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経済学の基本的考え方(1)
人は意志決定においてトレードオフに直面する
あるものの費用はそれを得るために直接支払った費用ではなく,それをえるために断念したものの価値で考える
合理的な意志決定は,追加的な決定による費用と便益を考慮しておこなわれる.
人はさまざまな誘因に反応し行動する.
問題を考える• 日常生活で自分がトレードオフに直面したことを考
える
• 留年するともう1年授業料を払う.機会費用で考えると留年の費用はこの授業料だけではない
• 寒くなると1時間目の授業に出ないで布団の中でぐずぐすしていたい.寝ているからなんのコストもかかっていない.
• 夜だけ営業していた店がお昼のランチをはじめることがある.
• たばこは健康を害する.たばこの生産を禁止する他に方法は.
取引はすべての人を豊かにする
取引(貿易)をおこなうこと,あるいは取引がおこなわれることを前提にした経済活動は生活水準をあげる.
取引において競合がある場合,勝者と敗者が生じることもあるが,それは取引を否定するものではない.
取引の意義 特化した生産による生産能力の向上とそれによる財・サービスの多様性
− 比較優位(第3章)
通常,市場が経済活動を管理する良策である
計画経済 中央集権的な政府が財・サービス生産・消費を決定する
市場経済では個人や企業が,基本的に,財やサービスの価格と利己心にもとづいて個別に意思決定をおこない,その相互作用の結果が社会全体の生産と消費のきめる. 市場の効率性:ミクロ経済学の基本
有名な本
アダム・スミス:「国富論」,[諸国民の富」 An Inquiry into the Nature and Causes of the
Wealth of Nations (1876) F・A・ハイエク:「隷従への道」
The road to serfdom(1944) M・フリードマン:「資本主義と自由」
Capitalism and Freedom(1962)
政府が市場の成果を改善できることもある
市場が機能するためのルール 私的所有権
契約
市場の失敗 市場が効率的な資源配分を達成できない
− 外部性(市場における取引を介さずあるヒトが他のヒトの経済的状態に影響を及ぼす)
− 市場支配力(独占)
市場が望ましい衡平な分配を達成できない
一国の生活水準は生産性に依存する
生産性はひとりの労働者が1時間あたりに生産する財とサービスの量
生産性が生活水準の第一義的要因と考える
生産性をきめるもの 物的資本- 機械設備など
人的資本-教育・経験などで労働者に蓄積された技能
天然資源-土地,鉱床など
技術知識-生産法に関する最善の知識
政府が紙幣を印刷しすぎるとインフレがおこる
物価 - 個々のモノの値段(価格)ではなく財・サー ビスの全体の平均的な価格
物価 – 消費者物価指数,企業物価指数,
GDPデフレーター(第9章)
インフレーション - 物価の継続的上昇
デフレーション ー 物価の継続的な下落
インフレのコストは?
総合指数(2005年=100) 対前年上昇率(%)
2005 2006 2007 2008 2005 2006 2007 2008
日本 a 100.0 100.3 100.3 101.7 -0.3 0.3 0.0 1.4
インド 100.0 # 105.8 112.5 121.9 4.2 ... 6.4 8.3
インドネシア 100.0 # 113.1 120.3 132.4 10.5 ... 6.3 10.1
カザフスタン 100.0 108.6 120.3 140.9 7.6 8.6 10.8 17.1
カタール 100.0 111.8 127.2 146.4 8.8 11.8 13.8 15.0
韓国 100.0 102.2 104.8 109.7 2.8 2.2 2.5 4.7
サウジアラビア 100.0 102.2 106.5 117.0 0.7 2.2 4.2 9.9
シンガポール 100.0 101.0 103.1 109.9 0.4 1.0 2.1 6.5
スリランカ 100.0 110.0 127.4 156.2 11.6 10.0 15.8 22.6
タイ 100.0 104.6 107.0 112.8 4.5 4.6 2.2 5.5
中国 ... ... ... ... 1.8 1.5 4.8 5.9
パキスタン 100.0 107.9 116.1 139.7 9.1 7.9 7.6 20.3
バングラデシュ 100.0 106.8 116.5 126.9 7.0 6.8 9.1 8.9
フィリピン 100.0 106.3 109.2 119.4 7.6 6.3 2.8 9.3
ベトナム 100.0 107.4 116.3 143.2 8.3 7.4 8.3 23.1
香港 100.0 102.0 104.1 108.6 0.9 2.0 2.0 4.3
マレーシア 100.0 103.6 105.7 111.5 3.0 3.6 2.0 5.4
ミャンマー 100.0 120.0 162.0 205.4 9.4 20.0 35.0 26.8
国(地域)
消費者物価変化率
-5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
1971
1973
1975
1977
1979
1981
1983
1985
1987
1989
1991
1993
1995
1997
1999
2001
2003
2005
2007
年
日本の消費者物価指数
基本的考え方(2)
• 取引はすべての人々をより豊かにする
• 通常,市場は経済活動を組織する良いやり方である.
• 政府が市場の結果を改善できることもある• 1国の生活水準は生産性に依存する
• 政府が紙幣を発行しすぎると物価が上昇する
• 社会は短期的にインフレと失業率のトレードオフに直面している
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