ru2CrSi で
明確に見られた反強磁性転移での異常は、置換した試料では確認されなかった。その原因は現在調査中であるが、x > 0での磁化率のピ-クはグラス的な凍結を示している可能性がある。
0 100 200 3001
2
3
Temperature (K)
(T) /
(3
00)
V=0.1V=0.2
(b)
Fig.1 1T Ru2Cr1-xYxSi (Y=Ti, V) x
Fig.2 0T
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.52
4
6
8
10
12
x
Peak
Tem
pera
ture
(K) Ru2Cr1-xTixSi
Ru2Cr1-xVxSi
0 100 200 3001
1.2
1.4
1.6
1.8
Temperature (K)
(T) /
(3
00)
Ti=0.1Ti=0.2
(a)
27
C-9 RuFeCrSi系ホイスラー合金の熱電物性に関する理論計算と実験鹿児島大院理工 A, 京都工芸繊維大院工芸 B, 東京大物性研 C 重松理史A, 春森浩平 A, 西迫裕也 A, 重田出 A, 奥田哲治 A, 三浦良雄 B, 山内徹 C, 廣井政彦 A
ホイスラー合金Ru2−xFexCrSiは、第一原理バンド計算から原子配列の乱れに対して耐性のあるハーフメタルであると予想されている材料である。これまで我々は、x ≤ 0.2では反強磁性やスピングラスが現れ、x > 0.2では強磁性を示すことを報告した [1]。また、Fe-richの組成ではキュリー温度が高い (~500 K)こと、飽和磁化が Slater-Pauling則と一致することから高いスピン分極率をもつことが期待され、スピントロニクス材料として有望であると考えられる [2]。本研究では、Ru2−xFexCrSiの電子物性の解明と、熱電材料としての可能性を調べることを目的として、電気抵抗率 ρ、ゼーベック係数 S、熱伝導率 κを評価した。定常法によって測定したゼーベック係数の温度依存性を図 1に示す。図 1からわかるように、x = 0.5以外の S は正の値であることから、それらのキャリアがホールであることがわかった。300 Kでの S の値は、x = 0.1で最も大きく、
S = 33.4 µV/Kであった。さらに、Ru-richの試料の Sが大きくなる傾向があることが明らかになった。発表当日は、これらの実験結果と第一原理バンド計算の結果を合わせて議論する。[1] M. Hiroi et al., Phys. Rev. B 76, 132401(2007).[2] M. Hiroi et al., Phys. Rev. B 79, 224423(2009).
μ
1. Ru2-xFexCrSi
C-10 ホイスラー化合物Ni2MnGaの輸送特性鹿児島大学理工学研究科 A 桑原脩人A, 重田出 A, 廣井政彦 A, 寺田教男 A, 伊藤昌和 A
Ni2MnGa は Tm = 200 K 付近でマルテンサイト変態を起こすが、これはバンドヤーンテラー効果に起因すると考えられている。バンドヤーンテラー効果によって、フェルミエネルギーレベル (Ef)での状態密度 (DOS)が大きく変化するため、ゼーベック係数に大きな影響を与えると思われる。また,Tm以下では、磁場によるバリアントの再配列が起こることから、熱伝導特性を磁場でコントロールすることも期待できる。そこで、今回我々はこの物質の零磁場及び磁場中での熱伝導率、熱電能を調べた.図 1にT= 70 , 200 Kにおけるゼーベック係数 S(T )の磁場依存性を示す。磁場範囲 0 ≦ B(T ) ≦ 8 Tで磁場を増加させても S(T )に大きな変化は見られなかった。同様に磁場による他の輸送特性にも変化は小さく、これらの結果から当初の期待とは異なり磁場依存性がないことが分かった。
6P9.
%7
1L0Q*D
7 .
7 .
図1Ni2MnGaのゼーベック係数の磁場依存性
28
C-11 Mn2YZの結晶構造と磁性鹿児島大学理工学 A, 鹿児島大学理工学 B 下境田 光希A, 藤井伸平 B
【はじめに】30年ほど前にはMn2YZ型のホイスラー合金としては、Mn2VAl[1]が存在するのみであったが、最近おおくのMn2YZ型合金が作成されている。しかし、その結晶構造はかならずしもL21型でない。 最近合成されたMn2RuSnとMn2RuSi[2]についてその結晶構造と磁気状態について第一原理計算 [3,4]により調べたのでのその報告を行う。【方法】結晶構造として 3種類(L21型、Hg2CuTi型、DO3型)、磁気構造として 3種類(常磁性、強磁性、フェリ磁性)を考え、第一原理計算によりそれらの電子エネルギー Eを計算する。Eによりそれらの相対的安定性を評価し、安定な結晶構造と磁気構造を決定した。【結果】いずれも Hg2CuTi型のフェリ磁性がもっとも安定となった。分子当たりの磁気モーメントの計算値と測定値の一致はよい。当日は、Mn2NiGaおよびMn2VAlについての結果についても報告する予定である。
[1] K. H. J. Buschow and P. G.. Van Engen: J. Magn. Magn. Mater. 25 (1981) 90-96. [2]K.Endo et al: J. Alloys Compd. 510 (2012) 1. [3] http://www.wien2k.at [4] http: //kkr.phys.sci.osaka-u.ac.jp
C-12 hcp NiCo 合金の常磁性強磁性転移と電子状態佐賀大理工 A, 台湾NSRRCB, マックスプランク研 C, 九大院工 D, 熊本大院自然 E,理研 F 赤司健太A, 石渡洋一 A, 石井啓文 B, Y. F. LiaoB, Y. H. WuB, K. D.TsueiB, 内海有希 C, S. AgrestiniC, 稲垣祐次 D, 河江達也 D, 木田徹也 E, 南任真史 F, 石橋幸治 F
ナノサイズ Ni では hcp 構造が出現し、fccNi と比べて磁化の値が非常に小さくなる。本研究では hcp Ni1−xCox (x = 0, 0.05, 0.19,0.22, 0.29) を溶液合成し、x に対する磁化と電子状態の変化を調べた。硬 X 線光電子分光(HAXPES)スペクトルから求めたフェルミ準位(EF)の状態密度(DOS)はCo量に対し連続的に増大する傾向が見られた。一方、磁化測定から求めた飽和磁化の値は、x = 0から 0.22まで大きく変化せず、x = 0.29において急激な増大を示した。x = 0.22と 0.29の間でストーナー条件を満たし、強磁性化したことが示唆される。
Inte
nsity
(arb
. uni
ts)
hν = 6480 eV
Inte
nsity
(arb
. uni
ts)
Inte
nsity
(arb
. uni
ts)
hcp-Ni hcp-Ni Co
Inte
nsity
(arb
. uni
ts)
0.1 0.0 -0.1Binding energy (eV)
5 4 3 2 1 0 -1Binding energy (eV)
Inte
nsity
(arb
. uni
ts)
hcp-Ni0.81Co0.19 hcp-Ni0.71Co0.29
Binding energy (eV)
1 hcp Ni1-xCox HAXPES
0.3
20
10
Ms (em
u/g)
0.2
DO
S a
t E F
Ms 250 K 10
0
(emu/g)0.1
0.0
DO
S a
t
Ms 250 K DOS at EF
DOS, Co
00.30.20.10.0
x 0.0
29
C-13 クロミック化合物CoMoO4の低温異常磁性九大院工 A, 福井大工 B 坂元康剛A, 諸冨大樹 A, 稲垣祐次 A, 河江達也 A, 浅野貴行 B
モリブデン酸コバルト CoMoO4 は、ピエゾクロミズムとサーモクロミズムの性質を有している [1]。その高圧相と低温相では、同一の相(α-CoMoO4) が実現されており、低温で興味深い磁性を示す [2]。その磁性を明らかにする目的で、α-CoMoO4 の極低温での詳細な磁化測定・比熱測定を行った。図 1 に 0.5K~15K までの磁化過程を示す。
比熱測定から得られた TN = 12K 以下では2段ステップ磁化過程が観測され、4Kを境にしてその前後で挙動が大きく異なる。4Kでの結果が最も単純で、低磁場側からシングレット、1/3プラトー、飽和と明確に変化している。この低温・低磁場におけるシングレット状態は、スピン・パイエルス転移によるダイマー形成に起因するものではないかと考えられ、当日はより詳細な結果を紹介して議論を行う。
1,
[1] L. C. Robertson et al., Inorg. Chem. 50 (2011) 2878.[2] , 25pPSB-63 394.
0 1 2 3 4 5 6 7
M (µ
B)
H (T)
0
00
0
00
00
1
2
3
0.5K
2K
4K
6K
8K10K12.5K15K
0 1 2 3 4 5 6 7
M (µ
B)
H (T)
0
00
0
00
00
1
2
3
0.5K
2K
4K
6K
8K10K12.5K15K
C-14 Mn2−xCuxSbの高圧下における磁気状態鹿大院理工 A, 東大物性研 B 松本佳大A, 松林和幸 B, 上床美也 B, 小山佳一 A
Mn2−xCuxSbは,温度低下に伴い,フェリ磁性 (FRI)-反強磁性 (AFM)一次磁気相転移を示す.近年,磁気一次相転移が磁場により抑制されるカイネティックアレスト(KA)効果が報告された [1].今回我々は,KA効果に対する圧力の影響を調べることを目的とした.
東京大学物性研究所の高圧下磁化測定装置を用いて,圧力 0.1 MPa- 1.0 GPa,磁場 0- 5T,温度 10- 300 Kの条件で,磁化の温度依存性の測定を行った.
図に,Mn1.9Cu0.1Sbの磁化の温度依存性を示す.常圧(0.1MPa)では,FCW-3Tと ZFCW-3Tの低温(T≦ 50K)での磁化の差が大きく,KA効果が観測された.一方,高圧(1GPa)下では,その差が小さくなりKA効果が抑制されていることが分かった.
[1] P. Kushwaha, et al. J. Phys.:Condense. Matter 20 (2008) 022204 !"!"!"##$$"!% '()!*+ ,+-$ )('.*+ ,&-%/0&'()*+#,-./0
30
C-15 Fe2Mn1−xVxSiの磁気相図鹿児島大学理 A, 東京大学物性研 B 西涼太 A, 田底知也A, 佐野紘晃 A, 重田出 A,伊藤昌和 A, 小山佳一 A, 近藤晃弘 B, 金道浩一 B, 廣井政彦 A
Fe2MnSiはL21型の構造を持つホイスラー合金で、TC=250 Kで強磁性転移をし、TA=60 Kで反強磁性成分を持った相への転移が起こることが知られている。V置換した Fe2Mn1−xVxSiでは、x の増加につれてTAが低下し x~0.2で消失する。本研究ではこの転移の高磁場までの相境界を調べることを主な目的に、70 T付近の高磁場まで、パルス磁場を用いて磁化を測定した。図は Fe2Mn0.95V0.05Si の各温度での磁化である。4.2 Kでの磁化曲線と比べて、20~40 Kでの磁化曲線は、途中の磁場より傾きが変化し、下方にずれている。これはその磁場において反強磁性的な相からの磁気相転移が起きていることを示唆している。また x~0.1の試料ではこの転移がより小さい磁場へと推移してお
り、置換量が増えることで反強磁性相の存在する磁場範囲が狭まることを示している。本講演では x=0 - 0.2の試料について磁化測定の結果やそれから得られた磁気相図について報告する。
0 20 40 60B (T)
M (a
rb. u
nit)
Fe2Mn0.95V0.05Si
4.2 K20 K30 K40 K60K
C-16 Mn2−xNi1+xZ (Z=Sb, Ga, Sn) (0 < x < 1)における磁気的特性および結晶構造的特性鹿児島大学理工学研究科 A, 東北大学金属材料研究所 B 吉峰裕貴A, 滿永大輔 A,廣井政彦 A, 三井好古 A, 梅津理恵 B, 小山佳一 A
Ni2MnGa と Ni2MnSn はホイスラー合金でCu2MnAl 型の結晶構造を持つ強磁性である。[1]一方、Mn2NiGaは強磁性でCu2MnAl型の構造を持ち、Mn2NiSnはフェリ磁性でHg2CuTi型の構造を持つと報告された。しかし、Ni基合金に比べてMn基合金の実験結果の報告は少ない。Z=Sbの格子定数のx依存性においてx=0.5周辺で異常が見られた。これは x=0と 1で結晶構造が異なるためであるとした。[2]本研究の目的はMn2−xNi1+xZ (Z=Sb, Ga, Sn) (0<x< 1)の磁気的および結晶構造的特性を明らかにすることである。図に室温での Z=Ga の格子定数を示す。
Z=Sbの結果と異なり、格子定数は組成増加とともに減少していることがわかる。Z=Snでも同様の結果が得られた。Z=Sbと異なり、Z=Gaと Snは x=0と 1で結晶構造が同じであると示唆される。[1]鹿又武,機能性材料としてのホイス
ラー合金,内田老鶴圃, (2011). [2]Y. Yoshimine,et al., IEEE Trans. Magn. 50, (2014), 100124.
31
C-17 CrAlGeの磁性鹿児島大学・理 A, 東北大・金研 B 吉永総志A, 三井好古 A, 梅津理恵 B, 小山佳一 A
Mn 基の磁性体のうち、MnAlGe は正方晶Cu2Sb型の結晶構造を有する強磁性体であり、大きな磁気異方性を有するため、垂直磁化膜の強磁性材料としての応用が期待されている。最近、MnAlGe の Mn を Cr に一部置換するとキュリー温度 Tc が上昇することが報告された [1, 2]。一方、Mn を Cr に完全置換したCrAlGeはその磁性についてほとんど明らかにされていない。本研究の目的は CrAlGe を合成し、その結晶構造及び磁気特性の評価を行うことである。CrAlGeの熱磁化曲線を図に示す。図より、CrAlGe は約 80K のキュリー温度 Tc を持つことがわかった。Cr, Al, Ge それぞれの単体元素は強磁性でないにも関わらず、合成すると強磁性的な振る舞いを示すことがわかった。[1] H. Ido et al , J. Appl. phys.55 (1984) 2365.[2] R. Y. Umetsu et al., to be
published in IEEE Trans. Magn. (in press).
C-18 Ru2−xFexCrSiの磁場中輸送特性鹿児島大院理工 A, 熊本大 B 西井上創羅A, 佐野紘晃 A, 重田出 A, 伊藤昌和 A, 藤井宗明 B, 廣井政彦 A
我々は、ホイスラー化合物Ru2−xFexCrSiの物性について研究してきた。Fe-richではハーフメタル的な強磁性と考えられ、x = 0のRu2CrSiでは TN = 13 K で反強磁性転移をすることがわかった。また、TN は~ 15 Tでもあまり変化せず、相当な高磁場まで反強磁性相が保たれることがわかった。一方、Feが少量の試料はスピングラス的な振舞を示す。今回は、電気抵抗率と磁気抵抗比について研究を行った。Fig. 1 に0 TでのRu2−xFexCrSi ( x = 0, 0.01, 0.02, 0.1,0.3 ) の電気抵抗率を示す。x = 0.1では温度下降にともない電気抵抗が増大するが、x = 0に近い試料では反強磁性の影響からか低温で増大は抑えられる。Fig. 2には磁気抵抗比のグラフを示すが、x = 0では正であるが、Feのドープにより (x = 0.01でも)負になることが見出された。
0 100 200 3000
1
2
3[×10-5]
(Ω m
)
T (K)
Ru2-xFexCrSiRu2CrSi
Ru1.98Fe0.02CrSiRu1.9Fe0.1CrSi
Ru1.99Fe0.01CrSi
Ru1.7Fe0.3CrSi
-5 0 5
-3
-2
-1
0
1
Ru2-xFexCrSi
∆ρ/ρ
(%)
B (T)
T = 2K
Ru1.9Fe0.1CrSiRu2CrSi
Fig. 1
Fig. 2
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C-19 MnCo(1-x)Fe(x)Geの磁気特性鹿児島大学大学院理工学研究科物理・宇宙専 A, 東北大学金属材料研究所 B大園 康介A, 三井 好古 A, 廣井 政彦 A, 梅津 理恵 B, 小山 佳一 A
MnCoGe は, 約 460 K においてオーステナイト相の六方晶 Ni2In 型からマルテンサイト相の斜方晶 TiNiSi 型に構造相転移 (マルテンサイト変態) を示す. また, キュリー温度 (TC)は約 350 Kである. 最近, Coを Feで置換したMnCo1−xFexGe は, 置換量 x の増加に伴ってマルテンサイト変態温度 (Tm)とキュリー温度(TC)が減少することが報告された [1]. 本研究の目的は, MnCo1−xFexGeについて, Tm= TCとなる xの存在と機能性材料としての有用性を調査するために, この物質系の相図の作成を行うことである. 図には, 粉末 X線回折測定, 熱分析, 磁化測定の結果から作成したMnCo1−xFexGeの相図を示しす. 置換量が 0.08 ≤ x ≤ 0.09の範囲で 280 Kにおいて, 磁気相転移と構造相転移が同時に起きていることを見出した. この組成において TC 直上で磁化測定を行ったところ, メタ磁性転移が観測された. つまり, TC直上で磁
場印加によりマルテンサイト変態が制御可能であることが示唆される.[1] G. J. Li et al. : J. Magn. Magn. Matter. 322(2013)146 − 150
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C-20 高圧力下における酸素ナノロッドの磁気測定九工大院工 A, 福岡大理 B 針尾健介A, 美藤正樹 A, 出口博之 A, 田尻恭之 B, 香野淳 B
固体酸素の高圧物性は X 線回折、中性子回折、ラマン分光法等によって詳しく調べられてきたが、酸素分子は磁気的に活性な為、磁気測定も有効な手段になり得る。上記の固体酸素は、酸素分子が三次元的に凝縮した状態 (以下バルク状態)であるが、我々は異方的に(例えば一次元ロッド状に)凝集させた状態での固体酸素の高圧特性に興味をもっている。そこで、酸素分子を吸着させたメソ多孔質構造体 SBA-15に圧力を印加し、鋳型ごと磁化を測定した。図1は、直径 8.5 nm及び 24 nmの酸素ナノロッドの圧力・温度相図である。ナノロッドの固相相転移は、バルク状態のそれらより低温側に現れた。この違いをサイズ効果というためには、サイズ径の違う測定を積み上げる必要がある。
0
50
100
150
200
250
300
0 1 2 3 4 5P (GPa)
T (K
)
1 8.5 nm 24 nm
8.5 nm (a-b) 8.5 nm (b-g)
24 nm (b-g) 24 nm (a-b)
Bulk (liquid-g )
Bulk (b-g )
Bulk (a-b )
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C-21 強磁場中固相焼結によるMnBiの特性鹿児島大学・理 A, 東北大・金研 B 平敦志A, アベ松賢一 A, 三井好古 A, 梅津理恵 B, 高橋弘紀 B, 小山佳一 A
MnBiは c軸に大きな一軸の磁気異方性を有する六方晶NiAs型の強磁性体である [1]。MnBiは非調和融解物質で、その単相試料を得ることは難しい。最近三井らは、MnとBiの粉体から固相焼結法で強磁性MnBiを合成する際、強磁場印加によってMnBiの合成反応が促進されることを見出した [2]。本研究の目的は、MnとBiから MnBi を合成する過程に対する磁場効果について、微視的な知見を得ることである。試料は、Mnと Biの粉体を目標の Bi-rich組成になるように秤量、混合し、ペレット状のバルク試料にした後、共晶反応温度(535 K)以下の525 Kで 3日間、零磁場と磁場 15 Tで合成した。図に Bi − 20at.%Mnバルク試料の X線回折パターンを示す。ここで、磁場印加方向と散乱ベクトルの方向は同じである。面指数 (hkl)を付けた回折ビークはMnBi結晶によるものである。Bi − rich組成のため、Biの回折ピークに比べ、強度は小さいが、MnBiが合成されている
ことが確認できた。ゼロ磁場中合成した試料と比較すると、本実験の合成温度はBiの融点 544Kよりも約 20 K低いにも関わらず、磁場配向したMnBiが合成されていることが示唆された。[1] C. Guillaud, J. Phys. Radium. 12, 143(1951)[2]Y.Mitsui et al.: J. Alloy. Compd. 615, 131(2014)
C-22 MnBi焼結体の合成と分解過程の観測鹿児島大学理学部 A, 東北大学金研 B 宮崎泰樹A, 三井好古 A, アベ松賢一 A, 高橋弘紀 B, 宇田聡 B, 渡辺和雄 B, 小山佳一 A
近年、強磁場を発生することのできる超伝導磁石の普及によって、磁場中材料合成など、磁場を利用した材料開発が行なわれている。最近、強磁性体MnBiは強磁場中で合成すると、ゼロ磁場中での合成よりも MnBi 相の割合が大きくなることが報告された [1]。今後、磁場を用いた材料開発や物質合成において、強磁場中での合成と分解過程をその場観測することは重要である。本研究の目的は、強磁場中で熱分析とその場観察を同時に行ない、材料の合成と分解過程を観測することである。Fig. 1 に本研究で用いる装置を示す。今回、我々はゼロ磁場中における強磁性体 MnBi の合成と分解過程のその場観測を行なった。講演では、その観測の結果について報告する。[1]Y. Mitsuiet al., J. Alloy. Compd. 615, 131-134 (2014)
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C-23 磁場中急冷炉の製作と評価鹿児島大学理 A 山下美咲A, アベ松賢一 A, 三井好古 A, 小山佳一 A
磁場中熱処理によって高温で強磁性相を誘起させ、それを急冷することにより、新しい磁性材料の合成が期待される。そのためには磁場中急冷炉が必要であるが、フランスのグループ [1]を除き磁場急冷中関する報告はない。本研究の目的は、磁場中急冷炉を製作し、装置の評価、磁場中急冷による試料合成を実現することである。開発中の装置の概略を図に示す。試料ホルダーである石英管の外側に無誘導巻された非磁性ニクロム線ヒーターを取り付け、その外周に冷却ジャケットを配した。そして、試料を急冷するために、電気炉下部に水冷熱浴を設けた。磁場中で試料位置を固定したまま、水浴を引きあげることで試料を急冷する。[1] T. Garcin: PhD Thesis, (2009),University of Grenoble 謝辞 本研究はカシオ科学振興財団の助成を受けて行いました。
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